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シルフィード - (2022/10/21 (金) 20:46:30) の1つ前との変更点

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#contents() ---- *SILPHEED 【しるふぃーど】 |ジャンル|縦STG| |対応機種|PC-8801(mkIISR以降)、FM77AV| |発売・開発元|ゲームアーツ| |発売日|1986年12月5日| |定価|6,800円| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''| **ストーリー 宇宙に生活の場を広げた人類。新たな生活の場が広がる一方で、無秩序な世界も広がった。そんな中「星々の叫び」というテロリストグループが突如出現する。彼らはリーダー「ザカリテ」の指揮の元、新造艦グロアールを強奪。~ その後テロが続発、連邦軍はその対応に追われる一方だった。それを待っていたように、ザカリテが空になった防衛基地を襲撃する。目的は基地にある惑星破壊ミサイル。テロは陽動だったのだ。残された手段は、テストが終了したばかりの新鋭機「シルフィード」による単独攻撃のみだった。 **概要 -ポリゴンゲームの黎明期の本格縦STG。しかもポリゴンをゲーム性ではなく、演出として使用しているという発想の転換とも言える作品。 -ゲーム性そのものは典型的な縦STGだが、本作独特のシステムもある。 **特徴 -ハーフトップビューの縦STG((近年で言えば『レイストーム』や『レイクライシス』がこれに近い))。擬似ではなく、まだまだ真新しかったポリゴンを使った、本当の3D描写。 -ゲーム性としては、スタンダードな縦STGな部分を押さえながらも、本作ならではと言える面もある。 --操作は移動とショットのみである。移動範囲は広く、奥から手前まで自由にいける。ショットは自機前方の左右二箇所から発射される。 --残機制ではなく、耐久力制を採用している。破壊されるとその時点でゲームオーバー。 ---自機は6段のシールドで守られ、これが破られると直接被害が及ぶ。しかも直撃弾は一発受ける度に故障が発生する。一発目を受けると操作が困難に。二発目を受けると武器の一部が壊れ、三発目を受けると破壊される。 ---ステージをクリアすれば、故障部分とシールドは完全に直る。しかし、故障の時に失ったパワーアップアイテムは戻らない。 --武器はアイテムとスコアによりパワーアップされる。また左右の扱いの違う武器は本作の特徴。 ---アイテムはアステロイドを破壊すると入っている事がある。威力増強やスピードアップ、シールド回復など。スコアによるパワーアップは武器の種類。武器は5種類あり、スコアによって増えていく。ただこの増え方は左右の武器によって違う。これはそれぞれが、どれだけスコアを取ったかによるのだ。 ---本作での特徴の一つが、武器は左右違う種類のものを装備できる点。ステージとステージの間には基地があり、そこで修理と共に、武器の交換をする。この時左右各々に設定する事になる。 -ステージは全部で20面。 --宇宙、惑星上、アステロイドベルト、要塞内で構成されている。宇宙と惑星上の違いは、後者はアイテムが全くでない点。 --弾幕はそれほど厚くない。しかしそれよりもやっかいなのが、敵機自体である。比較的速度が速く、接触する事も。またレーザーを使う敵がいるのだが、これが難物。本作のレーザーは発射と着弾にタイムラグが全くなく、予備動作もない。さらに発射パターンもないので、対策は出現時に撃ち落すしかない。また自機もレーザーを装備できるのだが、反射する敵もいるので装備には注意が必要。 --各ステージのラストには様々なボスが配置されている。ボスは倒さなくても良く、一定以上の時間が経つと逃げてしまう。だが、一方でこの高得点を得るチャンスを逃がすと、武器の種類は中々増えない。 --最後には巨大艦「グロアール」と戦う事になる。グロアールは三段階の攻撃を仕掛けてくる。第一段階では前述したレーザーの嵐を多数発射してくる。第二段階はバリアを張りつつ、炸裂弾を撃って来る。第三段階は艦載機と共に、各種攻撃をしてくる。 ---喰らい判定が中央にしかなく、弾幕をかいくぐっての攻撃はなかなか苦労させられる。 -難易度はトータルで高め。 **評価点 -ポリゴンで表現された造形。 --ゲーム性としては2D縦STGでありながら、ポリゴンで表現する事により、画面の中に通常の2DSTGでは味わえない広がりと映像としてのインパクトを生み出した。自機・敵機はもちろん一部の弾、要塞面の壁なども全てポリゴン。手前ほど大きく映り、奥ほど小さく映る。 ---ただし全てをポリゴンで表現している訳ではない。惑星上での背景などは擬似である。 -各種武器の使い分けが工夫のしどころ。 --左右に別々の武器を装備できる特徴が面白い。次のステージに合った組み合わせを選ぶのがクリアのコツ。 -ボリューム十分なステージ。 --敵、さらにボスキャラも多彩。ステージ構成も相まって飽きさせない。 --グロアールもラスボスらしい強さ、というか凶悪さ。 -3Dを強く押し出したOPは、曲と合わせ印象的。 --BGMも全体的に、なかなかいい出来。 **難点 -難易度設定がない。しかも序盤からそれなりに難しい。 -ボムなど緊急回避的なものもなし。 -コンティニューがない。ラスボスで倒された脱力感はなんとも言いがたい。 -とにかくレーザーはやっかい。 **総評 当時ポリゴンを使ったゲームは数えるほどしか出ておらず、やや実験的な面もあった。そんな中現れた本作は、完成度も高い本格派3Dゲームであった。また、それまでのワイヤーフレーム等の3D描写を使ったゲームのほとんどは、ゲーム性にも3D要素を入れていた。それをあえてゲーム性から切り離した点は、評価されるべき英断だろう。~ インパクトの強い映像である一方、オーソドックスな縦STGを踏まえ独自性を出している。操作は簡単だが、難易度高め。まさにハマれるゲームであった。 ---- **移植 -FM77AV版(88年3月19日発売) --新規に書き起こされたOPデモが追加されたが、それ以外はグラフィックの書き直しなどのないベタ移植となっていた。 **余談 -本作のデモでは、FM音源チップに搭載された「CSM音声合成モード」を使用した音声合成が演出で使われている。名前の割に特定のタイミングでサイン波を発生させる為のトリガとサイン波の発声機能しかないものであり、実際にこれをゲームソフトウェアに使用したのは結果的にゲームアーツしかなかった。当時のプロセッサの速度では対象の波形から特徴点となる波形を取り出すことには時間がかかる反面、チップの機能で実現できることから比較的処理が軽量であること、他の方法と比較しデータが小さく済むというメリットがあった。実際に制御できるサイン波の数と密度から複雑な波形の再現には向かず、その波形の再現性は高くなく''まるでうがいをしているみたい''と揶揄されたことからも質の程度が窺える。 --この音声合成技術は同社の『ヴェイグス』、『ぎゅわんぶらぁ自己中心派』、『ゼリアード』と言った作品でも採用されたが、『ゼリアード』ではその音質から声優に依頼するまでも無いという判断から社員が音声を提供していることもあり、音の特徴に加え演技力もあいまって当時のゲーマーからはネタ扱いされていた。 --初期面でゲームオーバー時に言われる「''はっはっはっはっは! お前は弱かった''」はそのインパクト故あまりにも有名である。 -- -5面ごとに一息つくデモが入る。ここで特定のキーを押すと、ちょっとした遊びが見られる。例えば最初のデモは、太陽を背にした惑星を背景に自機がゆっくりと進むシーン。ここで、惑星の影にウサギが餅をつく姿が見れる。 -本作の名称が、風の妖精「SYLPHIDE」を意図したものでありながら、「SILPHEED」と称するのは、単に前者は見た目が悪いから。 -今作の悪役キャラ「ザカリテ」は未熟ながら音声合成でしゃべりプレイヤーにインパクトを与えた人気キャラである --1面冒頭の「わしは宇宙の帝王ザカリテ、グロアールある限り貴様らごときに倒されはせん」のインパクトは今でも語り継がれるほど。 -後に開発スタッフの1人である大浦氏が「これを作る際、『メイジャーハヴォック』の影響をかなり受けている」と秋葉原で行われたトークイベントで述べている。 -ゲームディスク2の中にBASICで動く隠しゲームが2本入っている。1つは固定画面の縦シューである「シルフィード2」、もう1つは「ザカリテゲーム」という早押しゲーム。 --前者は最初に武器を選択し、ひたすら攻めてくる「ザカリテ」を撃ち落とす。最後に出てくる「グロアール」を倒せばクリア。ちなみにキャラや武器は全部BASICのテキスト文字で表現されている。 --後者は「オレハウチュウノテイオウ ザッザッザッ……」((本編での一人称は「ワシ」だが、ここでは「オレ」となっている。))とランダムで文字列が伸びて行き、「ザカリテダ」の文字が出た瞬間にキーを叩けば勝ち。タイミングが遅れてその直後の「コロシテヤル」の文字が出た時や、「ザカリテダ」の文字が出る前にキーを叩いた場合は負け。 ---- *メガCD版 |ジャンル|縦スクロールシューティング|&amazon(B0001484T4)| |対応機種|メガCD|~| |メディア|CD-ROM 1枚|~| |発売・開発元|ゲームアーツ|~| |発売日|1993年7月30日|~| |定価|9,240円(税込)|~| |プレイ人数|1人|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| ---- **ストーリー(メガCD版) >3076年、各移民星系を突如、太陽系軍無人艦隊が襲った。~ 母星 地球にある銀河ネットワーク中枢フォトンコンピューター“グレイゾン”システムが、謎のテロリストグループにネットワークジャックされたのだ。~ テロリストのリーダーは “ザカリテ” と名乗った。 > >そして今、銀河連邦各星系の残存艦隊はザカリテを討つべく集結。太陽系まであと64光年の距離にあった。~ 大改修、強化した有人戦術宇宙戦斗機 ''SA-77シルフィード''を切札とし、残存艦隊は反撃に転じたのである。 > >目指すは 母星、地球。 (ミッション1クリア後のストーリーデモより) &br() **概要(メガCD版) PC-8801mkIISR版『シルフィード』をベースにメガCDソフトとしてアレンジした家庭版。~ 既にメガCD市場は冷え切っていたが、本作は当時の技術水準では非常に高品質の3Dグラフィックを実現し、『LUNAR ザ・シルバースター』、『[[ソニック・ザ・ヘッジホッグCD]]』と共に数少ないメガCDのヒット作となった。 一部には「『シルフィード』がないならばメガCDもなかったことにしたい」と呼ばれるほどのキラーソフト(結局大勢を変えることは出来なかったが)である。 ---- **特徴(メガCD版) -ハーフトップビューシューティングゲームの先駆けであり、この後発表されるレイストームなどに大きな影響を与えている。 -シューティングゲーム部分の背景にCD-ROMからデータを連続で読み出すことで毎秒最大15コマの動画を表示し、迫力の演出効果を生み出している。 -面の途中ではバリアなどのパワーアップアイテムやシールド回復のアイテムを出す敵が出てくる。 -全12ステージ。 **評価点(メガCD版) -当時、まだ珍しかったポリゴンを使ったムービーはとても綺麗。 -ステージ間ムービーやOPムービーなどの演出も素晴らしい。 -難易度調整が絶妙。 -味方機から送られてくる無線が場の雰囲気を盛り上げる。 **問題点(メガCD版) -88版に比べると、レーザーが無くなっているのは残念。 --武装の名称も一部変わっており、ファランクスビーム→ワイドビーム、V-ビーム→ファランクスビームとなっているためやや違和感が残る。 -ボスに使いまわしが多い。 -最終ボスくらいにしか使い道が無いオプション。 **総評(メガCD版) ゲームとしてはパワーアップ性の古典的な縦スクロールシューティングながらも、当時家庭用ゲーム機としては珍しかったポリゴンを多用した演出は圧巻。~ NASA提供の実写、緻密なポリゴン艦隊、フラクタルで描画された月面や地球…これらの演出は今見ても感心するものばかりである。~ また、2010年には自機であるSA-77がプラモデル化されるなど、長く愛されている証拠であるといえよう。
#contents() ---- *SILPHEED 【しるふぃーど】 |ジャンル|縦STG| |対応機種|PC-8801(mkIISR以降)、FM77AV| |発売・開発元|ゲームアーツ| |発売日|1986年12月5日| |定価|6,800円| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''| **ストーリー 宇宙に生活の場を広げた人類。新たな生活の場が広がる一方で、無秩序な世界も広がった。そんな中「星々の叫び」というテロリストグループが突如出現する。彼らはリーダー「ザカリテ」の指揮の元、新造艦グロアールを強奪。~ その後テロが続発、連邦軍はその対応に追われる一方だった。それを待っていたように、ザカリテが空になった防衛基地を襲撃する。目的は基地にある惑星破壊ミサイル。テロは陽動だったのだ。残された手段は、テストが終了したばかりの新鋭機「シルフィード」による単独攻撃のみだった。 **概要 -ポリゴンゲームの黎明期の本格縦STG。しかもポリゴンをゲーム性ではなく、演出として使用しているという発想の転換とも言える作品。 -ゲーム性そのものは典型的な縦STGだが、本作独特のシステムもある。 **特徴 -ハーフトップビューの縦STG((近年で言えば『レイストーム』や『レイクライシス』がこれに近い))。擬似ではなく、まだまだ真新しかったポリゴンを使った、本当の3D描写。 -ゲーム性としては、スタンダードな縦STGな部分を押さえながらも、本作ならではと言える面もある。 --操作は移動とショットのみである。移動範囲は広く、奥から手前まで自由にいける。ショットは自機前方の左右二箇所から発射される。 --残機制ではなく、耐久力制を採用している。破壊されるとその時点でゲームオーバー。 ---自機は6段のシールドで守られ、これが破られると直接被害が及ぶ。しかも直撃弾は一発受ける度に故障が発生する。一発目を受けると操作が困難に。二発目を受けると武器の一部が壊れ、三発目を受けると破壊される。 ---ステージをクリアすれば、故障部分とシールドは完全に直る。しかし、故障の時に失ったパワーアップアイテムは戻らない。 --武器はアイテムとスコアによりパワーアップされる。また左右の扱いの違う武器は本作の特徴。((但し、武器追加は左武装と右武装どちらで敵を倒したかを別々にカウントしているので偏った攻撃をすると片方だけしか武器が追加され続けるという事態にもなりやすい)) ---アイテムはアステロイドを破壊すると入っている事がある。威力増強やスピードアップ、シールド回復など。スコアによるパワーアップは武器の種類。武器は5種類あり、スコアによって増えていく。ただこの増え方は左右の武器によって違う。これはそれぞれが、どれだけスコアを取ったかによるのだ。 ---本作での特徴の一つが、武器は左右違う種類のものを装備できる点。ステージとステージの間には基地があり、そこで修理と共に、武器の交換をする。この時左右各々に設定する事になる。 -ステージは全部で20面。 --宇宙、惑星上、アステロイドベルト、要塞内で構成されている。宇宙と惑星上の違いは、後者はアイテムが全くでない点。 --弾幕はそれほど厚くない。しかしそれよりもやっかいなのが、敵機自体である。比較的速度が速く、接触する事も。またレーザーを使う敵がいるのだが、これが難物。本作のレーザーは発射と着弾にタイムラグが全くなく、予備動作もない。さらに発射パターンもないので、対策は出現時に撃ち落すしかない。また自機もレーザーを装備できるのだが、反射する敵もいるので装備には注意が必要。 --各ステージのラストには様々なボスが配置されている。ボスは倒さなくても良く、一定以上の時間が経つと逃げてしまう。だが、一方でこの高得点を得るチャンスを逃がすと、武器の種類は中々増えない。 --最後には巨大艦「グロアール」と戦う事になる。グロアールは三段階の攻撃を仕掛けてくる。第一段階では前述したレーザーの嵐を多数発射してくる。第二段階はバリアを張りつつ、炸裂弾を撃って来る。第三段階は艦載機と共に、各種攻撃をしてくる。 ---喰らい判定が中央にしかなく、弾幕をかいくぐっての攻撃はなかなか苦労させられる。 -難易度はトータルで高め。 **評価点 -ポリゴンで表現された造形。 --ゲーム性としては2D縦STGでありながら、ポリゴンで表現する事により、画面の中に通常の2DSTGでは味わえない広がりと映像としてのインパクトを生み出した。自機・敵機はもちろん一部の弾、要塞面の壁なども全てポリゴン。手前ほど大きく映り、奥ほど小さく映る。 ---ただし全てをポリゴンで表現している訳ではない。惑星上での背景などは擬似である。 -各種武器の使い分けが工夫のしどころ。 --左右に別々の武器を装備できる特徴が面白い。次のステージに合った組み合わせを選ぶのがクリアのコツ。 -ボリューム十分なステージ。 --敵、さらにボスキャラも多彩。ステージ構成も相まって飽きさせない。 --グロアールもラスボスらしい強さ、というか凶悪さ。 -3Dを強く押し出したOPは、曲と合わせ印象的。 --BGMも全体的に、なかなかいい出来。 **難点 -難易度設定がない。しかも序盤からそれなりに難しい。 -ボムなど緊急回避的なものもなし。 -コンティニューがない。ラスボスで倒された脱力感はなんとも言いがたい。 -とにかくレーザーはやっかい。 **総評 当時ポリゴンを使ったゲームは数えるほどしか出ておらず、やや実験的な面もあった。そんな中現れた本作は、完成度も高い本格派3Dゲームであった。また、それまでのワイヤーフレーム等の3D描写を使ったゲームのほとんどは、ゲーム性にも3D要素を入れていた。それをあえてゲーム性から切り離した点は、評価されるべき英断だろう。~ インパクトの強い映像である一方、オーソドックスな縦STGを踏まえ独自性を出している。操作は簡単だが、難易度高め。まさにハマれるゲームであった。 ---- **移植 -FM77AV版(88年3月19日発売) --新規に書き起こされたOPデモが追加されたが、それ以外はグラフィックの書き直しなどのないベタ移植となっていた。 **余談 -本作のデモでは、FM音源チップに搭載された「CSM音声合成モード」を使用した音声合成が演出で使われている。名前の割に特定のタイミングでサイン波を発生させる為のトリガとサイン波の発声機能しかないものであり、実際にこれをゲームソフトウェアに使用したのは結果的にゲームアーツしかなかった。当時のプロセッサの速度では対象の波形から特徴点となる波形を取り出すことには時間がかかる反面、チップの機能で実現できることから比較的処理が軽量であること、他の方法と比較しデータが小さく済むというメリットがあった。実際に制御できるサイン波の数と密度から複雑な波形の再現には向かず、その波形の再現性は高くなく''まるでうがいをしているみたい''と揶揄されたことからも質の程度が窺える。 --この音声合成技術は同社の『ヴェイグス』、『ぎゅわんぶらぁ自己中心派』、『ゼリアード』と言った作品でも採用されたが、『ゼリアード』ではその音質から声優に依頼するまでも無いという判断から社員が音声を提供していることもあり、音の特徴に加え演技力もあいまって当時のゲーマーからはネタ扱いされていた。 --初期面でゲームオーバー時に言われる「''はっはっはっはっは! お前は弱かった''」はそのインパクト故あまりにも有名である。 -- -5面ごとに一息つくデモが入る。ここで特定のキーを押すと、ちょっとした遊びが見られる。例えば最初のデモは、太陽を背にした惑星を背景に自機がゆっくりと進むシーン。ここで、惑星の影にウサギが餅をつく姿が見れる。 -本作の名称が、風の妖精「SYLPHIDE」を意図したものでありながら、「SILPHEED」と称するのは、単に前者は見た目が悪いから。 -今作の悪役キャラ「ザカリテ」は未熟ながら音声合成でしゃべりプレイヤーにインパクトを与えた人気キャラである --1面冒頭の「わしは宇宙の帝王ザカリテ、グロアールある限り貴様らごときに倒されはせん」のインパクトは今でも語り継がれるほど。 -後に開発スタッフの1人である大浦氏が「これを作る際、『メイジャーハヴォック』の影響をかなり受けている」と秋葉原で行われたトークイベントで述べている。 -ゲームディスク2の中にBASICで動く隠しゲームが2本入っている。1つは固定画面の縦シューである「シルフィード2」、もう1つは「ザカリテゲーム」という早押しゲーム。 --前者は最初に武器を選択し、ひたすら攻めてくる「ザカリテ」を撃ち落とす。最後に出てくる「グロアール」を倒せばクリア。ちなみにキャラや武器は全部BASICのテキスト文字で表現されている。 --後者は「オレハウチュウノテイオウ ザッザッザッ……」((本編での一人称は「ワシ」だが、ここでは「オレ」となっている。))とランダムで文字列が伸びて行き、「ザカリテダ」の文字が出た瞬間にキーを叩けば勝ち。タイミングが遅れてその直後の「コロシテヤル」の文字が出た時や、「ザカリテダ」の文字が出る前にキーを叩いた場合は負け。 ---- *メガCD版 |ジャンル|縦スクロールシューティング|&amazon(B0001484T4)| |対応機種|メガCD|~| |メディア|CD-ROM 1枚|~| |発売・開発元|ゲームアーツ|~| |発売日|1993年7月30日|~| |定価|9,240円(税込)|~| |プレイ人数|1人|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| ---- **ストーリー(メガCD版) >3076年、各移民星系を突如、太陽系軍無人艦隊が襲った。~ 母星 地球にある銀河ネットワーク中枢フォトンコンピューター“グレイゾン”システムが、謎のテロリストグループにネットワークジャックされたのだ。~ テロリストのリーダーは “ザカリテ” と名乗った。 > >そして今、銀河連邦各星系の残存艦隊はザカリテを討つべく集結。太陽系まであと64光年の距離にあった。~ 大改修、強化した有人戦術宇宙戦斗機 ''SA-77シルフィード''を切札とし、残存艦隊は反撃に転じたのである。 > >目指すは 母星、地球。 (ミッション1クリア後のストーリーデモより) &br() **概要(メガCD版) PC-8801mkIISR版『シルフィード』をベースにメガCDソフトとしてアレンジした家庭版。~ 既にメガCD市場は冷え切っていたが、本作は当時の技術水準では非常に高品質の3Dグラフィックを実現し、『LUNAR ザ・シルバースター』、『[[ソニック・ザ・ヘッジホッグCD]]』と共に数少ないメガCDのヒット作となった。 一部には「『シルフィード』がないならばメガCDもなかったことにしたい」と呼ばれるほどのキラーソフト(結局大勢を変えることは出来なかったが)である。 ---- **特徴(メガCD版) -ハーフトップビューシューティングゲームの先駆けであり、この後発表されるレイストームなどに大きな影響を与えている。 -シューティングゲーム部分の背景にCD-ROMからデータを連続で読み出すことで毎秒最大15コマの動画を表示し、迫力の演出効果を生み出している。 -面の途中ではバリアなどのパワーアップアイテムやシールド回復のアイテムを出す敵が出てくる。 -全12ステージ。 **評価点(メガCD版) -当時、まだ珍しかったポリゴンを使ったムービーはとても綺麗。 -ステージ間ムービーやOPムービーなどの演出も素晴らしい。 -難易度調整が絶妙。 -味方機から送られてくる無線が場の雰囲気を盛り上げる。 **問題点(メガCD版) -88版に比べると、レーザーが無くなっているのは残念。 --武装の名称も一部変わっており、ファランクスビーム→ワイドビーム、V-ビーム→ファランクスビームとなっているためやや違和感が残る。 -ボスに使いまわしが多い。 -最終ボスくらいにしか使い道が無いオプション。 **総評(メガCD版) ゲームとしてはパワーアップ性の古典的な縦スクロールシューティングながらも、当時家庭用ゲーム機としては珍しかったポリゴンを多用した演出は圧巻。~ NASA提供の実写、緻密なポリゴン艦隊、フラクタルで描画された月面や地球…これらの演出は今見ても感心するものばかりである。~ また、2010年には自機であるSA-77がプラモデル化されるなど、長く愛されている証拠であるといえよう。

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