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*アトランチスの謎 【あとらんちすのなぞ】 |ジャンル|アクション|CENTER:&image2(atorantisu.jpg, width=160,http://www.amazon.co.jp/dp/B000068H56)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|384KbitROMカートリッジ|~| |発売元|サンソフト(サン電子)|~| |発売日|1986年4月17日|~| |定価|4,900円|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2008年12月2日/500Wiiポイント&br()【3DS】2013年10月2日/500円&br()【WiiU】2015年4月22日/514円&br()プロジェクトEGG:2010年5月11日/500円(税別)|~| |レーティング|【VCのみ】CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |~|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~| |ポイント|理不尽要素多すぎ(コウモリの糞にあたっただけで石化等)&br()自殺で面移動&br()明らかに&bold(){繋ぎ忘れた面}がある&br()探索型ゲームなのに目的達成しても終わらない&br()キーワード:名古屋&br()''42th ZONE! BLACK HOLE!''&br()高い自由度は評価の余地あり|~| ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー >南大西洋上のとある地点に突如として地殻変動が起こり、巨大な島が隆起し始めた。~ それから数年後、この島を調査する為に数多くの冒険者・探検家が訪れたが、誰一人無事に帰る者はいなかった。~ 程なく人々はこの島を「アトランチス」と呼んで、恐怖のあまりそこを訪れる者は誰もいなかった。~ 主人公である「ウィン」は、半人前の冒険家でありながら「アトランチス」探険に挑戦する。 > >事の起こりは彼の師匠がアトランチスで、実に半年もの間行方不明になっていたことによる。~ 訓練を十分積んだウィンは、その師匠が発明した小型爆弾「ボン」を携え、一人アトランチスへ旅立つのであった。~ だがそこには、古代帝国の復活を狙う悪の帝王「ザヴィーラ」が待ち受けているのであった。 > >(Wikipediaより) ---- **概要 独立したマップ同士がドアやワープゾーンによって繋がっているタイプの、ステージクリア型アクションゲーム。~ 冒険家ウィンを操作し、行方不明になった師匠を探してアトランチス島を冒険する。 ---- **問題点 この作品のクソゲー要素を簡潔にまとめると「''爽快感がなく、理不尽な要素てんこ盛りのムズゲー''」である。~ 主人公の操作、敵、時間制限、ステージ構成と全ての方向で隙が無い。 -主人公の操作、特に多用するジャンプが、空中での動きの制御ができない(厳密には全くできないわけではなく、ジャンプ後レバーを逆に入れると飛距離をわずかだが短くすることができる。)上に、穴に落ちると即死。~ そしてその穴がやたらと多く、ステージによっては足場の方がむしろ少ないという苛烈なバランスである。 --さらに、一部のステージの地面は滑るようになっており、より苛烈なものになっている。 --一応、無敵化アイテムもあるのだが、落下死や時間切れで死ぬと取ったアイテムもいくつか消えてしまう。 -武器は「ボン」という爆弾。 --敵を倒したり扉を開けたりするのに使うのだが、ボタンを押してから爆発までタイムラグがあり、地上を歩く敵へは爆風のみ有効((当たり判定はあるので、直接ぶつければその場に落ちる))。飛行系の敵へは爆弾を直接当てても有効だが、まっすぐ飛ばないうえ攻撃範囲も狭い((強化アイテム「S」を取れば全画面攻撃になるのでこれは解決できる))ので当てにくいなど、これまたジャンプ同様非常に制御が難しい。さらに爆弾なので爆発に巻き込まれると敵に当たったときと同様にミスになる。((ただし敵味方で喰らい判定が異なり、敵は爆風に触れただけで死ぬが主人公は直接爆弾に触れるほど近づかなければ大丈夫である。)) --この爆弾で自爆して床をすり抜け下の扉に入る「ボンワープ」や「自爆ワープ」などと呼ばれるテクニックもあり、成功すれば残機も減らない。((これはスタッフの意図した仕様らしく、これでないと入れない扉や取れない(「周囲を露骨にブロックで囲んである」など設定ミスとも思えない)アイテムがある他、アイテムの失われる条件に区別しなくてもよさそうな「自爆」と「敵に接触」が別々に存在する。)) -各所に落ちている「宝箱」を開けると得点になり(100万点から1点まで非常にバラバラ)、ゲームの目的の1つでもあるはずなのだが、それ自体はゲームの進行そのものにはまったく関係しない。~ (現実的に入手できるかどうかは別として)合計200個あり、ゲームオーバー時に入手数が表示される。 --100000点ごとに1UPするため全く無駄だというわけではない。~ また、機数が9機でカンストしてしまうためあえて宝箱を取らずに先に進み、機数が減ってから逆走して宝箱を取りに行くというテクニックもある。 ---なお、点数は9999999点でカウンターストップしてしまい、それ以降は点数が増えないために残機を増やす機会が無くなってしまう。 -''全100ステージ''という、この世代としては広大な設定は良いのだが、特定のアイテムが無いと常人ではとても攻略できない(アイテムがあってさえかなり難しい)ステージも多数存在する。~ また、移動のための扉には見えないものも多い。空中で爆弾を爆発させないと出現しない、通常なら死ぬ「穴」の中にある、一番高いところから何もない方向へ思い切ってジャンプしたその先に雲とドアがある、特定の場所でわざと自爆することでしか入れない((そのドアが見えているのはまだいいほうで、床の下の見えないドアに入るというのもある))などというものもザラ。 --加えて、真っ暗な足場のない''入っただけでゲームオーバー確定になる(延々落ちて死ぬだけの)面につながっているものすらあり、''面数が「42」であることから「&ruby(しに){42}TH((いちいちツッコミが入ることは少ないが、正しい英語での表記は「42nd」である。英語で序数を表記する場合は、下1桁が1,2,3の場合(下2桁が11,12,13の場合を除く)は末尾が~1st,~2nd,~3rdとするのが正しいのだが、本作品では4面以降は全て~thで表記されている。とはいえ、こればかりは当時の容量の少なさの関係上致し方ない面もあるのだが。)) ZONE!」等と言われている。~ こういったあまりにも不条理すぎる要素が至る所に存在する。 ---ただし、42th ZONE!に行く扉は5か所のみで、そのうちの4か所は元のゾーンから出てきたスタート地点で、普通の方法では開けられない扉である。つまり、普通の冒険ではあり得ないことをやっていることへのペナルティとして考えられる。ゲームバランス云々というより、ネタやトラウマ要素と考えるべきだろう。 --しかも「''繋ぎ忘れ''」と思われるステージが3つ(55,59,84)あり、裏技のステージセレクトを使わなければ行く事はできない。 ---ゾーン55と59は相互に行き来が可能。 ---ゾーン59への扉はゾーン50で発見されたが、閉じた状態の隠し扉が壁の中に存在する形となっているため実質入ることは出来ない。おそらく設定ミスであろう。 -アイテムの能力が「画面全体攻撃」や「無敵化」などの極端すぎるものがあるかと思えば、「爆弾で暗黒ステージを一瞬だけ明るくできる」という(無いと地獄だが)微妙に楽しくないアイテム、あるいは十字ボタンの上を押すと3点ずつ入ったり、IIコンのマイクで敵の動きが止まったりなど効果が微妙すぎるものまで、バランス面で不条理なものがいろいろ存在する。 -ストーリー的な面で盛り上がりに欠ける。 --ファイナルゾーンは魔王ザヴィーラが登場するのだが「壁の人面像達が次々火を吐いてくる」というもので、ラスボスというより宝の部屋の罠と言った方が近い姿。ついでに対決的な要素はなく、宝のダイヤ(高得点アイテム)をとるとザヴィーラの攻撃が止まって石になっていた師匠が元に戻るというもの。 --ここでエンディング突入なら冒険ものとしておかしいレベルではないのだが、実際は師匠が嬉しそうに動き続けるだけで何も起きず、ゲームもそのまま続行できるのだが、だからといって何をすればいいのかよく分からないという微妙な展開になる(この後99面に戻るとそれまでなかった序盤に戻る扉が登場するのだが、これ以外どの面に戻っても何も変化はない)。 --また、「アトランチスの謎」という含みのあるタイトルの意味や、師匠がどういった経緯でアトランチスに向い囚われたのかなどは結局のところ、クリアしてもさっぱり不明である。ファミコンカセットの容量の少なさゆえ多くの事を描写しきれないのは仕方ないだろうが、せめてエンディングメッセージの一言でも欲しかったところである。 //投げっぱなしにする事を「謎」の一文字で済ませてるつもりなのだろうか。 --あるステージ(中盤)では、なぜか''空にスタッフ名のクレジットが浮かんでいる。''スタッフロールが存在しないため、その代わりだろうか? -ゾーン57とゾーン94の背景は常に激しく点滅している、''所謂ポケモンフラッシュ。''((ゾーン57は緑色に、ゾーン94は赤色に点滅。)) --当時は特に問題視されていなかったが、ポケモンショック以降の現在では点滅表現自体が大きく問題視されており、間違いなく回収ものである。プレイ時は体調に気を付けること。 --当然バーチャルコンソール版では修正されているので、そこは安心して大丈夫。 ---- **評価点 -基本的にクソゲーに分類して差し支えないタイトルなのだが、複雑に繋がった多数のマップを探索するステージクリア型アクションゲームというのは、当時は類例が希少だった。~ それに加えて理不尽ながらも高い難易度と自由度を併せ持つ作品でもあるので、一部のファンからはむしろ高く評価されていたりもする。 -故に制御は難しい反面、操作は単調で非常に解りやすい。そのため熱狂的なファンも存在し、全ゾーン攻略や最短攻略、全宝箱回収を楽しむ者もいる。 --繋いでいないステージがあるため、通常だと194個しか回収できないが、面移動バグで200個回収することができる。 --改造版も動画で多数投稿されており(有名なものだと「アトランチスぬ謎」や「アトランチスの逆襲」)、『[[たけしの挑戦状]]』と同様にファンに愛されているゲームのひとつでもある。 -『[[トランスフォーマー コンボイの謎]]』の様に敵の攻撃が激しいような理不尽さは幸いして無い。(ファイナルゾーンは弾幕が如く弾が飛ぶのでやや難しい。)経験やテクニックさえ掴んでおけば進めなくは無い難易度ではある。ある意味この要素は『[[スペランカー]]』に近い。%%あちらもコウモリの糞で死ぬが。%% //ダギーラ(ミイラ)は爆風3発で倒せる -初期のプレイヤーストックは7体と異例の多さのため操作に慣れるという点では非常に親切。同じ横スクロールゲームである『[[魔界村]]』は残基数が2体な上、ゲームをスタートするたびにいちいち10秒程度のオープニングを見なくてはならないので、死にゲーとしては十分評価できる。 -上述の通り、ステージ数がムダに多いが、ファイナルゾーンを攻略する(だけ)なら、たった10面分通るだけで攻略可能。 --これだけ不条理なゲームながら、当時は最短ルート探しに熱を上げる者も多かったという。 -構成の似ている面が多いにもかかわらず、背景を変えたり、滑りやすさを付けたり、真っ暗にしたりと随所に工夫点がみられる。 -BGMはファミコンのこの世代としてはかなりの完成度で(宝箱を取る時にその効果音で途切れてしまうが)この部分の評価も非常に高い。ピアノの速弾きを思わせるようなメロディであり、どれも疾走感がある。~ ステージのBGMは3曲しかないが、ステージ開始、ゲームオーバーの際のBGMも良質であり、同時期に発売された他のゲームと比較して極端に曲数が少ないわけではない。 ---- **総評 独立したマップ同士を行き来する探索型ゲームという、当時としては新しい作風であり意欲的と評価できる点もあるにはあるのだが、いかんせん作りが雑すぎて難易度の高さや理不尽さの方が際立ってしまっており、『[[スーパーマリオブラザーズ]]』発売後の登場だったこともあり、後発のゲームとしてどうしても見劣りするという評価しか得られなかった。 一方、雑な作りながらもいい意味で高い難易度と自由度を併せ持ったその作風は一定のファンを得ており、それなりに評価されている作品でもある。 ---- **余談 -苦労して探し当てた主人公の師匠だが、その姿は『[[いっき]]』の主人公・ごんべの流用である。 -上記の部分では「ミスになる」と便宜上書いてあるが、実際の処理上は「主人公が画面下端に落下」以外のミスは存在しないらしく、敵に触れたり自爆したりタイムアウトになると「硬直して地形すり抜け状態になる」という状態異常になって画面下端に落下することでミスの演出をしている。 --自爆ワープで残機が減らないほか、「ミス時の効果音」とされる音が落下死のみ鳴らないのがその証拠。 -ゾーン20では背景に''「KEY WORD -NAGOYA-」''と文字が表示されている。これはその文字の下にある3つのモアイの左から頭上でボンを7回、5回、8回投げるとファイナルゾーンへワープするギミックのヒントである。 --ちなみにこれでワープしたファイナルゾーンは通常のファイナルゾーンとは異なり、狭い部屋の中で巨大な魔王ザヴィーラが存在するというもの。主人公がそこを通過すると400万点もの大量ボーナスが獲得できる(「2」アイテム所持で倍の800万点が得られる)。 --なお、当時のサン電子の本社の住所は愛知県江南市であり、名古屋市ではない。((だが、その後2018年に本社機構を名古屋市に移転し、旧本社は同社の江南事業所として存続している。)) -裏技はステージセレクトの他、残機が減らなくなるフリープレイや無敵になるアイテムを最初から所持しているモード等が存在する。 --もっともフリープレイや無敵を使ってもそう簡単にはクリアできない難易度なのだが…。 -そもそもタイトルが「アトランティス」ではなく「''アトランチス''」であるという時点で既に地雷臭がする(うさん臭い)、と指摘する声も存在する。&br;(一応、本来日本語には「ティ」の発音が無いので「Ti」を「チ」と訳すケースはある。例:「チタン(Titan)」など。) --ただ有名どころでは『大長編ドラえもん のび太の海底鬼岩城』(1983年)でも同様に「アトランチス」となっている。一方で『キン肉マン』(1982年)では「アトランティス」というキャラが登場している。本作の時代(1986年)はまだ表記が混在していたのであり、別段本作だけが古い表記を採用していたわけではない。 --もっともそのお陰でタイトルに独自性があり、現代のインターネットの検索エンジンでも探すのが非常に容易である。 //-横視点のジャンプアクションとして見てしまうと、あの世紀の名作『[[スーパーマリオブラザーズ]]』が、BGMやキャラクター、隠し要素などなど極めて高水準にまとまったゲームであったため、後発のゲームとしてどうしても見劣りするという評価しか得ることはできなかった。 -サン電子(当時)の次回作は『かんしゃく玉投げカン太郎の東海道五十三次』。探索要素はほとんど無くなったが、この作品と同様に爆弾を武器にアイテムを集めつつ進んでいく横スクロールゲームであり、後の『[[水戸黄門>天下の御意見番 水戸黄門]]』に繋がるようなゲームである。こちらは正統派アクションゲームとしてかなりの進化を遂げた良作と言ってもいい出来だが、相変わらず難しい。 -同社製のゲーム『[[マドゥーラの翼]]』のゲームコミック版で、''上記の42TH ZONEがネタにされている''。 --''更に本ソフトの主人公とラスボスまで出演''。悪ノリここに極まれりである。 -2013年に一二三書房(桜ノ杜ぶんこ)より、小説「アトランチスの謎 復活のザヴィーラ」としてまさかの発売。 --ストーリーは原作の続きになっている。 --また、ウィンが石になったのになぜ最初に戻って復活するのかについて、面白い解釈がなされている。 -どういうわけか「[[ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ>復刻版ミニゲーム機収録タイトルリンク]]」には数多くの名作に混じってこのゲームが収録されている。 --『[[ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online>ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online/スーパーファミコン Nintendo Switch Online]]』にも収録されている。
*アトランチスの謎 【あとらんちすのなぞ】 |ジャンル|アクション|CENTER:&image2(atorantisu.jpg, width=160,http://www.amazon.co.jp/dp/B000068H56)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|384KbitROMカートリッジ|~| |発売元|サンソフト(サン電子)|~| |発売日|1986年4月17日|~| |定価|4,900円|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2008年12月2日/500Wiiポイント&br()【3DS】2013年10月2日/500円&br()【WiiU】2015年4月22日/514円&br()プロジェクトEGG:2010年5月11日/500円(税別)|~| |レーティング|【VCのみ】CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |~|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~| |ポイント|理不尽要素多すぎ(コウモリの糞にあたっただけで石化等)&br()自殺で面移動&br()明らかに&bold(){繋ぎ忘れた面}がある&br()探索型ゲームなのに目的達成しても終わらない&br()キーワード:名古屋&br()''42th ZONE! BLACK HOLE!''&br()高い自由度は評価の余地あり|~| ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー >南大西洋上のとある地点に突如として地殻変動が起こり、巨大な島が隆起し始めた。~ それから数年後、この島を調査する為に数多くの冒険者・探検家が訪れたが、誰一人無事に帰る者はいなかった。~ 程なく人々はこの島を「アトランチス」と呼んで、恐怖のあまりそこを訪れる者は誰もいなかった。~ 主人公である「ウィン」は、半人前の冒険家でありながら「アトランチス」探険に挑戦する。 > >事の起こりは彼の師匠がアトランチスで、実に半年もの間行方不明になっていたことによる。~ 訓練を十分積んだウィンは、その師匠が発明した小型爆弾「ボン」を携え、一人アトランチスへ旅立つのであった。~ だがそこには、古代帝国の復活を狙う悪の帝王「ザヴィーラ」が待ち受けているのであった。 > >(Wikipediaより) ---- **概要 独立したマップ同士がドアやワープゾーンによって繋がっているタイプの、ステージクリア型アクションゲーム。~ 冒険家ウィンを操作し、行方不明になった師匠を探してアトランチス島を冒険する。 ---- **問題点 この作品のクソゲー要素を簡潔にまとめると「''爽快感がなく、理不尽な要素てんこ盛りのムズゲー''」である。~ 主人公の操作、敵、時間制限、ステージ構成と全ての方向で隙が無い。 -主人公の操作、特に多用するジャンプが、空中での動きの制御ができない(厳密には全くできないわけではなく、ジャンプ後レバーを逆に入れると飛距離をわずかだが短くすることができる。)上に、穴に落ちると即死。~ そしてその穴がやたらと多く、ステージによっては足場の方がむしろ少ないという苛烈なバランスである。 --さらに、一部のステージの地面は滑るようになっており、より苛烈なものになっている。 --一応、無敵化アイテムもあるのだが、落下死や時間切れで死ぬと取ったアイテムもいくつか消えてしまう。 -武器は「ボン」という爆弾。 --敵を倒したり扉を開けたりするのに使うのだが、ボタンを押してから爆発までタイムラグがあり、地上を歩く敵へは爆風のみ有効((当たり判定はあるので、直接ぶつければその場に落ちる))。飛行系の敵へは爆弾を直接当てても有効だが、まっすぐ飛ばないうえ攻撃範囲も狭い((強化アイテム「S」を取れば全画面攻撃になるのでこれは解決できる))ので当てにくいなど、これまたジャンプ同様非常に制御が難しい。さらに爆弾なので爆発に巻き込まれると敵に当たったときと同様にミスになる。((ただし敵味方で喰らい判定が異なり、敵は爆風に触れただけで死ぬが主人公は直接爆弾に触れるほど近づかなければ大丈夫である。)) --この爆弾で自爆して床をすり抜け下の扉に入る「ボンワープ」や「自爆ワープ」などと呼ばれるテクニックもあり、成功すれば残機も減らない。((これはスタッフの意図した仕様らしく、これでないと入れない扉や取れない(「周囲を露骨にブロックで囲んである」など設定ミスとも思えない)アイテムがある他、アイテムの失われる条件に区別しなくてもよさそうな「自爆」と「敵に接触」が別々に存在する。)) -各所に落ちている「宝箱」を開けると得点になり(100万点から1点まで非常にバラバラ)、ゲームの目的の1つでもあるはずなのだが、それ自体はゲームの進行そのものにはまったく関係しない。~ (現実的に入手できるかどうかは別として)合計200個あり、ゲームオーバー時に入手数が表示される。 --100000点ごとに1UPするため全く無駄だというわけではない。~ また、機数が9機でカンストしてしまうためあえて宝箱を取らずに先に進み、機数が減ってから逆走して宝箱を取りに行くというテクニックもある。 ---なお、点数は9999999点でカウンターストップしてしまい、それ以降は点数が増えないために残機を増やす機会が無くなってしまう。 -''全100ステージ''という、この世代としては広大な設定は良いのだが、特定のアイテムが無いと常人ではとても攻略できない(アイテムがあってさえかなり難しい)ステージも多数存在する。~ また、移動のための扉には見えないものも多い。空中で爆弾を爆発させないと出現しない、通常なら死ぬ「穴」の中にある、一番高いところから何もない方向へ思い切ってジャンプしたその先に雲とドアがある、特定の場所でわざと自爆することでしか入れない((そのドアが見えているのはまだいいほうで、床の下の見えないドアに入るというのもある))などというものもザラ。 --加えて、真っ暗な足場のない''入っただけでゲームオーバー確定になる(延々落ちて死ぬだけの)面につながっているものすらあり、''面数が「42」であることから「&ruby(しに){42}TH((いちいちツッコミが入ることは少ないが、正しい英語での表記は「42nd」である。英語で序数を表記する場合は、下1桁が1,2,3の場合(下2桁が11,12,13の場合を除く)は末尾が~1st,~2nd,~3rdとするのが正しいのだが、本作品では4面以降は全て~thで表記されている。とはいえ、こればかりは当時の容量の少なさの関係上致し方ない面もあるのだが。)) ZONE!」等と言われている。~ こういったあまりにも不条理すぎる要素が至る所に存在する。 ---ただし、42th ZONE!に行く扉は5か所のみで、そのうちの4か所は元のゾーンから出てきたスタート地点で、普通の方法では開けられない扉である。つまり、普通の冒険ではあり得ないことをやっていることへのペナルティとして考えられる。ゲームバランス云々というより、ネタやトラウマ要素と考えるべきだろう。 --しかも「''繋ぎ忘れ''」と思われるステージが3つ(55,59,84)あり、裏技のステージセレクトを使わなければ行く事はできない。 ---ゾーン55と59は相互に行き来が可能。 ---ゾーン59への扉はゾーン50で発見されたが、閉じた状態の隠し扉が壁の中に存在する形となっているため実質入ることは出来ない。おそらく設定ミスであろう。 -アイテムの能力が「画面全体攻撃」や「無敵化」などの極端すぎるものがあるかと思えば、「爆弾で暗黒ステージを一瞬だけ明るくできる」という(無いと地獄だが)微妙に楽しくないアイテム、あるいは十字ボタンの上を押すと3点ずつ入ったり、IIコンのマイクで敵の動きが止まったりなど効果が微妙すぎるものまで、バランス面で不条理なものがいろいろ存在する。 -ストーリー的な面で盛り上がりに欠ける。 --ファイナルゾーンは魔王ザヴィーラが登場するのだが「壁の人面像達が次々火を吐いてくる」というもので、ラスボスというより宝の部屋の罠と言った方が近い姿。ついでに対決的な要素はなく、宝のダイヤ(高得点アイテム)をとるとザヴィーラの攻撃が止まって石になっていた師匠が元に戻るというもの。 --ここでエンディング突入なら冒険ものとしておかしいレベルではないのだが、実際は師匠が嬉しそうに動き続けるだけで何も起きず、ゲームもそのまま続行できるのだが、だからといって何をすればいいのかよく分からないという微妙な展開になる(この後99面に戻るとそれまでなかった序盤に戻る扉が登場するのだが、これ以外どの面に戻っても何も変化はない)。 --また、「アトランチスの謎」という含みのあるタイトルの意味や、師匠がどういった経緯でアトランチスに向い囚われたのかなどは結局のところ、クリアしてもさっぱり不明である。ファミコンカセットの容量の少なさゆえ多くの事を描写しきれないのは仕方ないだろうが、せめてエンディングメッセージの一言でも欲しかったところである。 //投げっぱなしにする事を「謎」の一文字で済ませてるつもりなのだろうか。 --あるステージ(中盤)では、なぜか''空にスタッフ名のクレジットが浮かんでいる。''スタッフロールが存在しないため、その代わりだろうか? -ゾーン57とゾーン94の背景は常に激しく点滅している、''所謂ポケモンフラッシュ。''((ゾーン57は緑色に、ゾーン94は赤色に点滅。)) --当時は特に問題視されていなかったが、ポケモンショック以降の現在では点滅表現自体が大きく問題視されており、間違いなく回収ものである。プレイ時は体調に気を付けること。 --当然バーチャルコンソール版では修正されているので、そこは安心して大丈夫。 ---- **評価点 -基本的にクソゲーに分類して差し支えないタイトルなのだが、複雑に繋がった多数のマップを探索するステージクリア型アクションゲームというのは、当時は類例が希少だった。~ それに加えて理不尽ながらも高い難易度と自由度を併せ持つ作品でもあるので、一部のファンからはむしろ高く評価されていたりもする。 -故に制御は難しい反面、操作は単調で非常に解りやすい。そのため熱狂的なファンも存在し、全ゾーン攻略や最短攻略、全宝箱回収を楽しむ者もいる。 --繋いでいないステージがあるため、通常だと194個しか回収できないが、面移動バグで200個回収することができる。 //--改造版も動画で多数投稿されており(有名なものだと「アトランチスぬ謎」や「アトランチスの逆襲」)、『[[たけしの挑戦状]]』と同様にファンに愛されているゲームのひとつでもある。 //ハックを評価点にするのはおかしい -『[[トランスフォーマー コンボイの謎]]』の様に敵の攻撃が激しいような理不尽さは幸いして無い。(ファイナルゾーンは弾幕が如く弾が飛ぶのでやや難しい。)経験やテクニックさえ掴んでおけば進めなくは無い難易度ではある。ある意味この要素は『[[スペランカー]]』に近い。%%あちらもコウモリの糞で死ぬが。%% //ダギーラ(ミイラ)は爆風3発で倒せる -初期のプレイヤーストックは7体と異例の多さのため操作に慣れるという点では非常に親切。同じ横スクロールゲームである『[[魔界村]]』は残基数が2体な上、ゲームをスタートするたびにいちいち10秒程度のオープニングを見なくてはならないので、死にゲーとしては十分評価できる。 -上述の通り、ステージ数がムダに多いが、ファイナルゾーンを攻略する(だけ)なら、たった10面分通るだけで攻略可能。 --これだけ不条理なゲームながら、当時は最短ルート探しに熱を上げる者も多かったという。 -構成の似ている面が多いにもかかわらず、背景を変えたり、滑りやすさを付けたり、真っ暗にしたりと随所に工夫点がみられる。 -BGMはファミコンのこの世代としてはかなりの完成度で(宝箱を取る時にその効果音で途切れてしまうが)この部分の評価も非常に高い。ピアノの速弾きを思わせるようなメロディであり、どれも疾走感がある。~ ステージのBGMは3曲しかないが、ステージ開始、ゲームオーバーの際のBGMも良質であり、同時期に発売された他のゲームと比較して極端に曲数が少ないわけではない。 ---- **総評 独立したマップ同士を行き来する探索型ゲームという、当時としては新しい作風であり意欲的と評価できる点もあるにはあるのだが、いかんせん作りが雑すぎて難易度の高さや理不尽さの方が際立ってしまっており、『[[スーパーマリオブラザーズ]]』発売後の登場だったこともあり、後発のゲームとしてどうしても見劣りするという評価しか得られなかった。 一方、雑な作りながらもいい意味で高い難易度と自由度を併せ持ったその作風は一定のファンを得ており、それなりに評価されている作品でもある。 ---- **余談 -苦労して探し当てた主人公の師匠だが、その姿は『[[いっき]]』の主人公・ごんべの流用である。 -上記の部分では「ミスになる」と便宜上書いてあるが、実際の処理上は「主人公が画面下端に落下」以外のミスは存在しないらしく、敵に触れたり自爆したりタイムアウトになると「硬直して地形すり抜け状態になる」という状態異常になって画面下端に落下することでミスの演出をしている。 --自爆ワープで残機が減らないほか、「ミス時の効果音」とされる音が落下死のみ鳴らないのがその証拠。 -ゾーン20では背景に''「KEY WORD -NAGOYA-」''と文字が表示されている。これはその文字の下にある3つのモアイの左から頭上でボンを7回、5回、8回投げるとファイナルゾーンへワープするギミックのヒントである。 --ちなみにこれでワープしたファイナルゾーンは通常のファイナルゾーンとは異なり、狭い部屋の中で巨大な魔王ザヴィーラが存在するというもの。主人公がそこを通過すると400万点もの大量ボーナスが獲得できる(「2」アイテム所持で倍の800万点が得られる)。 --なお、当時のサン電子の本社の住所は愛知県江南市であり、名古屋市ではない。((だが、その後2018年に本社機構を名古屋市に移転し、旧本社は同社の江南事業所として存続している。)) -裏技はステージセレクトの他、残機が減らなくなるフリープレイや無敵になるアイテムを最初から所持しているモード等が存在する。 --もっともフリープレイや無敵を使ってもそう簡単にはクリアできない難易度なのだが…。 -そもそもタイトルが「アトランティス」ではなく「''アトランチス''」であるという時点で既に地雷臭がする(うさん臭い)、と指摘する声も存在する。&br;(一応、本来日本語には「ティ」の発音が無いので「Ti」を「チ」と訳すケースはある。例:「チタン(Titan)」など。) --ただ有名どころでは『大長編ドラえもん のび太の海底鬼岩城』(1983年)でも同様に「アトランチス」となっている。一方で『キン肉マン』(1982年)では「アトランティス」というキャラが登場している。本作の時代(1986年)はまだ表記が混在していたのであり、別段本作だけが古い表記を採用していたわけではない。 --もっともそのお陰でタイトルに独自性があり、現代のインターネットの検索エンジンでも探すのが非常に容易である。 //-横視点のジャンプアクションとして見てしまうと、あの世紀の名作『[[スーパーマリオブラザーズ]]』が、BGMやキャラクター、隠し要素などなど極めて高水準にまとまったゲームであったため、後発のゲームとしてどうしても見劣りするという評価しか得ることはできなかった。 -サン電子(当時)の次回作は『かんしゃく玉投げカン太郎の東海道五十三次』。探索要素はほとんど無くなったが、この作品と同様に爆弾を武器にアイテムを集めつつ進んでいく横スクロールゲームであり、後の『[[水戸黄門>天下の御意見番 水戸黄門]]』に繋がるようなゲームである。こちらは正統派アクションゲームとしてかなりの進化を遂げた良作と言ってもいい出来だが、相変わらず難しい。 -同社製のゲーム『[[マドゥーラの翼]]』のゲームコミック版で、''上記の42TH ZONEがネタにされている''。 --''更に本ソフトの主人公とラスボスまで出演''。悪ノリここに極まれりである。 -2013年に一二三書房(桜ノ杜ぶんこ)より、小説「アトランチスの謎 復活のザヴィーラ」としてまさかの発売。 --ストーリーは原作の続きになっている。 --また、ウィンが石になったのになぜ最初に戻って復活するのかについて、面白い解釈がなされている。 -どういうわけか「[[ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ>復刻版ミニゲーム機収録タイトルリンク]]」には数多くの名作に混じってこのゲームが収録されている。 --『[[ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online>ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online/スーパーファミコン Nintendo Switch Online]]』にも収録されている。

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