登録日:2019/04/27 (土) 10:35:21
更新日:2025/04/20 Sun 00:59:55
所要時間:約 38 分で読めます
真実vs奇術vs蹴撃
雌雄を決する三位一体バルトミステリー
『名探偵コナン 紺青の
拳』とは、劇場版『
名探偵コナン』シリーズの第23作目のタイトルである。
2019年4月12日公開、上映時間は109分。
2019年8月21日からは4D版の上映も開始された。
【概要】
怪盗キッドが登場する劇場版作品の6作目。
また本作では、長らく出演が待ち望まれていたものの、劇場版では
回想シーンなどでのごく僅かな出番しかなかった
京極真が初めて本格的な登場を果たし、メインの一角に据えられた。
両者は一度本編の『怪盗キッドvs
京極真』で既に対決しているが、本作でも激闘を繰り広げている。
京極がメインキャラとなった事で、彼の恋人である
鈴木園子が『
紺碧の棺』以来久々に劇場版の
メインヒロインとなっているのも特徴。
今回の主な舞台は、獅子の国シンガポールに実在する高級リゾートホテルであるマリーナベイ・サンズ。現実の外国が舞台となったのは劇場版シリーズ史上初。
制作にあたってはシンガポール政府観光局の協力も受けており、マリーナベイ・サンズの他にもマーライオン・パーク、ラッフルズ・ホテル、富の泉など、同国の名所も色々登場する。終盤でエラいことになるのによく許してもえらたな。
また、旅行会社H.I.Sは本作と連動した公式ツアーを販売していた(現在は販売終了)。
海外が舞台なので、ゲストキャラを担当する声優は海外出身者や海外在住経験のある人がほとんど。
原作との時系列については『怪盗キッドvs京極真』そして『紅の修学旅行』の後日談であり、劇中もほぼそれらの話を前提にしつつ進行していく事となる。しかし特殊な事件だからか後にキッドや京極さんの話が来ても本作の出来事には未だ触れられず。
脚本は『
から紅の恋歌』も担当した大倉崇裕。
監督は永岡智佳で、シリーズ初となる女性監督が起用された。
本作公開の1日後の2019年4月13日には、連動する
アニメオリジナルエピソード『フードコートの陰謀』が放送された。
コナンがシンガポールにいる間に発生したとある事件を描くもので、本作では出番が僅かしかない歩美・元太・光彦の3人と、本作には登場しない
目暮達捜査一課のメンバーが活躍している。
『
キングダム』『
アベンジャーズ/エンドゲーム』『
名探偵ピカチュウ』といった話題作が同時期に相次いで公開され、映画ランキングの上位をこれらの作品に譲った週もあったが、前作同様にリピーターにも恵まれてロンラグン上映となり、7月下旬には前作に匹敵する91.2億円を記録。
4D版公開後の8月下旬には、前作を上回る興行収入91.8億円を記録したことが発表され、劇場版『名探偵コナン』は
7年連続でシリーズ最高興行収入記録更新を達成した。
なお、本作は2010年代及び平成時代最後の劇場版『コナン』である。
次回作『緋色の弾丸』は2020年4月公開を予定していたものの、新型コロナウイルス感染拡大による影響で丸1年延期され、2020年はコナンの劇場映画が公開されない空白の年になり1997年以降毎年公開されてきた記録は本作で途切れることになった。
【公開前の舞台と内容をめぐる予想】
昨年公開の『
ゼロの執行人』終了後の予告は、とある建物の上でキッドが「
またお逢いしましょう……夜空に浮かぶ、船の上で」と述べるというものだった。
その建物が、前述のホテルを思わせる特徴的なシルエットをしていたため、次回作のタイトルやストーリーの詳細が発表されるずっと前から「次回の舞台は海外?」と囁かれることに。
しかし、もし実際に海外が舞台となれば「コナンは戸籍がない(=パスポートが発行できない)のに渡航できるのか?」などの問題をクリアしなくてなはらないわけで「フタを開けてみればマリーナベイ・サンズによく似ているだけの日本国内の建物というオチかも?」「海外に本当に行くならコナンは何故どうやってシンガポールへ?ロンドンの時と同じ手を使うのか?」と話題になっていた。
※以下ネタバレが含まれますので、未鑑賞の方はご注意ください。
【ストーリー】
中身を言い当ててくれよ名探偵……殺人という名の謎めいた拳の、中身をな……
ボ、ボクの名前はアーサー・ヒライだ!
シンガポールのマリーナベイ・サンズにあるショッピングモールで、女弁護士のシェリリン・タンが刺殺される。
その直後に地下駐車場で爆弾事件も発生し館内は停電。現場は騒然となる。
現場に居合わせた犯罪行動心理学のエキスパートであるレオン・ローは冷静に現場の保存に努め、到着したシンガポール警察に協力。
すると現場検証が始まりしばらくして、館内のエレベーターに血塗られた怪盗キッドのカードが貼り付けれらているのが発見される。
一方外では、シンガポールの象徴であるマーライオンが血のように真っ赤な水を吐き出すという怪事件が発生していた。
数日後、シンガポールで開かれる空手トーナメントに京極が出場する事となり、園子の誘いで蘭と小五郎もシンガポールへ応援に行く事となる。
コナンはパスポートを発行できないので、新一の姿に戻るため灰原に
APTX4869の解毒剤をねだるも
修学旅行後の
工藤新一生存騒動が原因で却下され、日本で留守番をする事になった。
だが、阿笠邸からの帰り道で油断した隙にキッドに眠らされ、目が覚めるとそこはマーライオン・パークだった!
キッドに従わないと日本へ帰国できないため、コナンはキッドに協力せざるを得なくなってしまう。
蘭に出くわした際は咄嗟に
「アーサー・ヒライ」と名乗り、現地の子供に成り済まして彼女達に同行することに。
今回のキッドの狙いは、世界最大級のブルーサファイア「紺青の拳」。
この宝石の所有者であるジョンハン・チェンは大の格闘技好きでもあり、この度京極が出場する空手トーナメントの優勝ベルトに「紺青の拳」をはめ、優勝者に授与するつもりでいた。
園子がナンパされる騒動があったものの、合流した京極が撃退。
コナン達がホテルへ向かおうとすると、そこに予備警察官のリシ・ラマナサンが現れ、「紺青の拳」をキッドから守ってほしいと小五郎に頼んできた。
一行は宝石が保管されているレオン邸へ案内され、キッドはそこの警備システムをさり気なくしかし入念に調べる。
そしてその夜にキッドはレオン邸に侵入。難なく金庫室に到着するも、一手先を読んでいたレオンとボディーガードのヘッズリ・ジャマルッディンに阻まれてしまう。
何とか逃げ出したキッドだが、彼の前に因縁の相手である京極の猛襲でピンチに陥る。
コナンのアシストで何とか逃げ延びたキッドは、そこでようやくコナンをシンガポールに連れてきた理由を明かす。
先日の殺人事件の現場からキッドのカードが発見された事で、警察はキッドをシェリリン殺害の犯人として疑っていた。
彼はその疑いを晴らしてもらおうとして、わざわざコナンをここまで連れてきたのだ。
次の日、シンガポール・インドア・スタジアムで空手トーナメントが始まり、京極とジャマルッディンは順調に勝ち進む。
その間にキッドは宝石が保管されているスタジアム地下金庫室へ侵入するが、そこでレオンの秘書のレイチェル・チェオングの刺殺体を発見してしまう。
その直後に警報装置が鳴り響きキッドは逃走するが、警察はキッドが殺人犯だと確信し威信にかけて彼を逮捕しようと追跡を始めた。
一方、チャイナタウンで食事をしていた園子と京極は、チンピラに因縁をつけられ危害を加えられそうになる。
京極は園子を守るため果敢に戦うが、そのさなかに警察を呼びに行った園子が轢き逃げに遭う事件も発生。
幸い命に別状はなかったが、京極は自分のせいで園子が傷ついたとひどく落ち込む。そしてこれを受けて大会の棄権を決めるも、彼と園子の関係に亀裂が入ってしまった…。
翌日、リシの家で事件の捜査資料を読んだコナンは、キッドと情報交換をしながら事件の真実に迫ろうとする。
そして犯人の目星をつけ、その人物の出方を伺おうとするが、その時すでに犯人の恐るべき企みは静かに動き出していた……!
【事件関係者】
CV:山崎育三郎
警備会社社長。42歳。
鼻の下と顎に髭を生やしている紳士。
「シンガポールの名探偵」とも呼ばれる有名人で、リシによれば「警察にいた頃は犯罪行動心理学者として多くの凶悪犯を逮捕していた」という。
2年前に警察を退職してからは警備会社を興し大成功を収めている。
日本語も堪能。
シェリリンとの待ち合わせ場所のバーに後からやって来たにもかかわらず、彼女がオーダーしていた飲み物を運ばれてくる前に「よく冷えた白のムルソー」だと的中させてみせたあと、不敵な笑みを浮かべ
「君の心を読んだのさ」と言ってのけるように、相手の心を読み取るのが得意で、常に1つ先を見越して行動している。
更に洞察力にも長けており、小五郎を一目見て「何もオーラを感じない」と思い、新一に変装したキッドと対面すると彼の手を見て「探偵と言うよりはマジシャンのようだ」と発言する。
しかし京極に揺さぶりをかけるほか、黒い噂の絶えない中富や海賊の頭目であるリムとも繋がりがあるなど、切れ者なのは確かだがどこかキナ臭く油断のならない人物。
また、屋敷に侵入してきたキッドをその卓越した頭脳を活かし追いつめた上テーザー銃で気絶させ、そのまま水を満たした金庫室に閉じ込めて溺死させようとする過激なところも見せる。
レオンを演じた山崎育三郎の所属している芸能事務所(研音)からは過去に、福士蒼汰(『
異次元の狙撃手』)、榮倉奈々(『
業火の向日葵』)、天海祐希(『
純黒の悪夢』)の3人が劇場版にゲスト出演の経験がある。
CV:浅川悠
弁護士。40歳。
ウェーブがかった金のロングヘアが特徴の美人。
以前はレオンの会社の顧問弁護士を務めていたが、関係が悪化した事によりレオンと袂を分かつ。
彼女も
日本語堪能。京極のスポンサーとして彼を空手トーナメントに招待していた。
マリーナベイ・サンズのインフィニティプール併設のバーでレオンと会うが、ある件についての彼の回答と態度に何かを感じたのか、
逃げるようにその場を後にする。
そのままエレベーターに乗り込むが、その後で何者かに背中を刺されてしまう。
ショッピングモールのある階で降りるとおぼつかない足取りで歩き出したものの、数メートル歩いた辺りで力尽き倒れてしまった。
その直後、地下駐車場で爆発事件が発生しホテル全体が停電。爆破されたのは彼女の車だった。
CV:河北麻友子
レオンの秘書。28歳。
黒髪ロングで太めの眉とツリ目が特徴の美人。
レオンとは彼が会社を設立する以前からの付き合い。有能でレオンからの信頼も厚い。
日本語も少々片言気味ながら意思疎通には問題ないレベル。
ラッフルズ・ホテルのバーに小五郎を訪ねてきた際には、周囲にいた男達の視線を気にしつつ「明日ここへ」と言って彼に名刺を渡す。
そこには
「明日の午後3時にナショナルスタジアムの裏で待っている」と書かれていたが、小五郎に会う前に何者かに刺殺されてしまう。
遺体は地下金庫室の台座に押し込められており、台座の裏には彼女が書いたと思われる血文字
「she」が残されていた…。
余談だが、ゲスト声優が演じたキャラが負傷する事はあったが、事件の犠牲者を演じたのは今回が初めて。
レイチェル役は、『
世界の果てまでイッテQ!』の出川ガールである河北麻友子が演じており、『ゼロの執行人』にゲスト出演した上戸彩に続いて2年連続の同じ芸能事務所(オスカープロモーション)からのゲスト出演。
また、『イッテQ!』からでは本作の2年前に公開された『から紅の恋歌』にゲスト出演した宮川大輔以来である。
CV:チャールズ・グラバー
シンガポール警察警部補。38歳。
目暮十三と
横溝参悟を足して2で割ったような容貌。
今回の事件の捜査のために、心理学に長けるリシに協力を要請。一方で同じく心理学のエキスパートであるレオンの事はあまり信用していない様子。
美女に弱いのか、レイチェルに上目遣いをされ「警備をよろしく」と声をかけられると、それが変装したキッドとは知らずに顔を赤くして敬礼する場面も。
CV:
梶裕貴(
日本語パート)/ドミニク・アレン(英語パート)
シンガポール警察予備警察官。29歳。
糸目と褐色肌が特徴。
犯罪行動心理学の専門家で、かつてはレオンに弟子入りしていた。
父親が日本人なので
日本語が堪能。父親は海洋学者だったが5年前に事故で他界したという。
日本の名探偵である小五郎の事も知っており、彼がシンガポール入りしたという情報を得ると、彼がマーライオン・パークに来ると踏んで待ち捜査協力を仰いだ。
コナンを自宅に泊めた際に麻酔銃で眠らされ、警察の捜査資料を読まれてしまう。
CV:ライアン・ドリース
レオンのボディーガードで警備主任。25歳。
厳つい顔つきをした筋骨隆々の大男。
シンガポール最強として有名な空手の達人でもあり、空手トーナメントにも出場している。
トーナメントで京極と相まみえるのを熱望しており、前日に彼と会った時にも火花を散らしていた。
CV:ジェフ・マニング
実業家。72歳。
シンガポールの実力者の1人で、昨年に「紺青の拳」の引き上げに成功している。
大の格闘技好きでもあり「紺青の拳」をチャンピオンベルトに埋め込み、シンガポールで開催する空手トーメナントの優勝者に授与しようとしている。
空手トーメナントの開催にあたり、宝石の警備をレオンの会社に依頼した。
日本語も英語混じりになるもののそこそこ話すことができ、小五郎を紹介された際は妻ともども小五郎の大ファンなので一緒に写真を撮ってもいいか、と訊ねていた。
CV:高橋広樹
中富海運社長。39歳。
日本の海運王として知られる中富十三の息子で、父の跡目を継いで社長に就任した。なかなかのやり手のようだが、現在政治家への収賄疑惑のさ中にあるなど黒い噂が絶えない。
しかも振る舞いはチンピラそのもの。取り巻きを引き連れ周りの人々を威圧しながらマーライオン・パークを練り歩き、京極と待ち合わせしている園子をナンパするも、あしらわれるや否や態度を豹変させ「お前一人車に連れ込むくらい簡単なんだぞ?」と、どう聞いてもアウトな脅し文句を口にする。
しかしその直後、取り巻き共々京極一人に瞬く間に撃退され這う這うの体で逃げて行った。ざまあ。
レオンとも顔見知りで、きっかけは5年前に訪星した際に窃盗の疑惑を掛けられてしまい窮まっていたところを救われたからだとか。
今回シンガポールに渡った理由をマスコミに問われ、バカンスが目的だなどとキレ気味に答えていたが果たして……?
CV:カート・コモン
東アジアの海で暗躍する海賊の頭目。「紺青の拳」を狙っている人物の1人。
未明にレオンと密会し、とある計画について話し合う様子をキッドに目撃されている。
【レギュラー陣】
ご存知主人公。なお今回登場する新一はほとんどキッドの変装なので、新一本人の台詞は僅かしかない。
京極の応援のため、かつて『ホームズの黙示録』でロンドンへ行った時と同じ手段でシンガポールへ行こうとするも灰原にすげなく断わられ、仕方なく日本で留守番をすることに。
しかし不承不承家路につくも、その帰り道でキッドに拉致され、そのままシンガポールへと連れてこられてしまう。
阿笠の発明品一式をキッドに没収された上、彼がいないと日本へ帰れないため大人しく従うほかなくなり、前もってキッドに特殊メイクで肌を浅黒く染められていたのを活かし現地の少年に成り済ます羽目になった。新一に変装したキッドと蘭がいい雰囲気になる度にもどかしい思いをする。
蘭に名前を訊かれた時には、咄嗟に
「アーサー・コナン・ドイル」と「江戸川乱歩」の本名
「平井太郎」から取って
「アーサー・ヒライ」と名乗り、
「日本人との混血で、両親は仕事で日本におり一人で留守番中」と説明して彼女達に同行する事に。『社長令嬢誘拐事件』の
オマージュだろう。アーサーとして振る舞う際は口調が少し片言気味になる。
ちなみに、阿笠達にはキッドの嘘により
北海道にいると思われている。
ご存知月下の奇術師で今回のメインの1人。
何者かによってシェリリン殺害の疑いをかけられ、その嫌疑を晴らしてもらうべく、コナンを特殊なスーツケースに入れ密入国させるとともに、自身も「紺青の拳」を盗むために新一に変装してシンガポール入りする。
容疑をかけられている状況下で黒羽快斗として入国すれば後々アシがつくと考えたのか、コナンを拉致した際に奪ったであろう新一のパスポートを使い、元々容姿が似ていることを活かして彼に成り済まし蘭達に同行。
当たり前といえばそうだが、蘭に後述のことを訊かれて初めて彼女と新一が恋仲になっていたのを知り、(自分と幼馴染の
中森青子はまだそういう関係になっていないのもあって)内心大いに驚いていた。
今回はいつものハンググライダーに、寺井に用意してもらったという無風状態でも自由自在に飛べるエンジンとプロペラを搭載している。
レオン邸で京極に出くわし追いつめられるが、コナンのアシストにより何とか逃亡。
翌日には盗みに入った時にレイチェルの遺体を発見し、逃走中にシンガポール警察の銃撃によって痛手を負うも、レオンとユージーンらの密会現場を押さえるなどして、コナンと手を組み真相に迫ろうとする。
『怪盗キッドvs
京極真』での初対決や今作でのことが相当堪えたのか、コナンに「京極の元に(チャンピオンベルトとして)『紺青の拳』が渡ったら、もう手出しできないのでは」と問われ
「
京極にはなるべく近づきたくない」と顔を引きつらせながら答えている。
また、京極と再会した際は「初めて会った気がしない……」と不思議がられたので、つい冷や汗をかきつつ思いっきり否定していた。
なお、京極について彼本人がいないところで言及する際には「あの空手野郎」と呼んでいる。
ご存知「
蹴撃の貴公子」。満を持してメインの1人として登場。オープニングでは、コナンから「キッドの好敵手」と紹介される。
今作では、彼が額に貼っている
絆創膏の秘密が明らかに……?
シェリリンの招待でシンガポールの空手トーナメントに出場する予定だったが、彼女の死により欠場の危機にさらされるも、園子がスポンサーになった事で招待選手として再エントリーすることができた。
彼女が未だにキッドにゾッコンな様子を目の当たりにしたことで
レオン邸に飾られている像を溶かしそうになるほど闘志を燃やし、その晩レオン邸に侵入してきたキッドと再度相対する。
しかし遠く離れた場所からコナンが蹴ったサッカーボールが飛んできたので、それを拳で破壊していた隙にキッドに逃げられた。
空手トーナメントでは順調に勝ち進むも、レオンの
「目的を持たない不完全な拳は危険だ。周りの人々も不幸にしてしまう」との言葉で心が揺らぐ。
その後でチンピラに絡まれた際にはその言葉が脳裏をよぎり本来の力が出しきれず、苦戦している間に園子が不審なパトカーに轢かれてしまう。
自分のせいで園子が傷ついたと責任を感じトーナメントの棄権を決めるが、そのことに加え彼女にミサンガや
絆創膏の事を訊かれてもなお言葉を濁した事で、ついには怒らせてしまい……。
なお、
金曜ロードショーでの字幕の色は、通常のアニメ版とは異なり、キッドが水色、京極が緑で表記されている。
ご存知蘭の親友で今回の
メインヒロイン。
京極の試合観戦のため、蘭達を誘ってシンガポールを訪れた。シェリリンの死去で出場の機会を失いかけた京極の新たなスポンサーに名乗り出るなどして彼をサポートする。
しかし、ホーカーズでチンピラに絡まれ、警察を呼ぼうとパトカーへ近寄ろうとするが、停車したそのパトカーからは気絶している警察官が倒れてきた。
その不審な状況に気づいた途端、そのまま何者かが運転するパトカーに轢き逃げされてしまう。
幸い命に別状はなかったが、乱闘騒ぎと交通事故に遭った事で精神的に不安定になってしまい、更に自分に隠し事をしている京極に不信感を募らせた末
「そんな偽りだらけの男に守られたくなんかないわ!」と声を荒げて突き放してしまう。
いつも
カチューシャを付けおでこを出している彼女だが、とあるシーンでは前髪が下りた状態になっているのがとても可愛い。
余談だがオープニングのキャラクター紹介の終盤では、コナンを急かして「早くいつものやんなさいよー!」という
メタ発言をしている。
ご存知蘭姉ちゃん。
先にも触れた通り、本作は『紅の
修学旅行』以降の話なので新一とは既に恋人同士。
そのこともあってか、新一に対してかなり積極的になっており、シンガポールで落ち合った彼がキッドの変装とは気付かずに腕を組んで、園子に「ラブラブじゃなーい!」と冷やかされる一幕も。
更にマリーナベイ・サンズのインフィニティプールに一緒に入った時には、そこから見えるロマンチックな夜景を眺めながら顔を赤らめ
「ねえ新一……私たち、付き合ってるんだよね…?」と訊ねつつ彼と手をつなごうとしていた。
ちなみにその光景を見たコナンは、蘭はキッドの変装に気付いていないのかとヤキモキし、またイチャイチャしている様子を見て凄く悔しそうにしていた。
空手トーナメントでは経験者ならではの観点で試合を観ており、ジャマルッディンの高い実力に「パワーもスピードも兼ね備えてる」と分析し、感嘆している。
ご存知迷探偵。
リシから宝石の警備の協力を頼まれ、最初はバカンス中だからと断わろうとするも、新一に変装したキッドに「現地人と仲良くなっておけば安くて美味い店紹介してもらえるかもしれませんよ?」などと乗せられて力を貸す事に。
シンガポールにもファンがいたと知り上機嫌になるが、レオンには「オーラを感じない」「この男(小五郎)は解らん……」と困惑交じりに不思議がられていた。
蘭には「シンガポールは安全な国なんだからそんなことしなくても大丈夫」と言われていたが、旅行中はパスポートを入れたポーチを首から提げ肌身離さず携帯している。
ラッフルズ・ホテルのバーでシンガポール・スリングを堪能していた折、レイチェルに何やら名刺を渡されるもすっかり忘れていた。
翌日空手大会の会場に入ろうとするも、金属類は全て外しているはずなのにゲートにある金属探知機に引っ掛かり係員に止められてしまう。
結局リシの取り成しのおかげで入場できたが、ポーチには見覚えのない中富海運のメダルがいつの間にか入っていた。
ご存知哀ちゃん。
コナンにシンガポールへ行くための
APTX4869の解毒剤をねだられ、きっぱりと断わるが、数日後にコナンにユージーンの事を調べてほしいと頼まれると、コナンがキッドといる事に驚きながらも、ユージーンの身元や中富海運所有のタンカーの航路などの情報を送った。
余談だが、時系列が
修学旅行後なので自身のスマホに比護選手の
ストラップが付いている。
ご存知天才発明家。
今回の出番は冒頭とエピローグのみと控え目。皆勤賞要員その1
その為、アバンで恒例のダジャレクイズを出題するという歴代で最も早いタイミングでの出題となった。
コナン「え?もう?」
トドマーライオンの着ぐるみを着て張り切るも、相手がコナンだったのであっさり解かれた。
ご存知少年探偵団。
劇場版皆勤賞である探偵団だが、シンガポールに行っていないので今回の出番はほんの僅か。
皆勤賞要員その2
コナンと灰原の通話を傍で聞きつけ、彼がキッドと行動を共にしていることを知る。
ただ、コナンがシンガポールではなく
北海道にいると思っているので、キッドが
北海道で何を盗むのかについて札幌
ラーメンか木彫りのクマか、などと微笑ましい予想を言い合っていた。
捜査二課の警部。
エピローグにて、とある場所に
機動隊を引き連れ登場。
なお、これまで中森の声優を務めていた
石塚運昇氏が2018年8月13日に死去した為、本作より石井康嗣氏が声を担当している。
園子の伯父で鈴木財閥相談役。
劇中でのセリフはないが、園子から電話で頼まれて大会運営本部に掛け合い、京極を招待選手として再エントリーさせた。
エンディングでのニュース映像にもチラッとだけ登場している。
キッドの手下で
今回はキッドのために無風でも自由に飛べる
プロペラ付きハンググライダーを用意した。
ちなみにコナンとキッドが
海賊がいるマリーナベイサンズに飛んで行くのを
目撃した警官の後ろを帽子を被って去って行くのが
チラッと見える。
【その他の人物】
CV:林修
予備校講師。本人役で登場。
空手トーナメント会場であるスタジアムで日本人の観客にインタビューを行っていた。
林先生は他局の番組である「林先生の初耳学(現:
日曜日の初耳学)」でコナンの登場人物のモノマネをして解答するシーンがあり、作者の
青山剛昌先生も林先生がモノマネをする事を以前から知っていた。
【用語】
ビッグジュエルの1つで、世界最大級のブルーサファイア。
19世紀末に海賊船と共にシンガポール近海に沈んだとされる伝説の秘宝で海賊王の証。長らく行方がわからなかったが、去年ジョンハンが引き上げに成功した。
彼は空手のトーナメントを開催し、この宝石をチャンピオンベルトにはめ込み優勝者に授与するつもりだという。
普段はレオンの屋敷の地下に設置された最新のセキュリティシステムを搭載した金庫で厳重に保管されているが、空手大会開催に際して会場に移される手はずになっている。
実はレオンも何年も前から捜索していたが、引き上げまであと一歩というところでジョンハンに先を越されていた。
噂では、沈没船の位置をジョンハンにリークした人物がいるそうだが……?
園子が事故で傷つき落ち込んでいる京極に、レオンがお守りと称して渡したもの。
「戦いの神が君に試練を与えている」と言いながらレオンはこれを京極の手首に巻き、「これが切れたら心技体が備わり戦いの神に認められた証だが、切れる前に拳を振るえば…解っているね?」と続ける。
だが実はこれにはスチールワイヤーが仕込まれており、簡単には切れないようになっていた。
しかし京極はこの言葉を信じ、トーナメントの棄権を決めてしまう……。
【余談】
- 2016年から2019年まで、4年連続で色黒キャラクターが劇場版のメインを務めることとなった。
(2016年『純黒の悪夢』・2018年『ゼロの執行人』で安室透、2017年『から紅の恋歌』で服部平次、そして2019年の本作でアーサー・ヒライと京極真)
- 2018年7月、読売テレビ本社前に置かれていたコナンの像が突然「行方不明」になり、像が本来あったはずの場所には「小さな名探偵さんは預からせていただきました。来春の劇場で邪魔されないように…怪盗キッド」という犯行声明が出現した。
- 本作のポスタービジュアルが発表される日の14時12分、これがキッドに「盗まれた」ため、公式は「謝罪文」を発表。
更に記憶を頼りに再現したという「緊急ビジュアル」なるものを発表したが……その珍妙ぶりは必見(これはプロモーションの一環である)。
- 本作を鑑賞することを「出国」という。元はファンの間で自然発生的に使われ出したが、後に公式も4D版上映の宣伝に際し「4Dアトラクション出国上映 」と銘打つようになった。
- オープニングで映るトランプの中には、キッドのマークが隠されている。このことは金曜ロードSHOW!の『ゼロの執行人』にて、本作のゲストの林修氏が紹介していた。
- 2024年現在、レオン役の山崎育三郎が所属している研音からは劇場版にゲスト出演した5人のうち3人が犯人役、ひとりは組織関係者を演じるなど比較的優遇されており、作品によってはゲスト声優の所属事務所で犯人かそうでないかを推理するファンもいる。
- 『北斗の拳』とは、タイトルや人間離れした実力を持つ格闘術の使い手が登場する点が似ているとネタにされていたが、その後本当に同作とのコラボCMが制作された。
CMのナレーションはご存知ケンシロウ役、そして古参ファンにはお馴染み、初代毛利小五郎役の神谷明が務めた。ちなみにこの時のタイトルコールでの紺青の拳の読みは「フィスト」ではなく「こんじょうのケン)」である。
- タイトルに「紺」の字が付くのは『紺碧の棺』以来2度目。どちらも園子がメインを務めているという共通点がある。また、色の名前が入った劇場版のタイトルは本作で通算6作目になる。
- 映画レビュー漫画『邦画プレゼン女子高生 邦キチ!映子さん』の、1番トンデモな映画を決める読者参加企画「邦キチー1」において本作が栄えある(?)グランプリに選ばれ
てしまった。
- 『コナン』劇場版でお馴染みの「当て字」が含まれるのは『から紅の恋歌』以来2作ぶりで通算16本目。また、平成時代及び2010年代公開の作品としては最後となった。
追記・修正は、闘志のオーラを纏ってからお願いします。
最終更新:2025年04月20日 00:59