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ゼルダの伝説 風のタクト - (2021/06/27 (日) 02:45:48) のソース

#contents()
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*ゼルダの伝説 風のタクト
【ぜるだのでんせつ かぜのたくと】
|ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B00006D2D3)|
|対応機種|ニンテンドーゲームキューブ|~|
|開発・発売元|任天堂|~|
|発売日|2002年12月13日|~|
|定価|6,800円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|『[[時オカ>ゼルダの伝説 時のオカリナ]]』から大胆なイメージチェンジ&br()雰囲気含め全体的に良作だが賛否分かれる要素も強め&br()やり込み要素は十分&br()後半の「かけら集め」は問題点として無視できない&br()|~|
|>|>|CENTER:''[[ゼルダの伝説シリーズ]]''|

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**プロローグ
#blockquote(){
人々の間ではこんな伝説が語り継がれている。

遠い昔、神々の力が眠ると言われた王国があったが悪しき者に目をつけられ、闇に包まれた。~
王国が滅びようとする時、緑の衣をまとい、退魔の剣を装備した青年が現れ悪しき者を封印し、王国に光を取り戻した。~
人々は時を越えて現れた若者を「時の勇者」と呼び、活躍は後世に語り継がれた。~
しかし、時の勇者の活躍が伝説として語り継がれるようになった頃、王国に再び悪しき者が蘇り、災いをひきおこした。~
人々は時の勇者が再び現れてくれることを祈っていたが、勇者が現れることはなかった。
その後、王国がどうなったのかを知る者はいない…。

国としての記憶が消えた頃でも、その伝説は未だ息づいていた。ある島では時の勇者と同じ年になったら緑の衣を着て成長を祝うという風習が残っている。~
あの伝説の若者のように、勇気のある若者になれ。という願いをこめて…}

**概要
ゲームキューブ初のゼルダの伝説シリーズ。大海原とそこに点在する島々が舞台となる。~
プロローグを読んで解る方もいるかもしれないが、ストーリーは過去作とリンクしている部分が多い。((本作は時のオカリナのエンディングにおいて、時の勇者が7年前の過去に去って姿を消してから数百年余りが経った頃のハイラルが舞台。つまりリンクがいなくなったハイラルの未来の物語である。各シリーズごとの明確な時系列が公式に明かされない中で、明言された数少ない作品。戦いから帰還したこどもリンクの進言により7年前のハイラルにおいてガノンドロフが未然に処刑されたことで歴史が分岐して平行世界が生じており、ガノンドロフが処刑されてから数百年が経過した後のハイラルが『トワイライトプリンセス』の舞台となる。))~
もちろん、過去作を知らなくても楽しめるが、知っているとより世界観が深まり、楽しめるかもしれない。

主人公はプロロ島に住む少年で、彼の誕生日にさらわれてしまう妹を助けに冒険へ出かける。~
「言葉を喋る船」や様々な人々と出会い、主人公は大海原を渡り冒険をしていく。~
そのトゥーン調のグラフィックを始め『[[時のオカリナ>ゼルダの伝説 時のオカリナ]]』『[[ムジュラの仮面>ゼルダの伝説 ムジュラの仮面]]』からの大きな変化が幾つか見られるものの、冒険やダンジョンの謎解き、敵をロックオンする「L注目」といった3Dゼルダの基本要素はしっかりと踏襲している。~
//判定と矛盾する文章をバッサリと削除・修正してみた

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**ゲームの特徴
-世界観はかつてのシリーズの西洋風だったものから、東洋的な色合いが濃いものへ変わった。

-世界には広大な平原などは無く、広大な大海原が広がる。基本的な移動は帆船で行い、点在する島々にダンジョンや様々な種族の居住地がある。
--海は非常に広く、島々は遠くからはシルエットのみで表され、だんだん近づいていくと島の姿が見えてくるようになる。序盤で帆船を手に入れて初めて大海原へ出航する時は開放感にあふれている。
---過去作とは異なり、ロードを挟まずに別の島に移動することが可能となっており、明言こそされていないものの実質「オープンワールド」的なゲームと言える。
//ゼルダのオープンワールド作品は本作が初。
//明言されていないのなら本作を持って初とするのは語弊がある。

-グラフィックの変化
--グラフィックが以前の3Dゼルダとは異なり、ゼルダシリーズでも初のトゥーンレンダリングという技法で描かれている。
--簡単に説明すると、2Dアニメーションや手描きイラスト調の作画を3Dモデル化する技術のことで、「アニメ調の3Dグラフィック」と考えてもらえば良いと思う。いわゆる「猫目(またはトゥーン)リンク」の誕生である。
//ゲスト出演(スマブラ、ゼルダ無双にて)時「トゥーンリンク」と呼ばれるため追記
--その技法ならでは独特な表現が風から爆発の表現まで、細部に渡ってなされており、写実的なリアルさを見て感じるよりも、「触れるアニメ」「動かせるアニメ」といわれるようにキャラクターを動かしてリアルさを感じることができる。

-戦闘システムは基本的に従来と同じだが、攻撃が入る時の効果音や、攻撃を被弾する直前に発動させることができるカウンター攻撃なども盛り込まれている。

-モーションも細部に凝っており、敵キャラクターは色々なアイテムを使用することで、集団戦になるとフレンドリーファイアもするなど様々な反応を示してくれる。
--武器を持った敵は攻撃されると武器を落とすが、他の武器を見つけて攻撃したり、無ければ素手で戦ってくる。敵の落とした武器はもちろん主人公も利用が可能。
--氷の矢を雑魚敵に射ち凍り漬けにしてから、ハンマーで叩いて木っ端微塵なんてことも可能。
---このゲームの開発は主人公と敵キャラの1つ、モリブリンの2体だけの世界から始まり、この2体にできることを他のキャラクターに応用していくことでゲームの基礎ができたために豊富なモーションが生まれたとのこと。
--特に、主人公は自ら語ることはないのだが、豊富な表情で「気持ち」が表現されている。喜んだり悲しんだり。気になる物があるとき(ダンジョンの仕掛けなど)はその方向へ表情が注目したりもする。

-BGMはゼルダシリーズを通じて担当している近藤浩治氏を含め4人が担当。
--あるときは古風に、あるとき壮大に、などBGMは場面に上手く合わせられている。全体的にオーケストラというよりは、笛や打楽器、弦楽器を中心とした民族音楽調のBGMが多い。~
過去作のBGMも適度に含まれており、今まで一風変わった世界観でありながらシリーズの連続性をしっかりと保っている。~
特に「ハイラル城」のBGMは「おっ」と思った方もいるのではないだろうか?
---ただし一番有名な初代のテーマはOPのBGMで少し使用されているだけで、その後のゲーム中には一切出てこない。
//--ちなみに、『大乱闘スマッシュブラザーズX』に「竜の島」「モルド=ゲイラ戦」「大海原」の三曲が使われている。

**細かな特徴
-「風のタクト」の名が示すように、主人公はタクト(指揮棒)を利用して旅をする。タクトは『時のオカリナ』や『ムジュラの仮面』でいうオカリナであり、昼夜を変えたり、ダンジョンの謎解きなど様々な場面で使うこととなる。

-序盤で主人公は喋る船「赤獅子の王」と出会い、彼を案内人として冒険をする。船に帆をつけ、風が吹く方向へ船を動かしていく。風を操るのはもちろんタクト。
--ストーリー中盤までは行動が制限されているが、2番目のダンジョン攻略後にほぼ自由に動けるようになる。大海原には島が合計49あり、大抵は無人島なのだが、それぞれ洞窟やアイテムなどがあり、''やりこみ要素が非常に多い''。
--人の住む島でミニゲームしたり、別荘の島を手に入れパズルに興じたり、潜水艦の中で雑魚敵と戯れたり、ミニ戦艦のいる要塞を破壊したり。島によって特徴がかなり様々であり、楽しむことができる。

-海でのお宝探し
--宝のマップという物があり、それを利用して海底からお宝を引き揚げるというもの。お宝は1ルピーから色々。

-''チンクル。35歳。独身。''
--妖精さんを探し続けて35歳になってしまったオジサン。いつもは弟2人と赤の他人1人で同じ格好で暮らしている。
--今作ではストーリーに関わる上に、ゲームボーイアドバンスとゲームキューブを繋ぐことで一緒に旅をすることもできる。
---初登場は『ムジュラの仮面』であるが、今作で可愛らしくなった彼はスピンオフ作にて2作品も主演を務める程にまで出世することとなる。

-やりこみ要素として、「フィギュア」というものがある。
--これはゲーム中に手に入る「写し絵の箱DX」というカメラのような物でゲーム内キャラクターを撮影し、ある所へ持って行くと、そのキャラクターのフィギュアを作ってもらえるというもの。
--ゲーム内の''全て''のキャラクターをフィギュアにできる。すなわち、主人公から''雑魚敵''まで。もちろん、ボスも対象である。ゼルダシリーズ中でも最大級の平均ボスサイズである今作で、''巨大なボス相手にシャッターチャンスを求めてカメラを片手に走る''主人公とはいかがなものか。なかなかシュールな図である。
---ゲーム中に一度しか出てこないキャラクターも多く、1周目で全てを揃えるというのはまず不可能。そのために、ゲームクリア後の2周目でもフィギュアのデータと写し絵の箱は引き継がれて、収集を継続することができる。
---実は、本当に全ての人物をカメラに収めて持っていくには2周でも足りない。とある人物を写真に収め、それを持っていくとその人物に関係するフィギュアを全て作って貰える。
---ニテンドウ店主は白黒写真ではフィギュアを作ってくれないが、最終ダンジョンで再戦することになる白黒になったダンジョンボス(のカラー写真)では問題なくフィギュアを作ってくれる。

-2周目について少し触れたが、他にも2周目プレイでは1周目と少し異なる部分が用意されており、十分楽しむことができる。

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**賛否両論点

-トゥーン調のグラフィックは独特な表現で作りこまれており、評価も高い。しかし、64時代の写実的なゼルダに印象が強い人も多く、批判意見も見られた。
//「一部」と言うほど少なくはないと思われる。
--特に当時はリアルゼルダ志向の強かった海外ではトゥーン調の絵はゼルダの伝説には合わないとして批判的に視ているプレイヤーが&bold(){非常に}多かった。ファンの反応は賛否真っ二つに分かれ、海外で行われた本シリーズの嫌いなキャラランキングでは本作の主人公の猫目リンクが同じく海外で嫌われているチンクルと共に上位にランクインされているなど、海外では風当たりが強かった。
---しかし、現在において海外では本作のグラフィックは&bold(){再評価}の傾向になりつつある。写実路線はハードの性能に依存することから時が経つにつれになるにつれどうしても時代遅れの色が強くなってしまうのに対し、このような独自色の強い表現は時代を跨いでも色あせないためである。
--発売前にイベントなどで64のリアル路線でのゼルダの映像が発表されていた事も批判が大きくなる原因となった。
---ちなみに、スタッフ間では64の時から既に写実的路線のゼルダに疑問を感じている人もいたらしい。
--後年の作品では据え置き型は写実路線に回帰、携帯機はトゥーン調に統一され、実質的な棲み分けが行われる事となる。
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-最初のダンジョンである「魔獣島」の難易度

#region(ダンジョン攻略について、割と具体的なネタバレをしています。閲覧注意)

-最初に攻略することになるダンジョン「魔獣島」には、海賊船のカタパルトを使い侵入する事になる…のだが、撃ち出され壁に激突した際の衝撃で剣をダンジョンのどこかに落としてしまう。落とした剣を拾うまでは、丸腰の状態でダンジョンを進んでいかなければならない。
--ダンジョン内の敵からは基本的にタルを被って身を隠さねばならず、見つかれば即牢屋行き((牢屋自体は脱出できるようになっており、特定の位置に戻される以外のデメリットはない。))。敵に感づかれた際のドデカい太鼓のような音や、見つかってしまった際のサイレン音がトラウマになってしまったというプレイヤーは地味に多い。
---ダンジョン内にはネズミのような敵「グース」が出没する部屋があるのだが、こいつがまた曲者。他の敵に見つからないようタルを被って隠れている所に攻撃を加えてくるのである。当然攻撃を喰らえばタルを失ってしまい、そのまま発見→牢屋行きというコンボ成立。
--屋外のエリアではサーチライトが3つ稼動しており、これに引っかかってしまうと問答無用で即牢屋行き。しかもダンジョン構成の都合上、1つのサーチライトは稼働しているとゴールには辿り着けないので、まずはこれを止める必要がある。
---サーチライトを操作している雑魚敵とは、壺の中にある棒切れを使って戦う事が可能。盾で雑魚敵の攻撃を弾き、敵が手放した棒切れを奪って戦うこともできる。但し棒切れの攻撃モーションは剣と比べて遅く、慣れないうちはてこずる可能性が高い。
--敵をやり過ごしながら進むダンジョンでありながら、地形がかなり複雑になっている。2階建ての円形状で、ある場所から一度外に出ないとゴールに辿り着けないようになっているため、道に迷って同じところをグルグル回る羽目になりやすい。
---一応ところどころに梯子があり、上から木箱を落とせばそこがショートカットとして使えるようにはなっている。
-プレイヤーの中には「風のタクト最難関ダンジョンは最初の魔獣島」と断言するユーザーまで居る程である。そんなダンジョンを、よりにもよって最初に攻略する破目になるのだからたまったものではない。案の定各所のコミュニティでは悲鳴が木霊したという…。
--ちなみにこの魔獣島、ストーリー進行でもう1回訪れる機会がある。その時は剣を無くす事もなくフル装備で乗り込むことができるので、思う存分鬱憤を晴らしてやろう。
---ただし、この時に新しく登場するフロアマスターに捕まると牢屋行きになるので、その点は注意しなければならない。

#endregion


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**問題点

-カメラ操作がリバース固定。
--後発のアクションゲームやFPSでいうところのリバース操作(スティックを右に倒すとカメラアングルは左に動く)に固定されており、最近のアクションゲームに慣れた人にはストレスを感じる操作となる場合がある。

-幸せのペンダントの存在価値が薄い。
--幸せのペンダントは[[ドラゴンクエストシリーズ]]で言う「小さなメダル」に相当する収集アイテムであり、各ダンジョンの宝箱の中などに潜んでいる。
--ところが「小さなメダル」と大きく違うのは、出現率の高い雑魚敵から簡単に強奪が可能であり、フィールドやダンジョンをくまなく探索してまで集めるほどのアイテムではないということである。
---一応シナリオクリアには20枚必要なのだが、60枚集めてようやくもう1つのアイテムが手に入るくらいで、後は集めても何もないと言って良い。よって、仕掛けを解いて宝箱を開けたら幸せのペンダントでガッカリさせられるだけのアイテムとなっている。

-冗長な移動。
--大海原での移動は最初こそ冒険感とワクワク感にあふれているが、慣れてくると長い移動時間に冗長さを感じやすくなる。
--海上での移動方法は「タクトを振って風の唄を使用→目的地の方向に風向きを変える→船に乗って移動」という手順になる。しかし船は追い風ならそこそこ快速だが、向かい風だとほとんど進まないため、逆風だと少しの距離を移動するのにもいちいちタクトを振るわなければならない。宝のマップを目印にサルベージするときや、島の周囲を船で調べる時などにこういった事態が頻発するのでイライラがつのる。
--ワープ機能なる物があるのだが、このワープができるのは49島の中の主要な9島(その内1つは移動用ではない為、実質8つ)であり、そうではない島々には船で移動するしかない。
--移動中のお遊び的要素として、航海中にもルピー(お金)の乗ったタルが浮かんだり敵が出てきたりするギミックがあるが、移動中は暇になる事に大して変わりは無い。
---敵のバリエーションとしては、グヨーグ(サメ)やオクタロック(巨大なタコ)やシーハット(飛行するピーハットの亜種)が出てくるのだが、例えばシーハットは集団でかなりの数登場する。ダメージを受けると船からたたき落とされるため、数が多いと移動するにせよサルベージするにせよ非常に鬱陶しい。倒すときも過去のシリーズの騎乗から弓を射つように移動しながら攻撃もできず、攻撃の度に航行を止められる。
--禁断の森をクリア後に、枯れかかった森の樹を蘇らせるイベントが出るのだが、これはリアルタイムで20分間以内に8ヶ所全ての島にある樹に森の水を与えなくてはならないというもの。うち1ヶ所はダンジョンを進まなければならないため、嫌がらせの領域に達している((流石に厳しかったのか、WiiU版では30分に変更されている。))。
--移動の手間を省くためには最短ルートを通るのが筋なのだが、それを読んだかのように移動を邪魔するトラップが仕掛けられている場合がある。
---森の島から魚の島に行くには北西に進んでから西に行くのが最短ルートだが、このルートだとダレの島にいるダイオクタ((イカのようなモンスターで、コイツのテリトリーに近づくと強制的に戦闘になり、倒すか時間切れになるまで抜け出せない。))に遭遇する危険性が高い。この時点だとブーメランしか持っておらず、倒し切るのが非常に難しい。
---三角島3か所にオーブを捧げるイベントでも、最短ルートを進めば2回も竜巻に巻き込まれる危険性が待っている。この時点で竜巻に巻き込まれれば逃れる方法はなく、あらぬ場所まで吹き飛ばされてしまう。

-「操りの唄」
--ゲーム中盤のダンジョンで覚える唄で、特定の物や人物に乗り移って操ることで移動や固有のアクションをさせギミックを解くというものだが、とにかく何度も使わされ、そのたびにタクトを振るう演出が加わるのでこれまた面倒極まりない。
---操られている対象がダメージを受けると操り状態は強制的に解除される。操られる人物はリンクのように攻撃手段を持たず敵がいたら避けるしかないため、敵が多い場所だと無駄に緊張を強いられる。
---上記以外に利用方法があるわけでもなく、覚えたことでこれまでの移動や攻略が簡略化できることもない。本当にダンジョン攻略だけの代物であり、「使わされている」感が強い。
---物体はともかく、人物にわざわざ操りの唄を使う必然性も乏しい。操られるキャラはリンクに友好的で言葉も通じる。&bold(){普通に指示すれば済む話である。}「リンクが操ることで何か特別な力が発揮できる」といったこともなく、理由付けが存在しない。

-青いクスリの存在価値が薄い。
--時のオカリナ・ムジュラの仮面同様に、本作でもイベントをクリアすることで体力と魔力を全回復させる青いクスリが手に入るのだが、本作のイベントはかなり面倒である。
--本作では青チュチュを倒すことで得られる青チュチュゼリーを15個集めてクスリ屋に渡すと青いクスリを作ってもらえるのだが、&bold()青チュチュは&bold(){島に1匹しか生息しておらず、一度ゼリーを手に入れたチュチュからは二度とゼリーを獲得できない}((1ヶ所だけ例外で2匹いる島もある。))。
--よって、青チュチュが生息している島を探して最低でも14か所も回らないとならない。前述の通り、大海原では冗長な移動を要するので、面倒なことこの上ない。
---更に青チュチュは49か所ある島のうち全部で20か所しか生息していない。それでいて、イカマップ(ダイオクタのいるエリアを示すマップ)のような青チュチュ用のマップが存在しないため、攻略本抜きでは手当たり次第探すしかないのも不親切である。
--ぶっちゃけ森のクスリ屋にボコババのタネを4つ渡した方が遥かに楽に入手できるので、ゼリー集めは苦労の割に合わない。こちらはクスリ屋に行くまでが面倒なのと、クスリを貰うのに冗長なイベントを挟む欠点があるが、比較すれば些細な方である。
--極めつけがプロロ島に帰還してリンクのおばあちゃんの「特製スープ」の存在。体力・魔力共に全回復するうえに、ダメージを受けるまでは攻撃力が2倍になる効果まである。こちらは空き瓶1本にしか入れられないが、その分2回使うことができ、空になったらいつでも無料で補充可能。入手に必要なイベントもリンクのおばあちゃんを妖精の力で治すだけでクリアなので、これさえあれば青いクスリに頼る必要性すらなくなる。

-密度のバラつきが目立つステージ構成。
--本作の大きな欠点のひとつ。前半から中盤まではイベントやダンジョンなどが密度高く配置されているのだが、終盤はスカスカさが目立っている。ストーリーだけ追うと短いと感じる人もいる。
---ダンジョン攻略→アイテム入手→ボス戦→次のダンジョン攻略へ…の流れが時オカの様に進むのが前半の数回のみ。また名曲とされるボス戦の曲が海に出てしまうと全く聴けなくなってしまう。
--これは、制作期間の時間切れのために終盤のダンジョンがカットされて、代わりに「トライフォースのかけら集め」という、言ってみれば「大海原全体での宝探し」という内容になったためである。

-面倒極まりない「トライフォースのかけら集め」
--文字通り「かけら」を探すのだが、これがまた面倒で本作最大の汚点と言われている部分である。
--「かけら」は全部で8つあるのだが、大海原のどこかの島×8にそのかけらのある地図が隠されていて、その8つの島々に移動して、内部を攻略することで入手できる。
--「針岩の島」のみは例外で、この島のそばにいる黄金の戦艦を倒して得られるのは普通の宝の地図で、これを頼りに「さめ島→再び針岩の島→東の妖精島→大地の島」と宝の地図のイタチゴッコが続いてようやくトライフォースのかけらの地図が手に入る。
--更に手に入れたトライフォースのかけらの地図はある人物に解読して貰わないと使用が不可。その解読には398ルピー×8が掛かり、解読された地図を見て8箇所にある「かけら」を入手するという流れ。当然解読された場所がわからないと虱潰しに探すことに。これが海での移動の長さも相まって、非常に面倒である。ちなみに初期の財布で持てるルピーは200しかないので、財布のグレードを上げないと解読依頼をすることもできない。
---幸い財布をグレードアップしてくれる妖精はストーリー上必ず再訪するプロロ島にもいるため、おばあちゃんを回復させるのに必要な妖精を手に入れるのと同時に行うことが多く、グレードアップし忘れるという事はほぼ起こりえないようになっている。
--なおこのトライフォースのかけら集め、本作プレイヤーの間ではNPCのセリフから「''タライとホース''」と呼ばれている。その作業感から定着した言葉であることは言うまでもない。

-連動機能に関する不備
--ゲームボーイアドバンスとの連動機能を利用することで「ナックル」というキャラクターが出現するのだが、このキャラクターがフィギュアのコンプリート条件に含まれていない。
--それ自体は連動機能が使えないプレイヤーへの配慮と受け取れるのだが、問題はコンプリートしてから出現させた場合。フィギュアをコンプリートするとニテン堂の店主が居なくなってしまうため、ナックルのフィギュアが作れなくなってしまうのである。

-「フィギュア」について
--「写し絵の箱DX」で保存できるのはたったの3枚。登場人物の多いタウラ島では何度も往復しなくてはならない。

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**総評
トゥーンレンダリングによるグラフィック、大海原を中心とした舞台、世界観の変更などこれまでのゼルダシリーズとは一線を画す仕上がりとなっている作品。~
発売前は新たなゼルダの幕開けとしてかなり注目されており、ゲーム雑誌などでも連日一面を飾るなど非常に力を入れていた作品であった事が伺える。~
実際にグラフィックの独特の表現、作りこみの細かさは素晴らしいものがあり、勿論やりこみ要素も従来作に負けず劣らずの多彩さを誇る。~

『時のオカリナ』の後継作としてリアル路線を期待されていた事、アニメ調のグラフィックやコミカルな世界観がゼルダらしくないと評価されてしまった事などから否定意見も根強いものの、本作からシリーズを始めたプレイヤーからは概ね高評価を得ている。~

ゲーム単体としては尻窄み気味の後半パートや、かけら集め等の作業感の強い要素といった見逃せない問題点が散見され、新システムも粗の多い部分が目立つ。~
全体的な出来は良作と呼んでも差し支えないクオリティなだけに、痒い所にしっかりと手が届くように作りこんでいれば…或いは「路線変更による不評を完全に覆してみせた不朽の名作」としての評価もありえたかもしれない。~

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**余談
-このソフトの発売時、予約特典として非売品ディスク『ゼルダの伝説 時のオカリナGC』が配布された。このディスクにはバージョンの異なる2つの『時のオカリナ』とその他当時の新作GC・GBAソフトの宣伝映像が収録されている。
--この異なるバージョンのうち、片方はN64版そのままの内容だが、もう片方は元々64DDで出す予定だったがお蔵入りした「裏ゼルダ」とでも言うべき高難易度バージョンとなっている。通称『時のオカリナ裏』。
--これが原因となり、数量の限られた特典を是が非でも手に入れたいとするファンから任天堂や販売店への問い合わせが殺到したという((この問い合わせの影響か、当初は「数量限定の早期予約特典」であったのが「予約購入者全員への購入特典」に変更された。))。
---また、特典の無い通常版の『風のタクト』が投げ売りされている光景も見られたという。%%ゼルダシリーズファンの業は深い。%%
--なおソフトはケースではなく、説明書のポケットにディスクが仕舞われていた。これが原因かどうかは分からないが、後々クラブニンテンドーにてポイント交換で配布されたゼルダコレクションはディスク1枚にも関わらず、ディスク2枚用のゲームと同じケースが使われていた。

-本作のコミカルな物語が子供達に受けたのか、少年誌で冒険漫画やギャグ漫画などが連載されるようになった。
--否定的な意見もある本作の世界観ではあるが、結果的により多くの年齢層のファンを獲得し、ゼルダシリーズの間口を広げる事に成功したという点は素直に評価して然るべきだろう。

-本作の路線変更に対する賛否両論を受けてか、据え置き機でのゼルダシリーズは再びリアル路線へ戻る事になる。
--リメイク作である『風のタクトHD』と、シナリオのつながりが薄い番外編的作品の『4つの剣+』以外、据え置き機においてトゥーン調の絵を使った続編は発売されていない。
--一応据え置き型のゲームにゲスト出演することはあり、その中には本作風のリンクを操作可能なものも存在している。
//スマブラ、ニンテンドーランド(厳密には仮装したMii)、ゼルダ無双など

-対照的に本作における独特なアニメ絵タッチのアートワークは、携帯機でのゼルダシリーズにおける標準のデザインとして採用された。
--本作とストーリー的に繋がりのある作品として、DSの『[[夢幻の砂時計>ゼルダの伝説 夢幻の砂時計]]』『[[大地の汽笛>ゼルダの伝説 大地の汽笛]]』が発売されている。
--実質的に、携帯機と据え置き機で棲み分けが行われているという形になっている。この二作の評価については、それぞれの頁を参照されたし。

-[[大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ]]では『X』以降、『DX』で参戦していた「こどもリンク」と入れ替わる形で本作のリンクがプレイアブルキャラクターとして参戦するようになった。通常のリンクと区別する関係で名前は「トゥーンリンク」となっている。
//--通常のリンクと比べて動きが速く、剣のリーチが短い、体術を殆ど使わない((リンク空中Nで蹴りをするが、トゥーンは剣を前後に振り回す。ちなみにDXの「こどもリンク」はコンパチなこともあってリンクと同じく蹴り。))という相違点がある。
//ここで解説する必要はない

-本作の特徴として「島移動の際にロードを挟んだりマップの切り替わりが起こったりしない」という点が上げられるが、この特徴は後に『[[ブレス オブ ザ ワイルド>ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド]]』にて、より発展した「オープンエア」という形となって引き継がれた。

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*ゼルダの伝説 風のタクト HD
【ぜるだのでんせつ かぜのたくと えいちでぃー】

※オリジナル版と違う部分のみ記載
|対応機種|Wii U|&amazon(B00DCMOV6W)|
|開発・発売元|任天堂|~|
|発売日|2013年9月26日|~|
|定価|5,700円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
//「見出しと表」の構成部分はそこへの直リンクを張られる場合があるため、ダブってしまいますが分類をつけます。

**概要(HD)
Wii Uに移り、フルHD(1080p)で描画されたリメイク版。アスペクト比も16:9に変更されている。~
画質だけではなく、ゲームキューブ版が持つ問題点の多くに改善・修正がなされており、痒いところに手が届くリメイクとなっている。

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**主な追加要素と変更点・評価点(HD)
-タイトル通りのHD化及び、Wii Uへの対応。
--元々は「Wii UのHD画質はどんな感じか」ということでシリーズ作品をHDで描写してみたところ、『風のタクト』が圧倒的な存在感を放った((「社長が訊く『ゼルダの伝説風のタクトHD』 4.考古学」より))映像となったところから始まっている。
---その言葉に嘘はなく、空や海の美しさはGC版をはるかに上回っている。光と影の明暗がはっきりしたり、海の波の様子が変わるなど、現代の水準でも魅力的といえる映像を実現している。
--Wii U GamePadにより実質的な2画面プレイやTVを使わずGamePadだけでのプレイが可能
--2画面を活用し歩きながらアイテムを持ち替えたり、航海を続けながら海図を見たり、Padを傾けることで直感的に弓矢などの狙いを定める操作が可能になった。従来通りポーズもできる。
-BGMも曲そのものはGC版と同じだが、WiiUにあわせて音を始めとして全て打ち込み直されており、透明度と迫力が増している。
--原典から大きくイメージが変わった曲こそ無いが、比べて聴けば一発で分かるレベルで音が綺麗になっている。

-Miiverseとの連携。
--GBAとの連動であった「チンクルシーバー」に代わり、「チンクルボトル」が登場。メッセージを自由に書き、ゲーム中で撮影した写し絵と共にボトルメールの感覚で海に流せる。流されたボトルは、他のユーザーのゲームに登場し、海に浮かんでいたり砂浜に打ち上げられていたりする。
--これだけでは効率重視のプレイヤーには無視されがちな要素に見えるが、「写し絵を付けられる」という点が重要である。この写し絵は前述のフィギュア製作に利用できるため、倒すともう撮影できないボスや、多額のルピーを払わないと手に入らない写し絵を受け取れる可能性もあるので、見かけたら拾っておいて損はない。
--他人のプレイや攻略情報を読んでいるだけで楽しい、という人もいるだろう。

-航海スピード及び後半の展開の改善。
--船のスピードが2倍になる上、常に追い風が吹くようになる「快速の帆」が追加。
---普通の帆のほうが小回りが効き、任意に切り替え可能。
---サブイベントで入手できるため、そのイベントの存在を知らない人は入手せずクリアしてしまう可能性はある。
--また、航海中は爆弾樽以外で船から振り落とされることがなくなった。
--「トライフォースのマップ」が8枚から3枚に減少。残り5つはかけらが直接手に入る上、マップを見つけてサルベージしたらまたマップ……というたらい回しもなくなっている。

-各種演出の簡略化や仕様変更。
--タクトを振る演出や、かぎづめロープを引っ掛ける演出など、細かな部分が簡略化されており、テンポの向上につながっている。
--写し絵の箱に保存できる枚数が3枚から12枚に増加した上、キャラクターを撮影した際にフィギュア化の可否がその場でわかるようになった。
--さらに、ニテン堂店主は最大12個のフィギュアを一度に作ってくれるようになった。
---これらにより、ニテン堂への往復回数が大幅に減った。
--ムービーは海外版風タクのものを元にしているため、一部演出が国内GC版と異なる。
--ダメージ2倍&回復ハート出現なしの辛口モードが追加。1周目から任意で切り替えることができる。同データでも途中で切り替え可。

-バグの修正。とはいえ元から致命的なバグはない。
--一部のバグ技はやり方は変わったがHD版でもできるものもある。ただし実行してもゲーム上特に利点はない。

**問題点(HD)
-チンクルシーバーの削除。
--GC版では各地のダンジョンにてアイテム「チンクルシーバー」によって得たヒントを基に、何もないくぼみなど怪しい場所で爆弾を使うと「チンクル像」が手に入り、5つ全てを集めるとチンクルの弟「ナックル」が出現するというイベントがある。
--このイベントはHD版でもあるのだが、GC版ではチンクルシーバーによってヒントが得られたのに対し、HD版では全くのノーヒントである。
--これだけならまだいいのだが、ナックルのフィギュアはフィギュアコンプに必須となったため、攻略情報がなければ完全な収集プレイはほぼ不可能といえるだろう。
--チンクル像の位置はGC版から変更されていないため、代わりの機能であるチンクルボトルで情報を交換してくれということなのだろうかと思われるが、Miiverseのサービスが終了した現在では厳しい。

-ダンジョン等の大きな追加要素はなし。
--本作そのものの問題点ではないが、GC版で入れることができなかった2つのダンジョンが本作で収録されるのでは?と期待されていただけに残念がる声は少なくなかった。
--没ダンジョンの仕掛けをシリーズの後発作品で既に使用している為、改めて拾う必要性がなくなったというのが理由とのこと。

**総評(HD)
総合的には、GC版の問題点の多くを解消した良リメイクであると評価できるだろう。~
ただしボリューム面では大きな追加要素はないので、クリア済みの人にもう一度同じ作品を買わせる程のパワーがあるかは微妙な所。~
風のタクトをプレイしたことがない人、或はGC版を途中で諦めてしまった人には迷わずお勧めできる一作である。