Shantae
【しゃんてぃ】
ジャンル
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アクション
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ASINが有効ではありません。高解像度で見る
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対応機種
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ゲームボーイカラー
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発売元
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カプコンUSA
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開発元
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WayForward Technologies
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発売日
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2002年6月2日
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配信
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バーチャルコンソール 【3DS(海外のみ)】2013年7月18日/$4.99
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判定
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良作
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ポイント
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GBC末期の傑作 海外で不動の人気を誇る
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シャンティシリーズ
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概要
海外にてゲームボーイ終息期に発売された、アラビアンな世界観を舞台とした正統派2Dアクションゲーム。
魔人のハーフである「Shantae (シャンティ)」が、奪われた蒸気機関を取り戻すため女船長「Risky (リスキィ)」率いる海賊団と戦う物語。
キャラクターが敵味方共にゲームボーイのゲームとは思えない程によく動きしかも可愛い。このゲームの売りの一つ。
ストーリー
むかしむかしのこと…。
Sequin Landでは各地のガーディアン・ジーニーたちが光の魔法の力で人々を恐ろしい魔物や災厄から守っており、その力によって人々は長きにわたり穏やかな暮らしを享受していました。
やがて、ジーニーの中には人間と恋に落ちる者も現れ、彼らの子孫は本物のジーニーほどの魔力は無いけれども、少なからず魔法の力は受け継いでいました。
主人公のShantaeもそんな「ハーフ・ジーニー」の一人で、Scuttle Townという小さな漁村を守っていました。
しかし現在では純粋なジーニーはほとんど消えてしまい、Sequin Landでは徐々に邪悪な力を持つ者たちが蘇りつつあるのでした。
ある日、女海賊Risky Bootsは大勢の部下を率いてScuttle Townを襲撃し、Shantaeの伯父Mimicの発明した蒸気機関を盗むことに成功します。
Shantaeは伯父の発明品を取り返し、ハーフ・ジーニーである自身の力を村のみんなに認めてもらうためにRiskyを追うこととなり、村を出て冒険に出ることになります。
果たしてShantaeはRiskyの企みを阻止してSequin Landを守ることできるのでしょうか…。
特徴
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Shantae
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主人公であるShantaeは、自身のポニーテールを主な武器として使い、ダンスで変身するというユニークなキャラ。
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ダンジョンで幽閉されている守護者からダンスを教えて貰う事で、猿、象、蜘蛛、ハーピーに変身することができる様になる。
それぞれ、壁を登る、体当たりで障害物を破壊する、蜘蛛の巣や木の幹や岩肌に張り付く、空を飛ぶといった特殊なアクションを駆使し攻略していく。
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髪による攻撃以外にも、ショップでサマーソルトキックの様な蹴り技や、エルボータックルなどの技を習得したり、魔法アイテムを購入して使う事により多彩な攻撃ができるようになる。
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マジカルダンス
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セレクトボタンを押すとその場でリズムを取り始め、上下左右ABボタンを画面に表示されている「♫」マークのタイミングで押すことにより踊る。押すボタンの順番によって変身したり街へのワープが可能。
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なおダンスの内容(ボタンの順番)は他のキャラクターから教えて貰う必要がある。教わらない限り、順番通り押しても何の効果も出ない。
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フィールド
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街中以外は全て2Dアクションステージとなっている。街から街へ行く道中も長く、途中で分岐があったり、隠し通路があったりと一本道ではない。現代で言うところの「メトロイドヴァニア」系統の作品である。
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一定時間が経つと昼夜が入れ替わる。夜になると敵の体力が倍になり非常にタフになる。
しかし、夜になることで特定の場所に妖精(収集アイテム)が現れたり、キャラバンが転々と移動したり、夜しか開かない店などもあって、単に敵が強くなるだけではない細かな作り。
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色々なところにパワーアップアイテムが配置されている。手に入れる為には変身能力を使う以外に、特定の魔法アイテムを使用しなければ入手できない物もあり、ちょっとした探索&謎解き要素となっている。
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ミニゲーム
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所々でリズムゲームや障害物競走などのミニゲームが盛り込まれていて、ゲーム全体にメリハリがつけられている。中でもリズムゲームは難易度が5段階あり、やりこみ要素的な部分も。
評価点
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グラフィックのクオリティが高い。
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GBC末期ということを考えてもドット絵の出来は素晴らしく、登場するキャラクターたちはザコ敵に至るまで皆生き生きと滑らかに動き回る。
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特にShantaeは主人公ということもあり、豊富な変身パターンやダンスで華麗な動きをみせてくれる。ぬるぬる踊るダンスやステージクリア後の宙に浮くShantaeの浮遊感は一見の価値あり。
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細部まで描きこまれたカラフルな背景はもはやGBCのゲームとは思えないほど美麗。
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ダンジョン内で暗がりに行くとShantaeの色が暗色になるなど演出面でも凝っている。
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一部の地下ダンジョンのみではあるが、ゲームボーイカラーではハードの都合上難しい多重スクロール演出まである。
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タイトルやメニュー画面、ゲームオーバー画面などではShantaeやライバルRisky Bootsの大きなビジュアルも用意されている。こちらも美麗な出来映え。
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BGMもゲームの雰囲気に合わせた良曲揃い。
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全体的にアラビアンな雰囲気の曲になっているが、ダンジョンやボス戦などはそういった縛りはなくバリエーション豊富で曲数も多い。
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多彩な仕掛けと良好なゲームバランス。
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ブロックを重ねて鍵を入手したり、Shantaeに属性を付与して磁石のようにオブジェクトを引き寄せるなど、パズル的な仕掛けが多い。
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変身能力や魔法を使って攻略していく場面も多く、フィールドやダンジョンの多彩な仕掛けはゲームを盛り上げてくれる。
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操作性、ゲームバランスも良好で前述のように収集要素も豊富なため、広いステージを自由に探索するのが楽しい。
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ライフを増やす「Heart Holders」を獲得するか否かで自分で難易度を調整できるゼルダライクなシステムを採用している。
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ただし、『ゼルダ』と異なりボスを倒してもアイテムは出現せず、ライフを増やすには各地の探索が必要になる。
問題点
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全体マップが無いので、風景が似ている所では迷いやすい。
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画面に対してキャラクターが大きめ且つ、フィールドが縦にも広いので、高い所からの落下時に下が見えず即死の針や穴に落ちたりしやすい。
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無限湧きするザコ敵がプレイヤーに重なるように湧いて回避不能になる事が時々起きる。
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ゲームオーバーになると直前の進行状況は保たれるが、再開場所が最後にセーブしたセーブポイントからになるので序盤は移動が大変。
セーブポイントは各街、キャラバン、ダンジョン近く、計9箇所のみ。
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ダンジョン内でゲームオーバーになってもセーブポイントからやり直し。
一部ダンジョンでは近くでセーブすると、空が飛べない内はダンジョンまで遠回りになったりと不親切設計。
総評
アラビアテイストの独特な世界、なめらかに動くドットキャラ、独創的なシステム、センスのある楽曲が相まって高いクオリティのアクションゲーム。
発売時期の関係か、カプコンがパブリッシャーでありながら、国内で発売されなかったのが非常に惜しい一作。
余談
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かなり難産なソフトだったようで構想自体はなんと94年頃からあり、最初はSNES(海外版SFC)用ソフトとして開発されていたが、その後ハードウェアの変更やいくつもの試作品を経てようやくGBC末期の02年に発売できたとのこと。
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ちなみにシャンティの髪が攻撃方法というアイデアは、デザイナーのMatt Bozon氏の後の奥様であるErin氏が当時髪を伸ばしており彼女が振り向くたびに近くにいたMatt氏が髪で叩かれていたという実体験から着想を得たとか。
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ただしMatt氏は後にErin氏のラフスケッチに髪で攻撃しているアラビア風の少女の絵があってそこから着想を得たという別のオリジンも語っているため、どちらが真の由来だったのかは曖昧になっている(あるいは両方とも原案になったということなのかもしれない)。
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本作は出荷数が少なかったことや後々シリーズが続いていることもあってプレミアがついており、昨今の海外でのレトロゲーム収集ブームの影響もあってかオークションではソフト単品でも日本円で約8~10万円、箱・説明書つきの美品は
20万円以上
で取引されている。
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このため後述の移植版を買うか発売が予定されている国内版を待つ方が遥かに良いので、どうしてもプレイしたい人には移植版の購入を薦める。
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なお、現在ネットオークション等ではカートリッジが灰・赤色の中古品が時折安値で出品されているのが確認されているが、
これらはすべてプレミアがついていることをいいことに無許諾で作られた海賊版である
。
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本物は他の多くのGBC専用ソフト同様カートリッジがクリアになっている。海賊版はGBAで起動した際のおまけ要素が正常に機能しない等プログラムの不備も報告されているため、絶対に購入しないように。
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プレミアソフト化していた本作だったが、2013年7月18日からニンテンドー3DSでのバーチャルコンソールとして配信開始され入手しやすくなった…とは言っても海外版3DSおよびニンテンドープリカが必要だったため、日本国内から購入するハードルは高かった。
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後に3DS向けeshopが終了したため再度入手困難になってしまったが、現在では下記の通り現行CS機向けに移植版が発売されている。
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なお、本作ならびにGBA向けに開発していた未発売の続編をめぐりカプコンとWayForwardとの間でひと悶着あった結果、カプコンから版権を買い戻したため、VC及び移植版ではカプコンのロゴが削除されている。
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以上のように入手困難になっていることと海賊版対策を兼ねてか、なんと発売から18年以上経過した2020年になり受注生産という形でGBC向けのカートリッジの再販が決定され、同年9月に予約の受付が行われた。
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これに合わせSwitchへの移植版もパッケージ/ダウンロード版共に海外限定で2021年4月22日に発売され、2023年6月2日にはPS4・PS5でも発売されている。
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本作は長年ローカライズされてこなかったが、次回作以降は順次日本語版が発売されており、手軽に楽しむ事が出来る。
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まずシリーズ3作目である『Shantae and the Pirate's Curse』が『シャンティ -海賊の呪い-』の邦題でローカライズされ、3DS/Wii U用ソフトとして発売された。
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さらに後に2作目の『Shantae: Risky's Revenge』も『シャンティ -リスキィ・ブーツの逆襲-』の邦題でPS4/WiiU用ソフト(ダウンロード専売)としてローカライズされた。
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2016年には4作目『Shantae: Half-Genie Hero』が発売。こちらはやや訳がぎこちないものの最初から日本語にも対応している。
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2018年5月31日に海外版のDLCを全て収録し翻訳を全改訂したswitch/PS4向け完全版『シャンティ:ハーフ・ジーニー ヒーロー アルティメットエディション』が発売された。
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2020年5月には5作目『Shantae and the Seven Sirens』が発売され、例によって訳に問題があったが同年10月に発売された国内版である『シャンティと7人のセイレーン』では改善されている。
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このように国内展開開始後も第一作のみ日本未発売という状況が長らく続いていたが、2024年11月に入りシリーズの日本での代理販売を行っているオーイズミ・アミュージオより本作のswitch/PS5向け日本語版が2025年に発売されることが告知された。
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オリジナル版発売からはなんと
23年越しの日本語版
となる。
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日本では近年に至るまで知名度がかなり低かったシャンティだが、海外では絶大な人気を誇る。
最終更新:2024年11月09日 23:37