*ときめきメモリアル Girl's Side 【ときめきめもりある がーるずさいど】 |ジャンル|恋愛シミュレーションゲーム|&amazon(B0000668U9)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|コナミ|~| //|開発元||~| |発売日|2002年6月20日|~| |定価|6,800円|~| |廉価版|コナミ ザ ベスト:2003年9月18日/2,800円&br()コナミ殿堂セレクション:2004年10月21日/1,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|女性向け『ときメモ』&br;ヒットにより乙女ゲー市場を切り開いた|~| |>|>|CENTER:''[[ときめきメモリアルシリーズリンク>ときめきメモリアルシリーズ]]''| **概要 恋愛シミュレーションゲームの代名詞である[[ときめきメモリアルシリーズ]](以下「本家」)の女性向けバージョンとして登場した作品。略称は『ときメモGS』。~ 本家とは逆に、女性主人公として男性キャラクターと交流したり、お目当ての相手の理想に近づくよう自分を磨いて好感度を高め、エンディングで結ばれることがゲームの目的である。 **システム・特徴 基本システムは本家『[[1>ときめきメモリアル]]』『[[2>ときめきメモリアル2]]』をベースにしているが、部分的に『[[3>ときめきメモリアル3 ~約束のあの場所で~]]』のシステムも取り入れられている。~ 以下は基本的に本家『1』『2』との差異や新要素について記述する。 -パラメーター --本家で「文系」と「理系」に分かれていたパラメーターは「学力」に統合された。本家にあった「体調」が消滅し「ストレス」に統一。また「根性」の代わりに「気配り」というパラメーターが登場し、主人公の料理の腕などに影響する。 -ファッションとお金 --『3』にもあった服装システムを本格的に導入。デートに行く際に様々な服を組み合わせて服装をコーディネートすることができる。 --服はそれぞれ「ピュア」「スポーティ」「エレガント」「セクシー」と4種類にジャンル分けされており、同じジャンルのアイテムを組み合わせることでコーディネート全体に属性が付く。 --男性キャラにはそれぞれ好みの属性が設定されていて、相手の好きな属性のコーディネートでデートに行くと褒めてもらえ、好感度が上がる。 ---反対に嫌いな属性であったり、前回のデートと全く同じ服装や、季節に合わない服装(暖かい時季に厚着、寒い時季に薄着)で行くと好感度が下がってしまう。 --また、ファッションには流行という概念もあり、相手の好きなファッションが分からない場合や手持ちの服が乏しい場合などには流行のアイテムを身につけることで評価を得る手段も。 --服は休日に「おでかけ」コマンドからいずれかのお店に行って購入できる。ただし購入にはお金(ゲーム内単位は「リッチ」)が必要。リッチは毎月のお小遣いの他、アルバイトをして稼ぐこともできる。 -女友達 --同性の友達として、4人の女子同級生が登場。 --ゲーム開始直後に1人が強制登場する(誰を登場させるかは任意で選べる)ほか、男子キャラと同様に特定の条件を満たすと登場し、「友達と遊ぶ」コマンドを実行することで一緒に過ごしていけば仲良くなれる。 ---「友達と遊ぶ」コマンドは好感度だけでなくパラメータ上昇の効果もあるので、狙っていない男子キャラの登場を抑える手段としても有効。 --男子キャラほど多くはないが、各種行事や下校会話など彼女たちとの交流シーンも色々とあり、男子キャラのED条件を満たしていない場合は彼女たちとEDを迎える事も可能。 --一方で女友達もそれぞれ対応する男子に片思いしており、男子と女友達双方の好感度がある程度高いと「恋のライバル」宣言をされ、「''VSモード''」に突入してしまう。 ---VSモードになると女友達は主人公をライバル視し、会う度に厳しい言葉を投げかけてきたりする。また対応する男子の好感度が下がりやすくなる。 -EVS --シリーズのウリである合成音声による名前呼びシステム・EVSももちろん搭載。 --本作ではキャラごとにそれぞれ自由にEVSを設定することもできる。 **評価点 -『ときメモ』として高い完成度 --評価の高い本家『1』『2』をベースにしているだけあり、恋愛シミュレーションとしての完成度は高い。 --『3』では不便な面が目立った服装システムが大幅にブラッシュアップされ、自分の好きなコーディネートを考えたり、男の子の好きな服を選んでデートに行く楽しさが味わえる。 --全体的なイベント数もかなり増え、キャラクターごとの掘り下げがより深くなっている。 --本家シリーズと比較すると基本的な難易度は抑えられているが、特定のイベント時期までにキャラをときめき状態にしないと見られない会話シーン(「氷室零一ときめき修学旅行」はその代表格)や、同じキャラと同じ場所で3回デートして、かつ3回目に相手がときめき状態の場合限定で聞ける特別な台詞等もあり、やりこみ派のプレイヤーのニーズにも応える仕様となっている。 --女友達も(下記のVSモード時の態度には賛否両論あるものの)それぞれ好感の持てるキャラクターとなっており、その存在自体は好評。 ---基本的に各種行事では男子キャラの方が優先されるため、彼女たちとのイベントを見るためには、登場男子キャラ全員の好感度を抑えておく必要があるなど、存在はゲーム性の向上にも繋がっている。 --SDに描かれたキャラのコマンド等のアニメーションもコミカルで可愛らしく好評。 --男子キャラは緑川光氏や石田彰氏、女友達はゆかな氏や大谷育江氏など、ほぼ全てのキャラクターボイスに著名な実力派声優が採用されており、EVSの感動をより大きなものにしている。 -新規ユーザーに向けた配慮 --オープニングテーマはB'zが担当。恋愛シミュレーションというジャンルやゲームそのものに馴染みのない女性ユーザーを取り込もうという意識が見られる。 --パッケージの表面はキャラクターイラストが一切無いシンプルなデザインで、店頭でもレジに持っていきやすい配慮がなされている。 **賛否両論点 -VSモードの厳しさ --VSモードに突入すると女友達と険悪な関係になってしまい、露骨に嫌味を言ったり当てこすりをしてきたりする。 --リアルな陰湿さで気が滅入る、女友達が好きなのでVSモードにしたくないというネガティブな声がある一方で、VSモードを乗り越えた時に達成感があるという肯定的な意見もある。 --その女友達とひたすら遊び続けて好感度を最大限まで上げれば仲直りができ、VSモード解消となる。ただし非常に骨の折れる作業で、仲直りまでにはどんなに友達と遊ぶコマンドを優先し続けても''1年以上''かかるのが普通。 ---女友達とのEDは「VS状態を経験したか否か」で内容が変わるため、VSモード解消の過程に意味はある。 --VSモードを起こしてもゲーム内におけるメリットは特に無いため、上記の「VSモード解消後の女友達ED」を回収する目的でない限り、狙っている男子に対応する女友達を出現させないか、出現させていても好感度を上げないために完全に無視してプレイするのがセオリーとなっている。 -キャラクターのデザイン・絵柄 --90年代アニメ調のやや大味なデザイン。『[[アンジェリーク]]』などの耽美的・少女漫画的な従来の女性向け恋愛ゲームと比べると地味でシンプルなビジュアルは好みが分かれる点と言える。 --本家『ときめきメモリアル』シリーズ全体の特徴として見られる「当時の主流から外れた、野暮ったさを感じさせる絵柄とキャラクターデザイン」の流れを汲んでいるが、このために乙女ゲーファンから本作が敬遠される向きもあった。 ---本作のファンの中にも「プレイを進めてキャラの魅力を知るうちに外見も好きになったが、第一印象は良くなかった」といった声もある。 **問題点 -攻略キャラとの一部の会話 --デートでショッピングに行くと、キャラが「この服はどう?」と勧めてくる。通常は賛同すると好印象を与えられるが、ランダムでひっかけ(冗談)のパターンもあり、これに賛同すると逆に悪印象となってしまう。 ---ひっかけの場合は通常と異なる口調で判別可能だが、一部のキャラは声の調子が若干違うだけでセリフ自体に変化はないなど、判別が困難なキャラもいる。 --好感度が高いキャラとデートすると帰りに寄り道ができ、話題を選択して会話を楽しめるがその話題は全9種類と少なく、デートを重ねていけば嫌でも同じ話題をループすることになる。 ---加えて、この話題システムは下校イベントでキャラを喫茶店に誘った際にも起こるため(選択肢も会話内容も共通)、必然的に会話パターンの乏しさが目についてしまう。 -ファッションのセンス --''男性キャラのファッションがのきなみ酷い''。謎のロゴが入っていたり、普段着として見るにはあまりに前衛的な作りであったりとツッコミどころ満載。 --それ以上に酷評されているのが、ファッションシステムで使用する主人公用の服。こちらもやはり現実離れした奇抜なデザインや、女子高生が着るものにしては渋すぎる、あるいは幼すぎるなど妙なセンスの服が多々用意されており、ファンからも度々ネタにされる。 ---悪い意味で話題になってしまった為か、後の移植版『ときめきメモリアル Girl's Side 1st Love』では、本作の続編『ときめきメモリアル Girl's Side 2nd Kiss』の服に差し替えられている。 -気になるかは人によるが突っ込みどころ --攻略キャラの一人である守村桜弥は公式のキャラクター紹介文に「学園始まって以来の秀才」などと書かれているが、ゲーム本編の期末テスト結果では葉月珪に常に負けているだけでなく2桁代にいることも珍しくない。移植のDS版では上位をキープするようになった。 --隠しキャラと出会うきっかけは『隠しキャラが家族に送るはずのEメールを1文字違いの主人公のアドレスに送ってしまい、主人公がそのメールに返信する』というものだが、アメリカに住む家族のメールアドレスが主人公と1文字違いというのはいくらなんでも無理があるうえ、見覚えのないアドレスに返信するのは防犯の面でも危険である。 **総評 「女性向けときメモ」というコンセプト通り、主人公と攻略キャラの性別が逆転した『ときメモ』。~ システムのベースは評価の高い本家から流用しつつも、ファッションや女友達など新たな要素も盛り込まれており、恋愛SLGとして完成度の高い作品に仕上がっている。~ 本作の発売以前は、女性向け恋愛シミュレーションゲームといえばコーエーのネオロマンスシリーズを除けば目立った作品が無かったものの、本作のヒットにより「乙女ゲー」がジャンルとして市場に確立。後に多くの作品が生み出されたことを考えると、強い影響力を持った作品と言えるだろう。 **移植・続編 -2007年3月15日に移植版『ときめきメモリアル Girl's Side 1st Love』がニンテンドーDSで発売。追加キャラに天童壬((名前の由来はおそらく任天堂))が追加された。 --その後2009年3月12日にフルボイス化された『ときめきメモリアル Girl's Side 1st Love Plus』がDSで発売。 ---『1st Love』は容量の問題でパートボイスだったが『Plus』はPS2版と同じくフルボイスになっている。 -2006年8月3日に続編『ときめきメモリアル Girl's Side 2nd Kiss』がPS2で発売。 --2008年2月14日に移植版『ときめきメモリアル Girl's Side 2nd Season』がDSで発売。 -2010年6月24日に第3作『ときめきメモリアル Girl's Side 3rd Story』がDSで発売。 --2012年3月15日に移植版『ときめきメモリアル Girl's Side Premium ~3rd Strory~』がPSPで発売。 **余談 -本作の原案者である内田明理がプロデューサーとして関わってるからなのか、本作のSEは後に発売されるプレイヤー層が正反対となるであろう[[ラブプラス>ラブプラス]]にも使われている。また一部の施設に本作と同じ名称が使われている。