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*ファイアーエムブレム 覚醒 【ふぁいあーえむぶれむ かくせい】 |ジャンル|ロールプレイングシミュレーション|CENTER:&amazon(B006QGGOGQ)&amazon(B01KZ51AL2)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |メディア|2Gbyte3DSカード|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~| |発売日|パッケージ/本体同梱:2012年4月19日&brダウンロード:2013年1月30日|~| |定価|パッケージ/ダウンロード:4,800円&br本体同梱:19,800円(各税込)|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |廉価版|ハッピープライスセレクション&br;2016年9月15日/2,700円|~| |判定|なし|~| |ポイント|新システム「ダブル」や能力値インフレによる大味な戦闘バランス&br;育成の自由度は高い&br;てごわい(恋愛)シミュレーション&br;UI、アニメーション、BGMは高評価&br;任天堂初の課金コンテンツ|~| |>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ関連作品リンク>ファイアーエムブレムシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 実に5年ぶりとなる、ファイアーエムブレムシリーズ完全新作。~ 謳い文句は「超集大成」。22年間培ってきた様々なシステムや要素が盛り込まれている。 ---- **特徴 -過去作のシステムの復刻、融合。 --本作は多くのFEシリーズのシステムを融合、またはアレンジして搭載している。 --『[[外伝>ファイアーエムブレム外伝]]』『[[聖魔>ファイアーエムブレム 聖魔の光石]]』のフリーマップ、『[[聖戦>ファイアーエムブレム 聖戦の系譜]]』の結婚システム、スキルシステム、『[[封印>ファイアーエムブレム 封印の剣]]』以降の支援システムなど。 -「絆」をテーマとした新システム、ストーリー構成 --キャラ同士を隣接させることで「デュアル」という支援効果が発生。従来のものに近いパラメーター増強に加えて、一定確率でデュアルアタック(反撃なし・射程不問の追撃)&デュアルガード(敵の攻撃のノーダメージ化)が発生するなどのサポートを受けられる。 --また、キャラを隣接させると「ダブル」というコマンドを使用出来る。これは隣接したキャラの後衛に付くことで、ダブルを受けたキャラのステータスを上昇させ、かつ常に「デュアル」を受けている状態にさせることができる。言い方を変えれば「あるキャラを使えなくする代わりに別のキャラのステータスを強化する」というもの。 --このシステムに前述した支援、結婚システムなどが加わっており、今作のテーマとなっている面がある。 -過去作と共有されている世界観。 --今作の舞台となるイーリス大陸、およびヴァルム大陸は、『[[暗黒竜>ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣]]』『[[紋章>ファイアーエムブレム 紋章の謎]]』のアカネイア大陸、『外伝』のバレンシア大陸と同じ形状をしており、同作の遥か未来を描いていると推測されている。 ---あくまで匂わせる程度であるうえ、今作のストーリー核心に深く関わるわけではないので、新規の感情移入を妨げるものではない。酷似した過去を持つパラレル設定と解釈しても特に問題はない。 ---他にも、『紋章』の主役である「マルス」を名乗るキャラや、『[[蒼炎>ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡]]』の主役「アイク」の末裔を名乗るキャラなど、過去作を知るプレイヤーへのアピールが随所に盛り込まれている。 ---- **評価点 -インターフェースの充実。 --ストレスを感じるような部分はほとんどなく、戦闘アニメのオンオフはもちろん、敵ターンのスキップや戦闘アニメの高速化など、とにかくプレイの快適さを追求する作りになっている。 ---しかし輸送隊で味方間での持ち物交換ができない、輸送隊に武器を預けると自動で統合(例えば、1/50と12/50の鉄の剣を預けると、''強制的に''13/50の鉄の剣となる)が行われる他、DS版『新』シリーズでできていたタッチペンのみのプレイ(ユニットの操作など、タッチパネルだけでゲームを進める方法)ができなくなっているなど過去作より劣化している部分もいくつかある。 -やりこみ要素の充実。 --本作は『外伝』と『聖魔』で使われたフリーマップを採用しており、章と章の合間にアイテムを入手したりレベルを上げたりする機会がある。 ---それを利用したチェンジプルフを使ったクラスチェンジや、スキル収集、支援会話収集など、やりこみ要素が豊富。 --特に支援会話の数は歴代最多。結婚システムも相まってコンプリートを目指すとなると相当な周回プレイが必要となる。 ---FEの醍醐味の一つであるカップリングの自由度が非常に高く、特に主人公の一人「マイユニット」は自分の子供以外の全ての異性と結婚が可能。専用の一枚絵まで用意されている。 ---結婚をすると髪色やスキルなどに夫婦の特徴を備えた子が生まれ、そして未来からやってきた子と出会い、共に戦う事ができる。 ---また、支援会話によって各キャラの背景が明かされる事もあり、それを目的に支援を組むプレイヤーも多い。 ---しかしそういった、言わば世界観に深みが増す類の会話は僅かで、殆どはキャラ同士のたわいもない会話であるため従来のFEのような雰囲気を期待すると肩透かしを食らうかもしれない。 --他にもすれちがい通信を行う事によって、他のプレイヤーと対戦したり物の売買を行う事も出来るなど、3DSならではの要素も。 -アニメーション、サウンドも高レベルで纏まっている。 --デザインは漫画家のコザキユースケ氏、サウンドは『大神』で知られるコンポーザーの近藤嶺氏、FEシリーズお馴染みの辻横由佳氏、初参加となる森下弘生氏の3人。 --サウンドは世界観の魅力を損ねることなく、高い評価を得ている。特にラスボス戦の曲はシリーズ屈指の名曲と専らの評判である。 ---また任天堂のゲームでは数少ないサウンドトラックも発売されており、多くのファンから好評を博している。((当初は一部を選抜したバージョンがクラブニンテンドーの景品として出されたのだが、曲選に不満がある意見も多かったためか後に全曲収録版が発売された。)) --キャラクターデザインは概ね1~2作程度で頻繁に変わっているが、その延長として受け入れられるユーザーの割合は多かったと思われる。 ---しかし今作の鎧のデザインは特に今までよりも奇を衒ったものになっており、否定的な意見も多い。 --シリーズ初となる、会話や戦闘アニメにおけるボイス(会話はパートボイス制)を採用。これも好みによるところだが、声優陣の質はしっかりしており、環境設定でオフにできる配慮もされているので、特に問題点は無いと言える。 --今作ではマップ上のユニットアイコンも、本編で参戦するキャラクターは描き分けられている。アイコンの顔部分が各キャラクターのものになっており、個性の表現のみならず見た目にも分かりやすく評価は高い。兵種変更してもある程度対応している。 -いつの間に通信では過去作キャラが配信。120人ものキャラを無料で使うことができる。 --配信キャラは支援会話が発生せず、支援効果の恩恵も受けられないが、基本性能や個人スキルなどで十分に戦力となりえる。 ---加えてロストしてもまた召喚すれば何度でも自軍に引き入れる事が出来るという利点があるため、救済措置の一つを担っている。 -育成の自由度の高さ。 --育成に重点の置かれた作りになっているだけあって、ユニット育成の自由度はかなり高い。 --ゲームバランス面においてはステージ単位の短期的な戦略性が低い(詳しくは後述)のは否めないが、その一方で上述の支援・結婚システムやチェンジプルフによるクラスチェンジ、おそびそれらに伴うスキルの獲得・継承などの要素が絡み合い、ユニットをいかに効率よく、かつ強く育成するかという長期的な戦略性は高い。この点は長期的な育成が求められる『聖戦』に近いものがある。 ---ただし難易度ルナティック以上だと遭遇戦の敵がまともに戦うのが不可能、終盤だと本編の敵を越えて全ステータスカンスト近くまで強化されるため事実上利用不能になる上、すれちがい・配信チームの敵から得られる経験値が1になる。すなわち稼げる経験値や支援ポイントが実質有限になる。~ 敵が強いのもあいまって、育成が適当だとかなり苦しい戦いを強いられ、最悪ラスボス戦で詰むことも。 ---ただし、DLCによって購入できる異界マップは難易度の影響をあまり受けないため、利用すれば無限に稼ぐことができる。 -難易度を「カジュアル」にすることで、戦術マップでセーブすることが可能になった。 --前作の回数制によるものとは異なり、『聖戦』同様、何度でも可能になっている。 --これによって「キャラクターが事故でやられるのは、いくらロストしないからといってもいやだ」と考えているユーザーの心理的負担が緩和されている。 --ただし従来同様に乱数は保存されているので、攻撃が外れたからリセットしてあたるまでやり直すという手段は当然使えない。レベルアップによって得られるパラメータアップも同様((ただし、わざと攻撃されてターンを流したりするとその分乱数が動いて結果が変わる。『聖戦』の乱数とほぼ同じ方式。))。 ---- **賛否両論点 -子世代キャラクター関連 //あまりにも特定キャラageが過ぎて公平・客観的とは言い難い内容だったので一部文章を差し替え --DLC『絶望の未来』でしか子世代同士の特別な会話が見られず、ルキナ以外の子世代キャラはほぼそこでしかストーリーで活躍しないという点についても「本編でやれ」と言われる事が多い。 --また、今作の核となっている「親子二世代による共闘」も子世代キャラは1人を除き外伝マップで登場して仲間になるのみで、ルキナ以外はシナリオの本筋には絡まない。~ 一方で子世代の人物は両親から「両親のクラスすべて(固有のぞく)」「能力の個人上限値」と純粋に長所を受け継いでおり、早い話が親世代の完全上位互換になっているため、仲間にした時点で親世代は子世代のほぼ劣化となる。これは主人公であるクロムやマイユニットの子供も例外ではない。 ---これに関しては、結婚を自由に行えるという売りの部分の弊害と言える。元になった『聖戦』の場合は子世代>親世代なのはそのままだが、制限があるために上のような問題は目立たなかった。 ---難易度をルナティックにすると、子世代キャラによってはマップに配置された敵が場違いに強すぎて加入は実質終盤になる、そもそも結婚(支援レベルS)を積極的に狙うのが困難であったりと、共闘がやりこみ・おまけ的な要素になっている感がある。 --なお、今作の子供キャラの出現条件は『聖戦の系譜』のどんな子供が生まれるか後半になるまでわからないという欠点を受けての任天堂側の発案である(ニンテンドードリーム2012年7月号のインタビューより)。 -一部のキャラクターの描写に杜撰な部分がある --いわゆるキャラゲーの性だが、今まで以上に強調気味なヤンデレ、厨二病、二重人格などの、良く言えば強烈、悪く言えばテンプレ的なキャラクターなどが見られる。更に支援会話でも表面的な属性を主張するばかりでバックボーンや人物像・相関関係が薄く、本人の魅力を表現しきれていないキャラクターも多い。やたら「絶滅!」と口走るだけのシャンブレーなどがその例。特に子世代キャラはその傾向が強い。 ---とはいえ、強烈なキャラクターを登場させることそれ自体が悪い訳ではない。実際、上の「ヤンデレ」に該当するサーリャや「厨二病」に該当するウードは本作ファンから屈指の人気を集めている。要は調理法の問題なのである。 --例えば今作は支援会話が充実しているのだが、序盤の登場人物の一人であるスミアは何故か支援相手(および結婚相手)が少なく、また一部の中盤以降に仲間になるキャラは何故かマイユニットしか支援相手がいない。 ---他のキャラの支援会話に時間がかかりすぎたため、スミアは元々PVのようにクロムと固定だったのを急遽変更したためといった作業量の都合という推測が主流。 --また、クロムの結婚相手候補がやけに少なく、それぞれの組み合わせによる描写の格差も大きい。 ---スミア(と、しばしば『絆』を強調される女性マイユニット)以外はメインシナリオ中に恋愛フラグとなり得るような描写がなく、この二人以外は結婚相手としての印象が薄くなりがち。 ---そのうちの一人であるオリヴィエにいたっては、オリヴィエの加入章終了時にクロムがもっとも支援ポイントの高い相手と結婚するため、クロムとオリヴィエを結婚させるなら彼女以外の候補をすべて結婚させる、もしくはクロムとの支援ポイントを0にするため隣接・ダブル・回復の杖の使用などを使わないといった、見てわかるほどに戦略的に大きな制限のかかるプレイをすることとなる。 --父親と子供の支援会話などは内容を使い回しているため、不自然になることが多い(10人以上いる父親候補全てに固有の会話を作れ、というのも作業量的に無理はあるが)。 ---DLC「絶望の未来」シリーズでは父親ごとに会話の内容が変わるようになった。しかし、DLCより本編でも頑張ってほしかったという声も多い。 --支援会話を起こす順番によっては不自然な展開になることが多い。 ---ティアモはクロムに恋しているという設定だが、結婚前も結婚後も支援会話は同一内容になってしまっているせいで、別の人物と結婚した後でも……~ なのに、''そのクロムとは支援すら出来ない''。つまり必ず悲恋に終わる運命にある。彼女はクロムと結ばれないのが分かっているように身をわきまえているのだが、ゲーム中ではその理由が判明せず、ニンテンドードリームにて「スミアのために身を引いている」と解説されることとなった。同じく主人公に恋をし、そして報われない初代のペガサスナイトであるカチュアを踏襲しているからとの見方もあるが、やはり初代と違って恋愛がかなり自由である今作においては批判は多い。 ---支援会話のシステム上仕方のないところはあるが、同じ話題の繰り返しで不自然になる、というのは決して無視できない。~ シャンブレーは戦いを怖がる気弱な性格で、支援レベルを上げる度に気弱さを克服して男を見せるという流れだが、当然別のキャラの支援レベルではその流れは反映されないので……と言った具合。 -マイユニットが主人公クロムの役回りを食ってしまっている。 --プレイヤーの分身としての主人公という事になってはいるが、今作ではその''マイユニットのキャラそのものに物語の核心にクリティカルに関わっている設定がある''せいで、クロムの立場もプレイヤーとの同化性も前作以上に危うくなっている。 ---また終盤ではプレイヤーの与り知らぬところでシナリオに関わる重要アイテムを偽物にすり替えており、それによって難を逃れるシーンがある。所持している人間も承知の上だが、それらに対する説明はあるが、その説明に対応した伏線は本編・外伝含め全く存在しない……~ 等々、本当の意味でのプレイヤーの分身なのに(核心部分はまだしも)物語上で種明かしされるまでプレイヤーすら把握できない情報が多々ある。 --また「軍師」という立場をとっており、戦闘マップ上・イベント双方で軍師として指揮しているのだが、大局的な場面でとる策は奇策ばかりなうえ、どれもこれもシナリオの説明が少なすぎるせいで、シナリオをしっかり見て状況を考えておかないと無謀に見えてしまいがち。 //((敵地で大量の敵に追われている状況で、包囲される可能性も存在するのに危険な火山を戦場にする等。もっとも過去のFEの軍師が有能だったかと言うとそういうわけでもないが。)) //説明は非常に少ないですが、17章の攻略中に「味方になるはずの解放軍が命惜しさに敵に寝返って(17章の増援は全て元解放軍)」いて、落とした要塞(17章ステージ)が解放軍に囲まれてしまった上に退かない敵(18章ボスのレンハ及び19章ボスのヴァルハルト)に南北から挟撃されそうになる」という場面であり「命惜しさに裏切った解放軍」と「南から迫るレンハ」を同時に相手にしないため、命が惜しい(=危険を冒そうとしない)解放軍が絶対に近づいてこない火山を戦場にしてレンハ軍だけと戦う」事を進言しているので、ただの無謀ではないと思います。 --プレイヤーの選択による献策など、分身であることをシナリオ面で生かしたアプローチは特に無く、プレイヤーの分身という設定はほぼ活かされていない。台詞すらない烈火の剣の軍師ほどではないが。 -「プレイヤーの分身」と考えず「自分でキャラ設定出来る1人の登場人物」と捉え、『外伝』『聖魔』のようなクロムとのダブル主人公と考えるのが実情に合っているだろう。 --前作のマイユニットはリメイク作品である都合上もあるが本編中に活躍を捻じ込むような事は無く、新規かつ別個に作られた外伝またはイベント内に活躍を集約させた、歴史に名を残さない近衛騎士と控えめなものであった為、賛否はあれど分身キャラとしてはそこそこ自然に機能していた。 -武器の耐久度 --今作は全武器の耐久力がインフレ気味で、その気になれば容易に資金も調達できるので強力な武器のリスクが薄く、安価な下位武器の利用価値が低くなっている。 --さらに、スキル「武器節約」の存在が武器破壊のリスク減に拍車をかけている。 ---『攻撃した時、(運×2)%という高確率で武器耐久を消費しない』と言う効果で、高レベルだと武器耐久をまったく気にする必要はなく、そして運を50にまで伸ばすことで発動確率100%にも出来てしまうため、強力な一品ものでも気兼ねなく使える。傭兵に転職すればすぐ習得できるのも大きい。 ---これによって従来のような「もったいなくて使えない」という悩みは解消されているが、「どこでどの武器を活用するか」といった駆け引きを楽しめなくなってしまった。もっとも、武器を無限に使える『外伝』があるため本作独自というわけでもないが。 ---とはいえ、初期クラスや資質に傭兵を持つキャラは親世代では数名しかおらず、既にそこそこ育てたキャラを傭兵レベル1から育てなおして元のクラスに戻す手間((傭兵と無関係の上級職から傭兵にした場合、最速でも傭兵10→元のクラスの下級職10→元のクラスと言うルートを通って戻す必要がある))や時間を考えると、本編を完全に無視して遭遇戦やDLCマップを相当やりこまない限りは武器節約を装備したキャラで出撃メンバーを固めるのは困難。 ---また、親世代の傭兵を遺伝できるキャラの数の都合上、子世代組でも全員に武器節約を与えるのは不可能なため、上記の「武器をどう使うか」の駆け引きは完全に無くせるわけではない。 //武器節約装備者で固めて本編を進めようとしたら相当な育成が必要で、そんなことをやったら本編はもう余裕。 //『if』や、お金を払えばいくらでも修理可能な『聖戦』などもあるため、本作独自というわけでもない。 //聖戦は資金繰りをしっかりする必要があり、同様の例として出すのは不適切。何年も後に出た後続作のifを挙げるのは論外、さらにあっちは武器毎にリスク設定がある。 --クロムは初期から''耐久力無限''の封剣ファルシオンを持っている。性能は「無限に使えて竜特効のある鉄の剣」程度だが、初めから耐久力の概念を無視して戦えるのはどうかという声も。 ---あるキャラの専用武器として登場する''裏剣''ファルシオンは「銀の剣をわずかに上回るほどの攻撃力/耐久無限/竜特効/アイテムとして使用すると調合薬の効果」と、中盤程度で手に入るものとしてはとんでもない性能。 -相変わらず斧・槍優遇、剣不遇気味のバランス --本作に限らず近年の作品に見られる傾向であるが、特に本作における格差の要因は''間接攻撃の可否''(=剣は間接攻撃可能な武器が少数の貴重品しかない)に集約される。 ---というのも高難易度では終盤になると大半の敵が何らかの間接攻撃を持っているため、間接攻撃用の武器がほとんど無い剣使いは純粋に前線に出しにくい。 ---おまけに前作までのように剣士系クラスのパラメーターが高いわけでもないため、今作において一部のクラスは剣しか扱えないということが大きな弱点となってしまっている。 ---なお、一応「勇者の剣」や各種特効武器を用意できる剣ですら上述の通り間接攻撃の可否だけでかなり不遇なので、射程が1固定の上に威力も剣より弱く、勇者の剣のような特殊な効果も一切持たない獣石しか使えない「タグエル」はどれだけキャラ性能の高いキャラがなったとしても、救いようがないほどに不遇である。 //言うまでも無くマイユニの子供。疾風迅雷+節約どころか大半のスキルを揃えられても、タグエルそのものが弱すぎてどうにもならない。 -愛があってもどうにもならないスキル格差 --今作ではスキルは兵種(クラス)にくっついており、どうやっても習得できないスキルがキャラクターの方にくっついているのはごく一部のみ(配信マップのキャラ及び魔符の一部)となっている。 --結果、やり込めばやり込むほどに強力なスキルを覚えられるクラスを持っているキャラと持っていないキャラの格差が広がっていくようになっていき、資質が良いキャラは「武器節約、疾風迅雷、太陽」といった今作屈指の強スキルを手に入れられるのに対し、不遇なキャラは奥義スキル((月光、太陽、流星などの確率発動し、特殊効果を付与する攻撃を行うスキル))すら全く取れない。 --特に酷いのが「疾風迅雷(装備したキャラが敵を倒すともう一度行動可能になる。後衛も覚えていれば3回行動可能になる本ゲーム屈指の強スキル)」「武器節約」を習得できるかどうかで、育成が極まるとこれらが取れるかどうかだけで一軍と二軍がはっきりと決まるほど。困ったことにマイユニですら全てのスキルを習得できず、最重要スキルの疾風迅雷に至っては習得可能なクラスの都合上''女キャラ限定''。一応男であっても子供なら引き継げるのだが、親が覚えないせいで覚えられない子供がいる。 ---一応、深刻な影響が出るのはルナティック+だけなのがせめてもの救いと言えるか。 ---ちなみにDLC含めてほぼ全てのマップで強制出撃キャラとなっているクロムは上記の武器節約も疾風迅雷も覚えられず、敵を倒しても再移動できない上に貴重品の神器や高額な錬成武器を気軽に使えない。そのため、やり込めばやり込むほど周囲の疾風迅雷+武器節約軍団に対してクロムが不遇キャラと化していき、嫌でもスキル格差を思い知らされるようになっている。 -高難易度のチェンジプルフ関連 --高難易度ではチェンジプルフを使用した際に蓄積する「内部レベル」の上限が異様に高く設定され、最終的にはどんな敵を倒してもまともに経験値が入らなくなる…はずなのだが、実際には覚醒のシステム上、敵撃破経験値の最低値が8で打ち止めになってしまうため、あまり…というか、まるで制限として機能していない。 ---結果的に高難易度でもDLCの敵を(種類問わず)13体倒せば必ずレベルを1上げられるため、ルナティックやルナティック+でやり込みデータを作りやすい(=強力な敵相手に戦う機会を自発的に作れる)というメリットにもなっている。 ---一方で、敵の種類は一切問わない上に最終的にはどんな敵を倒しても経験値が8しか入らないという事なので、DLCマップ「マミーの楽園」は仕様上チェンジプルフを使いまくったキャラだとまともに経験値が入らず((内部レベルが20で打ち止めのノーマルですら、最も強いマミーを倒しても一回の戦闘でレベルを上げることが出来なくなる))、弱いキャラを手早く上級職にする以外の使い道を全く見いだせない地雷マップと化してしまった。 -任天堂作品としては初になる有料DLC。 --今作では過去作のキャラクターと戦ったり協力したりするマップ、資金を大量に得られるマップ、レアアイテムや有料DLC限定アイテム・クラス・スキルを入手できるマップなどを購入することができる。任天堂2012年3月期の予想売り上げ高が初の経営赤字をあげていたこともあってか、メディアからも非常に注目された。 --DLCは11月22日に完結(購入は可能)。第一弾は異界の魔符シリーズ(7月26日に完結)、第二弾は神軍師への道シリーズ。 --異界の魔符シリーズは遊びの幅に大きな差をもたらすものがある為、賛否を呼んでいる。また主題となっているマップ集にも問題あり。 --値段も1つ300~400円と安いとはいえず、中には過去配信したマップを買わなければ購入すらできないマップもある。いくら購入は自由のDLCとはいえ、批判はかなり大きかった。 #region(異界の魔符シリーズ) -限定アイテムを入手できるマップは槍玉に挙げられやすい。「追加料金を払ったのだから有利になるのは当たり前」という意見と「追加料金を払わないと手に入らないレアアイテムがあるのはおかしい」という意見はどちらも頷けるものであり、有料DLCの永遠の課題だろう。~ とはいっても今作の場合、シルバーカードや特効無効化アイテム((これに関しては他にも「飛行特効だけの為にスキル枠を食う」「何故『アイオテの盾』(旧作に登場した''アイテム'')がスキル?」などのツッコミがある。))、従来のスキル書など過去作品では普通に入手でき、今作の本編や無料配信の外伝にも組み込む事ができ得るアイテムが有料DLC限定となっている事に対する疑問符が大きい。 --「本編に影響するDLCは出さない」という発言もこの賛否に拍車をかけている。確かにストーリーには影響しないが、攻略には思いっきり影響してしまっているおかげで、この「攻略」を「本編に影響する」と見なすかどうかでも意見が割れる要因となっている。 -経験値が多く入るという触れ込みの「マミーの楽園」は効率が悪い((敵は自発的に攻撃してこない、祈りでたまに生き残る、殺し系スキルで攻撃が当てにくい上にカウンター持ちの敵も出る、出撃人数が少ないため一度に多くのキャラを育てられない))ため地雷マップ扱いされている。前述のチェンジプルフ関係も痛い。経験値稼ぎをしたければ最終的には金策用マップ「金と銀」の方が向いている。 -『異界の魔符』シリーズ最大の特徴は、特定のマップをクリアすることで、『フルメタル・パニック!』の四季童子氏や、『覇者の剣』を手掛けた山田孝太郎氏など、様々なイラストレーターによって描かれた過去作のキャラクターが使えるようになること。 --しかし「異界の~」という称号ゆえか、外見はおろか、性格もお人よしで騙されやすいエイリーク・やけに猛々しいアルムなど、原作の特徴を強調・デフォルメしたものが多く差異が見られる。キャラクターのイメージというのも人により異なるので扱いの難しいところではあるが、不満を示すファンもいる。~ --また、戦闘グラフィックは本編から流用の利くマルス以外は全員汎用モデルで、今一つ合っていないものも見られる。いつの間に通信の配信チームと違って有料なのだからせめて作り起こしてほしかった。 --過去作のユニットが仲間になるDLCのマップは『暗黒竜』1章、『烈火』終章などをそれぞれ3回使いまわしている。ストーリーも単調かつ使いまわしで「徒党を組んだ勢力が争いあっている(もしくは協力している)のでどちらかに肩入れする(もしくはその両方と戦う)」だけなので、飽きが来るのも早い。出撃ユニットも、エトルリア三軍将や暁の団の面々から一人だけ参戦できていなかったり(ちなみに中年キャラばかり)、「何故このユニットが?」と思わせるのも。 --主人公もシグルド、エリウッド、ヘクトルの魔符が手に入るマップが存在しない。複数主人公故に割を食った形となった。 #endregion --この不評を受けてか、第二弾は内容・価格共にある程度見直され、第一弾の欠点を補えたかはともかくとしても本作のファンのニーズにはちゃんと応えた内容となった。 #region(神軍師への道シリーズ) 3編に分かれている。大雑把に大別するとキャラクターの掘り下げや極限まで育てたユニット前提のマップ。 -「異界のリゾート編」は本編キャラがお祭りやビーチ、温泉に行くなど、世界観の枠にとらわれない内容となっている。本編のライトさを鑑みてもなおイメージ崩壊甚だしい代物だが、本編で不足していた同性同士の会話の増量はファンには概ね好評。 --中でも「絆の夏」と「絆の秘湯」では、ファイアーエムブレムワールドで行われた人気投票の親世代、子世代ごとの上位四人に特別な一枚絵が用意された。 -「絶望の未来」編の『トラキア776』を髣髴とさせる展開も好評。本編とは別となる、断章の展開の延長線上といった絶望的な状況より始まり、独自のエンディングを迎える。これを本編に組み込んでほしかったという声も大きい。 -最後のDLC「最も強き者の名」は最後を飾るに相応しい凶悪な難易度を誇る。 --5連戦となっており、''敵全員ステータスが限界値を遥かに越えているうえ、受けるダメージを半分にし滅殺とカウンターを無効化するラスボス固有スキル『邪竜の鱗』やルナティック+敵限定スキルである「絶対命中」''といった強力なスキルをもっている等敵がありえない程強い。育成をやりつくした人用のマップと言える。 #endregion -ちなみに北米・欧州版((余談だが、DLC「紅と蒼」に登場するロイとアイクがスマブラDX→Xで入れ替わったことにちなんでか、海外版での名称は「Smash brethren」だったりする。))はDLCのパック販売による割引が行われている。発売順の問題があるとはいえ、海外版優遇は今作でも健在。 --本作の海外版以降、任天堂はDLCの価格を抑えめにし多数の要素を詰め込んだパック販売を基本とするようになった。初のDLC採用ゆえの宿命ではあるが、現在本作のDLCの割高感は後発の任天堂作品に比べかなり際立っている。 ---- **問題点 -単調なマップ --本作では「ただ広大なフィールドに援軍出現用の砦が点在している」「勝利条件は敵の殲滅(敵将撃破か敵の全滅)」「敵の行動パターンはこちらに向かって突撃してくるだけ」というマップがほとんど。「マップの地形やギミックを利用して攻略していく」「敵の殲滅が勝利条件ではない」という変わったマップは僅か。 --また、村訪問・宝箱の回収・特殊なイベント等も少なく、状態異常の杖・アーチ・索敵マップ等はそもそも存在さえしない。 ---そうした傾向はゲームを進めるごとに強くなっていき、中盤からにかけては地形が左右対称のものもたびたび存在し、終盤は大量の増援で無理やりプレイヤーに進軍を急がせるというものが多い。特に広いマップで砦が点在している19章や直接手出しできない階段から遠距離魔法持ちが次々に湧く21章。 ---終章はまさかの無限増援であり、更に敵が非常に強いため、のんびり進軍している余裕は一切ない。とはいえ、ここ以外はいずれ増援が尽きるようにできているので、ひたすら増援と戦い続ければそのうち敵軍は尽きる。 ---一方で外伝マップには過去作の様に複合的とはいかずとも本編マップにはないトリッキーなギミックがいくらか見られることから、本編の単純化は意図的なものとも取れる。 -極端に地雷戦術に偏ったゲームバランス --地雷戦術とは主にGBA版ごろから生まれた、「敵陣の真っただ中に強いキャラを送り込んで反撃で相手を殲滅する」というもの。 --上述の通りマップの構造にかなり問題があり、増援と一緒に連動突撃するAIも含めて、「狭い通路にアーマーナイトなどを配置して増援をせき止める」という戦術が通じない戦場が多いため、今作での戦術は基本的に「敵が総攻撃をかけてくる前に強力なキャラを特攻させて地雷戦術で敵陣を一気に制圧し、増援がやってきたときに挟撃されないようにする」物が主流となる。 --そして、この戦術を行うことになると当然強いキャラを使った地雷、特に「リザイア地雷」「手槍地雷」などの「撃ち漏らしを発生させない」地雷戦術が行えるキャラが必要となり、結果的にリザイアが使えるダークマージ((マイユニットを後衛に置くとスキルまで噛み合い、疾風迅雷や武器節約が無いことを差し引いても恐ろしく強い))や槍・斧の使えるキャラばかり重要になってくるため、それらが使えないキャラは一気に不遇キャラと化す。 ---なお、育成を極めた場合は「疾風迅雷で一方的に敵(特に危険なカウンターや奥義持ち)を倒しつつ敵陣の奥まで切り込み、カウンターを受けない場所で地雷する」と、地雷戦術がますます強くなる。 ---更に、今作ではじっくりと進軍する戦術にはデメリットの方が多い((増援が出た直後や、一定ターンで全ての敵が連動して動きだして全方位から物量で潰される、地形が壊れてダメージ床に変わる、盗賊に逃げられる、仲間の救出が出来ないなど))ため、嫌でも地雷戦術を用いた強行進軍を強いられる場面が多い。 -ダブル・デュアル --本作からの新システムだが、ゲームが進むにつれダブルによるステータス強化幅やデュアルの発生率がバランスを崩すほど高くなる。低難易度ならこれを利用するだけで簡単に攻略できるほど強力。逆に高難易度ではこれを利用しなければまず勝てない。 --デュアルアタック・ガードは本作のテーマである「絆」の表現となっているが、その実態は全味方ユニットが支援効果として敵に一方的な追加攻撃を行い、確率であらゆる攻撃を完全に無効化するできるというもの。いくらなんでも凶悪すぎる。 --また、ダブルによるステータス強化値(大体2~4種の能力にかかる)は序盤では高くても4程度だが、終盤には補正のかかる能力値も増え特化した能力は8~9程まで補正できる。デュアルの発生率は終盤にはアタックが80%・ガードが30%程度にまでインフレする。デメリットと言えばユニットの総数が半減することぐらい。 --FEの数値設定では1の数値が戦闘の勝敗を分けることもあり、最大パラメーターもHPは60、その他は20~30が普通だったのだが、今作は『暁』以上の枠を外れたインフレが発生している。 ---幸運のパラメータが普通に育成していても30~40に達し、スキル補強や親の組み合わせによっては50超すら可能と言えばそのインフレっぷりが分かるだろうか。ちなみに発動率が幸運×2倍というスキルも存在する。 ---それでも基本システムや各種計算式は従来とほぼ変わらないため、これらの要素がそのままゲームバランスを大雑把にする要因となっている。 --これらのバランスに加えチェンジプルフにより無限育成が可能となった事も踏まえると、難易度が高くなるにつれ「少人数に経験値を掻き集め、それらのユニットのみをダブルで運用しつつ無限育成」というスタイル以外では攻略が厳しくなってくる。実質使用を強制されていると言っても過言ではない。 --このように強力なものであるためかこのシステムは味方専用。確かに過去作でも担ぐ、救出といった味方と合流するコマンドは味方独自のものだったが、今作では味方だけにメリットが生じているため、その点を疑問視する声も見られる。 -シナリオ構成において、本編のボリュームはやや小さく、ストーリーも駆け足気味、唐突な展開が目立つようになっている。 --従来作品のように1つの大きな戦いを描いているというよりは、3つの戦いがぶつ切りに展開されるといった感じで、スケールの割に壮大さは感じられない。 --特に中盤の「ヴァルム帝国編」に対しては、その必要性を疑問視する声も。 ---ヴァルム大陸出身者が味方にいるにもかかわらずストーリーにほとんど関わってこない、大陸全土を巻き込んだ戦いなのにトントン拍子で戦局が進む、何よりヴァルム帝国そのものがラスボスとあまり関係ない、など。 --「覚醒の儀」や9章のとある出来事、前述したマイユニットの策略など、イベント描写への突っ込みどころは多い。 --前述の件も含め、シナリオ全体の説明不足が目立つ。本編攻略中、クリア後等に言及されてはいるのだがその説明が極端に少なく、注意して読まないと見逃しがちになってしまう。シナリオを見返す機能も無いため、見逃してしまったら訳が分からないまま進むことになってしまう事も。 --外伝の挿入されるタイミングがおかしい。 ---外伝章のあらすじは本編章に対応するサイドストーリーではないため、話とまったく関係ない外伝がぽっと出てくる。そもそも従来のように「第○章外伝」ではなく「外伝○」と完全に本編と独立している。 ---また、いかなるシナリオであっても『聖魔』のようにフリーマップの使用が制限される事が全くない。そのため「異国で敵の追手から逃げている最中に自分の城まで戻って買い物できる」という妙なシチュエーションが成立してしまう。 -スミアだけ結婚のハードルが妙に高く、下手すると彼女の子供が出せなくなる --今作では前述の通り結婚システムを搭載しているのだが、スミアのみ凡庸キャラなのになぜか支援相手が異様に少なく(マイユニ男含めて5人だけ)、結婚できる相手が非常に限られている。 --そのため、彼女が結婚できる相手を全員他の女性キャラとくっつけてしまった場合、彼女の独身が確定してしまい、彼女の子供が仲間に出来なくなってしまう。この件に関して、何故か救済措置は一切存在せず((同じく結婚相手が限られているクロムの場合は、モブの村娘と勝手に結婚する))、自由な結婚やカップリングを推しているシステムに真っ向から喧嘩を売るような形になってしまっている。 ---何か支援相手が限られてしまう特別な事情があるならともかく、彼女の支援などを見てもそういった描写は一切ないため、スミアが選り好みしているなどと言われる始末。 -世界観・設定が薄い --各国の文化や風土、王族や各勢力の細かな事情、本編で見られる因縁となった出来事、などの説明が本編のみでは不十分。 --過去作ではマップ攻略前にナレーションが入り、そこで様々な事情を説明することも多かった。今作は章前ナレーションが廃止されフリーマップ上で5行程度のあらすじを語るのみとなっている。 --また、攻略の中で世界観に深みを与える要素である村や民家、特殊イベント、章ごとの拠点会話などの消滅・激減も世界観の薄さに拍車をかけている。 --「百万の軍勢」などテキストでしか分からない説明不足な部分も多く、「南の街」や「北の街道」などと固有地名等による装飾も薄い。 -旧作とのつながりがあまり活かされていない --概要で述べた世界観を共有した要素の多くは、ストーリー上はほとんど存在する必要性が無い。新規ユーザーへの配慮としては頷けるものだが、発売前のいわゆる客寄せパンダ的な扱いに不満を述べる声も少なくなかった。 --また、前述の通り後に『蒼炎』の主人公・アイクの末裔を名乗るキャラが追加されたが、これに関しては『暗黒竜』の世界観とすら関係ないうえにそもそも何故登場させたのかという感が強く、評価は芳しくない。 ---挙句「(クロム親子や配信されているアイクの技として)実装されているのに天空を覚えない」「モーションの使い回しのせいで、ラグネルの間接攻撃が衝撃波ではなく''投げつけ''」といった要素がネタにされる。 --同じく『蒼炎』からの類似要素であるタグエルやシリーズ恒例のマムクートに関しても、ストーリーに関わってくるどころか作中においてほとんど掘り下げられない。 ---特に本作新規の設定であるタグエルに関しては補完のしようもなく、「とりあえず出した」程度の存在となってしまっている。 --また『聖戦』に登場した聖戦士の武器と同名の武器が本編で敵ユニットの所持品として登場するが、そのことに関する説明は全くない。ラグネルや『烈火の剣』の神器ともども、魔符と同じく名前が同じだけのバッタモンと割りきってしまえばそれまでであるが。 -以上のようなストーリーに対する不満はスタッフも把握しているようで、[[「社長が訊く『ファイアーエムブレムif』」>http://www.nintendo.co.jp/3ds/interview/bfwj/vol1/index2.html]]でも言及されている。 -最高難易度「ルナティック+(プラス)」の雑な調整 --ルナティック準拠の敵陣営に加え、「カウンター」「絶対命中(強制的に命中率が100%になる)」「すり抜け(自軍キャラを通過して移動できる)」「月光+(原則必ず発動する相手の守備・魔防を半分にする攻撃)」などのバランス崩壊レベルの強力なスキルが、全ての敵ユニットに「ランダム」に2個装着される。 --この「ランダム」というのが何より問題であり、2章のハンマー持ち戦士に「絶対命中と月光+」などを筆頭に手出しできなくなるほど凶悪な組み合わせになる場合もある一方で「大盾(技%発動で剣、槍、斧、獣石の受けるダメージを半減)」と「大盾+(100%発動する大盾)」を同時に装着するなどの全く無意味な組み合わせになることまである手抜き仕様。そのため、現時点では''敵のスキルがあまり強くないようにするまでリセット''という、所謂「運頼み」な攻略が最も有効になってしまっている。熾烈ながらも緻密な戦略を要めることで大きな人気を博した『新紋章』とはまさに対照的で、クリアしても達成感は薄い。 ---無論、遭遇戦も同じであり、本編以上の強さの敵がランダムにスキルを搭載しているため、例えフルカン育成をしていたとしても、疾風迅雷持ち以外は場合によっては戦う事すら許されない((開幕から月光+やカウンター持ちの集団が全員突撃してくるため、敵を倒した後他の敵の攻撃範囲内に残ってしまう非迅雷キャラは間違いなく死ぬ))。 ---この影響か、次回作の『if』ではルナティックを上回る難易度の実装はされなかった。 -配信チームやDLC・タイムリリース外伝のユニットは支援が組めずダブルやデュアルを活かしづらい((デュアルアタック、デュアルガードの発動率が低くなるうえ、ダブルによる能力補正も少なくなるため。))ため、本編のキャラ、特にしっかり作成した子世代と比べると最終的には見劣りしてしまう。 --本編収録キャラでも、上記の「マイユニットとしか支援が組めないキャラ」は近いことが言える。 -育成要素に富んでいても、プレイヤー同士の手動対戦が出来ない。 --対戦要素はデュアルタッグとすれちがい通信があるが、両方ともプレイヤーの思考が関わらない、自動的な対戦である。 ---対戦だけでなく、『聖魔』のラグドゥ遺跡のような育成しきったユニットを活かすような場面は殆どない。 --そもそもFEというゲームがあまり対戦向きではないため、実装されても評価は難しかったかもしれないが。 -ユニットの戦闘グラフィックの使い回しから一部のクラスは誰がなっても和風というミスマッチな格好となってしまったり((ソンシン出身のユニットは元々和風の姿をしているが、それとは関係なしにどの国のユニットでも和風の姿である。))、勇者やジェネラルは単純に奇妙なデザインだったりする。 --これも自由なクラスチェンジの弊害ではあるが、もう少し汎用的に通るグラフィックにすべきであったとも言えるだろう。 --モブ兵で無いユニットは兜を外す仕様のため、DLCマップに登場する漆黒の騎士が原作の盛大なネタバレをやらかしてしまったりしている。~ おまけに3Dモデル自体は汎用なので''黒くない''、持ち武器であった剣がジェネラルだと使えない(これはシステム上已むを得ないが)などとにかく悲惨。いっそのこと漆黒の騎士としてではなく中の人の名義で出しておけば良かったのではないだろうか。 -「いつの間に通信」で配信される無料DLCである追加外伝マップの中に、劇中で死亡し、仲間にならなかったキャラを仲間に加えることができるマップがあるが、完全な後付というのもあって強引な展開が多く「ストーリーを安っぽくした蛇足」「死にシビアなFEらしくない」との批判が強い。 --特にあるキャラの生存を描写したことによって、本作のシナリオでも1、2と言われ、ムービーまで使用した熱い場面が台無しになってしまっている。((もっとも、言葉をほとんど喋れなくなってしまっている上に記憶も無くしており、それまでのその人物は死んだと言っても良い状態ではあるが。))さらにはこの事件の首謀者である二人も同じように生き残ってしまっている。 --また、この追加外伝キャラは本編の一部キャラ同様マイユニットとしか支援が組めず、血縁者や因縁のある人物との描写は外伝マップでの会話(発生は任意)と、みんなの部屋の会話だけで済ませている。 --(加入は本編の範疇内ではあるが)『封印』のトライアルマップや『聖魔』の敵対ユニット加入などと同様に、完全なおまけ要素と割り切るべきかもしれない。 -すれちがい通信で相手に送信できるメッセージの漢字入力が若干面倒。 --ひらがなから漢字に変換することができない。GBA時代の作品では出来た要素であるため、不親切さが目立っている。 --漢字は一覧から探す必要があるのだが、訓読みに対応していないため探すのに少々手間取る。技術的都合で出来なかったのかもしれないが…… -また、すれちがい通信で対戦が可能なのは前述のとおりだが、本編中に組み込まれているため&bold(){クラシックモードで敗北した場合、容赦なくロストする}。 ---- **総評 -長らく完全新作が出ていなかったこと、そして「超集大成」と銘打ったことで非常に大きな期待を寄せられた一作。~ 発売当初は概ね高評価で迎えられたものの、次第にこれまでのFEとコンセプト自体が極端に異なった内容が賛否を分けることになる。 --新旧問わず多彩な要素を盛り込んだ結果として、本作はキャラクター性を重視した複雑な作りに仕上がっている。~ その代償なのかシリーズの核であった「シンプルで奥深い戦術性」・攻略の面白さにかけては劣化したと言わざるを得ない形になった。この点に関してシリーズ屈指のものがあった前作の『新・紋章』からの落差を残念がる声は相当に大きい。 --また、「紋章の謎」や「外伝」との繋がりを含めた世界観の描写も不十分となり、そちらに期待していたシリーズファンの失望を誘発してしまった。一方で育成の面白さやキャラクター同士の掛け合いなど、新規のユーザーに受けた部分も多い。~ ゲームテンポ・ビジュアル・ボリュームなどの基礎も全体的に高レベルで、良い部分と悪い部分が明確に分かれた形になっている。 -セールス面でも国内で[[2012年末までで約45万本>http://www.4gamer.net/games/999/G999903/20130125003/]]という近作を大きく上回る売上を記録(紋章の75万、聖戦の49万に次ぐシリーズ三番目の売り上げ)。海外で売れた分も累計すると実に125万本にまで達している。~ 謳い文句の「集大成」というフレーズには疑問を呈さざるを得ない内容ではあるが、&u(){路線を変えての新規開拓}は十分に成功したと言える。 ---- **余談 -本作仕様の3DSを同梱した「スペシャルパック」が発売されている。 --4月14日、任天堂オンラインショップでスペシャルパックの予約を受け付けていたが、販売開始時間が告知されず、九時頃には既にサーバーエラー。カートに入れる事が出来ても商品が消失したり、次のステップに進めないトラブルが発生し、十六時頃には前触れもなく販売が終了する大問題となった。 ---スペシャルパックだけあり、多数の転売屋が転売のために購入し、当日にはオークションサイトにこれが出品されているという事態も起きた。 --次の予約日は本作の発売日、4月19日だったのもある。 --このような事態が起きたのは、一度販売方法を変えると商品表示法に触れるためである。 -操作説明書のキャラに敵キャラのインバースを起用したのは任天堂が発案である(ニンテンドードリーム2012年8月号)。 -今作にも公式によるバックグラウンドのサイトが作られた。 --しかし、マップ攻略ページのキャラに何故か『蒼炎』の序盤ボスが起用されていたり、会話のノリなど本編同様の悪ノリが表出しているため好みが分かれる。 --それだけならまだしも、内容部分がゲーム内ですでに語られている内容が多かったり、ペレジアとの因縁の原因となる戦争や屍兵の正体など作中でさえ詳細不明の要素がそのままスルーされているものもある。それどころか一部キャラの描写が本編の設定と矛盾している箇所も見受けられる。((とあるキャラとの支援会話でサーリャというキャラの家族が生存していることが分かるが、バックグラウンドではいないことになっている)) -北米では2013年2月4日に発売。北米の情報サイト『IGN』の[[発売前レビュー>http://www.ign.com/articles/2013/01/30/fire-emblem-awakening-review]]でスコア9.6を、『[[Gamespot>http://www.gamespot.com/fire-emblem-awakening/]]』では8.5を獲得しているなど、発売前の評価は上々だった。 -発売してからしばらく経ったのち、海外サイトに山上氏との対談インタビューが公開された。 --その内容は要約すると''FEの売り上げは年々低下していたため、任天堂のセールスマネージャーから「全世界でFE覚醒が25万本以上売れなければシリーズを終了させる」という宣告を受けた''という衝撃的なもの。 --シリーズの集大成として銘打たれたのも、こういった事情があったからなのだろう。なお、最終的に覚醒は全世界で125万本以上を売り上げるヒットを記録したため、難を逃れた。 --詳しい内容は[[こちら>http://kaigai-anime.com/?p=10428]](日本語訳サイト) -開発者へのインタビューによると、本作はそれなりに難産だったらしく、企画段階でいろいろと没になったアイデアがあった模様。 --没ネタの1つである『''和風ファイアーエムブレム''』に関しては次作である『[[ファイアーエムブレムif>ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国]]』に、『''ファイアーエムブレム2011''』なる現代戦がテーマとのアイデアは『[[幻影異聞録♯FE]]』に活かされたと考えられている。 --没ネタにはもう一つ『''ファイアーエムブレム火星''』なる、SF風のSRPGにするというものもあったらしく、一部では「この没ネタの方もいずれ使われるんじゃないだろうか」と、密かに話題になっている。 ---- **他作品への出演 -後に[[大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ]]の一作『[[大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』にて本作よりルフレ((マイユニットのデフォルト名。キャラ外観もデフォルト準拠だが、カラバリ扱いで男女を選択することが出来る。))とルキナが参戦している。 --これについてはルフレは剣と魔法を両方使えるオールラウンダーキャラということで参戦、ルキナは開発中でこそマルスのカラバリ扱いだったが「マルスが持つ剣先の強判定が消え、威力が平均化された」ことにより別個のコンパチキャラとして隠し登場。一方でクロムは既存キャラのマルス・アイクに対する特色が少なく性能区別もしづらいため参戦見送りという理由が語られている。 --そのクロムはルフレの「最後の切りふだ」や勝利ポーズ等でスポット登場している。参戦発表動画での『''「俺の出番はないのか……」→※なくはないです。''』というやり取りは良くも悪くも話題を呼んだ。 ---クロム役の杉田智和氏も、あるイベントでこれにちなんだ発言をしている。 ---弄りネタとして面白がるユーザーがいる一方で「クロムが不当に貶められている」と感じ反発するユーザーも多い。不用意に場を荒らさないためにも、できる限り''スマッシュブラザーズに関係しない場所でこの話題を出すのは慎んだほうがいいだろう。'' --2015年7月31日に剣術Miiファイターの追加コスチュームとしてクロムセットが配信された。 -2015年11月12日に発売された『[[PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD]]』では任天堂からのゲストキャラとしてクロムとルキナが出演。 -2015年12月26日に発売された『[[幻影異聞録♯FE]]』ではクロムが主人公の相棒を務めるなど、クロムの境遇については大分改善されてきている。
*ファイアーエムブレム 覚醒 【ふぁいあーえむぶれむ かくせい】 |ジャンル|ロールプレイングシミュレーション|CENTER:&amazon(B006QGGOGQ)&amazon(B01KZ51AL2)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |メディア|2Gbyte3DSカード|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~| |発売日|パッケージ/本体同梱:2012年4月19日&brダウンロード:2013年1月30日|~| |定価|パッケージ/ダウンロード:4,800円&br本体同梱:19,800円(各税込)|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |廉価版|ハッピープライスセレクション&br;2016年9月15日/2,700円|~| |判定|なし|~| |ポイント|新システム「ダブル」や能力値インフレによる大味な戦闘バランス&br;育成の自由度は高い&br;てごわい(恋愛)シミュレーション&br;UI、アニメーション、BGMは高評価&br;任天堂初の課金コンテンツ|~| |>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ関連作品リンク>ファイアーエムブレムシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 実に5年ぶりとなる、ファイアーエムブレムシリーズ完全新作。~ 謳い文句は「超集大成」。22年間培ってきた様々なシステムや要素が盛り込まれている。 ---- **特徴 -過去作のシステムの復刻、融合。 --本作は多くのFEシリーズのシステムを融合、またはアレンジして搭載している。 --『[[外伝>ファイアーエムブレム外伝]]』『[[聖魔>ファイアーエムブレム 聖魔の光石]]』のフリーマップ、『[[聖戦>ファイアーエムブレム 聖戦の系譜]]』の結婚システム、スキルシステム、『[[封印>ファイアーエムブレム 封印の剣]]』以降の支援システムなど。 -「絆」をテーマとした新システム、ストーリー構成 --キャラ同士を隣接させることで「''デュアル''」という支援効果が発生。従来のものに近いパラメーター増強に加えて、一定確率でデュアルアタック(反撃なし・射程不問の追撃)&デュアルガード(敵の攻撃のノーダメージ化)が発生するなどのサポートを受けられる。 --また、キャラを隣接させると「''ダブル''」というコマンドを使用出来る。これは隣接したキャラの後衛に付くことで、ダブルを受けたキャラのステータスを上昇させ、かつ常に「デュアル」を受けている状態にさせることができる。言い方を変えれば「あるキャラを使えなくする代わりに別のキャラのステータスを強化する」というもの。 --このシステムに前述した支援、結婚システムなどが加わっており、今作のテーマとなっている面がある。 -過去作と共有されている世界観。 --今作の舞台となるイーリス大陸、およびヴァルム大陸は、『[[暗黒竜>ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣]]』『[[紋章>ファイアーエムブレム 紋章の謎]]』のアカネイア大陸、『外伝』のバレンシア大陸と同じ形状をしており、同作の遥か未来を描いていると推測されている。 ---あくまで匂わせる程度であるうえ、今作のストーリー核心に深く関わるわけではないので、新規の感情移入を妨げるものではない。酷似した過去を持つパラレル設定と解釈しても特に問題はない。 ---他にも、『紋章』の主役である「マルス」を名乗るキャラや、『[[蒼炎>ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡]]』の主役「アイク」の末裔を名乗るキャラなど、過去作を知るプレイヤーへのアピールが随所に盛り込まれている。 ---- **評価点 -インターフェースの充実。 --ストレスを感じるような部分はほとんどなく、戦闘アニメのオンオフはもちろん、敵ターンのスキップや戦闘アニメの高速化など、とにかくプレイの快適さを追求する作りになっている。 ---しかし輸送隊で味方間での持ち物交換ができない、輸送隊に武器を預けると自動で統合(例えば、1/50と12/50の鉄の剣を預けると、''強制的に''13/50の鉄の剣となる)が行われる他、DS版『新』シリーズでできていたタッチペンのみのプレイ(ユニットの操作など、タッチパネルだけでゲームを進める方法)ができなくなっているなど過去作より劣化している部分もいくつかある。 -やりこみ要素の充実。 --本作は『外伝』と『聖魔』で使われたフリーマップを採用しており、章と章の合間にアイテムを入手したりレベルを上げたりする機会がある。 ---それを利用したチェンジプルフを使ったクラスチェンジや、スキル収集、支援会話収集など、やりこみ要素が豊富。 --特に支援会話の数は歴代最多。結婚システムも相まってコンプリートを目指すとなると相当な周回プレイが必要となる。 ---FEの醍醐味の一つであるカップリングの自由度が非常に高く、特に主人公の一人「マイユニット」は自分の子供以外の''全ての異性と結婚が可能''。結婚時には専用の一枚絵まで用意されており、''別のジャンルのゲーム''かと見間違えるほど。 ---結婚をすると髪色やスキルなどに夫婦の特徴を備えた子が生まれ、そして未来からやってきた子と出会い、共に戦う事ができる。 ---また、支援会話によって各キャラの背景が明かされる事もあり、それを目的に支援を組むプレイヤーも多い。 ---しかしそういった、言わば世界観に深みが増す類の会話は僅かで、殆どはキャラ同士のたわいもない会話であるため従来のFEのような雰囲気を期待すると肩透かしを食らうかもしれない。 --他にもすれちがい通信を行う事によって、他のプレイヤーと対戦したり物の売買を行う事も出来るなど、3DSならではの要素も。 -アニメーション、サウンドも高レベルで纏まっている。 --デザインは漫画家のコザキユースケ氏、サウンドは『大神』で知られるコンポーザーの近藤嶺氏、FEシリーズお馴染みの辻横由佳氏、初参加となる森下弘生氏の3人。 --サウンドは世界観の魅力を損ねることなく、高い評価を得ている。特にラスボス戦の曲はシリーズ屈指の名曲と専らの評判である。 ---また任天堂のゲームでは数少ないサウンドトラックも発売されており、多くのファンから好評を博している。((当初は一部を選抜したバージョンがクラブニンテンドーの景品として出されたのだが、曲選に不満がある意見も多かったためか後に全曲収録版が発売された。)) --キャラクターデザインは概ね1~2作程度で頻繁に変わっているが、その延長として受け入れられるユーザーの割合は多かったと思われる。 ---しかし今作の鎧のデザインは特に今までよりも奇を衒ったものになっており、否定的な意見も多い。 --シリーズ初となる、会話や戦闘アニメにおけるボイス(会話はパートボイス制)を採用。これも好みによるところだが、声優陣の質はしっかりしており、環境設定でオフにできる配慮もされているので、特に問題点は無いと言える。 --ストーリー上で挿入されるムービーは、CGでありながら一枚絵に近いアニメ的な絵柄で描かれており、全体的なクオリティも高い。 --今作ではマップ上のユニットアイコンも、本編で参戦するキャラクターは描き分けられている。アイコンの顔部分が各キャラクターのものになっており、個性の表現のみならず見た目にも分かりやすく評価は高い。兵種変更してもある程度対応している。 -いつの間に通信では過去作キャラが配信。120人ものキャラを無料で使うことができる。 --配信キャラは支援会話が発生せず、支援効果の恩恵も受けられないが、基本性能や個人スキルなどで十分に戦力となりえる。 ---加えてロストしてもまた召喚すれば何度でも自軍に引き入れる事が出来るという利点があるため、救済措置の一つを担っている。 -育成の自由度の高さ。 --''育成に重点の置かれた作り''になっているだけあって、ユニット育成の自由度はかなり高い。 --ゲームバランス面においてはステージ単位の短期的な戦略性が低い(詳しくは後述)のは否めないが、その一方で上述の支援・結婚システムやチェンジプルフによるクラスチェンジ、おそびそれらに伴うスキルの獲得・継承などの要素が絡み合い、ユニットをいかに効率よく、かつ強く育成するかという長期的な戦略性は高い。この点は長期的な育成が求められる『聖戦』に近いものがある。 ---ただし難易度ルナティック以上だと遭遇戦の敵がまともに戦うのが不可能、終盤だと本編の敵を越えて全ステータスカンスト近くまで強化されるため事実上利用不能になる上、すれちがい・配信チームの敵から得られる経験値が1になる。すなわち稼げる経験値や支援ポイントが実質有限になる。~ 敵が強いのもあいまって、育成が適当だとかなり苦しい戦いを強いられ、最悪ラスボス戦で詰むことも。 ---ただし、DLCによって購入できる異界マップは難易度の影響をあまり受けないため、利用すれば無限に稼ぐことができる。 -難易度が「カジュアル」の場合、戦術マップ上でセーブすることが可能になった。 --これによってリセットの手間が大きく省けるようになった。前作の回数制によるものとは異なり、『聖戦』同様、何度でも可能になっている。 --ただし従来同様に乱数は保存されているので、攻撃が外れたからリセットしてあたるまでやり直すという手段は当然使えない。レベルアップによって得られるパラメータアップも同様((ただし、わざと攻撃されてターンを流したりするとその分乱数が動いて結果が変わる。『聖戦』の乱数とほぼ同じ方式。))。 ---- **賛否両論点 ***ゲームバランス面 -武器の耐久度 --今作は全武器の耐久力がインフレ気味で、その気になれば容易に資金も調達できるので強力な武器のリスクが薄く、安価な下位武器の利用価値が低くなっている。 --さらに、スキル「武器節約」の存在が武器破壊のリスク減に拍車をかけている。 ---『攻撃した時、(運×2)%という高確率で武器耐久を消費しない』と言う効果で、高レベルだと武器耐久をまったく気にする必要はなく、そして運を50にまで伸ばすことで発動確率100%にも出来てしまうため、強力な一品ものでも気兼ねなく使える。傭兵に転職すればすぐ習得できるのも大きい。 ---これによって従来のような「もったいなくて使えない」という悩みは解消されているが、「どこでどの武器を活用するか」といった駆け引きを楽しめなくなってしまった。もっとも、武器を無限に使える『外伝』があるため本作独自というわけでもないが。 ---とはいえ、初期クラスや資質に傭兵を持つキャラは親世代では数名しかおらず、既にそこそこ育てたキャラを傭兵レベル1から育てなおして元のクラスに戻す手間((傭兵と無関係の上級職から傭兵にした場合、最速でも傭兵10→元のクラスの下級職10→元のクラスと言うルートを通って戻す必要がある))や時間を考えると、本編を完全に無視して遭遇戦やDLCマップを相当やりこまない限りは武器節約を装備したキャラで出撃メンバーを固めるのは困難。 ---また、親世代の傭兵を遺伝できるキャラの数の都合上、子世代組でも全員に武器節約を与えるのは不可能なため、上記の「武器をどう使うか」の駆け引きは完全に無くせるわけではない。 //武器節約装備者で固めて本編を進めようとしたら相当な育成が必要で、そんなことをやったら本編はもう余裕。 //『if』や、お金を払えばいくらでも修理可能な『聖戦』などもあるため、本作独自というわけでもない。 //聖戦は資金繰りをしっかりする必要があり、同様の例として出すのは不適切。何年も後に出た後続作のifを挙げるのは論外、さらにあっちは武器毎にリスク設定がある。 --クロムは初期から''耐久力無限''の封剣ファルシオンを持っている。性能は「無限に使えて竜特効のある鉄の剣」程度だが、初めから耐久力の概念を無視して戦えるのはどうかという声も。 ---あるキャラの専用武器として登場する''裏剣''ファルシオンは「銀の剣をわずかに上回るほどの攻撃力/耐久無限/竜特効/アイテムとして使用すると調合薬の効果」と、中盤程度で手に入るものとしてはとんでもない性能。 -相変わらず斧・槍優遇、剣不遇気味のバランス --本作に限らず近年の作品に見られる傾向であるが、特に本作における格差の要因は''間接攻撃の可否''(=剣は間接攻撃可能な武器が少数の貴重品しかない)に集約される。 ---というのも高難易度では終盤になると大半の敵が何らかの間接攻撃を持っているため、間接攻撃用の武器がほとんど無い剣使いは純粋に前線に出しにくい。 ---おまけに前作までのように剣士系クラスのパラメーターが高いわけでもないため、今作において一部のクラスは剣しか扱えないということが大きな弱点となってしまっている。 ---なお、一応「勇者の剣」や各種特効武器を用意できる剣ですら上述の通り間接攻撃の可否だけでかなり不遇なので、射程が1固定の上に威力も剣より弱く、勇者の剣のような特殊な効果も一切持たない獣石しか使えない「タグエル」はどれだけキャラ性能の高いキャラがなったとしても、救いようがないほどに不遇である。 //言うまでも無くマイユニの子供。疾風迅雷+節約どころか大半のスキルを揃えられても、タグエルそのものが弱すぎてどうにもならない。 -愛があってもどうにもならないスキル格差 --今作ではスキルは兵種(クラス)にくっついており、どうやっても習得できないスキルがキャラクターの方にくっついているのはごく一部のみ(配信マップのキャラ及び魔符の一部)となっている。 --結果、やり込めばやり込むほどに強力なスキルを覚えられるクラスを持っているキャラと持っていないキャラの格差が広がっていくようになっていき、資質が良いキャラは「武器節約、疾風迅雷、太陽」といった今作屈指の強スキルを手に入れられるのに対し、不遇なキャラは奥義スキル((月光、太陽、流星などの確率発動し、特殊効果を付与する攻撃を行うスキル))すら全く取れない。 --特に酷いのが「疾風迅雷(装備したキャラが敵を倒すともう一度行動可能になる。後衛も覚えていれば3回行動可能になる本ゲーム屈指の強スキル)」「武器節約」を習得できるかどうかで、育成が極まるとこれらが取れるかどうかだけで一軍と二軍がはっきりと決まるほど。困ったことにマイユニですら全てのスキルを習得できず、最重要スキルの疾風迅雷に至っては習得可能なクラスの都合上''女キャラ限定''。一応男であっても子供なら引き継げるのだが、親が覚えないせいで覚えられない子供がいる。 ---一応、深刻な影響が出るのはルナティック+だけなのがせめてもの救いと言えるか。 ---ちなみにDLC含めてほぼ全てのマップで強制出撃キャラとなっているクロムは上記の武器節約も疾風迅雷も覚えられず、敵を倒しても再移動できない上に貴重品の神器や高額な錬成武器を気軽に使えない。そのため、やり込めばやり込むほど周囲の疾風迅雷+武器節約軍団に対してクロムが不遇キャラと化していき、嫌でもスキル格差を思い知らされるようになっている。 -高難易度のチェンジプルフ関連 --高難易度ではチェンジプルフを使用した際に蓄積する「内部レベル」の上限が異様に高く設定され、最終的にはどんな敵を倒してもまともに経験値が入らなくなる…はずなのだが、実際には覚醒のシステム上、敵撃破経験値の最低値が8で打ち止めになってしまうため、あまり…というか、まるで制限として機能していない。 ---結果的に高難易度でもDLCの敵を(種類問わず)13体倒せば必ずレベルを1上げられるため、ルナティックやルナティック+でやり込みデータを作りやすい(=強力な敵相手に戦う機会を自発的に作れる)というメリットにもなっている。 ---一方で、敵の種類は一切問わない上に最終的にはどんな敵を倒しても経験値が8しか入らないという事なので、DLCマップ「マミーの楽園」は仕様上チェンジプルフを使いまくったキャラだとまともに経験値が入らず((内部レベルが20で打ち止めのノーマルですら、最も強いマミーを倒しても一回の戦闘でレベルを上げることが出来なくなる))、弱いキャラを手早く上級職にする以外の使い道を全く見いだせない地雷マップと化してしまった。 ***キャラクター面 -キャラクターの描写について --本作のキャラや会話内容はこれまでに比べて、例えばヤンデレ、厨二病、二重人格と言った、良く言えばわかりやすく印象的、悪く言えばテンプレ的な個性付けが多い。全体的にマンガ・ラノベチックなライトなノリになっており、重厚でシリアスな戦記物といった雰囲気を求めると裏切られる可能性が高い。特に子世代キャラはテンプレ的な性格設定が強い。 ---支援会話でも表面的な属性を主張するばかりで、バックボーンや人物像・相関関係が描かれていると言えないものが多い。やたら「絶滅!」と口走るだけのシャンブレーなどがその例。 ---とはいえ、上の「ヤンデレ」に該当するサーリャや「厨二病」に該当するウードは公式人気投票でも上位の人気キャラとして受け入れられており、一概に問題点とも言えない。 -子世代キャラについて --ルキナを除く子世代のキャラは、DLC『絶望の未来』でしかストーリー上の活躍が見られない。 ---内容自体の評判は悪くないだけ、「(DLCでなく)本編でやれ」と言われることが多い。 --子世代のユニットは両親から「両親のクラスすべて(固有のぞく)」「能力の個人上限値」と純粋に長所を受け継いでおり、早い話が親世代の完全上位互換になっているため、仲間にした時点で親世代は子世代のほぼ劣化となってしまう。 ---これに関しては、結婚を自由に行えるという売りの部分の弊害と言える。元になった『聖戦』の場合は子世代>親世代なのはそのままだが、制限があるために上のような問題は目立たなかった。 ---難易度をルナティックにすると、子世代キャラによってはマップに配置された敵が場違いに強すぎて加入は実質終盤になる、そもそも結婚(支援レベルS)を積極的に狙うのが困難((普通にプレイしていた場合、クロム以外の結婚イベントが起こらないままクリアしてしまうということも多い。))であったりと、共闘がやりこみ・おまけ的な要素になっている感がある。 ---なお、今作の子供キャラの出現条件は『聖戦の系譜』のどんな子供が生まれるか後半になるまでわからないという欠点を受けての任天堂側の発案である(ニンテンドードリーム2012年7月号のインタビューより)。 -マイユニットが主人公クロムの役回りを食ってしまっている。 --プレイヤーの分身としての主人公という事になってはいるが、今作ではその''マイユニットのキャラそのものに物語の核心にクリティカルに関わっている設定がある''せいで、クロムの立場もプレイヤーとの同化性も前作以上に危うくなっている。 ---また終盤ではプレイヤーの与り知らぬところでシナリオに関わる重要アイテムを偽物にすり替えており、それによって難を逃れるシーンがある。所持している人間も承知の上だが、それらに対する説明はあるが、その説明に対応した伏線は本編・外伝含め全く存在しない……~ 等々、本当の意味でのプレイヤーの分身なのに(核心部分はまだしも)物語上で種明かしされるまでプレイヤーすら把握できない情報が多々ある。 --また「軍師」という立場をとっており、戦闘マップ上・イベント双方で軍師として指揮しているのだが、大局的な場面でとる策は奇策ばかりなうえ、どれもこれもシナリオの説明が少なすぎるせいで、シナリオをしっかり見て状況を考えておかないと無謀に見えてしまいがち。 //((敵地で大量の敵に追われている状況で、包囲される可能性も存在するのに危険な火山を戦場にする等。もっとも過去のFEの軍師が有能だったかと言うとそういうわけでもないが。)) //説明は非常に少ないですが、17章の攻略中に「味方になるはずの解放軍が命惜しさに敵に寝返って(17章の増援は全て元解放軍)」いて、落とした要塞(17章ステージ)が解放軍に囲まれてしまった上に退かない敵(18章ボスのレンハ及び19章ボスのヴァルハルト)に南北から挟撃されそうになる」という場面であり「命惜しさに裏切った解放軍」と「南から迫るレンハ」を同時に相手にしないため、命が惜しい(=危険を冒そうとしない)解放軍が絶対に近づいてこない火山を戦場にしてレンハ軍だけと戦う」事を進言しているので、ただの無謀ではないと思います。 --プレイヤーの選択による献策など、分身であることをシナリオ面で生かしたアプローチは特に無く、プレイヤーの分身という設定はほぼ活かされていない。台詞すらない烈火の剣の軍師ほどではないが。 -「プレイヤーの分身」と考えず「自分でキャラ設定出来る1人の登場人物」と捉え、『外伝』『聖魔』のようなクロムとのダブル主人公と考えるのが実情に合っているだろう。 --前作のマイユニットはリメイク作品である都合上もあるが本編中に活躍を捻じ込むような事は無く、新規かつ別個に作られた外伝またはイベント内に活躍を集約させた、歴史に名を残さない近衛騎士と控えめなものであった為、賛否はあれど分身キャラとしてはそこそこ自然に機能していた。 ***DLCについて -任天堂作品としては初になる有料DLC。 --今作では過去作のキャラクターと戦ったり協力したりするマップ、資金を大量に得られるマップ、レアアイテムや有料DLC限定アイテム・クラス・スキルを入手できるマップなどを購入することができる。任天堂2012年3月期の予想売り上げ高が初の経営赤字をあげていたこともあってか、メディアからも非常に注目された。 --DLCは11月22日に完結(購入は可能)。第一弾は異界の魔符シリーズ(7月26日に完結)、第二弾は神軍師への道シリーズ。 --異界の魔符シリーズは遊びの幅に大きな差をもたらすものがある為、賛否を呼んでいる。また主題となっているマップ集にも問題あり。 --値段も1つ300~400円と安いとはいえず、中には過去配信したマップを買わなければ購入すらできないマップもある。いくら購入は自由のDLCとはいえ、批判はかなり大きかった。 #region(異界の魔符シリーズ) -限定アイテムを入手できるマップは槍玉に挙げられやすい。「追加料金を払ったのだから有利になるのは当たり前」という意見と「追加料金を払わないと手に入らないレアアイテムがあるのはおかしい」という意見はどちらも頷けるものであり、有料DLCの永遠の課題だろう。~ とはいっても今作の場合、シルバーカードや特効無効化アイテム((これに関しては他にも「飛行特効だけの為にスキル枠を食う」「何故『アイオテの盾』(旧作に登場した''アイテム'')がスキル?」などのツッコミがある。))、従来のスキル書など過去作品では普通に入手でき、今作の本編や無料配信の外伝にも組み込む事ができ得るアイテムが有料DLC限定となっている事に対する疑問符が大きい。 --「本編に影響するDLCは出さない」という発言もこの賛否に拍車をかけている。確かにストーリーには影響しないが、攻略には思いっきり影響してしまっているおかげで、この「攻略」を「本編に影響する」と見なすかどうかでも意見が割れる要因となっている。 -経験値が多く入るという触れ込みの「マミーの楽園」は効率が悪い((敵は自発的に攻撃してこない、祈りでたまに生き残る、殺し系スキルで攻撃が当てにくい上にカウンター持ちの敵も出る、出撃人数が少ないため一度に多くのキャラを育てられない))ため地雷マップ扱いされている。前述のチェンジプルフ関係も痛い。経験値稼ぎをしたければ最終的には金策用マップ「金と銀」の方が向いている。 -『異界の魔符』シリーズ最大の特徴は、特定のマップをクリアすることで、『フルメタル・パニック!』の四季童子氏や、『覇者の剣』を手掛けた山田孝太郎氏など、様々なイラストレーターによって描かれた過去作のキャラクターが使えるようになること。 --しかし「異界の~」という称号ゆえか、外見はおろか、性格もお人よしで騙されやすいエイリーク・やけに猛々しいアルムなど、原作の特徴を強調・デフォルメしたものが多く差異が見られる。キャラクターのイメージというのも人により異なるので扱いの難しいところではあるが、不満を示すファンもいる。~ --また、戦闘グラフィックは本編から流用の利くマルス以外は全員汎用モデルで、今一つ合っていないものも見られる。いつの間に通信の配信チームと違って有料なのだからせめて作り起こしてほしかった。 --過去作のユニットが仲間になるDLCのマップは『暗黒竜』1章、『烈火』終章などをそれぞれ3回使いまわしている。ストーリーも単調かつ使いまわしで「徒党を組んだ勢力が争いあっている(もしくは協力している)のでどちらかに肩入れする(もしくはその両方と戦う)」だけなので、飽きが来るのも早い。出撃ユニットも、エトルリア三軍将や暁の団の面々から一人だけ参戦できていなかったり(ちなみに中年キャラばかり)、「何故このユニットが?」と思わせるのも。 --主人公もシグルド、エリウッド、ヘクトルの魔符が手に入るマップが存在しない。複数主人公故に割を食った形となった。 #endregion --この不評を受けてか、第二弾は内容・価格共にある程度見直され、第一弾の欠点を補えたかはともかくとしても本作のファンのニーズにはちゃんと応えた内容となった。 #region(神軍師への道シリーズ) 3編に分かれている。大雑把に大別するとキャラクターの掘り下げや極限まで育てたユニット前提のマップ。 -「異界のリゾート編」は本編キャラがお祭りやビーチ、温泉に行くなど、世界観の枠にとらわれない内容となっている。本編のライトさを鑑みてもなおイメージ崩壊甚だしい代物だが、本編で不足していた同性同士の会話の増量はファンには概ね好評。 --中でも「絆の夏」と「絆の秘湯」では、ファイアーエムブレムワールドで行われた人気投票の親世代、子世代ごとの上位四人に特別な一枚絵が用意された。 -「絶望の未来」編の『トラキア776』を髣髴とさせる展開も好評。本編とは別となる、断章の展開の延長線上といった絶望的な状況より始まり、独自のエンディングを迎える。これを本編に組み込んでほしかったという声も大きい。 -最後のDLC「最も強き者の名」は最後を飾るに相応しい凶悪な難易度を誇る。 --5連戦となっており、''敵全員ステータスが限界値を遥かに越えているうえ、受けるダメージを半分にし滅殺とカウンターを無効化するラスボス固有スキル『邪竜の鱗』やルナティック+敵限定スキルである「絶対命中」''といった強力なスキルをもっている等敵がありえない程強い。育成をやりつくした人用のマップと言える。 #endregion -ちなみに北米・欧州版((余談だが、DLC「紅と蒼」に登場するロイとアイクがスマブラDX→Xで入れ替わったことにちなんでか、海外版での名称は「Smash brethren」だったりする。))はDLCのパック販売による割引が行われている。発売順の問題があるとはいえ、海外版優遇は今作でも健在。 --本作の海外版以降、任天堂はDLCの価格を抑えめにし多数の要素を詰め込んだパック販売を基本とするようになった。初のDLC採用ゆえの宿命ではあるが、現在本作のDLCの割高感は後発の任天堂作品に比べかなり際立っている。 ---- **問題点 ***ゲームバランス面 -単調なマップ --本作のストーリー上のマップは「ただ広大なフィールドに援軍出現用の砦が点在している」「勝利条件は敵の殲滅(敵将撃破か敵の全滅)」「敵の行動パターンはこちらに向かって突撃してくるだけ」というものがほとんど。「マップの地形やギミックを利用して攻略していく」「敵の殲滅が勝利条件ではない」という変わったマップは僅かなため、戦闘能力が強いユニットで殴るだけという単調で戦略性の薄い展開になりがち。 ---また、村訪問・宝箱の回収・特殊なイベント等も少なく、状態異常の杖・アーチ・索敵マップ等はそもそも存在さえしない。 --そうした傾向はゲームを進めるごとに強くなっていき、中盤からは地形が左右対称のものもたびたび登場。終盤は大量の増援で無理やりプレイヤーに進軍を急がせるというものが多い。特に広いマップで砦が点在している19章や、こちらからは攻撃できない壁の向こうから遠距離魔法で狙撃してくる21章などが顕著。 ---終章はまさかの''無限増援''であり、更に敵が非常に強いため、じっくり策を練って進軍している余裕は一切ない。とはいえ、ここ以外はいずれ増援が尽きるようにできているので、ひたすら増援と戦い続ければそのうち敵軍は尽きる。 --一方でストーリー攻略に必須ではない外伝マップには、過去作の様に複合的とはいかずとも本編マップにはないトリッキーなギミックがいくらか見られることから、本編の単純化は意図的なものとも取れる。 -「地雷戦術」を推奨する非戦略的なゲームバランス --前述の通りマップの構造にかなり問題があるため、出現したターンに突撃してくる増援と、それに連動して他のユニットも突撃してくるというAIも相まって、「いつの間にか大量の敵に囲まれている」という状況になることが多く、こうなると全方位からの物量で潰されて防御力の弱いユニットのロストは避けられない。 ---「狭い通路に防御力の高いユニットを配置して足止めし、後方から少しずつ削る」「地形を利用したヒット・アンド・アウェイ」といったじっくりと進軍する戦術はデメリットが多く取りづらくなっている。 --そのため今作では「''育てた強力なユニットをダブルで強化し、敵陣に特攻させて攻撃してくる敵を反撃で処理する''」という、通称「''地雷戦術''」が最も効率的な戦法とされる。 ---地雷戦術は反撃で敵を殲滅するため、遠近両距離から反撃可能な魔法や手槍・手斧が有効であり、これらの武器が使えないキャラは一気に不遇と化す。 ---特に与えたダメージの半分HPが回復する「''リザイア''」は敵ターン中にも回復可能(戦闘しているだけで勝手に回復していく)ためこの戦術に相性抜群。リザイアが使えるダークマージは、マイユニットを後衛に置くとスキルまで噛み合い恐ろしく強い。 ---他には発生すると同じく与ダメージの半分回復するスキル「太陽」もよく使われる。 --なお、育成を極めた場合であっても「疾風迅雷で一方的に敵(特に危険なカウンターや奥義持ち)を倒しつつ敵陣の奥まで切り込み、カウンターを受けない場所で地雷する」というやはり同じく地雷戦術となる。 --このように、「経験値を数人のエースに集中させ敵陣の真っ只中でひたすら[[無双>真・三國無双]]させる」プレイスタイルが常套手段になってしまうのは「戦略」シュミレーションとして問題と言わざるをえないだろう。 ---ユニットが育ってくる中盤以降は、オールマイティに強く育つマイユニット1人で敵を全滅できることもしばしば。 ---ただし序盤は限られた戦力でどう戦うかという戦略が問われる場面が比較的多く、外伝17((敵の全滅が勝利条件だが、登場するNPCをクリアまで生かしておかなければ仲間にならない。そのため複数の味方ユニットでNPCを囲んで壁を作る必要があり、強ユニット1体による地雷戦術が成立しない。))のようにバランスよく育てたユニットが多数いなければ攻略が難しいマップも一部存在する。 -ダブル・デュアルによるステータスのインフレ --本作の目玉システムだが、ゲームが進むにつれダブルによるステータス強化幅やデュアルの発生率がバランスを崩すほど高くなる。低難易度ならこれを利用するだけで簡単に攻略できるほど強力。逆に高難易度ではこれを利用しなければまず勝てない。 --デュアルアタック・ガードは本作のテーマである「絆」の表現となっているが、その実態は全味方ユニットが支援効果として敵に一方的な追加攻撃を行い、確率であらゆる攻撃を完全に無効化するできるというもの。いくらなんでも凶悪すぎる。 ---また、ダブルによるステータス強化値(大体2~4種の能力にかかる)は序盤では高くても4程度だが、終盤には補正のかかる能力値も増え特化した能力は8~9程まで補正できる。デュアルの発生率は終盤にはアタックが80%・ガードが30%程度にまでインフレする。 ---対してダブルのデメリットはユニットの頭数が減ることぐらい。それも、前述の通り育ったユニットの数が少ないことで困る場面はほとんど無い。 --FEの数値設定では1の数値が戦闘の勝敗を分けることもあり、最大パラメーターもHPは60、その他は20~30が普通だったのだが、今作は『暁』以上の枠を外れたインフレが発生している。 ---幸運のパラメータが普通に育成していても30~40に達し、スキル補強や親の組み合わせによっては50超すら可能と言えばそのインフレっぷりが分かるだろうか。ちなみに発動率が幸運×2倍というスキルも存在する。 ---それでも基本システムや各種計算式は従来とほぼ変わらないため、これらの要素がそのまま''戦闘バランスを非常に大雑把にする要因''となっている。 --これらのバランスに加えチェンジプルフにより無限育成が可能となった事も踏まえると、難易度が高くなるにつれ「''少人数に経験値を掻き集め、それらのユニットのみをダブルで運用しつつ無限育成''」という、「絆」や「戦略」とはなんぞやというスタイル以外では攻略が厳しくなってくる。 --このように強力なものであるためかこのシステムは味方専用。確かに過去作でも担ぐ、救出といった味方と合流するコマンドは味方独自のものだったが、今作では味方だけにメリットが生じているため、その点を疑問視する声も見られる。 -最高難易度「ルナティック+(プラス)」の雑な調整 --ルナティック準拠の敵陣営に加え、「カウンター」「絶対命中(強制的に命中率が100%になる)」「すり抜け(自軍キャラを通過して移動できる)」「月光+(原則必ず発動する相手の守備・魔防を半分にする攻撃)」などのバランス崩壊レベルの強力なスキルが、全ての敵ユニットに''ランダム''に2個装着される。 ---この「ランダム」というのが何より問題であり、2章のハンマー持ち戦士に「絶対命中と月光+」などを筆頭に手出しできなくなるほど凶悪な組み合わせになる場合もある一方で「大盾(技%発動で剣、槍、斧、獣石の受けるダメージを半減)」と「大盾+(100%発動する大盾)」を同時に装着するなどの全く無意味な組み合わせになることまである手抜き仕様。そのため、現時点では''敵のスキルがあまり強くないようにするまでリセット''という、所謂「運頼み」な攻略が最も有効になってしまっている。熾烈ながらも緻密な戦略を要めることで大きな人気を博した『新紋章』とはまさに対照的で、クリアしても達成感は薄い。 ---無論、遭遇戦も同じであり、本編以上の強さの敵がランダムにスキルを搭載しているため、例えフルカン育成をしていたとしても、疾風迅雷持ち以外は場合によっては戦う事すら許されない((開幕から月光+やカウンター持ちの集団が全員突撃してくるため、敵を倒した後他の敵の攻撃範囲内に残ってしまう非迅雷キャラは間違いなく死ぬ))。 ---この影響か、次回作の『if』ではルナティックを上回る難易度の実装はされなかった。 -配信チームやDLC・タイムリリース外伝のユニットは支援が組めずダブルやデュアルを活かしづらい((デュアルアタック、デュアルガードの発動率が低くなるうえ、ダブルによる能力補正も少なくなるため。))ため、本編のキャラ、特にしっかり作成した子世代と比べると最終的には見劣りしてしまう。 --本編収録キャラでも、上記の「マイユニットとしか支援が組めないキャラ」は近いことが言える。 ***シナリオ面 -シナリオ面のボリュームはやや少なめ、ストーリーも駆け足気味で唐突な展開が目立つ、とあまり完成度は高くない。 --従来作品のように1つの大きな戦いを描いているというよりは、序盤・中盤・後半の3つの戦いがぶつ切りに展開されるといった感じで、スケールの割に壮大さは感じられない。 --特に中盤の「ヴァルム帝国編」に対しては、その必要性を疑問視する声も。 ---ヴァルム大陸出身者が味方にいるにもかかわらずストーリーにほとんど関わってこない、大陸全土を巻き込んだ戦いなのにトントン拍子で戦局が進む、何よりヴァルム帝国そのものがラスボスを含む本筋とあまり関係ない、など。 --「覚醒の儀」や9章のとある出来事、前述したマイユニットの策略など、イベント描写への突っ込みどころも多い。 --前述の件も含め、シナリオ全体の説明不足が目立つ。本編攻略中、クリア後等に言及されてはいるのだがその説明が極端に少なく、注意して読まないと見逃しがちになってしまう。シナリオを見返す機能も無いため、見逃してしまったら訳が分からないまま進むことになってしまう事も。 --外伝の挿入されるタイミングがおかしい。 ---外伝章のあらすじは本編章に対応するサイドストーリーではないため、話とまったく関係ない外伝がぽっと出てくる。そもそも従来のように「第○章外伝」ではなく「外伝○」と完全に本編と独立している。 ---また、いかなるシナリオであっても『聖魔』のようにフリーマップの使用が制限される事が全くない。そのため「異国で敵の追手から逃げている最中に自分の城まで戻って買い物できる」という妙なシチュエーションが成立してしまう。 -世界観・設定が薄い --各国の文化や風土、王族や各勢力の細かな事情、本編で見られる因縁となった出来事、などの説明が本編のみでは不十分。 --過去作ではマップ攻略前にナレーションが入り、そこで様々な事情を説明することも多かった。今作は章前ナレーションが廃止されフリーマップ上で5行程度のあらすじを語るのみとなっている。 --また、攻略の中で世界観に深みを与える要素である村や民家、特殊イベント、章ごとの拠点会話などの消滅・激減も世界観の薄さに拍車をかけている。 --「百万の軍勢」などテキストでしか分からない説明不足な部分も多く、「南の街」や「北の街道」などと固有地名等による装飾も薄い。 -旧作とのつながりがあまり活かされていない --概要で述べた世界観を共有した要素の多くは、ストーリー上はほとんど存在する必要性が無い。新規ユーザーへの配慮としては頷けるものだが、発売前のいわゆる客寄せパンダ的な扱いに不満を述べる声も少なくなかった。 --また、前述の通り後に『蒼炎』の主人公・アイクの末裔を名乗るキャラが追加されたが、これに関しては『暗黒竜』の世界観とすら関係ないうえにそもそも何故登場させたのかという感が強く、評価は芳しくない。 ---挙句「(クロム親子や配信されているアイクの技として)実装されているのに天空を覚えない」「モーションの使い回しのせいで、ラグネルの間接攻撃が衝撃波ではなく''投げつけ''」といった要素がネタにされる。 --同じく『蒼炎』からの類似要素であるタグエルやシリーズ恒例のマムクートに関しても、ストーリーに関わってくるどころか作中においてほとんど掘り下げられない。 ---特に本作新規の設定であるタグエルに関しては補完のしようもなく、「とりあえず出した」程度の存在となってしまっている。 --また『聖戦』に登場した聖戦士の武器と同名の武器が本編で敵ユニットの所持品として登場するが、そのことに関する説明は全くない。ラグネルや『烈火の剣』の神器ともども、魔符と同じく名前が同じだけのバッタモンと割りきってしまえばそれまでであるが。 --以上のようなストーリーに対する不満はスタッフも把握しているようで、[[「社長が訊く『ファイアーエムブレムif』」>http://www.nintendo.co.jp/3ds/interview/bfwj/vol1/index2.html]]でも言及されている。 -「いつの間に通信」で配信される無料DLCである追加外伝マップの中に、''劇中で死亡したはずのキャラや敵キャラを仲間に加えることができるマップ''がある。 --しかし完全な後付設定であり強引な展開が多いこともあり、ファンサービスを喜ぶよりも「蛇足」「ストーリーが安っぽくなった」「死にシビアなFEらしくない」という批判が強い。 --特にある重要キャラの生存は、序盤の山場でありムービーまで使っている熱いシーンが台無しになってしまったという不満も多い((もっとも再会後のそのキャラは、言葉をほとんど喋れなくなってしまっている上に記憶も無くしているため、過去のそのキャラは「死んだ」と言っても良い状態ではあるが。))。 --また、この追加外伝キャラは本編の一部キャラ同様マイユニットとしか支援が組めず、血縁者や因縁のある人物との描写は外伝マップでの会話(発生は任意)と、みんなの部屋の会話だけで済ませている。 --(加入は本編の範疇内ではあるが)『封印』のトライアルマップや『聖魔』の敵対ユニット加入などと同様に、完全なおまけ要素と割り切るべきかもしれない。 ***その他 -支援関係 --主人公であるクロムの結婚相手の候補がやけに少なく、それぞれの組み合わせによる描写の格差も大きい。 ---スミア(と、しばしば『絆』を強調される女性マイユニット)以外はメインシナリオ中に恋愛フラグとなり得るような描写がなく、この二人以外は結婚相手としての印象が薄くなりがち。 ---そのうちの一人であるオリヴィエにいたっては、オリヴィエの加入章終了時にクロムがもっとも支援ポイントの高い相手と結婚するため、クロムとオリヴィエを結婚させるなら「彼女以外の候補をすべて結婚させる」、もしくは「クロムとの支援ポイントを0にするため隣接・ダブル・回復の杖の使用などを使わない」といった戦略的に大きな制限のかかるプレイをすることとなる((普通にプレイしていてオリヴィエと結婚するというケースはかなり稀なので、半ば隠し要素として設定されたのかもしれない。))。 --そのスミアもなぜか支援相手が異様に少なく(マイユニ男含めて5人だけ)、結婚できる相手が非常に限られている。 ---そのため、彼女が結婚できる相手を全員他の女性キャラとくっつけてしまった場合、彼女の独身が確定してしまい、彼女の子供が仲間に出来なくなってしまう。この件に関して、何故か救済措置は一切存在せず((同じく結婚相手が限られているクロムの場合は、モブの村娘と勝手に結婚する。))、自由な結婚やカップリングを推しているシステムに真っ向から喧嘩を売るような形になってしまっている。 ---スミアは元々PVのようにクロムと固定だったのを、急遽自由に結婚できるシステム変更したため作業が間に合わなかったのではという推測が主流。 --一部の中盤以降に仲間になるキャラはマイユニットしか支援相手がいない。 --父親と子供の支援会話などは内容を使い回しているため、不自然になることが多い(10人以上いる父親候補全てに固有の会話を作れ、というのも作業量的に無理はあるが)。 ---DLC「絶望の未来」シリーズでは父親ごとに会話の内容が変わるようになった。しかし、DLCより本編でも頑張ってほしかったという声も多い。 --支援会話を起こす順番によっては不自然な展開になることが多い。 ---ティアモはクロムに恋しているという設定だが、結婚前も結婚後も支援会話は同一内容になってしまっているせいで、別の人物と結婚した後でも……~ なのに、''そのクロムとは支援すら出来ない''。つまり必ず悲恋に終わる運命にある。彼女はクロムと結ばれないのが分かっているように身をわきまえているのだが、ゲーム中ではその理由が判明せず、ニンテンドードリームにて「スミアのために身を引いている」と解説されることとなった。同じく主人公に恋をし、そして報われない初代のペガサスナイトであるカチュアを踏襲しているからとの見方もあるが、やはり初代と違って恋愛がかなり自由である今作においては批判は多い。 ---支援会話のシステム上仕方のないところはあるが、同じ話題の繰り返しで不自然になる、というのは決して無視できない。~ シャンブレーは戦いを怖がる気弱な性格で、支援レベルを上げる度に気弱さを克服して男を見せるという流れだが、当然別のキャラの支援レベルではその流れは反映されないので……と言った具合。 -ユニットの戦闘グラフィックの使い回しから一部のクラスは誰がなっても和風というミスマッチな格好となってしまったり((ソンシン出身のユニットは元々和風の姿をしているが、それとは関係なしにどの国のユニットでも和風の姿である。))、勇者やジェネラルは単純に奇妙なデザインだったりする。 --これも自由なクラスチェンジの弊害ではあるが、もう少し汎用的に通るグラフィックにすべきであったとも言えるだろう。 --モブ兵で無いユニットは兜を外す仕様のため、DLCマップに登場する漆黒の騎士が原作の盛大なネタバレをやらかしてしまったりしている。~ おまけに3Dモデル自体は汎用なので''黒くない''、持ち武器であった剣がジェネラルだと使えない(これはシステム上已むを得ないが)などとにかく悲惨。いっそのこと漆黒の騎士としてではなく中の人の名義で出しておけば良かったのではないだろうか。 -育成要素に富んでいても、プレイヤー同士の手動対戦が出来ない。 --対戦要素はデュアルタッグとすれちがい通信があるが、両方ともプレイヤーの思考が関わらない、自動的な対戦である。 ---対戦だけでなく、『聖魔』のラグドゥ遺跡のような育成しきったユニットを活かすような場面は殆どない。 --そもそもFEというゲームがあまり対戦向きではないため、実装されても評価は難しかったかもしれないが。 -すれちがい通信で相手に送信できるメッセージの漢字入力が若干面倒。 --ひらがなから漢字に変換することができない。GBA時代の作品では出来た要素であるため、不親切さが目立っている。 --漢字は一覧から探す必要があるのだが、訓読みに対応していないため探すのに少々手間取る。技術的都合で出来なかったのかもしれないが…… -また、すれちがい通信で対戦が可能なのは前述のとおりだが、本編中に組み込まれているため&bold(){クラシックモードで敗北した場合、容赦なくロストする}。 ---- **総評 -長らく完全新作が出ていなかったこと、そして「超集大成」と銘打ったことで非常に大きな期待を寄せられた一作。~ 発売当初は概ね高評価で迎えられたものの、次第にこれまでのFEとコンセプト自体が極端に異なった内容が賛否を分けることになる。 --新旧問わず多彩な要素を盛り込んだ結果として、本作はキャラクター性を重視した複雑な作りに仕上がっている。~ その代償なのかシリーズの核であった「シンプルで奥深い戦術性」・攻略の面白さにかけては劣化したと言わざるを得ない形になった。この点に関してシリーズ屈指のものがあった前作の『新・紋章』からの落差を残念がる声は相当に大きい。 --また、「紋章の謎」や「外伝」との繋がりを含めた世界観の描写も不十分となり、そちらに期待していたシリーズファンの失望を誘発してしまった。一方で育成の面白さやキャラクター同士の掛け合いなど、新規のユーザーに受けた部分も多い。~ ゲームテンポ・ビジュアル・ボリュームなどの基礎も全体的に高レベルで、良い部分と悪い部分が明確に分かれた形になっている。 -セールス面でも国内で[[2012年末までで約45万本>http://www.4gamer.net/games/999/G999903/20130125003/]]という近作を大きく上回る売上を記録(紋章の75万、聖戦の49万に次ぐシリーズ三番目の売り上げ)。海外で売れた分も累計すると実に125万本にまで達している。~ 謳い文句の「集大成」というフレーズには疑問を呈さざるを得ない内容ではあるが、&u(){路線を変えての新規開拓}は十分に成功したと言える。 ---- **余談 -本作仕様の3DSを同梱した「スペシャルパック」が発売されている。 --4月14日、任天堂オンラインショップでスペシャルパックの予約を受け付けていたが、販売開始時間が告知されず、九時頃には既にサーバーエラー。カートに入れる事が出来ても商品が消失したり、次のステップに進めないトラブルが発生し、十六時頃には前触れもなく販売が終了する大問題となった。 ---スペシャルパックだけあり、多数の転売屋が転売のために購入し、当日にはオークションサイトにこれが出品されているという事態も起きた。 --次の予約日は本作の発売日、4月19日だったのもある。 --このような事態が起きたのは、一度販売方法を変えると商品表示法に触れるためである。 -操作説明書のキャラに敵キャラのインバースを起用したのは任天堂が発案である(ニンテンドードリーム2012年8月号)。 -今作にも公式によるバックグラウンドのサイトが作られた。 --しかし、マップ攻略ページのキャラに何故か『蒼炎』の序盤ボスが起用されていたり、会話のノリなど本編同様の悪ノリが表出しているため好みが分かれる。 --それだけならまだしも、内容部分がゲーム内ですでに語られている内容が多かったり、ペレジアとの因縁の原因となる戦争や屍兵の正体など作中でさえ詳細不明の要素がそのままスルーされているものもある。それどころか一部キャラの描写が本編の設定と矛盾している箇所も見受けられる。((とあるキャラとの支援会話でサーリャというキャラの家族が生存していることが分かるが、バックグラウンドではいないことになっている)) -北米では2013年2月4日に発売。北米の情報サイト『IGN』の[[発売前レビュー>http://www.ign.com/articles/2013/01/30/fire-emblem-awakening-review]]でスコア9.6を、『[[Gamespot>http://www.gamespot.com/fire-emblem-awakening/]]』では8.5を獲得しているなど、発売前の評価は上々だった。 -発売してからしばらく経ったのち、海外サイトに山上氏との対談インタビューが公開された。 --その内容は要約すると''FEの売り上げは年々低下していたため、任天堂のセールスマネージャーから「全世界でFE覚醒が25万本以上売れなければシリーズを終了させる」という宣告を受けた''という衝撃的なもの。 --シリーズの集大成として銘打たれたのも、こういった事情があったからなのだろう。なお、最終的に本作は全世界で125万本以上を売り上げるヒットを記録したため、シリーズ終了の難は逃れた。 --詳しい内容は[[こちら>http://kaigai-anime.com/?p=10428]](日本語訳サイト) -開発者へのインタビューによると、本作はそれなりに難産だったらしく、企画段階でいろいろと没になったアイデアがあった模様。 --没ネタの1つである『''和風ファイアーエムブレム''』に関しては次作である『[[ファイアーエムブレムif>ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国]]』に、『''ファイアーエムブレム2011''』なる現代戦がテーマとのアイデアは『[[幻影異聞録♯FE]]』に活かされたと考えられている。 --没ネタにはもう一つ『''ファイアーエムブレム火星''』なる、SF風のSRPGにするというものもあったらしく、一部では「この没ネタの方もいずれ使われるんじゃないだろうか」と、密かに話題になっている。 ---- **他作品への出演 -後に[[大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ]]の一作『[[大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』にて本作よりルフレ((マイユニットのデフォルト名。キャラ外観もデフォルト準拠だが、カラバリ扱いで男女を選択することが出来る。))とルキナが参戦している。 --これについてはルフレは剣と魔法を両方使えるオールラウンダーキャラということで参戦、ルキナは開発中でこそマルスのカラバリ扱いだったが「マルスが持つ剣先の強判定が消え、威力が平均化された」ことにより別個のコンパチキャラとして隠し登場。一方でクロムは既存キャラのマルス・アイクに対する特色が少なく性能区別もしづらいため参戦見送りという理由が語られている。 --そのクロムはルフレの「最後の切りふだ」や勝利ポーズ等でスポット登場している。参戦発表動画での『''「俺の出番はないのか……」→※なくはないです。''』というやり取りは良くも悪くも話題を呼んだ。 ---クロム役の杉田智和氏も、あるイベントでこれにちなんだ発言をしている。 //---弄りネタとして面白がるユーザーがいる一方で「クロムが不当に貶められている」と感じ反発するユーザーも多い。不用意に場を荒らさないためにも、できる限り''スマッシュブラザーズに関係しない場所でこの話題を出すのは慎んだほうがいいだろう。'' --2015年7月31日に剣術Miiファイターの追加コスチュームとしてクロムセットが配信された。 -2015年11月12日に発売された『[[PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD]]』では任天堂からのゲストキャラとしてクロムとルキナが出演。 -2015年12月26日に発売された『[[幻影異聞録♯FE]]』ではクロムが主人公の相棒を務めるなど、クロムの境遇については大分改善されてきている。

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