SILENT HILL 2

【さいれんとひるつー】

ジャンル ホラーアドベンチャー
対応機種 プレイステーション2
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテインメント東京
発売日 2001年9月27日
定価 7,329円
判定 良作
SILENT HILLシリーズリンク

概要

1999年に発売し、世界中のユーザーを恐怖に陥れたホラーアドベンチャー『SILENT HILL』のシリーズ2作目。
タイトルに「2」とあり、舞台こそ同じサイレントヒルであるものの、前作のストーリーとは直接的な繋がりはない。
前作でも好評だった切ないシナリオはさらに洗練され、ホラーゲーム史における本シリーズの方向性を確立させることとなった。


ストーリー

     あいまいな眠りの中で
        夢見るのはあの町
         サイレントヒル
           いつかまた
二人で行こうと約束しておきながら
    私のせいでかなわなかった
      私は一人でそこにいる
       あの思い出の場所で
       あなたを待っている

最愛の妻を失くし、失意の中で無気力な日々を送っていたジェイムスのもとに一通の手紙が届いた。
封筒に記されていた名前はメアリー。
それは、3年前に病死した妻の名前だった。

死んだ人間から手紙など来るわけがない。それはわかっている。
それでも彼はこの手紙を手に、二人の思い出の地へと向かった。
湖畔に眠る静かなリゾートタウン、霧に包まれた街、サイレントヒルへ。
真意を確かめたいだけなのか、奇跡を信じているのか、それは彼自身にもわからない。

休む間も惜しみ、ただ車を飛ばし、辿り着いた町の入口は、金網で塞がれていた。
ジェイムスを拒絶するかのごとく、あるいはサイレントヒルから何か出て行くのを防ぐかのように。
躊躇わず、車を降りて歩き出す。気味が悪いぐらいの静寂の中へ。

『メアリー……この街にいるのか?』

ジェイムスは一人呟く。呟きの答えは、まだない。 (説明書より)


特徴

  • システム面は前作とほぼ同じだが、世界観は大きく異なる。
    • 前作の舞台(裏世界)は第三者が生み出した世界であり、サイレントヒルである事自体に特別な意味はない。
    • 比べて本作のサイレントヒルは、町自体が力を持っており、それによって作られた自分自身の世界が舞台となっている(詳しくは後述)。
      • 但し、その力の源はシリーズ最大の敵であり全ての元凶である「神」であると言う点は前作と同様であり、土地に根付く信仰や、「神」の復活を目論む「教団」の存在が背景にあると言う点では前作の世界観を受け継いでいる。
      • また、前作の直接の未来である『3』には本作の作中に出てきた名前が登場したり、時系列的に本作の数年後にあたる『4』でも他作品との間接的な繋がりが語られており、広義で言えば本作もまたシリーズ共通の世界観を持つ作品と言える。
      • 尤も、「神」も「教団」も直接は主人公の物語に関わってこないため、他作品との繋がり自体は極めて薄い。それによって、シリーズ他作品のように明確な「悪」と呼べる敵対者が存在しない事も大きな特徴である。
  • 他シリーズに比べて難易度は低めで、武器やクリーチャーの数も少なくなっている。
    • これは「怖がらせる事」と「ストーリー」を重視しており、世界観が散漫にならないようにしているため。
    • 開発者曰く、「本作での戦闘は、あくまでストーリーに色を添える演出の一つに過ぎない」との事。
  • 前作同様のマルチエンディング
    • 本作は前作と同様にマルチエンディングとなっている。
    • 前作はフラグを満たす事でEDが変化したのに対し、本作のED(の内三つ)はゲーム中にプレイヤーが取った行動により変化する。

評価点

  • シリーズ最高傑作とも言われるストーリー
    • 本作のストーリーは、本作を名作たらしめると共に、シリーズ最高傑作と呼ばせる決定的な要素である。
    • 以下にその内容を記述するが、未プレイの方は是非実際にプレイして体験することをお勧めする。
+ 重大なネタバレ注意
  • 作中のサイレントヒルはジェイムスの心理を具現化した異世界と融合しており、街の奥深くに進むことで彼自身の深層心理に到達することになる。
    街の最深部に到達したとき、彼は三年前に死んだと思っていた妻は、実は自らの手で殺害していたことを思い出す。
    しかし、その背景には難病に侵された妻とそれを介護する主人公とのすれ違いがあり、その愛憎入り乱れた感情の交錯には涙を無くしては見られないだろう。
  • なお、5つあるマルチエンドのうち4つが物語に関係するものとなっており(1つは後述のギャグエンディング)、全てを思い出した主人公が到達した真実に対して出した答えが結末の差異となっている。
  • ゲーム冒頭の、トイレで鏡に映った自分を見つめるシーンからして、自分自身を見つめ直す物語であることが暗示されている。
  • 中盤以降は「穴に落ちる」、あるいは「地下深くに降りる」という展開が度々みられるのも、ジェイムスの心の奥深くに潜るということを象徴しているかのようである。
  • 登場するクリーチャーの多くはジェイムス自身の罪の意識の産物であり、後述のレッドピラミッドシングも、ジェイムスの自分を裁いて欲しいという欲求のために生み出されたもの。
    • ゲーム後半ではレッドピラミッドシングの武器である大鉈と同じものをジェイムスが武器として装備できるが、これはレッドピラミッドシングの正体がジェイムス自身であるということの暗示とも言える。
  • ジェイムスの他にも同時期にサイレントヒルを訪れた登場人物が数名存在するが、彼らもそれぞれの精神状態によって見えている世界は異なる。
  • 哀愁漂うBGM
    • 山岡晃氏作曲のBGMは非常に高クオリティで、「Theme of Loura」「Theme Of Loura(Reprise)」「The Reverse Will」「Promise(Reprise)」などは特に評価が高い。
    • 前述の評価の高いストーリーを盛り上げるのに大きく貢献している。
    • ちなみに「Promise(Reprise)」は劇場版SILENT HILLでも使用されている。
  • おぞましくも美しい「サイレントヒル」の世界観
    • 空間に満たされた霧・徘徊するクリーチャー・生理的嫌悪感を催す血と錆の裏世界・至る所で響き渡る異音や悲鳴。ハード性能の向上により、サイレントヒル独特の世界観を余す所なく表現している。
    • ムービー中のキャラクターの動作・顔の表情の変化とそれによって生まれる影・リップシンクなども、2001年の作品とは思えない程に作り込まれている。
      • また、S-FORCE(サウンドライブラリ)を取り入れた事により、立体音響による「音の恐怖」も楽しむ事ができる。
  • レッドピラミッドシング
    • 本編初登場の「赤い三角頭」を意味するクリーチャー。本編ではジェイムズの前に度々現れ、執拗に襲い掛かってくる。
    • 本編の描写力と圧倒的な設定から非常に人気が高く、人気ランキング一位を誇る程の代表的クリーチャーとなった。そのためアーケード版、映画版、『HOMECOMING』といった後作にも登場する事になる。通称は「三角頭」「三角様」「▲」等。
  • ジェイムスの視点
    • 前作では「背景に隠れて落ちているアイテムに気付きにくい」という問題点があった。とはいえリアルな映像表現を追求すればアイテムは見えにくくなる。血などで目を引く方法も全ての箇所では使えない。
    • 本作ではそれらの問題を「主人公の視線がアイテムの方向に向く」という演出を用いる事でクリアしている。これによりリアリティを残しつつアイテムの在処を分かりやすくすることに成功した。
  • アクションと謎解きの難易度選択の個別化
    • 本作ではアクションの難易度と謎解きの難易度を個別に選択ができる。謎解きが好きでアクションが苦手ならACTION LEVELをEASYに、RIDDLE LEVELをHARDにすればいい。もちろんその逆もあり。地味ながら大きな長所と言える。
    • また、どの難易度を選んでもシナリオ、エンディングは一切変わらない。
  • ギャグエンディング"D"
    • 前作にもあったギャグエンディングは今作でも健在。
+ その内容は…
  • 今作のものはいぬエンディングというもの*1
  • 特別な鍵を使ってある部屋に入ると、そこにあったのは無数の計器とそれらのレバーをいじる謎の犬。つまり「今まで出ていた気色悪い怪物達は全部この犬の仕業でした」という衝撃的なオチ。ジェイムスも思わず日本語で落胆する。
  • この後始まるスタッフロールも犬バージョンと呼べるものとなっており、もはやどこから突っ込んでいいのか分からないほどのバカバカしさ。ぜひ一度自身の目で見てほしい。

不評点

  • 序盤の「何も無い道中」が長い
    • スタート地点からしばらく続く何も無い道中が極めて長い。慣れたプレイヤーでも2~3分、初見だと10分程度かかるレベル。
    • この間イベントらしいイベントも発生せず(一応あるが、短い)、敵も一切出現しない。「今作を名作とするか否かはこの道中を耐えられるか否か」という意見もあるほど。
    • ちなみに何故初見だと10分程度かかるのかと言うと、周囲に立ち込める雰囲気と、そこらじゅうに響き渡る怪音・悲鳴のせいでめちゃくちゃ怖いからである。
  • 敵の種類が少なすぎる
    • 雑魚敵の種類が極めて少なく、体力や攻撃力を高めただけで外観はほぼ同じモンスターを使い回している。そのため、ゲームを進めても敵に関してはあまり新鮮味がない。
    • もっとも、出現する敵にはストーリー上非常に重要な設定があるので、仕方ない部分でもある。
  • 雑魚敵との戦闘が単調
    • 前作では打撃武器の攻撃は単発、もしくは数発限定のコンボになっているのに対し、今作では無限コンボが可能な武器が存在する。
      • しかもその武器は隠し武器でもなく、むしろ最もスタンダードな打撃武器である。
    • 多くの雑魚敵は攻撃が命中すると必ず怯むため、一発目の攻撃さえ命中すればあとは攻撃ボタンを連打しているだけで勝ててしまう。
      • 無論敵が複数いればその限りではないし、雑魚敵の中にもその戦法が通用しないものも存在するが。
    • ただし上記の「特徴」の項にも記してある通り、これらのアクションに関する仕様は製作者が意図したものである。
      しかし、これによって今作はシリーズ中でもアクション性が低めの作品となっている(それでも及第点レベルではあるが)。
      また、主人公の踏みつけ、敵味方の被弾・ダウンといった戦闘モーションの固さも目立つ。イベントシーンは自然なので尚更。
  • クセのある字幕
    • 英語音声のゲームに意訳は付き物だが、1つのイベントシーン内で「you」を何度も人名に置き換えたり、ラスボス手前の大事な場面で「wait」を「やっぱヤダ」と訳すなどクセが強い。

総評

下手な小説や映画よりも遥かに奥深いストーリー性を備え、同時にホラーゲームとしてもなかなかの完成度を誇る。
圧倒的な世界観・一言では表現し切れない秀逸な物語・ユーザーに深い印象を与える数々の描写・それらを彩るBGM……
シリーズ後発作品にはもちろん、多くのゲームやメディアに影響を与え、シリーズの人気を確立した作品と言えるだろう。
ホラーゲーム史に名を残す名作、それが『SILENT HILL 2』である。



SILENT HILL 2 最期の詩

【さいれんとひるつー さいごのうた】

対応機種 Xbox
プレイステーション2


発売日 【Xbox】2002年2月22日
【PS2】2002年7月4日
定価 【Xbox/PS2】7,140円
判定 良作

概要(最期の詩)

『SILENT HILL2』のいわゆる完全版。新シナリオや新エンディングが追加されている。
なお、Xbox版はハードの性能上オリジナルと比べてグラフィックが向上しているが、現在はソフトの入手は容易ではない。


追加要素

  • 追加シナリオ「マリア編」
    • 作中の登場人物であるマリア。彼女が何者であるか、作中に登場するまでに何をしていたかについて触れたストーリー。
    • マリアを操作して街を探索する。本編中は敵に攻撃が出来ない無力な存在だったが、このシナリオでは武器を持って戦う事が出来る。
    • ストーリー自体は非常に短く、本編の1/3もない。登場する敵も少ない。
      • 但し、クリアするとセーブデータに記録が残り、下記の追加エンドのフラグが立つ。
      • また、僅かながら「サイレントヒル」という町がどんな力を持った土地であるのかを理解するヒントを得ることもできる。
  • 追加エンディング"X"
    • オリジナル版にもあった"D"エンディングは健在だが、それに加えてもう1つギャグエンディングが追加されている。
      + その内容は……
      • 追加されるのは前作にもあった「UFOエンディング」。前作とはストーリー的な繋がりはない今作であるが、このエンディングだけは前作を知るプレイヤーをあっとさせる場面がある。
      • 以降このエンディングは一部作品を除いて恒例化することとなった。また、本作のUFOエンディングの続きは次回作のUFOエンディングにて描かれ…。

総評(最期の詩)

完全版といってもさほど大きな追加・変更要素は見られない。
オリジナル版を持っていて、かつ追加要素に興味が無いのであればわざわざ買うほどでもないといえる。
しかし、オリジナル版に有って『最期の詩』版に見られない要素は無い、すなわちオリジナル版の上位互換作品と言えるため、
新規で購入するのであればこちらを推奨したい。


余談

  • 後に登場したパチスロ版は本作をモチーフとしている。
  • 本作の主人公ジェイムスは以降のシリーズ作品…のギャグエンディングに度々登場している。
    • 登場作品は『3』『Shattered Memories』『DOWNPOUR』『Book of Memories』とシリーズ最多であり、半ばギャグエンディングの常連と化していると言えなくもない事になっている。
+ 隠しエンディングについてあれこれ
  • 犬がレバーをいじっているシーンで流れている曲は、beatmania IIDXシリーズ収録曲の「in my eyes」である。アーティストは本作同様、山岡晃氏。
  • 同エンディングではジェイムスが「お前の仕業だったのか」と言う日本語を話すのだが、片言なので「オマエノシワザダタノカ」と聞こえると、ファンにはネタにされて愛されている。
    • 後に『3』とのカップリングで発売された『HD EDITION』では何故かこの台詞が録り直されており、「オマエノシワザドトナカ」と聞こえるようになっている。設定で元に戻す事も可能。
    • パチスロ版公式サイトには「Dearジェイムス」というヒントコーナーがあり、メアリーからの手紙の形式を採っているのだが、その中に「アナタノシワザダタノネ…」と言う記述がある。パチスロ版ではあるが、公式ネタになってしまったようだ。
  • このエンディングの主役である犬はパチスロ版のボーナス演出にも登場しており、しかも期待度が最も高い。わかってらっしゃる。
添付ファイル