SILENT HILL: Book of Memories

【さいれんとひる ぶっくおぶめもりーず】

ジャンル アクションRPG
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
メディア PSVitaカード / ダウンロードソフト
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 WayForward Technologies
発売日 2013年2月14日
定価 パッケージ版:5,980円(税込)
ダウンロード版:5,480円(税込)
レーティング CERO:D(17才以上対象)
判定 クソゲー
シリーズファンから不評
ポイント まさかのアクションRPG
面白味に欠けたゲーム部分
シリーズらしさも消失
SILENT HILLシリーズ


概要

人気ホラーアドベンチャー「サイレントヒル」シリーズのスピンオフ作品。
今作はなんとリアルタイムアクションRPGとなっており、旧作とはゲーム性から言って全く異なったものとなっている。
ランダムダンジョン、戦闘によるパラメーターの成長、ダンジョン内のトラップなど、いわゆる「ローグライク」の括りに入る内容であり、
マルチプレイによる多人数での攻略を意識したゲームデザイン、俯瞰視点のゲーム画面はサイレントヒル版『Diablo』と言った所。

ZERO』以降の作品同様、海外企業による外注開発であり、本作は『Shantae』シリーズなどで有名なWayForwardが開発を担当している。
また、シリーズで唯一日本語吹き替えがされている作品でもある。


ストーリー

誕生日、不思議な本が家に届いた。
送り主の住所はサイレントヒル。
その本には、なぜか自分の過去の出来事が書かれていた。

その夜から悪夢をみるようになる。
悪夢の世界を解き進み、目覚めると現実世界が変わっていた…。


特徴

  • 今作は謎の「本」の力で発現した悪夢の世界のみが舞台となる。
    • 悪夢世界の各階層は「ゾーン」と呼ばれるダンジョンとなっている。プレイヤーはこのゾーンに挑み、敵を倒し、謎を解いて出口に辿り着くことで次のゾーンに進んでいく。
    • 3ゾーン毎にボス「守護者」が待ち受ける。これを倒すとストーリーが進み、新たな地形のゾーンに進出する。
    • ゾーン21にいるラスボスを倒すとエンディングとなる。その後もゾーン22以降に挑戦することができる。
  • 今回の主人公はプレイヤーが名前、性別、外見をカスタマイズすることができる。
    • 体格や服装、チャット時のボイスは「スタイル」というプリセットで予め決められているので細かい項目はいじれないが、顔つき、髪型、カラーリングは好きに変えられる。それに加えて帽子、眼鏡、仮面と言った装飾品も付けられる。
    • スタイルは個性豊かで、様々なタイプがある。「小売店勤務の若者」(夜勤があるという言及などから、おそらくコンビニエンスストアの接客業務)という設定の割にパンクロッカー風、ゴスロリ風、高校生の制服のような服、コスプレ衣装まで用意されているのはご愛敬。
    • 主人公自体の設定や人間関係も固定で作中では普通に喋る。プレイヤーの分身を作るというよりは、主人公の容姿を好きにいじれると言った所。
  • 戦闘はゾーン内で拾った武器で行う。威力は低いが素手攻撃も可能。
    • 武器には耐久力があり、使い続けると壊れてしまう。リペアキットを使えば修理して耐久力を満タンにすることが可能。
    • 銃器は弾が無くなると殴りつけて攻撃する。弾は銃弾パックを使用してリロードできる(全銃器共通)。
    • アイテム所持数はショップで新しいリュックを買えば増える。
    • 片手武器の場合は右手、左手にそれぞれ持って個別に攻撃できる。また、リロードと修理は両手の武器に一度に実行できる(アイテム消費も一回分で済む)。
    • 武器は過去シリーズに登場したものが多い。鉄パイプ、ハンドガンなど御馴染みのものの他、大鉈、ハイパースプレーと言った本シリーズならではのものも。
    • 近接攻撃は素早く連撃を繰り出すコンボアタックと、敵を怯ませるヘビーアタックの二種類がある。また、近接武器はコンボを一定数まで繋げると「処刑」「虐殺」と言った強力な攻撃が行える。
  • カルマメーター
    • 主人公に宿る「カルマ」という力の属性を示すメーター。カルマにはそれぞれ「血」と「光」の属性があり、メーターが左に振れれば血、右に振れれば光の力が強まっていることになる。
    • カルマは敵を倒した時に出る血溜まりを踏むと変動する。白い血を踏むと光寄り、赤い血を踏むと血寄りにメーターが動く。
    • 敵にも属性があり、見た目やロックオン時の名前の色で判別できる。主人公の属性が強まると、同じ属性の敵の攻撃が緩くなったり、反対属性の敵を一緒に攻撃したりすることも。
      • 但し、光属性の敵なら赤い血を、血属性の敵は白い血を流すように、敵は反対属性のカルマを残すようになっている。
      • 尚、通常よりも巨体の「鉄」属性の敵も存在するが、これは倒してもカルマを残さない。
  • 敵となるクリーチャーは特性を持っていることがある。
    • 近付けば燃え移る「可燃性」や、攻撃すると近接武器の消耗を早める「腐食性」に加え、ライトを消してしまう「暗黒」など、いずれも厄介なものが揃っている。
  • 夢の中という設定の為か、主人公自身も超常的な技を放つことができる。
    • 「パワー技」…いわゆる必殺技。敵を弾き飛ばしたり、武器を敵に突き刺して継続ダメージを与えるもの、敵の属性を入れ替えるものなどがある。使用には敵を倒すと溜まるオーブが必要。新しい技は店で購入できる。
    • 「カルマ能力」…いわゆる魔法。前述のカルマメーターを消費して攻撃したり、敵のHPを奪うことができる。
  • 従来同様、懐中電灯を点けることができる。ゾーンは暗い場所が多いので探索する上での必需品となる。
    • 部屋にはアイテムが収納された引き出しが存在するが、通常では背景と変わらないので見た目での判別が出来ない。ライトを当てる事で引き出しになっているオブジェクトが赤くなって判別できる。
    • ただし、敵の中にはライトを当てられると狂暴化するものがいる。
  • 各ゾーン内にはショップが一箇所ずつ存在する。『DOWNPOUR』にも登場したハワード・ブラックウッドが店主を務めており、アイテムや武器の売買が可能。
    • ゾーンでは「記憶の欠片」(MR)というポイントが手に入り、これが代金となる。
  • ゾーンの出口は必ずパズルで塞がれており、クリアするためにはパズルのピースを集めて正しくセットしなければならない。
    • ゾーン内の部屋にある「チャレンジオーブ」を破壊して出現する敵を倒すとピースが手に入る。ただし、「HP減少を抑える」「特定の敵を倒す」などの課題が設定されていることもある。失敗した場合は再挑戦可能。
    • パズルのヒントは必ずどこかにメモとして置いてある。正解には法則性があるため、難易度は高くはない。
      • レバーを倒すと現在の配置がどのくらい正しいかが示されるが、倒す度に報酬のMRが減っていく。
  • ゾーンスタート地点ではシリーズに度々登場する天使「ヴァルティエル」がミッションを課してくる。これを達成すると出口前にヴァルティエルが再び現れ、ご褒美をくれる。
    • その為、今回は珍しく味方の立場で、しかも意思疎通のできるヴァルティエルを見ることができる。
  • 武器やアイテムが置かれた部屋。工芸品(アクセサリー)が貰える部屋、セーブができる図書館、奇妙なイベントが起こる「忘れられた部屋」など、小部屋がいくつも存在する。
  • 多人数プレイ前提のゲームらしく、「ついてこい」「下がれ」などの定型の台詞を送るチャット機能がある。口調はスタイルによって変わる。
    • 解説書には「マルチプレイで送る事ができる」と書いてあるが、シングルプレイでも台詞を発する事は可能。
  • メモと放送番組
    • 世界観を掘り下げるフレーバーテキスト的なものや、主人公自身に関わるファイルなど多数のメモがゾーンのあちこちに配置されている。
    • 主人公に関わるメモの多くは敵同様に属性があり、主人公の行動に応じて属性と記述が変化する。全体的に血属性だとネガティブ、光属性だとポジティブな内容になる。
      • 入手した属性持ちのメモに応じて、ボス撃破後のメモ(主人公が「本」を使って叶える願いの内容)が変化し、エンディングにも影響する。
    • テレビの置かれた部屋の敵を全滅させると、テレビが点いて音声が流れる。いずれも主人公の過去や、関係者の様子であり、これも主人公の行動によって変化する。
    • メモ、放送番組はいずれもメニュー画面から閲覧・試聴可能だが、メモは最後に入手した属性のものしか見られない。

評価点

  • 豊富なシリーズネタ
    • 登場するクリーチャー、武器、工芸品のほとんどはシリーズ過去作に登場したものであり、ファンならニヤリとできる。
      • 更にDLCを導入すると、テレビ(投擲用)、ビームセーバー、プリンセスハートのステッキ*1なんてものも装備できるように。
    • DLCでは過去作主人公のジェイムス、ヘザーにカスタマイズすることも可能。
    • メモにも過去作を想起させる記述があり、想像力を掻き立てる。
    • 極め付けが隠しエンディングである(後述)。
  • 凝った内容のメモと放送番組
    • ストーリー描写の希薄な作品だが、メモ、放送番組で語られる現実世界の様子は細かく作り込まれている。
    • 放送番組での登場人物のやり取りは生々しく、『サイレントヒル』らしいかはさておき、時には昼ドラ並のドロドロしたやりとりが繰り広げられる事も。
    • また、主人公の性別に応じて内容や登場人物も一部変わる。他の作品でありがちな「男性主人公前提で作られている所為で、女性主人公だと違和感が生じる」という点もほぼ無い。華奢な女性が大鉈を平然と振り回したり、男性がプリンセスハートのビームを放つなどの点を除けばだが。
      • 各エンディングは「本」に記述された挿絵と音声だけのシンプルなものだが、地味にここの挿絵も性別で変化している。
  • シリーズのお楽しみ、隠しエンディング
    • 「UFOエンディング」に代表される、サイレントヒルシリーズお馴染みのジョークエンディングも勿論健在。
      + その内容は…
    • ラスボスを倒した後、何故か主人公は「忘れられない休暇に出よう」と言い出し、唐突に6人の若い男女(恐らく主人公とその友人達)がサイレントヒルに向かうというもの。
    • このエンディングに入ると突然、「本」が漫画に変貌し、アメコミチックな絵柄で描写されたコミック風のムービーが展開される*2。そしてその内容はまさかのサイレントヒルオールスター
    • 到達の条件も緩めで、他のエンディングをコンプリートしたり、ゾーンを何十も進める必要は無い。
      • その条件は特定の工芸品を装備してラスボスを倒す事だが、それが「チャネリングストーン」や「ドッグタグ*4」やらというのもシリーズファンなら納得だろう。

問題点

シリーズとしての不満

  • 外伝である事やゲームジャンルの変更故に、単純比較はできないにしてもシリーズの特色の殆どが失われている。
    • 過去作の特徴であった「生理的嫌悪感を催す裏世界」「恐怖の中に悲哀を含んだストーリー」は皆無も同然。
    • ジャンル故に仕方ない点だが、ゲーム然としたパラメーター管理や、好戦的に多くのクリーチャーをなぎ倒していくゲームデザインによってホラー要素が殆ど無い。
      • 設定面でも、旧作では否応無しに怪異に巻き込まれていく形だったのに対し、本作は最序盤を除けば「欲望を叶えるために自ら怪異に飛び込んでいく」である為、恐怖も何もあったものではない。
      • 今作における裏世界である「悪夢の世界」も、言ってしまえば「欲望を叶えるための試練」に過ぎないので尚更恐怖感が無い。
      • 主人公自身もおぞましい化け物と血で血を洗う死闘を繰り広げながら、それを「本の副作用で見る妄想」としか思っていないのでホラーゲームの主人公らしく恐怖感や緊張感を抱く事はほぼ皆無。
    • シリーズ縁のガジェットが無節操にばら撒かれた様子は寧ろバカゲー的な雰囲気がある。
  • 舞台となる悪夢の世界は、構造が異様ではあっても旧作の裏世界のようなおぞましさは無い。
    • 炎のゾーンは工場のような場所だし、森のゾーンは正に森。光のゾーン、水のゾーンは整然としてすらいる。精々、血のゾーンがやや気持ち悪い程度。
    • 旧作から登場しているクリーチャーと違い、本作オリジナルの「守護者」も殆どが気味の悪さ、おどろおどろしさの薄い、RPG然としたモンスターとなっている。精々、血の守護者が(ry
  • カットシーンが最序盤とラスボス戦前程度しか無く、ストーリー描写は基本的にメモと放送番組のみ。ろくなイベントもないままプレイヤーはただ淡々とゾーンをクリアしていく事になる。
    • 各エピソードの導入部すらも、ゾーンの入り口に落ちている主人公の近況を記したメモで語られるのみ。ゾーン間のインターミッション的なイベントは皆無も同然*5
    • 過去作でも、本編ではあまり饒舌に語らずファイルを読み解く事で詳しい背景が見えてくる、というシナリオ運びはあったが、本作は正真正銘ファイルでしか語られない。
  • そしてそのメモや放送番組で語られるストーリー自体も、サイレントヒルと微塵も関係ない、主人公の内輪の話。現実で身の回りに何か問題が起こった主人公が、本を使って事実を書き換えていく、の繰り返しで深みも起伏も無い。
    • 主人公が現実を書き換えた結果についても、ボス撃破後にメモで事後報告的にさらっと語られるだけなので実感も薄い。
      • 終盤、主人公が「本」の危険性に気付いた事で「本」にどう対処するかという形でEDが分岐するのだが、そこに至るまでの主人公の葛藤や迷いが基本描かれないので唐突に感じる。
    • 主人公を怪しむ警官、同じ「本」の持ち主で主人公の命を狙う犯罪者など、ストーリーを面白くしそうなキャラもいるのだが、主人公のやることは「本を使って自分に手出しできないようにする」だけ。
    • 挙句、「本」自体も何だったのかも語られず終い。あるのはメモによる抽象的、断片的な情報だけで、何故主人公の元に送られてきたのかも含めて投げっぱなしである。この「本」に関する問題はどのエンディングでも解決も解明もされることはない。
      • クリア後のゾーンを進めれば「本」の出自にまつわるメモが手に入るが、後述するようにクリア後のゾーン攻略は単調で苦行である。そもそもそこまでして手に入れるべき情報かと言うと…。
    • 従来同様のマルチエンドではあるが、本作はどれも後味の悪い結末ばかり。旧作もハッピーエンドと言えるものは少なかったが、どの作品にも希望が残るエンディングはあった。しかし本作はジョークエンドを除けば正にマルチバッドエンドである。パッケージには「光の未来か血の結末か」と書いてあるが、どちらに転ぼうが転ぶまいがバッドエンドに変わりは無い。
      • 主人公がやってきたのは「本」で好き勝手に現実を書き換える事なので、その代償と考えれば理解できなくもない。
      • が、前述したように「本」に関しては最後まで投げっぱなしのままで終わる。
  • 過去作のクリーチャーが多数登場するのだが、「ゴースト」「ロウショック(DLCで登場)」と言った旧作では倒せないクリーチャーも普通に倒せるなど、設定面での乖離も目立つ。
    • 「ブッチャー」「ブギーマン」などの過去作主人公と因縁のある特別なクリーチャーも、本作ではただの「強い雑魚キャラ」に過ぎない。
    • あくまで夢の中の存在で本編とは違うということなのだろうが、過去作で無類の強さと存在感を誇っていた人気クリーチャーの三角頭ですら量産され、普通に倒されてしまうのはファンを何とも言えない気分にさせる*6
    • また、原作『4』では「重くて武器としては使えない」という設定だった帰服の剣も普通に振り回せる上、これが唯一の弱点であったゴーストには大して効かない、と言うようなもはや名前と外見を借りてきただけの要素も。

作品としての問題点

  • 海外製になってから難易度が上昇傾向にある本シリーズだが、本作の場合は難しいというより不便、面倒、理不尽な面が強い。
    • 敵のHPの多さに反して武器が非常に脆い。最初の方はともかく、先のゾーンに進むと弱い武器では敵一体も満足に倒せず壊れてしまうほど。
    • 銃器も威力が低く、ろくに敵を倒せず弾切れになることなど日常茶飯事。
      • ハンドガンはひたすら弱い。サブマシンガン、アサルトライフルは装填数が他の銃と大して変わらないので瞬く間に弾切れになる。
      • アップデートで装填数が全体的に上がったが焼け石に水。ショットガンは威力の割に弾数が多いので使い易くなったが。
    • 武器毎に熟練度が存在し、使い込めば威力が上がっていくが、武器の種類の多さと脆さからなかなか上がらない。そして上がった所で劇的に強くなる訳でもない。
  • ゲームバランスも良くはない。
    • 敵の攻撃力が全体的に高く、アイテムの回復量を軽く上回るダメージを平然と与えてきたり、直撃すれば即死級のダメージを受ける攻撃を繰り出す敵が普通に出てくる。好意的に解釈すれば、おそらくホラーゲームとして理不尽な死と隣り合わせのスリルをプレイヤーに味わって欲しかったと思われるが、好意的に解釈できない人にとってはただの理不尽である。
      • ブッチャーは一撃一撃が痛いのに、近付けば(ガード不能の投げ技で)掴んで切り刻まれ、離れれば包丁を投げるように、遠距離だろうが近距離だろうが強い。しかもスーパーアーマー属性持ち。
      • ブギーマンも攻撃力の高さに加え、霧で攻撃を無効化したり、離れても霧の遠距離攻撃を繰り出し、さらには部屋の外まで追ってくる無茶振り。挙句、ショップの中まで主人公を追ってきて、ショップメニューを開いてアイテムを購入している最中にもお構いなしに(一撃必殺の攻撃力で)殴ってくる。
      • シリーズのファンからは「ただの強い雑魚キャラになり下がった」と嘆かれる三角様(ピラミッドヘッド)も、しばしば扉の横で大鉈を構えながら無言で突っ立っており、無警戒で部屋に入ってきた主人公を巨大な大鉈で一刀両断してくれる。食らうと一撃で死ぬ。
    • ガードはできるがあまり軽減してくれない。それでいて、ジャストガードで隙を作らないとダメージを与えにくい癖に何体もワラワラと出てくる敵が居たり…。
      • ガード時の防御力はステータス(DEX)に依存するため、レベルが上がってくるとガードの効果も出てくるのだが、そのことを実感できるのはおそらく本編クリア後、ステータスのカンストが見えてくる頃だろう。
    • アップデート前は死ぬとセーブした時点かゾーンの最初からやり直しだったため、うっかり致命傷を受けて殺されないようにと神経をすり減らす設計だった。
      • アップデートによって進行状況や武器、MRはそのままにすぐに再開できるようになった。リトライしても、生き残っている敵のHPこそは回復するが、倒した敵は復活しない為、難しいチャレンジの部屋でも一体ずつ仕留めていけばクリアは可能。
      • しかし死ぬ度に消費アイテムが減る(しかも残りは死亡場所に置き去りになる)ため、死亡→店でアイテム補充→死亡を繰り返すとMRが無くなってジリ貧に陥る事も。
    • また、ある部屋では早くフレッシュリップ*7を倒さないと、1体でも強いブッチャーが10体近く出現するという無理ゲー化してリセットせざるを得ないようなチャレンジもある。
    • それでいてラスボスは弱い。エンディング回収のために意図的に弱くした可能性もあるが…。
  • 武器の性能差が激しく、素手に毛が生えた程度の武器がいくつもある一方、強い武器は異様に強い。DLCで手に入るプリンセスハートや大槍はゲームバランスを崩しかねないほどに強力。
    • しかし普通にやっていると強い武器はなかなか手に入らず、しかも所持できる数も少ないので、ゾーン内にばら撒かれた弱い武器をどんどん使い捨てて進む事になる。
    • 後半になってくると弱い武器での接近戦自体が危険になり、その頃に出現し始める火炎放射器*8で遠距離から焼いた方が安全且つ効率的な為、ひたすら汚物を消毒して進むばかりに。
    • やはりマルチプレイ前提の模様で、シングルプレイではきつい箇所が幾つも存在する。
      • 前述の通りDLCを導入すると強力な武器が早く手に入るが、寧ろ救済措置的な面がある。DLC導入によって厄介なクリーチャーも出現するようになるが、強い武器が出現するメリットの方が大きい。
      • ただし、DLCは有料(800円)である。
  • どのゾーンも基本やることは同じなので、イベントの無さも相まって飽きやすい。チャレンジオーブも基本は敵を全滅させるだけなので単調。しかし出口を開けるにはゾーンの殆どを回らなければならなない。
    • ゾーンの構造も無駄に入り組んでいる上に、前の道と合流するという事もないので、プレイヤーはひたすらマラソンをさせられる。初期の主人公の移動速度も遅めなので、スムーズにプレイするならスピードを上げる「DEX」の強化は必須である。
    • しかも鍵の掛かった扉も多い。鍵はいずれも引き出しや床に落ちているのだが、そのために部屋一つ一つをくまなく探索させられる。そして取り逃がして進んだ日には、ただっ広いゾーンをひたすら探し回る羽目に。
  • ゾーン21でストーリーはエンディングを迎えるが、その後もゾーン自体は続く。トロフィーコンプリートまでプレイしなければならないゾーン数なんと100
    • ボリュームがあると言えば聞こえは良いが、実際は新たなストーリーが展開される訳でもなく、コピペ使い回しランダムダンジョンがひたすら続くだけなので、完全クリアを目指すとなると最早苦行である。
    • 完全クリアした所でトロフィーが手に入る程度で、別に凄いご褒美がある訳でもない。エンディングコンプリートやジョークエンドには関係ないので、面倒なら挑戦する必要が無いのは幸いか*9
    • そしてゾーン101以降もゾーンは続く。完全な自己満足要素なのでプレイしても見返りはほとんど無いが。
      • 海外の攻略サイトによればゾーン500まであるとかないとか。
      • 一応のご褒美要素として、ゾーンを進めば進めただけ、ゾーン選択画面の美麗な(?)背景イラストの続きを見ることができる。
  • 全体的に薄暗く見えにくいので戦況の把握に手間取る。
    • 暗所を僅かな明かりで進む本シリーズの雰囲気を再現しているのだろうが、Diablo系のゲームデザインと合っておらず、プレイに支障が生じる事も。
    • ライトを消す「暗黒」持ちの敵との戦いはろくに見えず、もう何が何だか分からない。
    • また、血のゾーンは全体的に赤いので、ライトで照らしても引き出しなのか判断しづらい。
  • メモの属性は主人公の行動が影響するのだが、それが何なのかは一切表示されないので思うように集まらない。
    • カルマメーターも影響しているのだが、他の条件の方が影響が強いらしく、光方向に振り切れているのに血のメモばかりになるなんて事も普通にある。
    • 海外の攻略サイトによると「ショップで買い物したか否か」「武器を買ったか、アイテムを買ったか」「懐中電灯を使ったか」「オブジェクトを壊したか」「銃器だけでクリアしたか」「処刑を発動したか」「マルチプレイをしたか」と言った非常に細かい条件があるとの事。しかしそれは明示されない。
      • 一応、海外の攻略サイトによれば「属性が変化するメモと同じゾーンで拾える無属性のメモがヒントになっている」らしいのだが、そもそもヒント読み解くためにもなぞなぞ的な暗号解読が必要で、そのヒントを解読するためのヒントが一切無いのでヒントになっていない。
      • 具体的に例を挙げると「ショッピングでプレゼントを買ってくれる異性が好み」というメモ →「ショップで買い物をする」とか、「ザ・エクセキューションズというタイトルの映画を見た」というメモ →「処刑を発動する」とか、何気ない文章に紛れ込んでいる単語からミッションの内容を探り当てろという、そういう感じ。
    • 「忘れられた部屋」での行動でメモの属性を変える事もできるがこれも分かり辛く、また、「忘れられた部屋」の出現もランダム。
    • エンディングコンプリートを目指すだけなら適度にメモの属性を変えれば良いが、トロフィーには「全てのメモを血(光)属性にした」というものがあるので、トロコンを目指すとなると厄介極まりない。
  • ロードが異様に長い。
    • ゾーン内が読込みなしの完全シームレスとなっている為か、ゾーン開始時には毎回非常に長いロードが入る。1分近く待たされる事などザラ。クリアしたゾーンの再挑戦、死亡時のやり直しが苦痛である。
    • アップデートにより、死亡時はロード画面を挟まず素早く再開できるようになったが、ボス戦では変わらず。
    • そしてゲーム起動時のロードも長い。
  • やたらタッチ操作を要求する。
    • 武器を拾うのにタッチ、アイテムの使用にタッチ、武器の切り替えにタッチ、メモの取得にタッチ、カルマ能力使用にタッチ、パズルを解くのにタッチ、工芸品の装備にタッチ、カルマ能力の狙いを定めるのに背面タッチ…と、無駄としか思えないほどにタッチ操作が要求される上にボタンで代用もできないので煩雑極まりない。
    • 特に戦闘中はいざという時に思うように操作できなかったりしてピンチに陥ることも。そして画面も指紋だらけに。
    • アップデートで改善されたが、当初は引き出しからアイテムを取り出すのですらタッチ操作を強要されていた。
  • カスタマイズの不便さ
    • カスタマイズ項目のうち名前、性別、顔、スタイルは一度決めると変更ができない。いずれも軽々しく変えられるものではない為、変更できなくなる事は納得できる。
      • しかしスタイル毎に服装が固定であるため、後から服を着せ替える事すらも出来ないのである。後から変えられるのは髪型、髪と服の色、装飾品だけ。
      • 「変身ストーン」というアイテムを使えば上記の項目も変えられるが、値が張るのでそうそう使えない。また、スタイルを変えると声やチャットの台詞まで変わってしまうので…。
    • 不便さとは少し違うが、スタイル毎に個性豊かなチャット台詞が用意されている一方、ストーリー中の台詞は声のトーンが変わるだけで、どのスタイルも男女毎全く同じ。主人公に台詞があるイベント自体多くはないが、スタイルによっては強烈な違和感に。
      • 例えばあるパリピ系のハイテンションな口調のスタイルは、イベントでは何故かやたらと低いトーンの声で喋る。違和感どころの話ではない。
      • DLCでジェイムス、ヘザーにした場合、チャットは原作通りの英語音声になるのだが、カットシーンでは普通に日本語を話している。
  • ジョークエンドのあれこれ
    + ネタバレ
    • シリーズファン爆笑のジョークエンドだが、欧米的な「深く考えずノリで笑ってくれ」という雰囲気で最低限の説明すら無い為、日本人プレイヤーだと理解が追いつかない可能性も。
    • まずいきなり6人の若者がサイレントヒルを目指す事に関する説明が何もない。彼らの容姿はいずれもカスタマイズのデザインを絵柄に合わせて若干アレンジしている為、スタイル毎に個別のキャラにしているのはわかるが、当然のように互いを名前で呼び合うのでプレイヤーからすれば誰が誰だか分かりにくく、人間関係も空気から察するしかない。
      • しかも本編に登場するキャラと同じ名前が2人もいるので余計に混乱する。
    • 本編や他のエンディングは日本語吹き替えされているのだが、このエンディングだけは英語音声のままで、吹き出し内のセリフが日本語化されているだけ。歴代キャラに日本語の声を当てない為かもしれないが、他は全て日本語化されているので浮いている。
    • また、日本語の台詞の中にキャラの名前を間違えているものがある。具体的には「ケイティ(Katie)」が「ケイス(Kayce)」に語り掛ける台詞。
      • 英語音声、及び原語版のテキストでは
        「So Kayce... you still having those weird nightmares?」
        なのだが、日本語のテキストでは
        「ねぇ、ケイティ…まだあの変な夢、見てるの?」
        と、「ケイティがケイスに向かってケイティと呼ぶ」という訳のわからないことになっている。
      • ケイスもケイティもこのエンディングで急に登場したキャラであり、しかも誤記の所為で日本語台詞だとケイスの名前は一度も出てこないため、日本のプレイヤーは誰が誰だか余計に分からなくなる*10原語版の時点で似た名前や被る名前を付けるなという話だが。

総評

シリーズが培ってきた世界観を素材に用いて、且つPSVの特性を生かした従来とは一味違うジャンルを展開しようとしたのは理解出来る。
だが、肝心のゲーム部分が面白くなく、シリーズとして見ても、小ネタこそ多いが過去作と設定や作風の乖離が甚だしい。
『Diablo』タイプのアクションRPGとしても、サイレントヒルシリーズの一作としても残念な作品になってしまった。

海外製になってから以前ほどの好評が得られていない本シリーズだが、本作はその中でも特に評価が低い。
しかし後に発表された新作『Silent Hills』は開発中止され、2022年に新作が発表されるまでシリーズは10年近い沈黙に入る事となった。

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最終更新:2022年10月21日 19:03

*1 しかも殴るのではなく、原作の隠し武器(技)だったビーム攻撃を放つ。勿論、男女関係なく。

*2 ギャグエンドに入った途端に画面がイラスト調になるのは『3』『ZERO』『SHATTERED MEMORIES』でもお馴染み。

*3 見た目は『SHATTERED MEMORIES』版。

*4 いわゆる「認識票」ではなく、でかでかと「犬」と書かれたタグ。勿論、”あの犬”も作中に登場している。

*5 最初の炎のゾーンのみイベントがあるが、「不思議な本が届いた」→ゾーン攻略→「本に書いた事が本当になった」というだけで、肝心のストーリーそのものが描かれているわけではない。

*6 原作は勿論のこと、『アーケード』でボスとして登場した時も、撃退するだけで倒すことはできなかった。

*7 『2』ではボスキャラだったが、本作では攻撃はせずクリーチャーを召喚するだけ。

*8 威力、攻撃範囲、耐久力のいずれも優秀。使用すると耐久力が減るが、修理すればいくらでも火を吹ける。

*9 エンディングはゾーン21以前のメモ状況で決まる為、22以降をプレイする必要は無い。ジョークエンドに必要な工芸品はゾーン25程度まで行けば手に入る。

*10 しかも「ケイティ」は本編での男性主人公の元恋人の名前でもあるのも混乱の元に。