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スターフォックス アドベンチャー - (2024/02/26 (月) 09:59:11) のソース

*スターフォックス アドベンチャー
【すたーふぉっくす あどべんちゃー】
|ジャンル|アクションアドベンチャーゲーム|&amazon(B00006FRAR)|
|対応機種|ニンテンドーゲームキューブ|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|レア|~|
|発売日|2002年9月27日|~|
|定価|7,140円(税5%込)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|スターフォックスがゼルダ風アクションゲーム化&br;終始全体的に説明不足&br;&bold(){第三の試練}の悪夢&br;任天堂とレア社のタッグの現状最終作|~|
|>|>|CENTER:''[[スターフォックスシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
スターフォックスシリーズの3作目だが、シリーズ全体としては番外編的な位置づけ。~
当初は『ダイナソープラネット』というニンテンドウ64向けオリジナルゲームとして開発されていたが、GCに移行するに当たりスターフォックスのキャラクターを使用することとなったという経緯を持つ。この為、非常に長い延期期間を経て発売に至った。

開発は『[[スーパードンキーコング]]』シリーズ等で知られるレア社。そして本作の後、任天堂とレア社の提携が切られてしまった為((同時期に任天堂の保有するレア社の株式がマイクロソフトへ売却されたことにより、レア社はマイクロソフトの傘下会社となった。))、本作が数々の名作を生み出してきた任天堂とレア社のタッグの現状最終作となっている。

**ストーリー
>フォックス・マクラウド率いるやとわれ遊撃隊「スターフォックス」が、ベノムの暴君・アンドルフの反乱を阻止してから8年後。~
メンバーの一人、ファルコ・ランバルディが姿を消すなど、チーム内に多くの変化が起きつつも、目立った仕事もなく当てもなく銀河の中を漂う生活が続いていた中、ペパー将軍から待望の仕事の依頼が届いた。~
依頼の内容は、「ダイナソープラネット」なる恐竜の惑星で起きた謎の異変の調査。~
フォックスは事の詳細を一通り聞いた後、すぐさま愛機アーウィンへと搭乗し、ダイナソープラネットへと向かう。~
果たして、異変の原因とは…?

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**特徴
-フォックスの冒険を彩る様々な要素
--本作は様々なアイテムを駆使し、時には敵と戦い、時には謎を解くことで先へと進んでゆく…つまりバッサリ言ってしまえば3Dアクションのゼルダシリーズである。ここではそのような本作独自の要素を幾つか紹介する。
-''クリスタルスタッフ''
--本作の物語は、ダイナソープラネットの調査に訪れたフォックスが「クリスタルスタッフ」という杖を手に入れたことから始まる。
--「スタッフ」と言うからには「杖」なのだろうが、何故か一貫して「棒」と訳されている。
--クリスタルスタッフは攻撃や防御といった基本的な行動の他に、冒険を進めると魔法を使用することも可能となる。
--クリスタルスタッフで使用できる魔法は全部で7種。大まかには「ヒートブラスト」「アイスブラスト」のように主に攻撃に使用するものと、「ハイジャンプ」のように主に仕掛けを解くために使用するものに分かれる。ただし例えば「ヒートブラスト」は遠隔スイッチを押す際にも使用するので、この区分は便宜的なものだという事に注意して頂きたい。
-''トリッキー''
--本作に於けるフォックスの相棒。
---ダイナソープラネットに生息する恐竜たちの種族の一つ「アソーカ族」の王子。小型のトリケラトプスのような見た目をしている。冒険好きで勇敢だがまだ幼く、フォックスに迷惑をかけることも多い。
--専用のコマンドで簡単な動作を命令できる。例えば穴を掘らせて地中のアイテムを掘り出したり、フォックスの代わりに床スイッチの上に立たせるなどして活用する。
---冒険が進むと火が吹けるようになる。松明に点火したり、攻撃に転用したり出来る。
---5つの青キノコメーターがあり、これが全部なくなる(=空腹)と上記の専用のコマンドが発動できなくなる。青キノコを食べさせると再び発動可能になる。ちなみに空腹時には「Fox!I'm Hungry」と喋る。
---稀に突然笑い出す。
-''スペルストーン''
--本作に於ける冒険の大目標。惑星の要であった4つのスペルストーンがスケール将軍により持ち去られた為、ダイナソープラネットは分裂を始めた。本作ではこれを取り戻し、それぞれのフォースポイントに収める必要がある。
-''クラゾアスピリット''
--本作に於ける冒険の大目標その2。惑星の守護神クラゾアの分裂した魂で、それぞれ「試練の館」を突破することで手に入れることが出来る。これらを全て集め、クラゾア宮殿に収めることも惑星復活の重要なカギとなる。

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**評価点
-アクション性
--カメラワークが快適で見やすい。戦闘もフォックスのかっこいいクリスタルスタッフのコンボ技を拝むことができる。
--3Dのゼルダシリーズにおける「Z注目」に似た機能があり、本作ではクリスタルスタッフを構えている間は自動で敵や物に注目する。
---ただし、スルーしたい敵がいる場合にスタッフを構えていると自動で注目してしまうため、その都度クリスタルスタッフをしまう行動が必要。

-爽快感
--敵を攻撃した際の感触や、謎解きをクリアした時、乗り物で敵を追いかけるシーンの疾走感などがとても良い。

//-プレイ時間
//--一周10~20時間程度と薄くもなく厚過ぎもしない程度のボリュームであり、一部を除き詰まる場所もほとんどない為、快適かつ飽きのこないプレイが可能。
//削除理由:確かに薄すぎず厚すぎないボリュームだが、普通にプレイしていれば詰まりやすい場面が多く、徒歩移動しか無く快適とはいえず、それに加え単調な戦闘が続くため、飽きが来ないとは言い難い。

-グラフィック
--64期から開発しているという点・GCとしては初期に発売された本作だが、かなり美しい。今作では動くフォックスが楽しめる上に、フォックスのフサフサした尻尾の毛や、動物ながら豊かな表情や挙動をするカットシーンなど当時としては高いクオリティを誇っている。

-魅力的なキャラクター
--元々は別のゲームのキャラとして企画されていたにもかかわらず、本作登場後にスターフォックスに正式加入するまでに至ったクリスタルをはじめ、会話可能な多数の恐竜たち、よく通うことになる店の店主であるシャブンガ、ワープ魔人、相棒のトリッキー、本作の強敵であるスケール将軍など、本作のキャラクターはプレイしている人ほど印象深いものが多い。フォックス自身も会話などで多彩な反応を見せてくれる。
//---余談だがクリスタルの色気は本当に凄い。「キツネである(つまり人間でない)」という事を最大限に活かしており、普段着がブラジャーとフンドシという過激っぷりでクラゾア宮殿で初対面したフォックスも桃色じみた視線を向けている。
//--フォックスを特定の場所にワープさせてくれるが、手土産を持っていない相手には愛想が悪い「ワープ魔人」や、値引きし過ぎると露骨に嫌な顔をする「シャブンガの店」の店主「シャブンガ」等、脇役キャラも曲者揃い。名前すらないモブキャラであっても、非常に強い印象が残るキャラも。
//改訂理由:ワープ魔人やシャブンガは最序盤に出てくるキャラクターであり、他のキャラクターも十分印象に残る。が、非常に強い印象が残ると言った表現は過剰である。また、クリスタルの色気については前の編集者の好みであるため削除でいいと思う。

//-動くフォックスを楽しめる
//--従来の「スターフォックスシリーズ」はシューティングゲームであり、今までは機体に乗っているキャラクター達が生身で動くシーンは「スターフォックス64」のオープニングやバトルモードのみだったが、本作はシリーズの枠をアクションに変えた事で、生身の動くフォックスという従来のシリーズでは不可能だった要素を持たせる事に成功している。
//削除・改訂理由:今までキャラクターたちが生身で動くシーンは全くなかった、というが、スターフォックス64ではオープニングやバトルモードでちゃんと動いている。また、上記のグラフィックと内容が若干重複するため統合し削除。
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**問題点
-全体的に説明不足。
--本作はシナリオやゲームシステム等、あらゆる点に説明不足が目立つ。
--例えばクリスタルスタッフの入手シーン。クリスタルが「クリスタルスタッフの力を試すのです!」と言ったきり、何の説明もないままフォックスはいきなり戦闘に放り出されてしまう。
---実はクリスタルスタッフには3通りのコンボが存在し、そのどれで倒すかによって敵のドロップするアイテムが変わる、という重要な戦略的要素があるのだが、ゲーム中では一切説明されない。
--シナリオも説明不足が目立つ。例えばクラゾアスピリットを集める理由についてだが、「何故クラゾアの力が必要なのか」という話が出るのが''4つのスペルストーンを集め終わった後''。ゲームの終盤も終盤であり、''その時点でプレイヤーは既に6つのクラゾアスピリットのうち4つは集め終わっている''というタイミングとなる。話のタイミングがいくらなんでも遅すぎる上に、まともな説明もないまま訳も分からずクラゾアスピリットを集めさせられるので、良い気分はしない。
---しかも前半でクラゾア本体の魂がフォックスと直接会って会話をしているのに、肝心なところを説明せず、クリスタルの救助依頼とチュートリアル的な説明をしただけでどこかへ行ってしまう。結局「何故クラゾアの力が必要なのか」という話も恐竜たちとの会話で発覚することになりクラゾア自身からの説明は最後まで無し。なんとも無責任な守護神である。
--他にも冒頭で「なぜファルコがいないのか?」といった、むしろファンなら最初に気になる部分も無視して話が始まる。
---一応、ファルコのチーム離脱に関してはゲーム雑誌『ニンテンドードリーム』と公式サイトの漫画「さらば愛しのファルコ」にて補完されている。同漫画は『64』の後日談であるのだが、よりにもよって本編に深く関わる情報をここで説明されても大半のプレイヤーの目に留まったか怪しい。せめて説明書に記載すべきであろう。
--更に、本作のクライマックス部分も全く説明が足りておらず、いわゆる「超展開」の類になってしまっている。
#region(シナリオネタバレ有り)
--最後の試練の館に入ると、そこには事件の元凶スケール将軍が待ち構えているのだが、いざ戦闘に入りスケール将軍を攻撃しようとすると戦闘は中断され、スケール将軍は''突然死んでしまう''。
--更にその後、本作の真の元凶はクラゾアの背後に居た&bold(){アンドルフだった}と判明するのだが、この展開も唐突過ぎて訳が分からない。何故アンドルフはクラゾアスピリットを全て解放させたのか、そもそもアンドルフは『64』で死んだのではなかったのか、''何故クラゾアの像の後頭部にアンドルフの顔が付いているのか''等、様々な謎が一切解明されることなくそのまま話が終わってしまう。
--このアンドルフとの決戦の際、スターフォックスを離脱していた&bold(){ファルコが援護してくれる}という傍から見れば熱い展開になるのだが、やはり唐突な上、ここまでずっとプレイしてきたプレイヤーは&bold(){もはやファルコの存在を忘れる。}
---グレートフォックスに帰還したフォックスが事件の顛末を報告しても、ペッピーやペパー将軍も「またアンドルフだったなんてな」という非常に軽いノリで済ませてしまう。例えれば毎度マリオに倒されるクッパのような扱いである。
---アンドルフが自身の複製を作って「復活」できる点も「さらば愛しのファルコ」で触れられていたのだが、やはりマニアックすぎてプレイヤーの目に留まっていたか怪しいところ。
---一応、アンドルフの目的・復活の仕組みについては、エンディングでのフォックスの台詞・後述の隠しメッセージにて触れられてはいる。
#endregion

-やや肩透かし気味な展開。
--本作は4つのスペルストーンを集めるという大きな目標があり、4つのエリアが存在することから、ゼルダの伝説のように4体のボスと戦うことになると想像に容易いが、実際に戦うボスは3体。2つ目のスペルストーンは雑魚敵とのレース勝負で手に入る。
---ちなみにこのレース勝負は&bold(){追突して相手のバイクをクラッシュさせれば勝ち}という斬新なルール。
---序盤にも似たようなレース勝負の場面があり、そちらは普通に追い抜けばクリアだったが、2回目のレース勝負はコースがループするため、追い抜いても意味がない。その上バイクに耐久値があるため、永久に走行は不可能。
--スペルストーンは4つだが、個性的なスペルストーンが1つずつあるのではなく「火」と「水」のスペルストーンがそれぞれ2つずつあるだけ。
---スペルストーンを収める「フォースポイント」も、それぞれに対応した「火山」と「海」に2回ずつ行くことになる。
---ただし1回目と2回目に違う仕掛けを通ることになり、全く同じことを繰り返すわけではない。しかし帰りは毎回&bold(){徒歩。}
--クリスタルも発売前情報だとダブル主人公のように見える演出だったが、実際は冒頭で「燃料バレルの持ち運び&投擲攻撃」というチュートリアル的なステージをクリア後すぐ捕まってしまい、終盤まで出番はない。
---事実クリスタルは、フォックスに置き換えられる前の主人公だった「サーベル」というキャラクターとのダブル主人公の予定だった。サーベルに対するトリッキーのように、クリスタルにも相棒としてクラウド族の王女が設定されていた。また、今作の強敵キャラであるスケール将軍も『ダイナソープラネット』から引き継がれたキャラクターである。

-戦闘の爽快性がない。
--最初のうちはクリスタルスタッフのコンボ技が気持ちいいのだが、基本的な戦い方は後にも先にも変わらないので単調になってくる。序盤のうちはいいのだが、ゲームの中盤になるとHPの高い敵キャラが登場するので、更に単調な戦闘が増えてしまう。
--魔法攻撃はあるものの、ヒートブラストは敵に対しての命中率が低く、アイスブラストは敵に対して長めに当てないと効果がなく、クェイク系は発動までが長いので、結局クリスタルスタッフのコンボ技に頼らざるを得なくなる。
--一部飛行する小型の敵の迎撃が難しい。
---けたたましく笑いながら上から襲いかかってくるため、プレイヤーをイラつかせる要素である。
--説明はされないがクリスタルスタッフ使用中にRボタンでシールドを張ることができる。このシールドは魔力を必要とせず、張っている間は&bold(){永久に無敵。}
---ただしシールド張っている間は攻撃と移動ができない。
---また、狭い通路を転がる玉を避けながら進むような場面では回避用の窪みが用意されているが、わざわざ窪みに逃げ込まなくてもシールドで凌げてしまう。

-全体的にプレイヤーの腕頼みの謎解きが多い。
--本作の謎解き場面ではそこまで頭を使うパズル系の謎解きは少なく、寧ろプレイヤースキルに頼る類のものが多い。特定の場所だけで必要な操作をしなければならない、いわゆる「ミニゲーム」をやらされる。
--例えば「リングを時間内に全てくぐる」という&s(){[[どこかで見たような>https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/3091.html]]}
タイムアタックや、ひたすら連打が必要なミニゲームなど。つまりプレイヤーの腕が全てであり、対策を立てようがない為、出来る人はすんなり出来るが出来ない人はいつまでも同じところで詰まっているという事態に陥りやすい。しかもノルマが無駄に厳しかったり判定が妙にシビアなものが多い。
--その極め付けが「第三の試練」。ゲージの内部をバーが往復し、時折バーが振り切れようとするのでスティックを逆に入力してそれを必死にゲージ内に留めるという試練なのだが、''多くのプレイヤーがここでこのゲームを投げた程に、異常に難易度が高い''。バーの動きは決まっているとは言え、基本的にバーの動きが異常に速く、右に強く振った次の瞬間に左に振れるといったことも珍しくなく、正直クリアできるかどうかは反射神経頼りと言った所。ちなみにクリアまで''きっかり60秒も''ある。
---しかも他の試練と同様、''試練に失格するとその都度、試練の館の入口に戻される''。再挑戦する度に館の最奥のクラゾアスピリットの元にたどり着かなくてはならない。さらに途中の回復アイテムが復活しないため、毎度慎重に進む必要がある。
---因みに「試練の館」で詰まり易いのはここのみ。第四以降の試練は寧ろ簡単であり、何故ここだけこれ程難しいのかは全く分からない。
---この試練の館に行く前のエリアでも「左右に振れるバーがゲージ内に入っているタイミングでボタンを押す」という似たような感じのミニゲームがあるのだが、こちらもバーが速すぎるうえに判定が無駄にシビア、しかも一回失敗するたびに演出がやたら長い、とどうもバー関係のミニゲームには難がある。
---ただし「タイミング」のゲームではミスをしてもフォックスが一定ダメージを受けるだけであり、数回ミスをしてもクリアできる。一方で「第三の試練」では一瞬でもバーがズレると即座に失格で、入り口からやり直しというもはや拷問に近い苦しみを味わうことになる。
---ミスして再挑戦するたびに前後のムービーが再度流される。''イベントシーンのムービーや会話をスキップできない''ことがミニゲーム系の操作が苦手なプレイヤーのストレスに拍車をかける。

-無駄にマップが入り組んでいる。
--ダンジョンやフィールドが複雑なのは良しとしても、シャブンガの店のような''買い物をする店まで迷路のように入り組んでいる''。
--しかも本作の移動手段は基本的に徒歩であり、ひどい時にはダンジョンをクリアした直後、[[同じ道程を逆戻りさせられる>https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/2791.html]]。ファストトラベル系の機能は無し。
---明らかな「ダンジョン」ならともかく「単なる通り道」にすぎないような場所も無駄に入り組んでいたり、ハシゴを何度も上り下りするような構造になっている。
---さらにダンジョンクリア後の帰途にスリッピーが「フォックス、まだそこかい?」という悪態をさらっと吐いてくる。

-スターフォックス要素と本作に元々存在した要素の整合性が取れていない。
--&bold(){「ダイナソープラネット」というゲームに「スターフォックス」の要素を無理やりねじ込んだ}のだから当然とも言えるが、完全にスターフォックス要素が浮いている。
--まず本作の世界観はギリギリSFとも呼べなくないが、「魔法」や「霊魂」が普通に登場する事に違和感がある。壮大なスペースオペラを描くスターフォックスの世界観とは少なくとも合ってはいない。
--本作の舞台となる「ダイナソープラネット」は言語能力が発達した恐竜達が支配する惑星と言う事になっているが、恐竜達の造形も総じて『[[ぼくらはカセキホリダー]]』程度のデフォルメ化しかされていないリアル調の上に、文明レベルも紀元前か紀元後か程度に近い惑星であるせいで違和感を禁じ得ない。対する本来のスターフォックスの世界観は「擬人化された動物キャラクター達によるスペースオペラ」と言う体裁である為、リアル調の動物(恐竜)キャラクターと人間に近いデフォルメを加えられた動物キャラクターが混在していると言う非常に噛み合わない物となっている。
---また、ダイナソープラネットの恐竜もジェット噴射機のついたSF要素のあるアイテムを使ったり、盾や棍棒や鎧を装備している為、これらの恐竜キャラクターとあまりデフォルメ・擬人化のされていない恐竜が混在している。
---スターフォックスと言うよりはドンキーコングや、クラッシュ・バンディクーのようなバリバリの洋物デザインである。
--舞台が原始の惑星である弊害で未来文明を舞台としたスペースオペラが売りだった本家スターフォックスの世界観があまり生かされておらず、ゲーム中では代わり映えしない原始的な惑星をひたすら歩き回る事になってしまう。そもそも、ダイナソープラネットがスターフォックスの舞台となる恒星ライラット系に含まれているかどうかすら設定的に曖昧であり、後にダイナソープラネットから惑星サウリアに改名された事からするとコーネリア軍と同盟を結びダイナソープラネットはライラット系の一部になったと言う事なのだろうか。
--加えてフォックスが近代的武器を使用しないことにも違和感がある。今作よりも前に『64』の隠し要素でバズーカーを携え、更に『大乱闘スマッシュブラザーズ』でもフォックスがブラスターを装備しているので、アクションゲームになった今作でもブラスターのような射撃武器を使える((中には「リフレクターやファイアフォックスも実装される」と期待した人も多いのでは?))という期待を持ったプレイヤーもいることだろう。序盤でフォックスがペパー将軍にブラスターが支給されない理由を尋ねているが、「今回はあくまで破壊ではなく調査だから」という理由で&bold(){結局最後まで支給されなかった。}つまりどんな危険があるかも分からぬ未知の場所を全くの丸腰((クリスタルスタッフを使わせる予定だったのかもしれないが、調達方法は説明しない))で調べろというのである。ちなみに本来ならそもそもフォックスが強大な敵に対して生身で立ち向かう必要は全くないのである。''ランドマスターはどうした?''
---また、フォックスが拾った直後からすぐクリスタルスタッフを使いこなせる理由もよく分からない。傭兵なので事前に棒術に長けていても不思議ではないが「スマブラ同様にパンチやキックではダメだったのか?」と感じ得ない。実際にペパー将軍のセリフも「敵に襲われたらパンチやキックで撃退しろ」「戦わずに逃げろ」と解釈されかねない。
---クラゾア宮殿へは何故かアーウィンで向かうことはできないが、終盤では無条件にアーウィンで直接着陸している。
--フォックスの仲間たちも惑星に降り立つなどせず、グレートフォックスから顔だけ見せながらナビゲートするだけである。
--そのためろくに道具を持参しなかった惑星に来たフォックスが放ったらかしにされ、普段の武器や道具があれば即座に解決できる問題を、苦心して道具を現地調達しながら進むような展開になってしまっている。
---なまじスリッピーが道具を「転送」してくる場面が少しだけあったりするので、尚更放ったらかし感が強い。ちなみにこの場面はこのゲーム特有の説明不足が輝いており、&bold(){アイテム取得演出が無いため転送されたかどうか気づきづらい。}
--ステージ間の移動がアーウィンを使ったシューティングゲームになっている点は辛うじてスターフォックス感はあるのだが、そのクリア条件も「ゴールドリングをくぐった数」であり、ここで得たスコアは関係ないという「なんちゃってシューティング」なので、これもあくまでオマケ程度のミニゲームと化している。ユーザーが求めていたものを履き違えている感がある。
---そもそもゴールドリングは元々回復アイテム兼シールド上限アップアイテムであり、このゴールドリングを何故くぐらなければいけないのかの理由や説明はもちろん無い。
---アーウィンの操作自体は良好(ただしチャージショットが無くなっている)。トリガー押し込みでのローリングなどは次作の『[[アサルト>スターフォックス アサルト]]』でも引き継がれている。

#region(ネタバレ有り)
--ちなみにラスボスであるアンドルフ戦において、吸い込み攻撃時に特定のアクションを行わなければ先に進めないのだが、それが何かというとまさかの&bold(){ローリング}である。前作では吸い込み攻撃にはブレーキを使うかボムを投げ込めば食べられずに済んだのだが、今作での吸い込み攻撃に&bold(){ブレーキはなんと効果がない。}何故ローリングなのか…。
#endregion

--割れてしまったダイナソープラネットの別部分へ移動するには上空に「ゲート」なるものを開かなければならないのだが、アーウィンで宇宙空間を通って移動しているにもかかわらずゲートがなぜ必要なのか説明されない。
---一方で住民のクラウド族(翼竜)が生身でゲートに飛び込んで別エリアに移動している描写があり、これもフォックスのアーウィン移動と矛盾している。
---元々『ダイナソープラネット』にあった何らかの遠距離移動手段を無理やりアーウィンに差し替えた名残なのだろうか…。

-その他作りが粗い点。
--シャブンガの店での買い物の場面では「値引き交渉」が出来るが、この値引き交渉ができる旨の説明は一切なし。ちなみに通常の2倍の金額をかけて商品が買えるが、いわゆるまとめ買いにはならないので結果的に損するだけである。
--ストーリー終盤は一方通行となる。第五の試練を突破した後にアーウィンに乗ってダイナソープラネットに向かうと強制的にクラゾア宮殿に着陸してしまい、「ソンテイルの里」を始めとした今まで行くことができていたマップに二度と行けなくなる。その時点で分裂した地形といったダイナソープラネット以外の場所は「×」と表示されて行くことができないので実質行く場所を強制されることになる。加えてクラゾア宮殿に着陸した後にアーウィンに近づいても乗り込むことができず、他の場所に行くことができない。
---さらにイベント後にアーウィンを操作する場面でセーブをすると、再開が"イベント→アーウィン操作パート"で固定されてしまい、生身で探索することすら不可能になる。もっとも、先述の一方通行のせいでクラゾア宮殿を歩き回ることしかできないが。
---トリッキーとのボール遊びや後述の井戸にメダルを投げ込んで裏情報を聴く隠し要素も楽しむことができなくなるため、それらを楽しみたい人は第五の試練突破前のデータを残しておくこと。
--分裂した4つの地域のうち、1つは2回訪れることがあるのでいいが、残りの3つの地域に関してはスペルストーンを入手してしまえばストーリー上、再度訪れる必要はない。しかし「ダークアイス鉱山」と「クラウド城」はスペルストーンを入手するとアーウィンを降りてしばらく歩いた場所で門が封鎖されており、それより奥には二度と入ることができなくなってしまう。
---その影響によりフォックスの手助けをしてくれたベリーナ、クラウド女王、グレッグ((クラウド城でフォックスと共に捕らえられていたパワールームキーをくれる恐竜。ウインドリフトが動いた後に彼の元へ行くと自分が何者なのかを教えてくれるイベントが発生するが、必須ではないため見落とした人も多いのではないだろうか。))といった恐竜たちには二度と会うことができない。
--一方で「ドラゴンロック」にはそういった封鎖されている箇所がなく、普通に探索することが可能。しかし再度訪れてもそこにいるのは最初に捕らわれていたアソーカ族のみ。ドラゴンロックには3匹の恐竜たちが捕らえられており、流れでハイト族とクラウド族も救出するのだが、クリア後はどこを探してもその姿はない。''残りの2匹はどこ行った?''
---その残ったアソーカ族もこれまでの出来事を忘れてしまったかのように「ひと暴れといこう」としか話してくれない。
//---このように封鎖するにしても開放するにしても中途半端なものとなっている。とはいえ、先述の一方通行により二度と訪れることができなくなるわけだが。
--OPに「フォックスが衝撃波を繰り出してレッドアイ族を転倒させる」というシーンがあり、初見でグランドクエイクを撃ち込んで騙された人は多いだろう。
---実際はウォールドシティで仕掛けを解いて強化したスーパークエイクを撃ち込まなければならない。つまり初見撃破不可能。
--通貨「スカラベ」を集めるのが割と面倒。クリスタルスタッフで石を持ち上げる(Aボタンの連打が必要)と、石の大きさに応じてスカラベが飛び出てくる。ただし重い石はそれなりに持ち上げるのに時間がかかる。
---にもかかわらず、アイテムを買うイベントが頻繁に起こる。
---一応、ソンテイルの里とシャブンガの店を往復してスカラベを短時間で稼ぐ方法は存在する。
--本作の仕掛け・謎解きは多岐に渡っているが、何故か「爆弾(のようなもの)で壁を壊す」という謎解きが異様に多い。
---また、序盤から出てくる「投げて爆発」させる円筒形の物体が「爆弾」ではなく一貫して「燃料バレル」と呼ばれているのだが、燃料補給に使う要素はなく、なぜそこまで燃料バレルにこだわるのか謎である。
--レア社製なので''全編英語ボイス''。英語を話すフォックス達を受け入れられるかどうかは人による。また、『アサルト』でフォックスの声優が里内信夫氏から野島健児氏に変更された理由には、今作での声が影響している様子。
---日本版では英語ボイスに日本語字幕となるが、日本語字幕がかなり大雑把な意訳。意訳でもいちおう必要な会話は成立するようになっているが、中には丸っきり字幕が省略されている台詞さえある。
---設定上、シャブンガを除く恐竜達は「恐竜語」を話している。翻訳システムが未完成なゲーム序盤に、フォックスが恐竜達とのコミュニケーションに苦心する場面もある。翻訳システム完成後は恐竜語が英語で聞こえるようにようになるが、何故かクリスタルの台詞だけシステム完成後も恐竜語のまま。しかし何故か最終シーンには英語になる。&bold(){いつどこで覚えたんだ?}
---クリスタルは水晶に閉じ込められた状態でテレパシーで話しているので「翻訳システムを通していないから」という解釈もできる。それならば最終シーンで英語になる点とも辻褄は合う。~
しかし恐竜語を話せないはずのフォックスが言葉を理解できている点とは矛盾してしまうため、結局何語を話しているのかハッキリしない。
//何故かクリスタルのみ最後まで恐竜語で話す。
//↑最後だけは何故か英語で話していました。
---キャラの性格もアメリカンナイズされており、従来とは性格がやや異なっていたりも。厳格で寡黙だったペパー将軍はジョークを交えて雄弁に喋るフランクな性格になっていたり、子どもの恐竜トリッキーにからかわれたフォックスが「このガキ」と言ってキレたりするなど、シリーズ経験者は違和感を覚える事だろう。
//↑レア製(英国)なのに「アメリカン」でいいのでしょうか?
---調子の悪いジュークボックスを蹴飛ばす乱暴な一面を見せるスリッピーにプレイヤーは驚くことだろう。
--ジュークボックスで今作に収録されているBGMを聴くことができるが、結構な頻度で横にいるスリッピーの指パッチンの音が入る。&bold(){ハッキリ言って邪魔である。}
--隠し要素の一つに「井戸に専用のメダルを投げ込み裏情報を聞く」というのがあるが、何枚目のメダルかでメッセージが変わるのに1度ずつしか聞けないので不便。
---聞いた情報をまとめるファイルなどもない。何度も聞きたければ直前にセーブして聞いたらリセットするしかない。
--ダイナソープラネットが元通りになった後の恐竜たちの描写不足について。

#region(終盤の展開のネタバレ有り)
--アンドルフを倒し、クラゾア宮殿に戻るとスケール将軍の支配から解放されたシャープクロウ族たちが大喜びし、フォックスに感謝のエールを送っている。''が、それだけである。''
--仲の悪いアソーカ族とクラウド族が和解した、他の種族と生きることを捨てたライトフット族が他の種族と共に生きることを決意した、分裂した地域「ドラゴンロック」に捕らえられていた三匹の恐竜たちはダイナソープラネットが元に戻ったことでなつかしい友に再会することができた、他の種族たちから隔離されていたレッドアイ族がどうなったかなど、ダイナソープラネットが元の形に戻ったその後の描写が一切ない。アソーカ女王やソンテイル族もシャープクロウ族同様フォックスに感謝する描写ぐらいはあってもよかったのではないだろうか。
#endregion

--最後のクリスタルスタッフをよく見ると……。

#region(終盤の展開のネタバレ有り)
--イベントでクリスタルを救出し、その後正体を現したアンドルフを撃退するためにフォックスは半ば奪われる形でクリスタルスタッフをクリスタルに返すが(とは言っても元々彼女の持ち物なので返すのは筋だが)、アンドルフ撃退後のグレートフォックス内で会話するシーンのフォックスをよく見ると''なぜかフォックスがクリスタルスタッフを所持している。''加えてクリスタルもどこかにしまい込んだのかアンドルフ撃退後にクリスタルスタッフを所持している描写がない。意味もなく転送装置でも使ってこっそりフォックスに持たせたのだろうか?
#endregion


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**総評
紆余曲折を経て発売に漕ぎ着けたタイトルだが、完成度はなかなかのものであり単なる「ゼルダフォロワー」に留まらない出来となっている。~
しかし元々が「ダイナソープラネット」という一つのゲームであり、それに「スターフォックス」を無理やりねじ込んだため、シナリオなど粗が目立つ部分も多く、何より「そもそもこれをスターフォックスでやる必要はあったのか?」という疑問が大きい。~
//もともと64版として製作中に形はほぼできていたようで、シナリオなどの粗はスターフォックスに組み込むために無理やり後付け設定を加えたりシナリオを組み変えたりした名残りという推測もできる。~
数々の名作を送り出してきた任天堂とレア社のタッグによる最後の作品としては少々残念な出来と言わざるを得ない作品である。

**余談
''開発の経緯について''
-元々はN64で開発され、''フォックスがブラスターで敵と戦うシューティングゲーム''と言う後に発売される『アサルト』の原型となるものを水面下で開発していたが、開発が長期化するにつれ宮本茂の判断でGCに移行する事が決定し、同時期にレア社が開発していた『ダイナソープラネット』と開発ラインを統合する事となった。
--今村孝矢氏(シリーズの総合デザイナー)曰く統合後も苦労が絶えなかったらしく、紆余曲折を経て本作は2003年に発売するが、製品版には64版『アドベンチャー』の要素は実装されなかった。
[[参照画像>https://twitter.com/ayano_harumaki/status/1384790946164867072?s=19]]

''ヨーロッパ版におけるタイトルについて''
-本作より、ヨーロッパ版のタイトルに『STAR FOX』のタイトルが使われるようになった。
--前作までは権利上の都合により『Starwing』や『Lylat wars』というタイトルであった。
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**その後の展開

-以降のスターフォックスシリーズにも本作の舞台「ダイナソープラネット」が「惑星サウリア」という名称でそれぞれ少しだけ登場している。
--『[[ゼロ>スターフォックス ゼロ]]』には設定的に登場しなかったものの、発売記念ショートアニメに名前のみ登場している。

-Nintendo Switchソフト『[[大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL]]』に、クリスタルがアシストフィギュアとして登場する。
--『アサルト』以降ではなく本作準拠の姿。本作ではほとんど見られなかった、クリスタルスタッフで戦うクリスタルの出番となった。