チャレンジャー
【ちゃれんじゃー】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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320キロbitROMカートリッジ
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発売元
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ハドソン
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開発元
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ハドソン
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発売日
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1985年10月15日
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) ※バーチャルコンソールで付加
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定価
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4,900円
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2007年5月22日/514Wiiポイント(配信終了) 【3DS】2013年03月13日/524円
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判定
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良作
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ポイント
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最初にやってしまうピチュン→ヒューン→ガタンガタン×12+ガタッ パワーアップと数々の罠 壮大なストーリーを裏切らない大冒険 はじめて聴く『軍隊行進曲』
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概要
ハドソンが1985年に発売したアクションゲーム。
前年『ロードランナー』でファミコンに参入したハドソンが『スターフォース』による全国キャラバンなども開催し、それに伴う自社のゲームスター「高橋名人」もブレイクしてサードパーティとして不動の地位を築いた頃に発売された。
前年にMSXで発売された『暴走特急SOS』に様々な追加要素を施したリメイク作に当たる。
ストーリー
考古学博士であり、ナイフ投げの名人である主人公「チャレンジャー」は世界中を旅する冒険家。
彼は李成岑(リ・セイシン)という謎の中国人に依頼され、「ワルドラド島」という奇妙な島の調査をすることになった。
ワルドラド島に行くためにロスマリー国に着いたチャレンジャーはその島がドン・ワルドラドが率いる悪の組織「ブラッディワッカー」の巣窟であり、
しかもたった今、ドン・ワルドラドがロスマリー国の王女マリアを連れ去り、島に向かう列車「メタモルフォセス号」で逃走中だということを知る。
チャレンジャーは王女マリアを救出すべく島に向かう。
内容
ステージクリア型のアクションゲームで4ステージ構成。
シーン2のみ真上からの視点でシューティングに近い内容。それ以外は横の視点で、ジャンプと攻撃を織り交ぜた王道なアクション。
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タイトル画面でレベルを16段階から選択でき、それに応じて難易度が変わる。
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目に見える境目(敵の種類が増える)はレベル2と3、8と9の間。
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敵の攻撃は体当りのみで弾などの飛び道具は一切使わない。
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シーン1・3・4は敵に触れると一発即死。
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シーン2はライフ制で敵に触れると均一で4ダメージ、最大値は16。
シーン1 STOP THE EXPRESS!
マリア王女を連れ去り逃走を企てるワルドラドが乗っ取ったメタモルフォセス号に飛び乗ったチャレンジャーが、列車内の先頭にいるワルドラドを追跡する。
チャレンジャーが飛び乗ったのは、先頭車両の上で、マリアとワルドラドはすぐ真下にいるが車内に入るためには、最後部車両からしか入れないので、最後部を目指し、車内に入ると先頭車両を目指すと言う、実質往復する形になる。
車内の先頭車両に入ると、ワルドラドは2両目から後ろを切り離し、車外に落とそうとする。落とされるとステージ2へ、ワルドラドを倒すと一気にステージ4へ。
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敵
レベル1・2は「タマ」のみ。
レベル3~8で「トビー」以外の敵が登場、「オジーズ」が列車内でも出てくるようになる。
レベル9以上になるとすべての敵キャラが登場。
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このシーンで条件を満たせば「空飛ぶまっとうくじら」が現れ、このシーン内主人公が無敵になって、敵を体当たりで倒せるようになる。
①BGMの「カンカン」音に合わせてAかBを4回押す(1回のカンカンで複数回押してもok)。どのレベルでも可能。
②レベル3以上で、車外でナイフを1発も打たずに車内に入る。
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①でジャンプボタンでまっとうくじらを出してナイフを打たずに車内に入れば、両方の条件を満たした事になってくじらが2回出せる。
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ただ、ワルドラドには通用しないし、列車(車外)からの転落では普通に死亡する。
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レベル3以上でタイムを65以上残してクリア(ワルドラドに落とされる)すると10万点、60以上なら1万点のボーナスが入る。
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このゲームはポーズをかけていてもBGMは進んでいるので、列車の屋根に乗ったらすぐポーズをかけて、BGMを思い出しながら「カンカン」の手前で解除すれば上記①でくじらを出すための時間を節約出来、ボーナス点を取りやすくなる。
シーン2 SEARCH PRINCESS!
無念にもマリア王女を目の前にして列車から落とされたチャレンジャーがワルドラド島に到着。この島のどこかにいるマリア王女を探すステージ。
このゲームのメインステージといえるシーンで、100画面分の広さの島の至る所にある洞窟でキーアイテムを集めながら、マリア王女が捕まっているプレシオドランドを目指す。
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敵
レベル1・2では「タマ」のみが出現。
レベル3-8でオックスボーンなど全ての敵キャラが出現するようになる。
レベル9以上になると全ての敵キャラの突進時のスピードがアップし、走って引き離すことができなくなる。
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このシーンではチャレンジャーは最大16のライフ制になり、敵の攻撃は均一4ダメージだが洞窟を守っているガイコツの「カラ」のみ触れると即死。
その「カラ」と「タマ(こちらは普通に4ダメージ)」は普通のナイフでは倒せない(倒す方法は後述)。
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水辺にいる「まっとうくじら」は味方キャラ(一応内部的には敵キャラ扱いでナイフで倒せる)で、画面内にいればライフが時間経過で少しずつ回復する。
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パワーアップアイテム
このシーンでは2つのパワーアップがある。
出し方は4回連続で外さずナイフで敵を倒す(ハズレても、画面外に消える前にチャレンジャー自身が敵にぶつかれば、ナイフが消えるのでハズレ扱いにならない)と後述の2つのうちどちらかが出現。
ただ2種類とも内部的に敵扱い(直接触ると敵同様ダメージ)なので、ナイフを当てて取ることになる(ナイフがぶつかると同時に効果が出て同時に1万点ボーナスが入る)。
また2種類どちらとも画面内に入っているだけで「まっとうくじら」同様ライフが少しずつ回復する。
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パワーソード
一定時間チャレンジャーがパワーアップして、移動スピードが大幅アップし、その間はナイフで「カラ」や「タマ」もやっつけられる。
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パワージュエル
画面内の敵(実際にはもう少し広い範囲に有効)を一気に全滅させる。
こちらも「カラ」や「タマ」も含めて倒すことができる。
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空飛ぶまっとうくじら
パワーアップアイテムとは別の隠れキャラで倒すと1アップする。
同じ敵を16匹連続で倒す(上記のパワーアイテムは使用不可)と上の方から飛んでくる。
ただし、上記のパワーアップアイテムと条件が重なると、そちらが優先されてしまいまっとうくじらは出ない。
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トラップエリア
このシーンに大きく分けて3つのトラップがある。
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ミステリーゾーン
中央南端にある4つある穴を中心に真四角に囲まれた黄色っぽいゾーン。
この囲いの中に入る(厳密には少し奥まで入る)と、結界が発動しピカピカと点滅し始め、この外に出られなくなる。穴に入るともちろん即死。
実は8発続けて外さず敵を倒すと、一瞬結界が解けて点滅が止まり出られるようになるが、その境界線近く(最初に入った時結界が発動しない部分)にいないと、すぐ結界が再発動してしまうので意味はない。
この付近には「タマ」に混じって「モーリン」と「ケバラ」も出るが、タマの割合が多く脱出することは難しい。
結界発動中は、タイム表示やスコア表示も消えているがその間に獲得したスコアはちゃんと加点されており、同時にタイムカウントも持続しているので、タイムアップで死ぬこともある。
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アリジゴク
マップの北西部、下記のトラップ島の南に位置しており、四角い穴を中心にグルグルと渦を巻いたような地形のゾーン。
この渦の中に入ると(これも上記と同じで厳密には少し奥に入って発動)、真ん中の穴に向かって引っ張られるという、まさにアリジゴクの流砂に落ちるイメージ。穴に落ちると1ミスとなる。
ただ、この時パワーソードの効果がある状態ならば引っ張られるスピードより速く移動できるので脱出できる。
この時、画面に「BONUS 10000」と出るが、それは発動時の表示が再度されただけなので1万点は入っていない。
アリジゴクの少し西に最後のチェックポイントとなる洞窟があるので、少し手前にある洞くつからそこに行くときや、その洞窟を拠点としたときは気を抜くと引っかかりやすいので注意。
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トラップ島
マップの北西端に位置する海上都市の洞窟で、見た目は普通の洞窟(番人のカラや、近くの水場にまっとうくじらもいる)だが、入ると上記2つの罠の穴と同じように、シーン3にはならず落下死するカットが入って1ミスになる。
ただ、正規のルートからは外れた場所なので、迷ってしまわない限り行くことはないだろう。
シーン3 GET KEYWORD!
洞窟に入ったチャレンジャーが噴水を渡って洞窟の奥にあるキーワードを取りに行くという最も短いステージ。
噴水は速いものと遅いものの2種類あり、これが4つ並んでいて洞窟に入るたびに並び方が変わる。
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敵
レベル1・2は敵がいない。
レベル3~8だと「タマ」1匹が出現。5つあるスペースのうちどこか1カ所に出る。
レベル9以上になると配置が固定されており最初の洞窟には敵がいないものの、次の洞窟から「トリッペ1匹」「タマ1匹」「バル2匹」「トリッペ2匹」「タマ3匹」「トリッペ4匹」「バル4匹」「タマ5匹」の順に配置されている。
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奥のキーワードを取ってから死んだ場合クリア扱いとして洞窟は消え、そこからシーン2再開。取る前に死んだ場合、前の再開地点に戻される。
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キーアイテムは「カギ」「王冠」「指輪(見た目は指輪と言うより青いUFO)」の3種類。
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このシーンの「タマ」の動きは噴水の根本の部分にいて定期的にピョーンとジャンプしてくる(噴水の最高到達点のあたりまで)。
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タイム80以上残してクリアすると10万点、70以上なら1万点のボーナスだが、噴水の並び方にかなり左右される。
シーン4 RESCUE PRINCESS!
悪の本拠地「プレシオドランド」のピラミッドに辿り着いたチャレンジャーが、ワルドラドと対決し、マリア王女を救出するラストステージ。
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敵
レベル1・2は下段に「タマ」1匹がいるのみ。
レベル3~8だと「トリッペ2匹(それぞれスピードと通るルートが異なる)」と「タマ」1匹。
レベル9以上で「トリッペ」と「タマ」3匹(それぞれ動き方やスピードが異なる)。
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キーワード3種類を揃えていれば入り口付近にある丸い岩が消えて入れるようになる。
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ワルドラドはナイフ4発で倒すことができる。
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クリアするとレベルが2上がりシーン1から再スタート(つまりエンドレス)。
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ただし、キーワードが揃っていない場合、そこからキーアイテムを取りに戻らなければならないうえ、新しいキーワードを取るまではピラミッドからの再開になってしまう。
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これを逆に利用しキーワードが揃っていても一度入って出ることでミスした場合の再スタート地点がこの洞窟の目の前からになるのでリトライが楽になるという抜け道がある。
評価点
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全体的に当時の王道な要素を網羅している。
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程よく高得点でそれに見合った難度のボーナス。
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それを意識しない場合は、そこそこなじみやすい難易度。
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当時は容量的都合から長く楽しむため高難度化する傾向にあったが、本作はそれも過剰なものではない。
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程よく交互に繰り返される縦と横のアクション。
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メインとなるシーン2はシーン3との行き来を繰り返すことにより、異なるアクションを短期的に交互に繰り返す格好になるので、変化のある展開を作り出している。
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よく追及されたリアルさ。
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シーン3や4で見られる部分に、上から落ちた場合、落差によって死ぬ場合と着地できる場合がある。
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『スーパーマリオブラザーズ』のように「どんな高い所から落ちても死なない」というのも『スペランカー』のように「自分の身長のような高さから落ちた程度で死ぬ」というのも不自然なので、地味な所でリアルな要素ではある。
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欠点なようで実は地盤のしっかりしたゲーム性。
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ナイフが連射できない点に関しては不満もあるが、実は本作は「パワー(連射)」より「コントロール」重視のゲームなのである。
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例えば、パワーアップアイテムにしても「外さず4連続」と正確なコントロールがあってこそ手に入れられる。
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裏技は豊富ながらバグに絡むものが皆無。
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当時「裏技」=「バグ・又は仕様の穴」が恒例だった中、本作はそのようなバグによる裏技は皆無。
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その一方で「空飛ぶまっとうくじら」など裏技も豊富。
問題点
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得点表示は7桁で100点単位だが最高点は9,999,900ではなく6,553,500で、それを過ぎると0に戻ってしまう。
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当時のゲームは基本的にハイスコアを競うゲーム性だったので0に戻ってしまっては本末転倒。しかもこのゲームはボーナス1万や10万がわりと多めに取れるゲーム性なので、低すぎる。
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数字を見てピンとくる方もいるかも知れないが、スコアの部分を符号なし16bitしか確保していなかったためだと思われる。
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大した問題ではないが『スーパーマリオブラザーズ』の感覚(A・ジャンプ、B・攻撃)でいると最初の列車の継ぎ目から落ちてしまう。
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列車の継ぎ目の前で、ピチュン(ナイフを投げる音)→シューン(落ちる音)→ガタンガタン×12+ガタッはお約束。
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レベル1・2の方が相対的に難しい逆転したバランス。
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レベル1・2の場合出現する敵が、基本的にタマのみで、パワージュエルやパワーソードがないとタマを倒せない。
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まっとうくじらを倒すことでそれらを出すことができるが、水辺がない地域でもタマは出現するので、そこはどうしようもない。
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詰みが発生することがある。
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キーアイテムについては配置がランダムのため、ごく稀にだが全ての洞窟を回っても全種類揃わないことがある。こうなってしまうと最終ステージに入る事が出来なくなるため、最初からやり直すしかなくなってしまう。
総評
当時は長く楽しませるために軒並み高難度なゲーム揃いだったが、その点も決して極端なものでもなく、調整次第でプレイヤーのスキルにあった難度でプレイできる。
倒せない敵も、ひと手間でのパワーアップで乗り切れるなど、理不尽な点はなく、またボーナスも豊富で爽快感も充分。
ファミコン初期のゲームで割と当りさわりないアクションゲームだが、中身はバグもなくバランスにも優れており、地味ながら完成度は高い。
余談
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洞窟の番人ガイコツ「カラ」が当時の攻略書籍で「ケラ」と誤記されたことが多々あった。
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ちなみに「ケラ」とは『スターフォース』に登場する1UPキャラ。
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本作のシーン1のBGMはシューベルトの『軍隊行進曲』で、昭和末期から平成初期で同曲が使われたCMがあり、クラシックというより「チャレンジャーの曲」という第一印象を持った少年少女が多く存在した。
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ファミコンブーム草創期作品ということもあり、本作の漫画も非常に多かった。
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代表的なのは徳間書店のわんぱっくコミックスシリーズの「ファミコンまんが大全集①」に掲載されたもの(作・やまと虹一)だろう。
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その漫画では主人公は「チャレンジャー・オノダ」という名前になっており職業は考古学博士ではなく、ルポライターということになっている(「ルポライター」という職業を少年層が理解できるかどうかは疑問だが)。
ゲーム本編の設定をそのまま漫画化したのではなく、ナイフを使わず主に格闘戦で戦い、最後には手榴弾を投げるなどかなりアレンジされた漫画で、短編ながらもなかなか見ごたえがある。
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また、同シリーズで「ファミリーコンピュータ必勝テクニック完ペキ版1」にも本作の漫画が掲載されている(作・すずおやすき)。
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こちらはチャレンジャーの格好をした「ファミコンキッド」と名乗るおっさんが、攻略法を説明するだけのプレイヤー漫画になっている。
因みにこの漫画の作者も上記の「アリジゴク脱出で1万点」というデマに引っかかったようで、そのまま漫画に描いてしまっていた。
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徳間書店のテレビランドわんぱっく84「ファミリーコンピュータ大図鑑 PART7」で本作も掲載されており、ショートストーリーの漫画も掲載されている(作・岡崎忠彦)。
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その漫画ではワルドラドの兜にナイフを投げつけると割れて、その正体は李成岑(読みは「リ・セイケン」)だったというオチ。
漫画とは関係ないが、同書のゲーム解説では「モーリン」と「ケバラ」の絵が逆になっていた。
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直接の漫画化ではないが、ファミコンソフトを題材にした漫画「ファミコンロッキー」(作・あさいもとゆき)でもやはり本作は取り上げられている。
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実機に存在しない創作技で有名な漫画だが、本作の回で描かれた「シーン1のワルドラドにナイフを12発当てるとシーン4にワープする」は同作には珍しく事実である。
内容の項でも少し触れた通り、連射の利かないナイフを12発も当てるのは通常では不可能であり、この裏技も再現は無理という事で創作技だと思われていた。
しかし実際にワルドラドにナイフを12発当てると、漫画で描かれた通りワープのプログラム処理は本当に行われる事が後年の解析や改造で明らかになった。
通常プレイでは不可能な裏技を作者だけがやれたとは考えにくく、恐らくハドソン側から情報提供を受けていたと思われる。
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2005年8月にはアプリ版が配信されている。
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FC版をほぼ再現したクラシックモードと、新グラフィックに加え一部システムを調整したアレンジモードの2種類を選択可能。
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アレンジモードでは会話デモも入っている。チャレンジャーは王女マリアの救出に熱意を燃やすが、彼女の事を「マリアちゃん」と呼ぶなど軽い性格となっている。
最終更新:2024年08月16日 21:36