登録日:2012/10/07 Sun 10:41:15
更新日:2025/02/20 Thu 20:45:02
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ミヤベ博士、目が覚めたかね?
誰だ? お前は誰だ!?
私はバド星人。宇宙の帝王だ……!
【データ】
身長:2~40m
体重:80kg~5,000t
別名:宇宙帝王
出身:バド星
CV:槐柳二
デザイン:成田亨
【概要】
第19話「プロジェクト・ブルー」に登場。
かつて
地球が火の玉だった遥か昔に太陽系を訪れ、冥王星の文明を滅ぼしたとされる凶悪な宇宙人。
自分達以外の知的生物が存在する事を許さない冷酷無比な性質。
そして、遂にバド星人はその矛先を地球へと向け、人類を滅ぼそうと企むのであった───
45年以上の歴史を誇るウルトラシリーズにおいて、「帝」を冠する強大な支配者は何度か登場し、ウルトラマン達を絶望的な状況へ追い込んできた。
上記に挙げたのは一例に過ぎない。
そして、これが本項目で紹介する「帝王」の名を冠する宇宙人である。
……さぁ、説明に移ろう。
【能力・武装】
◆光線銃
等身大時のメインウェポン。
バド星人本人の光線技? 帝王がゴミクズ相手にエネルギーを浪費してやる理由などあるまい。
◆
透明化
相手に気付かれる事なく奇襲が可能。
帝王と真っ正面から戦いたいなど、恐れ多いにも程がある。
◆
岩
その辺に落ちている岩で攻撃。
強敵が弱い武器で主人公を圧倒するというパターンは王道であろう。
◆ボディプレス
後述。
◆宇宙メリケン
後述。
その動きは身軽で宙返りを楽々こなす。
……色々とフォローが難しくなってきたので、もう隠さず言いたい。
他の帝王達が
軍隊やら
四天王やら
魔装備やら持ってるのに、岩投げにメリケンサックってどういうこったよ……
威厳の欠片もないのは御姿や戦闘手段だけに留まらず、本編における活躍(?)も同様であった。
【本編での活躍(?)】
人類を根絶やしにするべく、皿を2枚重ねたような型の円盤で地球へ向かうが、月と地球の間に張られた防衛
バリアに引っかかり、宇宙船がいきなり爆発。地球に墜落した。
後から来る連中の侵入経路を確保するため、ミヤベ博士が計画していたバリア構想「プロジェクト・ブルー」の資料を狙う。
ミヤベ邸に基地を建造すると、ミヤベ博士を拉致し、様々な方法でプロジェクトの資料について聞き出そうとする。
脅迫のため博士の嫁を
人質に取ったが、
ウルトラ警備隊に介入され、ウルトラガンで撃たれて焼け死んだ。
すると前述の透明化を使った別のバド星人が出現。「帝王」って一体何人いるんだ……?
しかしこの個体もウルトラガンで焼死。奇襲かけたのに……
これまた別のバド星人が現れると、
地球を破壊できる威力の爆弾を用意。
準備してるなら最初から使え。さらにミヤベ博士を人質にしてしまう。
その後、
巨大化して
ウルトラセブンと交戦するが、透明化以外の特殊能力を持ってないため、セブンと格闘戦で戦う事に。
案の定、ファイターであるセブンには押され、拾った岩を投げて攻撃したり、山に登ってボディプレスを仕掛けたりするが、不発して全身を強打。
勝てないと見るや降参の素振りを見せた。
……かと思いきや、その隙に隠し持っていた(どこに?)宇宙メリケンを用意してセブンを殴打。
しかし決定打になるわけもなく、セブンに飛行機投げでブン投げられて後頭部を岩で強打。
ブクブクと赤い血の泡を吹きながら、ピクピクと痙攣して死んだ。
こうしてバド星人の計画は完全に潰えたのであった。
このように「帝王」とは名ばかりの、姑息な小物宇宙人……というのがバド星人の全てである。
一応、「宇宙人バトル」でなく
「ホラー作品」として見れば、家の中でミヤベ博士の嫁を脅すシーンなどは確かにかなり怖い。
でも「奥さん」って連呼したり脅迫というよりは嫌がらせのような怪奇現象でねちねち追い詰めたり妙に小物感が漂う。ちなみに奥さんが一番ビビッて叫んだのは帝王様本人のケツ頭開示シーンだった。
宇宙帝王と名乗ったり、タイマン
プロレスをせず、ホラーなかく乱で戦っていればこうもヘタレ扱いはされなかったのではないだろうか……(戦闘自体はほとんど見せ場のない宇宙人は珍しくない)
後の世代では多少扱いが改善しており、頭を打ってあっさり死んだ初代ほどひどい負け方をした者はいない。
むしろウルトラマンサイドを手こずらせる実力の持ち主が多い。
一方で汚名返上ができたかと言えばそうでもなく、必ずどこかにオチがつくため、相変わらず名ばかりの「帝王」である。
【以降のシリーズでの活躍(?)】
ベリュドラの一部として登場。よく見ると胴体部に合体している。
第11話「ジードアイデンティティー」に登場。
本物のバド星人の登場は『セブン』以来、約49年ぶり。
伏井出ケイに雇われたスナイパーとして「宇宙ライフル」を引っさげて現れた。
『帝王』なのに雇われ仕事って……
朝倉リクがケイとの交渉を拒めば鳥羽ライハを、ライハが逃げても一般人を無差別に狙撃するように命じられていた。
リク「お前は…」
ライハ「伏井出ケイ!」
(前に踏み出すが…)
銃撃音
ライハ「えっ!? …あっ……」
次にライハの髪留めを撃ち抜き(初の
ポニーテールだったのに)、ライフルの命中率が高い事が判明。
しかし、ダークゾーンを経由して背後に現れた
ペガッサ星人ペガに不意打ちで掃除機をケツ頭に叩き込まれて失敗。
その後はペガとライハを相手取りながら、遠方の
ウルトラマンジードの頭を狙撃するという余裕ぶりを見せ、意外な戦闘力の高さを発揮したが、
ペダニウムゼットンとジードの戦いの余波で飛び散ったビルの破片に潰されるという呆気ない最期を迎えた。
49年前の汚名を返上するどころか、49年前よりもカッコ悪い最期を迎えるという、文字通りの「汚名挽回」であった。
ちなみにスナイパー役は元々セミ女が登場する予定だったが、怪獣倉庫で偶然発見されたバド星人の頭部が好評だった事から、49年ぶりの再登場に至ったという経緯がある(選んだのは第11話の演出を手掛けた
田口清隆監督)。
なお、この時に胴体の方のスーツも作成したのだが
誰も使ってくれなかったため、登場は後述の映画『ウルトラマンデッカー 最終章 旅立ちの彼方へ…』まで待つこととなる(それでもリペアが必要だったようだが)。
また、持っていたライフルは映画『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』で
ハヤタ・シンが宇宙人から奪って使用していたものの流用。
……元の持ち主はバド星人だった?
沖縄にある宇宙人街の住人として登場。
大乱闘にも加わったが、
シャドー星人ゼナに頭を殴られ、超音波を耳から直接浴びせられた。
第18話「明日なき世界」にて、
ただのモブキャラとして登場。
アバンタイトルで宇宙向けテレビ番組のインタビューに答えていた。
しかも主人公兄弟の父親・湊ウシオのデザインした「うちゅ~ん」Tシャツを着用していた。
本編で
メフィラス星人が語ったところによると、バド星では「うちゅ~ん」Tシャツが人気で、このTシャツを巡って星を二分する
戦争が行われたらしい。
……しょーもないことで戦争をする彼らのどこが『帝王』なのだろうか……
第20話「砂のお城」に登場。
ヴィラン・ギルドの親玉であるゼットン星人ゾリンに雇われたスナイパーで、
「エル・レイ」という個体名を持つ。
また『帝王』を名乗っておきながら雇われ仕事をしてる……
ゾリンの命令で、本宮サチコの命を狙いつつ、部下達と共に
アリブンタにエネクロン社の施設を破壊させていた。
サチコを人質に取り、彼女を護衛していた
工藤ヒロユキと宗谷ホマレ、スパイだったミスティを始末しようとするも、
宇宙帝王の自称を交えた自己紹介をスルーされた挙句、ドジっ子の人質にうっかり足を踏みつけられてしまい、痛がっている隙に脱出を許してしまう。
その後は部下達と共にホマレやミスティと戦うも、E.G.I.S.の応援に駆けつけた外事X課の佐倉警部にねじ伏せられ、御用となった。
全体を通してみればそれなりに面倒な敵ではあったが、最終的には安定の「自称宇宙帝王」であった……
宇宙人盗賊団の一人として登場。
リーダー格のクカラッチ星人やゼラン星人らと共に、
グリムドの地球接近を察知して地球の貴重品を転売し、地球からの脱出資金を稼ごうとしていた。
アジトにやって来た
クレナイ ガイ&佐々木カナと戦い、カナを力で追い詰めるも、ガイに抱えられたカナの
キックで倒された。
なお、彼らがヴィラン・ギルドの一員かどうかは不明。
『ウルトラマンデッカー 最終章 旅立ちの彼方へ…』
こちらでは上述した首から下の新造スーツがようやく採用され、『ジード』以降長らく続いていたゼットン星人方式から卒業となった。
【漫画作品におけるバド星人】
主に銀河最強武闘会の観客として登場。
第3回大会では宇宙メリケンを装備して予選に出場するが、
メフィラス大魔王にデコピン一発で弾かれた。
『セブン』で3人登場した事に倣ってか、妻子持ちでもある。
秘密結社「暗黒の星」の一員として登場。
やはり『セブン』に倣ってか、複数の個体が姿を見せている。
【余談】
- 実は帝王を名乗ったのは初代個体と『タイガ』のエル・レイのみ。他の個体が自種族をどう思っているのかは不明。
- 『セブン』の宇宙の帝王とは思えない戦闘シーンだが、書籍『ウルトラセブンイズム』によれば、当時の流行りだったプロレスに影響されてのものだった模様。
戦闘時間1分13秒しかないので『ウルトラファイト』では使われなかったが……。
- 『セブン』本編では直接巨大化してセブンと戦っているが、書籍『別冊映画秘宝ウルトラセブン研究読本』によると、当時の台本に記されていた巨大化の方法は「複数のバド星人が合体する」というものだった。
- デザインを手掛けた成田氏は後に『成田亨画集』において「アメリカのSF映画のスチールや小説の影響を受けてしまった一例」と言及しており、氏としてはあまり良く出来た作品とは言えなかった模様。
上記のようにデザインにオリジナリティを感じていなかったのに加え、氏がウルトラシリーズにおいて掲げていた「気味の悪い怪獣は作らない」「侵略宇宙人も彼らの星では英雄であり、不思議な格好よさが必要」(要約)といったデザイン哲学にもあまり合致するようには見えず、かなり不本意だったものと思われる。
- 元々は次回「地震源Xを倒せ」に登場するシャプレー星人としてデザイン・製作されていたが、撮影時に急遽入れ替えられたという経緯がある。
確かにシャプレー星人の方が「宇宙の帝王」に相応しい容姿ではあるし、だが本編のホラー演出とマッチしている容姿なのはバド星人である。
そのため、一峰大二氏の漫画版『ウルトラセブン』では「バド星人の外見をしたシャプレー星人」が登場している。
本編の頭の悪い格闘シーンを見るとシャプレー星人じゃなくて良かったと思わないでもないが。
没脚本再現による、歴代一峰作品のヴィランが大集結する完結編『ウルトラセブン ゴードの巻』ではそういう事情もあって未登場だった。
- 頭部の形にちなんで川崎の怪獣酒場に2015年のバレンタインデーに来店している。
バルタン店長「顔はハートにしか見えない。そうだろう?」
イベントは大成功に終わったが、その後の打ち上げで警報装置であるジャミラの口を故障させる大失態を犯してしまい、結果、宇宙警備隊に察知されて怪獣酒場は一度閉店を余儀なくされた。
追記・修正は公然猥褻カットの人がお願いします。
最終更新:2025年02月20日 20:45