耶麻郡小田付組稲村

陸奥国 耶麻郡 小田付組 (いな)
大日本地誌大系第32巻 82コマ目

府城の北に当り行程3里3町余。
家数50軒、東西1町36間・南北3町3間。
四方田畠なり。

東1町17間上田村の界に至る。その村まで4町50間余。
西4町15間五目組中村の界に至る。その村は亥(北北西)に当り23町40間余。
南6町20間小田付村の界に至る。その村まで6町20間余。
北3町36間下岩崎村の界に至る。その村は亥(北北西)に当り8町40間余。
また
丑(北北東)の方4町20間上岩崎村の界に至る。その村まで12町20間。

山川

田付川

村北2町20間余にあり。
上岩崎村の方より来り、南に流るること12町20間余小田付村の界に入る。

清水

村の寅(東北東)の方1町にあり。
東西6間・南北4間。

土産

藺席(いむしろ)*1

この村及び上田村にてこれを織り、専ら生計とするものあり。その余隣村よりも多く(ひさ)ぎ出す。総て北方(きたかた)おもてという。

神社

鹿島神社

祭神 鹿島神?
相殿 伊勢宮
   稲荷神
   天神
   鬼渡神
勧請
村東にあり。
何れの頃にか常陸国鹿島郡より勸請すという。
鳥居幣殿拝殿あり。熊倉村山口美濃これを司る。

寺院

地蔵堂

村中にあり。
建立の時代知らず。
村民の持なり。

古蹟

館跡

村中にあり。
東西42間・南北36間。
天正の頃(1573年~1593年)まで葦名小太郎盛保というもの住すという。土居隍の形存し、内城という字あり。

旧家

荘太郎

この村の肝煎なり。葦名小太郎盛保が裔なりとて世々肝煎役を勤め、今に盛保が館迹に住すといえど履歴の詳なることを知らず。






最終更新:2020年07月22日 06:35

*1 藺草を編んで作ったむしろ