耶麻郡吉田組平明村

陸奥国 耶麻郡 吉田組 平明(へいめい)村
大日本地誌大系第32巻 161コマ目

府城の西北に当り行程9里2町。
家数17軒、東西4町10間・南北2町。
東南は山に連なり西は高坂川に傍ひ北は端村呼乎に連なる。

寅（東北東）の方10町8間大谷組漆窪村の山界に至る。その村まで12町10間余。
西36間原村の界に至る。その村まで1町30間。
南は大谷組井谷村の山に連なり界域分ち難し。
北20町計小綱木村の山界に至る。その村まで1里1町。
亥（北北西）の方18町新町村の界に至る。その村まで1里余。
戌亥（北西）の方1町45間漆窪村の端村向山の地に界ふ。
申（西南西）の方1町30間新村の界に至る。その村まで4町50間余。

端村

呼乎(よはるか)

本村の北に連なる。
家数28軒、東西2町・南北3町30間。
西は高坂川に傍ふ。

山川

泥浮山(とろふやま)

村東20町余にあり。
頂まで180丈。
松樹多し。

貉森(むしながもり)

村北15町にあり。
高180丈余。
雑木多し。

高坂川

小綱木村の方より来り、引杉沢(ひきすきさわ)・大田尻沢(おほたしりさわ)などいう渓流を得て、南に流るること8町村西に至り笹川と合す。
広4間計。

笹川

漆窪村の方より来り、村西にて高坂川に合し西南の方に流れて新町村の界に入る。
境内を経ること17町余。
広7間。

袖藪沢(そてやふさわ)

村より亥（北北西）の方15町にあり山谷の字なり。
沢中に民部沢(みんふさわ)・沢田(さはた)などいう字あり。
いつの頃にか沢田民部という者住せしといい伝う。

不動滝

村北の山中にあり。
滝2、共に高2丈計。渓流これに注ぐ。

関梁

橋

村中にあり。
長5間、土橋なり。
笹川に架す。

神社

稲荷神社

祭神	稲荷神？
鎮座	不明

村より戌亥（北西）の方、山腰にあり。
石鳥居あり。上三宮村高村能登が司なりる。

山神社

祭神	山神？
相殿	伊勢宮
	稲荷神
	伊豆神
鎮座	寛文中（1661年～1673年）

稲荷神社の側にあり。
寛文中本村より移す。

寺院

観音寺

村中にあり。
曹洞宗和光山と號す。
開基の年代詳ならず。
旧洞家にて中頃臨済・真言の徒住職し宗旨もさだかならず。殿宇また頽廃(たいはい)せしを、寛永10年（1633年）観的という僧再興し北青木村恵倫寺の末寺となる。
本尊観音客殿に安ず。

墳墓

五輪2

端村呼乎の辰巳（南東）の方、山麓にあり。
共に高1尺計、形體全からず。
何人の墳墓にか詳ならず。
病ある者ここに祈れば応ありとて村民崇敬す。

古蹟

靱屓屋敷(ゆきえやしき)

端村呼乎の西、山腰に四方20間計の平地あり。
いつの頃にか石上(いそのかみ)靱屓という者住せ所といい伝う。
ここより3町計亥（北北西）の方に石上坂という字あり。また宰相道とも唱ふ。

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• Google Map
  • 平明地区
  • 呼賀地区（呼乎）
    • 「よばるか」と読むようです。ここのお蕎麦もおいしいとか。
  • 泥浮山？
    • この地区の東南の方にある泥浮地区を挟むように東西2つ山があります。地理院地図を見ると東は（標高394m）で、西（標高375m）はとなっています。
  • 貉森？
  • 高坂川 - 現在の地図では笹川と表記されている
    • 引杉沢?
    • 大田尻沢?
  • 笹川 - 現在の地図では富士川と表記されており、この地区で笹川に合流する
  • 袖薮沢 - 村の北北西、県道361号奥川新郷線を西股川沿いに北上した所。同じ字で4区に別れている。　
    • 民部沢
    • 沢田
  • 不動滝？
  • 稲荷神社?
  • 観音寺 - 新郷六観音の一番 和光山観音寺
  • 墳墓
    • 五輪2基?
  • 靱屓屋敷?
    • 呼賀の北の方に古屋敷という地名があるがこの辺りか？
    • 古屋敷の北西に石上という地名がある。上記沢田と隣接する。