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UNDERTALE - (2017/11/20 (月) 22:16:44) のソース

*UNDERTALE
【あんだーている】
|ジャンル|RPG|~|
|対応機種|Windows/Mac OS/Linux(Steam)&br;プレイステーション4&br;プレイステーション・ヴィータ|~|
|発売元|【PS4/Vita】ハチノヨン|~|
|開発元|Tobyfox|~|
|発売日|【Steam】2015年9月15日&br;【PS4/Vita】2017年08月16日|~|
|定価|【Steam】980円(税込)&br;【PS4/Vita】1,500円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|敵を倒さなくてもいいRPG|~|

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#contents(fromhere)
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**概要
-海外のインディーゲーム制作者トビー・フォックス(Tobyfox)によってリリースされた2DRPG。
-MOTHERシリーズを彷彿とさせるレトロテイストなグラフィックとサウンド、活き活きとしたキャラクター達、「敵を生かすか殺すか」をプレイヤーの選択に委ねるという独自性、シューティングゲームなどの避けゲーの要素をミックスさせた独特の戦闘システムなどが特徴。
-Tobyfox氏はインタビューにて、『[[MOTHER]]シリーズ』、『[[真・女神転生]]』、『[[スーパーマリオRPG]]』『[[マリオ&ルイージRPG]]』、東方Projectといった作品から影響を受けたと語っており、本作にはそれらの作品と類似する要素も多くみられる。
-ユーザーからの反響と日本での展開
--2015年9月に公式サイトおよびSteamで発売されるやいなや海外で絶賛され、関連グッズが製作・販売されるなどの盛り上がりをみせた。
--日本でも動画サイトや有志による非公式日本語化パッチなどによって着実に知名度を上げていき、2017年8月にてついに日本向けの公式ローカライズ版が発売され、同月にSteam配信版も日本語に対応した(DRMフリー版は未対応)。
---Tobyfox氏は日本語版は絶対にリリースしたいと公言しており、2016年初頭には任天堂ハードへの移植を検討していることが明かされていた((今後任天堂ハードで発売するのかは現時点では不明))。

-なお、本作は''ストーリーに関するネタバレが特に注意されるゲーム''である。動画サイトなどではラスボスなどの重大なネタバレが目に入る可能性が高いので注意。

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**ストーリー
(公式日本語版OPより)
 むかしむかし ちきゅうには ニンゲンと モンスターという 2つのしゅぞくが いました。
 
 ところが あるとき 2つのしゅぞくの あいだに せんそうが おきました。
 
 そして ながい たたかいのすえ ニンゲンが しょうりしました。
 
 ニンゲンは まほうのちからで モンスターたちを ちかに とじこめました。
 
 それから さらに ながい ときが ながれ………
 
 イビト山 201X年
 
 それは 「のぼったものは にどと もどらない」といわれる でんせつの山でした。

#co{
 Long ago, two races ruled over Earth: HUMANS and MONSTERS.
 昔々、人間とモンスターのふたつの種族が地球を支配していました。
 
 One day, war broke out between the two races.
 ある日、このふたつの種族の間に戦争が起きました。
 After a long battle, the humans were victorius.
 長い戦いの末、人間側が勝利をおさめました。
 They sealed the monsters underground with a magic spell.
 そして彼らはモンスターたちを魔法で地底に封印したのでした。
 
 Many years later...
 それから長い年月が経ちました…
 
 MT.EBOTT 201X
 201X年 エボット山
 Legends say that those who climb the mountain never return.
 この山には、登った者は二度と帰ってこないという言い伝えがあります。
}

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**ゲーム内容
***ゲームの流れ
-「UNDERTALE」のタイトル通り、地下世界に落ちてしまった子供の主人公(性別不明)が、地下世界の住人であるモンスター達と関わりながら地上への脱出を目指す。
-マルチエンディング方式であり、敵をどれだけ殺したかによっておおまかなルートが分岐する。また「敵を生かすか殺すか」の選択によって、町中などの住人達の生死や台詞内容といった様相も変化する。
--特定のEDルートでクリアした後の周回プレイでなければ辿り着けないルートもある。
-RPGとしての基本的なゲームシステムは、1990年前後のクラシックな2DRPGのスタイルに則っている。
--ランダムエンカウント方式で敵が出現。敵を倒すとEXPやGOLDを入手してLVがアップし主人公が強くなっていく。お店で回復アイテムや装備品を購入できる。
-道中ではちょっとしたパズルを解いていく場面も度々ある。

***戦闘システム
-オーソドックスなコマンド選択式の戦闘システムをベースに、いくつかの特殊なシステムがミックスされている。
-基本となるコマンドは以下の4通り。()内は海外版のコマンド名。
--「たたかう(FIGHT)」コマンド
---敵への通常攻撃を行う。攻撃の際、キー入力の目押しのタイミングによって威力や連続ヒット数、命中の成否が変化する。
---装備している武器によって、目押しのタイミングや最大ヒット数などが異なる。
--「こうどう(ACT)」コマンド
---敵に対して非暴力的な何らかの行動を試みる。後述の「みのがす」コマンドを成功させるための布石であり、的確な行動を選択していくと、その敵を「逃がす」ことが可能になる。女神転生シリーズの「交渉」に近いシステム。
---行動内容は対象となる敵ごとに異なり、いくつかの選択肢の中からいずれかのアクションを選んで実行する。敵を可愛がるなどのユニークな行動が多い。
---敵のステータスを調べる「ぶんせき(Check)」という汎用的な行動もある。
--「アイテム(ITEM)」コマンド
---回復アイテムなどを使用する。
--「みのがす(MERCY)」コマンド
---敵との和睦、または撤退を試みるコマンド。それぞれ「にがす(Spare)」「にげる(Free)」というコマンドを選択することで行う。
---戦闘開始時点では「にがす」を実行しても失敗してしまうが、前述の「こうどう」コマンドでその敵に効果的な行動を取っていれば、「にがす」コマンドの色が変化し、100%成功するようになる(敵によっては「にがす」コマンドを複数回実行する必要がある)。
---和睦に成功すると、その敵は戦意を失い戦線から離脱する。
---戦意を喪失させた敵からはEXPやお金などは得られず、主人公の戦闘能力の強化には全く繋がらない。普通のRPGのように主人公を強くしながら冒険を進めたければ、敵を倒すしかない。
---本作では、''ボスを含む全ての敵に対して、殺さずに和睦することが可能''となっている。そのため敵を一切殺さないプレイスタイルは、EXPやLVを初期状態から一切上げずに攻略することと同義である。
-敵の攻撃と攻撃の回避
--敵の攻撃時には、戦闘画面に四角いウィンドウが表示され、そのウィンドウの中で自キャラを表すハートマークのシンボルを動かして敵弾や障害物を一定時間避けるという「''避けゲー''」によって敵の攻撃を回避する。
---この回避システムにより、全ての敵の攻撃は理論上''LV1でもノーダメージで切り抜けることが可能''となっている。
---攻撃の内容は敵によって異なる。基本的には2Dシューティングゲームの敵弾のような攻撃が展開されるが、真横視点の2Dジャンプアクションで障害物を避けるなど、必ずしもSTGの枠には当てはまらないユニークで奇抜な攻撃も多い。
--同じ敵でも複数の攻撃パターンがあり、特にその敵の''心身の状態が攻撃内容に反映される''という特徴がある。各種コマンドで敵の心を揺さぶると、敵の弾幕の激しさなどにも変化が起きる。
---戦意が激しく昂ぶっている時の敵の攻撃は激しい弾幕なのに対し、戦意をほぼ喪失しかけている敵の攻撃はもはや攻撃とは呼べないようなものであったりする。
--「回避の際に特定のシンボルに接触する」などの特殊な操作を行うことが和睦の条件となっている敵もいる。
-敵を生かすか殺すかという選択
--雑魚敵は無限に湧くものではなく有限の存在、なおかつそれぞれが一個のキャラクターであり、一度でも和睦するか同じ敵を一定回数倒す(=殺す)と、もう遭遇しなくなる。
--どれだけ敵を殺すか、殺さずに和睦するかは完全にプレイヤーの選択に委ねられている。
--LV1のまま敵を一切殺さずにゲームクリアすることも可能だが、それは一種の制限・縛りプレイとも言えるものであり、RPGの定石に反するプレイスタイルである。
---この「敵を殺さなくてもいい」というアンチRPG的な作風や、要所々々でみられるメタ的な演出は『[[moon]]』と通ずるものがあり、本作を語る上でよく引き合いに出される。


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**評価点
-魅力的な世界観と、敵を生かす殺すかを選択する深いストーリー
--個性的なキャラクターや、MOTHERチックなユニークで可愛い敵などが多く、閉鎖的な地下世界という舞台でありながら、そこに生きる人外の住人達に和まされる。
--ボス敵はいずれも単なる「敵モンスター」などではなく、一人一人がキャラクターとしてその世界に活き活きと存在しており、それ故に「生かすか殺すか」という選択の重要性を考えさせられる。
---敵対して相手を倒すことはある意味簡単なことで、戦わない・殺さないという平和的な選択をすることがいかに困難な道かを、プレイヤーは身を持って知ることができる。
--特に、True Pacifist(真の平和主義者)と呼ばれる不殺ルートでのクリアを達成した時の感動はひとしお。不殺ルートのEDを迎えた後は、未攻略の虐殺ルートを周回プレイで辿ることをためらうプレイヤーもみられるほど。
---実際にゲーム側でも、「虐殺ルートをクリアしたことがあるか」というプレイヤー自身の心を問うメタ的な仕掛けが施されている。
#region(詳細)
---一度でも虐殺ルートでクリアすると、その事実は次周以降においても無くならず永久に記録され、「魂を売った人間」として他のルートでのED内容にも相応の影響を与えてしまう。
#endregion
---いずれにしてもどのルートを辿るのが正しい・間違いとは決まっておらず、全てはプレイヤーの選択次第である。
--ストーリーには考察の余地があり、ユーザーの間で様々な考察がなされている。
-クオリティの高い音楽
--ボス戦ごとにそれぞれ専用のBGMが使われており、敵のキャラクター性や攻撃の演出と相俟って、BGMと戦闘内容の一体感が素晴らしい。
--特に、あるルートのラスボス戦のBGM「MEGALOVANIA」は非常に人気が高い。
-凝った演出
--戦闘における避けゲー要素は、ただ単に敵の攻撃を避けるだけのシステムではなく、その敵の「個性」や「心理状態」を表現する演出として上手く機能している。
--RPGの戦闘画面の常識を超えた斬新で奇抜な演出が多い。ゲームを遊んでいるプレイヤーに対するメタ的な演出も多い。


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**賛否両論点
-クセの強いキャラクター達
--カートゥーンアニメに通ずるような奇抜で強烈な個性を持ったキャラが多い。やたらとハイテンションだったりメタ発言をしたりアニメオタクだったりといったクセのあるキャラが多く、またいずれも人外である上に美形キャラなどもいないので、その作風が魅力的ではあるものの人を選ぶところはある。
-RPGのシステムとしての自由度は低め。
--本作は『[[MOTHER3]]』などと同様、全体としてはレールの上を一本道になぞっていく感覚が強いリニア式のRPG(物語主体のRPG)であることは留意しておいた方がいい。
--「敵を生かすか殺すかによってストーリー展開が変化する」という選択の自由度はあるのだが、それ以外の部分ではゲームとしてやれることの幅はあまり広くない。敵ごとの和睦の手順などもほぼ完全に決められており、装備選択などの戦略の幅も広くはない。
--道中を少し進んではイベントが発生して、という展開が連続することも多い。そのため純粋なRPGというよりは「ADV+RPG」と言った方が正しいかもしれない。
--ボス戦もイベントの一部分といった趣が強く、戦闘中であってもボスの台詞を読み進めたり演出を眺め続ける場面は少なくない。
--もっとも、このようなシンプルな作りになっているためにライトユーザーでもゲームクリアまで進めやすく、ストーリーを楽しみやすくなっている。このことが多くのユーザーから支持された一因になったとも言える。


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**総評
インディーRPGとしては異例の大成功を収めた傑作。~
活き活きとした登場人物達が暮らす地下世界には、作り手の「愛」が存分に込められていることが感じられる。~
不殺を貫いた末のエンディングを迎えた時には、プレイヤーもこの世界の住人達を愛しているかもしれない。~
一方でそんな世界の住人であるモンスター達を殺していくのもまたプレイヤー(人間)の自由である。~
この世界を生かすか殺すかはプレイヤーという一人の人間の選択に委ねられている。~
それがいかなる選択であったとしても、その果てには心に響く何かを感じ取れることだろう。~


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**参考動画
#region(【公式】UNDERTALE 日本語版 発売アナウンストレーラー (PS4/Vita/PC) )
【公式】UNDERTALE 日本語版 発売アナウンストレーラー (PS4/Vita/PC) ~
&youtube(https://www.youtube.com/watch?v=ep678gvMAnw)
#endregion

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**余談
-Tobyfox氏は本作以前に[[MOTHER2>MOTHER2 ギーグの逆襲]]の非公式ハックロムの開発などに携わっており、その経験が本作の開発にも活かされている。
--前述のBGM「MEGALOVANIA」も、元々はそのハックロムや別のウェブコミックで使用していた曲である。
--なお、この曲は『[[ライブ・ア・ライブ]]』のボス曲「MEGALOMANIA」に影響を受けて作られたことが語られており、タイトルもその捩りである。