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アンジェリーク - (2021/03/24 (水) 22:20:55) のソース

*アンジェリーク
【あんじぇりーく】
|ジャンル|ネオロマンスゲーム|CENTER:&amazon(B000068I51)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|発売・開発元|光栄|~|
|発売日|1994年9月23日|~|
|定価|10,290円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|

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#contents(fromhere)
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**概要
女性だけでメンバー構成されたチーム、ルビーパーティによる、「女性向け恋愛ゲーム(乙女ゲー)」の草分け的存在。~
発売当初はさほど注目されておらず、基本的に読者は男性という意識が強かった当時のゲーム雑誌でも殆ど取り上げられなかった(話題になった後で「なぜ人気が出たのか」特集記事を掲載した雑誌があったほど)が、ツボを抑えた演出の数々や後述する初心者への配慮などから徐々に人気を獲得し、シリーズ化もされた。~
日本のみならず、世界初の「女性向け恋愛ゲーム」である。~
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**特徴
-大陸の育成(女王試験)
--宇宙の女王候補として選出された主人公とライバル・ロザリアに与えられた役目。これを期限内に成し遂げることで「星の女王」としての試験に合格したことになる。
--はじめは何もない平地だが、守護聖様に「育成」を頼むことで建物が生まれる。適当にやっていればいいわけではなく、土曜日に大陸を視察しに行って望まれている力を知る必要もある。また、逆に「妨害」を頼むことで相手の建物を減らせる。
--「人口を増やし建物を建てて…」という一連の行動は光栄の代名詞となった得意の歴史SLGに近い流れでもある。

-守護聖様
--主人公は基本的には無力で平凡な女子高生なので、星の守護者であり精霊的存在(正確に言えば「星を守護する力を宿した人間」であり、代替わりも行われることがドラマCDなどで詳しく描かれている)でもある彼らの力を借りて大陸を育成していく。
--いわゆる恋愛対象。光・闇・炎・風・水・緑・鋼・地・夢の属性を司る9名がおり、年上から同年代・やや年下まで一通りそろっている。
--最初は主人公のことを女王候補としてしか見てくれなかったり、今でいう塩対応をされることもままあるが、育成を何度もお願いしたりすることで徐々に親密度が上がっていくなどの要素がある。
--ただし、彼らとの恋を成就させた場合、主人公は女王争いを放棄してしまう。逆に女王としての資質を示し「星の女王」となった場合、彼らと結ばれることはなくなる。~
つまり恋を取るか役目をとるか、という大きな選択を設けているのである。~
これは''「男の子は地球や宇宙を救うことが勝利だと思うのだろうが、星の一つや二つ滅びても好きな人と結ばれたら勝利なのが女の子だ」''というゲームが作りたかったからだという。

-相性と新密度
--ゲーム開始時の誕生日などの選択によって相性が決まり、それによって親密度の上がりやすさが変化する。
--ロザリアとの間にも相性はある。彼女も同様に守護聖様と個別の相性設定があるので、「妨害を頼んだが断られた」ということも起こる。
--守護聖様との親密度が一定値を超えていると、頼まなくても大陸に力を送ってくれることもある。

-マルチエンド
--大陸の育成を終えてライバルに勝ち、女王になるのが本来の目標なのだが、前述したように守護聖様との恋を取ることも可能。
--女王試験に敗れたとしても主人公・ライバルいずれかの女王補佐に勤めるか、立場を降りるかの選択も出来る。
--女王試験に決着が付くか、恋を取るかでエンディングを迎えるのだが、エンディングの一枚絵もキャラクター毎や立場毎に事細かに用意されている。

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**評価点
-徹底したゲーム初心者への配慮
--名前入力の段階で既にヘルプがあり、さらに画面右上に使用するボタンが図説されているという丁寧さ。
--また、チュートリアルにあたる初日のパートも非常に丁寧に解説してくれる。
--ゲームデータの保存から”力”の使い方まで、取説なしでも理解できるくらいに噛み砕いて教えてくれている。

-少女マンガを最大限になぞらえた展開
--最初はツンケンしていた守護聖様が、少しずつ仲良くなるにつれて言葉や表情が柔和になっていく姿や「恋愛と使命」の間で揺れ動く気持ちなど、ルビーパーティの「わかっている」演出が光る。
--ライバルのロザリアも「パッと見はいかにもな高飛車お嬢さまタイプだが、実は憎みきれない」というよく出来たバランス。
---ちなみに彼女は「優等生」という設定に反して、かなり育成がヘタである(「彼女を女王にする」というのがユーザーのやりこみプレイになるくらい)。そのため「敵」という感じがしないのも大きな一因だろうか。
--そして守護聖様自体の人気も凄まじく、現在でもイベントが開かれているほど。設定上は可能なのに、シリーズが進んでもキャラの入れ替えが起こらなかったのも頷ける。
---特に人気を誇ったのは闇の守護聖・クラヴィス様。その後の展開で美形声に定評のある塩沢兼人氏が声を演じたこともあって、その人気はまさしく不動のものに。

-グラフィック
--由羅カイリ氏のデザインしたキャラクターは繊細にして麗しく、少女マンガ特有の「華やかさ」を見事に表現している。
--そのデザインが最大限に活かされた、必見すべき点はセリフパートとエンディングの一枚絵。
--SFC中期の作品でありながらグラフィックの描きこみ具合は半端なく、キャラクター毎に事細かに描かれておりかなり気合の入ったものとなっている。
---更に言えばエンディングの一枚絵が秀逸で、画面の殆どをグラフィックが占める。女王試験に決着が着いた後の一枚絵から、各守護聖様の一枚絵もきちんと用意されており、さながら少女漫画(アニメ)のクライマックスを飾るかの如く美しい。これに惹かれた少女(及び、かつて少女だった世代)も数知れなかったとかなんとか。
---ちなみに、資料集のスタッフインタビューでも「ライバルとの女王争いというシチュエーションは70年代アニメ『魔女っ子メグちゃん』がモデル」「(当初想定していた)ゲーム初心者の女の子よりもプレイヤーの年齢層が高かった(自分達と同世代の人たちが共感してプレイしてくれた)のは驚きだった」と語られている。

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**問題点
-フィールドパートのグラフィックはそれほど褒められるものではない。

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**総評
「女性向け恋愛ゲーム」というジャンルそのものを根付かせた功労作で、光栄の大きな転換点のひとつ。~
この作品以降、各種メーカーから同ジャンルの後発作品が数々発表されたことからもその影響力が窺える。~
その後ネオロマンスゲームのシリーズは、ボイス付で様々なハードへと展開していくことになる。~
中には「連動するCDを再生させることで擬似的にボイスをつける」という珍品も。~
その後豊富にリリースされていく女性向けゲームと比べても遜色のない出来であり、乙女ゲーに興味があるなら是非ともプレイしていただきたい。