河沼郡牛沢組椿村

陸奥国 河沼郡 牛沢組 椿(つはき)
大日本地誌大系第33巻 142コマ目

この村の山中に椿多き故名くという。

府城の西に当り行程6里24町。
家数2軒、東西15間・南北45間。西は山に倚り東は只見川に臨む。

東1町40間柳津村に界ひ只見川を限りとす。
西1里10町計野沢組泥浮山村の山に界ふ。
南3町小巻村の界に至る。その村まで7町10間余。
北7町7間野沢組藤村の界に至る。その村まで30町50間。

端村

上椿(かみつはき)

本村の南1町余にあり。
家数2軒、東西15間・南北19間。西は山により東は只見川に臨む。

下椿(しもつはき)

本村の北6町余にあり。
家数8軒、東西17間・南北1町30間。東は只見川に臨み西は山に連なる。

石坂(いしさか)

本村の西18町にあり。
家数17軒、東西2町・南北2町15間。山間に住す。
昔は山下の平地にありて2区なりしを、元文中(1736年~1741年)山崩れて今の地に移せり。

山川

鳩倉(はとくら)

村西20町計にあり。
高150丈余。
南は小巻村の山に連なり、西は泥浮山村に界ふ。

空穂坂

村西にあり。
登こと10町計。ここを越えて端村石坂に至る。
柳津村より野沢組野沢駅にゆく道なり

只見川

小巻村の境内より来り、北に流るること9町余藤村の界に入る。
川中に大なる赤岩あり。その中より蛤蜊石と出す。

神社

御稷神社

祭神 御稷神?
相殿 伊勢宮
信夫神
四郎神
鎮座 不明
村南1町計山麓にあり。
鳥居あり。出倉村舟木伊勢これを司る。

諏訪神社

祭神 諏訪神?
相殿 稲荷神
鎮座 不明
端村下椿の北にあり。
鳥居あり。舟木伊勢が司なり。

飯盛神社

祭神 飯盛神?
草創 不明
端村石坂の東山上にあり。
鳥居あり。舟木伊勢が司なり。

山神社

祭神 山神?
鎮座 不明
石坂の戌亥(北西)の方にあり。
鳥居あり。村民の持なり。

寺院

正光寺

村北にあり。
臨済宗萬秀山と號す。開基の年代知らず。
慶長元年柳津村圓蔵寺の末山となる。
本尊観音客殿に安ず。


外部リンク等



村名について

明治8年(1875年)、椿村・小巻村が合併し小椿村が発足。
明治22年(1889年)、飯谷村・小椿村・藤村が合併し飯谷村が発足。
大正10年(1921年)、柳津村・倉戸村・飯谷村が合併し改めて柳津村が発足。
昭和17年(1942年)、柳津村が町制施行して柳津町となる。
昭和30年(1955年)、柳津町が大沼郡西山村と合併し改めて柳津町が発足。

小椿地区の社寺

柳津町神社名 - 柳津町誌 総説編より小椿地区)
神社名 祭神 所在地 備考
飯盛神社 倉稲魂命 柳津町大字小椿字山中411のメ 石坂
稲荷神社 倉稲魂命 柳津町大字小椿字下竹山甲1643 小巻
御稷神社 倉稲魂命 柳津町大字小椿字上宮ノ前乙1442 椿
諏方神社 建御名方命 柳津町大字小椿字宮ノ前乙1962 下椿
山神社 大山祇命 柳津町大字小椿字山中411の2 石坂

法人番号公表サイトで小椿地区を調べると下記の登録がある
法人番号 商号又は名称 所在地 備考
4380005008897 飯盛神社 河沼郡柳津町大字小椿字山中411番ノメ 石坂
6380005008904 稲荷神社 河沼郡柳津町大字小椿字下竹山甲1642番地 小巻
1380005008917 御稷神社 河沼郡柳津町大字小椿字キワタ窪乙1323番地 椿
7380005008928 諏方神社 河沼郡柳津町大字小椿字宮前乙1962番地 下椿
5380005008938 山神社 河沼郡柳津町大字小椿字山中411番ノユ 石坂
※住所は小椿村村図を参照

地図

柳津町誌 集落編より「椿」)

柳津町誌 集落編より「石坂」)


小椿村村図

小椿村村図 明治7年(小巻・椿・石坂)合併時』 - 柳津町誌 集落編より


宇津保坂(空穂坂)

町史より)
石坂に行くには、椿の上宮前から石仏・宇津尾坂・二夕山・大畑・鳥井戸・坂ノ上から宮腰に達する通称宇津保坂(空保坂)の通路があったが、柳津方面から椿・石坂方面へいくのには、瑞光寺地内から、板坂・片貝渕・古屋敷・柳沢と経て、椿方面と石坂方面への分岐点に達する小径が現在の県道よりも只見川近くの下方にしかれていた。
さらにこの通路はキワタ窪を経て椿からの道と宇津尾坂で合し、石坂・長窪を経て藤峠方面で越後街道と合してやがて野沢に達するところから通称野沢街道といわれていた。
藩政時代の上椿はこの旧路の小径近く現在の県道の下方にあって通称古屋敷または上屋敷といわれたことは前述した。この念願の野沢街道の改修が明治三十八年に目論見されたが大正末期と昭和八・九年頃の両度にわたる大改修ではほぼ現在の県道の原形を示すようになった。
戦後もその改修がなされて昭和四十八年からは椿境までの舗装がなされ、現在は椿集落内を通過する県道柳津・山都線の改修拡張がなされていて面目を一新しつつある。

余談

御稷神の相殿神、信夫神はまぁ信夫山の神様でしょう。ですが四郎神とは一体何を祭った神様なのでしょう?
最終更新:2025年10月22日 21:55