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*BUSIN ~Wizardry Alternative~ 【ぶしん うぃざーどりぃお るたなててぃぶ】 |ジャンル|RPG|CENTER:&amazon(B00005S89S)| |対応機種|プレイステーション2|~| |メディア|CD-ROM 1枚|~| |発売元|アトラス|~| |開発元|ラクジン|~| |発売日|200111月15日|~| |定価|7,800円(税抜)|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[Wizardryシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1088.html]]''| **概要 ウィザードリィの版権元であったサーテック社の倒産後、その権利を受け継いだオンタリオ・インク社が様々な会社にウィザードリィの権利を使った作品を作らないか呼びかけたことから誕生した作品。~ 今までの和製ウィズとは異なり、発売は『女神転生シリーズ』などで有名なアトラスが担当。これは『女神転生シリーズ』のディレクター岡田耕始が熱心なウィズファンであったためだという。~ **システム 基本的には「ダンジョンを探索し、魔物を倒して経験値とお金をゲット、アイテムなども入手しどんどん奥へと進んでいく」というウィズの基本形を踏襲しつつ、女神転生シリーズを思わせる要素を盛り込んだ独特な作風になっている。 -基本のシステムは「6人パーティーをキャラメイクし、前衛3、後衛3に振り分ける」という超伝統的スタイル。ただし旧作と違い少人数でも前衛・後衛に分けることができるようになった。後衛に回るためには前衛にキャラがいないといけないが。 --種族は人間、ドワーフ、エルフ、ノーム、ホビットの5種族。職業は戦士、盗賊、魔術師、僧侶、忍者、侍、司教、騎士の8職。各種族・職業の特徴も概ね伝統的なものに則っている。 ---全てのキャラクターは、善、中立、悪のどれかに分類されており、属性によってつけない職業がある。旧作と異なり属性が同じでなければパーティーが組めないということはない(ただし、信頼度の関係上統一しておいた方が何かと得)。また種族と属性によって性格が固定される。性格は信頼度の上下に影響する。迷宮で属性が変わっても性格はそのまま。 ---イベントなどで加入する固有顔グラ持ちのキャラもいる(ただし顔グラやメッセージはイベント時のみ表示)。パラメーター面でやや優遇されているが、転職には高額な特殊アイテムが必要だし、名前は変更できない。 --レベルアップはダンジョン内では発生せず、一度町の宿屋に帰る必要がある。 --未鑑定の装備品はいきなり装備しても鑑定されるが、安心して使うためには鑑定してもらう必要がある(司教がいれば無料で鑑定できるが、リスクもある)。 --魔法は僧侶、魔術師の2系統存在し、複数の段階ごとに分けられている。それぞれのレベルにMPが設定されているのは過去のウィズ同様。今作では魔法を使える職業がかなり多くなった。 ---魔法の習得に関しては「魔法石」という特殊アイテムが必要になる。宝箱に入っていることもあるが、敵を倒して得た残骸系のアイテムを店(ヴィガー商店)で融合して作るのが基本。同じ魔法石を複数回使うと魔法がレベルアップする。 ---本作には月齢というシステムがあり、これが紅月の時は魔法石融合が事故を起こし狙いの魔法石とは違う物ができあがるという要素がある。 --本作の戦闘面での最大の特徴がアレイドアクションという必殺技。複数人のパーティーメンバーで協力し、様々な効果をもたらすというもの。序盤で習得して以降はこの技が戦闘の要となる。 ---この要になるのが「トラスト(信頼度)システム」。これが高くなると使えるアレイドアクションが増え、同じアレイドアクションの効果も高くなっていく。主人公の様々な行動で、パーティー内の信頼度を高めることが重要。 ---信頼度は戦闘勝利を積み重ねると上がるが死者やステータス異常者を放置すると下がる。イベント時は主人公の選択によって大きく影響されるがその時は仲間の属性によっても信頼度がどうなるかは変わる。 //特に友好的なモンスターに対する態度は、性格に大きな影響を与える。←属性変えても性格はそのままです。 -宝箱や道中に仕掛けられている罠は制限時間内に表示されるコマンドを入力することで解除。また戦闘勝利後の宝箱は常に罠がない状態になった。 **評価点 -余計な演出を廃し、それでいながらのめり込めるように構成されたシナリオ。 --「ドゥーハンという都市を拠点に、その都市が荒廃した原因となる『閃光』の正体を探るべく閃光の中心地に出現した迷宮を探る」というシナリオなのだが、登場人物の言動が非常にリアル。基本的には絶望的な状況下で、荒んだ人物も多いのだがその中にあって希望を見失わない人々の姿も描かれている。また登場人物の中には人間に友好的なオーク達もいて、コメディ要素を提供してくれる。 ---また主人公は記憶喪失なのだが、この設定も実に良く活かされている。中盤、主人公は身に覚えのない(記憶がないので当然)罪で命を狙われることになるのだが、これはプレイヤー本人としてもいままで聞いたこともない話で互いの立場がしっかりリンクしている。 --本作に声優というものはない。それどころかムービーはおろか立ち絵の差分すら一切なく、最初から最後まで演出は非常に淡々としている。演出だけなら明らかに時代に逆行した表現。 ---しかし多くのプレイヤーが「だがそれがいい」と評している。むしろ、淡々とした演出に奥深いシナリオが噛み合い、いつの間にかどっぷりとのめり込める内容になっている。 ---キャラデザ担当は寺田克也。絵画的な立ち絵は他の作品では見られない特異なものだが、ゲーム全体の雰囲気に良く合っており、評価は高い。 --最終盤の展開は非常に衝撃的で感動的。 -臨場感溢れる探索システム。 --本作はシンボルエンカウント式を採用している。視点は常に主人公の一人称視点で、背後はおろか側面の確認すらままならない。 ---薄暗いダンジョン内で、背後から執拗に敵に迫られたり、角を曲がった瞬間に出会い頭に遭遇したときの恐怖は計り知れない。バックアタックをくらうと、敵に先手を取られた上で前列後列が入れ替わるので、非常に危険。逆にこちらが相手シンボルの背後から接触することで先手を取ることも出来る。 --探索中のBGMは小さめで、環境音のような雰囲気になっている。しかしモンスターが扉を開ける音や足音は響き渡っており、常に「何かがいる」気配に満ちあふれている。敵シンボルが人型や飛行型や竜型や虫型のぼんやりとしたもやのようなもので表現されているのも特徴的。 -戦闘バランスは絶妙。難しすぎず、簡単すぎない。 --本家ウィズに比べるとアレイドアクションの存在により比較的穏やかな難易度だが、復活失敗によるキャラロストなどは健在((ただし死亡の状態だと寺院での蘇生率は100%なのが旧wizとの大きな違い))で、一般的なRPGと比較すればそこそこの難易度である。雑魚戦でも油断すると死にかねない程には難しい。例えば敵忍者の恐るべき素早さとクリティカル(''一撃死'')はトラウマ物。 ---特に危険な存在が「死神」。同フロアを長時間探索したり、特定ポイントにたどり着くと出現し、壁などを無視して恐ろしい速度でパーティーに迫り来る。追いつかれるとパーティーメンバー一人に取り憑き、取り憑かれたメンバーは以降死亡すると''即ロスト''。早めに寺院で祓わないと危険。 ---イベントではボス敵としても出現。剣を持った非常にカッコイイデザインで、乗り越えるべき壁として威厳溢れる外見になっている。もちろん強さは折り紙付き。 **問題点 -戦闘時の演出が遅い。特に敵の直接攻撃は敵が画面前に向かってきて攻撃する演出が毎回入る。これをアレイド「牽制射撃」で妨害すると妨害された敵が悔しがる演出が入ってさらに少し時間がかかる。 -直接攻撃のレベルアップによる被ダメージの減少が激しい。中盤で初遭遇時は苦戦したガーゴイルの三連撃も少し鍛えると1ダメージの三連撃に。 -直接攻撃しかしてこない敵はアレイドアクション「牽制射撃」でほとんど雑魚に。前衛の3人中指定した2人が常に直接攻撃から保護されるといえばその凄さがわかるだろう。回数制限もない。 --ただ、これだけでカバーできるのは精々2階ぐらいまで。魔法攻撃を放つ敵との混成の場合、魔法を中断させるマジックキャンセルとの使い分けが重要になってくるし、そもそもこれをやっていると後衛2人がまともに戦闘に参加できなくなる。 -''地味''。 --ある意味本作最大の問題点。そもそもウィズ自体、「古くさい」という評価から逃れられない一作なのに、本作は基本システムなどほぼ旧作からの変化がなく、職業や種族もほぼ持ち越しである。というかゲーム全体の雰囲気もやや鬱々としたネガティブなものであることは否めないが。 ---と思いきや能力値が99まで伸び、呪文効果も安定している。旧wizardryの数値感覚は全然通用しないので注意。 //---職業に限って言うなら、なぜか君主の職が騎士に置き換わっているのが旧作のプレイヤーからすると違和感があるだろう。←ロードを「君主」と訳したオリジナルwizardryに問題があるとも考えられる。君主がダンジョンを冒険するのは騎士よりも変である。 -キャラクターには種族と属性によって性格が決まり、それによって信頼度の上がりやすい行動、下がりやすい行動が出てくるが使いやすい性格と使いにくい性格の差が極端。上がりやすくデメリットゼロの性格も多いが、反面、エルフ・中立の「孤独的」のように4人以上で一定時間冒険するだけで下がる性格、人間・悪の「好戦的」の極端にレベルの低い敵を倒すだけで下がる性格(レベルの高い敵を倒すと上がる)もある。これは逃げればいいのだが面倒だし名前負けである。 -ストーリーの都合でもあるが主人公はメンバーから外せない。また終盤の主人公のイベントのイメージがどうも男性の(このゲームは性別の概念はないが)人間の戦士系向けに作られてるのではないかと思われる面がある。これは解釈次第だが、イベント時にイメージギャップにとまどうかもしれない。プレイ面では固有キャラの人数バランスから主人公は後衛職にするのも大いにアリだが。 -バグが多い。 --特定の条件を満たすと装備品が別の物に変化してしまう、商店での売り買いの金額に異常があるなど、ゲーム進行に致命的な影響を与える物は少ないが、厄介なものもある。 -ややUIに不備あり。 --特に待機中の仲間とのアイテム入れ替えが出来ずメンバーチェンジして受け渡しする必要がある(これは旧作でもそうだが)のと、魔法石融合の演出スキップができないのはテンポが悪い。 -一部イベントは発生させずに先に進んでしまうと取り返しが付かない。固有キャラ加入など重大イベントもあるので、注意が必要。一応くまなく探っていれば見つかる程度ではあるが…。 -死神憑きにメリットがほぼない。 --一応死神アレイドという特殊アレイドが使えるのと、誰かが死神憑きでないと開けられない扉があるが、死神アレイドは「全員死神憑き」などという正気の沙汰とは思えない状態を維持した上で「使うと誰かがロストする」などさらなるデメリットを被る。しかもこの状態では通常のアレイドは使えない。死神扉はゲーム中の出現頻度が少なく、地味。死神扉の先にある重要アイテム「巻物」を入手したい時にわざと憑けるくらいである。 -中盤以降、魔法のレベルアップがほぼ必須と化す。 --合成素材がダンジョン内の店で買えるようになるが、これで魔法を強化しておくのが前提となっているようなバランス。魔法を強化せずに進むと非常に厳しい。 **総評 日本人向けに絶妙にアレンジされたウィズ。本家の無味乾燥さを個性的な登場キャラで上手く中和しつつ、かといってストーリーやキャラクターがうるさすぎず、基本的には「ダンジョン探索」の一点のみに集中させる構成は非常にすばらしい。~ 主人公の立ち位置などまさにロールプレイ(役割を演じる)という本質的な意味でのRPGの原点に立ち返ったような作品であり、戦闘・謎解きともにシビア目ではあるが決して鬼畜ではなく、手応えのあるRPGを求めるプレイヤーにとっては間違いなく傑作と言っていい一本である。~ ウィザードリィに興味がなかった人も「Alternative(代替品)」ではなく「Alternative(新生)」として楽しんでもらいたい作品である。
*BUSIN ~Wizardry Alternative~ 【ぶしん うぃざーどりぃお るたなててぃぶ】 |ジャンル|RPG|CENTER:&amazon(B00005S89S)| |対応機種|プレイステーション2|~| |メディア|CD-ROM 1枚|~| |発売元|アトラス|~| |開発元|ラクジン|~| |発売日|200111月15日|~| |定価|7,800円(税抜)|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[Wizardryシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1088.html]]''| **概要 ウィザードリィの版権元であったサーテック社の倒産後、その権利を受け継いだオンタリオ・インク社は、様々な会社に「ウィザードリィの権利を使った作品を作らないか」と呼びかけた。その結果、『ウィザードリィ エンパイア』シリーズや『ウィザードリィ クロニクル』とともに本作が誕生した。~ 発売は『女神転生シリーズ』などで有名なアトラスが担当。これは『女神転生シリーズ』のディレクターである岡田耕始氏がが熱心なウィズファンであったためだという。~ **システム 基本的なシステムはウィザードリィのそれを踏襲しているが、ハード性能を活かしたグラフィックの改善や、女神転生シリーズを思わせる要素を巧みに盛り込んである。 ***キャラメイク・ステータス編 -「主人公」と「固有キャラクター」の存在 --ゲーム開始時に「主人公」というべきキャラクターを作成する。このキャラは特別な存在であり、パーティーから外すことができない。理由は後述する「トラストシステム」に関わってくるため。 --訓練場で仲間を作成できる点はこれまでのシリーズ通りだが、本作にはイベントなどで加入する固有顔グラ持ちのキャラもいる。特定のイベントで彼らを参加させると追加でメッセージが表示され、パラメーター面でやや優遇されている。ただし名前が変更不可、かつ訓練所での転職が行えない(これは転職アイテムを使用することで解消できる)。 -ステータス面 --シリーズおなじみの属性(善・中立・悪)と共に「性格」が追加。種族と属性の組み合わせで決定される。例えば人間・善なら「正義感」となり、友好的なモンスターに攻撃をしかけると一気に信頼度が減少する。 --「トラスト(信頼度)システム」というものが存在し、主人公と共に戦いを乗り越えることで「パーティランク」が上昇。ランクアップととも後述する「アレイドアクション」を習得してゆく。 ---基本的に戦闘勝利を積み重ねてゆくことで徐々にではあるが成長する。しかし死者やステータス異常者を放置すると下がり、イベント時は主人公の選択によって大きく増減する。 --魔法の習得に関しては「魔法石」という特殊アイテムが必要になる。宝箱に入っていることもあるが、敵を倒して得た残骸系のアイテムを店(ヴィガー商店)で融合しても作成できる。また、魔法にもランクが存在しており、同じ魔法石を与えることでランクアップ、性能も上昇する。 ---MP制にも変更があり、本作では全職業(そのままでは呪文が一切使えない戦士も含めて)がレベルアップとともにMPを獲得してゆく。もちろん呪文が得意な職業ほどMP増加の成長が速いのは言うまでもない。 ***集団連携戦術「アレイドアクション」 -本作最大のキモとなる部分。複数人で行う連携技で効果も多岐に渡り、使い方次第でパーティ全体の戦闘力が大きく跳ね上がる。もちろんゲームバランスもアレイドアクション(以下AA)を駆使することを前提として調整されてある。 --AAはパーティランクを上げる、イベントをクリアすることで獲得。高ランク、後半のイベントで覚える物ほど性能が高いが、低ランクの物にも最後まで使える超重要AAはある。また、パーティーランクを上げることで性能も上昇してゆく。 -AAの一例 --フロントガード ---必要人員:前衛3人 ---前衛全員が守りを固めることで、通常の「防御」コマンド選択時よりも回避・防御が上昇する。さらに発動ターン中は一部の状態異常に対する完全耐性を獲得し、敵のAA「ラッシュ(((敵/味方)全員で行う必中の突撃攻撃。防御無視の大ダメージを相手側全員に与える。))」を無効化する。 --ホールドアタック ---必要人員:前衛1人&その背後の(魔法が使用可能な)後衛1人 ---後衛が魔力で敵1体を拘束し、そこに前衛が攻撃を加える。威力上昇はさほどでもないが、拘束に成功すれば前衛の攻撃は必中になるため、高回避の敵(特に即死攻撃を併せ持つ忍者系)に対する有効打となる。 --散開 ---必要人員:味方全員(※他の行動と共に行える) ---選択しておくと敵のブレス攻撃((火炎の息などを吐きかける攻撃。威力は現在HPに比例して上昇。))に対して自動発動し、散開することでその威力を弱める。パーティーランク上昇と共にダメージ軽減率が上昇。強力なブレス攻撃を持つ竜系やポイゾンジャイアントと戦う際には無くてはならないAA。 **ダンジョン探索 -ダンジョン内は全てフルポリゴンで表現され、石造りのダンジョンから墓場、中央に大瀑布のある吹き抜けなど景観に富み、美麗の一言。しかし、探索中はそれを楽しむ余裕はほとんどないかもしれない。 --景観だけでなく、スイッチで開閉する仕掛け扉やワープゾーン、入る度に構造がランダム生成されるなど仕掛けにも凝っている。また、一度クリアした階層にはショートカットが開通されることが多い。 -シンボルエンカウントシステムを採用。視点は常に主人公の一人称視点で、背後はおろか側面の確認すらままならない。そんな薄暗いダンジョン内で、背後から執拗に敵に迫られたり、角を曲がった瞬間に出会い頭に遭遇したりする。しかも背後から接触されるとバックアタックとなり、敵に先手を取られた上で前列後列が入れ替わるので非常に危険。逆にこちらが相手シンボルの背後から接触することで先手を取ることも出来る。 --敵シンボルは種族に合わせ、人型や飛行型や竜型や虫型のぼんやりとしたもやのようなもので表現されている。こちらを発見すると赤く発行し、ダッシュでこちらを執拗に追い回してくる。 -探索中のBGMは小さめで、環境音のような雰囲気になっている。しかしモンスターが扉を開ける音や足音は響き渡っており、常に「何かがいる」気配に満ちあふれている。 -徘徊する恐怖「死神」 --イベントと共に出現し、近づくとパーティーメンバーに憑依してくる。憑依されたメンバーは「死神憑き」という状態になり、この状態でHPがゼロになるか即死攻撃を受けると、死亡・灰化をすっ飛ばしていきなりロストする。ただし、死神憑きのキャラは素の状態で不死系の敵に対する攻撃能力を獲得し((このゲームでは、何らかの形で武器に加護を与えないと、不死系の敵には物理攻撃でトドメをさせないようになっている。))、さらに全員が死神憑き状態でないと使用できないAAもある。 **その他 -「月齢」というシステムがあり、魔法石合成の際に影響を与える。これにより合成時に「事故」が発生し、狙いの魔法石とは違う物ができあがることも。 -宝箱や道中に仕掛けられている罠の仕様が大幅に変更。制限時間内に表示されるコマンド(例…〇〇△□ ※PSのボタンに対応)を入力することで解除するようになった。終盤の罠ほど解除コマンドが長くなるほか、宝箱の罠のみ、盗賊か忍者をメンバーに入れておくと解除に要するコマンド数が減少(=解錠難易度低下)する。 **評価点 -余計な演出を廃し、それでいながらのめり込めるように構成されたシナリオ。 --「ドゥーハンという都市を拠点に、その都市が荒廃した原因となる『閃光』の正体を探るべく閃光の中心地に出現した迷宮を探る」というシナリオなのだが、登場人物の言動が非常にリアル。基本的には絶望的な状況下で、荒んだ人物も多いのだがその中にあって希望を見失わない人々の姿も描かれている。また登場人物の中には人間に友好的なオーク達もいて、コメディ要素を提供してくれる。 ---また主人公は記憶喪失なのだが、この設定も実に良く活かされている。中盤、主人公は身に覚えのない(記憶がないので当然)罪で命を狙われることになるのだが、これはプレイヤー本人としてもいままで聞いたこともない話で互いの立場がしっかりリンクしている。 --本作に声優というものはない。それどころかムービーはおろか立ち絵の差分すら一切なく、最初から最後まで演出は非常に淡々としている。演出だけなら明らかに時代に逆行した表現。 ---しかし多くのプレイヤーが「だがそれがいい」と評している。むしろ、淡々とした演出に奥深いシナリオが噛み合い、いつの間にかどっぷりとのめり込める内容になっている。 ---キャラデザ担当は寺田克也。絵画的な立ち絵は他の作品では見られない特異なものだが、ゲーム全体の雰囲気に良く合っており、評価は高い。 --最終盤の展開は非常に衝撃的で感動的。 -戦闘バランスは絶妙。難しすぎず、簡単すぎない。 --本家ウィズに比べるとアレイドアクションの存在により比較的穏やかな難易度だが、復活失敗によるキャラロストなどは健在((ただし死亡の状態だと寺院での蘇生率は100%なのが旧wizとの大きな違い))で、一般的なRPGと比較すればそこそこの難易度である。雑魚戦でも油断すると死にかねない程には難しい。例えば敵忍者の恐るべき素早さとクリティカル(''一撃死'')はトラウマ物。 ---特に危険な存在が「死神」。同フロアを長時間探索したり、特定ポイントにたどり着くと出現し、壁などを無視して恐ろしい速度でパーティーに迫り来る。追いつかれるとパーティーメンバー一人に取り憑き、取り憑かれたメンバーは以降死亡すると''即ロスト''。早めに寺院で祓わないと危険。 ---イベントではボス敵としても出現。剣を持った非常にカッコイイデザインで、乗り越えるべき壁として威厳溢れる外見になっている。もちろん強さは折り紙付き。 **問題点 -戦闘時の演出が遅い。特に敵の直接攻撃は敵が画面前に向かってきて攻撃する演出が毎回入る。これをアレイド「牽制射撃」で妨害すると妨害された敵が悔しがる演出が入ってさらに少し時間がかかる。 -直接攻撃のレベルアップによる被ダメージの減少が激しい。中盤で初遭遇時は苦戦したガーゴイルの三連撃も少し鍛えると1ダメージの三連撃に。 -直接攻撃しかしてこない敵はアレイドアクション「牽制射撃」でほとんど雑魚に。前衛の3人中指定した2人が常に直接攻撃から保護されるといえばその凄さがわかるだろう。回数制限もない。 --ただ、これだけでカバーできるのは精々2階ぐらいまで。魔法攻撃を放つ敵との混成の場合、魔法を中断させるマジックキャンセルとの使い分けが重要になってくるし、そもそもこれをやっていると後衛2人がまともに戦闘に参加できなくなる。 -''地味''。 --ある意味本作最大の問題点。そもそもウィズ自体、「古くさい」という評価から逃れられない一作なのに、本作は基本システムなどほぼ旧作からの変化がなく、職業や種族もほぼ持ち越しである。というかゲーム全体の雰囲気もやや鬱々としたネガティブなものであることは否めないが。 ---と思いきや能力値が99まで伸び、呪文効果も安定している。旧wizardryの数値感覚は全然通用しないので注意。 //---職業に限って言うなら、なぜか君主の職が騎士に置き換わっているのが旧作のプレイヤーからすると違和感があるだろう。←ロードを「君主」と訳したオリジナルwizardryに問題があるとも考えられる。君主がダンジョンを冒険するのは騎士よりも変である。 -キャラクターには種族と属性によって性格が決まり、それによって信頼度の上がりやすい行動、下がりやすい行動が出てくるが使いやすい性格と使いにくい性格の差が極端。上がりやすくデメリットゼロの性格も多いが、反面、エルフ・中立の「孤独的」のように4人以上で一定時間冒険するだけで下がる性格、人間・悪の「好戦的」の極端にレベルの低い敵を倒すだけで下がる性格(レベルの高い敵を倒すと上がる)もある。これは逃げればいいのだが面倒だし名前負けである。 -ストーリーの都合でもあるが主人公はメンバーから外せない。また終盤の主人公のイベントのイメージがどうも男性の(このゲームは性別の概念はないが)人間の戦士系向けに作られてるのではないかと思われる面がある。これは解釈次第だが、イベント時にイメージギャップにとまどうかもしれない。プレイ面では固有キャラの人数バランスから主人公は後衛職にするのも大いにアリだが。 -バグが多い。 --特定の条件を満たすと装備品が別の物に変化してしまう、商店での売り買いの金額に異常があるなど、ゲーム進行に致命的な影響を与える物は少ないが、厄介なものもある。 -ややUIに不備あり。 --特に待機中の仲間とのアイテム入れ替えが出来ずメンバーチェンジして受け渡しする必要がある(これは旧作でもそうだが)のと、魔法石融合の演出スキップができないのはテンポが悪い。 -一部イベントは発生させずに先に進んでしまうと取り返しが付かない。固有キャラ加入など重大イベントもあるので、注意が必要。一応くまなく探っていれば見つかる程度ではあるが…。 -死神憑きにメリットがほぼない。 --一応死神アレイドという特殊アレイドが使えるのと、誰かが死神憑きでないと開けられない扉があるが、死神アレイドは「全員死神憑き」などという正気の沙汰とは思えない状態を維持した上で「使うと誰かがロストする」などさらなるデメリットを被る。しかもこの状態では通常のアレイドは使えない。死神扉はゲーム中の出現頻度が少なく、地味。死神扉の先にある重要アイテム「巻物」を入手したい時にわざと憑けるくらいである。 -中盤以降、魔法のレベルアップがほぼ必須と化す。 --合成素材がダンジョン内の店で買えるようになるが、これで魔法を強化しておくのが前提となっているようなバランス。魔法を強化せずに進むと非常に厳しい。 **総評 日本人向けに絶妙にアレンジされたウィズ。本家の無味乾燥さを個性的な登場キャラで上手く中和しつつ、かといってストーリーやキャラクターがうるさすぎず、基本的には「ダンジョン探索」の一点のみに集中させる構成は非常にすばらしい。~ 主人公の立ち位置などまさにロールプレイ(役割を演じる)という本質的な意味でのRPGの原点に立ち返ったような作品であり、戦闘・謎解きともにシビア目ではあるが決して鬼畜ではなく、手応えのあるRPGを求めるプレイヤーにとっては間違いなく傑作と言っていい一本である。~ ウィザードリィに興味がなかった人も「Alternative(代替品)」ではなく「Alternative(新生)」として楽しんでもらいたい作品である。

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