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*グローランサーV Generations 【ぐろーらんさーふぁいぶ じぇねれーしょんず】 |ジャンル|ノンストップドラマチックRPG|#amazon(B000EW1T9A)| |対応機種|プレイステーション2|~| |メディア|DVD-ROM 1枚|~| |発売元|アトラス|~| |開発元|キャリアソフト|~| |発売日|2006年8月3日|~| |定価|7,140円(税込)|~| |判定|なし|~| |ポイント|実験的3D化&br;ツッコミ所の多いシナリオ&br;シリーズ最高峰のオープニング|~| |>|>|CENTER:''[[グローランサーシリーズリンク>グローランサーシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ノンストップドラマチックRPG・グローランサーシリーズの5作目。~ [[前作>グローランサーIV Wayfarer of the time]]までとはゲームデザインからあらゆる点を一新しており、新しい戦闘システムや3D化されたグラフィック、ロール制のストーリーなどが特徴である。 ---- **ストーリー この大陸に広まる戦火を収めようと、平和を願う数人の者達がいた。~ 彼らは強力な兵器『アドモニッシャー』を蘇らせ、その兵器で各国を脅し、強制的に戦争を終結させられた。~ そしてどこの国にも属さぬ彼らは、平和維持軍を名乗り戦闘行為だけを取り締まっていった。~ それから20年――特に大きな戦争もなく、今日に至っていた。~ だが危ういバランスで保たれていた大陸の平和は、すでに限界を迎えようとしていた。~ 今までの、親の世代のやり方では、もはや平和を維持出来ない。~ 主人公達は、自分たちの世代の平和を守るために、大陸を旅する。~ (公式サイトより抜粋) ---- **特徴 -戦闘システム --前作までのような各ユニットに適宜指示を出すRTS的な戦闘からアクション要素の強い戦闘に一新。 --戦闘中は主人公を直接操作し、敵の前で○ボタンを押す事により攻撃対象を決定し、×ボタンで防御状態に入るなどアクション性が追加されており、『[[ファイナルファンタジーXII]]』などの戦闘システムに近いものになっている。 --仲間はミッション時以外は指示を出さない限りAIによって独自の思考で行動する事になっている。移動や攻撃、魔法などの指示を旧作同様に出す事は可能。 ---今回は非戦闘時にも移動や防御など仲間に指示を出す事ができる。これを利用して進むシーンもある。また、操作中は常時マップの全体を見回す事が可能になった。 --イベント戦闘では結果に応じて「MISSION COMPLETE」「MISSION CLEAR」「MISSION FAILED」の三段階評価が下されるのは前作までと同様。 -アビリティツリーシステム --本作独自のスキル習得システムであり、武器や防具を装備した状態で技能ポイントを稼ぐ事により、その装備に秘められた「アビリティプレート」を入手する事が出来る。またそのプレートを「アビリティツリー画面」に配置する事により、そのスキルを習得する事が出来る。 --アビリティツリー画面の左端に配置したプレートと、そのプレートに連結して配置したプレートのスキルは、技能ポイントを稼ぐ事により成長させる事が出来る。また、成長可能なプレートが配置されていない状態でも技能ポイントは蓄積されるため、無駄になる事はない。 --それに伴い、旧作の精霊石(魔石)やリングウェポンは廃止され、武器、防具、アクセサリを装備する『I』の形式に戻った。 -ストーリー --本作のストーリーは戦記モノ色が強かった前作までと違い、「平和維持軍」に所属する主人公達が戦争を防ぐために行動するというストーリーになっている。 ---舞台となる大陸は「スクリーパー」と呼ばれる水棲の怪物に脅かされているが、何故か周囲の海域には結界のようなものが張られて外海に出る事もできない。そんな状況でも人類は争いをやめず、閉ざされた大陸の中でスクリーパーの脅威に怯えながら人間同士で無益な血を流し続けていた。 ---その状況を憂う者達によって発掘された古代兵器「アドモニッシャー」を抑止力として、戦争行為を取り締まる「平和維持軍」が組織された。その結果、ひとまず戦争は無くなったものの、武力で武力を抑えつける仮初の平和では反発を生み、危ういバランスの上で何とか均衡を保っている状態だった。そんな中で引き起こされる事件によって平和維持軍は機能を失っていき、主人公達が事態収拾の為に大陸を奔走していく。 --また、本作のストーリーは「ロール制」となっており、ストーリー上の重要人物を操作するショートストーリーのロール1~4と、主人公を操作する本編であるロール5の全5章構成になっている。 ---終章に真の主人公が登場し、これまでの重要人物が主人公の仲間として集結する展開としては『[[ドラゴンクエストIV>ドラゴンクエストIV 導かれし者たち]]』に似ている。 #region(ロール紹介) -ロール1「セルディス」 --本編の20年前。生まれ育った孤児院を戦争で失ったセルディスは、戦争そのものを無くす方法を求めて旅をしていた。やがて古代兵器アドモニッシャーを発見するも、力で抑えつける事に反対して当初は別の方法を探そうとする。しかし間も無く戦争で罪の無い命が失われる現実を改めて思い知り、アドモニッシャーの使用を決意。平和維持軍の設立へと繋がって行く。 -ロール2「ランディ」 --平和維持軍設立から20年。少年時代に正義戦隊に属していた歴史学者のランディは平和維持軍の姿勢に懐疑を抱いており、古代文明の秘密を解き明かす事で新たな平和への道を模索していた。そんな中、ある事件に巻き込まれる。 -ロール3「ロックバイン」 --グランゲイルの被占領国ネイラーンの元将軍ロックバイン。彼は虐げられる民の為、祖国奪還を目指して暗躍する。やがてそれは大陸を再び包み込む戦火の火種となり…。 -ロール4「ファニル」 --平和維持軍研究員のファニルは衰退する大地を救うべく新たなエネルギーの開発を行っていた。そんなある日、「妖精を使った代替エネルギー」の研究のために調査に赴き、妖精のコリンと出会う。 -ロール5「ゼオンシルト」 --ストーリー本編。平和維持軍にある事件を経て入隊したゼオンシルトは、やがて大陸の運命を左右する戦いに身を投じる。 -この他にも条件を満たすとプレイ可能になる短いロールが3つ存在する。 #endregion -妖精 --シリーズお馴染みの主人公の代弁者。前作同様にパラメーターが設定されており、育成する事で様々なスキルを覚える。 ---前作と違い、今回はお金を払ってトレーニングを付けてもらう形になる。 --「妖精コンテスト」と言うイベントが用意されており、育てた妖精でライバルに勝つのが目的。 ---各地にライバルとなる個性的な妖精達が居り、彼女達に勝つ事でその頂点に立つクイーンに挑戦する権利が得られる。クイーンに勝つ事は妖精キャラとエンディングを迎える為にも必須である。 --尚、複数から選択できた前作と違って今回の妖精は「コリン」と言うキャラのみ。妖精が固定だった『I』『III』と、育成が可能な『IV』を折衷した形となる。 --前作に続いてコスチュームチェンジも可能。但し、今回はプレイヤーの着せ替え以外にも、宿泊の度にコリンの気分で勝手に着替えるようになった。 --シリーズでは珍しく、個別エンディングを迎えても人間になる展開が無い((『I』『IV』『VI』と、本シリーズの妖精キャラは個別エンディングにて人間になるのが定番である。『III』のラミィも人間化する事は無いが、そもそもラミィはエンディング自体が無かった。))。 ---- **評価点 -前作までとはプレイ感覚が大きく変わっているが、シリーズおなじみのリアルタイムミッションクリア(RMC)戦闘の楽しさは健在である。 --旧作同様、「戦闘もシナリオの一部」としてイベント戦闘中は絶えずストーリーが展開し、目まぐるしく状況が変化する様々なシチュエーションのバトルを楽しめる。 --何はともあれ戦闘システムが一新された事で、従来とはまた違う感覚のRMC戦闘が味わえるのは確かである。 -ツッコミ所の多いシナリオであるが、一部キャラの暴走と扱い以外は極端な穴は無く、部分的に見れば見所もある。 --「ジェネレーションズ」のサブタイトル通り、世代を越えて受け継がれる意志と言ったテーマはしっかり描かれている。旧世代の残した負の遺産に翻弄されたり、新世代の為に命を賭す者など、様々なキャラを通して「世代」の物語が展開する。 --従来の王道戦記モノとは異なるものの、国家間の諍いや様々な思惑の渦巻く展開は健在。平和維持軍、スクリーパーと言った固有の要素も物語の中でしっかり活かされており、独自色を濃く出しながらもシリーズらしさを失わない世界観を築き上げている。 --終盤には緊迫感のある展開や盛り上がる激動の演出もあり、また、ラスボスも早い段階から存在が明かされ、恐ろしさや強大さがしっかり作中で描かれている。終盤が淡々として盛り上がらずラスボスもらしくなかった『[[II>グローランサーII The sense of justice]]』『[[III>グローランサーIII The dual darkness]]』、ラスボスが裏方に徹し過ぎて影が薄くなってしまった『IV』を改善している部分もある。 ---本当に一応ではあるが、シリーズ唯一の女性ラスボスでもある。 --下記のような理解に苦しむキャラ描写も多いが、殆どの登場人物はしっかりキャラが立っている。空気化するキャラは少ない。 ---主人公ゼオンシルトも立場が食われがちとは言え、終盤は身体の不調に見舞われ、自分の境遇に苦悩しながらも足掻くという『I』のカーマインを彷彿させる姿も描かれ、決して空気化している訳ではない。 --ロールも問題点こそ多いものの、キャラの心情を多角的に描く事は出来ている。 -アビリティツリーシステムにより装備品の数が豊富であり、アビリティプレートを入手するために装備品を集めるのは楽しい。 -旧作よりもアクティブな戦闘の為、キャラがよく喋る。戦闘ボイスも大幅に増加。 -キャラメイクの復活。 --前作で廃止された主人公のキャラメイクが復活した。それも『II』や『III』のような簡潔なものではなく、『I』並に複雑なイベント群が用意されている。 --今回はキャラメイクの結果次第で主人公の通り名が変わると言う演出もある。 -パーティメンバーの一人である「ランディ」は、その奇抜な衣装と戦闘ボイス(「カードはお前の運命を決めた。」など)からは想像もつかないほどに常識人であるため人気が高く、シリーズで最も良識のある大人と評される事も多い。 -シリーズで初めてストーリー中にアニメムービーが採用されており、演出力が上がっている。 --ラストダンジョン前の告白イベントも全員に個別のアニメが用意されている。 -主題歌の「Innovation」は評価が高く、歴代最高のOPであるとの呼び声が高い。 --歌詞もまた本作のテーマに合っており、シナリオとのマッチ度も高い。 ---ただ、歌い出しの歌詞「どうか僕らを信じていて欲しいんだ」は悲しいかな本作の出来もあってネタにされる事が多い。 --背景のアニメは『I』『IV』のようなOP専用のものではなく、本編中のアニメムービーをつなぎ合わせたものである。しかし作中アニメのシチュエーションの良さや編集の上手さによって歌と非常にマッチングしており、魅せるOPムービーとなっている。 ---この形式は同じく作中にアニメがある『VI』と『IV OVER RELOADED』にも受け継がれたが、映像と歌とのマッチ度は本作が随一である((特に『VI』はアニメの大半がエンディング用という関係もあってOP向きではない映像が多く、あまり歌に合っていないムービーになってしまっている。))。 --更にクリア後にはミュージックビデオを見る事もできる。 -エンディングの同時攻略がし易くなった。 --告白イベントの際、妖精と男性キャラは条件を満たしたキャラ全員に告白が可能となっている((男性キャラはあくまで信頼の証としてであり、妖精キャラは人間ではない為。))。女性キャラは所謂プロポーズにあたる為、当然一度に告白できるのは1人のみ。 --ラスボス撃破後、告白したキャラの中から見たいエンディングを選択する事になる。直前にセーブできる為、すぐに全員分見られる。 -豪華声優陣。 --パーティーメンバーだけでも三木眞一郎、矢尾一樹、浅川悠、保志総一朗などの有名所を押さえている。三木氏は『I』に続いての出演である。 --ちなみに今回は声優コメントで担当声優の顔写真も表示されるようになった。 ---- **賛否両論点 -難易度が高めのシリーズだが、本作はシリーズで最も難易度が低く、初見殺し的なミッションもほとんど無い。これまでのシリーズで数々の難ミッションを突破してきたユーザーからは物足りない。 --従来の感覚でやると却って不利なシチュエーションもあるので、シリーズファンは寧ろ一新されたシステムに慣れる方が大変である。しかし慣れてしまえば従来より楽に進める事がよく分かる。 --逆に言えば本作から入ったプレイヤーは問題無く楽しめる。また、あくまでシリーズとしては難易度が低いという話なので、ヌルゲーという訳ではない。 ---但し、後述するように金欠に陥りやすい作りの為、戦闘とは別のところでの苦労は多い。 -主人公以外のパーティメンバーがコスプレ集団にしか見えない。 --仲間の衣装が、科学者なのに悪魔の衣装で尻尾の飾りまである「ファニル」、政治家なのに海賊の衣装の「クライアス」、考古学者なのに怪盗の衣装の「ランディ」、軍人で一見まともな衣装に見えるが頭に巨大な羽根飾りがついている「メルヴィナ」など仮装大会のような奇妙な衣装が多い。 --残る「シェリス」「ルーファス」はまだまともだが、彼等が仲間になるのはかなり終盤なのでパーティメンバーに加えられる期間は極めて短い(勿論、個別のエンディングは存在するが)。結果、殆どの期間をコスプレ集団のようなパーティーでプレイする事に。 --うるし原智氏のデザインは独創的なものが多く、旧作でも奇抜なキャラはいたが、今回は特に露骨であまりに特徴的過ぎる。好みは分かれるだろう。 ---- **問題点 ''システム面'' -敵を倒すと画面が硬直する、魔法のエフェクトをスキップできないなど、テンポを悪くしている要素が多い。 --特に、弱い敵が出現するマップでは、仲間が勝手に敵を倒してしまい画面の硬直が頻出するためストレスが溜まり易い。 ---一応、仲間に待機指示を出す事でそれは防げるのだが、マップが変わるために指示を出さないといけないため面倒である。 --敵を避けて通ろうにも、探知されればすぐに敵が向かってきて戦闘になってしまう。これがかなり距離があっても探知されるので、戦闘を避けて進むのは難しい。 ---また、一度戦闘になればそのマップの敵を全滅させるかマップを移動するまで戦闘状態が解除されない。前述したように勝手に仲間が敵を攻撃する仕様の為、ひとまず戦闘態勢に入った敵を倒しても、すぐに仲間が別の場所の敵に向かって行って更なる戦闘を誘発しがち。 --ただ、硬直の多さや戦闘の避けにくさから「テンポが悪い」というイメージがある戦闘システムだが、攻撃モーションはかなり早く、一応総合的なテンポはそこまで悪くない。従来と違って通常攻撃では画面は止まらないしキャラの動きも早くなっているので、寧ろ従来よりもスピーディーになっている位である。 ---しかしスピーディーになった分、従来では気にならなかったような硬直も「いちいち動きを止められる」と気になってしまい、テンポが悪くなった印象を与えてしまうという皮肉な事になっている。 -とにかくお金が掛かり、金策に追われる。 --前作ではエネルギーの縛りはあったが無料だった妖精の育成だが、今作では有料のトレーニングを受ける形式になった為、回数制限こそなくなったが大金が必要になってしまった。 --更に今回はリングウェポンの廃止で武器にもお金を注ぎ込む必要がある為、育成は計画的にしないと金欠に苦しむ事に。 ---アビリティプレートの存在により、古い装備も以前より売りにくくなった。 -休暇の廃止。 --ストーリーの息抜きであり、仲間との親睦を深める事が出来た休暇イベントが再び廃止された。その為、『I』『IV』に比べるとキャラに愛着が湧き難く、また従来より余裕が減った雰囲気になってしまった。 --ストーリー上で休暇を貰う事はあるのだが、あくまでストーリーの一部であって『I』『IV』のようなシステム上の休暇ではない。 ---一応、このようにストーリーの合間で休息を取るシーンや街などで解散する際に仲間と話す機会は増えている。好感度は主にここで上げる事になる。 --次回作『VI』でも復活する事は無く、%%ストーリー上の休暇すらろくに貰えず%%メインシナリオが長くなった事もあって余計にストーリーが慌ただしくなった。 -''周回プレイの引き継ぎ要素が無い''。 --『II』~『IV』では装備品や精霊石(魔石)を次の周に引き継ぐ事が可能だったが、今回はロール制の関係か引き継げる要素が一切なく、シリーズお馴染みの強化アイテム「M2」(今回はアクセサリ扱い)を全ロール開始時に最大数所持しているだけで、早い話が''『I』の方式に逆戻り''。こんな所を原点回帰しなくても…。 --せっかく苦労して集めたアイテムが全て無駄になる上に、頼みの綱の「M2」も『I』の時より大幅に弱化している((『I』では初期レベルですら最強近くになれるほどだったが、再登場した『III』からはパラメーターの大幅アップ程度の効果になった。それでも精霊石や魔石だった頃は3個まで付けられたのだが。))ので序盤はともかく、後になるとサクサク進めるのが難しくなってくる。 -3D化の問題。 --本作から画面が3Dになったが、モーションの出来は良いとは言い難い。 ---多くの女性の歩き方が男性と同じ大股である。特にNPCは目立つ。 --モデル自体もあまり高品質とは言い難い。キャラが大きく映るシーンは少なく、会話シーンは従来通りの立ち絵が表示される形式なので気になりにくいが。 --また、移動速度も遅い。2Dだった前作までと単純には比較できないにしても、あまりスムーズに移動出来ている感覚は無い。 ''シナリオ面'' -ロール制の問題。 --前述の通り、主人公登場前にオムニバス形式で複数キャラの視点をプレイすると言う点は『ドラゴンクエストIV』に似ているが、本作の場合はロール5が本編で、ロール1~4はあくまでプロローグとして位置付けられている。 ---しかしロール1は物語の発端となるだけあって重要なシナリオだが、ロール2~4は本編キャラが遭遇したとある事件を描くだけだったりと、単なるサイドストーリーにしかなっていない場合が殆ど。本編前に必ずプレイしなければならない意義があまり感じられない。 ---その上無駄に長い為、冗長なプロローグをクリアしないと本編がプレイできない形になっている。また、その煽りか本編のストーリーも『I』や『IV』に比べると短い。 --かと言って仮にロール2~4が無かったとすると、それはそれで話についていけなくなる。結局、話を理解する為にプレイせざるを得ないのだが…。 ---しかし1周目ならまだしも、2周目以降でプレイするのは面倒でしかなく、しかしスキップする事も出来ないのが不満に拍車を掛けている。 -本作は平和維持軍に所属する戦士「ゼオンシルト」が主人公なのだが、平和維持軍総指令「セルディス」の息子である「クライアス」が主人公にしか見えない。 --クライアスが方針の違いからセルディスと対立しゼオンシルト達を引き連れて旅に出る、やがてNPCが「我々はクライアス様の意思に賛同し馳せ参じました」といってクライアス達の元に集まってくるなど、ストーリーは常にクライアスを中心に進行するためである。 --ロール1の主人公=最初にプレイヤーが操作するキャラであるセルディスの息子と言う点も主人公っぽさを助長している。しかも親世代の物語であるロール1のラストで誕生する点も、いかにも運命の子と言う感じでまた然り。 --終盤、あるキャラのピンチに駆け付けると「来てくれたかクライアス」と言われる。そのキャラとクライアスは元々親しい間柄なので、こう言ったシーンがあるのは目を瞑るとしても、問題はこれが告白イベント後である事。 ---当該キャラは告白可能なキャラであり、告白に成功すれば当然ゼオンシルトと恋人になる。しかしその場合であってもこの汎用台詞が出る為、尚更ゼオンシルトが差し置かれている感は大きい((一応、そのキャラのEDは攻略可能女性キャラ3人の中でも特に甘い雰囲気で終わるので、ちゃんと恋人になれているのは分かる。))。 --それらの理由によりクライアスは『IV』のレムスと並び、シリーズを代表する嫌われキャラの一人になっている。 ---しかし、クライアス自身は正義感が強い熱血漢であり基本的には問題があるような性格ではない。勝利時の台詞が「勝った者の勝ちさ!」というまるで悪役の雰囲気の台詞のものだったり、日常パートも戦闘パートも全般的に台詞が軽いなどはあっても、後述するアイザックやペルナギのような問題行動に出ている訳でもない。 --だが以下のシーンだけは流石に無視できない。 #region(クライアスの問題のシーンについて(ネタバレ有り)) --ゼオンシルトはスクリーパーに対抗する能力を得るために、平和維持軍から人体改造を施されており、その結果定期的に薬を呑まなければ死んでしまう体なのだが、終盤に、その薬は人の命を使って作られている事が発覚する。 ---それに対してクライアスは「俺たちの仲間がそんな存在だったなんて」「''来るなよ''」とゼオンシルトを罵り、パーティーから外れて去って行く。改造も人体実験もゼオンシルト自身の意思とは関係なく行われた上、当人もこの時まで真実を知らなかったにもかかわらずこの態度である。非道な研究を目にして感情的になっていたとしても、八つ当たりのように何の落ち度もなく一番ショックを受けているであろう((現にその後はしばらくゼオンシルトが苦悩する展開が続く。))ゼオンシルトを責める姿は多くのプレイヤーに嫌悪感を抱かせた。 ---但し、以降はクライアス本人も頭を冷やし、例の薬を摂取せずともゼオンシルトが死なずに済む方法を考案して提示する。また、八つ当たりの件も謝罪はするのでフォローはちゃんとされている。 #endregion -但し、ゼオンシルトも作中で能力を評価されたり、スクリーパー(本作における最強のモンスター)との戦いにおける重要な存在だったりと、「主人公(笑)」というほど扱いが悪い訳ではない。一部エンディングでは『II』以来、久しぶりに「グローランサー(光の救世主)」と呼ばれるシーンもある。 --しかしクライアスの方が主人公らしいという点は揺るがず、どうにも影が薄くなってしまうのも事実ではあるが。 ---また、ゼオンシルトの親についても描かれるが、ストーリーの根幹に位置するクライアスの親に比べると印象が薄く、「世代」の物語にしても彼に劣る。 --クライアス以外でも、今回の妖精キャラである「コリン」は従来の主人公と妖精のようにゼオンシルトと運命的な出会いを果たす…訳でもなく、当初はロール4操作キャラの「ファニル」と出会って行動を共にするようになり、その後、平和維持軍に入ったゼオンシルトに''何となく''同行する((最初はパーティーインしたファニルに付いて行く形だったのが、そのファニルが最初の任務終了後に研究室に籠ってしまった為、代わりに遊び相手になりそうなゼオンシルトの所に来たという形。))。 ---勿論、コリンもコリンでちゃんとゼオンシルトと絆を深める過程は描かれ、終盤はある理由から一蓮托生の身となるし、『III』のラミィと違って個別EDもしっかり存在するのだが、こう言った点もゼオンシルトの主人公らしさを薄れさせる一因に。 --余談だが、ゼオンシルトは主人公の座を乗っ取られたかのような展開や、後続のドラマCDや続編で演じた声優が鈴村健一だった事から、「シン・アスカ((アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の主人公で、鈴村氏が演じたキャラ。しかし物語の途中からその前作『機動戦士ガンダムSEED』の主人公である「キラ・ヤマト」が完全に主人公化し、シンの方は最終的にやられ役になるという驚愕の視点変更で有名。))の再来」と言われる事がある。%%当たり前だがゼオンシルトは最後にやられるような事は無い。%% -「アイザック」と「ペルナギ」というキャラクターについて批判が多い。 --クライアスは主人公の乗っ取りと言ったようなキャラの位置付けに対する批判が主だったが、この2人に関しては作中の所業自体に問題がある。 #region(アイザックについて(ネタバレ有り)) -平和維持軍の初期メンバーで副司令なのだが、アドモニッシャーの脅威で各国を抑えつけるという方法の発案者だという事を考慮しても、戦争を止めるために手段を選ばない行動に批判が多い。 --ストーリーの中盤で「グランゲイル(大陸で一番強い国)」と「シリルティア(大陸で二番目に強い国)」の一部の者が独断で平和維持軍に攻撃を仕掛けた際、報復としてアドモニッシャーの主砲をグランゲイルとシリルティアに向けて発射しようとする。 --抑止力であるアドモニッシャーが動力を失い機能停止した際、グランゲイルのシリルティアの戦争を危惧したアイザックは''戦争を止めるには、こちらからグランゲイルに攻撃を仕掛けるしかない''と超理論を展開し平和維持軍を脱退する。 --グランゲイルに攻撃を仕掛けるための兵器を調達するために、子供を人質にとり兵器の引き渡しを要求する。 --これだけの事をしておきながら、平和維持軍との和解後には、何の咎めも受ける事なく副司令の座に復帰している。一応部屋の前に見張りは付けられているが、それだけである。 --さらに終盤、罪人を使って人体実験を行っており数百人規模の死者を出している事が発覚するが、それでも何の罪にも問われない。 ---ただし、それから程なくしてラスボスに特攻を仕掛けて戦死する事になる。ペルナギに比べればまだ落とし前は付けている方である。 --余談だがアイザックがラスボスなら本作は名作だったという声は多い。 #endregion #region(ペルナギについて(ネタバレ有り)) -平和維持軍の初期メンバーで「ポトラド人」という人間よりも優れた知識を持つ種族なのだが、アドモニッシャーの動力である「龍玉」は大地のエネルギーを消費しており、深刻な食料不足の原因となっているため、平和維持軍を脱退し、アドモニッシャーを停止させるための活動を開始するのだが、アドモニッシャーを停止させるために手段を選ばない行動に批判が多い。 --アドモニッシャーを破壊するにはグランゲイルの軍備を拡張させるのが良いと考え、「ネイラーン(グランゲイルに支配されている国)」が反乱を起こすように仕向け、グランゲイルが軍備拡張するように仕向ける。結果としてネイラーンは窮地に陥ってしまう。 --また、ネイラーンによく知りもしない生物兵器の情報を提供していたのだが、その結果その生物兵器が暴走し、各地で大量虐殺や人間をモンスターに変えるなど大陸を大混乱に陥れてしまう。 --また、グランゲイルにも兵器を提供しており、その中に「スクリーパー制御装置」というスクリーパーを操る事が出来る装置があるのだが、それのエネルギー源に「バイタルエネルギー(生き物の命を消費するエネルギー。人間の命が一番効果を発揮する。)」が使われており、人間の命が使われるのではないかと主人公達は危惧するが、「いくらグランゲイルでも国民を敵に回す事はせぬじゃろう。」と自身満々に語る。 --案の定、スクリーパー制御装置に人間の命が使われるが、「我ながら嫌な物を作ってしまったものじゃよ。」と言うだけであまり反省している様子が無い。 --最終盤で研究室に置いてあった重要物品を敵に奪われるが、「二つあって力を発揮する物品を一緒に置くべきではない」ものを一つ所に置いておきながら「あれらが両方揃ったなら…」という文意の発言を言い出す上に、物品が奪われた直後には傷を負わされたわけでもないのに研究室から外へ出て助けを求めようとは全くしていない。主人公たちが駆け付けてから騒ぎだすだけで、奪われたことに対する謝罪は一切無い。 --更に、最終的に戦死したアイザックと違い、何の報いも受ける事無く生存しており、エンディング後は余生を過ごしている。 --作中では「ペルナギはポトラド人の間では嫌われている」という設定があるのだが、この結果を見れば納得である。 #endregion -この他にも、感情を抑えられず周囲に迷惑をかけるファニル、元々スパイな上に散々敵対行為を取って被害を出しておきながら平和維持軍と目的が一致するや否やお咎めなしになるアレッサなど、問題のあるキャラはいなくもないのだが、この三人の印象が強過ぎてあまり話題に上がらない。 -細かい点だが「それより」が妙に多用されたり((あるシーンでは、メルヴィナ「それより◯◯◯」→クライアス「それより◯◯◯」と、「それより」が連続する会話すらある程。少々自己主張が過ぎるのではないだろうか。))など、シナリオライターの葉月陽氏の癖と思われる文体が以前に増して出ている部分があり、気になる人は気になるかもしれない。 -エンディングも感動的な演出を盛り込んでいた前作に比べるとかなりあっさりしている。ラスボス撃破時のカタルシスも薄め。 --『I』~『III』のエンディングも全体的にあっさり気味であった為、旧作に回帰したとも言える。また、キャラ毎のエピローグもあっさり過ぎた『II』『III』よりは丁寧に描かれているものも多い。 ---誰の条件も満たさなかった場合はソロエンドとはまた違った特殊なエンディングが見られるという作り込まれた部分もある。 ---- **総評 ツッコミ所の多すぎるシナリオや詰めの甘いシステムなどに批判が集中し、シリーズ最大のクソゲーであるとの呼び声が高い作品である。~ しかし、実際にクソゲーかと言われるとそうではなく、むしろゲームとしては普通に遊べる出来であり、「意外に面白かった」という意見も少なからず存在する。~ 前作までに培ったシステムを撤廃してまで導入した新システムがまだまだ荒削りである事と、~ シナリオに『II』『III』で指摘されたような「薄さ」ではなく「ツッコミ所」という尖った問題を抱えてしまった事がシリーズファンに一層批判されてしまう格好となってしまった。~ どちらももっと煮詰めて完成度を高めていれば全体の評価も変わったと思われるだけに、惜しい作品だったと言えよう。 ---- **余談 -本作の約1年後というかなり早めのペースで続編『グローランサーVI Precarious World』が発売された。 --ロール制は廃止し、通常通り一人の主人公の視点に戻りつつも、3D路線は引き継がれており、本作のシステム面の不満点を幾らか改善している。 --作中の時間軸も本作の1年後と言うことになっており、主人公達やメインの舞台は一新されているが本作の舞台も丸々登場し、登場人物の多くが続投している。 ---ゼオンシルトもパーティーキャラの1人として登場。『II』におけるカーマインのように台詞が付き、独立したキャラクターとなっている。本作のデータをコンバートすればパラメーターを引き継ぐ事が出来る。 ---また、本作の妖精コンテスト最大のライバルであった「ユリィ」が主人公のパートナーとして登場する。 --『V』で明かされなかった謎や真実が語られ、本作のストーリーの事実上の完結編となっている((本作単体でも大まかなストーリーは完結している。))。 ---ただ、一部本作をぶち壊しにしている展開もあるので、本作のストーリーに思い入れのある人にとっては少々辛い部分もある。
*グローランサーV Generations 【ぐろーらんさーふぁいぶ じぇねれーしょんず】 |ジャンル|ノンストップドラマチックRPG|#amazon(B000EW1T9A)| |対応機種|プレイステーション2|~| |メディア|DVD-ROM 1枚|~| |発売元|アトラス|~| |開発元|キャリアソフト|~| |発売日|2006年8月3日|~| |定価|7,140円(税込)|~| |判定|なし|~| |ポイント|実験的3D化&br;ツッコミ所の多いシナリオ&br;シリーズ最高峰のオープニング|~| |>|>|CENTER:''[[グローランサーシリーズリンク>グローランサーシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ノンストップドラマチックRPG・グローランサーシリーズの5作目。~ [[前作>グローランサーIV Wayfarer of the time]]までとはゲームデザインからあらゆる点を一新しており、新しい戦闘システムや3D化されたグラフィック、ロール制のストーリーなどが特徴である。 ---- **ストーリー この大陸に広まる戦火を収めようと、平和を願う数人の者達がいた。~ 彼らは強力な兵器『アドモニッシャー』を蘇らせ、その兵器で各国を脅し、強制的に戦争を終結させられた。~ そしてどこの国にも属さぬ彼らは、平和維持軍を名乗り戦闘行為だけを取り締まっていった。~ それから20年――特に大きな戦争もなく、今日に至っていた。~ だが危ういバランスで保たれていた大陸の平和は、すでに限界を迎えようとしていた。~ 今までの、親の世代のやり方では、もはや平和を維持出来ない。~ 主人公達は、自分たちの世代の平和を守るために、大陸を旅する。~ (公式サイトより抜粋) ---- **特徴 -戦闘システム --前作までのような各ユニットに適宜指示を出すRTS的な戦闘からアクション要素の強い戦闘に一新。 --戦闘中は主人公を直接操作し、敵の前で○ボタンを押す事により攻撃対象を決定し、×ボタンで防御状態に入るなどアクション性が追加されており、『[[ファイナルファンタジーXII]]』などの戦闘システムに近いものになっている。 --仲間はミッション時以外は指示を出さない限りAIによって独自の思考で行動する事になっている。移動や攻撃、魔法などの指示を旧作同様に出す事は可能。 ---今回は非戦闘時にも移動や防御など仲間に指示を出す事ができる。これを利用して進むシーンもある。また、操作中は常時マップの全体を見回す事が可能になった。 --イベント戦闘では結果に応じて「MISSION COMPLETE」「MISSION CLEAR」「MISSION FAILED」の三段階評価が下されるのは前作までと同様。 -アビリティツリーシステム --本作独自のスキル習得システムであり、武器や防具を装備した状態で技能ポイントを稼ぐ事により、その装備に秘められた「アビリティプレート」を入手する事が出来る。またそのプレートを「アビリティツリー画面」に配置する事により、そのスキルを習得する事が出来る。 --アビリティツリー画面の左端に配置したプレートと、そのプレートに連結して配置したプレートのスキルは、技能ポイントを稼ぐ事により成長させる事が出来る。また、成長可能なプレートが配置されていない状態でも技能ポイントは蓄積されるため、無駄になる事はない。 --それに伴い、旧作の精霊石(魔石)やリングウェポンは廃止され、武器、防具、アクセサリを装備する『I』の形式に戻った。 -ストーリー --本作のストーリーは戦記モノ色が強かった前作までと違い、「平和維持軍」に所属する主人公達が戦争を防ぐために行動するというストーリーになっている。 ---舞台となる大陸は「スクリーパー」と呼ばれる水棲の怪物に脅かされているが、何故か周囲の海域には結界のようなものが張られて外海に出る事もできない。そんな状況でも人類は争いをやめず、閉ざされた大陸の中でスクリーパーの脅威に怯えながら人間同士で無益な血を流し続けていた。 ---その状況を憂う者達によって発掘された古代兵器「アドモニッシャー」を抑止力として、戦争行為を取り締まる「平和維持軍」が組織された。その結果、ひとまず戦争は無くなったものの、武力で武力を抑えつける仮初の平和では反発を生み、危ういバランスの上で何とか均衡を保っている状態だった。そんな中で引き起こされる事件によって平和維持軍は機能を失っていき、主人公達が事態収拾の為に大陸を奔走していく。 --また、本作のストーリーは「ロール制」となっており、ストーリー上の重要人物を操作するショートストーリーのロール1~4と、主人公を操作する本編であるロール5の全5章構成になっている。 ---終章に真の主人公が登場し、これまでの重要人物が主人公の仲間として集結する展開としては『[[ドラゴンクエストIV>ドラゴンクエストIV 導かれし者たち]]』に似ている。 #region(ロール紹介) -ロール1「セルディス」 --本編の20年前。生まれ育った孤児院を戦争で失ったセルディスは、戦争そのものを無くす方法を求めて旅をしていた。やがて古代兵器アドモニッシャーを発見するも、力で抑えつける事に反対して当初は別の方法を探そうとする。しかし間も無く戦争で罪の無い命が失われる現実を改めて思い知り、アドモニッシャーの使用を決意。平和維持軍の設立へと繋がって行く。 -ロール2「ランディ」 --平和維持軍設立から20年。少年時代に正義戦隊に属していた歴史学者のランディは平和維持軍の姿勢に懐疑を抱いており、古代文明の秘密を解き明かす事で新たな平和への道を模索していた。そんな中、ある事件に巻き込まれる。 -ロール3「ロックバイン」 --グランゲイルの被占領国ネイラーンの元将軍ロックバイン。彼は虐げられる民の為、祖国奪還を目指して暗躍する。やがてそれは大陸を再び包み込む戦火の火種となり…。 -ロール4「ファニル」 --平和維持軍研究員のファニルは衰退する大地を救うべく新たなエネルギーの開発を行っていた。そんなある日、「妖精を使った代替エネルギー」の研究のために調査に赴き、妖精のコリンと出会う。 -ロール5「ゼオンシルト」 --ストーリー本編。平和維持軍にある事件を経て入隊したゼオンシルトは、やがて大陸の運命を左右する戦いに身を投じる。 -この他にも条件を満たすとプレイ可能になる短いロールが3つ存在する。 #endregion -妖精 --シリーズお馴染みの主人公の代弁者。前作同様にパラメーターが設定されており、育成する事で様々なスキルを覚える。 ---前作と違い、今回はお金を払ってトレーニングを付けてもらう形になる。 --「妖精コンテスト」と言うイベントが用意されており、育てた妖精でライバルに勝つのが目的。 ---各地にライバルとなる個性的な妖精達が居り、彼女達に勝つ事でその頂点に立つクイーンに挑戦する権利が得られる。クイーンに勝つ事は妖精キャラとエンディングを迎える為にも必須である。 --尚、複数から選択できた前作と違って今回の妖精は「コリン」と言うキャラのみ。妖精が固定だった『I』『III』と、育成が可能な『IV』を折衷した形となる。 --前作に続いてコスチュームチェンジも可能。但し、今回はプレイヤーの着せ替え以外にも、宿泊の度にコリンの気分で勝手に着替えるようになった。 --シリーズでは珍しく、個別エンディングを迎えても人間になる展開が無い((『I』『IV』『VI』と、本シリーズの妖精キャラは個別エンディングにて人間になるのが定番である。『III』のラミィも人間化する事は無いが、そもそもラミィはエンディング自体が無かった。))。 ---- **評価点 -前作までとはプレイ感覚が大きく変わっているが、シリーズおなじみのリアルタイムミッションクリア(RMC)戦闘の楽しさは健在である。 --旧作同様、「戦闘もシナリオの一部」としてイベント戦闘中は絶えずストーリーが展開し、目まぐるしく状況が変化する様々なシチュエーションのバトルを楽しめる。 --何はともあれ戦闘システムが一新された事で、従来とはまた違う感覚のRMC戦闘が味わえるのは確かである。 -ツッコミ所の多いシナリオであるが、一部キャラの暴走と扱い以外は極端な穴は無く、部分的に見れば見所もある。 --「ジェネレーションズ」のサブタイトル通り、世代を越えて受け継がれる意志と言ったテーマはしっかり描かれている。旧世代の残した負の遺産に翻弄されたり、新世代の為に命を賭す者など、様々なキャラを通して「世代」の物語が展開する。 --従来の王道戦記モノとは異なるものの、国家間の諍いや様々な思惑の渦巻く展開は健在。平和維持軍、スクリーパーと言った固有の要素も物語の中でしっかり活かされており、独自色を濃く出しながらもシリーズらしさを失わない世界観を築き上げている。 --終盤には緊迫感のある展開や盛り上がる激動の演出もあり、また、ラスボスも早い段階から存在が明かされ、恐ろしさや強大さがしっかり作中で描かれている。終盤が淡々として盛り上がらずラスボスもらしくなかった『[[II>グローランサーII The sense of justice]]』『[[III>グローランサーIII The dual darkness]]』、ラスボスが裏方に徹し過ぎて影が薄くなってしまった『IV』を改善している部分もある。 ---本当に一応ではあるが、シリーズ唯一の女性ラスボスでもある。 --下記のような理解に苦しむキャラ描写も多いが、殆どの登場人物はしっかりキャラが立っている。空気化するキャラは少ない。 ---主人公ゼオンシルトも立場が食われがちとは言え、終盤は身体の不調に見舞われ、自分の境遇に苦悩しながらも足掻くという『I』のカーマインを彷彿させる姿も描かれ、決して空気化している訳ではない。 --ロールも問題点こそ多いものの、キャラの心情を多角的に描く事は出来ている。 -アビリティツリーシステムにより装備品の数が豊富であり、アビリティプレートを入手するために装備品を集めるのは楽しい。 -旧作よりもアクティブな戦闘の為、キャラがよく喋る。戦闘ボイスも大幅に増加。 -キャラメイクの復活。 --前作で廃止された主人公のキャラメイクが復活した。それも『II』や『III』のような簡潔なものではなく、『I』並に複雑なイベント群が用意されている。 --今回はキャラメイクの結果次第で主人公の通り名が変わると言う演出もある。 -パーティメンバーの一人である「ランディ」は、その奇抜な衣装と戦闘ボイス(「カードはお前の運命を決めた。」など)からは想像もつかないほどに常識人であるため人気が高く、シリーズで最も良識のある大人と評される事も多い。 -シリーズで初めてストーリー中にアニメムービーが採用されており、演出力が上がっている。 --ラストダンジョン前の告白イベントも全員に個別のアニメが用意されている。 -主題歌の「Innovation」は評価が高く、歴代最高のOPであるとの呼び声が高い。 --歌詞もまた本作のテーマに合っており、シナリオとのマッチ度も高い。 ---ただ、歌い出しの歌詞「どうか僕らを信じていて欲しいんだ」は悲しいかな本作の出来もあってネタにされる事が多い。 --背景のアニメは『I』『IV』のようなOP専用のものではなく、本編中のアニメムービーをつなぎ合わせたものである。しかし作中アニメのシチュエーションの良さや編集の上手さによって歌と非常にマッチングしており、魅せるOPムービーとなっている。 ---この形式は同じく作中にアニメがある『VI』と『IV OVER RELOADED』にも受け継がれたが、映像と歌とのマッチ度は本作が随一である((特に『VI』はアニメの大半がエンディング用という関係もあってOP向きではない映像が多く、あまり歌に合っていないムービーになってしまっている。))。 --更にクリア後にはミュージックビデオを見る事もできる。 -エンディングの同時攻略がし易くなった。 --告白イベントの際、妖精と男性キャラは条件を満たしたキャラ全員に告白が可能となっている((男性キャラはあくまで信頼の証としてであり、妖精キャラは人間ではない為。))。女性キャラは所謂プロポーズにあたる為、当然一度に告白できるのは1人のみ。 --ラスボス撃破後、告白したキャラの中から見たいエンディングを選択する事になる。直前にセーブできる為、すぐに全員分見られる。 -豪華声優陣。 --パーティーメンバーだけでも三木眞一郎、矢尾一樹、浅川悠、保志総一朗などの有名所を押さえている。三木氏は『I』に続いての出演である。 --ちなみに今回は声優コメントで担当声優の顔写真も表示されるようになった。 ---- **賛否両論点 -難易度が高めのシリーズだが、本作はシリーズで最も難易度が低く、初見殺し的なミッションもほとんど無い。これまでのシリーズで数々の難ミッションを突破してきたユーザーからは物足りない。 --従来の感覚でやると却って不利なシチュエーションもあるので、シリーズファンは寧ろ一新されたシステムに慣れる方が大変である。しかし慣れてしまえば従来より楽に進める事がよく分かる。 --逆に言えば本作から入ったプレイヤーは問題無く楽しめる。また、あくまでシリーズとしては難易度が低いという話なので、ヌルゲーという訳ではない。 ---但し、後述するように金欠に陥りやすい作りの為、戦闘とは別のところでの苦労は多い。 -主人公以外のパーティメンバーがコスプレ集団にしか見えない。 --仲間の衣装が、科学者なのに悪魔の衣装で尻尾の飾りまである「ファニル」、政治家なのに海賊の衣装の「クライアス」、考古学者なのに怪盗の衣装の「ランディ」、軍人で一見まともな衣装に見えるが頭に巨大な羽根飾りがついている「メルヴィナ」など仮装大会のような奇妙な衣装が多い。 --残る「シェリス」「ルーファス」はまだまともだが、彼等が仲間になるのはかなり終盤なのでパーティメンバーに加えられる期間は極めて短い(勿論、個別のエンディングは存在するが)。結果、殆どの期間をコスプレ集団のようなパーティーでプレイする事に。 --うるし原智氏のデザインは独創的なものが多く、旧作でも奇抜なキャラはいたが、今回は特に露骨であまりに特徴的過ぎる。好みは分かれるだろう。 ---- **問題点 ''システム面'' -敵を倒すと画面が硬直する、魔法のエフェクトをスキップできないなど、テンポを悪くしている要素が多い。 --特に、弱い敵が出現するマップでは、仲間が勝手に敵を倒してしまい画面の硬直が頻出するためストレスが溜まり易い。 ---一応、仲間に待機指示を出す事でそれは防げるのだが、マップが変わるために指示を出さないといけないため面倒である。 --敵を避けて通ろうにも、探知されればすぐに敵が向かってきて戦闘になってしまう。これがかなり距離があっても探知されるので、戦闘を避けて進むのは難しい。 ---また、一度戦闘になればそのマップの敵を全滅させるかマップを移動するまで戦闘状態が解除されない。前述したように勝手に仲間が敵を攻撃する仕様の為、ひとまず戦闘態勢に入った敵を倒しても、すぐに仲間が別の場所の敵に向かって行って更なる戦闘を誘発しがち。 --ただ、硬直の多さや戦闘の避けにくさから「テンポが悪い」というイメージがある戦闘システムだが、攻撃モーションはかなり早く、一応総合的なテンポはそこまで悪くない。従来と違って通常攻撃では画面は止まらないしキャラの動きも早くなっているので、寧ろ従来よりもスピーディーになっている位である。 ---しかしスピーディーになった分、従来では気にならなかったような硬直も「いちいち動きを止められる」と気になってしまい、テンポが悪くなった印象を与えてしまうという皮肉な事になっている。 -とにかくお金が掛かり、金策に追われる。 --前作ではエネルギーの縛りはあったが無料だった妖精の育成だが、今作では有料のトレーニングを受ける形式になった為、回数制限こそなくなったが大金が必要になってしまった。 --更に今回はリングウェポンの廃止で武器にもお金を注ぎ込む必要がある為、育成は計画的にしないと金欠に苦しむ事に。 ---アビリティプレートの存在により、古い装備も以前より売りにくくなった。 -休暇の廃止。 --ストーリーの息抜きであり、仲間との親睦を深める事が出来た休暇イベントが再び廃止された。その為、『I』『IV』に比べるとキャラに愛着が湧き難く、また従来より余裕が減った雰囲気になってしまった。 --ストーリー上で休暇を貰う事はあるのだが、あくまでストーリーの一部であって『I』『IV』のようなシステム上の休暇ではない。 ---一応、このようにストーリーの合間で休息を取るシーンや街などで解散する際に仲間と話す機会は増えている。好感度は主にここで上げる事になる。 --次回作『VI』でも復活する事は無く、%%ストーリー上の休暇すらろくに貰えず%%メインシナリオが長くなった事もあって余計にストーリーが慌ただしくなった。 -''周回プレイの引き継ぎ要素が無い''。 --『II』~『IV』では装備品や精霊石(魔石)を次の周に引き継ぐ事が可能だったが、今回はロール制の関係か引き継げる要素が一切なく、シリーズお馴染みの強化アイテム「M2」(今回はアクセサリ扱い)を全ロール開始時に最大数所持しているだけで、早い話が''『I』の方式に逆戻り''。こんな所を原点回帰しなくても…。 --せっかく苦労して集めたアイテムが全て無駄になる上に、頼みの綱の「M2」も『I』の時より大幅に弱化している((『I』では初期レベルですら最強近くになれるほどだったが、再登場した『III』からはパラメーターの大幅アップ程度の効果になった。それでも精霊石や魔石だった頃は3個まで付けられたのだが。))ので序盤はともかく、後になるとサクサク進めるのが難しくなってくる。 -3D化の問題。 --本作から画面が3Dになったが、モーションの出来は良いとは言い難い。 ---多くの女性の歩き方が男性と同じ大股である。特にNPCは目立つ。 --モデル自体もあまり高品質とは言い難い。キャラが大きく映るシーンは少なく、会話シーンは従来通りの立ち絵が表示される形式なので気になりにくいが。 --また、移動速度も遅い。2Dだった前作までと単純には比較できないにしても、あまりスムーズに移動出来ている感覚は無い。 ''シナリオ面'' -ロール制の問題。 --前述の通り、主人公登場前にオムニバス形式で複数キャラの視点をプレイすると言う点は『ドラゴンクエストIV』に似ているが、本作の場合はロール5が本編で、ロール1~4はあくまでプロローグとして位置付けられている。 ---しかしロール1は物語の発端となるだけあって重要なシナリオだが、ロール2~4は本編キャラが遭遇したとある事件を描くだけだったりと、単なるサイドストーリーにしかなっていない場合が殆ど。本編前に必ずプレイしなければならない意義があまり感じられない。 ---その上無駄に長い為、冗長なプロローグをクリアしないと本編がプレイできない形になっている。また、その煽りか本編のストーリーも『I』や『IV』に比べると短い。 --かと言って仮にロール2~4が無かったとすると、それはそれで話についていけなくなる。結局、話を理解する為にプレイせざるを得ないのだが…。 ---しかし1周目ならまだしも、2周目以降でプレイするのは面倒でしかなく、しかしスキップする事も出来ないのが不満に拍車を掛けている。 -本作は平和維持軍に所属する戦士「ゼオンシルト」が主人公なのだが、平和維持軍総指令「セルディス」の息子である「クライアス」が主人公にしか見えない。 --クライアスが方針の違いからセルディスと対立しゼオンシルト達を引き連れて旅に出る、やがてNPCが「我々はクライアス様の意思に賛同し馳せ参じました」といってクライアス達の元に集まってくるなど、ストーリーは常にクライアスを中心に進行するためである。 --ロール1の主人公=最初にプレイヤーが操作するキャラであるセルディスの息子と言う点も主人公っぽさを助長している。しかも親世代の物語であるロール1のラストで誕生する点も、いかにも運命の子と言う感じでまた然り。 --終盤、あるキャラのピンチに駆け付けると「来てくれたかクライアス」と言われる。そのキャラとクライアスは元々親しい間柄なので、こう言ったシーンがあるのは目を瞑るとしても、問題はこれが告白イベント後である事。 ---当該キャラは告白可能なキャラであり、告白に成功すれば当然ゼオンシルトと恋人になる。しかしその場合であってもこの汎用台詞が出る為、尚更ゼオンシルトが差し置かれている感は大きい((一応、そのキャラのEDは攻略可能女性キャラ3人の中でも特に甘い雰囲気で終わるので、ちゃんと恋人になれているのは分かる。))。 --それらの理由によりクライアスは『IV』のレムスと並び、シリーズを代表する嫌われキャラの一人になっている。 ---しかし、クライアス自身は正義感が強い熱血漢であり基本的には問題があるような性格ではない。勝利時の台詞が「勝った者の勝ちさ!」というまるで悪役の雰囲気の台詞のものだったり、日常パートも戦闘パートも全般的に台詞が軽いなどはあっても、後述するアイザックやペルナギのような問題行動に出ている訳でもない。 --だが以下のシーンだけは流石に無視できない。 #region(クライアスの問題のシーンについて(ネタバレ有り)) --ゼオンシルトはスクリーパーに対抗する能力を得るために、平和維持軍から人体改造を施されており、その結果定期的に薬を呑まなければ死んでしまう体なのだが、終盤に、その薬は人の命を使って作られている事が発覚する。 ---それに対してクライアスは「俺たちの仲間がそんな存在だったなんて」「''来るなよ''」とゼオンシルトを罵り、パーティーから外れて去って行く。改造も人体実験もゼオンシルト自身の意思とは関係なく行われた上、当人もこの時まで真実を知らなかったにもかかわらずこの態度である。非道な研究を目にして感情的になっていたとしても、八つ当たりのように何の落ち度もなく一番ショックを受けているであろう((現にその後はしばらくゼオンシルトが苦悩する展開が続く。))ゼオンシルトを責める姿は多くのプレイヤーに嫌悪感を抱かせた。 ---但し、以降はクライアス本人も頭を冷やし、例の薬を摂取せずともゼオンシルトが死なずに済む方法を考案して提示する。また、八つ当たりの件も謝罪はするのでフォローはちゃんとされている。 #endregion -但し、ゼオンシルトも作中で能力を評価されたり、スクリーパー(本作における最強のモンスター)との戦いにおける重要な存在だったりと、「主人公(笑)」というほど扱いが悪い訳ではない。一部エンディングでは『II』以来、久しぶりに「グローランサー(光の救世主)」と呼ばれるシーンもある。 --しかしクライアスの方が主人公らしいという点は揺るがず、どうにも影が薄くなってしまうのも事実ではあるが。 ---また、ゼオンシルトの親についても描かれるが、ストーリーの根幹に位置するクライアスの親に比べると印象が薄く、「世代」の物語にしても彼に劣る。 --クライアス以外でも、今回の妖精キャラである「コリン」は従来の主人公と妖精のようにゼオンシルトと運命的な出会いを果たす…訳でもなく、当初はロール4操作キャラの「ファニル」と出会って行動を共にするようになり、その後、平和維持軍に入ったゼオンシルトに''何となく''同行する((最初はパーティーインしたファニルに付いて行く形だったのが、そのファニルが最初の任務終了後に研究室に籠ってしまった為、代わりに遊び相手になりそうなゼオンシルトの所に来たという形。))。 ---勿論、コリンもコリンでちゃんとゼオンシルトと絆を深める過程は描かれ、終盤はある理由から一蓮托生の身となるし、『III』のラミィと違って個別EDもしっかり存在するのだが、こう言った点もゼオンシルトの主人公らしさを薄れさせる一因に。 --余談だが、ゼオンシルトは主人公の座を乗っ取られたかのような展開や、後続のドラマCDや続編で演じた声優が鈴村健一だった事から、「シン・アスカ((アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の主人公で、鈴村氏が演じたキャラ。しかし物語の途中からその前作『機動戦士ガンダムSEED』の主人公である「キラ・ヤマト」が完全に主人公化し、シンの方は最終的にやられ役になるという驚愕の視点変更で有名。))の再来」と言われる事がある。%%当たり前だがゼオンシルトは最後にやられるような事は無い。%% -「アイザック」と「ペルナギ」というキャラクターについて批判が多い。 --クライアスは主人公の乗っ取りと言ったようなキャラの位置付けに対する批判が主だったが、この2人に関しては作中の所業自体に問題がある。 #region(アイザックについて(ネタバレ有り)) -平和維持軍の初期メンバーで副司令なのだが、アドモニッシャーの脅威で各国を抑えつけるという方法の発案者だという事を考慮しても、戦争を止めるために手段を選ばない行動に批判が多い。 --ストーリーの中盤で「グランゲイル(大陸で一番強い国)」と「シリルティア(大陸で二番目に強い国)」の一部の者が独断で平和維持軍に攻撃を仕掛けた際、報復としてアドモニッシャーの主砲をグランゲイルとシリルティアに向けて発射しようとする。 --抑止力であるアドモニッシャーが動力を失い機能停止した際、グランゲイルのシリルティアの戦争を危惧したアイザックは''戦争を止めるには、こちらからグランゲイルに攻撃を仕掛けるしかない''と超理論を展開し平和維持軍を脱退する。 --グランゲイルに攻撃を仕掛けるための兵器を調達するために、子供を人質にとり兵器の引き渡しを要求する。 --これだけの事をしておきながら、平和維持軍との和解後には、何の咎めも受ける事なく副司令の座に復帰している。一応部屋の前に見張りは付けられているが、それだけである。 --さらに終盤、罪人を使って人体実験を行っており数百人規模の死者を出している事が発覚するが、それでも何の罪にも問われない。 ---ただし、それから程なくしてラスボスに特攻を仕掛けて戦死する事になる。ペルナギに比べればまだ落とし前は付けている方である。 --余談だがアイザックがラスボスなら本作は名作だったという声は多い。 #endregion #region(ペルナギについて(ネタバレ有り)) -平和維持軍の初期メンバーで「ポトラド人」という人間よりも優れた知識を持つ種族なのだが、アドモニッシャーの動力である「龍玉」は大地のエネルギーを消費しており、深刻な食料不足の原因となっているため、平和維持軍を脱退し、アドモニッシャーを停止させるための活動を開始するのだが、アドモニッシャーを停止させるために手段を選ばない行動に批判が多い。 --アドモニッシャーを破壊するにはグランゲイルの軍備を拡張させるのが良いと考え、「ネイラーン(グランゲイルに支配されている国)」が反乱を起こすように仕向け、グランゲイルが軍備拡張するように仕向ける。結果としてネイラーンは窮地に陥ってしまう。 --また、ネイラーンによく知りもしない生物兵器の情報を提供していたのだが、その結果その生物兵器が暴走し、各地で大量虐殺や人間をモンスターに変えるなど大陸を大混乱に陥れてしまう。 --また、グランゲイルにも兵器を提供しており、その中に「スクリーパー制御装置」というスクリーパーを操る事が出来る装置があるのだが、それのエネルギー源に「バイタルエネルギー(生き物の命を消費するエネルギー。人間の命が一番効果を発揮する。)」が使われており、人間の命が使われるのではないかと主人公達は危惧するが、「いくらグランゲイルでも国民を敵に回す事はせぬじゃろう。」と自身満々に語る。 --案の定、スクリーパー制御装置に人間の命が使われるが、「我ながら嫌な物を作ってしまったものじゃよ。」と言うだけであまり反省している様子が無い。 --最終盤で研究室に置いてあった重要物品を敵に奪われるが、「二つあって力を発揮する物品を一緒に置くべきではない」ものを一つ所に置いておきながら「あれらが両方揃ったなら…」という文意の発言を言い出す上に、物品が奪われた直後には傷を負わされたわけでもないのに研究室から外へ出て助けを求めようとは全くしていない。主人公たちが駆け付けてから騒ぎだすだけで、奪われたことに対する謝罪は一切無い。 --更に、最終的に戦死したアイザックと違い、何の報いも受ける事無く生存しており、エンディング後は余生を過ごしている。 --作中では「ペルナギはポトラド人の間では嫌われている」という設定があるのだが、この結果を見れば納得である。 #endregion -この他にも、感情を抑えられず周囲に迷惑をかけるファニル、元々スパイな上に散々敵対行為を取って被害を出しておきながら平和維持軍と目的が一致するや否やお咎めなしになるアレッサなど、問題のあるキャラはいなくもないのだが、この三人の印象が強過ぎてあまり話題に上がらない。 -細かい点だが「それより」が妙に多用されたり((あるシーンでは、メルヴィナ「それより◯◯◯」→クライアス「それより◯◯◯」と、「それより」が連続する会話すらある程。少々自己主張が過ぎるのではないだろうか。))など、シナリオライターの葉月陽氏の癖と思われる文体が以前に増して出ている部分があり、気になる人は気になるかもしれない。 -エンディングも感動的な演出を盛り込んでいた前作に比べるとかなりあっさりしている。ラスボス撃破時のカタルシスも薄め。 --『I』~『III』のエンディングも全体的にあっさり気味であった為、旧作に回帰したとも言える。また、キャラ毎のエピローグもあっさり過ぎた『II』『III』よりは丁寧に描かれているものも多い。 ---誰の条件も満たさなかった場合はソロエンドとはまた違った特殊なエンディングが見られるという作り込まれた部分もある。 ---- **総評 ツッコミ所の多すぎるシナリオや詰めの甘いシステムなどに批判が集中し、シリーズ最大のクソゲーであるとの呼び声が高い作品である。~ しかし、実際にクソゲーかと言われるとそうではなく、むしろゲームとしては普通に遊べる出来であり、「意外に面白かった」という意見も少なからず存在する。~ 前作までに培ったシステムを撤廃してまで導入した新システムがまだまだ荒削りである事と、~ シナリオに『II』『III』で指摘されたような「薄さ」ではなく「ツッコミ所」という尖った問題を抱えてしまった事がシリーズファンに一層批判されてしまう格好となってしまった。~ どちらももっと煮詰めて完成度を高めていれば全体の評価も変わったと思われるだけに、惜しい作品だったと言えよう。 ---- **余談 -本作の約1年後というかなり早めのペースで続編『グローランサーVI Precarious World』が発売された。 --ロール制は廃止し、通常通り一人の主人公の視点に戻りつつも、3D路線は引き継がれており、本作のシステム面の不満点を幾らか改善している。 --作中の時間軸も本作の1年後と言うことになっており、主人公達やメインの舞台は一新されているが本作の舞台も丸々登場し、登場人物の多くが続投している。 ---ゼオンシルトもパーティーキャラの1人として登場。『II』におけるカーマインのように台詞が付き、独立したキャラクターとなっている。本作のデータをコンバートすればパラメーターを引き継ぐ事が出来る。 ---また、本作の妖精コンテスト最大のライバルであった「ユリィ」が主人公のパートナーとして登場する。 --『V』で明かされなかった謎や真実が語られ、本作のストーリーの事実上の完結編となっている((本作単体でも大まかなストーリーは完結している。))。 ---ただ、一部本作をぶち壊しにしている展開もあるので、本作のストーリーに思い入れのある人にとっては少々辛い部分もある。 ***オープニングアニメ #region(どうか彼らを信じていて欲しいんだ) &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=uxftxrww4Ys) #endregion

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