会津郡古町組宮沢村

陸奥国 会津郡 古町組 宮沢(みやさは)
大日本地誌大系第31巻 126コマ目

村北に一宮神社あり。村名これに因る。

府城の西南に当り行程19里25町。
家数35軒、東西1町・南北5町42間、東南は檜枝岐川に近く西北は山に倚る。

東4町白沢村に界ひ檜枝岐川を限りとす。その村まで6町。
西8里計和泉田組塩岐村の山に界ふ。
南6町2間浜野村の界に至る。その村まで9町40間余。
北6町20間小塩村の界に至る。その村まで11町10間余。

山川

小白山

村西16町にあり。
頂まで1里余小塩村と峯を界ふ。
雑木多し。

檜枝岐川

村東2町余にあり。
浜野村の境内より来り、北に流るること18町余、小塩村の界に入る。

宮沢入(みやさはいり)

村北5町にあり。
源は境内の山中より出て、丑寅(北東)の方に流るること8里、檜枝岐川に入る。
広3間。

神社

一宮神社

祭神 不明
相殿 稲荷神
石神
勧請 不明
村北2町にあり。
勧請の始を伝えざれども村名の起る処なればきはめて(・・・・)古代の鎮座なるべし。
昔河原田氏深く崇敬し社領もありしという。
祭神詳ならず。
鳥居あり。古町村法導院司なり。

蔵王神社

祭神 蔵王神?
鎮座 不明
村西1町にあり。
鳥居あり。村民の持なり。

寺院

光照寺

村中にあり。
林巌山と號す。伊勢国高田山専修寺の末寺浄土真宗なり。
慶長元年(1596年)教觀と云う僧開基す。
弥陀を本尊とし、客殿に安ず。

寶物

弥陀画像 1幅。筆者を知らず。古畵なり。

墳墓

古墳

村北5町にあり。
1間四方。
上に老杉1株あり。
河原田大學正次と云う者の塚なりという。

石塔

村中にあり。
高3尺余。
『久覺了籌信士靈位慶長十五庚戌歳五月二十日越後男子羽染彌右衛門正徳六丙申百八年』と彫付あり。
※慶長15年=1610年、正徳6年=1716年。(108?)

古蹟

館跡

村北5町にあり。
東西45間・南北28間。
大永の頃(1521年~1528年)杉岸伯耆某と云う者住せりと云う。

(とりで)

村西12町山の半腹より少し下にあり。
登ること4町、東西2町・南北3町。
前には城先滝(しろさきたき)とて高2丈余の瀑布あり。後には一騎打とて(わずか)に幅4間余の隘口(あいこう)あり。満山岩石(そばだ)ちて()(のぼ)るべからず。
土人河原田要害と云う。

舊事雑考 天文12年(1543年)の記に、7月21日葦名盛氏を率て河原田氏を攻んとてこの地に来りしに、河原田氏その兵勢の敵すべからざるを知り避てこの壘を構え城口に支て防ぎしに、杉岸伯耆敵将種橋藤十郎を云う者を討取り、また南泉坊と云う修験この口にて防戦し比類なき働きありしと云うはこの地の事なり。

外部リンク等


香取神社

17 香取神社の縁起と伝説
本神は宮沢に鎮座し、本地は十一面観音菩薩、祭神は祓鉾前尊祓鉾大明神で仏神両部である。当地本地は元、尾白根梵天に在り、天平四年(932年)七月一〇日建立された尾白根山東光寺と呼んでいた。いずれのことか管弦をもって雷ヶ原に遷宮された。現在の社地北西に寺屋敷と呼ぶ所があり、初めここに遷宮し、さらに現地に移ったもので。その時使った管弦が社宝となって残っている。
治承四年(1180年)高倉宮以仁王沼田より当郷と通り、越後国小国城に何かわれる途中、この小白根村(宮沢)里司権蔵方にお泊りとなり、夢に白髪の老翁が現れ「上野国祓鉾大明神より道中守護して来たが、これよりは他の神に譲る」といって雷ヶ原の大杉より上天して帰られた。翌日、宮はその杉をたずねられ、一の宮大明神を祀り給う。この時から小白根村を杉村と改め、尾白山より流れ出る谷川を宮沢と呼ぶようになった。
昭和四二年九月下旬香取神社は落雷のため炎上した。雷は神木の老杉に落ちた。社地は雷ヶ原。治承四年(1180年)以仁王のお夢に顕れた白髪の老翁が老杉より上天したところへ、七八六年めに落雷し社殿が焼失した事実因縁について、神様が我等氏子一同に対し何か諭したいことがあるのではあるまいか。下流は鴇巣、宮床より、上流は舘岩、檜枝岐まで老も若きも神意にさからう事のないよう信心しなくてなるまいぞ。
正徳三年(1713年)六月晦日の夜、白沢村湯田吉左衛門が鎮守様にお篭り中、夜ふけて人々が寝静まったころ、尾白山を見上げたところ麓から火が昇り、中の嶽の中央に止まり人々に知らせてみせた。また、元禄一一年(1698年)八月一五日の夜、白沢村三郎岩が中の岳の中段に水晶のような光をみつけ隣近所の人々と見ていたが、夜明けまで光っていた。この霊峯には時折竜灯が上がったという。里人は旱天の時この梵天に昇り、雨乞いをした。

法人番号公表サイトによると、令和3年11月22日に周辺にある神社をいくつか吸収合併したようです
吸収合併
福島県南会津郡南会津町青柳字西ノ前21番地鹿島神社(8380005009842)を合併
福島県南会津郡南会津町小塩字円_279番地諏訪神社(7380005009901)を合併
福島県南会津郡南会津町浜野字中道下455番地熊野神社(7380005009876)を合併
福島県南会津郡南会津町浜野字上ヱ原691番地駒嶽神社(5380005009886)を合併
福島県南会津郡南会津町内川字居平155番地菅原神社(6380005009902)を合併
福島県南会津郡南会津町大原字後山318番地二荒山神社(3380005009938)を合併
福島県南会津郡南会津町小立岩字瀬戸山641番地鹿島神社(7380005009843)を合併
福島県南会津郡南会津町大桃字居平218番地三島神社(5380005009944)を合併
福島県南会津郡南会津町大桃字居平249番地駒嶽神社(6380005009885)を合併
※一部強調表示

蛇足:一宮神社について
風土記本文に従えば、元々は一宮神社があり後年そこに香取神社を合祀したものと思われます。なので祭神が不明なのです。
ちなみに、二ノ宮は虻の宮の鹿島神社です。
最終更新:2025年09月03日 19:25