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*グランツーリスモ 【ぐらんつーりすも】 |ジャンル|リアルドライビングシミュレータ|&amazon(B000069SQ1)| |対応機種|プレイステーション|~| |メディア|CD-ROM 1枚|~| |発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~| |開発元|ソニー・コンピュータエンタテインメント&br()サイバーヘッド&br()ポリフォニー・デジタル|~| |発売日|1997年12月23日|~| |価格|5,800円(税抜)|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[グランツーリスモシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1361.html]]''| ---- **概要 次世代ゲーム機で様々な新機軸のゲームが出現する中、それまでの「ゲームとしてのカーレースを表現する」レースゲームのスタンスに飽き足らず、自ら称する「リアルドライビングシミュレーター」の文字に違わない、徹底してモータースポーツの再現を追求したリアル志向のレースゲームとして本作『グランツーリスモ』は誕生した。~ 「リアリティ」を追求したレースゲームは本作が初めてという訳ではないのだが((セガの『バーチャレーシング』『セガラリーチャンピオンシップ』等))、当時としては珍しい環境マッピングの搭載、専用物理エンジンによる非常にリアルなマシンの挙動、多数の実在車種を登場させた本作は、それらから抜きん出た大ヒット(国内だけでも250万本、世界的には1000万本以上)を記録し、「GTの登場がレースゲームの在り方を一変させた」とも言われるまでの作品となった。~ 以後も続編が多数登場しシリーズ化、現在では日本を代表するゲームの一つとして認知されている。 収録車両は100車種146グレード。パッケージに使用された車両はトヨタ『[[スープラ>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9]]』と日産『[[スカイライン GT-R R33>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3#9.E4.BB.A3.E7.9B.AE_R33.E5.9E.8B.EF.BC.881993.E5.B9.B4-1998.E5.B9.B4.EF.BC.89]]』である。 ---- **評価点 ''「リアル」な挙動'' -独自開発された物理エンジンにより、車の挙動は現実の物理現象を忠実に再現している。&br()(物理演算エンジンとは質量・速度・摩擦・風に関する古典力学的現象のシミュレートを行うソフトウェアの事。自動車で例えるなら、カーブでの遠心力や路面のグリップ力) --それまでのレースゲームでは、事前に車種ごとのプログラムを組んで疑似的に車の挙動を再現していた(端的に言うなら「それっぽく車体を傾けて挙動を重くしていた」)のだが、本作はそれ以上、当時においては最も「リアルな挙動」を獲得する事に成功している。 ---ただし、細かい点では実際とは異なる「ゲームらしい部分」はもちろん存在する。例えばレース中に他の車や壁に接触してもペナルティが発生しないのは他のレースゲーム同様。 --同時期に発売されたナムコの『リッジレーサー』は大ジャンプや無茶なドリフトなど、リアリティ無視の爽快感がウリの作品だったが、本作ではそんな芸当はできない。アクセル全開でコーナー突入など当然不可能。おまけにブレーキングを誤ると即座にグリップを失いスピンする。本作の登場は所謂PCのみの存在であった「リアル系レースゲーム」というジャンルを家庭用ゲーム機で確立する事となり、後発の作品群にも少なからず影響を与える事となった。 ''「リアル」の車'' -登場する(運転できる)車は全て実在するもので、その数なんと100種以上。「実車を操作できる」という事も当時は珍しかったのだが、その圧倒的な収録数はユーザーの度肝を抜いた。 --前述した専用物理エンジンはゲーム用の独自開発という事で、マシンの正確な寸法や重量、性能等をデータ入力すれば(基本的には)、それぞれのマシンデータ毎にほぼ現実に近い挙動が簡単に再現できる仕様になっている。これによっていちいち車種ごとにプログラムを組む手間が省け、収録車数増加に一役買った。 --レーシング仕様ではない実車をレーシング仕様に改造してペイントを加えた、厳密な意味では架空車といえるマシンもいくつか存在している((そうしたマシンには解説テキストが用意されていない))。 また、市販車を完全なレース仕様に改造できる「レーシングモディファイ」というチューンナップも用意されている。 ---レーシングモディファイした車両は、ゲーム的には『架空のクルマ』という位置付けだが、実はちゃんとしたモデルが存在する。例えば、ST205のRM仕様車は95年に活躍したラリーカーが、ViperのRM仕様車はBPR-GTで活躍したGTカーがモデルとなっている。知ってる人は思わず『あっ!』と思った事だろう。 //レーシングモディファイの略称はRM。LMはまた別の略称(Leman Edition)。 -トヨタ、日産、本田、マツダ、三菱、富士重工、ゼネラルモーターズ、クライスラー、アストンマーチン・ラゴンダ、TVRとライセンス契約が結ばれており、ゲーム制作面でも連携している。車のモデリングはもちろん、エンジン音なども緻密な取材によって再現しており、多くのマシンには解説テキストも用意されている。 --特にTVRは当時、他のレースゲームにはほとんど登場((あるにしても、Test Drive 4という海外のゲームにしか登場していない))しておらず、グリフィスに至っては初登場である。 --国産車種中心のラインナップとなっているが、作品の大ヒットに伴い、「この作品で日本国内専売(当時)の高性能スポーツカーは世界的な知名度を上げた」とまで言われるようになった。 ---現に映画『ワイルド・スピード』では、劇中で本作をプレイしているシーンが存在する。主役車両もトヨタ『スープラ』であった。 ''「リアル」を求めた映像'' -美術面でもハード性能をフルに引き出してリアリティが追求されている。中でも当時まだ珍しかった「環境マッピング技術」が特徴的。 --「環境マッピング」とは、車体に光沢をつけ、表面に周囲の背景のオブジェクト等を映り込ませる効果を表現する技術。これによって視覚的にも現実感がより伝わりやすくなったほか、元々レベルの高い映像と合わさって単純なグラフィック描写の面から見てもより美しいものとなり、ユーザーから絶賛された。 ---更には「映像でのみ車両のホイールが逆回転に見える現象」、つまりワゴンホイール効果も再現されている。 --どんな走り方でも格好良く見えてしまうほど、レース後のリプレイ映像のカメラワークが洗練されているのも特徴。この点も幾多の車好きを魅了した。 --テーマソング「Moon Over The Castle」をBGMに、実機のゲーム映像を組み合わせたオープニングも特徴。 ''楽しくシビアなカーライフを・・・'' -ゲームモードは「クイックアーケード」と「グランツーリスモ」の二つ。 --「クイックアーケード」はあらかじめ用意された車を選んで、手軽にカーレースを楽しむためのモード。 --「グランツーリスモ」はモータースポーツライセンスを取得して一人のレーサーとなり、レースに参加して賞金を獲得し、そのお金で車の売買や車のセットアップ・チューニングを行っていく循環構造を取り入れた、カーライフを楽しむためのモード。 ---国内A級など「ライセンス試験」を受けライセンスを取得することでレースに参加できるようになるのだが、その試験課題の前に説明される文章は現実のドライビングテクニックに通ずる内容。これらを一つずつ身につけていかないと本作を楽しむことはできない(逆に言えば、ユーザーが自然にゲームを楽しめるように作られている)。 ---車のセッティング内容も多岐に渡り、ギア比やブレーキの利き方、サスペンションなど数値による細かい設定が可能。空力・バンパーなど、素人目には分からないような部分の違いも物理エンジンによって表現されている。 **難点 -とにかく「リアリティ」を追い求めた結果、操作・レース・カスタマイズ・セッティング・ライセンス、いずれにおいても難易度は高くなっており、レースゲームとしてのハードルは高い。レースゲーム初心者は購入に覚悟が必要。今でも前出のライセンス試験の難易度は「ブロンズ取るだけでも全シリーズ中最高難易度」と言われるレベル。国内B級3つ目が初心者の心をいきなりへし折り、中級者は国内A級の「3つ目でへし折られ、国際A級の7つ目はほとんどのプレイヤーに絶望を与えた。 --その割にシミュレーションエンジンの再現度がさほど高くないというのも今作の特徴。おそらくはシリーズ1作目からリアルシムにすると、プレイヤーが全員脱落するというのもあるのだと思われる。チューニングを進めていくと最終的に「進入294km/hからアクセルオフだけでドリフトを開始しヘアピンを曲がる」という[[リッジレーサーズ]]と間違えそうな挙動を示したり(ただし楽しくはあるが速くはない走り方ではある)。 -「実車」に拘っているため、ライセンス許可が下りた企業の車種しか登場しない事は未参戦企業のファンから残念がられる点としてよく挙げられる。 --それをカバーするためか、この後のシリーズではどうみてもレース向きではない一般乗用車までもが収録するようになり「夢の愛車と現実の愛車を一緒に楽しめる」と話題を博した。徐々にライセンスの数も増え、最新作の『GT5』では遂にフェラーリやマセラティが収録されるまでになった。 -ゲーム開始時にオートロードがされないため、注意しないとロード前のデータで上書きしてしまう危険がある。グランツーリスモモードとアーケードモードのセーブデータが連動しており、両方共いっぺんにせーブロードされる仕様もこの現象を起こしやすい。たとえば初日はアーケード、次の日にグランツーリスモをプレーした際、2日目に一度ロードしないでセーブした場合、アーケードのデータはまっさらな物が上書きされてしまう。この点は次作でオートロード機能が付き改善された。 -コースは全て架空のもの。この点も後作からは徐々にリアルサーキットが登場していく事となる。ただプロデューサー曰く「4になるまでは入れたくなかった、なぜならシミュレーションエンジンの再現度の関係で、タイムが同じぐらいにならないから」という理由もあったとか。 -AIの車両はコースの決められたラインを走行するようになっている。 --これの何が問題かと言えば、例え自車が車線上にいようと必ずラインを厳守して走行するため、車線上に自車がいる場合は避けずに後ろからドカドカ体当たりしてきて非常にウザい。 --AIの速さも妙におかしい。例えば、イベント『ノーマルカー世界一』の予選走行ではNSXよりインプレッサの方が1秒以上早いのだが、いざレースを開始するとNSXの方が3秒以上速かったりする。『日米スポーツカー選手権』のハイスピードリングも同様で、高速ステージでありながら大馬力のViperRMよりインプレッサRMの方が遥かに速かったり、更にはグランバレー300kmやGT WORLD CUPでプリメーラがインプレッサラリーエディションよりも速いという事もある。 -98年に出た海外版では修正されているが、本家である日本版において、壁で4WDの車を横滑りすると途方も無いスピードが出てしまうことがある。また、海外版の体験版でも同様の事が起きる。 --何故かは分からないが、セリカやランエボIVでは同じ4WD車なのに同じことができない。 #region(参考画像及び参考動画) #image(1004km/h.jpg,width=400,height=300) 本家 #video(https://www.youtube.com/watch?v=gHSKcxUga_0) #video(http://www.youtube.com/watch?v=jKj5M0sytJw) 海外版の体験版 #video(https://www.youtube.com/watch?v=WUln7bm6-a4) #endregion ---- **総評 徹底したリアリティの追求は他のゲームの追随を許さず、まさに一種の仮想現実を作り出している。車や背景の美しさには誰もが魅了される一方、ゲーム部分では現実における「難しさ」までも忠実に再現しているため、難易度は高い。~ しかしそのクオリティの高さは、プロのモータースポーツが興行され車社会が全世界に浸透している現在、ゲームという区引きを越えて多くの車好きを虜にしたまさに「車好きのためのゲーム」と言える作品となっている。車好きでない人にもモータースポーツの面白さを伝えられる本作は、まさに「リアル系レースゲーム」の先駆けとしてゲーム史に名を残している。 **余談 -「グランツーリスモ」(イタリア語:Gran Turismo)、通称「GT」とは自動車の1カテゴリ。「セダンかクーペタイプで、出力の大きめなエンジンを搭載し、快適なキャビンと大旅行に十分なラケッジスペースを備えている」というのが大まかな定義だが最近ではあいまいとなっており、「典型的なスポーツカーからは外されるタイプの車」「普通のファミリーカーよりはスポーティな車」という認識が一般的なものとなっている。 -テレビCMは「制作に協力した国内の各自動車会社の営業担当者が会議室に集合、自社の車を売り込み、その後は実際にその車を選択して遊ぶ」という、ある意味SCEらしい風変わりな、しかし妙なインパクトのあるものだった。全部で6パターン程が作られた、別の意味合いで豪華なCMだった。 - ゲームを進めると「GTHIFI」なるモードが出現する。これは特定の3コースしか走れないものの、FPSを通常の30fpsから倍の60fpsにすると言うモードである。 - 洗車に40億円かかるバグの動画が上げられている。しかし、実機では起きる事は無い。 ----
*グランツーリスモ 【ぐらんつーりすも】 |ジャンル|リアルドライビングシミュレータ|&amazon(B000069SQ1)| |対応機種|プレイステーション|~| |メディア|CD-ROM 1枚|~| |発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~| |開発元|ソニー・コンピュータエンタテインメント&br()サイバーヘッド&br()ポリフォニー・デジタル|~| |発売日|1997年12月23日|~| |価格|5,800円(税抜)|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[グランツーリスモシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1361.html]]''| ---- **概要 次世代ゲーム機で様々な新機軸のゲームが出現する中、それまでの「ゲームとしてのカーレースを表現する」レースゲームのスタンスに飽き足らず、自ら称する「リアルドライビングシミュレーター」の文字に違わない、徹底してモータースポーツの再現を追求したリアル志向のレースゲームとして本作『グランツーリスモ』は誕生した。~ 「リアリティ」を追求したレースゲームは本作が初めてという訳ではないのだが((セガの『バーチャレーシング』『セガラリーチャンピオンシップ』等))、当時としては珍しい環境マッピングの搭載、専用物理エンジンによる非常にリアルなマシンの挙動、多数の実在車種を登場させた本作は、それらから抜きん出た大ヒット(国内だけでも250万本、世界的には1000万本以上)を記録し、「GTの登場がレースゲームの在り方を一変させた」とも言われるまでの作品となった。~ 以後も続編が多数登場しシリーズ化、現在では日本を代表するゲームの一つとして認知されている。 収録車両は100車種146グレード。パッケージに使用された車両はトヨタ『[[スープラ>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9]]』と日産『[[スカイライン GT-R R33>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3#9.E4.BB.A3.E7.9B.AE_R33.E5.9E.8B.EF.BC.881993.E5.B9.B4-1998.E5.B9.B4.EF.BC.89]]』である。 ---- **評価点 ''「リアル」な挙動'' -独自開発された物理エンジンにより、車の挙動は現実の物理現象を忠実に再現している。&br()(物理演算エンジンとは質量・速度・摩擦・風に関する古典力学的現象のシミュレートを行うソフトウェアの事。自動車で例えるなら、カーブでの遠心力や路面のグリップ力) --それまでのレースゲームでは、事前に車種ごとのプログラムを組んで疑似的に車の挙動を再現していた(端的に言うなら「それっぽく車体を傾けて挙動を重くしていた」)のだが、本作はそれ以上、当時においては最も「リアルな挙動」を獲得する事に成功している。 ---ただし、細かい点では実際とは異なる「ゲームらしい部分」はもちろん存在する。例えばレース中に他の車や壁に接触してもペナルティが発生しないのは他のレースゲーム同様。 --同時期に発売されたナムコの『リッジレーサー』は大ジャンプや無茶なドリフトなど、リアリティ無視の爽快感がウリの作品だったが、本作ではそんな芸当はできない。アクセル全開でコーナー突入など当然不可能。おまけにブレーキングを誤ると即座にグリップを失いスピンする。本作の登場は所謂PCのみの存在であった「リアル系レースゲーム」というジャンルを家庭用ゲーム機で確立する事となり、後発の作品群にも少なからず影響を与える事となった。 ''「リアル」の車'' -登場する(運転できる)車は全て実在するもので、その数なんと100種以上。「実車を操作できる」という事も当時は珍しかったのだが、その圧倒的な収録数はユーザーの度肝を抜いた。 --前述した専用物理エンジンはゲーム用の独自開発という事で、マシンの正確な寸法や重量、性能等をデータ入力すれば(基本的には)、それぞれのマシンデータ毎にほぼ現実に近い挙動が簡単に再現できる仕様になっている。これによっていちいち車種ごとにプログラムを組む手間が省け、収録車数増加に一役買った。 --レーシング仕様ではない実車をレーシング仕様に改造してペイントを加えた、厳密な意味では架空車といえるマシンもいくつか存在している((そうしたマシンには解説テキストが用意されていない))。 また、市販車を完全なレース仕様に改造できる「レーシングモディファイ」というチューンナップも用意されている。 ---レーシングモディファイした車両は、ゲーム的には『架空のクルマ』という位置付けだが、実はちゃんとしたモデルが存在する。例えば、ST205のRM仕様車は95年に活躍したラリーカーが、ViperのRM仕様車はBPR-GTで活躍したGTカーがモデルとなっている。知ってる人は思わず『あっ!』と思った事だろう。 //レーシングモディファイの略称はRM。LMはまた別の略称(Leman Edition)。 -トヨタ、日産、本田、マツダ、三菱、富士重工、ゼネラルモーターズ、クライスラー、アストンマーチン・ラゴンダ、TVRとライセンス契約が結ばれており、ゲーム制作面でも連携している。車のモデリングはもちろん、エンジン音なども緻密な取材によって再現しており、多くのマシンには解説テキストも用意されている。 --特にTVRは当時、他のレースゲームにはほとんど登場((あるにしても、Test Drive 4という海外のゲームにしか登場していない))しておらず、グリフィスに至っては初登場である。 --国産車種中心のラインナップとなっているが、作品の大ヒットに伴い、「この作品で日本国内専売(当時)の高性能スポーツカーは世界的な知名度を上げた」とまで言われるようになった。 ---現に映画『ワイルド・スピード』では、劇中で本作をプレイしているシーンが存在する。主役車両もトヨタ『スープラ』であった。 ''「リアル」を求めた映像'' -美術面でもハード性能をフルに引き出してリアリティが追求されている。中でも当時まだ珍しかった「環境マッピング技術」が特徴的。 --「環境マッピング」とは、車体に光沢をつけ、表面に周囲の背景のオブジェクト等を映り込ませる効果を表現する技術。これによって視覚的にも現実感がより伝わりやすくなったほか、元々レベルの高い映像と合わさって単純なグラフィック描写の面から見てもより美しいものとなり、ユーザーから絶賛された。 ---更には「映像でのみ車両のホイールが逆回転に見える現象」、つまりワゴンホイール効果も再現されている。 --どんな走り方でも格好良く見えてしまうほど、レース後のリプレイ映像のカメラワークが洗練されているのも特徴。この点も幾多の車好きを魅了した。 --テーマソング「Moon Over The Castle」をBGMに、実機のゲーム映像を組み合わせたオープニングも特徴。 ''楽しくシビアなカーライフを・・・'' -ゲームモードは「クイックアーケード」と「グランツーリスモ」の二つ。 --「クイックアーケード」はあらかじめ用意された車を選んで、手軽にカーレースを楽しむためのモード。 --「グランツーリスモ」はモータースポーツライセンスを取得して一人のレーサーとなり、レースに参加して賞金を獲得し、そのお金で車の売買や車のセットアップ・チューニングを行っていく循環構造を取り入れた、カーライフを楽しむためのモード。 ---国内A級など「ライセンス試験」を受けライセンスを取得することでレースに参加できるようになるのだが、その試験課題の前に説明される文章は現実のドライビングテクニックに通ずる内容。これらを一つずつ身につけていかないと本作を楽しむことはできない(逆に言えば、ユーザーが自然にドライブ技術を身につけながらゲームを楽しめるように作られている)。 ---車のセッティング内容も多岐に渡り、ギア比やブレーキの利き方、サスペンションなど数値による細かい設定が可能。空力・バンパーなど、素人目には分からないような部分の違いも物理エンジンによって表現されている。 **難点 -とにかく「リアリティ」を追い求めた結果、操作・レース・カスタマイズ・セッティング・ライセンス、いずれにおいても難易度は相応に高くなっており、レースゲームとしてのハードルは高い。レースゲーム初心者は購入に覚悟が必要。~ 特に今作のライセンス試験の難易度は、今でも「ブロンズ取るだけでも全シリーズ中最高難易度」と言われるレベル。国内B級3つ目が初心者の心をいきなりへし折り、中級者は国内A級の3つ目で行き詰まり、国際A級の7つ目はほとんどのプレイヤーに絶望を与えた。 --その割にシミュレーションエンジンの再現度にはまだまだ及ばない点が在るというのも今作の特徴。おそらくはシリーズ1作目からリアルシムにすると、プレイヤーが全員脱落するというのもあるのだと思われる。チューニングを進めていくと最終的に「進入294km/hからアクセルオフだけでドリフトを開始しヘアピンを曲がる」という[[リッジレーサーズ]]と間違えそうな挙動を示したり(ただし楽しくはあるが速くはない走り方ではある)。 -「実車」に拘っているため、ライセンス許可が下りた企業の車種しか登場しない事は未参戦企業のファンから残念がられる点としてよく挙げられる。 --それをカバーするためか、この後のシリーズではどうみてもレース向きではない一般乗用車までもが収録するようになり「夢の愛車と現実の愛車を一緒に楽しめる」と話題を博した。徐々にライセンスの数も増え、最新作の『GT5』では遂にフェラーリやマセラティが収録されるまでになった。 -ゲーム開始時にオートロードがされないため、注意しないとロード前のデータで上書きしてしまう危険がある。グランツーリスモモードとアーケードモードのセーブデータが連動しており、両方共いっぺんにせーブロードされる仕様もこの現象を起こしやすい。たとえば初日はアーケード、次の日にグランツーリスモをプレーした際、2日目に一度ロードしないでセーブした場合、アーケードのデータはまっさらな物が上書きされてしまう。この点は次作でオートロード機能が付き改善された。 -コースは全て架空のもの。この点も後作からは徐々にリアルサーキットが登場していく事となる。ただプロデューサー曰く「4になるまでは入れたくなかった。なぜなら''シミュレーションエンジンの再現度の関係で、タイムが同じぐらいにならない''から」という拘りを感じさせる理由もあったとか。 -AIの車両はコースの決められたラインを走行するようになっている。 --これの何が問題かと言えば、例え自車が車線上にいようと必ずラインを厳守して走行するため、車線上に自車がいる場合は避けずに後ろからドカドカ体当たりしてきて非常にウザい。 --AIの速さも妙におかしい。例えば、イベント『ノーマルカー世界一』の予選走行ではNSXよりインプレッサの方が1秒以上早いのだが、いざレースを開始するとNSXの方が3秒以上速かったりする。『日米スポーツカー選手権』のハイスピードリングも同様で、高速ステージでありながら大馬力のViperRMよりインプレッサRMの方が遥かに速かったり、更にはグランバレー300kmやGT WORLD CUPでプリメーラがインプレッサラリーエディションよりも速いという事もある。 -98年に出た海外版では修正されているが、本家である日本版において、壁で4WDの車を横滑りすると途方も無いスピードが出てしまうことがある。また、海外版の体験版でも同様の事が起きる。 --何故かは分からないが、セリカやランエボIVでは同じ4WD車なのに同じことができない。 #region(参考画像及び参考動画) #image(1004km/h.jpg,width=400,height=300) 本家 #video(https://www.youtube.com/watch?v=gHSKcxUga_0) #video(http://www.youtube.com/watch?v=jKj5M0sytJw) 海外版の体験版 #video(https://www.youtube.com/watch?v=WUln7bm6-a4) #endregion ---- **総評 徹底したリアリティの追求は他のゲームの追随を許さず、まさに一種の仮想現実を作り出している。車や背景の美しさには誰もが魅了される一方、ゲーム部分では現実における「難しさ」までも忠実に再現しているため、難易度は高い。~ しかしそのクオリティの高さは、プロのモータースポーツが興行され車社会が全世界に浸透している現在、ゲームという区引きを越えて多くの車好きを虜にしたまさに「車好きのためのゲーム」と言える作品となっている。車好きでない人にもモータースポーツの面白さを伝えた本作は、まさに「リアル系レースゲーム」の先駆けとしてゲーム史に名を残している。 **余談 -「グランツーリスモ」(イタリア語:Gran Turismo)、通称「GT」とは自動車の1カテゴリ。「セダンかクーペタイプで、出力の大きめなエンジンを搭載し、快適なキャビンと大旅行に十分なラケッジスペースを備えている」というのが大まかな定義だが、 最近ではあいまいとなっており、「典型的なスポーツカーからは外されるタイプの車」「普通のファミリーカーよりはスポーティな車」という認識が一般的なものとなっている。 -テレビCMは「制作に協力した国内の各自動車会社の営業担当者が会議室に集合。自社の車を売り込み、その後は実際にその車を選択して遊ぶ」というSCEらしい風変わりな、しかし妙にインパクトがあり色々な意味で豪華なものだった。全部で6パターン程が作られている。 - ゲームを進めると「GTHIFI」なる隠しモードが出現する。これは特定の3コースしか走れないものの、FPSを通常の30fpsから倍の60fpsにすると言う、据え置き機では珍しいベンチマーク的なモードである。 - 洗車に40億円かかるバグの動画が上げられているが、実機では起きる事は無い。 ----

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