バイオハザード RE:3

【ばいおはざーど あーるいー すりー】

ジャンル サバイバルホラー

対応機種 プレイステーション4
Xbox One
Windows(Steam/Microsoft Store)
プレイステーション5
Xbox Series X/S
発売元 カプコン
開発元 カプコン / M-TWO / K2 / レッドワークス
NeoBards (レジスタンス)
発売日 【PS4/One/Win(Steam)】2020年4月3日
【PS5/XSX】2022年6月14日
【Win(MS Store)】2024年2月13日
定価 パッケージ版:8,500円(税込)
DL版:8,500円(税込) → 3,990円(税込)*1
プレイ人数 1人
レーティング 通常版 CERO:D(17才以上対象)
Z VERSION CERO:Z(18才以上のみ対象)
備考 『バイオハザード レジスタンス』を同梱*2
判定 なし
ポイント 原作の好評部分を削りボリューム大幅低下
追跡者の恐怖感が序盤以降は皆無に
何故かタイラントとネメシスの役割が逆転
設定変更と敵のリストラもエスカレート
最早恒例のCERO:Z版の雑な規制緩和
『RE:2』で確立された要素に関しては好評
TPSとしての出来は決して悪くはない
バイオハザードシリーズ



極限からの脱出に挑め―



概要

『バイオハザード』シリーズ3作目で、1999年にPS1で発売された『バイオハザード3 ラストエスケープ』のリメイクに当たる*3
2』のリメイクである前作『バイオハザード RE:2』と同様に、カメラと操作体系は一般的なTPSに変更されている。
本作はマンパワーの問題から、本編は元カプコン所属でプラチナゲームズ創業者兼元社長の三並達也氏が興したM-TWOを主幹とし、カプコン子会社のK2*4、原作のメインプログラマーであった坂田聖彦氏が率いるレッドワークスが開発。
そして、『バイオハザード レジスタンス』のパートを台湾のNeoBardsが手掛けるといった複数デベロッパー分業体制で行われている。


あらすじ

合衆国中西部に位置するラクーンシティの郊外で謎の行方不明事件が発生。
事件の調査に赴いた警察の特殊部隊S.T.A.R.S.は壊滅状態に陥りつつも、
製薬会社アンブレラ社の生物兵器t-ウィルス漏洩による生物災害が原因であることを突き止める。
ジル・バレンタインを含む生き残った隊員たちは真相を告発しようとするが、
警察組織でさえアンブレラ社に掌握されており、告発は握りつぶされてしまう。

しかし、街には“人食い病”の変異が起こり始め、凶暴な野犬が徘徊しだす。
ウィルスによる感染が街に拡大してゆく中、ジルは生き延びる決意を新たにする。

しかしジルはまだ知らない。
すべてを消し去るべく、最強の使者が既に放たれていることを―

(公式サイトより引用)


システム・特徴・原作からの変更点

基本的なシステムは前作『RE:2』と同じなため、そちらを参照。

操作関連

  • ジルの緊急回避の動作が一新され、一般的なアクションゲームで見られる「ドッジ回避」に近い挙動・操作になった。敵の攻撃にカチ合うようにして発動すると敵の攻撃をノーダメージで回避できる。
    • この時武器を構えるとキャラクターの体感時間が遅くなる演出が入り、それに合わせてゲームスピードもスローモーションになると同時に敵の弱点部に自動的に照準が合わせられるので、素早く連続攻撃が出せるようになる。この一連のスロー演出は射撃と同時に解除される。
      • ベヨネッタ』のウィッチタイムに近い仕様だと言えばわかりやすいか。なおナイフを装備していた場合はカウンター攻撃を仕掛ける。
    • カルロスの場合は「タックル」となり、発動すると敵にパンチを浴びせて大きな隙を作ることができる。ただしダメージはほとんど無い。

武器・アイテム関連

  • 前作同様、武器のカスタム機能が大幅に強化された。
    • 追跡者撃退時に落とすパーツを組み合わせて作り出す武器(「EAGLE6.0」「ウエスタンカスタム」)は撤廃され、ハンドガン・ショットガンをカスタムパーツによる改造に置き換わった。また、終盤でバーストハンドガンが入手できるようになった。
      • 原作にあったマインスロアーはグレネードランチャーのマインスロアー弾として登場。原作通り、着弾後の時間経過か敵の接近時に爆発し、ダメージを与えられる。
    • グレネードランチャーの冷凍弾、ハンドガン・ショットガンの強化弾は廃止された。
    • 弾薬生成に関しては、前作同様ガンパウダーや火薬を直接調合することで生成することができる*5
    • 原作で登場していたリロードツールはクリア後に入手できるショップアイテムとなり、これを使用して調合すると通常よりも多くの弾薬を生成できるようになった。
  • 手榴弾と閃光手榴弾は前作から引き続き登場。ただしディフェンスアイテムの概念は廃止され、単純な投擲武器となった。
  • コンバットナイフは回数無限の低火力近接武器という、従来通りの仕様へ再変更。入手数も1本のみである。

難易度

  • 前作と同じくASSISTED・STANDARD・HARDCOREの3種類がデフォルトで用意されているほか、条件を満たすと NIGHTMARE、INFERNOという上級難易度を選択できる。
    • 難易度ごとにクリアランクが設定されているのも前作と一緒だが、セーブ数や無限武器の使用はクリアランクに影響しない。

クリーチャー

  • ゾンビは戦闘エリアが前作よりも広くなったためか、動きがやや俊敏化した。そのため前作と同じ感覚で距離を取ろうとすると、思わぬ速さで距離を詰められることもある。
    • 手足の部位破壊耐久値は増加した。緊急回避によってゾンビの攻撃をノーダメージでいなすことが可能になったことを受けての調整と考えられる。
      • 一方で前作よりも同時出現数が多いこと、ゲームデザインがより戦闘向きになっていることを考慮してか、耐久力そのものは前作よりもやや低めに設定されている。死んだふりを繰り返す回数も減っている。
  • 前作のDLCのみに登場した強化版ゾンビ「ペイルヘッド」が、本作では本編にも登場。高い再生力を持つ難敵として立ちふさがる。
  • ドレインディモスの攻撃が原作から変更された。
    • 攻撃を受けると「parasite」という状態異常にかかるようになった。この状態だとHPが徐々に減少するうえ、最終的にはドレインディモスの幼虫に腹を食い破られるというグロテスクな死を遂げることになる。回復アイテムを使用することで治療可能*6
  • ハンターγ型は、原作のカエルのようなデザインから、巨大なオタマジャクシのようなデザインに変更された。
    • 攻撃は即死攻撃オンリーとなり、原作以上に油断ならない敵になった。
  • ハンターβ型は原作の肉腫に覆われたデザインからα型に近いシルエットながら顔を甲殻で覆ったようなデザインに変更。知る人ぞ知る昆虫混合型のハンターであるティックスを彷彿させる。
    • その甲殻故に強靭でありながら作中屈指の俊敏さを誇り、難易度や残りライフにかかわらず即死攻撃を繰り出してくるなど非常に強く、本作のみならず歴代でも最強クラスのハンターと評されるほどの難敵となっている。
  • 新たに「NE-α寄生体」というクリーチャーが登場。
    • ネメシスによって寄生体を植え付けられたゾンビであり、寄生体に支配された頭部が肉塊状に変異している。
    • その頭部の触手からリーチの長い攻撃を仕掛けてくるため、距離が離れていても油断ができない。
    • 弱点は肉塊の中心にある目玉だが、普段は外殻によって守られている。弱点を狙い撃つには脚を部位破壊するなどして姿勢を崩す必要がある。

ショップ

  • ゲームをクリアすると開放されるコンテンツ。所持しているポイントを使ってコスチュームや隠しアイテムなどを開放することができる。
    • お馴染みの無限武器に加え、敵へのダメージを増せる「猛攻のコイン」や、敵からのダメージを減らせる「鉄壁のコイン」と言ったサポートアイテムの他、「チェーンカッター」などのキーアイテムを開放すれば所持した状態でゲームを開始できる。
  • ポイントは「特定のゲームモードをクリアする」「特定の武器で敵を規定数倒す」などのゲーム内レコードをクリアすることで増やすことが可能。
  • ショップがあるためか、クリアランクに応じた隠し武器の開放は本作には無い。

キャラクターデザイン

  • 前作同様、リメイクに伴い各キャラクターのグラフィックは細かくリデザインされた。
    • 特にカルロスは変更前後の差が激しく、無造作な黒髪のパーマヘアーと無精髭が目立つ、野性的な見た目へと変化している。
  • 性格も見た目に違わずタフで勇敢な面が強調され、あらゆる面で原作とかけ離れた設定に仕上がっている。
  • ジルの服装もタンクトップにズボンと原作から一気に露出度が下がった。
    • これは原作では当時のハードのグラフィックでセクシーさを表現するために分かりやすい衣装にしていたが、それをフォトリアルな世界に置くと違和感が生じてしまうためとされる。
    • ジル、カルロス共に原作のデザインが好きな人のために「CLASSIC」のコスチュームも用意されている。当初は予約特典だったが、後に有料DLCとして配信された。
    • ただし原作衣装をモチーフにしたコスチュームであるため、細部が異なっている*7
  • 原作及び本作の顔とも言える敵キャラクター、追跡者(ネメシス)は、機械の心臓のようなものを胸に付けており、身にまとっているコートも拘束具のようにリザデインされ、全体的に生体兵器らしさが強調されるようになった。
    • 原作同様ストーリー進行と共に形態を変化させていくのだが、そのデザインに関しても大幅なアレンジが加わっている。

評価点

グラフィック表現の高さ

  • 「RE-ENGINE」によるグラフィック表現の秀逸さは折り紙付き。
    • ゴーストタウンと化する前のラクーンシティの様子を描いているため、前作と同じ舞台とはいえ異なる情景が楽しめる。
    • 警察署やガンショップ前など、前作と同じステージに訪れるシーンもある。本作との繋がりを意識してみるのも楽しいだろう。
    • 何より最新のグラフィックで『3』のリメイクがプレイできることが大きい。

原作における不自然さの解消

  • 前作同様、原作では無理のある謎解きやストーリー展開があり、特に原作におけるニコライは、あらゆる窮地に立たされても平然と生き延びる様子から超人扱いされていた。
    • しかし、本作では保身のために他者を切り捨てるような狡猾で残忍な一面が目立つようになり、生存能力の高さについて無理矢理なシチュエーションが激減した。

より先鋭的になった戦闘システム

  • 緊急回避の導入に伴ってか、敵の攻撃スピードは前作よりも全体的に速めになり、メリハリのある攻防が楽しめるようになった。
    • クリア後特典アイテムも含めれば使用可能な武器は豊富に揃っており、それらを使い分けて遊ぶのも良いだろう。
    • 周囲に大ダメージを与えるドラム缶や、周囲の敵を電撃で一時行動不能にさせる変圧器など、攻撃オブジェクトの存在が足されたことによって*8、TPSとしての「狙い撃つ楽しさ」は前作よりもアップしたと言える。

周回プレイ面

  • 周回プレイすると気になってくる面が改善され、遊び易くなった。
    • 前作では無線連絡のスキップが不可で、無線会話が終わるまでドアの開閉すらできなかったが、今作では無線会話はスキップが可能になった。
    • 前作はエイダパートでアイテムボックスが使用不可だったために、DLCで特典武器での無双プレイでクリアしようとするプレイヤーは厳しい面があった。
    • だが、今作ではカルロス編でもアイテムボックスが使用できる様になったことでアイテムのやりくり面での駆け引きやショップアイテムを用いた無双プレイが可能になり遊び易くなった。
      • また、これまでのパートナー編にありがちだった特異なギミックが排除され純粋に本編と同じゲーム性での感覚で探索が行えるようになった。カルロス編では武器の違いがあるのでジル編との差別化はできている。

武器のバランスの調整

  • ほとんどの武器が使いどころや長所があり完全に使えない武器は少ない。
    • ハンドガンG19は序盤から使用できカスタムパーツで強化が可能、バーストハンドガンのG18バーストモデルは終盤で入手になるが3点バーストによる瞬間火力が高く後半余りがちになるハンドガンの弾を有効活用できる。
    • ショットガンはカスタムパーツの追加によって威力やリロード速度を改善できるようになり終盤まで使える武器となった。
    • グレネードランチャーは「冷凍弾の廃止」「装填弾数が大幅減少」「カスタムパーツ無し&最初からアイテム欄を2枠使用する」「リロード時間長め*9」「各種弾薬が1枠で1装填分しかストック出来ないので嵩張るし多数の弾薬を持って探索が行えない」と、原作と比較してリアリティを追求した制約が加えられている。
    • アサルトライフルもカルロス編のみカスタムパーツによるカスタムが行えるようになった。
      • ジル編のASSISTEDモードの初期装備やショップ武器の無限アサルトライフルはカスタム出来ないので武器面でのカルロスパートの差別化が出来ている。
    • 一方で完全に使えないわけではないものの割を食っている武器もある(後述)。
      • また、バランス調整やシナリオ都合による配置弾薬の関係上格差が広まってしまった点もある(これも後述)。

リニューアルされたストーリー

  • 後述する通り原作との乖離の多い本作ではあるが、ストーリーそのものの内容は悪くない。
    • 追跡者の存在を原作以上にクローズアップした展開になっており、ハイクオリティな映像表現も相まって、彼によってもたらされる脅威の度合いは原作を遥かに凌いでいる。
    • 追跡者による破壊規模やアクションシーンは大幅な追加描写がなされており、その派手な演出の数々は非常に見応えがある。特に重厚なウェポンケースから専用のロケランを取り出すシーンは必見。
    • そんな窮地の中、ジルとカルロスが互いを信頼しあい、協力していく様子は見所としてきっちり抑えられている。
      • 原作同様カルロスを操作するパートがあるが、原作よりも探索場所が大幅に増えており実質的に「もう1人の主人公」と言っても差し支えない程にスポットが当てられている。
      • このパート特有のイベントとして、特定の行動を取ったり特定の場所へ懐中電灯を向けるとカルロスが字幕付きでコメントしてくれる小ネタがあり、非常に豊富。
      • まだ姿の見えぬ強敵を破壊痕から分析して緊張するといったシリアスなものから、音声認識にふざけてみるといったコミカルなものまで幅広くあり、彼の魅力を存分に引き立てている。
    • ブラッドやタイレルといった、原作では出番の少なかったキャラクターにも意外な役回りが充てられているのも注目である。
      • 特にブラッドに関しては、これまでその性格の設定や立ち回りなどからシリーズファンからは散々な評判だった。
      • だが、本作ではその問題を自覚した上で洋館事件後に孤立するジルを励まし、身を呈して守ろうとするなどの行動から一転して高い評価を得ることになった。
    • 原作では気絶していた警官のマービンや原作に登場しなかったケンドなど、『2』及び『RE:2』の人物も出番は少ないながら台詞付きで登場。
      • 時系列的に問題ないこととジルたちの人間関係に広がりを持たせたことから本作の改変の中でも好評。
      • 何とエイダの恋人だったジョンがシリーズ初登場!前作ではジョの字も出て来なかっただけに驚きである。ゾンビだけど*10

前作からさらに向上した銃器描写

  • 前作登場銃器は描写の細やかさで一定の評価が為されたが、今作の銃器描写は前作よりさらに強化された。
    • 前作の登場銃器の大半は実銃に近づけながらも若干のアレンジを施し登場していたが、今作の登場銃器は実銃の性能や外見をさらに忠実に再現している。
    • 刻印こそ簡略化されたが限りなく実銃に近いモデリングがされたハンドガンG19(グロック19)*11や、セミオートとポンプアクションの切り替えが再現されたショットガンM3(ベネリM3)など。
    • 前作の登場銃器は架空の名称だったが、今作はメーカー名こそ付いていないが実銃に近い名称を設定されている。
    • 前作ではハンドガンの銃声が全機種同じであり作りこみが甘かったが、今作に登場するハンドガンは少なくとも3種類の銃声が設定されており改善されている。

エンディングテーマが原作のアレンジ

  • 『1』のリメイクも『RE:2』もエンディングテーマを原作と全く違う曲に差し替えていたのに対し、本作は原作のエンディングテーマのアレンジ版が流れる。
  • アレンジの方向性も良好で、原作プレイヤーからはオリジナル版と並ぶ高評価を得ている。

賛否両論点

キャラクター造形の変更

  • 前作『RE:2』と同様に大半のキャラクターのデザインがリアル寄りにリデザインされているが、こちらも少なからずその変更に困惑する原作ファンは一定数存在した。
    • カルロスは原作とは裏腹にワイルドな見た目になってかなり印象が異なる。
      性格設定においても「深刻化する状況を前に悲観的になってしまう弱さも持つ」というキャラクター性から「いかなる状況下でも冷静さを失わない勇敢な性格」という、実写映画版に近い性格へと改変されている。
      • 公式曰く「頼れる相棒が欲しかった」というのが改変の理由だが、『3』では出ないとはいえそれは本来他の人物が担っているため、わざわざ外見のイメージで被らせる必要があったかは疑問符が付く。性格面についても原作のカルロスは悲観的になることこそあれど頼りない性格では決してない。
      • 本作の設定やストーリー面ではうまくマッチしているためコレはこれで有りという肯定的な意見も多く、キャラクター単体のデザイン自体も悪くない。
    • ジルのデザイン自体も単体で見ると決して悪いものではないのだが、『RE:2』のキャラ達はあくまでもそのキャライメージ自体を損なわないように気を使ってデザインされていた印象が強い一方、本作のジルは顔の印象が全く違う。
      • そのため、旧作への思い入れが深い一部のファンには未だに「元のジルを返せ」と言う者もおり、しかも『RE:3』以降のカプコンはこのデザインのみでグッズ展開やCG映画化をしているため、旧作デザインのジルファンを完全に切り捨てている*12
      • 一方で「原作と比べて可愛くなった」「カルロス同様これはこれでアリ」とデザインを評価する声も当然ながら存在している。この点は個人の好みや旧作への思い入れによって賛否が分かれる点である。
    • キャラクターの言動や設定、デザインなどが原作から一部変更されるのはリメイク作品にはありがちなことではあるが、これによって既存シリーズとの繋がりが希薄になってしまっている他、矛盾が存在するという明確な問題点が生じている点は批判されやすい。

ショップのシステム

  • 前作のように、難しい条件を達成することなく無限武器が入手できるようになったのは純粋に改善点だと言える。
    • 一方で、まとまったポイントを得るには本編を繰り返し遊んでゲーム内レコードを達成する必要があるため、人によっては面倒になってしまったと言えるだろう。
      • 特に「特定の武器で敵を規定数倒す」というレコードは、本編を普通に遊んだだけでは到底数が足りないため、一部のステージを何度もリトライして敵を倒し続ける作業プレイを強いられることになる。ここまで来ると「遊び方を強制されている」と見られても仕方ないだろう。
    • またポイントは無制限に取得できるわけではなく、ショップ全てのアイテムの販売ポイント=総取得ポイントとなっている。
      • そのため安いアイテムばかり交換していると高額アイテムが交換できなくなってしまうこともある。
      • 難易度INFERNO攻略のために無限ロケットランチャーが欲しいが、難易度INFERNOクリアのレコードを達成しないと無限ロケットランチャーを買うのに必要なポイントが集まらない」なんてジレンマに陥ることも充分在り得る。つまりアイテム交換にはある程度の計画性が必要となるのだ。
      • 本編でも直ぐに入手できるキーアイテムと言った入手優先度が低いアイテムも多く、必要な物を吟味して優先的に取得すれば、ポイント管理にそこまで困ることは無い。
      • 逆にラインナップを吟味していない人や、ポイントの仕様を理解していない人が「とりあえず上(安いアイテム)から順に開放する」ことをしていると上記のようなドツボにはまりやすい。
    • 上記の入手優先度の話で想像がつくと思うが、ショップ入手するアイテム類の有用性の格差が激しい。
      • キーピックやチェーンカッターといったキーアイテム系統は本来の入手よりも先取りできるが、そもそも入手できるのはどちらも序盤なので開始時点で持ってようと大差がない。
      • ストーリー進行のタイミング的に本来の入手より先に持っていないと開けられないという場所もない。チェーンカッターに関しては、強いて言えば捨てられるタイミングが早まるぐらいか。
      • 炎上効果を与えるナイフ「HOTDOGGER」は炎上効果の継続ダメージはあるものの、如何せんナイフなので接近のリスクや威力そのものは微妙。猛攻のコインと併用すれば結構な威力にはなるので、シリーズ恒例やりこみ「ナイフクリア」では役に立つ。
      • 武器の「RAI-DEN」は事実上の無限仕様マグナムに相当するが、弱点に当てれば一撃必殺級大ダメージ、それ以外はノーダメージというピーキーな仕様である。
      • そのため、かなり使い辛く、高性能な便利アイテムが揃うショップアイテムの中での立ち位置は少々苦しい。一応、無限仕様であることからマグナム関連のレコード稼ぎでは重宝されている。
      • 隠し武器の中でも遊び心がこらしてあり、連続で弱点に命中させていくごとにエフェクトが変化していく演出があるので使い続ける楽しみを得られる工夫がなされている(100発目まで変化あり)。
      • 余談だが、この武器は再発射に充電時間を要するという設定なのだが前述の緊急回避時のゲームスピードの変化には影響されない。つまり所持者の体感時間で充電が完了する優れものである。
      • 無限武器もハンドガンやアサルトライフルはそのものの威力が相応であるため、高難易度では力不足になりやすい。
      • 一方、ロケットランチャーは威力・射程・隙のどの面も申し分ない上に爆発があるため範囲攻撃可能かつマインスロアー弾の役割も果たせると至れり尽くせり。
      • ロケットランチャーがあれば他の無限武器は撃破レコード達成以外に無用なレベルである。リロードツールは無限武器を使うならそもそも意味をなさないので、これを使うのはあえて無限武器を使わず挑戦するというやり込みになる。
      • 早い話が「低難易度攻略でポイントが得られる」「無限武器の使用がクリアランクに影響しない」仕様により、ロケットランチャーやコイン系・サイドパック・体術教本ばかりが実用品と化していて他はほとんどオマケという格差を生んでしまっているのが大きな問題である。
      • 他の多くがネタや趣味の範疇を出ないため、やり込みプレイの幅を広げる要素にはなるもののそこまでを求めないプレイヤーには一見使えそうで恩恵が薄いものばかりとなっている。
    • 2020年8月6日には、前作同様ショップアイテム含むゲーム内特典を全てアンロックする有料DLCが配信された。

問題点

薄いボリューム

  • 本作の問題点として真っ先に上がる要素である。昨今のフルプライスのゲームとしてはかなり物足りない。
    • 原作の時点で『2』よりボリュームは控えめだったが、下記のようにさらに廃止された要素も多いため言い訳にならない。
    • 本作は主人公がジルしかいないため、ストーリーは当然1つしか入っておらず、前作のような1st・2ndシナリオはない。本編一周あたりのクリアタイムは、人にもよるが初見プレイで概ね4~5時間程度で、前作よりもかなり短い。
    • さらに、全体的に探索・謎解きの要素が薄い。レコード達成の条件や銃器カスタムパーツの収集などの本筋に直接影響しない収集要素はあるが、ストーリー進行に必要なポイントはかなりあっさりしている。
    • 1シーンで移動できる範囲があまり広くないため、原作・前作のような「広大なマップを移動してアイテムを集めつつ謎を解く」というゲーム性とは完全に別物になっており、結果としてリプレイ時に攻略チャートを練るような楽しみは少なく一本道感が増している。
    • 謎解きの数も少ない上、内容も前作に比べると攻略に必要な順番の制限が緩かったり、選択肢が少なく総当たりでもそれほど時間が掛からないなどかなり簡素。
      • 評価点にもある様に原作での「街中が複雑なパズルだらけ」という不自然さ*13こそ解消されたものの、今度は「薄味過ぎてゲーム的に物足りない」という新たな問題を生み出してしまった。
    • ボリュームの無さ自体は原作の時点で指摘されており、原作ではそれをやり込み甲斐のある「マーセナリーズ*14」やライブセレクション、敵・アイテムのランダム配置による分岐・リプレイ性で対応していた。
      • 本作ではこれらの点が大幅に削減されたことによって、原作のボリューム不足が際立ってしまっている。
    • ゲーム内レコードに関しては数多く存在するが、言ってみれば本編のリプレイについてはその達成ぐらいしかやることがない。賛否両論点の項でも記したように、「遊び方を強制されている」感も否めないだろう。
      • 前作では無料DLCとして配信された追加ゲームモードも本作では存在しない。なので「The Ghost Survivors」のようにダリオ・ロッソの生存IFを楽しむ…といったこともできない。

原作からの乖離点・及び廃止されたゲーム要素

  • 本作では原作から廃止・改変された要素が数多く存在し、細かい小ネタまでリスペクトしていた前作と比較される形で批判が続出している。
    • まず、オープニングが変更されている。原作の警官隊・U.B.C.S.とゾンビの迫力ある戦闘を期待していたファンは多かったのだが。
    • 原作にあった時計塔・公園・墓地・廃工場エリアは廃止された。
      • 時計塔はマップ上に存在こそするものの、背景扱いで探索はできない。謎解きやギミックに関しては「前作の警察署に移された」とも。
      • 代わりに下水道が広げられ建設現場エリアが追加されたが、前者は前作にもあったため既視感が強く、「アセット流用の都合では?」という邪推も。
      • 廃棄物処理施設の代わりとなる最終エリアは病院にカモフラージュされた研究所で、これも雰囲気が前作と似通ってしまっている*15
      • またシナリオ改変の都合上か、原作でジルが探索できていたシナリオ序盤の警察署にすら立ち入ることができなくなっている。
    • 前作は半分程敵のリストラがあったが、今回はブレインサッカーにスライディングワーム、さらにはグレイブディガーまでもがリストラ*16。カラスと蜘蛛親子は引き続き居なかったことにされた。
    • 特にグレイブディガーは原作では専用ムービー付きで印象的なボスだっただけに惜しむ声が大きい。『3』部分のアセットがほぼ『OB』の流用だった『アンブレラ・クロニクルズでは一から新造されていたのだが…。
    • 原作ではルート分岐で戦えたヘリコプターとの戦闘も削除*17。リメイクに伴いボスが削除されてしまうのは今作が初である。
    • ヘリはともかく、グレイブディガーが削除された事によりボスがネメシスだけになってしまった。その分回数は多いが味気無さは否めない。
      • その代わりか警察署エリアでリッカーが、研究所エリアでペイルヘッドが登場するが、どちらも前作からの続投なのでやはり既視感が(ry。
    • NE-α寄生体に関しては、原作含めて完全新規であるが『4』のプラーガと似たり寄ったりでオミット分を埋め合わせているとは言い難い。
    • 上記の通り、ブラッドやタイレル等が大きくクローズアップされた一方で、他のサブキャラクター達の扱いはまちまち。
      • 詳しくは後述するがルート分岐が無くなったために、原作で設定されていた人物間の関係が全く明かされないままに終わるものも多い。
      • 例を挙げるとスタート直後にジルと出会う民間人のダリオは、本作でも登場し原作通りコンテナに閉じこもるものの、その後のイベントを起こしたら二度とその場所に戻ってこれないため、その後の顛末は不明。
    • 印象的だった彼の遺書のファイルも手に入らない。更に今作では通り道での登場なので、急に出てきて勝手にコンテナに閉じこもるだけの役割になっており、原作未プレイヤーにはよく分からない変なオッサンにしか見えない。
    • 追跡者のアイテムドロップは続投しているが、機会が3回しかない上に、その内容もハンドガンのカスタムパーツとショットガンの弾のみ。
      • カスタムパーツはそれなりに有用だが、原作のような特徴的な新武器を拾う楽しみがなくなってしまったために微妙さが否めない。
      • また、アイテムドロップはおろか、クリーチャーとしての扱い自体にもかなり大きな変更が行われている。詳細は下記項目参照。
    • ライブセレクション・探索の順番によるシナリオ分岐・マーセナリーズといった、原作における印象的な要素もことごとく廃止。
      • 前者2つの撤廃によってストーリーは完全に一本道化。後述する甘いバランス調整も相まって、リプレイ性の大幅な低下を招いている。
    • マーセナリーズが廃止された代わりに『レジスタンス』が同梱されているが、これについても不満意見が多い。
      • 本編とは完全に別作品扱いで、トロフィーも独立している。そのくせ単品販売はされていない、つまり抱き合わせである。
      • オンライン対戦に興味のないユーザーからすれば、ボリューム不足の本編に不用品を付けてフルプライスで売り付けられただけでしかない。
      • 内容やゲーム性も『RE:3』本編とは大きく異なるため、「『RE:3』がキャンペーンモード」と考えるにも違和感がある。
    • シリーズ定番のコスチュームチェンジも、DLCのクラシック衣装とショップで購入する初代のS.T.A.R.S.衣装しか存在しない。
      • 原作ではジルに+5種類の衣装が存在していたが、続投はS.T.A.R.S.衣装のみ。前作のように原作再現風ローポリモデルのような遊びもない。
    • 回避後射撃との兼ね合いの為か、原作・前作共に使用できた無限ガトリングガンも、本作では削除。
      • 原作ではアサルトライフルと役割が近い割に使い勝手が良いとは言い難い微妙な武器だったが、仕様が変わった本作では使い分けも可能であるし、モデルも前作のミニガンが流用できるはずである。
      • しかし初弾発射にスピンアップが必要な武器である都合上、回避後にゲームスピードが遅くなる仕様とはどうしても噛み合わないので、こればかりは仕方なしと言えるか。
    • プレイヤーからは廃止された要素(特にマーセナリーズ)をDLCで補完してほしいという声も多く上がったが、カプコン側は「『RE3』はこれで完成品」と明言しているので、望みは薄い状況である。

常に所持を迫られやすいキーピック

  • 原作でも要所要所で鍵付き扉を開けるために使用を強いられ終盤まで常に所持を強いられていたキーピックだが、今作でもキーピックでしか開けられない鍵が各地で登場するので入手後から常時所持を強いられる。
    • 大抵はアイテムの入ったトランクやロッカーの鍵でスルーも可能だが終盤のエリアへの扉もキーピック用の鍵で施錠されているため、ボックスへの出し入れの手間も考えると常に所持していた方が効率がいいのである。
    • 余談だがこの扉、重要かつ秘密の通路であるにもかかわらず南京錠での施錠のみと非常に不自然*18。しかもストーリー上、ジル以外の人物が複数先行してこの先に進んでおり、彼らが入った後に南京錠を閉めなおしていることになるのも謎*19。せめてセキュリティカードなどのギミックがあれば、上述の謎解き要素の不足をいくらか解消できるが…。

追跡者(ネメシス)の扱いや設定の変化

  • 原作では終盤までジルやカルロスを執拗に追い回し探索を妨害していた追跡者だったが、本作での追跡の脅威性はプレイフィール面でかなり薄く、序盤のダウンタウンで早くもピークを迎えて即座に消滅する。
    • 前作ではほぼ完全な閉所である警察署内で量産型タイラントとの戦略的鬼ごっこが成立していたのだが、本作の追跡者は比較的開けた場所であるダウンタウンで多少追い回してくる程度である。
      • 本作の追跡者は原作と比べ「侵入できるエリア範囲」が非常に限られており、原作ではセーブ場以外は基本的に追跡者の独壇場であったのにもかかわらず、本作では「あれ?ここも入って来れないんだ笑」というような場所が非常に多い。
      • 加えて、主人公側に強力な回避アクションと高いダメージ率を誇るステージギミックが据え置きなのでどうにでも出来る感が非常に強く、敵側の脅威性は原作及び前作と比較すると大幅にトーンダウンしてしまっている。
    • 全体的な構成として追跡者に追い回されるイベントは多くホラーテーマとしては成立しているものの、基本的に一本道のステージをひたすら前へ逃げるだけのイベントステージとして消化されるので、追跡者をいなす方法もワンパターン化しており、それを振り切る駆け引きの要素はあまり無い。
      • 元を辿ると原作では時計塔や墓地といった本作でリストラされたマップにキーアイテムを用いた謎解き要素が多かったため、プレイフィールドを行ったり来たりする最中キーアイテムの取得や謎解きをするための探索といった要素の前後には常に追跡者の脅威が迫っているという部分が恐怖をより一層際立たせていたにもかかわらず、前述の通りシナリオ進行が基本的に一本道という部分から、その場凌ぎでやり過ごせば何となくシナリオを進めてしまうという部分でかなり恐怖感が減少してしまっている。
      • そのため原作では「あの場所に行けば謎解きの手がかりがありそうだけど、追跡者が追いかけてくるから行こうにも中々行く気になれない...」という確証のない情報収集の可能性が追跡者という脅威と非常にマッチしていたと言える。
    • もっと言えば、原作の『2』のタイラントが度々イベントで現れていたエリアでのみ対処すれば済んでいたことに対し、『3』の追跡者はドアを隔てても追いかけてくるという構図によって追跡者の画期的なホラー性が際立っていたのが、『RE:2』と『RE:3』においてはその両者の役割が逆転を起こしてしまっている。どうしてこうなった…。
      • 評価点でも触れたように追跡者の脅威性自体は充分に表現しきっており、本作を独自に評価するなら決して悪くはないのだが、いかんせん過去作で着実にホラー性を進歩させてきた経緯と実績ゆえに本作が劣化しているという印象が強まっていると言えよう。
    • 原作よりも活躍がクローズアップされた結果、その行動内容に突っ込みどころも生まれてしまった。
      • 原作同様ジルをつけ狙っている追跡者だが、ゲーム中ジルを手にかけるチャンスを得ながらも、何故か本気で殺そうとせず、舐めプをしてはみすみす逃がしてしまう失態を何度も繰り返している*20
      • 「知能の高さ故にジルを弄んでいる」ともとれるが、ジル以外のキャラクターに対しては容赦なく殺しにかかっている様子を見るに、ゲーム的なご都合展開を感じずにはいられないだろう。
      • また、ある場面ではジルを差し置いて同行する(S.T.A.R.S.所属以外の)キャラクターを狙うなど、設定からして不自然な行動も疑問視される。
      • 原作でもジルの敵対者を仲間と誤認して殺害する場面はあったが、向こうからジルを視認できない場所にいるなどジルを直接狙わなかったとしても違和感が少ない内容だったのに対し、本作では並んで走る2人のうち同行者の方だけを狙っている。
    • 形態変化について
      + ネタバレ防止の為格納
    • ゲームが進むと第2形態へと変異、実写映画版の巨大リッカーの様な姿に変貌する。段階を追うごとに少しずつ人外の姿へと移り変わっていった原作の追跡者や前作のG生物と比べると、いささか変化が極端すぎると言える。
      • 攻撃方法も「前脚を叩きつけて振動を起こす」「咆哮を上げてこちらを怯ませる」「ステージの外周を走り回り跳びかかってくる」など、同社製の『モンスターハンター』シリーズに登場するモンスターを彷彿とさせるような挙動を見せる。
      • TPSの敵としては妥当だが、『バイオ』らしいかと訊かれれば首をかしげざるを得ず、「バイオを遊んでいたと思ったらいつの間にかモンハンを遊んでた」と揶揄されてしまっている。
        + そしてさらには…。(ストーリー終盤のネタバレ注意!)
      • 第3形態では広い部屋半分を覆うような超巨大モンスターへと変貌する。
        • 6』のシモンズや『7』のエヴリンなど、形態変化前後で外見を大きく変化させる敵キャラクターは過去にも存在したが、最早原作でのネメシスの面影は一切感じられなくなってしまった。
        • ネメシス第3形態を倒す「切り札」も同様に変わり果ててしまっている。

高難易度モードの調整

  • クリア後に遊べる高難易度モードは、鉄壁のコインや無限ロケットランチャーなどのショップアイテムを使うことを前提とした難易度に設計されており、それらを使わない場合は難しさを通り越して理不尽さを感じる場面も少なくない。
    • ゾンビは動きが俊敏すぎるあまり、噛みつきを緊急回避で避けた際、急旋回されて背中から噛みつかれることもしばしば。
      • ゾンビの強化版に当たるペイルヘッド至っては俊敏を通り越して動きを無理やり早送りにしたような不自然な挙動で、雑に調整された感が否めない。
    • ラスボス戦は特に理不尽さが強い。通常攻撃である触手叩きつけを7~8回連続で繰り出してくるのだが、攻撃速度・精度ともに非常に高く、難易度INFERNOにおいては、立ち位置によっては1発被弾しただけでハメ殺しが成立することも。回避するには全ての攻撃を緊急回避で避けなければならない。
      • 攻撃のリズムは等間隔なのでタイミングよく回避ボタンを押せばいい…と思いきや、たまにフェイントでタイミングをずらしてくることもある。意地の悪い調整だと不満を抱くユーザーも存在する。
      • なお上記のハメ殺しパターンは被ダメージ量を減らす「鉄壁のコイン」を所持していた場合であり、所持していない場合は全ての攻撃を1発喰らっただけで即死する。過去シリーズの高難易度版でも、ラスボスの通常攻撃で1発即死するパターンはそうそうない。難易度調整の方向性としてはシビアにも程があるだろう。
    • 前作の難易度HARDCOREも相当な高難易度ではあったが、あちらは非常に作り込みの高いバランス調整とレベルデザインによって、プレイヤーの学習・努力で充分に突破できる範疇であり、何より何度も挑戦したくなる素晴らしい完成度であった。
    • 本作の高難易度は「難しくしたからショップアイテムでやりくりしてね」という極めて雑な調整であり、前作をやり込んだプレイヤーほど目につく問題点として特に槍玉に挙がりやすい。

マグナムとグレネードランチャー

  • 仕様変更により原作よりも使い勝手に差が付いたマグナムとグレネードランチャー
    • そもそもこの両者が比較されるのは入手時期が同時期にランダムで二者択一になる仕様でありながら、「敵の配置がランダムなのにマグナムは弱体化、グレネードランチャーは各種弾薬の使い分けで弱点を突ける」「配置弾薬に関してもマグナムだけやけに少ない&その為に弾薬の入手手段が生成を用いなければままならないのにマグナム弾の必要ガンパウダーは最大である、その為に他の銃器の使用すら困難にしてしまう」「グレネードランチャーは炸裂弾さえあればリロードツール無しでも他弾薬が生成でき、汎用性に目を瞑り弾薬を一種類だけに絞るならアイテム欄も1枠だけで済む」と言ったゲーム性と武器の仕様がかみ合った結果、慣れたプレイヤーにとってメリットを最大限に生かせるグレネードランチャー一択と言う点があったからであった。
      + 使い勝手が増したグレネードランチャー
    • 今作のグレネードランチャーはリアル準拠に落ち着いたとは言え、やはり各種弾薬を用いた多彩な攻撃を行えるので汎用性が高く、爆風で攻撃範囲が広く集団戦で効果を発揮する炸裂弾、火炎や硫酸で弱点を突けて継続ダメージもある火炎弾と硫酸弾、動き回る敵に効果を発揮するトラップタイプ&爆風攻撃の為に炸裂弾の代用としても使用できるマインスロアー弾と入手後はこれ1つで充分とされる強さは維持されている。
      • 地味に一発毎の装填型からリボルバータイプに変更されて連射が行い易くなる等強化された部分もある。また、カスタムパーツが無いと言う欠点も見方を変えれば「最初から最強状態」「態々カスタムパーツを探す手間が省ける」という事でもある。
      • さらに「弾薬生成はグレネードランチャー「のみ」専用火薬を使うので他の銃器とのジレンマに悩まされない」「入手時にご丁寧にも出現する敵の弱点となる弾薬が装填済み又は入手可能」「ボス戦前後でも各種弾薬が配置される*21ので補充が楽かつ容易」「上記の通りどの弾薬がどの道多数持ち運べないので温存思考で進めると結局アイテムボックスの肥やしのままにしてしまう可能性が高く、それならアイテム欄の節約やアイテムボックス収納の手間の軽減も兼ねて積極的に使った方が効率が良い」「ランダムによる入手タイミングの削除&入手し損ねても救済措置があり再度入手のチャンスがある」とシナリオ上の配置関連で最適化され、先入観無し&初見プレイでも普通にメイン武器として使える様に設計され結果的に使い勝手がより上昇する形となってしまった。
    • + 改善されるどころかより微妙な立ち位置となってしまったマグナム
    • その一方でマグナムの使い勝手はより微妙化してしまい、原作再現(笑)と言われる羽目になってしまった。
      • 銃の入手が低難易度だと終盤に固定化され更に寄り道ルートに配置、拾える弾薬が少ないのも相変わらずである。更に弾薬生成に必要な強化火薬は通常ガンパウダーと比べて入手数が少なく、また通常ガンパウダーとの組み合わせでショットガンの弾になるため、序盤から終盤に入るまで主力として使っていけるショットガンの精製に回しがち。むしろ銃の入手が終盤になることを考えれば、序盤でマグナム弾を少々作っても腐るだけになってしまう。
      • そしてマグナム入手以降のボス戦ではギミックを活かして戦うためにハンドガンでも充分に事足り、雑魚相手もハンターはグレネードランチャーの方が有効弾薬があるので使いやすい。ペイルヘッドも低難易度ならショットガンで充分倒せる。
      • 一応、カスタムパーツのロングバレルが追加されるテコ入れはされており、カスタムしてもアイテム消費欄が1枠で済むなどのメリットもあるが、カスタムパーツの配置場所もギミック使用などではなく、見づらい場所に無造作に置かれているだけと投げやり感が否めない。オマケにショットガンやグレネードランチャーは取り逃しても後にシナリオ上絶対通過する場所で再配置されるが、マグナムにそういった配慮はない。
      • 唯一の改善点は貫通性能の復活ぐらいだが、ゲームシステム上それを活かせる場面はほぼ無い*22
      • 以上の事から、タイムアタックではスルーされることが多い。人によっては初見で拾えないままクリアしてしまうことも。
      • 高難易度なら序盤で拾えてペイルヘッドを確殺できる武器として使い道があるものの、上記の通り無限武器の所持が前提の難易度調整なことを考えるとやはりわざわざ拾う必要が薄く、むしろマグナムを使うことがやり込みの領域になってしまっている。
      • 他の武器とは異なり、モデリングが前作のものを使いまわしていることも不遇さに拍車をかけてしまっている*23
      • そもそも原作でのマグナム不遇とされる要因の主な内容は上記の通りだが、結局は同じポイントが批判されていることを鑑みるに総合的には原作からまったく改善されていないし、むしろ丁寧に再現しているとまで言える。
    • 結論としてゲーム上の仕様を突けば強力で使い勝手が良いグレネードランチャーとシリーズ中でも微妙な位置付けとされたマグナムから配置関連やゲーム性の変更によってゲーム上の挿し武器と化したグレネードランチャーと原作でも配置されていたからとお情けで出番だけ貰えたマグナムと言う形になって、より格差が開く形となってしまい、上記のゲーム全体の乖離点や再現の微妙さを揶揄する意味も含めて「そんなところを再現してどうする」と言われる羽目になってしまった。

カルロスパンチの使い勝手が悪い

  • 前述の通りカルロスは緊急回避に成功すると敵をパンチで吹っ飛ばして大きな隙を作れるのだが、吹き飛ばしで転倒させると敵の頭が胴体の陰に入りがちで弱点への追撃には不向き。
    • 従ってパンチという攻撃性の映えるモーションのわりに実は回避やスルーの方に高い適性があり、回避直後に弱点を狙い撃ちすることで活路を見出すジルの緊急回避と比較してイメージと性能がチグハグになってしまっている。

必要性の薄いQTE

  • 『6』以来となるQTEが少数だけ再実装された。従来通り、操作をミスした場合は容赦なくゲームオーバーとなる。
    • と言っても本作の各QTEの猶予時間は十分に長く、操作内容も一律固定であるため、不意打ち気味に操作を要求されてゲームオーバーになる局面はほぼ存在しないと言える。
      • 裏を返せば実装した理由が甚だ不明であり、ランダム性の無さも相まって周回時は放置すら不可の強制ムービーとなってしまっている。初見であれば没入感は得られるだろうが…。

カウンター攻撃廃止による弊害

  • 前作では特定の敵に攻撃された際、サブウェポンを使って攻撃そのものを阻止できるようになっていたが、本作では廃止された。
    • その代わり、敵の攻撃時にボタン連打*24でダメージを軽減できるシステムが実装されたが、どちらかと言えば「ボタンを連打しないとダメージが増加する」というのが正しく、結局まともなダメージを受けてしまうことには変わりないので救済システムとしての恩恵は感じづらい。
      • 緊急回避手段としてのカウンター攻撃ができなくなっているため、攻撃そのものを阻止できていた前作に比べれば、むしろシステムは劣化してしまったと言える。
    • これにより主にナイフの使い道がほぼゼロになってしまった。
    • なお、このダメージ軽減システムはゾンビの噛みつき攻撃にのみ機能するため、前作でカウンター対象だったリッカーやゾンビ犬の組みつき攻撃には機能しない。
    • 次作のリメイク『バイオハザード RE:4』ではナイフのカウンターシステムが復活した辺り、本作のカウンター攻撃廃止に対しての反省の色がうかがえる。

アイテム取得時の挙動の改悪

  • 前作ではアイテムを拾った際、好きなスロットに格納するか、スロット内のアイテムと組み合わせるか、取らずに置いておくかのいずれかを選ぶことができた。
    • 一転して本作では、アイテムを拾った際は強制的に空きスロットにアイテムを格納するようになってしまった*25
      • 入手時に好きなスロットに格納できなくなったのはもちろん、間違えてアイテムを拾ってしまった際は入手を拒否することが出来ず、操作性・アイテム管理の面双方から見て劣化してしまったと言える。
      • 特にミニマリスト*26狙いの際はこの仕様の改悪が大きく響いてくる。

「フィギュア」モードの劣化

  • 今作にも前作同様のモデルビューア機能である「フィギュア」モードが存在するが、前作よりも劣化している。
    • 前作のフィギュア機能はボタン入力により、設定されたキャラクターのモーションや銃器の作動を鑑賞することが出来たが、今作にはそれが無い。
    • 4』や『5』に見られた音声再生などの機能があるわけでもなく、単に3Dモデルを眺めるだけのモードとなってしまった。

通常版とZ版と海外版の演出の違い

  • 前作同様、ゴア演出がマイルドな通常版と過激なCERO:Z(18歳以上のみ対象)のZ版の2種類が発売されているが…。
    海外版と比較してZ版自体も表現の規制が施されている。
    • 演出の違いは、ゾンビの四肢欠損描写*27とクリティカル発生時のエフェクト、ゲームオーバー時の演出の長さ程度しか存在しない。
    • 日本国内でゲームを販売するからにはCEROレーティングを取得するために表現規制は免れない*28。それ故に『7グロ版』の時点から通常版とZ版に分ける意義が疑われている。

総評

グラフィックのクオリティの向上やうまく練り直したストーリー構成とキャラクターの掘り下げ、そして変更されつつも調整し直されたゲームシステムの基盤。
『RE:2』で確立された要素に関しては及次第点に達しており、本作の表面的な部分だけを見れば「良作」と言うポテンシャルを持っていたと言えなくも無い。

しかし、原作で好評だった数多くの要素が無闇に削除や変更された点に不満の声が集中しており、内容面で見ると『3』のリメイク作品としては「劣化」というレッテルを貼られてしまう結果となった。
特に原作で一番印象的なクリーチャーであったネメシスが、1人のキャラクターとしての魅力が本作では削がれてしまっている点はよく難点として挙げられている。
そのため、一部では『3』としての魅力を最大限に知るにはリメイクの本作ではなく原作をプレイした方が良いと言われる始末である。

また当時のゲームとして見てもボリュームにやや難がある。
本作でシリーズに初めてに触れる人、他のシリーズはプレイしたことがあるが『3』はまだ未プレイのプレイヤーにも積極的には勧めにくいゲームとなっている。

TPSとしてはきちんと完成されているため、楽しめないゲームというわけではないが、購入する際にはこれらの点をよく検討した方が良いだろう。


余談

  • 海外版のゴア演出についてだが、実は『RE:2』よりも若干抑え気味な内容になっている。
    • 前作で登場していた「胴体が真っ二つになったゾンビ」が登場しなくなった他、こちらからの攻撃でも発生しなくなっている。
  • 過去作でジルが愛用していた拳銃「サムライエッジ」はゲーム序盤に紛失してしまったため、道中の警官の死体から拝借したグロック19モチーフの拳銃を新たに使用している。
    • ジルが主役となる作品において、ベレッタ92モチーフの武器を使用しないのは本作が初めて。かなり珍しい待遇だと言える。
    • なお、サムライエッジはポイントショップにて交換することで2周目以から使用可能。ショップ購入の中では珍しく無限武器ではないが、全体的な性能は高めに調整されている。
  • 開発者によれば、原作をそのままリメイクしてしまうと「ボリューム面で『RE:2』に見劣りしてしまう」と感じた為、新たなゲームとして『レジスタンス』も同梱すると言う方針に至ったことが公式インタビューで明らかとなっている。
    • しかし散々先述した通り、ボリューム不足を補っていた分岐要素やマーセナリーズまで廃止した上での実装では本末転倒だろう。結果的に本作は『RE:2』に対して見劣りする部分が多いので、開発側の狙いは外れてしまったと言える。
      • そもそも『レジスタンス』の方が先に発表されたことや、『RE:2』から1年という短い期間での発売と『RE:2』からの使いまわしから、こちらも散々上述したようにむしろ「『RE:3』は『レジスタンス』の販促用の抱き合わせ」という印象すら与える内容となってしまっている。
    • また、『2』のタイラントと『3』のネメシスの役割が『RE:2』と『RE:3』で逆転を起こしている事象については、「『3』のネメシスが行っていたどこまでも敵が追ってくる恐怖と言うコンセプトは『RE:2』のタイラントで既に取り入れてしまったので、『RE:3』ではまた違った切り口でネメシスを描きたかった(意訳)」と同インタビューにて明かしており、開発者は苦心しながらも意図的に原作とは違った立ち位置でゲームデザインを行っていた事が分かる。
      • この変更により上述したようにストーリー・設定の矛盾や違和感が生じてしまうどころか、キャラクター性の良さを損ない、形態変化まで妙な改変を行ってしまったため、キャラ崩壊と言われても致し方ない。
  • 『レジスタンス』のトロフィーは名前が他作品のパロディーとなっており、中には「さあ 実験を始めようか」というものまである。
  • 2022年6月14日に本作のPS5/XSX版が発売された。また、2022年11月18日にはクラウドで遊べるSwitch版が発売された。
最終更新:2024年07月06日 20:00

*1 2022年2月14日より

*2 Win(MS Store)版には同梱されていない。

*3 海外版は前作同様『RESIDENT EVIL 3』とオリジナルと同タイトルのため、区別を要する場面では「(2020)」や「(Remake)」と記されることがある。

*4 『7』や『RE:2』でも開発協力として参加している。

*5 「弾薬生成」というシステムが初登場したのは他ならぬオリジナルの『3』である。しかしそちらでは、各種ガンパウダーと「リロードツール」というアイテムを組み合わせることで初めて弾薬が作れ、それぞれ単体では使い道が無かった。生成の仕組みやストーリー展開が分からない内は上手く使えず、逆に使いすぎると弾薬が有り余るなど、いまいち使いづらい感が強かった。

*6 チュートリアルではグリーンハーブを使うよう指示されるが、実際はどの回復アイテムでも構わない。また目的を果たして出現エリア内から出ると自動で治療される。

*7 分かりやすい部分で言えば、ジルがミニスカ姿からスカートパンツ姿に変更されている。これは、一部エリアで四つん這いになって移動するシーンがあるからだと考えられる。昔ならサービスシーンと捉えられたが、ポリコレに厳格な現在のゲーム業界ではむしろ炎上の火種となるだろう。

*8 そもそも、シリーズ定番の攻撃オブジェクトは、オリジナルの『3』で最初に登場したものである。

*9 一応、リロード中に武器を切り替えると動作をキャンセルしてリロードや弾薬切り替えが出来るというテクニックがある。

*10 持っているIDカードに“John(ジョン)”と書かれている。『2』では「ジョンなら死んだわ。ゾンビになって。」と語られるのであながち間違いではないが。

*11 ゲーム中のG19は実銃では極めて少数しか存在しないプロトタイプ(gen1)のグロック19を再現したものとなっている。

*12 なお、このCG映画において「ジルは『5』で投与されたウイルスの影響で老化が遅れている」という設定が付け加えられている。

*13 当時からスタッフにすらおかしいと指摘されていた程。とは言え「これもシリーズの味の1つ」ということで、ネタにされながらも受け入れられていた部分ではある。

*14 ただ、「マーセナリーズ」という名のあるミニゲームという点では最初だが、『4』以降の「マーセナリーズ」とは少し異なる。

*15 もっともこれに関しては、原作で「何故ミサイルの接近を廃棄物処理施設の設備で感知できるのか」「都合よくレールガンが運び込まれている」という指摘を考慮した可能性もあるが…。

*16 特にグレイブディガーはハンターγのデザインに吸収・統合されたような印象が強い。本作のハンターγの初登場シーンは、狭い下水道の中で四方に大きく開口する凶悪な捕食器を向けて迫ってくるというもので、原作のグレイブディガーとほぼ同じ役割を担当している。

*17 原作屈指のネタ敵の1つだが、シナリオがリアルに近づき分岐が削除された本作では流石に登場させてこれを撃墜するのは無茶と判断されたのだろう。

*18 あえて施錠を簡素化して目立たない様にしていたと言った設定も無く、民間人に目撃されたという報告書も本編で入手可能。

*19 主人公が初めて施錠を解除したハズの場所に先行者がいるという展開はこれまでも過去シリーズで何度かあったことではあるが、別ルートの利用やマスターキーの所持など他の解釈の余地があった。しかし、この件は外掛けしかできない南京錠でかつ最終ステージへ続く唯一の隠し通路という触れ込みなので矛盾の無い解釈が極めて難しい。

*20 ただし、QTEをサボった場合は情け容赦無くきっちり殺害されるバッドエンドを拝めるので、どうにか整合性を取ろうとしていることはうかがえる。

*21 これまたご丁寧に「各種弾薬」が均等に配置されるので総弾数は銃器の中でもかなり多くなる。

*22 強いて言えば、ネメシス最終形態の弱点を肉壁に邪魔されることなく高威力で確実に破壊可能なことぐらい。

*23 原作ではS&W M629C(リボルバー)だが、本作では前作と同じデザートイーグルモチーフのオートマチックになっている。

*24 オプションからボタン長押しに変更可能。

*25 アイテムを拾った際にスロットが全て埋まっていた場合のみ、その場でアイテム同士の組み合わせができる。

*26 アイテムボックスを開けずにゲームクリアすると取得できるトロフィー及びゲーム内レコード。

*27 通常版では欠損した部位は黒く塗りつぶされるだけだが、Z版ではその部位が明確に欠損する。

*28 海外版同様の無規制だとCERO規定に抵触しレーティングも付与されず、事実上の販売禁止になってしまう。