蒲原郡海道組八田村

越後国 蒲原郡 海道組 八田(やつた)
大日本地誌大系第34巻 29コマ目

府城の西に当り行程10里18町。
家数25軒、東西3町37間・南北1町。
四方重山にて北に少しく田圃(たんぼ)あり。

新発田街道駅所にて、村中に官より令せらるる掟条目の制札あり。
陸奥国河沼郡本組宝川村駅より14町30間ここに継ぎ、ここより17町51間福取村駅に継ぐ。

東12町河沼郡野沢組徳沢村の山界に至る。その村は寅(東北東)に当り1里余。
西12町福取村の山界に至る。その村まで18町10間余。
辰巳(南東)の方2町40間宝川村に界ひ鳥居峠を限りとす。その村は東に当り18町。
北15町40間余鹿瀬組船渡村の山界に至る。その村まで31町20間余。
戌亥(北西)の方10町鹿瀬組菱潟村の山界に至る。その村まで1里8町余。

山川

鳥居峠(とりいとうげ)

村の辰巳(南東)の方にあり。
登ること2町40間。
新発田街道にて陸奥・越後の界なり。
東は宝川村に属す(宝川村の条下と併せ見るべし)。

宮沢川(みやさはかわ)

村北9町にあり。
源は菱潟村の山中より出、早坂川(はやさかかわ)という小川を受け東に流るること31町余船渡村の地を経て揚川に入る。
広3間余。

村より戌(西北西)の方6町にあり。
周60間余、うへのたいぬま(上台沼)と称す。

清水

村より巳(南南東)の方40間にあり。
周5間余、山本清水と称す。

水利

堤2

一は村より未(南南西)の方4町にあり。
一は村より寅(東北東)の方2町30間にあり。
共に周70間余。

神社

熊野宮

祭神 熊野宮?
鎮座 不明
村より未(南南西)の方3町、山上にあり。
旧は村北3町、宮沢川の北にあり。天明6年(1786年)府に請てここに移せり。
鳥居拝殿あり。

神職 五十嵐権頭

何の頃にか丹波頼光という者当社の神職となる。今の権頭吉次が祖父なり。

山神社

祭神 山神?
鎮座 不明
村より寅(東北東)の方9町にあり。
村民の持なり。

寺院

龍泉寺

村中にあり。
壁立山と號す。公領本郡草水村観音寺の末寺曹洞宗なり。
開基詳ならず。
天正9年(1581年)觀海という僧中興せし真言の道場なり。
寛永10年(1633年)大益という僧再興し洞家となるという。
観音を本尊とし客殿に安ず。




余談。
国道49号線開通により色々変化があったものと思われます。
鳥井小学校は1983年に三郷小学校へと統合となり閉校に、津川中学鳥井分校も1976年に閉校、またこの地区が終点の路線バス八ツ田線も2019年9月28日で廃止となりました(なお代替の交通手段はあるようです)。
最終更新:2020年11月01日 20:15