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沙耶の唄 - (2014/07/28 (月) 22:10:12) の1つ前との変更点

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//どこまでネタバレしたらいいんでしょう。 //(話し合い中ではあるが)基本方針に則って、とりあえずregionを使いました。 *沙耶の唄 【さやのうた】 |ジャンル|サスペンスホラーアドベンチャー|&amazon(B0000V68BY)|&amazon(B002HWR46C)|&amazon(B00AH7PP9M)| |対応機種|Windows 98~XP|~|~|~| |メディア|CD-ROM 1枚|~|~|~| |発売・開発元|ニトロプラス|~|~|~| |発売日|2003年12月26日|~|~|~| |定価|4,800円|~|~|~| |レーティング|メディ倫:18歳未満禁止|~|~|~| |廉価・移植|NITRO THE BEST:2009年7月31日/2,980円&br()あそBD:2013年2月28日/6,090円|~|~|~| |ポイント|グロゲーの皮を被った純愛?&br()物語に特化した設計|~|~|~| |>|>|>|>|CENTER:''[[ニトロプラス作品リンク>Nitro+作品]]''| #contents(fromhere) ---- #center{&size(35){''WARNING!!!!!!!''}&br()&size(20){''本作は18歳以上のみ対象のアダルトゲームです。''}&br()'''また閲覧の際はゲーム本編のネタバレに注意してください。'''} ---- **概要 処女作の『Phantom』以来、ハードな作風で人気を博していたブランド「ニトロプラス」の第六作目。シナリオは『Phantom』を手がけた虚淵玄(うろぶち げん)氏が担当している。~ 当時の宣伝では、(ハードな展開に定評のある)虚淵玄が珍しい恋愛モノに挑戦していることが強調されていたし、発売前の宣伝には、キャッチコピーの''「世界を侵す恋」((エンディングの一つでは確かにそうなるので、間違ってはいないのだが…。))''など実に当たり障りのない文句が躍っていた。だがいざ発売されてみると、パッケージ裏には''「サスペンスホラーアドベンチャー」''とジャンル名が書かれ、異種陵辱モノを思わせるサンプルCGが載っていた。~ **ストーリー ***あらすじ(ダミー?) 以下は通販サイト「げっちゅ屋」の紹介記事に添えられていた宣伝文である(現在では別の物に差し替えられている)。  ニトロプラス・アクションシリーズでお馴染みの虚淵玄&中央東口の両氏が、今回は得意とするアクション活劇路線はあえてとらず、男女の恋愛物語、そしてアダルトゲームとしてのHCGの充実など、新しい作風へとチャレンジした意欲作となっている。  医科大学に籍を置く男女4人の恋物語。そして、ある日とつぜん郁紀(ふみのり)の家へと転がり込んでくる謎の少女・沙耶。人知れず悩みを抱えた一人の青年が、様々な人々との出会いと別れを経験し、ついには自分なりの人生を切り開いていこうと歩み出す…。  内容はアドベンチャータイプのマルチエンディングを採用。低価格設定の短編ものではあるが、両氏の作り出す新しい作品に触れてみてはいかがだろうか。 一見普通に見える宣伝文だが、経験者には''「明らかにダミーだが嘘はついていない」''と思わせる、やけに巧妙な文となっていた。~ ***実際のゲーム内容 #region(''注意!ゲーム内容の重大なネタバレあり'') 主人公の郁紀は事故で両親を失い、さらにその時脳に受けた障害のせいで、''「視覚に重大な後遺症を残し、それに引きずられて他の感覚も全て歪んで感じる」''ようになってしまった。建物の壁は内臓を裏返したかのような赤黒い肉の壁に、人間は異臭を放つぬるぬるした肉塊(しかも声にはノイズが入り、まともに聞き取ることすら困難)に、といった塩梅である。その一方で「原色のペンキを何種類か混ぜ合わせて塗りたくる」と、肉の模様が消え落ち着いた緑色に見えたりもする。普通の人間には「世界への憎悪をぶちまけたよう」でとても直視できない光景に映るのだが。~ そしてこの悩みは他人に打ち明けることが出来ない。郁紀は医大学生であったため、そんなことをすれば末期の精神疾患として隔離されるか、未知の後遺症のサンプルとしてモルモット扱いされることがわかってしまっていたからである。~ 入院中の郁紀は上記の後遺症のせいで狂った世界にただ一人取り残される格好になってしまい、自殺する寸前にまで追い詰められていたのだが、沙耶と出会ったことで運命が変わる。沙耶は郁紀の世界で唯一まともな人間に見える存在であり、彼女もまた孤独な存在であった((育ての父が行方不明となってしまい、捜索の手がかりを求めて病院に忍び込んでいた。))。そして両者は夜な夜な逢瀬を繰り返した末に惹かれあい、互いを心の支えとするようになる。~ 郁紀の退院後、沙耶は郁紀の家に居候することとなり、郁紀自身も障害を隠して大学に復学した。しかし友人達は「化け物」としてしか認識できなくなり((しかもゲーム開始直後に「化け物に見える友人達」と対面することになるため、プレイヤー側でも心の準備が必要になる。))、かつてのように付き合うことはできなくなってしまう。~ ~ 本作は狂った世界でもがき苦しむ郁紀の視点と、彼を心配しながらもその苦しみを理解できない友人達やその他人物の視点とが入れ替わりながら進行していく。そしてある出来事をきっかけとして、郁紀は「このまま沙耶と一緒に生きる」のか、それとも「事故の後遺症を治療し、かつての日常を取り戻す」かどうかの選択を迫られることになる。この選択でストーリーが大きく分岐し、最終的に3つのエンディングへと至るのだが、どのエンディングを選んでも郁紀は沙耶と離別し、破局を迎えることになる。~ ~  ストーリーからしてこれで、さらに要所でグロいシーンが挿入されるため本作はグロ&鬱ゲーに分類されるのだが、このゲームの経験者の大半は''「純愛を描いたストーリーだ」''と評している。これは''「ヒロインの沙耶が劇中で取っている行動の殆どが、つまるところ郁紀への愛に由来している」''という理由からである。~ まず、前述の通り郁紀は(自分の狂った世界では)唯一まともな人間である沙耶に救いを求めていくのだが、実は沙耶にとってもこの世界は似たような物なのである。沙耶は郁紀とは逆に''「『普通の人間には名状しがたい何か』であり、狂ってしまった郁紀にしかまともに認識してもらえない状態」''なのである。そんな中でも、沙耶は郁紀がこの狂った世界でも生きていけるよう知恵を出し合うなど献身的に接し、さらに「私なら郁紀の異常を治し、人としての生活を取り戻すことができる」とゲーム中盤で告白する。そんなことをすれば異常の治った郁紀にも沙耶が「化け物」として映るようになり、この生活が続けられなくなることは明白。にもかかわらず郁紀の治療を申し出る沙耶は「健気」としか言いようがないのである…((ただし郁紀以外の人間は割とどうでもいいようで、不法侵入者を「撃退」したり、間接的にではあるが善良な一家庭を不幸な目にあわせたりもしている。))。~ ~ この「狂った世界とただ一人まともに見えるヒロイン」という構図は、手塚治虫の漫画作品『火の鳥 復活編』のオマージュであり、本編中でも郁紀の口から「昔見た漫画で(今の郁紀の状況と)同じようなことが描いてあった」と語られている。 #endregion **評価点 -プレイ中の没入感は半端ない。本作は(一般的なアダルトソフトと比べると)低価格ソフトなのだが、それは決して「手抜き」という訳ではない。CG、テキスト、BGM、声優陣の熱演、どれもがプレイヤーを魅了するのに十分過ぎるクオリティを誇っている。 **難点もしくは注意点 -かなり人を選ぶストーリーなので、人によっては「開始5分でギブアップ…」という事態になるかもしれない。 -ややボリュームに欠ける。ボイススキップなしかつ全ルートをプレイしても10時間もあれば終わる。そのため、ゲームというよりは「読み物」とみなした方が妥当と思われる。 --話の骨子はしっかりしているが、短編という事情もあって全体的に話の進行は駆け足。 --ゲーム全体を通して選択肢は2つしかない。そしてどちらも結末に大きく作用する。 -グロ、残酷描写がある。間接的に描写されているため、それが却って恐ろしく感じられることもある((直接的なものもあり、特に郁紀の友人が彼らの「ご馳走」を見てしまうシーン(通称「冷蔵庫」)はトラウマ必至。また、頭蓋骨のアップもある。))。 --グロ画像カット機能が付いていることは付いているが、残念なことに背景にしか適用されず、上の文章で挙げてるシーンはどうやっても回避できない。 -ジャンル的には「エロゲー」だが… --行為に及ぶシーンも少なく、「その全てが郁紀の視点から見たものである」ことを注記しておく。 --中央東口氏の影が濃い画風やゲーム全体の雰囲気も相まって、劣情を催すというよりは背徳の要素が強い。 --という訳で、そっち方面では全く期待できない。もっとも当時のニトロにそれを期待するのは筋違いでもある。 -バックログ閲覧機能の操作性が少し悪い。これはベスト版でだいぶ修正された。 **総評 ''ニトロプラスの、いや18禁ゲームというジャンルにおける大問題作。''~ 扱っている題材が極端であり、陰惨な描写があちこちに存在するため、軽い気持ちで手に取ることは絶対に避けたほうがいい。仮に覚悟を決めてプレイしたとしても、何とも言えない気持ちにさせられるのだから。~ ただし、ただ「グロい」「救いがない」というだけではない。このゲームのエンディング全てが郁紀と沙耶の離別であることはすでに述べたが、三つ全てが「悲しくも美しい別れ」であり、プレイした人全てが「愛」について深く考えさせられる内容となっている。~ そのため本作はニトロプラスとシナリオライターの虚淵玄氏を語る上で外せない作品となっており、ファンも非常に多い。発売後長い年月を経てもなお語り継がれていくであろう作品であることは間違いない。 **余談 -本作での使用曲名はすべて「S」で始まっている。 --テーマソングの名前もズバリ「''沙耶の唄''」である。唄っているのはニトロファンにはわりとお馴染みのいとうかなこ女史。近年では『[[School Days]]』のバッドエンドテーマ曲を唄っていた。 -沙耶はキャラ人気が高く、後にニトロプラスが製作した対戦格闘ゲーム『ニトロ+ロワイヤル』にも出演した。やっていることはある意味原典以上にえげつないのだが、こちらはお祭りゲーなだけに陰鬱さは微塵も感じられない。 --↑と関連して、[[ニコニコMUGENwiki>http://www30.atwiki.jp/niconicomugen/pages/601.html]]に沙耶の項目が存在するが、キャラクター紹介どころかもはやゲームのダイジェストと言えるレベルの情報量を持っている。ただ沙耶にややバイアスのかかった書き方ではある。また、ピクペディアなどでも盛大にネタバレされている。 ---シナリオが短いことや、普通の物語で言う「転」の場面が既に済んでしまっている事もあるので、ある程度は仕方の無い面もある。 //-メインライターの虚淵玄が脚本を担当したアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』にて、虚淵は本作と似たような事を善し悪しを含んだ上でヤリまくり、ネットとリアルは騒然となった。ただし作品の評価も凄まじく高かった((ちなみにこのゲームが元ネタであろうギャグ「さやかの唄」がマギカ漫画版2巻の表紙裏で使われている。))。 -最近ではなんとアメコミに進出。アメリカ向けにリメイクした結果なのか沙耶はセクシーな大人の女性に、郁紀は''ガチムチの尻顎男''になっている。また、本編でははっきり描かれなかった沙耶の真の姿は昆虫のようなエイリアンとして描かれている。 --ちなみにシナリオは原作ゲームを踏襲しながらも、独自の展開となっている。 &br
//どこまでネタバレしたらいいんでしょう。 //(話し合い中ではあるが)基本方針に則って、とりあえずregionを使いました。 *沙耶の唄 【さやのうた】 |ジャンル|サスペンスホラーアドベンチャー|&amazon(B0000V68BY)|&amazon(B002HWR46C)|&amazon(B00AH7PP9M)| |対応機種|Windows 98~XP|~|~|~| |メディア|CD-ROM 1枚|~|~|~| |発売・開発元|ニトロプラス|~|~|~| |発売日|2003年12月26日|~|~|~| |定価|4,800円|~|~|~| |レーティング|メディ倫:18歳未満禁止|~|~|~| |廉価・移植|NITRO THE BEST:2009年7月31日/2,980円&br()あそBD:2013年2月28日/6,090円|~|~|~| |ポイント|グロゲーの皮を被った純愛?&br()物語に特化した設計|~|~|~| |>|>|>|>|CENTER:''[[ニトロプラス作品リンク>Nitro+作品]]''| #contents(fromhere) ---- #center{&size(35){''WARNING!!!!!!!''}&br()&size(20){''本作は18歳以上のみ対象のアダルトゲームです。''}&br()'''また閲覧の際はゲーム本編のネタバレに注意してください。'''} ---- **概要 処女作の『Phantom』以来、ハードな作風で人気を博していたブランド「ニトロプラス」の第六作目。シナリオは『Phantom』を手がけた虚淵玄(うろぶち げん)氏が担当している。~ 当時の宣伝では、(ハードな展開に定評のある)虚淵玄が珍しい恋愛モノに挑戦していることが強調されていたし、発売前の宣伝には、キャッチコピーの''「世界を侵す恋」((エンディングの一つでは確かにそうなるので、間違ってはいないのだが…。))''など実に当たり障りのない文句が躍っていた。だがいざ発売されてみると、パッケージ裏には''「サスペンスホラーアドベンチャー」''とジャンル名が書かれ、異種陵辱モノを思わせるサンプルCGが載っていた。~ **ストーリー ***あらすじ(ダミー?) 以下は通販サイト「げっちゅ屋」の紹介記事に添えられていた宣伝文である(現在では別の物に差し替えられている)。  ニトロプラス・アクションシリーズでお馴染みの虚淵玄&中央東口の両氏が、今回は得意とするアクション活劇路線はあえてとらず、男女の恋愛物語、そしてアダルトゲームとしてのHCGの充実など、新しい作風へとチャレンジした意欲作となっている。  医科大学に籍を置く男女4人の恋物語。そして、ある日とつぜん郁紀(ふみのり)の家へと転がり込んでくる謎の少女・沙耶。人知れず悩みを抱えた一人の青年が、様々な人々との出会いと別れを経験し、ついには自分なりの人生を切り開いていこうと歩み出す…。  内容はアドベンチャータイプのマルチエンディングを採用。低価格設定の短編ものではあるが、両氏の作り出す新しい作品に触れてみてはいかがだろうか。 一見普通に見える宣伝文だが、経験者には''「明らかにダミーだが嘘はついていない」''と思わせる、やけに巧妙な文となっていた。~ ***実際のゲーム内容 #region(''注意!ゲーム内容の重大なネタバレあり'') 主人公の郁紀は事故で両親を失い、さらにその時脳に受けた障害のせいで、''「視覚に重大な後遺症を残し、それに引きずられて他の感覚も全て歪んで感じる」''ようになってしまった。建物の壁は内臓を裏返したかのような赤黒い肉の壁に、人間は異臭を放つぬるぬるした肉塊(しかも声にはノイズが入り、まともに聞き取ることすら困難)に、といった塩梅である。その一方で「原色のペンキを何種類か混ぜ合わせて塗りたくる」と、肉の模様が消え落ち着いた緑色に見えたりもする。普通の人間には「世界への憎悪をぶちまけたよう」でとても直視できない光景に映るのだが。~ そしてこの悩みは他人に打ち明けることが出来ない。郁紀は医大学生であったため、そんなことをすれば末期の精神疾患として隔離されるか、未知の後遺症のサンプルとしてモルモット扱いされることがわかってしまっていたからである。~ 入院中の郁紀は上記の後遺症のせいで狂った世界にただ一人取り残される格好になってしまい、自殺する寸前にまで追い詰められていたのだが、沙耶と出会ったことで運命が変わる。沙耶は郁紀の世界で唯一まともな人間に見える存在であり、彼女もまた孤独な存在であった((育ての父が行方不明となってしまい、捜索の手がかりを求めて病院に忍び込んでいた。))。そして両者は夜な夜な逢瀬を繰り返した末に惹かれあい、互いを心の支えとするようになる。~ 郁紀の退院後、沙耶は郁紀の家に居候することとなり、郁紀自身も障害を隠して大学に復学した。しかし友人達は「化け物」としてしか認識できなくなり((しかもゲーム開始直後に「化け物に見える友人達」と対面することになるため、プレイヤー側でも心の準備が必要になる。))、かつてのように付き合うことはできなくなってしまう。~ ~ 本作は狂った世界でもがき苦しむ郁紀の視点と、彼を心配しながらもその苦しみを理解できない友人達やその他人物の視点とが入れ替わりながら進行していく。そしてある出来事をきっかけとして、郁紀は「このまま沙耶と一緒に生きる」のか、それとも「事故の後遺症を治療し、かつての日常を取り戻す」かどうかの選択を迫られることになる。この選択でストーリーが大きく分岐し、最終的に3つのエンディングへと至るのだが、どのエンディングを選んでも郁紀は沙耶と離別し、破局を迎えることになる。~ ~  ストーリーからしてこれで、さらに要所でグロいシーンが挿入されるため本作はグロ&鬱ゲーに分類されるのだが、このゲームの経験者の大半は''「純愛を描いたストーリーだ」''と評している。これは''「ヒロインの沙耶が劇中で取っている行動の殆どが、つまるところ郁紀への愛に由来している」''という理由からである。~ まず、前述の通り郁紀は(自分の狂った世界では)唯一まともな人間である沙耶に救いを求めていくのだが、実は沙耶にとってもこの世界は似たような物なのである。沙耶は郁紀とは逆に''「『普通の人間には名状しがたい何か』であり、狂ってしまった郁紀にしかまともに認識してもらえない状態」''なのである。そんな中でも、沙耶は郁紀がこの狂った世界でも生きていけるよう知恵を出し合うなど献身的に接し、さらに「私なら郁紀の異常を治し、人としての生活を取り戻すことができる」とゲーム中盤で告白する。そんなことをすれば異常の治った郁紀にも沙耶が「化け物」として映るようになり、この生活が続けられなくなることは明白。にもかかわらず郁紀の治療を申し出る沙耶は「健気」としか言いようがないのである…((ただし郁紀以外の人間は割とどうでもいいようで、不法侵入者を「撃退」したり、間接的にではあるが善良な一家庭を不幸な目にあわせたりもしている。))。~ ~ この「狂った世界とただ一人まともに見えるヒロイン」という構図は、手塚治虫の漫画作品『火の鳥 復活編』のオマージュであり、本編中でも郁紀の口から「昔見た漫画で(今の郁紀の状況と)同じようなことが描いてあった」と語られている。 #endregion **評価点 -プレイ中の没入感は半端ない。本作は(一般的なアダルトソフトと比べると)低価格ソフトなのだが、それは決して「手抜き」という訳ではない。CG、テキスト、BGM、声優陣の熱演、どれもがプレイヤーを魅了するのに十分過ぎるクオリティを誇っている。 **難点もしくは注意点 -かなり人を選ぶストーリーなので、人によっては「開始5分でギブアップ…」という事態になるかもしれない。 -ややボリュームに欠ける。ボイススキップなしかつ全ルートをプレイしても10時間もあれば終わる。そのため、ゲームというよりは「読み物」とみなした方が妥当と思われる。 --話の骨子はしっかりしているが、短編という事情もあって全体的に話の進行は駆け足。 --ゲーム全体を通して選択肢は2つしかない。そしてどちらも結末に大きく作用する。 -グロ、残酷描写がある。間接的に描写されているため、それが却って恐ろしく感じられることもある((直接的なものもあり、特に郁紀の友人が彼らの「ご馳走」を見てしまうシーン(通称「冷蔵庫」)はトラウマ必至。また、頭蓋骨のアップもある。))。 --グロ画像カット機能が付いていることは付いているが、残念なことに背景にしか適用されず、上の文章で挙げてるシーンはどうやっても回避できない。 -ジャンル的には「エロゲー」だが… --行為に及ぶシーンも少なく、「その全てが郁紀の視点から見たものである」ことを注記しておく。 --中央東口氏の影が濃い画風やゲーム全体の雰囲気も相まって、劣情を催すというよりは背徳の要素が強い。 --という訳で、そっち方面では全く期待できない。もっとも当時のニトロにそれを期待するのは筋違いでもある。 -バックログ閲覧機能の操作性が少し悪い。これはベスト版でだいぶ修正された。 **総評 ''ニトロプラスの、いや18禁ゲームというジャンルにおける大問題作。''~ 扱っている題材が極端であり、陰惨な描写があちこちに存在するため、軽い気持ちで手に取ることは絶対に避けたほうがいい。仮に覚悟を決めてプレイしたとしても、何とも言えない気持ちにさせられるのだから。~ ただし、ただ「グロい」「救いがない」というだけではない。このゲームのエンディング全てが郁紀と沙耶の離別であることはすでに述べたが、三つ全てが「悲しくも美しい別れ」であり、プレイした人全てが「愛」について深く考えさせられる内容となっている。~ そのため本作はニトロプラスとシナリオライターの虚淵玄氏を語る上で外せない作品となっており、ファンも非常に多い。発売後長い年月を経てもなお語り継がれていくであろう作品であることは間違いない。 **余談 -本作での使用曲名はすべて「S」で始まっている。 --テーマソングの名前もズバリ「''沙耶の唄''」である。唄っているのはニトロファンにはわりとお馴染みのいとうかなこ女史。近年では『[[School Days]]』のバッドエンドテーマ曲を唄っていた。 -沙耶はキャラ人気が高く、後にニトロプラスが製作した対戦格闘ゲーム『ニトロ+ロワイヤル』にも出演した。やっていることはある意味原典以上にえげつないのだが、こちらはお祭りゲーなだけに陰鬱さは微塵も感じられない。 --↑と関連して、[[ニコニコMUGENwiki>http://www30.atwiki.jp/niconicomugen/pages/601.html]]に沙耶の項目が存在するが、キャラクター紹介どころかもはやゲームのダイジェストと言えるレベルの情報量を持っている。ただ沙耶にややバイアスのかかった書き方ではある(沙耶の紹介項なので当然ではあるが)。また、ピクペディアなどでも盛大にネタバレされている。 ---シナリオが短いことや、普通の物語で言う「転」の場面が既に済んでしまっている事もあるので、ある程度は仕方の無い面もある。 //-メインライターの虚淵玄が脚本を担当したアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』にて、虚淵は本作と似たような事を善し悪しを含んだ上でヤリまくり、ネットとリアルは騒然となった。ただし作品の評価も凄まじく高かった((ちなみにこのゲームが元ネタであろうギャグ「さやかの唄」がマギカ漫画版2巻の表紙裏で使われている。))。 -最近ではなんとアメコミに進出。アメリカ向けにリメイクした結果なのか沙耶はセクシーな大人の女性に、郁紀は''ガチムチの尻顎男''になっている。また、本編でははっきり描かれなかった沙耶の真の姿は昆虫のようなエイリアンとして描かれている。 --ちなみにシナリオは原作ゲームを踏襲しながらも、独自の展開となっている。 &br

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