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流行り神3 警視庁怪異事件ファイル - (2021/07/31 (土) 21:21:06) のソース

*流行り神3 警視庁怪異事件ファイル
【はやりがみすりー けいしちょうかいいじけんふぁいる】
|ジャンル|都市伝説推理アドベンチャー|&amazon(B00292AR14)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|発売・開発元|日本一ソフトウェア|~|
|発売日|2009年8月6日|~|
|価格|4,980円(税込)|~|
|レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~|
|廉価版|The Best Price:2010年8月5日/2,800円(税別)|~|
|配信|PS Store:2010年8月5日/2,200円(税別)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|3部作の完結編だがシナリオの質は低下&br()違和感があるBGMの変化には賛否あり|~|
|>|>|CENTER:''[[流行り神シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
PS2でリリースされ、PSPへと移植されてきた『流行り神』シリーズの第3弾。~
据置機を経ずに携帯機のみでのリリースとなったのは本作が初となる。~
当初から3部作構想であったらしくシナリオ上は続編だが、本作だけでも物語を楽しむことは可能。~
また、アドホックモードを使用したミニゲームも収録されている。

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**システムの特徴
-シリーズ共通部分であり、特に断らない場合は過去作も共通となっている。
-カリッジ・ポイント
--主に勇気が試される選択で消費されるポイント。シナリオ中の回復はない。
--どうでもいいところで浪費していると肝心なときに行動出来なくなったり、逆に慎重になりすぎて重要なフラグを立て損ねたりすることもある。
--ただ選択肢総当りではクリア出来ない、というシリーズの方向性を形作る重要な要素の一つ。
-セルフクエスチョン
--自分の頭の中で「○○とは何だ?」「この事件は、どういう方向になっている?」ということを問いかけて答えを導き出す。
--シナリオの重要な分岐となることもあり、セルフクエスチョンの結果で科学ルートかオカルトルートかが分かれることもある。
-推理ロジック
--これまでに起きた事件や出会った人物を相関図に当てはめ、物事を整理していく主人公独特の思考法。
--シナリオ終盤では必ず完成させる必要があるが、それ以外の場所でも自由に弄れる。むしろ、新しい情報を得たらロジックを組んでみるくらいでいく気構えが求められる。
-分岐ツリー/バックログからのジャンプ機能
--本作からの追加機能で、ダイレクトにシナリオ内の移動が可能に。
--分岐埋めやデータベース収集が格段にやりやすくなり、携帯機らしい利便性の高いプレイが可能に。

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**登場人物
#region(長いため格納)
-風海純也(主人公、名前変更可)
--警察史編纂室所属、階級は警部補。キャリア組エリートとして警視庁捜査一課に配属されていたが、閑職の編纂室へと左遷されてしまう。
--一応はエリートだが抜けている部分も多い。しかしやる時はやる男で、作中で見る限りかなりの健脚。
--警察官として模範的であろうとするあまり、非常識な言動に走ってしまうことも。色々な意味でまだ未熟な青年である。
-小暮宗一郎
--「いかにも」な大柄な体育会系警察官。口癖は「~であります!」。主人公より年は上だが、階級が下のため「先輩」と呼んで慕っている。
--ゴツイ外見に似合わず極度のオカルト嫌いで気も小さく、事件の際に目を回してしまうことも。ただし武術の達人なので掴める相手には無類の強さを誇る。
--実家はかなり田舎らしく、本人も子供時代の自分を「山ザル」と言っていた。モデルを志す妹がいる。
-賀茂泉かごめ
--オカルトを完全否定する女警部補。刑事というよりは弁護士のように論理で相手を打ち負かすのが得意。
--基本的に自己中心的な上に高飛車で、昨日と今日で言っていることが違っていたり初対面の人間に高圧的に接したりと人付き合いは決定的に下手。
--しかしそれを補って余りある明晰な頭脳により、誰にも非難することを許さない女王様キャラでもある。
-犬童蘭子
--謎だらけの編纂室室長。階級は警部。仕事をしている姿を見たものは誰もおらず、ギャンブルで出かけているかオフィスでゴロゴロしているか二種類の行動しか目撃されていない。
--インチキ丸出しの似非関西弁やチャランポランな行動が目立つものの、実はかなりの切れ者…らしい。
-羽黒薫
--愛想のいいメガネ男子で、所属は刑事課。根っからのオカルトオタクで、オカルト事件を扱うと噂されている編纂室に興味を抱いている。
--世渡り上手で口上手、朗らかな青年だがどこか掴みどころのない謎の多い男。
#endregion

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**評価点
-システムが改善され、快適性が向上した
--特に上記の分岐ツリー/バックログからのジャンプ機能は、ADVに付き物の「穴埋めの為に何度も同じ箇所をやり直す」という作業の手間を軽減してくれる。
-ボリュームのあるシナリオ
--これまでと同じくオカルト/科学両方の分岐があるシナリオで、更に複数の都市伝説を一シナリオに多数絡めているためボリューム自体は多い。

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**賛否両論点
-音楽の刷新
--音楽は『2』以前の作品の音楽は使用されず、すべて新規の曲に置き換えられた。
---これは旧作からのファンには「違和感がある」と受け取られることが多く、mk2などのレビューサイトでも問題点として扱われることが多い。
---特に推理ロジック、セルフクエスチョンのBGMが批判の対象になりやすい。
--ただ曲自体の完成度は低いわけではなく、その点を批判されることは少ない。

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**問題点
-シナリオの質の低下
--前2作と比べ、「妙に回りくどい表現」「文章の引き伸ばし」が散見され冗長な印象を与える文章が増えている。また、誤字脱字が多い。
--強引な伏線の張り方や展開、後味が悪い終わり方をするものもあり、シナリオ面での質は三部作中一番低いと指摘されている。

#region(具体例)
--第零話のラストでは「絆を取り戻した母娘の姿」を描いた後で「最悪の結末で互いに罵り合う母娘の姿」を入れている。
---都市伝説の作品として「すっきりしない終わり方」「不安を暗示する展開」は常套ともいえるのだが、今までの作品では、具体例を挙げれば1において家族の絆を描いた「鬼」というエピソードなど、このような後味の悪い終わり方はしていない。
#endregion

--要所要所に「ネット掲示板の殺人予告とそれに対する反応」など、当時の社会情勢を皮肉るような描写がシナリオ面で大きな効果をもつのでもなく挟まれているため、説教くさい印象を与えてしまっている。
--第二話やバッドエンドなどに露骨なグロテスク描写が増えており、今までのじわじわと文章や絵で侵食してくるような恐怖感を阻害しているとして批判の対象になった。

-伏線の未回収、未完結
--結局シリーズ通して登場していた謎の人物の正体や行方など、明確に描写されずに終わっているものも非常に多い。
---もちろん、過去の作品でもシナリオ上で''あえて''伏線を回収しないような形の演出はなされていたが、今シリーズ独自の設定に関しての回収も、他のシナリオと同様の演出で終わってしまっている点を残念に思う者もいる。
--最後のシナリオの結末も、そのシナリオの主人公が編纂室に電話をかけ「死なない死刑囚が街をうろついている」と告げる所で終わっている。

-CGの質の低下
--CGのタッチが前2作から変わっている。全体的にのっぺりとしていて、奥行きがない。
--文章では「すごく大きいキッチン」と表現されているものが、背景絵では一人暮らし用程度のキッチンだったりと、文章と絵のギャップが大きい部分もある。

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**総評
『流行り神』シリーズ完結編ではあるが、シナリオ面に関しては前2作と比べて質の低下が指摘されており、遊べないことはないが、しこりが残る形となっている。~
一方テキストアドベンチャーとしては、かなりシステムが洗練されたため、既読率100%も容易に達成できるようになっており、この点でストレスを感じることはないだろう。

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**その後の展開
-日本一ソフトウェア創立20周年の記念事業として『流行り神』の映画化が発表されたが、発表直後に制作会社が破産したため映画化は無期限延期となっている((映画化無期限延期のあおりを受けて、日本一ソフトウェアは多数の作品の制作の凍結を余儀なくされるという事態になった。))。
--なお、『流行り神』の映画化はこの延期発表から9年以上経った2021年現在も実現していない。

-本作の販促を兼ねて、本作発売の直前である2009年6月11日に無印が、2009年7月9日には2作目がDSへ移植されたため、本作も早々にDSへ移植されるものと思われたが、本作のDSへの移植は行われなかった。

-もともと3部作の構想だったのでさらなる続編は作成しないという宣言通り、シリーズは本作で一旦終了したが、数年後『[[真 流行り神]]』として帰ってくることになる。

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