登録日:2016/03/22 Tue 23:20:40
更新日:2025/03/09 Sun 18:30:27
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ハヤブサとは、ハヤブサ目ハヤブサ科ハヤブサ属に分類される鳥類。
学名はFalco peregrinus。
英名はPeregrine Falcon。
peregrinusは「外来の、放浪する」の意。
都会にいるとピンとこないが、寒冷地にいる個体などは、冬になると寒さを避けて熱帯域などに移動する事から付けられたと思われる。
漢字では「隼」。
おそらく「速い翼」が語源。
タカや
ワシと共に、日本に古来より生息する猛禽類である。
ハヤブサ属には他にも北方に生息するシロハヤブサ、
ネズミやカエルを狩るチョウゲンボウ、昆虫を主食にするチゴハヤブサ等がいるが、
ここでは代表的なハヤブサについて解説する。
生態と特徴
全長は、オスが38~45センチメートル、メス46~51センチメートル。
何気にメスの方がでかい。
翼を広げた横幅は84~120センチメートル
体重はだいたい0.5~1.3キログラム。
以前はタカ目として扱われてきたが、後にハヤブサ目が作られ、明確に両者が分けられた。
とは言え、同じ猛禽類という事もあり、確かにパッと見ではワシやタカと区別が付きにくい。
が、ワシタカ目に近いのは一種の
収斂進化であり、生物種の系統図的には
スズメ目や
オウム目に近い。
分かりやすい違いとしては、
- 目が違う。ワシやタカは黒目の割合がそれ程大きくなく、特有の睨み据えるような鋭い目つきになる。対してハヤブサは、目全体に対する黒目の割合が大きい。また、目の形もやや丸い。
- 嘴の上下にかなり目立つ突起がある。これはタカと違い、ハヤブサは獲った獲物をその場でベキッと絞めて動きを止める為。
- 狩りの仕方が大きく異なる。これについては後述。
繁殖形態は卵生で、樹上に営巣するタカに対して、ハヤブサは海辺の断崖などがデフォ。
求愛は1月~3月にかけて行われ、つがいとなった個体はどちらかが死ぬまでその関係が続き、繁殖期が終わっても一緒にいる事が多い。
とはいえ猛禽類はつがいを変えない種類が多いのだが。
3~4月に3、4個の卵を断崖の窪みなどに産む。
主にメスが抱卵し、29~32日の抱卵期間を経て雛が誕生。
孵化してから巣立ちまではおよそ35~42日。
生後2年で性成熟し、晴れて大人の仲間入りを果たす。
そんなハヤブサの一番の特徴は、何と言ってもスピードである。
特に秀でているのが、高度を上げてからの急降下能力。
普段は他の猛禽類と同じく翼をめいっぱい広げて飛ぶが、獲物を発見すると翼をすぼめて、流れ落ちるように目標めがけて突っ込んでいく。
その急降下速度は、時速300キロをゆうに超える。
つまり、急降下中は新幹線より速い。
しかもこれはあくまで標準的なデータであって、個体によっては時速が350~400キロに達する奴までいる。
もちろん落ちるだけでは話にならず、このスピードを狩りの為に自在に使いこなせるのがハヤブサたる所。
スピードを加減する時は、翼がちょうどいい角度まで広がっており、また鼻孔は呼吸を助ける特殊な作りになっているので、スピードを出し過ぎたライダーみたいに息が止まったりはしない。
反面、水平飛行時のスピードは流石にツバメなどに劣り、巡航速度で60、最高速で100キロ前後というところ。それでも十分速いが。
このスピードで急降下し、目標をたくましい爪で鷲掴みにするか、あるいは落下の勢いを乗せた爪の一撃を、背中にぶち食らわして落とすのがハヤブサ流の狩りである。
蹴られた獲物は大抵の場合空中でキャッチするが、たまに海上に落ちるのをせっせと拾いに行く事もあり。
当然、地上に居る相手にこんな攻撃を仕掛ければ、こっちが地表に激突待ったなしなので、ハヤブサの獲物は基本、同じように空を飛んでいる鳥類となる。
ただし、子育て中などは敢えてカモ類の子供などを狙ったりする事もある、この場合はいつもの高速突撃ではなく普通の猛禽に近い方法を採る。
主なターゲットは、ハトやムクドリなどの小鳥。
また、シギやチドリなどの渡り鳥が大挙してやって来る季節は、彼らにとっての稼ぎシーズン。
この時期の渡り鳥が、たまに海面スレスレを敢えて飛んでいるのは、ハヤブサによる急降下攻撃を警戒しているからである。
この点が、同じ猛禽類でも、主に地上にいる小動物や、着陸中の小鳥などを獲物にするタカやワシとの一番の違い(環境や状況によって差は出るが)。
小型の鳥類はタカから逃れる時には空に逃げ、ハヤブサから
逃げる際には地上に降りるとも言われる。
生態系の頂点に位置する種の一つなので、天敵と言えるものはほぼ存在しない。
敢えて言うなら、非常に残念ながら、環境破壊という点で人間が最大の天敵と言える。
現在は他の猛禽類と同じく生息圏をガリガリ削られ、絶滅危惧種に指定中。
一方で、環境に対する適応力も結構あり、また長年の保護活動の成果もあってか、近年では高層ビルディングなどの建物を利用して営巣している例も報告されている。
都会では獲物となるハトなど小型鳥類も多い為その辺りも関係しているとの事。
ただし自然には存在しないガラスの逆光などで目が眩んで激突死するなどの例も有るので全く問題無しという訳でもないが。
人間社会におけるハヤブサ
猛禽としての猛々しさと美しさ、そして速さと強さを持つハヤブサは、昔からその象徴とされ、日本内外を問わず、色々なものに名前が引用されてきた。
以下、ざっと例を挙げる。
キャラ名等 |
作品名等 |
備考 |
太陽神ホルス |
エジプト神話 |
顔がハヤブサ |
一式戦闘機 |
大日本帝国 |
通称「隼」 |
F-16戦闘機 |
|
通称『Fighting Falcon』 |
新幹線はやぶさ |
|
2009年までは寝台特急はやぶさもあった |
ハヤブサ |
覆面プロレスラー |
本名:江崎 英治。ヘビー級の体格ながら高度な空中技を得意とし、90年代のプロレスに強いインパクトを残した伝説のレスラーである。 |
「はやぶさ」 及びその後継機「はやぶさ2」 |
小惑星探査機 |
|
「ハヤブサ」 |
スズキ |
高速バイク |
隼ジャパン |
|
バスケットボール日本代表チームの愛称 |
スマートファルコン |
競走馬 |
|
掃除機「隼」 |
松下電器 |
あの円谷プロが手掛けたCMでは巨大ヒロインとして怪獣ゴミラと戦う |
アニメ・漫画・ゲーム・特撮・映画・文学におけるハヤブサ
リアルと同じように、速さと強さの象徴として、ヒーローから悪役まで至るところで採用されている。
元の姿を忠実に再現しているものから、単純に強さにあやかって名前だけ借りているものまで様々。
追記・修正は時速300キロで急降下してからお願いします。
- 最高 -- 名無しさん (2016-03-22 23:32:28)
- ジョジョのペット・ショップも隼だったよな。特殊能力を持った隼って狩人 -- 名無しさん (2016-03-23 00:02:34)
- ↑ミス。狩人としてみたら相当恐ろしいな。 -- 名無しさん (2016-03-23 00:03:54)
- ハヤブサの真骨頂は飛んでる獲物を猛スピードで正確に捕獲出来る能力に有る。 -- 名無しさん (2016-03-23 00:11:33)
- 雌伏の隼よ 逆境の中で研ぎ澄まされし爪を上げ 反逆の翼、翻せ! -- 名無しさん (2016-03-23 02:03:46)
- ビーストウォーズのエアラザーも確か隼だったっけ。 -- 名無しさん (2016-03-23 10:18:49)
- 人類の科学の粋を集めた「はやぶさ」より野生のハヤブサの方が速いという衝撃の真実 -- 名無しさん (2016-03-23 10:52:33)
- 実は結構人に慣れる -- 名無しさん (2016-03-23 11:11:26)
- この項目で真っ先に思いついたのがシティーハンターの海坊主(本名:伊集院隼人)のコードネーム「隼(ファルコン)」だったりする。 -- 名無しさん (2016-03-23 13:29:55)
- 鷹じゃないけど鷹狩りで使われる猛禽としては珍重されている -- 名無しさん (2016-03-23 14:40:27)
- シャープで精悍なのに眼がでかくてカッコイイとカワイイを絶妙のバランスで体現した生き物。 -- 名無しさん (2016-03-23 18:18:05)
- ハヤブサ目はワシタカ目よりスズメ目やインコ目に近いと聞いたときは耳を疑った -- 名無しさん (2016-03-23 21:21:42)
- ↑「お前のようなスズメがいるか」を地で行く驚愕 -- 名無しさん (2016-03-23 22:36:05)
- ↑スズメ目に属するモズがスズメやネズミを捕食すると言ったらどうだい?因みにモズは20センチ位の大きさだ。 -- 名無しさん (2016-03-23 22:43:06)
- スピッツの9thアルバム、およびその収録曲「8823」 由来は西岸良平だとか -- 名無しさん (2016-03-24 00:04:35)
- ↑2 モズが肉食なのはわかるが20cmくらいのでかさというのは初めて知った。わりとでかいんだなwハトより一回り小柄くらいか? -- 名無しさん (2016-03-24 00:12:47)
- ハヤブサ自体は都市化に案外強いのだが、餌が海鳥なので結局環境破壊に弱いのと一緒らしい。捕食者の宿命やね。 -- 名無しさん (2016-03-24 00:41:59)
- ハヤブサが飛びかかってきたら人間の首が吹っ飛ぶとまではは言わないけど、余裕でへし折れるんじゃね? -- 名無しさん (2016-05-03 10:32:34)
- かっこいい男の鳥のイメージが強い猛禽類だが多くの種類がメスの方が大きくて力が強いらしい -- 名無しさん (2016-07-31 00:39:54)
- ↑×2 なんでもそうだがぶつかってくるものの重さが軽いと威力はそんなにない。子どもなら余裕で折れると思うが。 -- 名無しさん (2017-08-08 14:36:24)
- [ -- 名無しさん (2018-01-03 20:09:18)
最終更新:2025年03月09日 18:30