ロードランナー
【ろーどらんなー】
概要
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パズル要素のあるシンプルなアクションゲーム。主人公は、穴を掘るしか特技のないキャラクターで、番兵から逃げながらひたすら金塊を集めるゲーム。
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世界中でヒットし、多くの機種に移植された。ウィザードリィと共に、日本のパソコン黎明期にヒットした海外のゲームの一つ。
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なお、本作は『チョップリフター』『バンゲリング ベイ』と世界観を共有する『バンゲリング帝国三部作』シリーズの第2弾でもある。
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設定的にはバンゲリング帝国の資金源である金塊を奪取する任務となっている。
特徴とシステム
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ステージは、「足場となるブロック」と「ハシゴ」そして「綱渡り用のロープ」だけで構成されている。
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ブロックには穴が掘れるものと、掘れないもの、それと落とし穴(トラップ:一見ただのブロックだが、すでに穴が空いており、通過すると下に落ちてしまう)がある。
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ステージ数は全部で150。
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移動は上下左右のみ。ジャンプしたりしゃがんだりする事はできない。
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綱渡り用のロープに掴まっている時は、方向キー下を押すと手を離し、下に降りられる。
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上記のステージに、「金塊」と「敵キャラクターである番兵」が配置される。それぞれの数はステージにより異なる。
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金塊を全て回収すると、脱出用のハシゴが出現するので、それを上ればステージクリア。
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しかし、番兵に接触するとミスになり、ステージの最初からやり直しになってしまう。自キャラを追ってくる番兵からいかに逃げるかが、攻略ポイントとなる。
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番兵は自キャラを最短距離で目指して来るわけではなく、周囲の状況により追ってくる。そのため誘導の仕方もいくつかのパターンが存在するステージもある。どのように誘導するかが、ステージクリアへのカギとなる。
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また、番兵は金塊の上を通過するとそれを奪っていく。しばらく待つか、後述する穴に落とすと手放す。ただし、番兵1体が保持する金塊は1個のみであり、すでに金塊を持っている状態なら、その番兵はそれ以上拾わない。
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自キャラは左右の足元(立ち位置の右下か左下)のブロックに、1ブロック分の穴を掘る事ができる。ただし、自分の真下やハシゴの真下にあるブロックを掘る事はできない。
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番兵がこの穴に落ち込むと、番兵は穴にハマりしばらく身動きがとれなくなる。
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穴にはまった番兵の頭上は通過できる。また、番兵が金塊を奪っていたときは、頭上に金塊が出現するので、それを取り返す事ができる。
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掘った穴は時間が経つと塞がってくるが、その際に穴にはまっていた番兵や自キャラは生き埋めになってしまう。
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自キャラの場合はミスになる。これに対して番兵の場合は、画面の上からすぐに新たな1体が追加され、その人数が減ることはない。
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自分でステージを作れるエディット機能が付属していた。
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これにより、オリジナルのステージのみで構成されたデータ集なども販売された。
評価点
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シンプルなルールだが、真下に穴を空けられないなどのちょっとした要素が、深いパズル性を生み出している。
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例えば二段下へ穴を空ける場合、まず一段目に自分が穴を空けるためのスペースを確保するための2ブロック分の穴を掘る。そしてその穴に降り、2ブロックの一方に穴を空けるという手順になる。
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何段も掘る場合、一段目に掘る穴の数を間違えると、はまってミスになってしまう…という事態になる。
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空けた穴がしばらくして塞がるというシステムも、様々なテクニックを生んだ。
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例として、自キャラが掘った穴の下に空間がある(ブロックなど何もない)場合、穴に入ると自キャラはそのまま下へ落ちるが、番兵は穴にはまり、宙に浮いたまましばらく身動きがとれなくなる。このテクニックを使うことで時間稼ぎができる。
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この「時間と共に元に戻る」性質を活用せねばならない局面もある。一見ハマりになりそうな場面でも埋め戻るタイミングをずらして切り抜ける「時間差掘り」や「逆転掘り」など様々なテクニックが生まれた。
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自作ステージ用エディタは、データ集を出せる程、好評を得た。
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要素はシンプルなので、とりあえずレベルであれば初めてでも作成可能。拘りながらそれに伴う計算ができない以外は、クリア不可に作ってしまうこともないだろう。
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一方で、クリア不可にしか見えないステージでもクリア可能なステージなど、ユーザー同士による拡張がかなり大きかった。
問題点
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海外含め当時のPCの多くに移植されたが、APPLE版の解析を行い、MS-DOS版のソースコードを参考にして制作されたPC-8801版などでも、APPLE版の番兵とはいくらか挙動の違いがあるため、他機種でエディットした面がそのまま通用しない場合も多い。余談にも記載されているが、画面のサイズが違うものもあり、そのままエディットすると想定した解法と違う場合もあり得た。
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多くの機種は面セレクトとプレイヤーの残数を増やす機能が標準についているため、スコアアタックなどの楽しみはあまりない。ハイスコアを記録できる機種もあるのだが、存在感が薄い。
総評
非常にシンプルでとっつきやすい。
手軽であり、ついついやり続けてしまう小気味の良い爽快感があり、そのゲーム性はファミコン黎明期のアクションゲームを思わせる。
エディタが付いているのも面白い。構成要素が数えるほどしかないので、オリジナルのステージを作りたくなるプレイヤーが出てくるのも分かる。
単純な要素でゲーム性を深めているのは、まさにアイディアの勝利。
余談
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タイトルの『Lode』は坑道の意味。『Load』や『Road』と間違われることが非常に多い。
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PC黎明期には、市販のソフトウェアを購入してコンピュータ上に読み込み(LOAD)、実行(RUN)させるだけのことしかしない人、転じてプログラムを書けない(書かない)人のことを表す「Load Runner」という本作に由来した俗語があった。
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国内で販売されたPC版はその殆どがオリジナルと比べて横のブロックが2個少ない数で構成されており、また縦のブロック数が少ないものも存在する。
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コンパイルが移植したMSX版とコスモス岡山が発売したMZ-1500版、SONYが発売したSMC-777版が、オリジナルと同様の横28×縦16ブロックで構成されている。
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上級者向けに『チャンピオンシップ・ロードランナー』も移植発売された。
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このチャンピオンシップのオリジナル版はブローダーバンド社に送られてきたユーザー製作のステージ。その中から厳選して構成されている。
ファミコン版
発売元
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ハドソン
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メディア
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192KbitROMカートリッジ
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発売日
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1984年7月20日
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価格
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4,500円
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2007年3月6日/500Wiiポイント 【WiiU】2014年9月17日/514円
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判定
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良作
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概要と原作との違い(FC)
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オリジナル版「ロードランナー」は一画面のみで構成されている。これを移植したハドソンはスクロールする二画面構成に変更。FC版は大ヒットし日本でのスタンダードになったが、オリジナル版を尊重する人から「スクロールによるゲーム性の変化」は強く非難され、製作の段階でも本家Broderbund社から難色を示されていたほどであった。
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翌85年に上級者用の『チャンピオンシップ・ロードランナー』を発売。全50面構成で10面まではステージ画面のセレクトが可能。以降のステージはクリア時に表示される『パスワードを入力しないと挑戦できない』仕組みになっている。発売当時50面までのパスワードをすべて書き留めてハドソンへ送るとクリア認定証「チャンピオンカード」が貰えるキャンペーンを行っていた。
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この移植版では横方向だけでなく縦方向へもスクロールするが、ポーズボタンを押すとスクロールさせて画面を見渡せるようになった。
評価点(FC)
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ハドソン版「ロードランナー」の魅力の一つにキャラクターの愛らしさが挙げられる。オリジナル版は棒人間といった感じで愛嬌が無い。
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主人公「ランナーくん」は、地下で爆弾を作るために働かされていたロボットという独自の設定。そのスピンオフ作品がFC版ボンバーマン。詳しくはリンク先参照。
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オリジナル版「ロードランナー」と「ボンバーマン」の間には何の繋がりもない。あくまでもハドソン独自の設定。
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エディットモードの搭載。
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普通に面を作る以外にも、様々なテクニックの舞台を自分で作って練習できる。オリジナルの「逆転時間差掘り」等の再現も可能。
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『裏技』という言葉を生んだバグを持っている。
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面セレクトの際にゲームスピードを変える裏技がある。最高速度にすると別次元の高難度のロードランナーが楽しめる。
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特定の操作でボーナスフルーツが出現する。クリアのためには取る必要はないが、あえてこれを取ってからクリアするという上級者プレイが可能。
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ハシゴの上にレンガがある地形で、レンガを掘ってハシゴの下から登りきった状態で待つと、レンガに埋まっても死なず、レンガの判定がなくなる。
問題点(FC)
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解像度の問題から来る、原作ゲームとの若干の違い。
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かなり右か左に行かないとスクロールしないため、画面外から突然現れるロボットに対処しづらい。
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エディット面の保存には周辺機器が必要
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エディットモードで作ったステージは一度電源を切ると消えてしまうので、保存したい場合はファミリーベーシック用データレコーダーHVC-008が必要となる。
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エディットモードでミスをすると自動的にステージ作成画面に移行するが、この画面を見てしまうと落とし穴や脱出ハシゴの位置がバレバレになってしまう。作ったステージを他人にプレイさせる場合は、画面を見ずにスタートしなければならず、また別の手間がかかる。
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スコアや残機の意味が薄い
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残機はスコアでは増えず、ステージをクリアすることで1増える仕組みである。簡単なステージを何度もクリアすることで無限にスコアや残機を稼げてしまう。
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そもそもステージ選択機能があるので、残機が尽きても同じステージからやり直せてしまう。
総評(FC)
ファミコンの解像度という問題はあったものの、ゲームの面白さは十分伝わる。移植作としては悪くない出来。
余談(FC)
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同社の『ナッツ&ミルク』と共に、ファミコンにおけるサードパーティー第1弾としても知られ、参入や開発などに関する数々の逸話や伝説も残っている。
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ハドソンの両作品はゲームレコードを競うタイムアタックが何度も開催された。
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パスワード無しの『チャンピオンシップ・ロードランナー』が世に2本作られている。イベント時の進行を円滑にするために作ったとされ、その内の1本は高橋名人が所有している。
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「元は固定画面だったものを左右スクロールするようにしてブローダーバンドに見せたらNGが出て、社長とプログラマーの中本氏が説得した」と高橋名人が語っている。
その後の展開(FC)
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FC版ステージを再利用してのリメイクが多数発売された。
SG-1000版
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FC版と同時期の家庭用ゲーム機への移植にセガのSG-1000版がある。こちらはステージ数は80面(原作から78面、セガ独自ステージが2面)で固定画面だが画面構成が横30×縦11サイズとなっている。SC-3000系のパソコンや、SG-1000シリーズと別売りのキーボードSK-1100があればステージコンストラクションも可能。
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SG-1000版特有の問題点として、一部のステージで処理落ちが掛かってスローになる事がある。
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『チャンピオンシップ・ロードランナー』は、セガのSG-1000版でも発売されている。ステージ数は50面(原作から45面・セガ独自ステージが5面)。前作同様固定画面であり、画面構成がオリジナル版に忠実になった。こちらはキーボード不要で、SG-1000シリーズ単体でコンストラクション可能になった。
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前作の問題点は完全に解消された上に、オリジナルのBGMも付いた当作であるが、最終面はよりにもよってファミコン版も1面(デモプレイでも見られる)である。しかも本来コンクリートだった部分を間違えてレンガを配置してしまった為、デモプレイみたいに敵を利用せずに普通に掘って攻略出来てしまうというオチも…。
アーケード版
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ロードランナー
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アイレムがBroderbundの許諾を得て1984年にリリース。そのため世界観もバンゲリング帝国三部作がベースになっている。
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基本ルールは踏襲しつつも、アーケードらしく制限時間やスペシャルボーナスが導入されたり面構成や敵の挙動など至る所に大胆なアレンジが施されており、結果として21世紀に入ってからも一部のゲームセンターで稼働し続ける名作となった。
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1面はオリジナルとほぼ同じ構成である。意外だが落とし穴(トラップ)は登場せず、アクション性の高い面主体の内容。
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第1作で、なおかつマザーボード対応作品だっただけに殆どがROM交換されてしまい、現存数はあまり多くない。
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ロードランナー バンゲリング帝国の逆襲
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1984年リリースのアーケード2作目。落とし穴(トラップ)がようやく登場し、時間差掘りを上回る逆転掘りなどの高度なテクニックを求められるようになった。一方で、敵をやり過ごしながらひたすら進む7面や上から敵に金塊を運ばせる12面など、時間制限の無いオリジナルと比べて難易度がアップしている面も。
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ロードランナー 魔神の復活
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1985年リリースのアーケード3作目。パズル性がさらに強化されたが、前作程の理不尽な難易度では無くなった。また過去作とは異なり、本作から音質が改善されてBGMがノイジーでは無くなった。だが、歴代の作品ですら生温いと思わせるほどの最終作が翌年登場する。
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ロードランナー 帝国からの脱出
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1986年リリース。アイレム版ロードランナーのアーケード4作目にして最終作。2人同時プレイモードも追加され、高難易度化は留まるところを知らないようで、動かせるブロックや見えないブロックまで登場する上にありとあらゆるテクニックを駆使しなければならない激ムズの面構成ばかり。
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敵を埋め殺さないように秒コンマ単位で誘導しながら攻略しなければならないステージや、過去作はおろか原作ですらありえなかった
レンガ部分をぶち抜いて現れる脱出ハシゴ
等のギミックがあるステージは流石に賛否両論であった。
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2人同時プレイの「ペアゲーム」はシングルプレイとは別の面が用意されており、そこで要求されるプレイは「敵の上の相棒の上に乗って、敵の動きに合わせて相棒と一緒に移動」など、もはや大道芸の領域。
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実はシリーズ中一番出回りが悪かったのが本作であったりするのだが、対応するマザーボードの最終作でもあった為かROM交換されにくく、基板の現存率は3作目と同様に比較的多い模様である。
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このアーケード版をベースにした『スーパーロードランナー』がMSX2とファミコンディスクシステムで発売されている。ディスクシステムではエディット機能でユーザーから公募したオリジナル面を集めた『II』も出ていた。
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ロードランナー The Dig Fight
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2000年に彩京から発売。基本ルールは変わらないが、「上限有りの持ち時間制」でスコアや残機が存在しない。ミスをしても残り時間を1分減らして再開でき、クリアすると2分増える。また、掘った穴を埋める事が可能となった。
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初級~上級とコースが分かれたため、ステージは各6~12と少な目になっている。
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2人対戦プレイが初登場。基本ルールは相手を穴に落として埋めたり、敵モンスターを買収して相手を邪魔するといったテクニック等を使い、ステージ上のアイテムを全て取れば勝ち。過去作にもあった2人協力プレイも別途可能。
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ゲームオーバー時には、解法のヒントとなるリプレイ画面が表示される。
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『対戦ホットギミック』のように通信対戦が可能。対戦相手を埋めたり、自分の色のアイテムを先に全て取った方が勝ちとなる。
プレイステーション/セガサターン版
ニンテンドーDS版
概要と原作との違い(DS)
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FC版の『ロードランナー』と『チャンピオンシップ・ロードランナー』を1本に纏めた。
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リプレイと言う形で解答も見られるため、どうしても詰まった場合の救済措置もある。
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初心者向けのチュートリアル「ロードランナー道場」、くじら氏監修の敵が一切出てこない「詰めロードランナー」30問が新たに加わった。
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FC版ロードランナーのエディットモードで自作した面を完全移植したためか、元を知らないとステージ名が訳の分からないものもある。
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DSの上画面にステージ全景を表示しており、FC版の最大の難点が克服されている。
最終更新:2023年07月14日 23:20