登録日:2026/04/29 Wed 22:58:40
更新日:2026/08/02 Sun 19:04:42
所要時間:約 67 分で読むのがこの俺、九重雪兎だ。
『
俺にトラウマを与えた女子達がチラチラ見てくるけど、残念ですが手遅れです』は、御堂ユラギによる
ライトノベル作品である。
2020年7月から
小説家になろうに投稿されている。
2022年4月にオーバーラップ文庫にて書籍化された。イラストは
緜。既刊6巻(2025年7月)。
2023年3月よりコミックガルドにて漫画版の連載が開始された。コミカライズ担当はいちたか。既刊7巻(2026年7月)。
略称は「
トラ女子」。オーバーラップ情報局Twitterで開催された、作品の略称を決めるアンケートによって決まった。
【概要】
「
女難の相を極めし者」を自称するほど女性絡みのトラブルに巻き込まれ、その結果として多くの女性からトラウマを与えられてきたことで様々な感情が破損してしまった男子高校生を主人公とする物語。
しかし、相手の女性たちは本当は主人公を悪く思ってなどおらず、コミュニケーションを誤ったばかりに主人公の心身を傷つけてしまったことを悔いており、贖罪や本来の好意など様々な感情から主人公のことをチラチラ見ているものの、自身の感情が破損したことで他者の感情を察知することもできなくなってしまっていた主人公にはもはや何一つ伝わらない……という意味での「
手遅れ」である。
そうして主人公もヒロインたちもすれ違いまくる、「手遅れから始まる全く始まらない勘違いラブコメディ」が本作のコンセプト。
後になってから加害者側が関係修復を望むとはいえ、なろう系によくある
悪びれもせずに掌返しを行う厚顔無恥な相手をバッサリ切り捨てることでもって「ざまぁ」とする、いわゆる「今更遅い」モノではない。
基本的には主人公の一人称で語られる。このためWeb版は特に「主人公の物語」という側面の強い作品である。
一方で書籍版は、「Webと書籍では求められているものが違うのでは?」と考えた作者によって、よりヒロインたちにフォーカスし、主人公とヒロインのエピソードが追加されたことで、「主人公とヒロインの物語」に改められている。文章の変化はかなり大きく、キャラクターが新規追加されたりエピソードの順序が入れ替わっていたりするので、書籍版やそれに準拠した漫画版から入った読者がWeb版まで遡るとその違いの大きさに驚くかもしれない。加筆だけでなく、別の内容のエピソードに差し替えられることも行われており、その結果としてWeb版限定となったエピソードもある。
Web版が「ヒロインたちからの好意を『恋愛? なにそれ喰えるの?返せるものが自分の心の中にない』とかわし続けてドタバタ高校生活を送る主人公の物語」で、書籍版が「主人公の心身を傷つけてしまったヒロインたちが罪悪感の中に沈んでいたところを主人公の手で引き上げられ、そこから新たな関係性が作られる主人公とヒロインの物語」というところ。
本作は元々、Web版第三章(書籍版第2巻)終了の時点で完結とされていた。
ここまで物語が進んだところで主人公の感情は恋愛を開始できるまでに修復されたわけなのだが、マイナスを挽回することで主人公がたどり着いた、「恋愛が始まるラブコメのスタートライン」こそが、作者の設定したゴールであった。
俺のラブコメはこれからだ!
そのタイミングで書籍化を打診されたために連載を続けることになったのだが、「折角なので色々と物語を大きく展開できるようにしよう」と書籍版はWeb版にない様々な展開を入れており、これ以降Web版と書籍版の差異はますます大きくなってゆく。
……結果として執筆すべき作品が細胞分裂を起こしてしまったわけで、さらに漫画版単行本にも短編を描き下ろしているため、書籍版第4巻発売と同日に行われたWeb版の更新はその後、第5巻発売と同日(
8ヶ月後)、第6巻発売と同日(
12ヶ月後)、と兼業作家の苦労がうかがえる頻度となっている。
そして、漫画版もまたこの節目で
打ち切り完結とはならずに連載を続けることにしている。
以下、特に断りがない場合は書籍版を基準に記述する。
【あらすじ】
俺、九重雪兎は女運が悪い。
昔から何かとトラブルに巻き込まれ、母親には疎まれ、姉には嫌われ、両想いだと思っていた幼馴染には告白前にフラれ、傷心中に嘘告される始末。
すっかり感情がぶっ壊れて色々と手遅れなんだけど──
「私が悪いの……全部私が──」
「ごめんなさいユキ! アレはそんなじゃなくて──」
何故か俺にトラウマを与えた女性達がチラチラこっちを見てる気がする……。
これは傷つきすぎて好意を受け止められなくなった少年と、そんな彼を傷つけてしまった女性達による、手遅れから始まる全く始まらない勘違いラブコメディ!
(オーバーラップ文庫特設サイトより引用)
【登場人物】
俺
主人公。
逍遥高等学校1年B組。彼がこの学校へ入学するところから物語が始まる。
……が、入学早々「
学校辞めます」と宣言したり、改めて「
陰キャぼっちを目指している」などと自己紹介を行って担任に心配されたりクラスメイトからドン引かれたり、と物語を通じてひたすら型破りな言動を繰り返す。
そして、それを誰が相手だろうと平然と成し遂げる
強靭極まりないメンタルこそが、九重雪兎という人物の最大の特徴である。
昔から雪兎は、とにかく女運が悪かった。
母からは疎まれ、姉からは嫌われ、両想いだと思っていた幼馴染に告白しようと思えば先に彼氏を作られてフラれ、その傷心中に嘘告のターゲットにされたり……とにかくロクな目に遭わなかった。
他にも攫われそうになったり、迷子の女の子を助けようと思えば親に通報されるなど、色々と面倒で厄介なトラブルや不運に巻き込まれ続けた結果、いつしか雪兎の感情は破損してしまっていた。
これによって雪兎は感情が沸き立つことがなくなったのみならず、他人の感情に対する共感性をも喪失している。
そのために様々な勘違い、すれ違いが発生することになり、ヒロインたちはそれに悪戦苦闘しつつもどうにか雪兎へ自身の好意を伝えようとする……それが、本作の「勘違いラブコメディ」模様である。
感情面が機能不全状態に陥っているため表情がほとんど動かず、「あははははは」「
キシャシャシャシャ」などと高笑いする時でも真顔のまま。
常に顔が描かれている漫画版においては、小説の独白を大幅に削らなければならない関係で、目は死んだままだがいくらか表情が描かれている。時には
計画通りな
顔芸も披露するが、それでも基本的には「本人は表情があると思っているが実際は無表情」である。
俺、そういう顔してるだろ?
そのような外面ではあるものの、本質的には困っている人を見ると助けずにはいられないお人好し。そのせいで何度トラブルに見舞われることになろうとそれは変わらず、ともすれば
自己犠牲的ですらある。
問題解決能力は極めて高く、雪兎の行動に助けられた者は風評などに惑わされず雪兎に近寄ってゆく。そうして、
陰キャぼっちを目指す雪兎自身の意思とは裏腹に雪兎の周囲には多くの人々が集まることになる。
「恐怖」や、他人に対する「好意」や「悪意」というものを感じなくなった(ただし姉は怖い)ことで、誰が相手でも円熟した大人のように泰然と接することができる。そのため、そういった年代の大人からも子供扱いされずに一目置かれることがある一方、不遜とみなされトラブルを招いたりもする。
しかし、もしも雪兎にとって「敵」の立場になり、あまつさえ害をなそうものなら、待っているのは
もう二度と雪兎を敵に回そうなどと考えられなくなるほどの、一切の容赦も慈悲もない悲惨な末路で、作品タイトルとは真逆の
雪兎からトラウマを与えられた人物が何人も存在する。それによって
人生逆転した者すらも。
学校側としては問題児扱いせざるを得ないほどの日頃の奇行から内申点は常に壊滅状態であり、それを補うための努力を重ねたことで、勉強面では学年3位を取るほど優秀。
また、中学時代から始めた
バスケットボールについては、校外でも年上のプレイヤーに混じってストリートバスケで鍛えてきたことから、
戦力にならないメンバー4人を抱えたまま、強豪校のチーム相手にたった1人で無双するほどで、退部後バスケから離れて久しい現在においてもその実力は同年代を大きく突き放している。
それ以外にも様々な能力、知識、技能をその身に取り込んでおり、とにかく万能で多芸。そのハイスペックぶりに加えて、この手のラノベ主人公のお約束として容姿も整っている方なので、ヒロインたちをヤキモキさせてしまうほど同年代の女子からの評判は高い無自覚なモテ男……言ってしまえば、「
残念なイケメン」。
筋金入りの甘党で、数少ない趣味のうちの1つにスイーツ巡りがある。夕食前でもつい
クレープを買食いしたり、登校中にトラブルに巻き込まれたので
学校へ行く気をなくして数量限定タルトを買いに行くなど、何かにつけて賞味している。昼食に購買を利用する際もアンパン2個(流石に甘すぎるらしい)、ぶどうパンとチーズミルクパンの組み合わせ(これはベストマッチ)、といったチョイス。
ゲームも、アーケードからスマホアプリ(
3%の100連課金ガチャで爆死)まで年相応にプレイしている。作中では
某携帯機ゲームネタが多い。
また、少年らしい性欲も失われてはいないため、気心の知れた相手にセクハラ発言を飛ばすこともある……が、あくまで発言のみ。逆に、
貞操逆転世界レベルのお色気攻撃を(主に年上から、大抵は身内から)受けては大きく狼狽させられてばかり。
本作には主人公の行動による女性側の事故として引き起こされる、いわゆる「ラッキースケベ」はない。
……などという、一人称視点で描かれる本作の主人公、「この俺」こと九重雪兎だが、物語が進むにつれて何が何でも「自分が悪い」「自分に価値はない」「他人からの好意など勘違い」などと思い込もうとする、読者の目にも明らかに不自然に見える思考回路を走らせるなどして、次第に「信頼できない語り手」としての様相を見せるようになる。
また、「嫌な記憶はすぐ忘れるようにしている」と語る通り、他人は知っているのに雪兎は知らない、雪兎自身のことが数多くあり、自分で自分の全てを把握していない「謎に満ちた主人公」でもある。
|
+
|
残念ですが手遅れです |
幼い頃から女難の相を極めており、それは雪兎に様々な影響を落とすことになる。
雪兎はトラブルの結果として周囲の女性から心身ともに多くの被害を受けてきた。その女性たちは本当は雪兎に好意を抱いているにもかかわらず。
それらは大なり小なりのすれ違いや不幸な事故でしかなかったのだが、こういった女性絡みのトラブルを矛盾なく、そして責任転嫁もなく説明するために雪兎は「本当は自分は好かれてなどいない」と考えるようになったのである。
万能さ多芸さについても、自分のマイナス点の多さを埋めるために身に着けたことであり、「そうしないと生きていけなかった」と述べるほど雪兎の自己肯定感はとてつもなく低い。
自分の前で泣く女性ばかり見続けてきたことで「自分は誰かを傷つけてしまう」、ゆえに「自分は一人であるべきだ」と思っており、高校卒業(あるいは退学)後は離島で蜜柑を栽培するなどして周りの人々の前から消え去り、最後には野垂れ死ぬつもりでいるなど、雪兎の自称「陰キャぼっち」のうち「ぼっち」の方こそが雪兎のアイデンティティである。
これらの思い込みは極めて頑固なもので、かつて好意をうまく伝えることに失敗して雪兎の心身を傷つけてしまったヒロインたちが改めて素直に好意を告白しても、雪兎は過去ではなく現在の姿の方を「嘘」扱いして好意の存在を否定するほどである。
しかし……
何故勘違いしようとする? 故意に間違うな。彼女は今、俺の為に……。
いつからこうなった? いつからこんな風に思考を誘導されていた? 誰に? 何故だ? 俺は九重雪兎で、九重雪兎が俺で……。
そういった過去よりも説得力のある現在の姿をヒロインたちが見せることによって、やがて雪兎は自分自身の思考の方を疑い始める。
今までヒロインたちの方を嘘つき扱いしてしまった自分の態度についても、「俺はなんて酷いことを……」と悔やむこととなる。
この思考の異常さを正し、ラブコメができるほどの状態にまで修復することが、Web版の当初の(書籍版第2巻までの)テーマであった。
また、今まで生きていた中でのトラブルは雪兎にとって辛い経験も多く、それらの記憶は雪兎の中から消し去らなければ正気を保てないほどであった。
そうした自己防衛の結果として、雪兎は過去にあった出来事のうちのいくつかを、関係者の存在もろとも忘却している。
それらの関係者のうちの何人かと再会することはあるものの、それで雪兎が過去を思い出すことはなく初対面のように接し、また雪兎の一人称視点では関係者の困惑など理解できるわけもない。
九重雪兎という人物の、過去から現在にわたる全貌は、物語が進むにつれて少しずつ明かされてゆくことになる。
|
トラウマを与えた女子達
本作のヒロインたち。その都合で、「女子」とは言い難い人物もここに含める。
ハーレム系ラノベかと思うほど数多く登場するが、これについて作者は、本作の執筆を開始した頃は単体ヒロインの作品が多数派だったため逆に多彩なヒロインを登場させようと考えて作った結果、大変なことに……と語っている。
幼馴染。
逍遥高等学校1年B組。
高校生活初日に開催された親睦会の時点で1年B組の双璧扱いされているほどの美少女。
クラスメイトに教えられるほど勉強については優等生である一方、運動はそれほど得意ではない。
雪兎にとっては、幼い頃から辛い環境の中で心の拠り所となる存在だったのだが、中学の頃になるとギクシャクするようになり、雪兎への態度も辛辣なものになっていった。それでも雪兎は自身の想いを告白しようと思ったものの、中学2年生の夏祭りで手を繋いだところ即座に振り払われたことで雪兎を拒絶する意思を察し、その後に灯凪から先輩と交際することを告げられたことで、結局彼女から向けられていた(と雪兎が思っていた)「好意」は、その実「好意」でも何でもないものだったと、「
俺はもう一生『好意』というものを理解出来ない」と思い知らされ、幼馴染としての関係は解消されている。かつては「灯凪」と呼んでいたが、今は「硯川」と他人行儀である。
しかし、先輩とは2週間程度で別れており、高校で雪兎と再会してからはまた彼に近づいてくるようになる。別れるまでの、勝気で雪兎に対して辛辣だった雰囲気はまるでなく、さりとてそれより前の確かに幼馴染だった頃とも異なる全く新しい姿に、自分の勘違いでしかなかったと灯凪への想いも何もかも捨て去った雪兎は困惑させられている。
先輩との交際については噂になるほど有名だったが、灯凪本人はそれを話題にされることを激しく嫌っている。
書籍版第1巻、漫画版第1巻表紙のヒロイン。
|
+
|
チラチラ見てくるけど…… |
「さようなら、灯凪。幼馴染は今日で解消しよう。先輩とお幸せに──」
本当は、幼い頃からずっと雪兎のことが好きだった。
しかし、何事も達観し成熟していた雪兎は周囲より大人びて見えて、さらに優しく、そして時折やらかす突飛な言動による「放っておけなさ」を持つことから雪兎に好意を抱く女子は灯凪だけではなく、それゆえに灯凪の心には焦りが生じてしまった。だが、幼馴染という公認、公然の関係ゆえにある意味驕っていた灯凪は自分の気持ちを伝えずに相手の気持ちを知ることばかり考え、そのためにあえて辛辣な態度を取るといういわゆる ツンデレになっていった。それが、 物事の表層しか読み取らなくなった雪兎に対しては逆効果であることに気づかないまま。
夏祭りで雪兎の手を振り払ったのは、心のドキドキを悟られたくない恥ずかしさのため。さらに、手汗を気にして 雪兎に触れられた手をハンカチで拭うことをしてしまったため、雪兎が再び手を握ろうとしてくれることはなかった。灯凪が自分から雪兎の手を握ろうとしたならそれで解決したことだったのだが、それをしなかったばかりに2人の心のすれ違いは決定的なものとなる。
先輩との交際を始めたのも、その頃自分に告白してきた先輩の存在を利用して雪兎を嫉妬させるためだった。しかし、雪兎は嫉妬するどころか灯凪に告白するつもりでいたことを彼の去り際に聞かされることになり、慌ててその気持ちに応えようと「 当て馬に使った」先輩に別れを告げて切り捨てた……が、そんな灯凪の思惑に振り回され、恋人らしいキスすら拒まれてプライドを傷つけられた先輩は腹いせに「 灯凪と肉体関係を持った」とデマを吹聴。それが思春期の中学生たちの間で過激さを加速されながら拡散し、ついには家族にまで知られてしまった結果、男子からは性欲を、妹からは軽蔑を、両親からは非難を、それらの感情が込められた視線を一身に浴びるという、 雪兎に対する選択肢を間違え続けてバッドエンドを迎えたかのような結末でもって、灯凪は自らの愚行の報いを受けることになった。
そして、雪兎からも同じような目で見られてしまったら……という想像に怯えて誤解を解くための行動も取れず、友人とも疎遠になって塞ぎ込むようになる。雪兎が陰キャぼっちを自称しているが、 この当時の灯凪こそが紛れもない陰キャぼっちだった。
時は流れ、最後のチャンスだと思って雪兎と同じ逍遥高校に進学。しかし、いくら弁明しても雪兎の認識を更新することができないどころか、噂を真に受けていた雪兎にはかつての行動を根拠に「 君がそんなに嘘つきだとは思わなかった」と完全否定されてしまう。
それでも、灯凪が困った際には結局彼女のことを放っておけなかった雪兎によって一度ならず助けられている。幼馴染だった頃から変わらない雪兎を見て、 全ては素直になれなかった自分自身が招いた正真正銘の自業自得だと認めた灯凪は覚悟を決め……
「聞いて欲しいことがあるの。そして、見て。私の姿を──」
一切の虚飾を脱ぎ捨て、雪兎にありのままの素直な自分自身を示した。
全てを費やした灯凪のこの行動はついに雪兎の心を動かして長きにわたる誤解を解き、再び 「灯凪」と名前で呼んでもらえるようになった。
そして、幼馴染2人の関係が再構築されたこの件をきっかけに、灯凪相手に限らずある種異様な動作を起こしていた雪兎の思考回路は、これ以降また大きく変化してゆくことになる。
灯凪の行動によるこの結果が雪兎と他のヒロインとの関係にも影響を与えていることから、「 幼馴染は負けヒロイン」などと自嘲する灯凪だが、唯一無二の活躍を果たしたと言える。
それからというもの、雪兎の顔色をうかがうような態度は次第に薄れてゆき、雪兎に対して素直な気持ちを表明し、場合によっては 突拍子もない言動に対するツッコミ役として雪兎と向き合えるようになった。それ以外にも新たな友人を得るなど、自分の世界の中に雪兎1人しかいないという 雪兎に対する極度の依存から脱却する。後に、雪兎が不当な扱いを受けて学校での立場が悪化した際には雪兎からの「 視野狭窄になるな」という言葉を思い出し、自分だけで行動せず多くの人々に呼びかけて雪兎を助けるための大きな運動を起こしてみせた。
|
友人。
逍遥高等学校1年B組。
女子にしては高い170cm以上の身長に、制服の上からでもその大きな胸部(90cm台)が存在感を発揮しており、即座に1年B組の双璧に認定された美少女。トレードマークは
ポニーテール。
雪兎が「身体能力オバケ」と太鼓判を押すほど運動神経は抜群で、ベストコンディションでないにもかかわらず体力測定で好記録を出すほど。一方で勉強は苦手。
雪兎が中学校で入ったバスケ部にて一緒だったことで彼に興味を持ち、交流を経て雪兎の女友達になる。「ユキ」「汐里」と呼び合うほどの仲になり、灯凪に対する失恋の傷心を癒そうとしている最中に好意を告白をされた……と思ったら、実はそれはイタズラで目論んだ嘘告白だった。その後、雪兎がバスケ部を辞めたのを機に疎遠になる。
高校で雪兎と再会したが、天真爛漫な性格で誰に対しても分け隔てなく接する人気者だったかつての姿は鳴りを潜め、雪兎の言動1つで落ち込んだり目を輝かせたりと右往左往してばかりで、到底友人関係には見えないものとなってしまっている。
書籍版第5巻、漫画版第2巻表紙のヒロイン。
|
+
|
チラチラ見てくるけど…… |
「こうやって俺みたいな奴と一緒に帰るのも汐里……いや、神代にとっては迷惑だろ。こういうのは今日で終わりにしよう」
中学校のバスケ部は大して熱心ではなく、その中でたった1人異質な雰囲気で練習を重ね続ける雪兎の姿が汐里の印象に残り、話しかけてみたのが始まりだった。
男性ウケの良い容姿の汐里からの呼びかけに「誰?」で返すなど他人に対する意識が希薄で、それでいて会話の相手である汐里に対しては態度も言葉も優しさがあるという一種いびつな男子である雪兎の存在は汐里の中で次第に大きくなってゆき、ついには「友達以上」という感情にまで到達した。
その頃にはバスケ部全体に、雪兎に触発されて真剣にバスケに打ち込むという意識が広がり、その流れで雪兎という男子に注目する女子もまた増えていった。そのため、運動一筋で恋愛経験など無きに等しい汐里は自身の感情に煽り立てられるまま雪兎に対して「私、ユキが好き!」と告白した。ただ、時期悪く3年の最後の大会の直前だったため、雪兎からの返事は保留とされた。
それでも雪兎への告白を成し遂げた汐里は明らかに様子が変わっていたため、そのことを小学校以来の親友たちに問い詰められてしまう。しかし、初恋の大切な想いをあまり囃し立てられたくなかった汐里は……
「ちがっ! 私とユキはそんなんじゃなくて……。好きとかじゃ──あれはユキがいつも一人で可哀想だから構ってあげてるだけで!」
つい、思ってもいないような事を口走ってしまった。
そして、それを偶然近くにいた雪兎に聞かれてしまった。
どう釈明すればいいかわからないまま時間だけが経過し、何も変わらない態度の雪兎に安心してしまった汐里は大会が目前に迫ったある日、保留された告白の返事を話題にしてしまう。
そして、果たして汐里が危惧していた通り、雪兎には嘘告と解釈されてしまっていた。
呼び方まで「神代」へ逆戻りしてしまったことにショックを受けた汐里は雪兎に追いすがったが、そこは歩道橋の上であり階段から足を踏み外してしまう。
咄嗟に雪兎が庇ってくれたために汐里は無事で済んだが、雪兎は右腕を骨折。大会出場は不可能となる。
雪兎が失恋を振り払うためにバスケに打ち込んでいたことを知っていた汐里は、その気持ちの整理をつけるために目標としていた大会への参加が自分のせいで台無しになったこと、重要な時期に骨折したことについて雪兎は自己責任だと説明し、彼を怪我させてしまった自分に向けられるはずの失望や罵声を雪兎が一身に受けて退部していったこと、それらに対する罪悪感を抱えることになる。
しかし、自分が雪兎を傷つけた立場であるとわかっていても雪兎に対する好意を捨て去ることができなかった汐里は、雪兎の進学先と知った逍遥高校を自分も選び、同情や罪悪感に過ぎないと言われようと雪兎のそばにあって好意を示し続けた。何度それを否定されようとも。
最終的に、雪兎が汐里の想いを嘘ではないと受け入れられるようになったことで再び「汐里」と呼んでもらえるようになり、雪兎と汐里は高校でバスケを再開するのだった。
当初は雪兎を巡って修羅場を演じたこともある、雪兎の幼馴染にしてバスケに打ち込むきっかけである灯凪とも話し合い、雪兎を巡るライバル同士であることは承知の上で、友人関係を築いている。
|
姉。
逍遥高等学校2年生。
腰まで届く黒髪は美しく、目鼻立ちはハッキリ整っている清楚な美人。次期生徒会長と名高く、その美貌と相まって学園でも屈指の有名人であり、雪兎も「女神」「SSR姉」「天使(後に大天使)」と称賛を惜しまない。
しかし、雪兎は悠璃から出来損ないの弟として嫌われていると認識しており、そのため恐れを込めて姉である悠璃のことを「悠璃さん」と呼ぶ。雪兎が何を主張しようと悠璃に「
は?」と言われたら即刻取り下げなければならないほどの上下関係がある。
その一方で、灯凪や汐里のように雪兎の心身を傷つけた女性に対しては雪兎に対する以上に辛辣で、そういった雪兎に害をなす女性たちのことは誰であろうと等しく憎悪する。
……が、雪兎が高校入学し、上記の2人が同じクラスになったと知ると、それ以降は手を繋いで……どころか腕を組んでバカップルのごとく一緒に登校する、
雪兎のことが「大好きよ」と宣言してキスするなど、雪兎の目にも不可解に見える奇行が始まる。
これ以外にも、別の場所にいる雪兎の動向や、ほとんど無表情であるはずの雪兎の心の声(
主に姉に対する愚痴)を迅速かつ的確に読み取ることができる。前者については雪兎の話題がすぐSNS上に流れるためまだ説明がつくが、後者についてはもはや
ニュータイプの域である。
胸について、FからGへ成長したことを雪兎に明かしている。Web版ではE→Fだったのだが、書籍化の際に作者曰く「
隠し設定として、もし続刊すると悠璃さんのバストサイズが1サイズごと大きくなっていきます(成長期)」。
欠点として、家事は苦手で、これが雪兎が家事全般をこなせるようになった理由である。
書籍版第3巻、漫画版第3巻表紙のヒロイン。
感情がぶっ壊れた手遅れな女その1。
|
+
|
チラチラ見てくるけど…… |
本当は、幼い頃から弟のことが大好き。忙しい母親に代わって弟の面倒を見ており、互いの絆は強かった。
しかし、悠璃もまた雪兎のたかだか1歳年上でしかなく、悠璃の自我が成長して家庭外にも世界が広がってゆくにつれてこのような子供が子供の世話を行う体制は次第に悠璃にとって重荷になっていった。
そんなある日、一人っ子の親友が雪兎のことを姉弟のように可愛がる姿を見て「弟を親友に取られる」「親友を弟に取られる」という思いが胸によぎり、ついに悠璃の複雑な感情は爆発した。
雪兎は公園の遊具の上から悠璃に突き飛ばされ、地面に落下して頭から鮮血を流したまま動かなくなった。
そして、我に返った悠璃が慌てて母親に打ち明けて公園に戻ると雪兎の姿は消えており、 行方不明状態のまま6日が経過した後に雪兎は隣の市で発見された。
再会した雪兎から姉の要求に応えられなかったことを詫びられた際には、6日間の行方不明は自分のせいだと悔いたが、それから成長して様々な物事を学んだあるタイミングで、この時の雪兎は 6日かけて自殺を模索していたのだと悟り、自分は一時の衝動で大好きな弟を死に追いやろうとしたことや、この事件以降雪兎が悠璃に懐くことも悠璃を姉と呼ぶこともなくなった理由を理解し、恐怖した。
その後悠璃は幾度となく雪兎に対して謝罪するも、雪兎はそのたびに悠璃を許していた。それは、 悠璃から言われた「大嫌い」という言葉を、雪兎はそれが悠璃の本心なのだと受け入れたためだった。
雪兎の心に楔となって打ち込まれているその言葉を、言った張本人である自分の手では取り除くことができないという無力感に苛まれた悠璃は、それができる他者の出現を期待したが、女運の悪い雪兎の前には彼を癒やすどころかさらに傷つけて壊すような女性しか現れず、ついには高校入学早々にまたしても追加されてしまうという現状に業を煮やした悠璃は、自分自身の手で雪兎を救い、かつてのような関係を取り戻すことを決意したのである。
灯凪や汐里に限らず、雪兎を傷つけるような女性を誰であろうと憎むのも、 自分もまたそうであるがゆえの同族嫌悪である。
その後、そのうちの1人である、一度は期待しながらも裏切ってくれた灯凪の行動によって現状は変わり、雪兎は再び悠璃のことを「 姉さん」と呼ぶようになる。弟からのその呼び方を聞いた悠璃はこれ以降、 抱きしめたまま一緒に就寝する、全裸になってベッドの中で待ち構えるなど行動がますます激しくなってゆく。
そしてそれは、女難の相を乗り越えて雪兎への好意を露わにする女性、すなわち悠璃にとっての敵が次から次へと増えてゆくことで、さらに拍車がかかることになるのだった。
|
母。
子供たちがまだ幼い頃に夫と離婚し、それ以来女手一つで家庭を支えてきたシングルマザー。
会社では主任の地位にあるキャリアウーマンで、夜遅くまで働きながらもまだ若々しく体型も全然崩れていない美人ということで男性社員からの人気も高い。それでも再婚は考えておらず、家庭一筋である。
そういう母と比べて雪兎は、自分の存在が負担になっており、母からは疎まれていると考えている。それでも自分を養ってくれている母の、家庭内における負担を減らすべく、雪兎は家事についても万能になった。
しかし、在宅ワークに切り替わって週に6日は家にいるようになってからは何かにつけて雪兎のことを気にかけるようになる……
一緒に入浴したり就寝したり、雪兎も「口に出すのも憚られる体験」「墓まで持っていく秘密」と表現するに留めて詳細を明らかにしないほどの言動ばかりだが。
娘の悠璃に張り合って「
私はHだから」(カップサイズの話です)などと臆面もなく言ってのけるその有り様は、もはや
ふしだらな母と形容する他ない。
なお、悠璃と異なり家事は問題なくこなせる。
書籍版第2巻、漫画版第5巻表紙のヒロイン。
感情がぶっ壊れた手遅れな女その2。
|
+
|
チラチラ見てくるけど…… |
あのとき俺は、母さんにいったい何を伝えようとしていたのだろう。
何を聞いて欲しかったのだろう。どんな会話を求めていたのだろう。
あの頃、あんなにも話したいことがあったはずなのに、なのに今は、なにも、本当になにも、思い付かない。
雪兎が幼い頃、仕事を軌道に乗せるための重要な時期で、さらに姉がいる2人目だからという油断もあって人格が形成されつつある雪兎に構ってあげることが全然できなかった。
外出の約束を守ることも、日常の話を聞いてあげることすらもできなかったことが積み重なった結果として、雪兎から話しかけられることはなくなり、「母は自分を疎んじている」と雪兎が考えたのと同様に、桜花もまた「息子はもう自分のことを母親と思っていない」と考えるようになってしまう。そのような体たらくの桜花と、雪兎が育児放棄の被害者のように見えたことに激怒した妹に、1ヶ月ほど雪兎を引き取られていったことがある。しかし、その時もまた雪兎から拒絶される予感に怯えてしまい、雪兎を手元に引き止めるという行動を取れなかった。その、「行動しなかった」という行動もまた、雪兎の心に影を落とすこととなる。
一方で、それ以来雪兎を見る妹の目がどう見ても甥に対する叔母の目ではなくなっていたことから、雪兎の件に対する白眼視を甘んじて受けながらも、妹のことは警戒している。
そして、雪兎が知り合ったという近所の女性にそんな妹と同様の気配を見出したことから、息子を盗られるかもしれない、今からでも実の母親として愛情を与えたいという焦燥感に駆られる。
そんな矢先に「要精密検査」という乳がん検診結果を受け取ってしまい、自分に残された時間がわずかしかないと追い詰められたことで、周回遅れの母性を発揮するようになったわけである。
しかし、飲み会で酔い潰れてしまった自分を迎えに来てくれた雪兎の前で、ついに耐えられなくなり今までひた隠しにしてきた胸中の不安を涙混じりに吐露してしまう。
自分を疎んじていたはずの母親が、病気に向き合うための勇気を求めて自分を頼っている。
そんな母親の助けになりたいと思った雪兎は、自分の中にこれまで知らなかった感情が渦巻いていることを自覚し、いつかこの感情を知る日が来ると信じたく思うなど、多くの人々との関わりによって自分自身も変わってゆきそうな予感をするのだった。
その後、精密検査の結果が出て乳がんの疑いは解消されたが、この一連の件で雪兎は母親と、互いに無関心ではなく、互いに愛し合っているということに気づくことができた。
そして雪兎は、幼い頃には桜花へ向けていて、それがいつしか消え去ってしまっていた笑顔を蘇らせたのだった。
|
ご近所さん。
九重家が入っているマンションの斜向かいに建つ一人暮らし用マンションに引っ越してきた。雨の中の引っ越し作業で困っていたところを雪兎に助けられたことがきっかけで知り合うことになる。
……が、雪兎のことを以前から知っているような素振りを見せたり、「婚約者がいたが不妊治療がうまく行かず、結局跡継ぎを求めていた先方と破談になった」「教師になりたかったが挫折した」などと重い過去を語ったり、早速仲良くなろうとして
母親のごとく甘やかしてきたり、年甲斐もなく
殺す服を雪兎の前で着こなしてみせたり……と、初対面からひたすら雪兎の理解を超えた言動が多い。
それでも、普段のぽわぽわした雰囲気から雪兎の見立てでは
フェアリータイプ。そのため、
あくタイプを自称する雪兎は美咲には絶対勝てないと思っている。
書籍版第4巻、漫画版第6巻表紙のヒロイン。
感情がぶっ壊れた手遅れな女その3。
|
+
|
チラチラ見てくるけど…… |
初対面の時の素振りから察せられる通り、実は初対面ではない。
雪兎が小学校低学年の頃、教師を目指していた美咲は教育実習生として雪兎のクラスで実習を行った。
そんなある日のこと、雪兎の机の中から美咲の私物である鏡付きコンパクトが出現した。美咲のことが気になって、つい私物を手に取ってしまったという犯行だと思われたが、雪兎は一貫して容疑を否認。
担任にどれだけ咎められようとも雪兎は自身の無実を主張し続けたことで、それを見ていたクラスの児童たちの間に雪兎を嘘つきの泥棒扱いする認識が蔓延してゆく。
それでも雪兎は身の潔白を証明しようとしたが、なおも担任や美咲は「犯人は雪兎で、それを正直に言い出せないだけ」だという考えを改めなかった。しかし……
「九重君じゃない? ちょっと待って。だったら誰が、誰が盗ったの!? 私がしたことは、私が彼に言ったことは──」
雪兎が提示したアリバイ証明が証人によって裏を取れたことで、雪兎の主張が正しく自分たちの認識が間違っていたことを悟ったが、その時点で既に雪兎からはクラスの児童たち同様に「敵」として扱われており、もはや挽回できるものではなかった。
結局雪兎は独力で自身の無実と真犯人の存在を明らかにし、さらにそれが小学校の教頭の立ち会いのもとで行われたため、雪兎を犯人扱いしてしまった美咲は児童や担任と同じく立場を暗転させることになる。
子供が大好きで、天職だと信じて教師を目指していた美咲は、子供を信じなかったばかりに傷つけ、ついには 学級崩壊を招いてしまった現実に打ちひしがれるが、最後の力を振り絞って教育実習最終日に雪兎へ謝罪し、自身の気持ちを手紙にしたためて差し出した。
……が、それも無視され、 自身の気持ちも、存在そのものも顧みられることなく雪兎に立ち去られたことで、美咲の心は折れ、教師の道を諦めた。
雪兎にトラウマを与えた女子の1人であると同時に、雪兎からトラウマを受けた人物の1人でもある。
これ以外にも不妊を理由に婚約破棄されるなど、子供好きの美咲にとっては未来への希望が全く見えない日々を無為に過ごしていたが、引っ越した先で雪兎と再会。
しかし、雪兎は美咲のことを全く覚えていなかった。そして、その原因として雪兎に「昔のことはすぐ忘れるようにしてるんです。嫌な思い出ばかりだから」と語られる。
その上、雪兎はご近所同士として知り合ったばかりの美咲に対して、
「氷見山さんが担任だったら、嬉しい人が多そうですけど」
などと言ってくれる性格であることを知る。
当時は無情な子供に見えた雪兎が本来は他人を気遣える優しい性格であること、それを美咲が踏み躙ったばかりに大人も心が折れる凶行が引き起こされてしまったこと、雪兎にとって美咲という人物はその存在も行動も「嫌な思い出」でしかないこと、それらを思い知って美咲は悔恨の極みとなるが、この話を聞いた頃の雪兎は学校から不当な処分を受けていたため、雪兎との再会も何もかもが運命だと感じた美咲はかつてのように雪兎が傷つけられることがもう二度とないように、雪兎を守るための行動を決意した。
……その目的は確かに果たされたのだが、美咲の一声で事態の鎮圧のために動いた力はあまりにも強大であった。
|
生徒会長。
逍遥高等学校3年生。
公明正大さを重んじる正義感の強い人物で、そういった自身の信念を貫いてきたことで人望を集めて現在の地位にいる。全校生徒の前で挨拶する機会も多く、入学間もない1年生にも広く顔を知られている。
長身で肉付きの良いスポーティーなタイプの美人で、その印象に違わず武道も嗜んでおり痴漢に遭うことの多い親友を毎朝のように護衛している。
しかし、偶然の巡り合わせで新入生の雪兎(無論、雪兎には生徒会長の記憶など存在しなかった)と出会ったことで、ある意味彼をも超える狂気的な行動に走るようになってしまい、それ以降学校内で様々な噂が飛び交うことになる。
感情がぶっ壊れた手遅れな女その4。
|
+
|
チラチラ見てくるけど…… |
「助けようとしなければ良かった」
助けを求める連絡を聞いて 通学電車内の痴漢を取り押さえたところ、その相手は雪兎だった。
雪兎もまた痴漢を取り押さえようとしたところであり無実を主張したが、雪兎を犯人だと信じて疑わない睦月は言い逃れと取り合わず、退学処分も視野に入れて警察を呼ぼうとしたところで証人が出現。証人と被害者の証言によって雪兎の無実は証明された。
痴漢から助けようとした雪兎の方を痴漢扱いして冤罪を仕掛ける( 雪兎の人生を台無しにする)寸前だったことを知り、慌てて謝罪しようとするが、それを口にする前に 例によって自分が行動を起こした、気にしたことが失敗だったと考えた雪兎の方から「俺は同じ失敗はしない」「 もう二度と助けようなんて思わない」との断言とともに立ち去られてしまったことで、睦月は自分の正義が雪兎の正義を歪めてしまったと大いに悔やんだ。
のみならず、その後雪兎が登校中だったはずなのに無断欠席しており、睦月の軽挙に激怒した悠璃が連絡をつけたと思ったら雪兎の現在地が海だった(= 自殺を図っていると危惧された)ために、最近になって雪兎の身を案じるようになった悠璃から「 絶対に許さないから」と憎悪を向けられたことで、自身が雪兎につけた傷があまりにも深く大きすぎると思い込んだ睦月は、後日大勢の生徒たちの注目を浴びながら雪兎に対して 土下座で謝罪した。
しかし、その謝罪も雪兎は受け取らなかったため、「男子が貰って喜ぶもの」を調べた結果の……
……を、捧げようとした。 何処か熱に浮かされたようにぐるぐるした目で。
当然、雪兎は受け取りを拒否した上で逃走したが、噂が巡り巡って睦月のこの行動は「 土下座して雪兎のセフレになりにきた」と解釈され、雪兎は「 三年ハメ太郎」などという ポジハメ君めいたあだ名で呼ばれる校内一の有名人となってしまった。 一年生にもこんな生徒がいるんだ!
その後も何かにつけて雪兎に自身の身体を押し付けにかかり、 安産型の 尻をアピールして雪兎が HIPBOSSのあだ名を思いつくほどだったが、それらはあくまで責任感と罪悪感に基づいての行動であった。しかし、そのような贖罪が後にさらなる騒動の火種となり、睦月が抱える慚愧の念はますますもって膨れ上がることになる。
結局、その騒動は睦月の側で混乱を巻き起こしただけで雪兎の側には実害らしい実害を被った意識はなかったため、雪兎が睦月を咎めることはしなかったが、逆にその原因となった日頃の行いに釘を刺すこともしなかったため、これ以降睦月からのアプローチはますますエスカレートしてゆき、結果的に雪兎は睦月の行動に歯止めをかける好機を逸したのだった。
|
大学生。
ピンクゴールド髪の日米ハーフ。
その出自を思わせる発育の良さを誇るものの、そのせいで受ける身体目当ての視線や告白には辟易しており、特に友人がきっかけとなって雪兎と対面した頃は今までの人生の中で最大級に落ち込んでいたのだが、雪兎と交流するにつれて生来の明るさを取り戻してゆく。
漫画版第4巻表紙のヒロイン。
|
+
|
チラチラ見てくるけど…… |
ヘッドフォンを付けて自転車に乗り、着信のあったスマホを足も止めずに操作する、いわゆる「ながら運転」で雪兎相手に衝突事故を起こしてしまう。
これはその日の夕方と夜のニュース、及び翌日の新聞記事になり、後日学校でも注意喚起が行われるほどの悪質なものとみなされ、警察や悠璃が雪兎に被害届の提出を促したことから、謝罪の場にてトリスティや両親は逮捕や訴訟も覚悟していたが、大事に至らなかった雪兎の意向によって穏便な示談(示談金)となった。
しかし、それから日常に戻っても自分たちに対する雪兎の気遣いのためにトリスティの心は晴れないままだった。そこで励ますために誘われたコンパに参加したものの、案の定男性陣(いわゆるヤリサー)にロックオンされて嫌悪感が募ってゆく中で、飛び入り参加していた雪兎と再会。感極まって周囲から隔絶された自分たちだけの世界を作ったために相手にされなかった男性陣に雪兎が因縁をつけられるも、この対立を制した雪兎から自分自身に対してではなくトリスティに対する無礼な発言を不快に思ったために大学生に立ち向かったと聞いて、完全に雪兎に惚れ込むことになる。
そしてこの一件は雪兎にも、忘れて久しい怒りの感情を思い出させるものとなった。
|
生活指導。
逍遥高等学校教師。独身。
眼鏡の知的美人で生徒から人気を集めており、極めて優秀で公明正大と校長ら上層部からも評価は高い。学校の内外を問わずにトラブルを起こしまくる雪兎はそのたびに説教されており、そのため悪童を自認している雪兎は涼香のことを因縁のライバル関係にあるとみなしている。
しかし、厳しい態度についてもあくまで生徒たちのことを真摯に考えているがゆえであり、先入観だけで証拠もなしに生徒を罰するような上層部の判断には反発する。そこには、「昔は私もあちら側の人間でした」と呟くような過去がある。
Web版から書籍版へのエピソード構成変更の影響が大きいキャラクターで、Web版では初期のうちは学園モノによくいる破天荒な主人公を目の敵にするガミガミうるさい先生の印象が強かった。
書籍版第6巻表紙のヒロイン。
|
+
|
チラチラ見てくるけど…… |
数年前は小学校教師だった。
低学年のクラスの担任となったその年、教え子の中にいたのが九重雪兎であり、教育実習生としてクラスに入ったのが氷見山美咲だった。
この頃から厳格な性格であったが、当時は頭が固く融通のきかない面が強かった。そのため、美咲の私物が盗まれる事件が発生した際も、盗品が出てきた机を自分の席にしていた雪兎が犯人だと決めつけてしまう。
しかし、対処を誤ってクラスの中の晒し者にしてしまったことで、雪兎が嘘つきの泥棒としていじめの対象にされる気配が漂い始めると彼をかばう動きに転じるが、あくまで犯行を認めず身の潔白を証明しようとする雪兎を相手に態度を硬化させ、ついには……
雪兎の頬に平手打ちを見舞い、 彼が提示しようとしていたアリバイ証明の資料も破損させてしまった。
この瞬間、雪兎の中で自分のことを犯人扱いし続ける涼香、そして美咲は 「教師」ではなく「敵」として認識されることになり、後の検証で本当に雪兎が無実であることを知った時点ではもはや何もかもが遅く、クラスの児童たちが雪兎に対して集団で暴力を振るう事態にまで至った。
そして、それを 全員暴力で返り討ちにしてその場を支配した雪兎によって真犯人が暴かれ、担任の涼香を含むクラスの全員が寄って集って雪兎に濡れ衣を着せていたことが、この場に立ち会い真犯人についての証言を行った小学校教頭に対して示された。
さらに、この期に及んで誰1人として、「 悪いことをしたら謝りさない」と言い続けてきた涼香たちすら、今まで散々嘘つきの泥棒扱いしてきた雪兎に対して謝罪していない事実を突きつけられ、自分たちの欺瞞を断罪されたのだった。
これによって 学級は崩壊。美咲の教育実習が終わった後も担任は続けることになったが、心折れた涼香は小学校を退職した。
雪兎にトラウマを与えた女子の1人であると同時に、雪兎からトラウマを受けた人物の1人でもある。
その後、教職に戻ることを決意して逍遥高校の教師となる。
そしてそこで、高校生になった雪兎と再会。初詣の おみくじで「 人生の転機が訪れる」とあった年のことで、この出会いに運命を感じたのだった。
|
周りの人々
担任。
逍遥高等学校教師。
今年初めて担任を任されるようになった、まだ若い女性教師。独身。
雪兎のことは早々に問題児認定したものの、見限ることなく声をかけ続け(しかも雪兎相手にかなり調子の良いキャッチボールになっている)、校長などの上層部が不当な処分を下そうとした際には常に教え子を擁護する立場に立つなど、生徒思いの良き教師で、1年B組の生徒からは早くも慕われている。
先輩のベテラン教師である涼香のことは、近寄りがたい雲の上の存在であると同時に、理念を掲げ、自分のような若造にも親身になってくれる理想的教師として尊敬している。
イケメン。
逍遥高等学校1年B組。
隣の席になった雪兎の自己紹介に「おもしれー男」と興味を持って、彼に近づいたコミュ強。
雪兎の側は(他人の自己紹介を完全に聞き流していたので)光喜のことを、魂が浄化されそうなほどまばゆいスマイルという見た目の第一印象から「爽やかイケメン」と呼んだが、結局そのまま一人称の地の文や本人への対話など多くの場面で「爽やかイケメン」を始め「顔面ソーラーパネル」「顔面発光ダイオード」「眩しい男」「顔面に太陽光パネルが設置義務化されている男」「顔面ミラーコーティング」……とにかくフルネームより長いあだ名で呼び続けている。
実は入学以前から雪兎のことを知っており、思いがけず再会した雪兎の変わりように驚いたものの、それに勝る期待を込めて雪兎と友達付き合いを始めようとする。
運動神経抜群で様々な運動部から勧誘される一方、勉強でも学年10位を取る文武両道の主人公キャラクターなのだが、どこかアンバランスな雪兎が放っておけず彼の行く道にしか興味がないという、割とヒロイン気質の男である。
同性のアドバンテージということで遠慮なく「雪兎のことが好き」と公言し(これには黄色い歓声が上がった)、書籍版では雪兎以外で唯一イラスト担当によって描かれている男性の登場人物であり、漫画版では雪兎に対するスキンシップが目立つ。
バスケ部が県大会上位の強豪として知られている中学校の出身。
スポーツ万能だったが、夏の暑い日に外で練習をしたくないという程度の理由でバスケ部を選択。1年生の時点でレギュラー入りし、光喜の加入で全国進出も夢でないと期待されていた。
ところが、地区大会にてよく知らない弱小校との対戦になった際、相手チームのポイントガード1人に全く歯が立たず完敗させられる。怪物か、あるいは機械のようにただただ圧倒してきたその男に勝利することが光喜の目標となり、全国進出の最後の試練とみなすようになった。
しかし、意気込んで臨んだ3年の最後の大会にその男の姿はなく、不戦勝同然の形で全国進出。さらにそこで2回戦まで勝利するという学校側としては大躍進の結果で、本人たちにとっては到底満足できない結果で、光喜の中学バスケは終わった。
そして、入学した逍遥高校でその男、九重雪兎と再会することになる。自分たちを打ち負かした男に対する想いは、まさに恋人に対するそれと同じものだと自覚しており、スポーツマンとしての青春と夢を雪兎と一緒に追い求めたいと望んでいる。
エリザベス。
逍遥高等学校1年B組。
早々にクラスメイトたちと打ち解けた明るい性格で、自称陰キャぼっちの雪兎は彼女のことを自分と対極の「陽キャ中の陽キャ」とみなし、陽キャキング→いや、女子だからクイーン→エリザベス、という流れでエリザベスのあだ名を決めた。
そして、このあだ名は雪兎以外にも浸透しつつある。さらには授業参観で訪れた母親まで「エリザベート夫人」というあだ名が付けられた。
Web版及び書籍版の初期のうちは雪兎から「桜井さん」と呼ばれていたが、漫画版ではそれらの箇所も「エリザベス」に修正された。
ギャル。
逍遥高等学校1年B組。
ギャルにどこか誤解や偏見のある雪兎が相手でも普通に会話することができる、いわゆる「優しいギャル」。
勉強は苦手で、クラスで自主的に開催され、その結果1年B組のテスト平均点を大きく押し上げることになった勉強会に参加しながらも、結局赤点を取りそうになったほど。
それでもマシになったらしく、雪兎は授業参観の折に母親から感謝されることになる。
爬虫類系女子。
逍遥高等学校1年B組。
爬虫類が大好きで、「ひひ……」を枕詞とする陰キャ女子。雪兎は陰キャ仲間として早々にズッ友となった。これには陰キャぶりを懸念していた担任の小百合も感心しており、その後も愛くるしいマスコット扱いで陰キャとは思えないほどクラスに馴染めている。
勉強は苦手らしくテストで60点以上取ったことがないと語るが、爬虫類に関してはクイズ大会で無敵を誇れそうなほど博識である。
Web版から書籍版へのエピソード構成変更の影響が大きいキャラクターで、Web版では初登場の際に「
え、今の誰!? 新キャラ!?」などと
メタ発言を飛ばされたが、書籍版はこのエピソードが前倒しにされた上で、書籍版でそのさらに前に追加されたエピソードにおいて名前が語られたりモブに紛れて発言していたり、出番が増えている。漫画版では第1話の自己紹介の時点で登場し、その後も姿が描かれている。
女神。
逍遥高等学校2年生。
2年生の中では人気がある
バンドワゴンバドミントン部所属の美少女で、男子生徒に告白されることも多い。しかし、そうした「高嶺の花」扱いは同じ女子生徒の反感を買っており、浮き気味であった。
そんなある時、雪兎が空気も読まずに告白の場で昼食を取り始めて雰囲気をぶち壊したことをきっかけに、彼と交流を始めることになる。
当初は雪兎に一方的に話しかけ続けたため敬遠されたものの、若干イジられ気味ながら気さくな会話ができる相手は彼女にとっても希少だったため、やがて話し相手として友情めいたものが築かれる。
その際の「今度クリームパン奢ってあげる」「女神か」……これによって彼女の呼び名は「
女神先輩」となり、以降会話はおろか一人称の地の文ですら雪兎から
本名で呼ばれていない。それも、わざと呼ばずにいるのではなく
自己紹介したはずなのに本名を覚えられていない。
女神なので「
アフロディーテ先輩」「
ヘスティア先輩」などと呼ばれたりもする……が、
あの服を着られるほどの胸はないらしい。
それでも、雪兎との交流によってカドが取れてゆき、教師側からも懸念されていた女子生徒との関係も改善されつつある。
|
+
|
チラチラ見てくるけど…… |
「ぼっちじゃない」アピールはしているものの、昼休みはいつも1人で出会いの場となった非常階段で雪兎を待っており、そこへ雪兎が訪れないと 露骨に機嫌が悪くなる。
雪兎が言う通りのそういった面倒くささはあるが、雪兎から友達いないぼっちだとみなされようとも、非常階段以外に出現しない レアなはぐれ女神呼ばわりされようとも、周囲との間に築かれていた壁が崩れ去るきっかけを作ってくれた雪兎には感謝と好感を抱いている。何かにつけて騒動の中心人物となる雪兎のことをよく知らないのに悪く言う風潮は嫌厭しており、「 他人からは散々悪しざまに言われているが、逆に他人の悪口を言うことはない」というところを雪兎の美点だとみなし、(自身への弄りに対しては容赦して)「 それって素敵なことだと思うよ」と賞賛している。
後に、雪兎が不当な扱いを受けて学校での立場が悪化した際には以前に「これでも私は君の味方なんだからね」と宣言した通りに雪兎を擁護する側に回っている。これを機に雪兎と交流を持っているという事実が広く知れ渡ることになり、しかも灯凪や汐里、悠璃も知っている有名な女子生徒だったため、雪兎は彼女たちから 「誰よこの女!」ものすごい勢いで問い詰められる羽目になってしまった。
このように、雪兎と極めて親密な女子の1人ではあるが、同様のヒロインたちと異なり、雪兎との出会いからその後の交流において雪兎にトラウマを与えたわけでもなければ、雪兎からトラウマを受けたわけでもない。
そればかりでなく、
「校内で評判の美少女」
「男性相手に困っていたところを主人公に助けられる」
「互いに、他の人々とは全く異なる交流のできる唯一の存在となる」
「当初こそ気安く接していたが、次第に主人公への好意をほのめかしてくる」
……と、 出演する作品が違っていれば並み居る女子を押しのけて真のヒロインになっていたであろう造形のキャラクターである。
それゆえに独特の立ち位置で存在感を発揮していると言え、書籍版第2巻発売の際にはヒロインたちを差し置いて メロンブックスの有償特典タペストリーに描かれるという抜擢を受けている。
|
生徒会副会長。
逍遥高等学校3年生。
生徒会長の睦月とはプライベートでも親友同士。小動物のように可憐な美少女で、しかしそのために痴漢のターゲットにされやすく、男性不信気味。
ある朝の登校時にも痴漢に遭っていたところで、いつも自分を守ってくれている睦月に先んじて偶然それを目撃していた雪兎が助けに入った……が、逆に雪兎の方が痴漢とみなされてしまうという女難に加担することになってしまう。嫌疑が晴らされた雪兎に対して謝罪するも、それが通じないまま雪兎を取り巻く状況がますます悪化してしまい、最終的に学校内で生徒たちに取り囲まれながら雪兎へ向かって
土下座謝罪を敢行した。
結局これも雪兎に受け入れてもらえず罪悪感は晴れないままだったが、この頃から睦月の方が正気を失った状態に陥ってしまい、彼女の暴走にブレーキをかけることに終始する日々になっている。その点では雪兎にも頼られており、裕美の側も雪兎に対しては他の男性相手のように不快感や嫌悪感を抱くことなく接することができる。
Web版では、少女漫画のような王子様を夢見る一面が描かれ、自分を助けようとしてくれた雪兎という存在にそれを見出している。
メシア。
大学生。
朝は低血圧気味で、電車内で雪兎に席を譲ってもらい助けられた。
そして、その縁をきっかけにトラブルに巻き込まれた雪兎を助けることになり、互いに感謝し合ったのだった。
後に、実態がアレなバスケサークルとの合コンへ参加させられた際に男避けのニセ彼氏役を雪兎に頼んだものの、なぜかノリノリで彼女になりきっており、合コンでの予想通りなトラブルを解決してみせた雪兎とはそれ以降も、友人同士だと明かされたトリスティと一緒に親しく交流することとなる。
漫画版第4巻表紙でも一緒に登場している。
ストリートバスケプレイヤー。
大学生。
ヤリサーと化しているバスケサークルもある中、真っ当に取り組んでいるサークルのメンバーである。
雪兎は中学時代、部活以外でもバスケットボールを練習する際に百真の所属するチームと一緒にプレイしていた。雪兎の並外れた実力はこの経験に由来する。
バスケ仲間として雪兎とは年代を超えた友人関係にあり、雪兎にとっても授業や部活とは異なる百真たちとの「楽しい」プレイはかけがえの無いものであった。
学校の先輩ではないながらも雪兎は百真のことを「先輩」と呼んでいたが、後に逍遥高校OBであることが判明する。
熱血先輩。
逍遥高等学校3年生。
バスケットボール部キャプテンだが、逍遥バスケ部は火村以下部員9名、
90年代や
本作開始数年前のバスケ人気の恩恵にも預かれないほどの弱小で
同音の高校とは大違い、大会で全力を尽くすために力を貸してほしいと雪兎を勧誘しに来た。しかし、そもそもの動機は「
大会が終わったら好きな女子に告白しようと思っているので、その前に良い恰好を見せたい」という程度のもの。
身長こそ高いものの技術は未熟、次の行動も視線だけで丸わかり、4ピリオド+ハーフタイムの50分間をフルに動き回れる体力もない、という低レベルぶりで、3年生でありながら1年生の雪兎にシゴかれる構図になってしまっている。
それでも、大学生とのストリートバスケによる練習試合においても足手まといでしかなかったことを悔しく思い、「もっと上達したい」と真剣に考えるようになる。
──力が、欲しいか?
幼馴染の妹。
中学2年生。
灯凪の2歳年下の妹。九重家と硯川家は家族ぐるみで付き合っており、2人姉妹の妹である灯織も雪兎のことを「お兄ちゃん」と呼び慕っていた。
そのため灯凪とは、雪兎をフったことで自分までも彼との縁が切れてしまったことへの激怒、乗り換え先が「最低でわけのわからない奴」だったことへの軽蔑、それらの感情を向けて冷戦状態となり、両親も灯織の気持ちを理解していたため仲裁できずにいた。
しかし、そのような関係であっても灯凪に最後のチャンスを与えるよう雪兎に頼むなど、灯凪のことは許していないものの完全に見限ったわけではない。
- 佐藤小春、宮原秀一
幼馴染同士の男女。
逍遥高等学校1年生。
書籍版で追加されたエピソードに登場したキャラクターで、Web版には登場しない。
中学時代、陸上部だった宮原は才能の限界を感じ、怪我を理由にリタイア。しかし、陸上に打ち込む宮原の姿が好きだった佐藤は復帰を促し続け、両者の間に溝ができてしまった。
佐藤のことが疎ましく思えてきた宮原と、宮原を他の女子に盗られたくないと思った佐藤との距離の隔たりは、ついにはSNS上で炎上騒動を勃発させるまでに至る。これに灯凪が巻き込まれてしまったために雪兎は事態の収拾に乗り出し、我が身を犠牲にしながらも佐藤と宮原を復縁させた。
以後、その恩義から2人は雪兎の人柄と活躍ぶりを相当な美化とともに世に伝える、令和を生きる吟遊詩人になるのであった。
お嬢様。
逍遥高等学校3年生。
県会議員の父親を持つ良家の令嬢として育てられ、それゆえに自らの正義を信じて歩む祁堂睦月の存在は眩しく、彼女に対して恋心にも似た想いを秘めていた。
しかし、その睦月について信じがたいほどの醜聞が噂されると、彼女がそのように変わってしまった元凶である九重雪兎を学校から排除すべく、父親に訴えて学校に雪兎へ処分を下させた。
「九重雪兎が、上級生(祁堂睦月)を脅して肉体関係を迫っている」という噂を聞いたために雪兎を敵視したわけだが、その睦月から噂の原因は睦月自身の行動にあり、雪兎は全く関係ないことを聞かされ、自分の行動は無実の雪兎を陥れるものだったと知り愕然。さらにこの一連の騒ぎが
教育委員会、中央省庁、果ては政界の重鎮まで動くほどの大炎上となってしまい、英里佳は想像を絶する事態を招いてしまった責任に押しつぶされ、自身が退学処分を受けることも覚悟した。
が、結局のところ何ら悪影響を被ることなく、それどころか騒動が起きていたこと自体に気づいていなかった……にもかかわらず後始末だけは押し付けられることになった雪兎の
「ジャッジメントで──」「やめなさい」裁きによって、謝罪と、「
俺の友達になってください」という今後の友好関係の樹立のみで済まされた。
クラスメイト。
逍遥高等学校1年B組。
書籍版で追加されたエピソードに登場したキャラクターで、Web版には登場しない。
母親が既婚者相手に不倫していたことが発覚して離婚話になったのだが、不倫期間が5年と長く、そのことに全く気づかなかった(不倫相手の妻からの連絡で初めて知った)父親は疑心暗鬼から一人息子の正道について「本当に自分の子供なのか」と母親を問い詰めてしまい、偶然それを聞いてしまった正道は深い孤独感と絶望感を抱えて塞ぎ込むようになる。このような家庭問題から、素行面に問題のないごく普通の生徒でありながら雪兎並の要注意人物と担任の小百合から見られていた。
しかし、担任の小百合も(私なら胃に穴が空いているな)と弱音を吐くほどの解決までに並々ならぬ尽力を必要とするデリケートな問題であり、結局小百合や、小百合が尊敬する生活指導の涼香すら、ただ心配するだけで家庭に踏み込んでまで正道に救いの手を差し伸べることができずにいたが、事情を知った雪兎が御来屋家に足繁く通って正道とその両親の話を聞き、この二者の仲介役となることで一件を落着させた。
この件をきっかけに、雪兎を問題児扱いしていた小百合は、これまでにも様々な人間関係を改善させてきた雪兎のことを(これじゃあ、どっちが教師なんだか……)と見直し、雪兎を恩人と見るようになった御来屋家は後に雪兎が学校から不当な処分を受けた際には一家総出で雪兎を擁護する側に回っている。
イケオジ。
書籍版で追加されたエピソードに登場したキャラクターで、Web版には登場しない。
雪兎も「俺も将来はこんなダンディになりたいものだね」と思うほどの、髭の凛々しい60代くらいのナイスミドル。
検索エンジンにもヒットせず、特定の日にしか営業しない
悪の秘密結社隠れ家めいた店「居待月」にて大将と呼ばれている料理人。
涙もろいところがあるが人を見る目には自信があり、河川敷で季節外れの凧揚げをしようとしていた雪兎のことを「悪そうには見えねぇ」と気に入り、「暇なら、いつもで俺んところに遊びに来い」と店のフリーパスを渡して魚の捌き方や
握り方を教えるなどの付き合いが始まる。
孫までおり、その孫が好きだという
なろう系アニメを一緒に見ているようで、
異世界モノにも詳しいという意外な一面も。
県会議員。
3期12年にわたって議員を務め続けており、特に教育関係に力を入れていることで知られる、国政への進出も視野に入れていた地元の名士。英里佳の父親で、自身も逍遥高校OBである。
その学校に犯罪的な行動を取る男子学生がいると聞き、一人娘を可愛がる父親として母校に声をかけ、その圧力によって問題の生徒である九重雪兎は学校から1週間の謹慎処分を下された。
しかし、愛娘からの訴えであまりにも軽率に動いたばかりに事実確認を怠ってしまい、何ら過失のない生徒へ不当な処分を与えさせるという政治家の資質を疑われるような失態を演じることになる。
その結果として、県議会でも過半数を占めている与党から公認を受けていた東城は、その党公認を取り消すという旨の宣告を受けてしまう。そして、それが政界の重鎮の意向によるものだと知らされ、さらに文部科学省のキャリア官僚からも圧力がかかったことで、瞬く間に東城の政治生命は風前の灯となる。
最終的に騒動は軟着陸したものの、雪兎のことを迂闊に敵視してしまったばかりに、雪兎は一切関与せず護衛によって制圧された形ではあるが、雪兎からトラウマを受けた人物の1人となった。
重鎮。
氷見山美咲の祖父。
国会議員を8期務め、文部科学副大臣、総務副大臣、厚生労働大臣などを歴任。既に国政から引退しているが、隠然たるその影響力は微塵も陰りを見せておらず、その強固な地盤の後継者争いも注目されている。目を掛けてもらえるか、あるいは嫌われるか、それだけで政治生命が確定するほどの雲上人である。
叔母。
雪兎の母である桜花の妹で、かつて雪兎は1ヶ月ほど雪華に引き取られて一緒に暮らしていた。ただ、これは雪兎を巡って桜花と大喧嘩した末に決まったことで、それ以来雪兎が定期的に泊まりに行かないと悲しむほど雪兎のことを気にかけている。
……が、雪兎の目から見ても雪華はあまりにも過保護で、その異常さには雪兎も不審に思う余裕などなく、鋼のメンタルでもってスルーするしかない。
「雪ちゃん、何か欲しいモノない?
子供とか」
「ウサギ好き?」「可愛いですよね」「
じゃあ逆バニー注文しとくね!」
→「アカンやつ、これアカンやつ! どうする気ですか!?」「そりゃあ着るのよ」「誰が?」「
私が」
しかし、それでなくても昔から雪兎の相談に乗っており、大学で心理学を専攻していた雪華は高校入学してから変わりつつある雪兎の様子についても何かを察している。
ペットとしてウサギの「フリードリヒ二世(その名の通り二代目)」を飼っている。
感情がぶっ壊れた手遅れな女その5。
漫画版第7巻表紙のヒロイン。
|
+
|
チラチラ見てくるけど…… |
「貴女が、俺をこんな風にしたんですね雪華さん?」
九重雪兎という人間の始まり。
幼い頃に「姉からは嫌われている」ことを実感した雪兎の胸中には、「 自分は消えなければならない」という衝動が芽生えることとなった。
結局それは果たせずに自宅へ帰ったものの、そのような状況にまで追い詰められていた雪兎のことを自分で引き取って育てると雪華が主張。雪兎としては、あくまで実の母親である桜花からは離れたくなかったものの、自分の至らなさについて雪華への反論ができなかった桜花は雪兎が引き取られてゆく流れを止めることができず、これによって「母からは疎まれている」と思い込むようになり、「 自分に存在価値はない」と結論づける。
引き取られて間もない頃に、雪華は雪兎が いつでも容易に自殺を図ることのできる心理状態にあると察し、自己が希薄で自分の存在をどうでもよく思っていた雪兎のその考えを軌道修正するために、心がオーバーフローを起こして破綻しそうな場面において「 自分は九重雪兎である」と強く認識して心をリセットさせるように、誘導のマインドセットを施した。
雪兎が一人称視点の地の文で事あるごとに「 ~なのがこの俺、九重雪兎だ」と述べていたのは、この影響である。
とはいえ、これは雪華も「おまじない」と呼ぶほどの簡素なもので、「姉も母も、本当は雪兎のことを愛している」という真実が伝われば意味がなくなる……はずだった。
しかし、雪兎は雪華の想像を遥かに超えて女運が悪かった。
そういった、雪兎の心身を傷つけるトラブルに見舞われるたびに、マインドセットは本来の意図から外れた方向へ作用してしまい、結果として「メンタル最強の九重雪兎」が完成してしまった。
それは、「壊れているから傷つかない」のではなく、「傷つかないから壊れる」というもの。HPがゼロだからもうそれ以上減らない アンデッドになったのではなく、生身だと傷つくようなダメージにも傷つかない強度の素材でできた ゴーレムへと肉体が変質していったようなものである。地の文でも様々な硬質素材で自身のメンタルを形容している。
そうして、「 人間とは思えない有り様になる」という意味で「壊れていく」雪兎のことを、その事実には耐えられないだろうからと身近な家族である桜花や悠璃には語らず、雪華は今まで自分1人で抱え込んでいた。
この状況は、雪兎が高校へ進学してから変化することとなる。
本作の物語が始まり、進んでゆくその過程において、雪兎は自分の周りの人々が自分のことを愛しており、雪兎に消えてほしくないと思っていることに気づき、自分自身の真実を知ることができた。
そして……
「だって、雪華さんは一度だって俺を傷つけたりしなかったから」
これまでずっと、雪兎を守り、今にも死のうとする雪兎を助け、全てから拒絶されたと思っていた雪兎に愛情を与え続けた雪華の献身に、雪兎は頭を下げて礼を述べた。
……それでもなお、10年以上付き合ってきた 今までの自分を偽りの作り物として捨て去ってこれから本物の自分を生きてゆくのではなく、雪華が雪兎の為を想ってくれたものであるそれもまた自分の一部として認め……これまでの自分から何一つとして変わらないのがこの俺、九重雪兎だ。
その調子で、物語は続いてゆく。
|
+
|
私達にとって、今日は「約束の日」。 |
雪兎がまだ物心つかない頃、色々と悩み事を抱えていた雪華は桜花の家で雪兎の面倒を見た際に、姉に似た顔立ち故か雪兎から「ママ」と呼ばれたことをきっかけに迷いが消え去り、すなわち雪兎に助けられた。
しかし、その後の雪兎の惨状を知って、とにかく運が悪く何かとトラブルに巻き込まれる幼少期の雪兎の心を守るためにマインドセットを施したが、それが雪兎の生来の女難の相と化学反応を起こしてしまい、雪兎に死んでほしくないという願いは叶ったものの、引き換えに物語開始に至るまでの生き地獄を与えてしまった。
雪兎に対する無償の愛の裏には、雪兎の考えとは全く逆に、自分こそが一番雪兎を傷つけてきたと思うがゆえの罪悪感と義務感がある。
そして、ようやく雪兎の精神状態が正常化され、自分の役目は終わったと考える雪華だったが、本来なら全ての元凶として恨まれそうなところを逆に笑顔で感謝されてしまったことで、雪華もまた10年以上付き合ってきた雪兎への愛情を偽りの作り物として捨て去ることはできなくなった。
こうして、雪華は本作のヒロイングループに正式加入することとなる。
|
|
【余談】
- 観覧車やテレビ局、国際展示場やスカイツリーといった東京都の施設が作中で言及されているが、それらの地区へ比較的容易にアクセスしていることと県議会があることから、本作の舞台は神奈川県と思われる。
なお雪兎は横浜ファンではなかった残念。クスン……。
- 2025年12月、書籍版第6巻+漫画版第5巻までで、シリーズ累計(紙+電子)30万部を突破したと発表された。
どんな項目でも追記・修正するのがこの俺、九重雪兎だ。
- ヒロイン連中が軒並みろくなのがいないのだが -- 名無しさん (2026-04-30 11:18:26)
- 作者の地の文のオタク要素がすっごいノイズ -- 名無しさん (2026-04-30 17:52:31)
- アニメ化されたらSNSとかは淫夢厨まみれになりそう -- 名無しさん (2026-04-30 17:57:41)
- 読んだことないけどここの項目を見る限りほんとにカスしかいなくて笑った。よくこれでヒロイン名乗れるな… -- 名無しさん (2026-04-30 21:24:20)
- なろうで読んだけどヒロイン(笑)レベルの問題のある女しかいないイメージ -- 名無しさん (2026-05-01 08:39:35)
- これほどまでに「どのヒロインともくっついて欲しくない」と思える作品も珍しい -- 名無しさん (2026-05-01 14:46:49)
- はっきりヒロイン酷い目にあって欲しい -- 名無しさん (2026-05-01 19:07:39)
- ここ見てるだけでも冤罪多すぎでしょ……女性不信どころか人間不信になりそう -- 名無しさん (2026-05-01 22:54:33)
- 近親者からもヤバい感情向けられるとかそっち系のエロラノベか何か?でもその中に妹とか従妹がいなくて年上オンリーなのは性癖がにじみ出てるというか… -- 名無しさん (2026-05-01 23:04:47)
- この手の作品の登場人物が、ガチで修復不可能な「トラウマ」を抱えてるのを初めて見たかもしれない -- 名無しさん (2026-05-02 00:14:26)
- 何ともまあ情けない話だなあ。これがアニメになるとか他にアニメに出きる作品が尽きたのかね。 -- 名無しさん (2026-05-02 03:30:40)
- 地の文がマジで気持ち悪くて無理 こんな臭くて読み辛い文章でアニメ化できんの、本当に大丈夫なのか色々 -- 名無しさん (2026-05-02 10:19:35)
- 来たか…この項目……漫画版読んでるけども、トラウマ描写は地獄も地獄…もう放っておいてやれよ!!!と何度コメントしたかわからん -- 名無しさん (2026-05-02 10:54:13)
- ↑2、↑3なろう系の作品なんてこんなもんでしょ。 -- 名無しさん (2026-05-02 14:40:00)
- はっきり言ってヒロインもどきの女へのざまぁ描写を期待してるようなオススメしない -- 名無しさん (2026-05-02 18:13:05)
- ヒロインと名乗る相応しくない女達の見本市みたいな作品 -- 名無しさん (2026-05-03 13:26:07)
- まぁ、まっとうなヒロインいたらこうはならんし、後から生えたらそいつの一人勝ちだよなぁ、とはこの項目見て思わなくはない -- 名無しさん (2026-05-04 21:58:55)
- 主人公甘えんなレベルだなこんなトラウマ克服しろ -- 名無しさん (2026-05-05 08:32:08)
- この項目で気になってWEB版現行まで読んできた。面白かったし雪兎の状況に甘えんなはとてもじゃないが言えない環境で未読コメなんだろうなってわかるレベル。ただ、母姉元教師現教師を筆頭に女性陣が後悔してて報いを受けたいスタンスの割に全員発情してるのはなに? -- 名無しさん (2026-05-07 11:03:07)
- こういう系は制裁(勝手に落ちぶれるのも含む)にしても救済にしても中途半端は嫌われるイメージあるけど、割と読まれてるならちょっと興味あるな -- 名無しさん (2026-05-07 11:08:46)
- 誘拐されかけたり、迷子を助けたら誘拐犯と勘違いされてるからヒロインどころか -- 名無しさん (2026-05-16 00:46:30)
- ↑ヒロインどころか世界から嫌われてるレベル。逆によく五体満足で生きてこれたな -- 名無しさん (2026-05-16 00:50:30)
- 読んでいて色々ゾワゾワする。好きの反対は無関心を続けてればヒロインが自罰的になって気持ち―!って作品。ヒロインたちもなぜ主人公にそこまで執着するのかがわからないほど主人公くんに魅力を感じない。キツイ自己紹介、まわりからチヤホヤされてるのに「俺はボッチだから~」と卑下、面白くないニックネーム等。そのほかにも、無条件で肯定してくれるクラスメイトもねえ。優秀な主人公くんが卑下→それを周りがそんなことないよーヨシヨシ→主人公くん「は?何言ってんだ?」の繰り返し。 -- 名無しさん (2026-05-25 14:07:29)
- 某幻想殺しかよってレベルの不幸に見舞われて自己肯定感は死んでても他人を助けようと思えるやつならそら惚れるわな -- 名無しさん (2026-06-05 01:47:29)
最終更新:2026年08月02日 19:04