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スターフォックス - (2014/08/17 (日) 10:30:05) のソース

*スターフォックス
【すたーふぉっくす】
|ジャンル|シューティング|CENTER:&amazon(B000068GVC)|~|
|対応機種|スーパーファミコン|~|~|
|発売元|任天堂|~|~|
|開発元|任天堂、Argonaut Software|~|~|
|発売日|1993年2月21日|~|~|
|価格|9,800円(税別)|~|~|
|プレイ人数|1人|~|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[スターフォックスシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1016.html]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
1993年に任天堂から発売された、任天堂初の3Dシューティングゲーム。&br()
ロムカセットにスーパーFXチップ(三次元描画方面強化回路)を搭載したことで、SFCのハードでは出来なかった立体像や奥行きが描写され、3D空間を作り出すことが可能になった。&br()
プレイヤーはチーム「スターフォックス」率いる主人公フォックス・マクラウドとなり、ファルコ・ランバルディ、ペッピー・ヘア、スリッピー・トードと共に、自機アーウィンを操り、アンドルフを倒すべく第I惑星ベノムを目指す。

**ストーリー
長い平穏を謳歌してきた恒星ライラット系に危機が訪れた。&br()
元凶は天才科学者Dr.アンドルフ皇帝。&br()
彼は惑星ベノムを拠点に、圧倒的な軍勢で周囲の惑星に侵略の魔の手を伸ばし、かつて自身を追放したコーネリアに攻めこもうとしていた。&br()
これに対し、コーネリア防衛軍はアンドルフ軍にコーネリアを占領させまいと奮闘するが、アンドルフ軍の兵器の前にまったく歯が立たず、敗戦に次ぐ敗戦を喫する。&br()
コーネリア防衛軍のペパー将軍は、ここに到り最後の手段を実行に移すことにした。投入するのは戦闘機「アーウィン」。&br()
反重力を発生することの出来るこの機体は従来の軍用機とは比較にならない性能を持っている。だが問題は、その操縦ができるパイロットがもはや軍に残っていなかったことだった。&br()
ペパー将軍は、ここである義賊団に目をつける。それは、かつてブラックホールに消えたフォックス・シニア軍曹の息子であるフォックス・マクラウドをリーダーとして、惑星パペトゥーンを拠点にアンドルフ軍の船だけを襲撃する宇宙義賊「スターフォックス」の4人組だった。&br()
彼らが戦果を上げながらも金に困っていたことに将軍は着目し、アーウィンの操縦を依頼する。その結果、ペパー将軍の狙い通りにスターフォックスは難なくアーウィンを乗りこなす。&br()
そしてフォックスは、父の消失の原因をつくったアンドルフを倒すべく、仲間達と共にベノムへ向かうことになった。

**特徴
-3D故に従来の縦・横スクロールシューティングを両方取り入れたシューティングゲームとなっている。ステージ毎に自機は3D空間を前進しながら障害物を避けたり、敵機を撃ち落しながら進み、最終的にボスを撃ち落とし次のステージへ進めていく。クリアすると、撃破数がパーセンテージで表示され、100%となるとコンテニュー回数が1つ増える。

-惑星コーネリアから3つのルートを選択し最終的にベノムを目指す。ルート毎にレベルが設けられており、Lv1~3まで3段階の難易度がある。Lv1と2は全6ステージ、LV3は全7ステージ。

-基本は後方視点で操作するが、引きと近目をセレクトボタンで切り替えが可能。宇宙ステージではコックピット視点も選択可能。

-自機の操作
--ブラスター:いわゆるレーザー。最初は1箇所しか発射されないが、ツインブラスターを取る事でタイプAとなり2箇所から発射でき連射性能が向上する。続けて取ると威力が強化されタイプBになる。
--スマートボム:ボンバー。空間中に存在する雑魚敵をすべて粉砕するほどの威力を持つ。発動する前に再度ボタンを押すと即座に起爆する。最大所持数は5個。
--ブースタ/ブレーキ:自機の飛行スピードを一時的に加減速制御する。動く障害物を避けたりするのに使う。ブーストゲージを消費するため連続して使うことはできない。
--クイックターン:LRボタンを押しながら移動すると自機が垂直に傾き、素早く移動ができ、狭い場所にも活用できる。ただし地面のあるステージにはウイングをぶつけてしまうこともあるので注意。
--ローリング:LRボタンを2回連続して押すと自機が回転する。この間に敵のビームや弾をはじき返すことができる。ただし、効かないものもある。また、左右を入力しながらローリングすることでそれぞれの方向に高速で移動できる。
-プレイヤーを支えるアイテムたち
--スモールサプライ:三角形の物体がリング状に並んだものがぐるぐる回転している。黄色と灰色の2種類が存在し、黄色は敵機を撃ち落すと出現。灰色は最初から現れる。シールドを回復させる。
--サプライサークル:青色の三角形の物体がリング状に並んでいる。スモールサプライと違い、静止している状態で浮いている。チェックポイントであり、シールドを回復させるほか撃墜されたときはサプライサークル付近から再スタートとなる。
--ツインブラスター:自機のブラスターを強化させる。2つ目を取ると、弾が変わり威力がアップする。
--ウイングジャイロ:ウイングが破損しているときにツインブラスターを取ると出現する。ウイングを補修する。
--スマートボム:スマートボムのストックがたまる。最大5個まで。
--パワーシールド:自機がフレーム(透明)状態になり。一定数のダメージを無効にする。ただし一定時間を過ぎると効果が切れてしまう。
--トップス:三角形の物体が3つ並んだもの。物体を3つとも当てると自機が現れ取ると1UP。

**長所
-SFCでの3D描写
--さすがに現在主流のゲームソフトや一、二世代前のゲームソフトですら見劣りする上、単純な図形を合わせただけののっぺりと角ばった粗いポリゴン、悪く言えば原始的ともいえる3D描写だが、当時としては先進的な試みであった。何よりSFCで荒いポリゴンでありながらしっかりと3Dシューティングを表現したことが画期的とも言える。
---所々のムービーイベントに凝った演出が印象的。電源を入れた時に''コーネリアを侵略しようとするアタックキャリアーの登場''から始まり、敵の勢力がすぐそこまで迫っているという危機を感じさせる。フォックスチームが基地から出発するシーンで遺憾なく3D表現を現しており、ボスの1つ「グレートコマンダー」は3つの機体から合体・変形するという登場シーンも凝ったものもある。粗いポリゴンの3D描写が無機質的で幾何学的な感じを醸し出しており、却ってクールSF的世界観の演出に貢献している。
--これまでF-ZEROやマリオカート、パイロットウイングスといった疑似3D空間を表現したゲームはあったが、奥行き、高さはあっても立体像がドット絵だけというものが多かった。このゲームでは立体像まで3Dに表現されていることが当時は衝撃的だった。

-キャラクターの設定
--登場するキャラクターがキツネ、キジ、ウサギ、カエル、そしてイヌとサルといったように、普通の人間ではなく動物を擬人化させたデザインが特徴。なんとも任天堂らしいところだが変にメルヘンチックなものではなく、SF的世界観にマッチしたクールな雰囲気を醸し出している。どのキャラクターから通信が来たのかわかりやすくするためのシンボルとして動物をモチーフにしたとのこと。
--同僚であるファルコ、ペッピー、スリーピーがステージ上に登場し助言を与えてくれる。更に敵を追いかけたり、敵に追いかけられたりという演出もあり、共闘している雰囲気を醸し出す。同僚の狙う敵を撃ち落すと文句や小言を言われてしまうし、逆に追いかけられる場面だと必死に逃げ回る。敵に追いかけられている場合は早く撃ち落してあげないとダメージを受けてしまう。終始助けないまま放っておくとそのうち殉死してしまうことも。
--イヌを擬人化した味方のペパー将軍と、サルを擬人化した敵のアンドルフの設定。アンドルフが元コーネリアの科学者でペパー将軍との不仲という後の設定もあり、いわゆる''犬猿の仲''を具現化したのも面白い。
--なお後の『64』と本作では登場キャラの設定は大きく違う。例としては青年であるペッピーや一人称が「俺」のスリッピーなど。本作が世界観・設定共に独立しており、64版は移植ではなくリメイク作に当たるためである。

-自機の耐久力の設定
--シールドゲージによって自機の耐久力が設定されており、ゲージが無くなると墜落・爆発して1機減る。自機の他にウイングにも耐久力が設定されており、ウイングの耐久力の限界を超えるとウイングが破損し飛行性能が落ちるという細かい演出もある。
--ウイングを除き、ステージクリアとなると自機のシールドが全快する。苦戦激戦の後のステージ進行にはとてもありがたい措置である。ただし、自分を除くメンバー3人のシールドはダメージを喰らったままだと回復はしない。

-難易度設定
--大まかに3レベルに分かれているが初心者から上級者まで応えるような、やり応えのある調整になっている。上級者でも難しいとされる難所もあり、Lv2のセクターX・Lv3のセクターZの後半に飛び交う柱群は回転し飛び交うもの、T字・X字状のもの、直立するものなど様々に存在しており、進行の行く手を阻む。Lv3のフォーチュナでは突如生えてくる巨大花に悩まされ、多数現れるドラゴン軍団(吐く炎はダメージ大・反射不能・破壊不能・こっちのレーザー遮断という四重苦)。いずれも''最悪の難易度クラス''と語り草になっている。
--こうした難所も、ブーストやブレーキの活用や、左右のクイックターンを使いこなすなどで切り抜けられる場所が多く、プレイヤーの腕の上達がきちんと反映されるつくりになっている。
--初心者のために、練習用に「トレーニング」という項目もあり、文字通り基礎からの練習が出来る様になっているのも良心的。宙に浮くリングを連続して潜り抜けたり、編隊を組んで飛行するといった練習内容を挑める。尚、ここで連続してリングを潜り抜けるとペパー将軍の態度がどんどん変わり最終的に「ウタガッテワルカッタ スタートヲオシテクレ!」と言うようになる。

-世界観にマッチしたカッコいいBGM
--『SF世界の乱世』というスターウォーズにも通ずるスペースオペラ的な世界観の中で流れる音楽は、勇ましさ、壮大さ、そして奇妙さを織り交ぜた様なものが多く、オーケストラ調のものから、ポップ調、テクノ調と多種多様渡である。後述の隠しステージに流れる曲や曲中にSE音を利用したりと遊び心ある曲作りが感じられる。

-個性豊かなステージとボスたち
--惑星コーネリアの基地からスタートし、アステロイドベルト、様々な環境の惑星、敵艦隊のど真ん中を突っ切るステージ等、ステージごとに異なる独自の雰囲気を持っており、3D表現と相まって宇宙を旅しているような雰囲気が存分に味わえる。
--ボスも単純に弾を大量に発射する耐久力の高い機体というわけではなく、パーツの破壊により行動が変化したり、腕や体を使っての自機押しつぶし攻撃を仕掛けてくるなど攻撃方法も多彩。&br;クモ型ロボットの「ダンシングインセクター」、登場した途端に「BYE BYE」とモニターに表示して去っていく(すぐに再戦する)「プロフェッサーハンガー」、分身攻撃を使い、さらにロボット形態に変形可能な「ファントロン」、前述の合体戦艦「グレートコマンダー」等、ボスも個性的かつ印象的なものが多く、動きの奇抜さに見とれてしまうほど。

**短所
-先進的であったとはいえ、3Dグラフィックが簡素に見えてしまう。
--今ではごくごく当たり前なテクスチャ貼り付けによる表現はなく、物体は各面単色のポリゴンの集合体、いわゆる「生ポリゴン」で表現されていることに起因する。
--SFCの性能では限界があったことに加え、ドットが主流だった時代で3Dゲームがまだそれ程浸透していなかった点も挙げられる。また、日本のSFCユーザー(特に子供)にとってビジュアル的に馴染めたかと言えば結構微妙なところ。
--ゲーム的な側面で言えば、見る人によってはポリゴンの粗さ故に遠近感がつかみ辛かったり、遠方の敵や小さい物体だとぼやけてやや見づらいという点はある。

-当時の基準で言えば仕方ないが、高難易度ではあるので人を選ぶ側面がある。
--本作のアーウィンの拳動はもっさり気味なため、障害物などのとっさの回避が難しい。基地の中や戦艦内といった狭い場所だと尚更で障害物に触れるその反動で飛行体制を崩されて連続して障害物にぶつかり続けて大ダメージを喰らってしまうこともある。シールドゲージの耐久力が少ないのも輪を掛ける。
--ローリングも64のようにスムーズにはだせないので敵弾を弾くのは難しい。敵が頻繁に使ってくるプラズマ弾に泣かされた人も多いはず。

**総評
特殊チップをカートリッジに搭載し、SFCでポリゴンを実現するといった実験的要素もあり、SFC以降のハードのポリゴンに比べると見劣りする面もあるが、&br()
3Dの概念を存分に活かしたゲーム性、多彩な展開や個性豊かなキャラクターや敵機など完成度は高水準で、シリーズとしても3Dシューティングとしても基礎が完成している。&br()
『64』とはやや設定が異なるが、その違いも楽しむという意味でも、一度手に取ってみてはいかがだろうか。

**その後の展開
実はスーパーFXチップ2を使った『スターフォックス2』の開発も行われていたがコスト面やNINTENDO64の発売もあり中止となる。&br()
しかし本作とスターフォックス2で培った要素は『[[スターフォックス64]]』に引き継がれ、それ以降のシリーズに繋がっていく。&br()
本作の3D描写の技術は1年後に発売され、同じくスーパーFXチップが使われたレースゲーム『ワイルドトラックス』でも活用されることになる。&br()
サーキットの看板にスターフォックスのロゴとフォックスが描かれており、アーウィンがゲストとして登場する。

**余談
-本作には2つの隠しステージが存在し、その内容のシュールさ、奇怪な不気味さからユーザーにインパクトを与えた。

#region(その隠しステージとは…)
-ブラックホール:アンドルフの実験の墓場とも言われる敵の残骸の浮遊する奇妙な空間で、フォックスの父親シニアが行方不明になった場所。ワープゾーンの役割を果たしており、それぞれレベルの異なる3箇所にワープできる。

-アウト オブ ディス ディメンション
--顔の描かれた惑星や★マークといった意味不明な意匠が漂う、詳細不明の謎の空間。空間自体もぐにゃぐにゃと奇怪に揺らめいており、BGMはなぜかクラシック曲『春の声』や童謡『雪』『ちょうちょ』などをアレンジしたもの。シュールで奇怪な絵面とのギャップがかなりキテいる。
--何故か敵は''紙飛行機''でボスは''スロットマシン''。ボスは7が三つ揃うまで戦い続けなければならず、倒せばスタッフロールが流れる。その後バラバラになった「THE END」を撃って直すミニゲームがあるがクリアしても何も起こらず、''この空間に閉じ込められてしまう''。ゲームオーバーかリセットしないと復帰できない。
--一説では、制作スタッフが3Dグラフィックの制作を学ぶ段階で練習用に作ったオブジェなどを利用し、そのまま隠しステージとして収録したのがこれらしい。
#endregion

-開発に関った一部スタッフのその後
--Dylan Cuthbert(ディラン・カスバート)氏はのちにキュー・ゲームスを設立し『[[コマンド>スターフォックス コマンド]]』や『[[64 3D>スターフォックス64]]』の開発に関っている。
--Giles Goddard(ジャイルズ・ゴダード)氏は『[[ワイルドトラックス]]』や『テン・エイティ』、フリーソフトのpeercastなどに関った([[参考>http://retroarcadegame.tumblr.com/post/41648576859/peercast]])のちヴィテイを設立し『[[スティールダイバー]]』などに関っている。

-キャラクターが動物であるのは宮本茂氏のアイデアによるもの。発売当時の任天堂本社に近くゆかりある伏見稲荷大社のキツネが由来でステージ中にゲートをくぐる場面が多いのも千本鳥居を意識してのこと。タイトルと主人公の名前も当時存在していた少年野球チーム名から採られている。
-本作のキャラクターのパブリックイラストはフィギュアを用いたものになっており、各キャラクターがかなりリアルなタッチで立体化されたフィギュアをパッケージイラストで見ることが出来る。