始祖竜ワイアーム

登録日:2017/01/18 Wed 23:18:33
更新日:2025/04/19 Sat 22:20:13
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始祖竜ワイアーム

融合・効果モンスター
星9/闇属性/ドラゴン族/攻2700/守2000
通常モンスター×2
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
(1):「始祖竜ワイアーム」は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できない。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードは通常モンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されず、このカード以外のモンスターの効果を受けない。


《始祖竜ワイアーム》とは遊戯王OCGのカードの1枚で、
2014年7月に発売された『ネクスト・チャレンジャーズ』に収録された融合モンスターである。

コイツを語る上で特筆すべきことは一つ。

異常に強烈な対効果モンスター耐性である。

なんと、効果モンスターの効果を一切受け付けず、かつ通常モンスター以外には戦闘破壊されないという、
ちょっと何言ってるかわからないレベルの防御能力を備えているのだ。
これだけでもわかる人には強さがわかるだろう。

遊戯王において、モンスター効果は非常に大きなウェイトを占めている。
通常モンスター主軸のデッキであったとしてもサポートや進化形態等の切り札のために効果モンスターが採用されることがほとんど。
それこそ凡骨ビートかどこぞの海の竜でもない限り、効果モンスターに一切合切頼らずに構築されるデッキなど殆どありはしない。

この《始祖竜ワイアーム》は、それら効果モンスターに対しては無敵の強さを持っているのだ。
具体的に言えば、


と、ざっと挙げればこんな感じ。とにかく、《始祖竜ワイアーム》自身以外のモンスター効果は一切合財シャットアウトである。
この手の耐性持ちは他にもいるが、そういう場合は大抵「攻撃力を上げて殴り倒す」という抜け道がある。
《始祖竜ワイアーム》にも当然あるのだが、コイツに限ればそれすら狭い。
というのは上にも書いたがこのモンスター、通常モンスターにしか殺されないのである。

勘違いする人がたまにいるのだが、通常モンスターは単なる「効果を持たないモンスター」ではない。
「カードの枠の色が通常モンスターの色」「メインデッキに入り」「効果を持たずフレーバーテキストを持つ」モンスターでなければ《始祖竜ワイアーム》を倒せないのだ*1

なので、効果モンスター全てと、儀式・シンクロ・エクシーズ・融合・リンクモンスターおよび大半のペンデュラムモンスターには、そのままでは絶対殺されないのである*2

つまり、打点で上回られる、貫通効果を持っているなどであればダメージこそ受けるものの、破壊されることはない。
そしてモンスター効果への絶対的耐性により、効果によって排除されることもない。

特に構築上効果モンスターしか採用できない【フルモンスター】に対しては滅法強く、打点の高い通常モンスターや《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》等がデッキになければほぼ詰み確定である。

このように、場持ちの良さは天下一品である。
しかも攻撃力が2700とかなり高く、大抵の相手は一方的に殴り倒すことが出来、無理でも強固な壁になる。

そんな強力なモンスターである《始祖竜ワイアーム》だが、もう一つの売りは出しやすさにある。
融合素材をもう一度見てみよう。

通常モンスター×2

何だこの緩い素材指定は。
つまり、通常モンスターが2体いれば、そいつらが全部《始祖竜ワイアーム》に化け得るのである。
モリンフェン》《シーホース》《青眼の銀ゾンビ》、etc……。

レスキューラビット》を組み込むデッキならば、手札2枚で《始祖竜ワイアーム》が出せる。
しかも通常モンスターでさえあればいいので、トークンが融合素材にできる。
《おジャマトリオ》や《リバイバル・ギフト》など、トークンを送りつけるカードと超融合でも《始祖竜ワイアーム》が出せるし、
綿毛トークン等の複数体自分の場に出るトークンも2体分残っていれば融合素材としてすぐこのカードに繋げられる。

もっとも、素材とする通常モンスターがアンデットならば《冥界龍 ドラゴネクロ》が出せるので、そこはデッキと要相談。
また地味に場に一体しかいられない点もたまに忘れられているので注意。*3

手軽に出せてしかも強い、という実際強力としか言いようのないモンスターである。
が、そんなコイツにも当然ながら弱点はある。

  • 魔法・罠に弱い
コイツの耐性は対モンスターに特化しており、魔法や罠には完全に無防備。
強制脱出装置》や《奈落の落とし穴》等を食らっては目も当てられない。

直接除去できなくても、《禁じられた聖杯》や《スキルドレイン》など、効果を無効にするカードはそれなりにある。
効果モンスターが環境を占めているのだから当然その手のカードはデッキ次第で採用されるのは珍しくない。
モンスター効果による効果封じは受け付けないが、上述の通り魔法・罠による無効は通してしまう。
また永続効果であるため、《月の書》や《皆既日食の書》で裏側表示にされるとあっさり排除されてしまう。
さらに、ごく一部だが「装備カード扱いになったモンスターの効果」も通してしまう。これは装備モンスターは原則装備「魔法」扱いのため。

  • 通常モンスターに弱い
効果モンスターには徹底的に強いが、逆に通常モンスターには徹底的に弱い。
といっても打点が高いため、いくら通常モンスターと言っても普通に出てくるような連中には基本負けない。
天敵となるのは元祖最強モンスターこと《青眼の白龍》であり、特化デッキならばあらゆる場所からぽんぽん出てくるコイツの前では何もできない。
また、ステータス特化のトークンにも弱いため、《No.64 古狸三太夫》の呼び出す影武者狸トークンや、《冥府の使者ゴーズ》と一緒に出てくるカイエントークンには相打ちに持ち込まれてしまう。

  • 相手モンスターのリリース
効果モンスターと言えど《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》や壊獣、《サタンクロース》など、相手モンスターをコストとしてリリースできるモンスターには除去されてしまう。
耐性持ちを除去する最も強力な手段であり、これらのカードの採用率も高いので、常に警戒しておきたい。

  • 攻撃的な効果を持たない
こいつ自身に除去効果はないため、戦闘破壊耐性を持っている、もしくは打点が高い効果モンスターが相手フィールドに存在すると、「お互いに突破されないが突破できない」という泥仕合にもつれ込む恐れがある。
例えば、《マシュマロン》や《BF-アーマード・ウイング》等でこのような事が起こる。
こうなると対策カードを引かれて突破される危険が本格的に出てきてしまう。

  • 全ての効果モンスターの効果を受けない
仲間を強化するタイプの効果モンスターは数多くいるが、《始祖竜ワイアーム》はそれらの恩恵を受けることが出来ない。

  • 融合召喚以外で特殊召喚できない
融合召喚でしか特殊召喚できないため、《デビル・フランケン》や《幻想召喚師》で特殊召喚できず、《死者蘇生》で再利用出来ない。


とまあ弱点も多いが、それでも対モンスターという点では無敵に近い《始祖竜ワイアーム》。
そんな巨大ドラゴンさんと相性のいいデッキはこんな感じ。

通常モンスターのイエロー・ブラック・グリーンを徹底的に使い回し、
かつ専用の融合モンスターを擁するこのテーマではメインアタッカー兼強固な壁として機能してくれる。
ただし、カントリーの影響下だと攻守逆転してしまうのでそこにだけ注意。その場合、レベル1チューナーを用意してドラゴアセンションをシンクロするのがベター。

イグナイトの持つ共通ペンデュラム効果により、
E・HEROブレイズマンをサーチ→ブレイズマンNSで融合サーチ→破壊したイグナイトをペンデュラム召喚
→サーチした融合でP召喚したイグナイト通常モンスターを融合、と繋げることが出来る。
このコンボの強みは、イグナイトデッキにブレイズマンと融合をピン差しするだけで成立するというところにある。

デュアルモンスターはフィールドと墓地では通常モンスターになるため、「龍の鏡」に対応する超合魔獣ラプテノスと共存出来る。

  • 【ドラゴン族】
ドラゴン族の通常モンスターは多く、サポートも強力な物があるため割と出しやすい。
《始祖竜ワイアーム》のここでの立ち位置は単なる壁ではなく、「トランスターン」からレダメを引っ張って来られることにある。

  • 【凡骨融合】
《フュージョン・ゲート》と《凡骨の意地》を擁し、通常モンスターを軸とするこのデッキでは名実ともにエース足り得る。


また、単体のカードで相性がいいのはこのあたり。

  • 禁じられた聖槍
攻撃力800ダウンと引き換えに魔法・罠の効果をシャットアウトする速攻魔法。自身に使えば魔法・罠への耐性を獲得、相手に使えば攻撃力3500以下のモンスターを殴り倒せる。

  • 超融合
《始祖竜ワイアーム》の弱点は高打点の通常モンスターだが、逆に言えばそいつらは《始祖竜ワイアーム》の素材になるため、並んだところをこれで奪って融合召喚してやろう。
ただ、通常モンスターゆえに簡単に再利用されやすい点には注意。高打点の通常モンスターを投入するデッキなら再利用手段が豊富な可能性も高い。
現環境では通常モンスターを投入しないデッキも多いので、どちらかといえばサイドデッキ向けか。

  • 生け贄封じの仮面
こちらもサイドデッキ向けだが、このカードを手軽に除去する手段の1つである「相手モンスターのリリース」を阻止することができる。

  • 団結の力やミストボディ等の各種装備魔法
攻撃力を上げたり、戦闘破壊耐性を付与する装備魔法。
これを装備すれば、まずこのカードをどうにかするか、魔法・罠で直接《始祖竜ワイアーム》を排除するしかなくなる。
深く考えずに装備魔法を大量に投入すると事故の要因になるので注意。

  • 置換融合
《始祖竜ワイアーム》は墓地に落ちると復活できないので、このカードで戻しつつドローに変えるのがベスト。
素材の融合モンスターは《闇の量産工場》あたりでサルベージすればOK。


◆余談

「ワイアーム」とは、四肢を持たない蛇のような体に大きな蝙蝠の翼、龍の頭を持った想像上の生物である。
凶暴で攻撃的な性格であり、や炎のブレスを吐いて暴れ回る。さらに体が小さいため飛行能力が高いとされている……
が、イラストを見る限りこの《始祖竜ワイアーム》、かなりのデカブツである。
だから効果モンスターの効果を意に介さないのだろうか……?


追記・修正は《始祖竜ワイアーム》を融合召喚してからお願いします。


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最終更新:2025年04月19日 22:20

*1 ただし例外として「トークン」もまた通常モンスターとして扱われる。後述するように遊戯王にはカイエントークンというこのカードの天敵のようなモンスターが存在するため覚えておきたい

*2 ペンデュラムモンスターの中にはモンスター効果を持たない種類もあるが、それらは通常モンスターとして扱われるのでそいつらにはすり抜けられる

*3 2023年の裁定変更により、魔法・罠ゾーンも含めて1枚限定になっている。