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*ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡 【ふぁいあーえむぶれむ そうえんのきせき】 |ジャンル|ロールプレイングシミュレーション|&amazon(B0002OVBLQ)|&image(souen.jpg,http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3746&file=souen.jpg,width=200)| |対応機種|ニンテンドーゲームキューブ|~|~| |発売元|任天堂|~|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~|~| |発売日|2005年4月20日|~|~| |定価|6,476円(税別)|~|~| |プレイ人数|1人|~|~| |セーブデータ|5個&br;(メモリーカード使用ブロック数:19)|~|~| |レーティング|CERO:全年齢(全年齢対象)|~|~| |周辺機器|GBAケーブル|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|グラフィックが初の3D化&br()新システムも多く追加され内容面も進化&br()やりごたえのあるマニアックモードを搭載|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ関連作品リンク>ファイアーエムブレムシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -シミュレーションRPGの金字塔、ファイアーエムブレムシリーズの9作目にあたる作品。据え置き機としてはシリーズ5作目である『トラキア776』以来で、実に5年ぶりとなる。 -FE15周年記念作品であり、シリーズ初のフル3Dグラフィックなど「進化したFE」という印象をユーザーにアピールした作品である。 -主人公である少年アイクの成長と新舞台テリウス大陸でのベオク(人間)とラグズ(獣人族)、二種族の対立と和解を中心に据えたストーリーが展開される。 **新要素・評価点 -竜人族マムクートに代わる新たな亜人種族「ラグズ」の登場 --ラグズとは獣人族で、獣牙族(猫、虎、獅子系)、鳥翼族(鷹、烏、鷺系)、竜鱗族(赤竜、白竜、黒竜系)に大別される。 --戦闘面では人と獣の形態をそれぞれ使い分ける。人形態ではステータスも低めで攻撃もできないが、ゲージが最大値になると自動的に「化身」して獣の姿に。数ターンで解除されるものの、その間は強力なステータス補正を得られるという特徴を持つ。 ---他、重量のステータスが見かけによらず非常に重かったり非常に軽かったり、爪やくちばしで戦うため装備や耐久値とは無縁などの特徴も持つ。 ---味方ユニットとしてはややクセがあるものの、上手く使えば戦力として有用。即座に化身ゲージを溜める「化身の石」や、能力補正は落ちるものの常に化身状態を維持できる「半化身の腕輪」などのサポートアイテムも存在する。 --一方で、敵ユニットとしてはステータスが高い厄介な相手となる。攻撃される前に一気に落とすか、守りに入って化身が解除されるまで待つかという駆け引きが生まれた。 ---種によって異なる特効が設定されており、ラグズ全てに対して特効が発生する武器もある。 -クラスチェンジの仕様変更 --これまでのシリーズでは、下級のユニットは特定のクラスチェンジアイテムを使わない限り上級のユニットになることはできなかったが、今回はレベル20でEXPを貯めると''自動的に''クラスチェンジされるようになった。 --また従来通りレベル10以上で「マスタープルフ」を使うことでもクラスチェンジができる。必要なアイテムも兵種によらずマスタープルフに統一されている。 --これにより、クラスチェンジさせたいキャラが沢山いるのにクラスチェンジアイテムが足りなくて困った、という従来作品では誰もが遭遇した事態がなくなった。 -拠点システム --章が終わるごとにパーティーは拠点に戻り、次の戦いのための準備をする。GBA版でも似たような編成システムがあったが、この作品では更にできることが増えている。 --イベント経験値の分配 ---章が終わると、その戦闘の内容によってイベント経験値が入手でき、それを任意のキャラに与えて育成で入るようになった。 ---イベント経験値はマップごとに条件と入手数が設定されており、少ターンクリアや友軍を倒さずにクリアといった条件を満たすことでより多く手に入る。 ---これにより育てようにもレベルが低すぎて実戦に出せない、といったキャラを安全かつ確実にレベルアップさせることができるようになった。 ---ただし経験値をそのままキャラに割り振り続けることは出来ない。レベルが高ければ高いほどイベント経験値の変換率が落ちてキャラへの経験値に出来る分が少なくなるので、主力キャラにこれを集中させて早期に高レベル化するという方法は取れずバランスは崩れにくい。 -支援会話の仕様変更 --共闘を続けてきたキャラ同士が会話することでイベントが発生し、そのキャラ同士の支援率が上がる従来でも人気のあったシステム。 --従来では戦闘中に支援会話が発生していたため、「戦場で呑気に惚気たり日常会話に花を咲かせたりしていては緊張感もリアリティもない」という批判もあったが、本作では自軍の陣営で会話を行う設定にする事で概ね解決した。 --また、従来はユニット同士が隣接したターン数で会話が発生する為、時間をかければ一気に支援レベルを上げられたが、今作では支援レベルは支援相手同士を同時に出撃させたマップ数によって上昇するようになった。 --GBA3作で強すぎると言われ続けてきた支援効果も支援自体の仕様変更と共に大幅な修正が入り、殆どの属性の支援効果は「あれば便利」程度のレベルに落ち着いた。 -買い物 --拠点での買い物は従来作品でもできたが、本作では戦闘マップに店がないため武器やアイテムの購入は全て拠点で行うようになった。 ---これにより、武器を買い忘れて困る、詰むといった状態が起こりづらくなった。 --購入する武具を特注(練成)することができ、重さや威力、命中率、クリティカル発生率を+したものが買える。更に名前や色の変更も可能。 ---ただし特注品は一章に一本しか買えない上に、強力なものを作ろうとすると値段も通常の数倍以上かかる。本作には闘技場のような無限に金を稼げる施設が無い為、金に物を言わせて大量に強い武器を買うということはできないので、バランスブレイカーの域は逃れている。 ---余談だが、この名前の変更の際に使える漢字の量が凄まじい。常用漢字はもちろん、それ以外の作中でも使われないような漢字まで多く用意されている。 -スキル --スキルは各ユニットが初期状態で所持している他、アイテムを使用することで習得することが可能。 --ただしユニットはスキルを習得するごとに「キャパシティ」を消費し、キャパシティの上限を超えてスキルを習得することはできない。 -これらの斬新な要素がある一方で基本的なルールは以前のシリーズと変わりがなく、他のシリーズをプレイする感覚で遊べるため予想されていた批判はほとんど出なかった。勿論使わなくてもクリアは可能。 -3すくみのバランス --「剣は斧に強く、斧は槍に強く、槍は剣に強い」というおなじみのルール。 --武器については以前の作品(特に『聖戦』)では3すくみとはいうものの、剣がかなり優遇され、斧が不遇にあっていた。 ---しかしこの作品では反対に、斧が非常に強い。序盤から優秀な斧使いが仲間になり、敵側は斧が有利に働く槍装備ユニットが多め、加えて全体的に防御力が高い敵(特にボスやアーマー系)が多いため、剣で2回攻撃するより斧で1回叩く方が有効な状況が多いからである。 ---故に手斧(射程1~2の斧)を持った騎兵を突っ込ませて壊滅させるのが効率的となり、「手斧地雷ゲー」と揶揄される事も。 --一方で剣が弱くなってしまっている。理由は斧が強い理由と同じく剣では不利な槍持ちの敵が多く、全体的に固い敵が多いため攻撃力が低い剣では削りきれない状況が増えたため。 ---ただし主人公専用装備の神剣ラグネルは使用機会が少ないものの、これまでのシリーズの主人公専用武器と比べても例外的に別格の強さと存在感を誇っている。 --魔法については、GBA版の「理魔法>光魔法>闇魔法>理魔法」から、闇魔法の廃止と光魔法を使うユニットの減少によってトラキア以前の「炎>風>雷>炎」という関係に戻った。 --3すくみの補正値も敵味方の能力バランスを考えれば適正な値(命中±10%、威力±1)に。 -武器の重量周りの調整 --今作では武器の重さを「体格」ではなく「力」で軽減できるようになっている。 --これにより、これまでのシリーズでは重すぎて(使い手の体格が低いと)攻速がガタ落ちし、有効に使えるユニットが限られていた「鋼系」「大剣」などの重い武器も、物理職の力が育ってくる中盤以降は主力武器として使えるようになった。 --一方で、魔道士の力はあまり伸びない(+力の伸びる味方魔道士はあまり速くない)ため、遠距離魔法や上級の魔法などの「威力は高いが非常に重い」魔法は無暗に乱発できないように調整されている。 -魔法については今作ではかなりきつい調整が行われた。 --まず敵の魔防(魔法防御力)が全体的に上がったため、これにより1回で倒すのが難しくなった。~ そして魔道書自体の威力と使用回数の低下もあり、このため以前の作品で行われていた魔道士無双がしづらくなった。 ---前述したラグズに魔法で特効が発生するためその処置であるとも言える。 --しかし決して必要ないほどに弱体化はしておらず、むしろ対ラグズ特効が付加したことにより重要度で言えば価値は従来より上がっているためこの調整は評価が高い。 //暁の記事だと魔導士は今作より弱体化してる。 -店で売られる武器の品揃えも大幅に変更されている。 --特に大きいのが、キラー系統武器が非売品化したことである。敵の耐久がそれほどではなかった従来では銀武器を買うよりも、そこそこの性能と高い必殺率を誇るキラー系武器を買ったほうが圧倒的に効率が良く、価格もキラー系の方が安いためしばしばシリーズ全体の問題として挙げられていた。 ---回避ゲーへの対策や敵の硬さでぬるくなり過ぎと言われたバランスを大きく修正したことを考えればこの判断は妥当である。『暁』以降では非売品ではなくなったが、値段が銀系統の倍以上に上昇している。 --難易度ごとに拠点で買える武器が変わるという今作独自の試みも存在。 -全体的な難易度は大幅に上がっているが、その分バランスは良くなっている。 --難易度は低くはないものの『トラキア』ほど運要素は強くなく、難解な配置でもない。手堅く戦術を組み立てていればきちんと勝てるようになっており、イベント経験値の利用などの救済措置もあるためSRPGでは必然的だった運の要素をかなり排除したゲームバランスは高く評価されている。 --GBA3作共通の問題点とされた回避ゲー化の問題も、敵の命中を底上げしたことによって解決。 ---武器の命中を上げるのではなく、ステータスの「技」の部分を上げているので命中のインフレは起こらず、回避と命中のバランスはシリーズ中特に良質と言える。 --『封印の剣』で回避ゲーの原因として挙げられた「地形効果の大きさ」も削られ、これまであった森、山、高い山といった概念をあえて全て削除している。 ---その代わり以前のシリーズで山や高い山に該当する部分は飛行系でなければ待機不可になり、森に該当する部分は全部「茂み(回避+10%,防御+1)」に統一されたことにより更に回避ゲーが起こりづらくなった。 ---こちらはSFC時代のバランスを引きずって来たせいで現在のFEと弊害が生じた部分を上手くそぎ落した良調整といえる。地形名を受け継いだものの、『新・暗黒竜』や『新・紋章の謎』もこの数値に近づいている。 ---よくよく考えてみれば3Dの空間で山や高い山と表示された部分をユニットが上り詰めていくのは極めて不自然なことである。これらが許されたのはあくまで2Dだったからとも言える。 --闘技場が廃止されレベル上げ・資金調達がしづらくなったが、一気にレベル上げをするパワープレイは基本的にFEにおいては戦闘の魅力を損ねる一面も指摘されていた為、それほど問題視はされていない。 ---その代わり弱キャラを育てる方法としてイベント経験値が導入されており、やろうと思えば全員上級職レベル20も可能なところも自由度が高いと評価されている。 ---資金も最終的には余るほど入手出来る為、よほど無計画に浪費しない限り資金面をそれほど気にする必要は無い。 ---その他にも、「敵側の上級職の比率が大幅上昇」「特攻の倍率が2倍に下がった」など、細部に至るまで伝統だったバランスが変化している。 -難易度選択はノーマル、ハードの他にハードより上のマニアックモードが搭載されている。 --このマニアックモードは『烈火』の「へクトル編ハードモード」、『トラキア』そのものなどと並べられシリーズでも屈指の難しさを持つためマニアを唸らせている。このマニアックモードの調整は高い評価を得ている。 --例えば序盤は武器不足になるほど敵が多く強いのだが、そのような状況だからこそほぼ全てのキャラを使わされるためいわゆる2軍ユニットが生まれないことによる平等感、大量の敵を処理するためにお助けユニットを活用しつつ、いかに弱いユニットを育てるかという高い戦略性、&br;敵の命中回避のバランスゆえ確実な命中や回避が望めないものの、トラキアほど極端な理不尽さはない程々の運要素、&br;ゲーム中一貫して絶妙な攻守のバランスが常に油断できない緊張感を生み出しているなど、まさしくマニアならば十二分に楽しめる内容となっている。 ---後続作品でマニアックモードよりも上の難易度として登場した「ルナティック」では敵の能力インフレが更に加速した結果、ユニット運用の自由度が大幅に下がる詰将棋的なバランスになってしまったことから、戦略性と自由度と適度なランダム要素を兼ね備えた今作のバランスをシリーズ最高と評す人は今なお数多い。 --イベント経験値の中に「ターンボーナス」というクリアしたターン数が早ければ早いほど経験値ボーナスが増えるという要素もあるが、これで最大値を出すのは本編を散々やった人でも投げ出すほどの超難度。だがやろうと思えばマニアックでも可能だしその気がないなら無視しても構わないため、GBA作品であった評価狙いプレイのようなやりこみたい人向けの要素として受け入れられている。 -以上のように、今作はシリーズ中でもかなり自由度が高い部類に入る。旧来のFEによくいた必要ないほど冷遇されたクラスやキャラ(一部ギリギリなのはいるが)が少ないのもポイントであろう。 --SRPGというジャンルでは基本的に自由度の高さがそのまま戦略性の高さに繋がる例が多い。 --今作の場合もその例に漏れず、いかなる状況でもいくらでも戦略を立てることが出来るためマゾいプレイヤーが好んでする「縛りプレイ」なども盛んに行われている。 -シリーズ初心者への配慮 --以上のように決して初心者に優しくないのかと言うとそうではなく、ノーマルモードではラスボスの第二形態が削られたり、索敵マップと呼ばれる厄介なマップが易しめになるなど絶妙な緩和がなされる。 -そしてなによりも、チュートリアルの解り易さがシリーズ随一。 --今作のチュートリアルは強制されない上見たいときにいつでも''身振り手振りの動きつき''で非常に分かりやすく教えてくれることから、初心者への配慮もばっちりと、様々な面で隙の無い作りとなっている。 -2周目からは、データ作成時にユニットの成長方式を「乱数成長」と「固定成長」の2つから選べるようになる。 --「乱数調整」は既存のシリーズと同じく、成長率の%に応じてステータスの上昇が決定される形式。対して新登場の「固定成長」は、運要素が無くほぼ成長率の期待値通りにステータスが上昇する((厳密には、使った武器や倒した敵の種類によって多少成長の仕方に補正が掛かる。))。 --固定成長ではユニットが極端に強くなったり弱くなったりすることがないため、運に左右されないプレイが可能になる。好評を得たシステムだが、以降のFEシリーズでは採用されていないため復活を望む声もある。 -おまけ要素も充実している。 --『封印』に存在したトライアルマップ(クリア後のデータで挑戦可能なステージ)が今作にも採用されており、キャラを育てる楽しみが更に増えた。 ---マップ自体も「マップ自体は本編の使い回しだが、攻略条件が全く違っている」「周りを海で囲まれた孤島で精鋭飛行系軍団の猛攻から拠点を防衛」などテーマに沿った濃い内容のものが多く、今作の作りこみの深さが窺える。難易度も大幅に上昇しており、慣れないうちは高評価どころか通常クリアさえままならない程。 ---さらにGBAのFE3作とGBAケーブルで連動させることでマップの数が更に増える。 ---なお今作でもトライアル限定のキャラは存在する。本編を15周すると無敵状態のラスボスが使えるというご褒美付。 ---周回の仕様も従来のようなセーブデータに周回数を記録する方式でなく内部データとして記録する方式なので、例えデータを全部消したとしても周回数がリセットされないのも良心的。 --他にもサウンドルームやゲーム中のムービーの他、全キャラクターの公式イラストまで閲覧できる。 --またGBAと連動させると''GBA3作全てのキャラクターイラストも見られる''という徹底っぷり。 //支援会話集はないですね ---ただし、発売時期の関係上『聖魔』のイラストは一部のキャラクター(今作発売時点でメディア露出していたもの)だけ。全員分のイラストが見られるようになったのは『暁』発売後しばらくしての公式ホームページであった。 -シナリオも概ね高評価を得ている。 --一部の伏線が放置されたままエンディングに入ってしまうが、&italic(){[[残った謎を明らかにした次回作>ファイアーエムブレム 暁の女神]]の評価が芳しくなかった}こともあり、現在ではむしろ「いい感じに王道っぽさがある」「マップの構成がストーリーとうまく融合している」など好意的に見る人の方が多くなっている。 --また序盤で主人公の父親が宿命の敵に殺されることをはじめ(ムービー付き)、ベオクとラグズとの種族間の溝、人体実験と「なりそこない」((投薬により精神を崩壊され、化身状態から元に戻れなくなったラグズを指す。))の存在、ベグニオン帝国の腐敗貴族の横暴、といった陰惨・暗めの描写が多く、そしてそれらの陰の部分に負けないほど味方軍のたくましく生き生きとした雰囲気、ラグズとの和解といった陽の描写も強いためバランスがよく、負の設定の生々しさを交えた紋章・聖戦のシナリオに近い色合いになっている。 ---特にラグズとの溝については、従来での「竜」とのそれと違って人間と現在進行形で関わりを持っている種族な為、両種族の差別感情などもより様々な観点から色濃く描写されている。 --更に主人公アイクは『烈火』のへクトル、『聖魔』のエフラムを踏襲したようなアクティブで熱い性格の主人公で、歴代主人公とは違い王族ではない平民出身の傭兵という設定もあり感情移入しやすく、しかも歴代主人公の中でもトップクラスの強さと相まって非常に人気が高い。 -ラスボスが飛躍的に強化された。 --本作のラスボスは「主人公の専用武器とラグズ王族と赤竜族でしかダメージを与えられない」「必殺無効」「今までのラスボスで少なかった攻速含めて穴のない高いステータス」「飛行系の高い移動力で突撃してくる」という「固い、強い、はやい」の三拍子を揃え、現在に至るまでシリーズ最強のラスボスとして君臨している。 --従来のラスボスは速さが低いため[[追撃込みで手早く倒せたり>ファイアーエムブレム トラキア776]]、守備が高くても特効武器の必殺1~2回で倒せたり、[[壊れ性能な武器で>ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣]][[一方的に倒せたり>ファイアーエムブレム 烈火の剣]]、[[間接武器を持たないため>ファイアーエムブレム 封印の剣]][[こちらの間接装備で一方的に倒せたり>ファイアーエムブレム 聖魔の光石]]…といった致命的な弱点があったが、こちらは一切つけいるスキが無く、正攻法での攻略あるのみである。 ---しかも難易度ハード以上だと一度倒しても''強化されて復活する''という、今迄のラスボスには無い強烈なサプライズ付き。((例外は「紋章」のラスボスで、倒したとしても彼の周囲のシスターを仲間にしないとシスターのHPを吸収して復活する。)) --ストーリー上でもゲーム序盤から全編にかけて登場するため、これまでのラスボスたちに比べて圧倒的な存在感を持ちキャラクター面もしっかり描写されているため、これぞ王道ラスボスの鑑だと好評である。 --他のユニットでの戦闘会話が非常に多いのも特徴。彼と戦えるキャラ達全員は勿論、そうでないキャラとの会話も多い。中には即死の危険があるユニットでの戦闘会話も。 -またシリーズ中でもとりわけてネタとなるイベントが多い。 --特にファンの間で「''しっこくハウス''」、「''ボルトアクス将軍''」と呼ばれているマップは有名で、それらをネタにしたネタのフラッシュまで作られたほど。 --条件を満たすと''自軍ユニットが敵に寝返る''というイベントもある。これは多くのプレイヤーがまず引っかかるだろうと思われるシチュエーションであったため、このイベントに唖然とするプレイヤーが続出した。 ---寝返るキャラに対する敵将の気持ちが分かり、敵将本人も敵軍とは思えない屈指の善人で((他国出身でありながらデイン王国に長年尽くし、その温和な人柄で部下は勿論領民からの信頼も厚く、ラグズへの差別感情も持たない。そのキャラが寝返る会話では「一時の感情に流されてはいかん」「後悔するぞ」と幾度も諭している。))、苦悩の中で戦っている事も加わった貴重なイベントである。 -そして小ネタ面では、アイクとその宿敵との会話が主に取り上げられる。 --これは、序盤でいきなり登場する宿命の敵と戦闘して、1ターン耐えてマップをクリアすると拠点会話に特別な会話が追加されるといったもの(戦闘そのものは任意)。 --この宿敵は負けイベント同然のステータスを持ち、この時点ではどんなに主人公を育てていても2回攻撃を食らって死ぬのが普通である。もちろん死んだらゲームオーバーで最初からやり直し。ただしあるスキルを使えば(運ゲーではあるが)耐えることが可能。 -ムービーとキャラクターボイス --物語中に挿入されるムービーではキャラクターがフルボイスで喋る。 --FEシリーズでキャラに声が付くのは『BSファイアーエムブレム アカネイア戦記』以来。 **問題点 -パラディンが非常に強い。 --「再移動」が可能なため攻撃後に逃げてヒットアンドアウェイが可能だったり、武器を2種類使える、パラメーター上限も高いなど全体的に高性能。また専用奥義が相手に与えたダメージ分だけ体力を回復する『太陽』、後述の『騎士の護り』による守備と魔防の底上げなどかなりの厚遇。後述の通り、本作では特効を突かれた際のリスクも小さい。 --このため、武器が一つしか使えず移動力も高くない専門歩兵はパラディンに大きく見劣りしてしまう。さらにパラディンへ昇格できる下級兵は4人、最初からパラディンの上級兵は2人と人数が多いため、自軍が騎馬だらけになることもしばしば。 ---特にソードマスターとバーサーカーに至っては奥義も不遇。詳しくは後述。 -ソードマスターとバーサーカーの弱体化。 --前作までと異なり今回は武器が一つしか使えない兵種に必殺補正がなく、素の状態では強みがない。 --それでもスナイパーやハルバ―ディアは強力な奥義を持っているが、ソードマスターの「流星」は都合2.5倍のダメージを与える代わりに武器を5回分消耗してしまうため使いづらく、バーサーカーの「鳴動」は攻撃時に力の1/4を加算するという微妙な性能。 ---さらに敵に槍持ちが多いせいで槍に弱いソードマスターは格段に辛く、ランスバスターのような槍対策の剣も今回はない。速さの高さによる回避率も、全体的な命中上昇により従来ほど光らない。 ---流石に問題視されたのか、海外版では必殺補正を復活させている。 //--騎兵に関しては敵側でも高い強さを持ち再行動もするため一応バランスは取れている。ソードマスターも敵側では速さを生かした追撃や高い回避力で依然として厄介な相手であるためゲームバランスとしては問題ないとの声も多数。 //↑どう見てもプレイヤーが使う上で問題があると言わざるを得ない -S武器の問題。 --剣と槍にはあるのに斧には無く、雷と光と杖はあるのに炎と風には無いちぐはぐな按配。 ---しかも槍は本編中では入手できず、条件を満たせばトライアルマップでのみ使用可能。光も裏技を使わなければ入手不可能。 ---『烈火』や『聖魔』と同様、今作も一つの武器レベルしかSにできず、Sランクの補正もないので風や炎をSにするのはほぼ意味がなくなってしまっている。 ---さらにSランクの弓はスナイパー専用。性能も''4マス先だけ''を攻撃できるというもので、相手の''射程2の弓に反撃ができない''と使いづらい。 ---一応武器レベルを次回作に引き継ぐことが可能なキャラも存在するが、引き継げない武器レベルも結構存在する(ステラの斧やイレースの炎風など)。 ---解析ではS武器の斧はグレイルの使用した「ウルヴァン」、風と炎は『暁の女神』に登場した「レクスカリバー」と「レクスフレイム」である事が判明している。また、3つとも国内版のデータにも入っており、武器グラフィック・エフェクトもちゃんと作られている。シナリオの流れで使えなくなるウルヴァンはともかく、雷のS武器は普通に手に入るのになぜ炎・風魔法の方が登場できなかったのかは不明。 //解析ではS武器の斧はグレイルの使用した[[ウルヴァン>http://serenesforest.net/fe9/axe.htm]]、風と炎は『暁の女神』に登場した[[レクスカリバーとレクスフレイム>http://serenesforest.net/fe9/magic.htm]]である事が判明している。 //↑リンク先のページが変更になったのかどちらのリンクも「404 Error: Not found」と書かれた同じページに飛ばされてしまうため外しました。 -特効の倍率変化による問題 --特効時の武器威力増加の倍率が、従来の3倍から2倍に減った。これにより、低威力の特攻武器よりも普通の高威力武器の方がダメージが通りやすいという状況が頻発することになってしまっている。例えば飛行系に強いはずの風魔法の威力が、特効込みでも通常の雷魔法の威力と大差なくなっている。 ---さらにこれらの特効武器は従来よりも重く設定されており、序盤では攻速落ちして使いづらく、終盤では他の武器を使ったほうが手っ取り早い。 --これによって特効を突かれるリスクが下がったパラディン、ジェネラル、ドラゴンマスターが強化されている。特にアーマー(ナイト)キラーすら寄せ付けないジェネラルやパラディンなどはもはや敵なし。 ---ペガサスナイトやドラゴンナイトでも弓やアーチを2~3発くらいは平気で耐えるため、地形を無視出来る飛行ユニットに対する抑止力になっていない。 --バランス的に問題だったのか、暁以降では従来通りの3倍に戻されている。 -戦闘アニメの問題点 --初の3D作品ということもあってか、戦闘アニメが地味・動きが不自然といった不満意見がある。 ---また戦闘画面で攻撃力・命中率・必殺率などの情報が表示されない。 --戦闘アニメをオフにした場合、従来のようにマップ上でユニットのアイコンが体当たりするだけではなく、武器によってそれぞれ固有のアニメーションをして攻撃する。 ---このアニメ自体は悪くないのだが、いかんせん3Dであることもありテンポが悪い。特にマニアックモードでは敵の数が非常に多いので、「余裕で漫画が読める」などといわれるくらい敵ターンが長くなる。 -時々フリーズする。 --これに対してはマップ攻略中に''一旦中断してすぐ再開 ''することで回避できるのでそれほど問題ではない(公式回答より)。 --持ち物一杯の時に、''8文字''の道具(マジックシールド、サンダーストームなど)を輸送隊に送ると必ずフリーズする。 --しっかり守らなければ最悪の場合会話を見るだけでもフリーズするので要注意。 ---唯一の救いは再現性のあるフリーズばかりと言う事だろうか。 --他にも、冒頭で挙げた寝返りイベントでその自軍ユニットが敵軍に寝返ったデータを次回作への引き継ぎに使用するとフリーズしてしまうバグも存在する。 -スキルや奥義の性能にかなりの格差があり、実用的ではないものが多い。 --ある章で仲間の加入を断ると代わりにスキル「回復」を習得できるアイテムが貰えるが、これを習得可能な仲間ユニットは''すでに「回復」を習得している''ため、まったく役に立たない。 ---しかもこの仲間は従来の踊り子の強化版のスキルを持つ大変有用なユニットな為、掛け値なしの大損である。 --仲間ユニットの一人であるサザは、経験値入手量が減る代わりに成長率が上がる「大器晩成」と言うスキルを持つが、''上級職にクラスチェンジできない''という使用なためせっかく育てても終盤ではまともに戦闘させるのは困難という罠がある。 ---暁への引継ぎもあるためサザの育成は完全に無駄というわけではないが、引き継いだ場合は''むしろ能力が下がる可能性''があるというさらなる罠も。 --奥義は例えば、獣牙族の奥義の一つである「咆哮」は「1マップに''1回だけ''、隣接した敵兵一人を1ターン''移動''不能(「行動不能」ではない)」にするという地味過ぎるものも。 ---また、ベオクの弓兵ユニットの奥義である「狙撃」はこれの''実質完全上位版''であるなど、奥義の当たり外れの差が酷い。 -BGMが印象に残りにくい。 --単体で聞く分には良曲も十分に多いのだが、前作以前や次回作のBGMが印象的であるのに比べると見劣りするように感じてしまう。 --しかしそれ以上に問題なのは''BGMの音量が妙に小さい''事で、普通の音量でプレイしているとBGMがほぼ聞こえないことも。対して効果音やフェイズジングル(自軍や敵軍の行動開始時に流れるファンファーレ)の音量は適切(人によってはややうるさく感じることも)であるため、BGMが小さすぎるが音量を上げると他の音がうるさすぎるという状況に。 ---設定でBGMと効果音の音量を個別に調整する機能はあるが、BGMとジングルの調整は共通で行われるため結局問題の解決には至らない。 --前述の通り良曲も多く、下記のように『スマブラX』には今作出典の曲が何曲か収録されている。また、中盤、およびエンディングで流れる「Life Returns」はシリーズ初のボーカル付きBGMであり、リュシオンとリアーネ、二人の重唱の魅力がこれ以上なく再現されており、人気を集めた。ゲーム中に流れるボーカル付きのBGMは、「if ひとり思う」が登場するまでの長い間、この一曲のみであった。 -進展の遅いストーリー。 --同じ戦況のもとでの戦いが連続し、ストーリー的には動きが少ない面が目立つ。 ---特に終盤は自軍が敵陣を侵攻するストーリーが12章連続で続くが、その間は常に自軍の攻め一辺倒で、(一応、兵力的には敵軍優位という状況が続くが)基本的に自軍の勢力を根幹的に覆すピンチなどはない。 //「訪れない国がある」というのは問題点というほどでもないのでCC。 **賛否両論点 -秘密の店の廃止 --特定の場所で待機すると珍しいアイテムが購入できるシリーズ恒例のお楽しみ要素、秘密の店が廃止されている。 --購入できるドーピングアイテムによってバランス崩壊にも繋がっていたため、廃止が一概に悪いとは言いがたい。 --代わりに砂漠マップでは特定の位置で待機するとアイテムが入手できることがある。 -闇魔法の廃止 --しばらく続いてきた要素のため、廃止されたことに対する復活希望の声も少なくなかった。続編では正式に復活を遂げている。 -練成関係にもバグ --元の武器に必殺補正がついている場合''それを0にする事によって必殺率255の武器が作れてしまう''という大きなバグがある。 --当然ながらマニアックであろうとこれを利用すればゲームバランスは大崩壊するので、まともにプレイしたいなら縛るのは必須。 --ただし、その対象は細身シリーズやサンダーなど元が弱い武器なので、そもそもダメージが通らなければ恩恵は受けられない。 --今作はシリーズ中でも最も敵の守備面が高いと言われる作品である。上記で挙げた2種類はソードマスターや魔導士が扱う系統であり、両方とも今作で火力を大きく減らされたクラスであるということもあるため救済目的で容認されることもある。 -地属性同士での支援効果があまりにも強すぎる。 --支援Aの地属性だと''回避が+30%''と大きく上がる。「回避ゲー」が問題視されていたGBA版でも、回避重視の支援をそのキャラが組める限界まで高めても最大で25%どまりなことと比較すれば、その効果の大きさは歴然。 --しかも主人公のアイクは地属性であり、支援相手の中に同じ地属性のオスカーという強い騎兵がいるため、回避無双が可能になってしまいバランスを崩しているとも言われる。 --ただし支援そのものを封印すれば敵の命中は常時50~60で安定する。現在では主人公が地属性であることを考えるとラスボスで詰まないための救済であるとも言われる。~ GBA3作などの近年のFEでは最高難易度で例え主人公だけになってしまっても、ラスボスがそこまで強くないためお助けキャラなどを駆使すればなんとかクリアできるようには調整されていた。しかし今作の場合、ハード以上の難易度で主人公だけになってしまうと、周りの取り巻きやラスボスの形態変化などの関係から専用武器やお助けキャラを以てしてもクリアは事実上不可能となる。 ---上記のように地属性支援以外の支援効果は「あれば便利」程度の補正にとどまっているのもそのように扱われる根拠になっている。 -全体的に敵味方ともにHPが低く守備力が高めなため、守備の重要性が高すぎるとも指摘される。 --理由としては敵にあまり魔道士が登場しない、敵味方ともに守備面が上がりやすい成長率に設定されているため敵の攻撃力がそれほど高く感じないといった要素が挙げられる。 --また今作では守備と魔防が+2される「騎士の護り」といった装備品がある。しかしこのアイテムには隠し効果として「''速さ成長率+30%''」という非常に強力な補正があるため、例えばアーマー系に付けて育てれば「かたい、つよい、はやい」ほぼ隙無しのバランスブレイカーが容易に作れてしまう。 ---ただ、移動力に難があり追加装備の剣の使い勝手がイマイチ良くない以上、これぐらいはあっても良いとも言われている。 --以降の作品では魔導士の登場回数を増やす、敵に積極的に銀装備など強力な武器を持たせる、更に威力を高くした錬成武器を持たせるなど火力をインフレさせる方向でアーマーの弱体化を図っている。また、守備力に補正をかけるアイテムも登場しておらず、あったとしても魔導士専用などといった扱いになっている。 --もっとも以上の要素はいずれもプレイヤー側が簡単に縛れるので、バランスを根本的に崩しているわけではない。 //若干記述を変更。 //-敵将のネーミングに妙なものが多い。 //--「ヒブッティ」、「ノシトヒ」、「ガシラマ」、「シークコ」など、由来不明の変な名前の敵が大半を占めており、一部でネタにされている。 //---FEシリーズもかなり歴史のあるゲームシリーズとなっていたため、「スタッフが敵の名前付けにネタ切れを起こして適当なカタカナの羅列に走ったのでは?」といった邪推も呼んだ。 //--もちろん、こういった名前が笑えるという意見もあるが、しっくりこなさすぎて気に障るという意見も見られる。 //--こういった名前の傾向は次回作の『暁』でも同様である。そこからさらに後に発売された完全新作である『覚醒』からは、再びまともな名前が多くなった。 //-ちなみに、リアーネの属性が『暁の女神』とは異なっている。『蒼炎』は風、『暁』は水。 //変更された暁の方に書けばいいと思う。 **総評 発売前の不安を完全に払拭する完成度を誇り、長い歴史によるシステムのマンネリ化に陥っていたGBAのFEシリーズから、新要素の導入やゲームバランスの刷新によってシリーズの新たな境地を切り開くことにも成功した。~ 様々な新システムを搭載したゆえか粗は見受けられるものの、システムの完成度自体は記念作品にふさわしい十分な出来であり、後続の作品は全て今作のバランスをベースに作られることとなっていく。 それまでの主人公とは一味違った「熱血漢」を地で行くアイクも人気となり、その後『スマブラX』に参戦した事もあり、『聖魔』以降若干低迷気味だったFEシリーズの人気を盛り返し、こういった主人公のキャラ付け傾向も後作に引き継がれていくことになる。 発売されたハードが生産数の少なく、かつ末期であったGCで、売り上げが特別高いわけではなかったのが惜しまれる作品である。~ とはいえ''本作の発売週はGCの売り上げが他の週の2倍になった''という逸話があり、これはかなりの快挙である。任天堂内でも若干低迷気味だった、GCとFEシリーズそれぞれの地位の向上に少なからず貢献した作品といえよう。 ただし、売り上げ的には次回作とともにシリーズでもワーストの部類であり、後にシリーズ打ち切りの話題が出たことから一部のファンからは厳しい目で見られているという、損な立場にもある。~ 現在では入手やプレイの手段がやや限られるものの、シリーズファンであれば満足できる作品である事は間違いない。 ---- **中古価格の高騰 -次世代機のWiiが大ヒットすると次回作かつ続編である『暁』がハード売り上げに非常に貢献した『蒼炎』の影響でWiiのキラータイトルとして発売され、ファンの間でも「面白いらしいけどやったことがない」というような扱いを受けていたこの作品は再び注目されるようになった。 --そのため、中古価格は2,000~1,000円程度だったのが、『暁』発売後から急激に高騰、さらにその後『スマブラX』にアイク(それもデザインは蒼炎アイク寄り)が参戦したこともあり、中古価格は現在に至るまで、新品定価と同じ~やや上程度が相場となっている。 ---WiiでGCのゲームが遊べるのと、『蒼炎』のクリアデータを『暁』に持ち越すことができるという仕様もこの高騰の原因だろう。 --現在はすでに生産を終了しており、上記の持ち越し仕様のためかWiiで遊ぶセレクションでの発売も発売されなかったため、現在本作を遊ぶには中古などでソフトを入手し、GCかWiiでプレイするしか無い。 --なお『[[スマブラfor>大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』にもアイクは続投している。外観が『暁』スタイルにチェンジしたが、ワザ内容は概ね同じ。 **余談 -上述の通り『[[大乱闘スマッシュブラザーズX]]』,『[[大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』にアイクがプレイヤーキャラクターとして登場。 --シリーズのBGMも今作からの引用が多く、漆黒の騎士の戦闘曲や今作に登場する敵ユニット・オリヴァーのテーマソングまで収録されている。 --フィギュアにはアシュナード、漆黒の騎士が登場。エリンシアやサザのフィギュアもあるが、デザインは姿は『暁』に準拠。 --また、アイクの他にグレイル、ミスト、漆黒の騎士、アシュナードのシールも用意されている。 -海外版では、今作で主に冷遇気味と言われたソードマスター・スナイパー・バーサーカーに必殺補正が追加されている。 --その代わりマニアックモードが削除されている。 -今作は他作品に比べバグやフリーズが目立つが、どうやら今作はディスク容量の限界以上に大量のデータが圧縮されているらしくGC本体にかなりの負荷がかかっているようで、フリーズやバグはこれが原因であるという説がある。 --ハードに起因するフリーズバグが多い関係上、GCではなくWiiで遊ぶことでフリーズのリスクはやや下がるとの説もあるが、それでも完全になくなる訳ではないようだ。 -アイクの初期名はパリス、デイン軍の初期名がデロス兵であった。この「パリス」という名はのちの『[[ファイアーエムブレム 覚醒]]』にて再利用されている。 #region(画像) #image(cubeemblem.jpg) #endregion -ラグズの登場によりいわゆる人間は「ベオク」と呼称され、ラグズ・ベオクともに古代人種「マンナズ」より分化した種族であるとされる。~ すべてルーン文字に由来する名称であり、それぞれ「水」(L:ラグ)もしくは「乗り物」(R:ラド)、「成長」(B:ベオグ)、「人間」(M:マンナズ)を意味する。詳しくはルーン文字の解説書を参照されたし。 --設定面でラグズは多くのベオクから半獣と蔑まれ、ラグズもまたベオクをニンゲンと言う差別的な呼び方をしており、ゲーム内で両種族は大きく反発しあっている。また、両者のハーフである「印つき」に対する処遇はさらに賤しいとされる。 -本作はシリーズ通してみても、とりわけ敵将のネーミングに妙なものが多い。 --「ヒブッティ」、「ノシトヒ」、「ガシラマ」、「シークコ」など、由来不明の妙な名前の敵が大半を占めておりネタにされることも。 ---FEシリーズもかなり歴史のあるゲームシリーズとなっていたため、「スタッフが敵の名前付けにネタ切れを起こして適当なカタカナの羅列に走ったのでは?」といった邪推も呼んだ。 --こういった名前の傾向は次回作の『暁』でも同様である。そこからさらに後に発売された完全新作である『覚醒』からは、再びまともな名前が多くなった。 -続編である『[[ファイアーエムブレム 暁の女神]]』は残念ながら無視できない問題点の多さで賛否両論となっている。 --詳しくは当該記事を参照。 ----
*ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡 【ふぁいあーえむぶれむ そうえんのきせき】 |ジャンル|ロールプレイングシミュレーション|&amazon(B0002OVBLQ)|&image(souen.jpg,http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3746&file=souen.jpg,width=200)| |対応機種|ニンテンドーゲームキューブ|~|~| |発売元|任天堂|~|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~|~| |発売日|2005年4月20日|~|~| |定価|6,476円(税別)|~|~| |プレイ人数|1人|~|~| |セーブデータ|5個&br;(メモリーカード使用ブロック数:19)|~|~| |レーティング|CERO:全年齢(全年齢対象)|~|~| |周辺機器|GBAケーブル|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|グラフィックが初の3D化&br()新システムも多く追加され内容面も進化&br()やりごたえのあるマニアックモードを搭載|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ関連作品リンク>ファイアーエムブレムシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -シミュレーションRPGの金字塔、ファイアーエムブレムシリーズの9作目にあたる作品。据え置き機としてはシリーズ5作目である『トラキア776』以来で、実に5年ぶりとなる。 -FE15周年記念作品であり、シリーズ初のフル3Dグラフィックなど「進化したFE」という印象をユーザーにアピールした作品である。 -主人公である少年アイクの成長と新舞台テリウス大陸でのベオク(人間)とラグズ(獣人族)、二種族の対立と和解を中心に据えたストーリーが展開される。 **新要素・評価点 -竜人族マムクートに代わる新たな亜人種族「ラグズ」の登場 --ラグズとは獣人族で、獣牙族(猫、虎、獅子系)、鳥翼族(鷹、烏、鷺系)、竜鱗族(赤竜、白竜、黒竜系)に大別される。 --戦闘面では人と獣の形態をそれぞれ使い分ける。人形態ではステータスも低めで攻撃もできないが、ゲージが最大値になると自動的に「化身」して獣の姿に。数ターンで解除されるものの、その間は強力なステータス補正を得られるという特徴を持つ。 ---他、重量のステータスが見かけによらず非常に重かったり非常に軽かったり、爪やくちばしで戦うため装備や耐久値とは無縁などの特徴も持つ。 ---味方ユニットとしてはややクセがあるものの、上手く使えば戦力として有用。即座に化身ゲージを溜める「化身の石」や、能力補正は落ちるものの常に化身状態を維持できる「半化身の腕輪」などのサポートアイテムも存在する。 --一方で、敵ユニットとしてはステータスが高い厄介な相手となる。攻撃される前に一気に攻めるか、逆に化身が解除されるまで待つかという駆け引きが生まれた。 ---種によって異なる特効が設定されており、ラグズ全てに対して特効が発生する武器もある。 -クラスチェンジの仕様変更 --これまでのシリーズでは、下級のユニットは特定のクラスチェンジアイテムを使わない限り上級のユニットになることはできなかったが、今回はレベル20でEXPを貯めると''自動的に''クラスチェンジされるようになった。 --また従来通りレベル10以上でアイテム「マスタープルフ」を使うことでもクラスチェンジができる。必要なアイテムも兵種によらずマスタープルフに統一されている。 --これにより、クラスチェンジさせたいキャラが沢山いるのにクラスチェンジアイテムが足りなくて困った、という従来作品では誰もが遭遇した事態がなくなった。 -拠点システム --章が終わるごとにパーティーは拠点に戻り、次の戦いのための準備をする。GBA版でも似たような編成システムがあったが、この作品では更にできることが増えている。 --イベント経験値の分配 ---章が終わると、その戦闘の内容によってイベント経験値が入手でき、それを任意のキャラに与えて育成で入るようになった。 ---イベント経験値はマップごとに条件と入手数が設定されており、少ターンクリアや友軍を倒さずにクリアといった条件を満たすことでより多く手に入る。 ---これにより育てようにもレベルが低すぎて実戦に出せない、といったキャラを安全にレベルアップさせることができるようになった。 ---ただし経験値をそのままキャラに割り振り続けることは出来ない。レベルが高ければ高いほどイベント経験値の変換率が落ちてキャラへの経験値に出来る分が少なくなるので、主力キャラにこれを集中させて早期に高レベル化するという方法は取れずバランスは崩れにくい。 -支援会話の仕様変更 --共闘を続けてきたキャラ同士が会話することでイベントが発生し、そのキャラ同士の支援率が上がる従来でも人気のあったシステム。 --従来では戦闘中に支援会話が発生していたため、「戦場で呑気に惚気たり日常会話に花を咲かせたりするのは緊張感やリアリティがない」という批判もあったが、本作では自軍の陣営で会話を行う設定にする事で概ね解決した。 --また、従来はユニット同士が隣接したターン数で支援ポイントが溜まり会話が発生したため為、ターンさえかければ一気に支援レベルを上げることができたが、今作では支援ポイントは支援相手同士を同時に出撃させたマップ数によって上昇するようになったため、終盤にならないと支援をAまで上げることはできなくなった。 --GBA3作で強すぎると言われ続けてきた支援効果も支援自体の仕様変更と共に大幅な修正が入り、殆どの属性の支援効果は「あれば便利」程度のレベルに落ち着いた。 -買い物 --拠点での買い物は従来作品でもできたが、本作では戦闘マップに店がないため武器やアイテムの購入は全て拠点で行うようになった。 ---これにより、武器を買い忘れて困る、詰むといった状態が起こりづらくなった。 --購入する武具を特注(練成)することができ、重さや威力、命中率、クリティカル発生率を+したものが買える。更に名前や色の変更も可能。 ---ただし特注品は一章に一本しか買えない上に、強力なものを作ろうとすると値段も通常の数倍以上かかる。本作には闘技場のような無限に金を稼げる施設が無い為、金に物を言わせて大量に強い武器を買うということはできないので、バランスブレイカーの域は逃れている。 ---余談だが、この名前の変更の際に使える漢字の量が凄まじい。常用漢字はもちろん、それ以外の作中でも使われないような漢字まで多く用意されている。 -スキル --スキルシステムが本格的に復活。各ユニットが初期状態で所持している固有スキルの他、アイテムを使用することで新たに習得できる。 --ただしユニットはスキルを習得するごとに「キャパシティ」を消費し、キャパシティの上限を超えてスキルを習得することはできない。 --スキルには「流星」などの戦闘力をあげるものから、「影」の「敵から狙われにくくなる」というような特殊なものまで様々。 -3すくみのバランス --「剣は斧に強く、斧は槍に強く、槍は剣に強い」というおなじみのルール。 --武器については以前の作品(特に『聖戦』)では3すくみとはいうものの、剣がかなり優遇され、斧が不遇にあっていた。 ---しかしこの作品では反対に、斧が非常に強い。序盤から優秀な斧使いが仲間になり、敵側は斧が有利に働く槍装備ユニットが多め、加えて全体的に防御力が高い敵(特にボスやアーマー系)が多いため、剣で2回攻撃するより斧で1回叩く方が有効な状況が多いからである。 ---故に手斧(射程1~2の斧)を持った騎兵を突っ込ませて壊滅させるのが効率的となり、「手斧地雷ゲー」と揶揄される事も。 --一方で剣が弱くなってしまっている。理由は斧が強い理由と同じく剣では不利な槍持ちの敵が多く、全体的に固い敵が多いため攻撃力が低い剣では削りきれない状況が増えたため。 ---ただし主人公専用装備の神剣ラグネルは使用機会が少ないものの、これまでのシリーズの主人公専用武器と比べても例外的に別格の強さと存在感を誇っている。 --魔法については、GBA版の「理魔法>光魔法>闇魔法>理魔法」から、闇魔法の廃止と光魔法を使うユニットの減少によってトラキア以前の「炎>風>雷>炎」という関係に戻った。 --3すくみの補正値も敵味方の能力バランスを考えれば適正な値(命中±10%、威力±1)に。 -体格・重量システムの調整 --今作では武器の重さを「体格」ではなく「力」で軽減できるようになっている。 ---これにより、これまでのシリーズでは重すぎて(使い手の体格が低いと)攻速がガタ落ちし、有効に使えるユニットが限られていた「鋼系」「大剣」などの重い武器も、物理職の力が育ってくる中盤以降は主力武器として使えるようになった。 ---一方で、魔道士の力はあまり伸びない(+力の伸びる味方魔道士はあまり速くない)ため、遠距離魔法や上級の魔法などの「威力は高いが非常に重い」魔法は無暗に乱発できないように調整されている。 --「救出」システムも引き続き存在。ユニットごとに「重量(体格に加え、アーマー系などは鎧の分重量が増える)」の値が設定され、救出する側の重量がされる側の重量より2以上高ければ救出が可能。ただし騎乗ユニット(騎馬・飛行系)は救出することができなくなった。 --新システムとして「体当たり」も登場。歩兵が自分より重量の低い相手に使うことで、1マス移動させることができる。味方の移動補助の他、敵を動かすことも可能。 -魔法については今作ではかなりきつい調整が行われた。 --まず敵の魔防(魔法防御力)が全体的に上がったため、これにより1回で倒すのが難しくなった。~ そして魔道書自体の威力と使用回数の低下もあり、このため以前の作品で行われていた魔道士無双がしづらくなった。 ---前述したラグズに魔法で特効が発生するためその処置であるとも言える。 --しかし決して必要ないほどに弱体化はしておらず、むしろ対ラグズ特効が付加したことにより重要度で言えば価値は従来より上がっているためこの調整は評価が高い。 //暁の記事だと魔導士は今作より弱体化してる。 -店で売られる武器の品揃えも大幅に変更されている。 --特に大きいのが、キラー系統武器が非売品化したことである。敵の耐久がそれほどではなかった従来では銀武器を買うよりも、そこそこの性能と高い必殺率を誇るキラー系武器を買ったほうが圧倒的に効率が良く、価格もキラー系の方が安いためしばしばシリーズ全体の問題として挙げられていた。 ---回避ゲーへの対策や敵の硬さでぬるくなり過ぎと言われたバランスを大きく修正したことを考えればこの判断は妥当である。『暁』以降では非売品ではなくなったが、値段が銀系統の倍以上に上昇している。 --難易度ごとに拠点で買える武器が変わるという今作独自の試みも存在。 -全体的な難易度は大幅に上がっているが、その分バランスは良くなっている。 --難易度は低くはないものの『トラキア』ほど運要素は強くなく、難解な配置でもない。手堅く戦術を組み立てていればきちんと勝てるようになっており、イベント経験値の利用などの救済措置もあるためSRPGでは必然的だった運の要素をかなり排除したゲームバランスは高く評価されている。 --GBA3作共通の問題点とされた回避ゲー化の問題も、敵の命中を底上げしたことによって解決。 ---武器の命中を上げるのではなく、ステータスの「技」の部分を上げているので命中のインフレは起こらず、回避と命中のバランスはシリーズ中特に良質と言える。 --『封印の剣』で回避ゲーの原因として挙げられた「地形効果の大きさ」も削られ、これまであった森、山、高い山といった概念をあえて全て削除している。 ---その代わり以前のシリーズで山や高い山に該当する部分は飛行系でなければ待機不可になり、森に該当する部分は全部「茂み(回避+10%,防御+1)」に統一されたことにより更に回避ゲーが起こりづらくなった。 ---こちらはSFC時代のバランスを引きずって来たせいで現在のFEと弊害が生じた部分を上手くそぎ落した良調整といえる。地形名を受け継いだものの、『新・暗黒竜』や『新・紋章の謎』もこの数値に近づいている。 ---よくよく考えてみれば3Dの空間で山や高い山と表示された部分をユニットが上り詰めていくのは極めて不自然なことである。これらが許されたのはあくまで2Dだったからとも言える。 --闘技場が廃止されレベル上げ・資金調達がしづらくなったが、一気にレベル上げをするパワープレイは基本的にFEにおいては戦闘の魅力を損ねる一面も指摘されていた為、それほど問題視はされていない。 ---その代わり弱キャラを育てる方法としてイベント経験値が導入されており、やろうと思えば全員上級職レベル20も可能なところも自由度が高いと評価されている。 ---資金も最終的には余るほど入手出来る為、よほど無計画に浪費しない限り資金面をそれほど気にする必要は無い。 ---その他にも、「敵側の上級職の比率が大幅上昇」「特攻の倍率が2倍に下がった」など、細部に至るまで伝統だったバランスが変化している。 -難易度選択はノーマル、ハードの他、最高難易度の「マニアック」が搭載されている。 --このマニアックモードは『烈火』の「へクトル編ハードモード」、『トラキア』そのものなどと並べられシリーズでも屈指の難しさを持つためマニアを唸らせている。このマニアックモードの調整は高い評価を得ている。 --例えば序盤は武器不足になるほど敵が多く強いのだが、そのような状況だからこそほぼ全てのキャラを使わされるためいわゆる2軍ユニットが生まれないことによる平等感、大量の敵を処理するためにお助けユニットを活用しつつ、いかに弱いユニットを育てるかという高い戦略性、&br;敵の命中回避のバランスゆえ確実な命中や回避が望めないものの、トラキアほど極端な理不尽さはない程々の運要素、&br;ゲーム中一貫して絶妙な攻守のバランスが常に油断できない緊張感を生み出しているなど、まさしくマニアならば十二分に楽しめる内容となっている。 ---後続作品でマニアックモードよりも上の難易度として登場した「ルナティック」では敵の能力インフレが更に加速した結果、ユニット運用の自由度が大幅に下がる詰将棋的なバランスになってしまったことから、戦略性と自由度と適度なランダム要素を兼ね備えた今作のバランスをシリーズ最高と評す人は今なお数多い。 --イベント経験値の中に「ターンボーナス」というクリアしたターン数が早ければ早いほど経験値ボーナスが増えるという要素もあるが、これで最大値を出すのは本編を散々やった人でも投げ出すほどの超難度。だがやろうと思えばマニアックでも可能だしその気がないなら無視しても構わないため、GBA作品であった評価狙いプレイのようなやりこみたい人向けの要素として受け入れられている。 -以上のように、今作はシリーズ中でもかなり自由度が高い部類に入る。旧来のFEによくいた必要ないほど冷遇されたクラスやキャラ(一部ギリギリなのはいるが)が少ないのもポイントであろう。 --SRPGというジャンルでは基本的に自由度の高さがそのまま戦略性の高さに繋がる例が多い。 --今作の場合もその例に漏れず、いかなる状況でもいくらでも戦略を立てることが出来るためマゾいプレイヤーが好んでする「縛りプレイ」なども盛んに行われている。 -シリーズ初心者への配慮 --以上のように決して初心者に優しくないのかと言うとそうではなく、ノーマルモードではラスボスの第二形態が削られたり、索敵マップと呼ばれる厄介なマップが易しめになるなど絶妙な緩和がなされる。 -そしてなによりも、チュートリアルの解り易さがシリーズ随一。 --今作のチュートリアルは強制されない上見たいときにいつでも''身振り手振りの動きつき''で非常に分かりやすく教えてくれることから、初心者への配慮もばっちりと、様々な面で隙の無い作りとなっている。 -2周目からは、データ作成時にユニットの成長方式を「乱数成長」と「固定成長」の2つから選べるようになる。 --「乱数調整」は既存のシリーズと同じく、成長率の%に応じてステータスの上昇が決定される形式。対して新登場の「固定成長」は、運要素が無くほぼ成長率の期待値通りにステータスが上昇する((厳密には、使った武器や倒した敵の種類によって多少成長の仕方に補正が掛かる。))。 --固定成長ではユニットが極端に強くなったり弱くなったりすることがないため、成長運に左右されないプレイが可能になる。好評を得たシステムだが、以降のFEシリーズでは採用されていないため復活を望む声もある。 -おまけ要素も充実している。 --『封印』に存在したトライアルマップ(クリア後のデータで挑戦可能なステージ)が今作にも採用されており、キャラを育てる楽しみが更に増えた。 ---マップ自体も「マップ自体は本編の使い回しだが、攻略条件が全く違っている」「周りを海で囲まれた孤島で精鋭飛行系軍団の猛攻から拠点を防衛」などテーマに沿った濃い内容のものが多く、今作の作りこみの深さが窺える。難易度も大幅に上昇しており、慣れないうちは高評価どころか通常クリアさえままならない程。 ---さらにGBAのFE3作とGBAケーブルで連動させることでマップの数が更に増える。 ---なお今作でもトライアル限定のキャラは存在する。本編を15周すると無敵状態のラスボスが使えるというご褒美付。 ---周回の仕様も従来のようなセーブデータに周回数を記録する方式でなく内部データとして記録する方式なので、例えデータを全部消したとしても周回数がリセットされないのも良心的。 --他にもサウンドルームやゲーム中のムービーの他、全キャラクターの公式イラストまで閲覧できる。 --またGBAと連動させると''GBA3作全てのキャラクターイラストも見られる''という徹底っぷり。 //支援会話集はないですね ---ただし、発売時期の関係上『聖魔』のイラストは一部のキャラクター(今作発売時点でメディア露出していたもの)だけ。全員分のイラストが見られるようになったのは『暁』発売後しばらくしての公式ホームページであった。 -シナリオも概ね高評価を得ている。 --一部の伏線が放置されたままエンディングに入ってしまうが、&italic(){[[残った謎を明らかにした次回作>ファイアーエムブレム 暁の女神]]の評価が芳しくなかった}こともあり、現在ではむしろ「いい感じに王道っぽさがある」「マップの構成がストーリーとうまく融合している」など好意的に見る人の方が多くなっている。 --また序盤で主人公の父親が宿命の敵に殺されることをはじめ(ムービー付き)、ベオクとラグズとの種族間の溝、人体実験と「なりそこない」((投薬により精神を崩壊され、化身状態から元に戻れなくなったラグズを指す。))の存在、ベグニオン帝国の腐敗貴族の横暴、といった陰惨・暗めの描写が多く、そしてそれらの陰の部分に負けないほど味方軍のたくましく生き生きとした雰囲気、ラグズとの和解といった陽の描写も強いためバランスがよく、負の設定の生々しさを交えた紋章・聖戦のシナリオに近い色合いになっている。 ---特にラグズとの溝については、従来での「竜」とのそれと違って人間と現在進行形で関わりを持っている種族な為、両種族の差別感情などもより様々な観点から色濃く描写されている。 --更に主人公アイクは『烈火』のへクトル、『聖魔』のエフラムを踏襲したようなアクティブで熱い性格の主人公で、歴代主人公とは違い王族ではない平民出身の傭兵という設定もあり感情移入しやすく、しかも歴代主人公の中でもトップクラスの強さと相まって非常に人気が高い。 -ラスボスが飛躍的に強化された。 --本作のラスボスは「主人公の専用武器とラグズ王族と赤竜族でしかダメージを与えられない」「必殺無効」「今までのラスボスで少なかった攻速含めて穴のない高いステータス」「飛行系の高い移動力で突撃してくる」という「固い、強い、はやい」の三拍子を揃え、現在に至るまでシリーズ最強のラスボスとして君臨している。 --従来のラスボスは速さが低いため[[追撃込みで手早く倒せたり>ファイアーエムブレム トラキア776]]、守備が高くても特効武器の必殺1~2回で倒せたり、[[壊れ性能な武器で>ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣]][[一方的に倒せたり>ファイアーエムブレム 烈火の剣]]、[[間接武器を持たないため>ファイアーエムブレム 封印の剣]][[こちらの間接装備で一方的に倒せたり>ファイアーエムブレム 聖魔の光石]]…といった致命的な弱点があったが、こちらは一切つけいるスキが無く、正攻法での攻略あるのみである。 ---しかも難易度ハード以上だと一度倒しても''強化されて復活する''という、今迄のラスボスには無い強烈なサプライズ付き。((例外は「紋章」のラスボスで、倒したとしても彼の周囲のシスターを仲間にしないとシスターのHPを吸収して復活する。)) --ストーリー上でもゲーム序盤から全編にかけて登場するため、これまでのラスボスたちに比べて圧倒的な存在感を持ちキャラクター面もしっかり描写されているため、これぞ王道ラスボスの鑑だと好評である。 --他のユニットでの戦闘会話が非常に多いのも特徴。彼と戦えるキャラ達全員は勿論、そうでないキャラとの会話も多い。中には即死の危険があるユニットでの戦闘会話も。 -またシリーズ中でもとりわけてネタとなるイベントが多い。 --特にファンの間で「''しっこくハウス''」、「''ボルトアクス将軍''」と呼ばれているマップは有名で、それらをネタにしたネタのフラッシュまで作られたほど。 --条件を満たすと''自軍ユニットが敵に寝返る''というイベントもある。これは多くのプレイヤーがまず引っかかるだろうと思われるシチュエーションであったため、このイベントに唖然とするプレイヤーが続出した。 ---寝返るキャラに対する敵将の気持ちが分かり、敵将本人も敵軍とは思えない屈指の善人で((他国出身でありながらデイン王国に長年尽くし、その温和な人柄で部下は勿論領民からの信頼も厚く、ラグズへの差別感情も持たない。そのキャラが寝返る会話では「一時の感情に流されてはいかん」「後悔するぞ」と幾度も諭している。))、苦悩の中で戦っている事も加わった貴重なイベントである。 -そして小ネタ面では、アイクとその宿敵との会話が主に取り上げられる。 --これは、序盤でいきなり登場する宿命の敵と戦闘して、1ターン耐えてマップをクリアすると拠点会話に特別な会話が追加されるといったもの(戦闘そのものは任意)。 --この宿敵は負けイベント同然のステータスを持ち、この時点ではどんなに主人公を育てていても2回攻撃を食らって死ぬのが普通である。もちろん死んだらゲームオーバーで最初からやり直し。ただしあるスキルを使えば(運ゲーではあるが)耐えることが可能。 -ムービーとキャラクターボイス --物語中に挿入されるムービーではキャラクターがフルボイスで喋る。 --FEシリーズでキャラに声が付くのは『BSファイアーエムブレム アカネイア戦記』以来。 **問題点 -パラディンが非常に強い。 --本作では『聖戦』『トラキア』と同様騎乗ユニットの「攻撃後の再移動」が可能なためヒットアンドアウェイが可能、武器を2種類使える、パラメーター上限も高いなど全体的に高性能。また専用奥義が相手に与えたダメージ分だけ体力を回復する『太陽』、後述の『騎士の護り』による守備と魔防の底上げなどかなりの厚遇。後述の通り、本作では特効を突かれた際のリスクも小さい。 --このため、武器が一つしか使えず移動力も高くない専門歩兵はパラディンに大きく見劣りしてしまう。さらにパラディンへ昇格できる下級兵は4人、最初からパラディンの上級兵は2人と人数が多いため、自軍が騎馬だらけになることもしばしば。 ---特にソードマスターとバーサーカーに至っては奥義も不遇。詳しくは後述。 -ソードマスターとバーサーカーの弱体化。 --前作までと異なり今回は武器が一つしか使えない兵種に必殺補正がなく、素の状態では強みがない。 --それでもスナイパーやハルバ―ディアは強力な奥義を持っているが、ソードマスターの「流星」は都合2.5倍のダメージを与える代わりに武器を5回分消耗してしまうため使いづらく、バーサーカーの「鳴動」は攻撃時に力の1/4を加算するという微妙な性能。 ---さらに敵に槍持ちが多いせいで槍に弱いソードマスターは格段に辛く、ランスバスターのような槍対策の剣も今回はない。速さの高さによる回避率も、全体的な命中上昇により従来ほど光らない。 ---流石に問題視されたのか、海外版では必殺補正を復活させている。 //--騎兵に関しては敵側でも高い強さを持ち再行動もするため一応バランスは取れている。ソードマスターも敵側では速さを生かした追撃や高い回避力で依然として厄介な相手であるためゲームバランスとしては問題ないとの声も多数。 //↑どう見てもプレイヤーが使う上で問題があると言わざるを得ない -S武器の問題。 --剣と槍にはあるのに斧には無く、雷と光と杖はあるのに炎と風には無いちぐはぐな按配。 ---しかも槍は本編中では入手できず、条件を満たせばトライアルマップでのみ使用可能。光も裏技を使わなければ入手不可能。 ---『烈火』や『聖魔』と同様、今作も一つの武器レベルしかSにできず、Sランクの補正もないので風や炎をSにするのはほぼ意味がなくなってしまっている。 ---さらにSランクの弓はスナイパー専用。性能も''4マス先だけ''を攻撃できるというもので、相手の''射程2の弓に反撃ができない''と使いづらい。 ---一応武器レベルを次回作に引き継ぐことが可能なキャラも存在するが、引き継げない武器レベルも結構存在する(ステラの斧やイレースの炎風など)。 ---解析ではS武器の斧はグレイルの使用した「ウルヴァン」、風と炎は『暁の女神』に登場した「レクスカリバー」と「レクスフレイム」である事が判明している。また、3つとも国内版のデータにも入っており、武器グラフィック・エフェクトもちゃんと作られている。シナリオの流れで使えなくなるウルヴァンはともかく、雷のS武器は普通に手に入るのになぜ炎・風魔法の方が登場できなかったのかは不明。 //解析ではS武器の斧はグレイルの使用した[[ウルヴァン>http://serenesforest.net/fe9/axe.htm]]、風と炎は『暁の女神』に登場した[[レクスカリバーとレクスフレイム>http://serenesforest.net/fe9/magic.htm]]である事が判明している。 //↑リンク先のページが変更になったのかどちらのリンクも「404 Error: Not found」と書かれた同じページに飛ばされてしまうため外しました。 -特効の倍率変化による問題 --特効時の武器威力増加の倍率が、従来の3倍から2倍に減った。これにより、低威力の特攻武器よりも普通の高威力武器の方がダメージが通りやすいという状況が頻発することになってしまっている。例えば飛行系に強いはずの風魔法の威力が、特効込みでも通常の雷魔法の威力と大差なくなっている。 ---さらにこれらの特効武器は従来よりも重く設定されており、序盤では攻速落ちして使いづらく、終盤では他の武器を使ったほうが手っ取り早い。 --これによって特効を突かれるリスクが下がったパラディン、ジェネラル、ドラゴンマスターが強化されている。特にアーマー(ナイト)キラーすら寄せ付けないジェネラルやパラディンなどはもはや敵なし。 ---ペガサスナイトやドラゴンナイトでも弓やアーチを2~3発くらいは平気で耐えるため、地形を無視出来る飛行ユニットに対する抑止力になっていない。 --バランス的に問題だったのか、暁以降では従来通りの3倍に戻されている。 -戦闘アニメの問題点 --初の3D作品ということもあってか、戦闘アニメが地味・動きが不自然といった不満意見がある。 ---また戦闘画面で攻撃力・命中率・必殺率などの情報が表示されない。 --戦闘アニメをオフにした場合、従来のようにマップ上でユニットのアイコンが体当たりするだけではなく、武器によってそれぞれ固有のアニメーションをして攻撃する。 ---このアニメ自体は悪くないのだが、いかんせん3Dであることもありテンポが悪い。特にマニアックモードでは敵の数が非常に多いので、「余裕で漫画が読める」などといわれるくらい敵ターンが長くなる。 -時々フリーズする。 --これに対してはマップ攻略中に''一旦中断してすぐ再開 ''することで回避できるのでそれほど問題ではない(公式回答より)。 --持ち物一杯の時に、''8文字''の道具(マジックシールド、サンダーストームなど)を輸送隊に送ると必ずフリーズする。 --しっかり守らなければ最悪の場合会話を見るだけでもフリーズするので要注意。 ---唯一の救いは再現性のあるフリーズばかりと言う事だろうか。 --他にも、冒頭で挙げた寝返りイベントでその自軍ユニットが敵軍に寝返ったデータを次回作への引き継ぎに使用するとフリーズしてしまうバグも存在する。 -スキルや奥義の性能にかなりの格差があり、実用的ではないものが多い。 --ある章で仲間の加入を断ると代わりにスキル「回復」を習得できるアイテムが貰えるが、これを習得可能な仲間ユニットは''すでに「回復」を習得している''ため、まったく役に立たない。 ---しかもこの仲間は従来の踊り子の強化版のスキルを持つ大変有用なユニットな為、掛け値なしの大損である。 --仲間ユニットの一人であるサザは、経験値入手量が減る代わりに成長率が上がる「大器晩成」と言うスキルを持つが、''上級職にクラスチェンジできない''という使用なためせっかく育てても終盤ではまともに戦闘させるのは困難という罠がある。 ---暁への引継ぎもあるためサザの育成は完全に無駄というわけではないが、引き継いだ場合は''むしろ能力が下がる可能性''があるというさらなる罠も。 --奥義は例えば、獣牙族の奥義の一つである「咆哮」は「1マップに''1回だけ''、隣接した敵兵一人を1ターン''移動''不能(「行動不能」ではない)」にするという地味過ぎるものも。 ---また、ベオクの弓兵ユニットの奥義である「狙撃」はこれの''実質完全上位版''であるなど、奥義の当たり外れの差が酷い。 -BGMが印象に残りにくい。 --単体で聞く分には良曲も十分に多いのだが、前作以前や次回作のBGMが印象的であるのに比べると見劣りするように感じてしまう。 --しかしそれ以上に問題なのは''BGMの音量が妙に小さい''事で、普通の音量でプレイしているとBGMがほぼ聞こえないことも。対して効果音やフェイズジングル(自軍や敵軍の行動開始時に流れるファンファーレ)の音量は適切(人によってはややうるさく感じることも)であるため、BGMが小さすぎるが音量を上げると他の音がうるさすぎるという状況に。 ---設定でBGMと効果音の音量を個別に調整する機能はあるが、BGMとジングルの調整は共通で行われるため結局問題の解決には至らない。 --前述の通り良曲も多く、下記のように『スマブラX』には今作出典の曲が何曲か収録されている。また、中盤、およびエンディングで流れる「Life Returns」はシリーズ初のボーカル付きBGMであり、リュシオンとリアーネ、二人の重唱の魅力がこれ以上なく再現されており、人気を集めた。ゲーム中に流れるボーカル付きのBGMは、「if ひとり思う」が登場するまでの長い間、この一曲のみであった。 -進展の遅いストーリー。 --同じ戦況のもとでの戦いが連続し、ストーリー的には動きが少ない面が目立つ。 ---特に終盤は自軍が敵陣を侵攻するストーリーが12章連続で続くが、その間は常に自軍の攻め一辺倒で、(一応、兵力的には敵軍優位という状況が続くが)基本的に自軍の勢力を根幹的に覆すピンチなどはない。 //「訪れない国がある」というのは問題点というほどでもないのでCC。 **賛否両論点 -秘密の店の廃止 --特定の場所で待機すると珍しいアイテムが購入できるシリーズ恒例のお楽しみ要素、秘密の店が廃止されている。 --購入できるドーピングアイテムによってバランス崩壊にも繋がっていたため、廃止が一概に悪いとは言いがたい。 --代わりに砂漠マップでは特定の位置で待機するとアイテムが入手できることがある。 -闇魔法の廃止 --しばらく続いてきた要素のため、廃止されたことに対する復活希望の声も少なくなかった。続編では正式に復活を遂げている。 -練成関係にもバグ --元の武器に必殺補正がついている場合''それを0にする事によって必殺率255の武器が作れてしまう''という大きなバグがある。 --当然ながらマニアックであろうとこれを利用すればゲームバランスは大崩壊するので、まともにプレイしたいなら縛るのは必須。 --ただし、その対象は細身シリーズやサンダーなど元が弱い武器なので、そもそもダメージが通らなければ恩恵は受けられない。 --今作はシリーズ中でも最も敵の守備面が高いと言われる作品である。上記で挙げた2種類はソードマスターや魔導士が扱う系統であり、両方とも今作で火力を大きく減らされたクラスであるということもあるため救済目的で容認されることもある。 -地属性同士での支援効果があまりにも強すぎる。 --支援Aの地属性だと''回避が+30%''と大きく上がる。「回避ゲー」が問題視されていたGBA版でも、回避重視の支援をそのキャラが組める限界まで高めても最大で25%どまりなことと比較すれば、その効果の大きさは歴然。 --しかも主人公のアイクは地属性であり、支援相手の中に同じ地属性のオスカーという強い騎兵がいるため、回避無双が可能になってしまいバランスを崩しているとも言われる。 --ただし支援そのものを封印すれば敵の命中は常時50~60で安定する。現在では主人公が地属性であることを考えるとラスボスで詰まないための救済であるとも言われる。~ GBA3作などの近年のFEでは最高難易度で例え主人公だけになってしまっても、ラスボスがそこまで強くないためお助けキャラなどを駆使すればなんとかクリアできるようには調整されていた。しかし今作の場合、ハード以上の難易度で主人公だけになってしまうと、周りの取り巻きやラスボスの形態変化などの関係から専用武器やお助けキャラを以てしてもクリアは事実上不可能となる。 ---上記のように地属性支援以外の支援効果は「あれば便利」程度の補正にとどまっているのもそのように扱われる根拠になっている。 -全体的に敵味方ともにHPが低く守備力が高めなため、守備の重要性が高すぎるとも指摘される。 --理由としては敵にあまり魔道士が登場しない、敵味方ともに守備面が上がりやすい成長率に設定されているため敵の攻撃力がそれほど高く感じないといった要素が挙げられる。 --また今作では守備と魔防が+2される「騎士の護り」といった装備品がある。しかしこのアイテムには隠し効果として「''速さ成長率+30%''」という非常に強力な補正があるため、例えばアーマー系に付けて育てれば「かたい、つよい、はやい」ほぼ隙無しのバランスブレイカーが容易に作れてしまう。 ---ただ、移動力に難があり追加装備の剣の使い勝手がイマイチ良くない以上、これぐらいはあっても良いとも言われている。 --以降の作品では魔導士の登場回数を増やす、敵に積極的に銀装備など強力な武器を持たせる、更に威力を高くした錬成武器を持たせるなど火力をインフレさせる方向でアーマーの弱体化を図っている。また、守備力に補正をかけるアイテムも登場しておらず、あったとしても魔導士専用などといった扱いになっている。 --もっとも以上の要素はいずれもプレイヤー側が簡単に縛れるので、バランスを根本的に崩しているわけではない。 //若干記述を変更。 //-敵将のネーミングに妙なものが多い。 //--「ヒブッティ」、「ノシトヒ」、「ガシラマ」、「シークコ」など、由来不明の変な名前の敵が大半を占めており、一部でネタにされている。 //---FEシリーズもかなり歴史のあるゲームシリーズとなっていたため、「スタッフが敵の名前付けにネタ切れを起こして適当なカタカナの羅列に走ったのでは?」といった邪推も呼んだ。 //--もちろん、こういった名前が笑えるという意見もあるが、しっくりこなさすぎて気に障るという意見も見られる。 //--こういった名前の傾向は次回作の『暁』でも同様である。そこからさらに後に発売された完全新作である『覚醒』からは、再びまともな名前が多くなった。 //-ちなみに、リアーネの属性が『暁の女神』とは異なっている。『蒼炎』は風、『暁』は水。 //変更された暁の方に書けばいいと思う。 **総評 発売前の不安を完全に払拭する完成度を誇り、長い歴史によるシステムのマンネリ化に陥っていたGBAのFEシリーズから、新要素の導入やゲームバランスの刷新によってシリーズの新たな境地を切り開くことにも成功した。~ 様々な新システムを搭載したゆえか粗は見受けられるものの、システムの完成度自体は記念作品にふさわしい十分な出来であり、後続の作品は全て今作のバランスをベースに作られることとなっていく。 それまでの主人公とは一味違った「熱血漢」を地で行くアイクも人気となり、その後『スマブラX』に参戦した事もあり、『聖魔』以降若干低迷気味だったFEシリーズの人気を盛り返し、こういった主人公のキャラ付け傾向も後作に引き継がれていくことになる。 発売されたハードが生産数の少なく、かつ末期であったGCで、売り上げが特別高いわけではなかったのが惜しまれる作品である。~ とはいえ''本作の発売週はGCの売り上げが他の週の2倍になった''という逸話があり、これはかなりの快挙である。任天堂内でも若干低迷気味だった、GCとFEシリーズそれぞれの地位の向上に少なからず貢献した作品といえよう。 ただし、売り上げ的には次回作とともにシリーズでもワーストの部類であり、後にシリーズ打ち切りの話題が出たことから一部のファンからは厳しい目で見られているという、損な立場にもある。~ 現在では入手やプレイの手段がやや限られるものの、シリーズファンであれば満足できる作品である事は間違いない。 ---- **中古価格の高騰 -次世代機のWiiが大ヒットすると次回作かつ続編である『暁』がハード売り上げに非常に貢献した『蒼炎』の影響でWiiのキラータイトルとして発売され、ファンの間でも「面白いらしいけどやったことがない」というような扱いを受けていたこの作品は再び注目されるようになった。 --そのため、中古価格は2,000~1,000円程度だったのが、『暁』発売後から急激に高騰、さらにその後『スマブラX』にアイク(それもデザインは蒼炎アイク寄り)が参戦したこともあり、中古価格は現在に至るまで、新品定価と同じ~やや上程度が相場となっている。 ---WiiでGCのゲームが遊べるのと、『蒼炎』のクリアデータを『暁』に持ち越すことができるという仕様もこの高騰の原因だろう。 --現在はすでに生産を終了しており、上記の持ち越し仕様のためかWiiで遊ぶセレクションでの発売も発売されなかったため、現在本作を遊ぶには中古などでソフトを入手し、GCかWiiでプレイするしか無い。 --なお『[[スマブラfor>大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』にもアイクは続投している。外観が『暁』スタイルにチェンジしたが、ワザ内容は概ね同じ。 **余談 -上述の通り『[[大乱闘スマッシュブラザーズX]]』,『[[大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』にアイクがプレイヤーキャラクターとして登場。 --シリーズのBGMも今作からの引用が多く、漆黒の騎士の戦闘曲や今作に登場する敵ユニット・オリヴァーのテーマソングまで収録されている。 --フィギュアにはアシュナード、漆黒の騎士が登場。エリンシアやサザのフィギュアもあるが、デザインは姿は『暁』に準拠。 --また、アイクの他にグレイル、ミスト、漆黒の騎士、アシュナードのシールも用意されている。 -海外版では、今作で主に冷遇気味と言われたソードマスター・スナイパー・バーサーカーに必殺補正が追加されている。 --その代わりマニアックモードが削除されている。 -今作は他作品に比べバグやフリーズが目立つが、どうやら今作はディスク容量の限界以上に大量のデータが圧縮されているらしくGC本体にかなりの負荷がかかっているようで、フリーズやバグはこれが原因であるという説がある。 --ハードに起因するフリーズバグが多い関係上、GCではなくWiiで遊ぶことでフリーズのリスクはやや下がるとの説もあるが、それでも完全になくなる訳ではないようだ。 -アイクの初期名はパリス、デイン軍の初期名がデロス兵であった。この「パリス」という名はのちの『[[ファイアーエムブレム 覚醒]]』にて再利用されている。 #region(画像) #image(cubeemblem.jpg) #endregion -ラグズの登場によりいわゆる人間は「ベオク」と呼称され、ラグズ・ベオクともに古代人種「マンナズ」より分化した種族であるとされる。~ すべてルーン文字に由来する名称であり、それぞれ「水」(L:ラグ)もしくは「乗り物」(R:ラド)、「成長」(B:ベオグ)、「人間」(M:マンナズ)を意味する。詳しくはルーン文字の解説書を参照されたし。 --設定面でラグズは多くのベオクから半獣と蔑まれ、ラグズもまたベオクをニンゲンと言う差別的な呼び方をしており、ゲーム内で両種族は大きく反発しあっている。また、両者のハーフである「印つき」に対する処遇はさらに賤しいとされる。 -本作はシリーズ通してみても、とりわけ敵将のネーミングに妙なものが多い。 --「ヒブッティ」、「ノシトヒ」、「ガシラマ」、「シークコ」など、由来不明の妙な名前の敵が大半を占めておりネタにされることも。 ---FEシリーズもかなり歴史のあるゲームシリーズとなっていたため、「スタッフが敵の名前付けにネタ切れを起こして適当なカタカナの羅列に走ったのでは?」といった邪推も呼んだ。 --こういった名前の傾向は次回作の『暁』でも同様である。そこからさらに後に発売された完全新作である『覚醒』からは、再びまともな名前が多くなった。 -続編である『[[ファイアーエムブレム 暁の女神]]』は残念ながら無視できない問題点の多さで賛否両論となっている。 --詳しくは当該記事を参照。 ----

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