「カエルの為に鐘は鳴る」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

カエルの為に鐘は鳴る - (2019/06/01 (土) 22:22:03) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*カエルの為に鐘は鳴る 【かえるのためにかねはなる】 |ジャンル|アクションRPG|&amazon(B000069RY4,image=https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61Uw3YErRFL._SL160_.jpg)| |対応機種|ゲームボーイ|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|任天堂&brインテリジェントシステムズ|~| |発売日|1992年9月14日|~| |定価|3,800円(税別)|~| |配信|バーチャルコンソール&br【3DS】2012年9月5日/411円((2014年3月31日までは400円))|~| |レーティング|CERO:A (全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|コメディチックなストーリー&brプレーヤーから根強い人気の一作|~| ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー サブレ王国の王子とカスタード王国のリチャード王子は生まれた時からの良き友人でライバル同士。しかし、何故か剣術だけはリチャード王子に勝てないサブレ王子((厳密には主人公であるサブレ王国の王子にはデフォルト名が存在せず、プレーヤーが入力するので「○○○○・デ・サブレ」という名前になる))。&br() いつものように二人が剣の練習試合をしていた中、ミルフィーユ王国が魔王デラーリンによって侵略を受け、美しいと評判のティラミス姫が捕らえられたと言う知らせを受ける。&br() 二人は先を競うようにミルフィーユ王国へと向かうが、その陰に怪しい魔女が付き纏う。&br()  &br() リチャード王子に先をこされず あくのぐんだんゲロニアンから&br() ティラミス姫を ぶじたすけ出すコトができるのか!?&br()  &br() さぁ、ものがたりの はじまり はじまり!&br() **特徴 -見下ろし型視点のRPGないしアクションアドベンチャーと、真横視点の横スクロールアクションゲームを足した[[ゼルダ>ゼルダの伝説シリーズ]]ライクなシステム。~ 公式やCMでは『&bold{変身ギャグベンチャー}』と銘打たれている。 --フィールドマップや町中では見下ろし型視点で移動、ダンジョンでは真横視点で「ジャンプ」を駆使した謎解き・探索重視の2Dアクションと[[リンクの冒険]]に近い。ただし本作では戦闘にアクション要素はない。 -戦闘はシンボルエンカウントだが、運要素のない完全なオートバトル。主人公の能力が一定以上あれば確実に勝利することができる。戦闘中にBボタンを入力すると、「逃げる」か「アイテム使用」を選択できるが、できることはこれだけである。 --経験値によるレベルアップ方式ではなく、アイテム取得によるパワーアップによってストーリーを進めていく。このパワーアップは実質的に、ボス攻略のためのフラグ立てでもある。 --ボス敵に対しては、現時点で取ることの出来るステータス上昇アイテムとその時点での最強の武器と防具を取得した上、ライフ満タンで挑んでギリギリ(残りライフがハート1個、という具合)勝てる、というバランスで設定されている。 ---ボス戦では逃げられず、アイテムも「使う隙が無い」と出て使えない場合が多いのでオートバトルに任せるしかなく、戦闘前の準備で全てが決まる。 ---すなわち、ボス敵に勝てないときは何らかのアイテムを取り逃している場合がほとんどである。逆に言えば、準備さえ整っていればボスに必ず勝てるということでもある。 ---ただし終盤のボス戦はライフに余裕をもって倒せたり例外的な攻略法のものが多く、ステータス上昇アイテムを全て取らずとも勝利可能。そのため終盤のステータス上昇アイテムは攻略上の必須アイテムではなく、一種のやり込み・収集要素となっている。 --見下ろし型視点・一画面単位でのスクロール方式、ハートによるライフ表示(ハート1個が4段階に分かれる)、回復アイテムを入れる瓶、重い物を動かせるようになるアイテム、最強の盾の特徴なども[[ゼルダの伝説シリーズ]]と共通している。 ---(強力な)仲間と一時的に同行できるのも、後の『[[ゼルダの伝説 夢をみる島]]』のワンワンなどに通ずるものがある。 -アイテムの日記帳を使うことで、どこでもセーブが可能。またライフがゼロになってもゲームオーバーにはならず、最後に訪れた町の病院に送られるだけでペナルティは無い。((ライフ全回復にお金がかかる程度。)) -ゲームボーイでは珍しく、テキストが漢字カナ混じりである。 --使用されている漢字は102種類と少ないものの、十分に漢字が使われている印象を受ける。 --むしろ複雑すぎる漢字を使わないおかげで非常に読みやすい。 --「怒声」「驚愕」など、場面に応じて文字サイズが四倍角になる。特徴的なSEも同時に流れるのでインパクト抜群。 -「人間」「カエル」「ヘビ」の3つの形態を使い分けながら攻略していく。 --シナリオ進行に伴い、水に浸かればカエルに、温泉卵を使用して飲み込めばヘビに変身できるようになる。''食べると気持ちよくなって気絶する果実''を使用することで人間に戻る。これらの形態の切り替えは、主に横スクロールアクションの場面で重要となる。 --人間状態は重いブロックを押して動かすことができる。戦闘能力が最も高く、人間キャラとの会話などが行える。総じて基本形態と言ったところ。 --カエルになればジャンプ力が格段に向上し、水の中も自在に移動することが出来る。 ---反面戦闘能力は著しく低下し、特にヘビ相手だと無力だが、逆に虫系の敵に対しては食べる事で一方的に倒せる。 ---ある一定の時期まではゲロニアン兵に話しかけることでエサをもらい、ライフを回復することもできる。 --ヘビになるとジャンプ力は皆無になる(1ブロック分の高さならはい上がることが出来る)が、細い通路を這い進める。 ---自分より弱い敵ははじき飛ばすか、噛み付いて「ブロック」にするかを選択出来る。このブロックは足場として利用できたり、人間の状態で押して動かすことができる。 ---ヘビ相手なら会話もできる。ゲロニアン兵に話しかけると苛められ、カエルに話しかけると(例外はあるが)逃げられる。 --これらの人間・カエル・ヘビ形態をうまく使い分ける謎解きアクションが本作のキモ。この難易度が複雑すぎず、かと言って簡単すぎずで絶妙な難易度調整となっている。 ---ダンジョンでは人間・ヘビ形態になる必要がある場所ではたいていの場合変身アイテムが宝箱に入っている親切設計。一方でジャンプでミスると敵に囲まれる場所で無力なカエルになるトラップがあったり等、配置については完璧と言わざるを得ない。 -フィールドBGMである「王子の冒険」はゲームボーイのいわゆるピコピコサウンドを生かした軽快な一曲となっており、今なお絶大な人気を誇る。 --BGM担当は[[とたけけ>どうぶつの森]]こと戸高一生。氏おなじみの「けけソング」もある場所で聞ける。 --その他のBGMも作風に合わせてどこかコミカルな楽曲揃い。一方ダンジョンでは緊迫感が漂うおどろおどろしい楽曲になっている。 -パッケージや前置きからは王道っぽい設定・展開を想像させるのだが、&b(){その実はとにかくパロディやジョークがあちらこちらに散りばめられている。}斜め上にプレイヤーの予想を裏切っていくストーリーは、かなり「してやられた」気分になる。 --一方ですべての伏線を回収した最後の最後でド直球の王道展開となるのが実にお見事。ラストバトルは若干ショボいが(後述)、流れる音楽と相まってかなり熱い。 --シナリオ担当は[[ファミコン探偵倶楽部シリーズ]]を手掛けた坂本賀勇氏である。 **パロディやジョーク -ゲームタイトルからしてパロディである(ヘミングウェイの小説『誰がために鐘は鳴る』をもじったもの)。 -熱血漢な主人公とクールなライバル…までは王道だが、最初は事あるごとに金の力で問題を解決しようとする主人公。そしてそんな主人公を利用するかのごとく、要所要所のイベントで超高額の金を要求される。 --主人公は「お金持ちの王子様」という設定を生かして最初から所持金を表示限度額まで持っているが、序盤のイベントであっという間に無一文になってしまう。そして裸一貫後のイベントでも限度額同然の金額を請求される。 ---ただし嫌味な点は全くない。大金を使うのは「他に手段がない時」「とにかく急がなければならない時」「貧乏な子供が、なけなしの物資を自分のために使ってくれたお礼」などであり、もちろん金でなく自分の力で解決しようとする意思もある。「金の力に物を言わせる」ではなく、「正義のためにはどんな損失も恐れない」という好感の持てる主人公である。 #region(ネタバレ注意) --魔女マンドラから怪しい薬をタダで差し出される。この薬を飲んだことで主人公はカエルの姿になりそれはそれで冒険の役に立つのだが、後にマンドラから「すぐに元の姿に戻るための薬」を高額な金額(と言うか、所持金全てと同額)で売りつけられる。 --主人公と同じくカエルの姿になったリチャード達を元に戻すためには「春を告げるベル」を鳴らす必要があるのだが、序盤に発生した震度7級の大地震によってベルは壊れてしまっており、その修繕代が先の薬代と全くの同額。 #endregion -地名やアイテム・キャラクター名の幾つかに、何かしら元ネタが存在する。 --「ミルフィーユ王国」をはじめとしてお菓子関連の単語が元になっているものが多い。お菓子以外にも、金塊を手に入れるために向かう山が「フーリン火山」であったり、温泉のある村の名前が「ゲロベップ温泉」。アイテムを開発している「ナンテンドウ」、体力を大幅に回復させる「ワイン一番絞り」等。 --埋蔵金堀りに夢中の「こぴーらいたー」(当時[[糸井重里氏>MOTHER]]がTV番組の企画で埋蔵金探しをしていたネタ)がいる。 --「東京コミックショーZ」という名前のロボットや「カザンオールスターズ」という名前の集団など、今の時代ではまずできないようなはっちゃけたパロディも。 -主人公含め登場するキャラの言動も思わずクスリとくるテキストが多い。 -村や町には壁新聞があり、ストーリーの進展によって内容が変わっていく。 --ノリはスポーツ新聞の見出し風。ほんの短期間だけしか表示されない新聞も存在する。 ---しかも、全てナンバリングされている。そのため、全部読むつもりでいて、ナンバリングが一つ抜けていたりするといい感じに脱力感が味わえる。 -どう見ても「軍手」にしか見えないパワーグローブや、いかにも怪しすぎるだろと言った薬等。 -エンディングの最後の主人公と、姫の従者との会話が、ある意味本質を言い当てており意味深である。   #region(エンディング・ネタバレ) -ティラミス姫とマンドラは同一人物であることが物語の最後で判明する。 --ティラミス姫と結ばれ、リチャード達を見送った主人公が、こっそりと従者に「ティラミス姫がマンドラに化けていたのであって、よもやその「はんたい」ではあるまいな?」と尋ねる。 すると、従者は少しの沈黙の後「はははははは・・・・。」と間を置いて、「そんなものはどちらでも&sizex(+3){同 じ}ではありませんか」と答えるのである。もちろん「同じ」という部分だけは、四倍角文字である。 --これは外見は違っていても人物そのものは一緒であるという解釈や、美しいティラミス姫もいつかはマンドラのようになるのだという皮肉めいた解釈もできる。 --ティラミス姫とマンドラは劇中で見る限りでは性格が全く似ておらず、またその性格もどこまでが演技でどこまでが本心なのかは伺い知れない。そのためどうとでも解釈することができ、どちらが本当の姿なのか、姫(マンドラ)の本心はどこにあるのかという解釈によって印象が大きく変わってくる。 ---エンディングのマンドラは主人公に対してティラミス姫の口調で喋るのだが、ゲーム前半のイベントでは主人公がその場を立ち去った直後に、マンドラ一人だけの状況で「うまくいったようじゃな」「またしても うまくいった ようじゃのう」などと言っているので、マンドラの方が本当の姿である可能性は否めない。 ---もしも姫の正体がマンドラだったとすれば、主人公は(自分の正体を美しい姫と偽っている)老婆と結婚するに等しい。しかし絶世の美女と噂される姫と結ばれるのは主人公の望みが叶った形でもあり、物語としてはハッピーエンドなので、姫の正体がどちらであったにせよ「同じこと」とも言える。 --なお、最初にゲロベップ温泉を訪れる際、温泉入り口にてカエルの姿でヘビと戦う負けイベントが発生し、主人公はマンドラに救出される事になるが、この時意識が朦朧とした主人公は自身を介抱したマンドラをはじめ美しい少女と見間違える事になる。この時のマンドラの姿は髪の色を除いてはティラミス姫と瓜二つの姿をしている為、ティラミス姫=マンドラの伏線が張られていたとも解釈できる。オープニングでは「ミルフィーユ王国は(リチャード王子の)カスタード王国と友好国である」とだけ語られており、サブレ王国との関係や主人公とティラミス姫との間の面識の有無については特に語られていないが、主人公はマンドラをティラミス姫ではなく、面識の無い女性として捉えている為、「外見は粗野な老婆であっても内面はティラミス姫と同じ事」または「ティラミス姫が老婆に化けている様子」を主人公が無意識に看破したとも解釈する事が可能である。 #endregion **賛否両論点 -横スクロールアクションにおける、溶岩やトゲといった即死要素。 --全体的に難易度が控えめで遊びやすいゲームではあるが、溶岩やトゲのある場面だけは比較的シビアな操作が要求される。 --本作ではどこでもセーブ可能なので、難所の手前でセーブしておくことで対策可能。またライフがゼロになっても最後に訪れた町の病院に送られるだけで済む。 **短所 -アイテムを取り損なうと先に進めなくなる。 --もっともそのアイテムも店で買えるので、敵を倒して金を貯めてまとめ買いしておけばいい。 --第一、このゲームは必要なアイテムを揃えなければ決してボスには勝てず先へも進めない仕様であり、進めない、ということは何か取っていないアイテムがある、ということなので、アイテムを取り損なったからといって、それが原因でハマってしまうことは決して無い。単に取り忘れたアイテムを回収に戻ればいいだけである。 --ただ、ストーリーの進行状況によっては、その時点で拠点としている町の店が利用できなくなる(基本的にイベントで壊れた店は二度と利用できない)ので、買える時になったらまとめて購入しておくのがベター。 -ラスボス戦の方法が地味。もっとも、本ゲームのバトルシステムでは仕方がないのかもしれないが。 #region(ネタバレあり) --ラスボスが張った壁(当たるとダメージ)の間を縫ってAボタンで攻撃を繰り返す。タイミングさえ合えば負けることはない。~ むしろラスボスに辿り着くまでの道中の方がきつい。 #endregion **総評 一見よくあるB級ゲームに見えるが、ゲームボーイ初期の作品とは考えられないほど完成度が高い。~ 王道的なアクションパートと喜劇的なストーリーが面白い「永遠の佳作」と呼べる出来である。~ 自由度が低いことが珠に瑕だが、忘れたころに何度もやってみたくなるのが本作の魅力と言える。 **余談 -海外では未発売だったこともあって決してメジャーとは言えない本作だが、任天堂およびIS社員に思い入れのあるスタッフが多いのか、たびたび他ゲーにゲスト出演している #region(ゲスト出演一覧) -このゲームの翌年に発売された『[[ゼルダの伝説 夢をみる島]]』に、ライバルのリチャード王子がちゃっかり登場している。リチャードのいる場所では本作の「王子の冒険」のアレンジ版が流れる。 --一年半後に発売された『[[ファイアーエムブレム 紋章の謎]]』では、第二部一章に登場するマリーシアのおばあさんが魔女マンドラに外見が瓜二つである。 -このゲームの約9年後に発売されたゲームボーイアドバンス用ソフト『[[ワリオランドアドバンス>ワリオランドアドバンス ヨーキのお宝]]』には、「軍手」などのアイテムを開発したナンテンドウのアレヲ=シタイン博士が登場している。 --ちなみにナンテンドウの博士ではなく、考古学者でマサカーチョット工科大学名誉教授という設定になっている。 -更に2000年にゲームボーイで発売された『[[トレード&バトル カードヒーロー]]』、2007年にニンテンドーDSで発売された『[[高速カードバトル カードヒーロー>トレード&バトル カードヒーロー]]』では、カードの発売元がナンテンドウという設定になっている。 --ちなみに、これらのディレクター(ゲームボーイ版)及びプロデューサー(DS版)は今作のシナリオを担当した任天堂・坂本賀勇氏である。 ---ちなみに「高速」で漢字表記が明かされているが、「南天堂」というカッコイイ表記ではなく「何天堂」といういささか間の抜けたものである。 -2008年発売の『[[スマブラX>大乱闘スマッシュブラザーズX]]』に本作主人公サブレ王国の王子のシールが登場する。 --『[[大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』ではついにアシストキャラとして22年ぶりに表舞台に登場。カエルやヘビに変身・ファイターを土煙をあげてポコポコ殴る…と本作のシステムを再現している。 --同作にて初めて声がついた。同作のルキナ役・小林ゆう氏が兼ね役で演じており非常にかわいらしいと本作のファンからは好評。 --続編『[[大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL]]』にも引き続きアシストフィギュアとして登場する他、スピリットとしてサブレ王子と共にリチャード王子も登場する。 -『[[バンブラDX>大合奏!バンドブラザーズDX]]』のある楽器のサンプル音源では「王子の冒険」のフレーズが使われている。 --また、『[[メイドイン俺]]』でもある条件を満たすとの同曲のアレンジ版レコードが手に入る。 -『[[トモダチコレクション 新生活>トモダチコレクション]]』にて一定期間「バイリンガエル」という本作に登場するアイテムが配信された。 #endregion -「Vジャンプ」の長寿作品であるゲーム紹介漫画「犬マユゲでいこう」の作者石塚2祐子氏は本作の大ファンで、発売から十年以上経過しているにもかかわらず本作を作品内でメインに取り上げたことがある。 -2012年に3DSでVC配信された。地味に発売20周年記念である。手軽に遊べて411円なので未プレイの方はこの機会にぜひ。 --なお、本作はEDで放置すると「''See you again''」と出るが、残念ながら未だ続編の動きはない。
*カエルの為に鐘は鳴る 【かえるのためにかねはなる】 |ジャンル|アクションRPG|&amazon(B000069RY4,image=https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61Uw3YErRFL._SL160_.jpg)| |対応機種|ゲームボーイ|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|任天堂&brインテリジェントシステムズ|~| |発売日|1992年9月14日|~| |定価|3,800円(税別)|~| |配信|バーチャルコンソール&br【3DS】2012年9月5日/411円(税込)|~| |レーティング|CERO:A (全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|コメディチックなストーリー&brプレーヤーから根強い人気の一作|~| ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー サブレ王国の王子とカスタード王国のリチャード王子は生まれた時からの良き友人でライバル同士。しかし、何故か剣術だけはリチャード王子に勝てないサブレ王子((厳密には主人公であるサブレ王国の王子にはデフォルト名が存在せず、プレーヤーが入力するので「○○○○・デ・サブレ」という名前になる))。~ いつものように二人が剣の練習試合をしていた中、ミルフィーユ王国が魔王デラーリンによって侵略を受け、美しいと評判のティラミス姫が捕らえられたと言う知らせを受ける。~ 二人は先を競うようにミルフィーユ王国へと向かうが、その陰に怪しい魔女が付き纏う。 リチャード王子に先をこされず あくのぐんだんゲロニアンから~ ティラミス姫を ぶじたすけ出すコトができるのか!? さぁ、ものがたりの はじまり はじまり! **特徴・評価点 -見下ろし型視点のRPGないしアクションアドベンチャーと、真横視点の横スクロールアクションゲームを足した[[ゼルダ>ゼルダの伝説シリーズ]]ライクなシステム。~ 公式やCMでは『&bold{変身ギャグベンチャー}』と銘打たれている。 --フィールドマップや町中では見下ろし型視点で移動、ダンジョンでは真横視点で「ジャンプ」を駆使した謎解き・探索重視の2Dアクションと[[リンクの冒険]]に近い。ただし本作では戦闘にアクション要素はない。 -戦闘はシンボルエンカウントだが、運要素のない完全なオートバトル。主人公の能力が一定以上あれば確実に勝利することができる。戦闘中にBボタンを入力すると、「逃げる」か「アイテム使用」を選択できるが、できることはこれだけである。 --経験値によるレベルアップ方式ではなく、アイテム取得によるパワーアップによってストーリーを進めていく。このパワーアップは実質的に、ボス攻略のためのフラグ立てでもある。 --ボス敵に対しては、現時点で取ることの出来るステータス上昇アイテムとその時点での最強の武器と防具を取得した上、ライフ満タンで挑んでギリギリ(残りライフがハート1個、という具合)勝てる、というバランスで設定されている。 ---ボス戦では逃げられず、アイテムも「使う隙が無い」と出て使えない場合が多いのでオートバトルに任せるしかなく、戦闘前の準備で全てが決まる。 ---すなわち、ボス敵に勝てないときは何らかのアイテムを取り逃している場合がほとんどである。逆に言えば、準備さえ整っていればボスに必ず勝てるということでもある。 ---ただし終盤のボス戦はライフに余裕をもって倒せたり例外的な攻略法のものが多く、ステータス上昇アイテムを全て取らずとも勝利可能。そのため終盤のステータス上昇アイテムは攻略上の必須アイテムではなく、一種のやり込み・収集要素となっている。 --見下ろし型視点・一画面単位でのスクロール方式、ハートによるライフ表示(ハート1個が4段階に分かれる)、回復アイテムを入れる瓶、重い物を動かせるようになるアイテム、最強の盾の特徴なども[[ゼルダの伝説シリーズ]]と共通している。 ---(強力な)仲間と一時的に同行できるのも、後の『[[ゼルダの伝説 夢をみる島]]』のワンワンなどに通ずるものがある。 -アイテムの日記帳を使うことで、どこでもセーブが可能。またライフがゼロになってもゲームオーバーにはならず、最後に訪れた町の病院に送られるだけでペナルティは無い。((ライフ全回復にお金がかかる程度。)) -ゲームボーイでは珍しく、テキストが漢字カナ混じりである。 --使用されている漢字は102種類と少ないものの、十分に漢字が使われている印象を受ける。 --むしろ複雑すぎる漢字を使わないおかげで非常に読みやすい。 --「怒声」「驚愕」など、場面に応じて文字サイズが四倍角になる。特徴的なSEも同時に流れるのでインパクト抜群。 -登場人物はみな非常に個性的。 --熱血漢な主人公とクールなライバル…までは王道だが、最初は事あるごとに金の力で問題を解決しようとする主人公。そしてそんな主人公を利用するかのごとく、要所要所のイベントで超高額の金を要求される。 ---ただし主人公が大金を使うのは「他に手段がない時」「とにかく急がなければならない時」「貧乏な子供が、なけなしの物資を自分のために使ってくれたお礼」などであり、嫌味な点は全くない。もちろん金でなく自分の力で解決しようとする意思もある。~ 「金の力に物を言わせる」のではなく、「正義のためにはどんな損失も恐れない」という好感の持てる主人公である。 --他にも主人公の旅路を度々かき乱してくる魔女マンドラ、片言でしゃべるアルフレド・じんべぇ、発明家アレヲ=シタイン博士など印象に残りやすいキャラが多い。 -「人間」「カエル」「ヘビ」の3つの形態を使い分けながら攻略していく。 --シナリオ進行に伴い、水に浸かればカエルに、温泉卵を使用して飲み込めばヘビに変身できるようになる。''食べると気持ちよくなって気絶する果実''を使用することで人間に戻る。これらの形態の切り替えは、主に横スクロールアクションの場面で重要となる。 --人間状態は重いブロックを押して動かすことができる。戦闘能力が最も高く、人間キャラとの会話などが行える。総じて基本形態と言ったところ。 --カエルになればジャンプ力が格段に向上し、水の中も自在に移動することが出来る。 ---反面戦闘能力は著しく低下し、特にヘビ相手だと無力だが、逆に虫系の敵に対しては食べる事で一方的に倒せる。 ---ある一定の時期まではゲロニアン兵に話しかけることでエサをもらい、ライフを回復することもできる。 --ヘビになるとジャンプ力は皆無になる(1ブロック分の高さならはい上がることが出来る)が、細い通路を這い進める。 ---自分より弱い敵ははじき飛ばすか、噛み付いて「ブロック」にするかを選択出来る。このブロックは足場として利用できたり、人間の状態で押して動かすことができる。 ---ヘビ相手なら会話もできる。ゲロニアン兵に話しかけると苛められ、カエルに話しかけると(例外はあるが)逃げられる。 --これらの人間・カエル・ヘビ形態をうまく使い分ける謎解きアクションが本作のキモ。この難易度が複雑すぎず、かと言って簡単すぎずで絶妙な難易度調整となっている。 ---ダンジョンでは人間・ヘビ形態になる必要がある場所ではたいていの場合変身アイテムが宝箱に入っている親切設計。一方でジャンプでミスると敵に囲まれる場所で無力なカエルになるトラップがあったり等、配置については完璧と言わざるを得ない。 -フィールドBGMである「王子の冒険」はゲームボーイのいわゆるピコピコサウンドを生かした軽快な一曲となっており、今なお絶大な人気を誇る。 --BGM担当は[[とたけけ>どうぶつの森]]こと戸高一生。氏おなじみの「けけソング」もある場所で聞ける。 --その他のBGMも作風に合わせてどこかコミカルな楽曲揃い。一方ダンジョンでは緊迫感が漂うおどろおどろしい楽曲になっている。 ***パロディやジョーク -パッケージや前置きからは王道っぽい設定・展開を想像させるのだが、&b(){その実はとにかくパロディやジョークがあちらこちらに散りばめられている。}斜め上にプレイヤーの予想を裏切っていくストーリーは、かなり「してやられた」気分になる。 --一方ですべての伏線を回収した最後の最後でド直球の王道展開となるのが実にお見事。ラストバトルは若干ショボいが(後述)、流れる音楽と相まってかなり熱い。 --シナリオ担当は[[ファミコン探偵倶楽部シリーズ]]を手掛けた坂本賀勇氏である。 -ゲームタイトルからしてパロディである(ヘミングウェイの小説『誰がために鐘は鳴る』をもじったもの)。 -地名やアイテム・キャラクター名の幾つかに、何かしら元ネタが存在する。 --「ミルフィーユ王国」をはじめとしてお菓子関連の単語が元になっているものが多い。お菓子以外にも、金塊を手に入れるために向かう山が「フーリン火山」であったり、温泉のある村の名前が「ゲロベップ温泉」。アイテムを開発している「ナンテンドウ」、体力を大幅に回復させる「ワイン一番絞り」等。 --埋蔵金堀りに夢中の「こぴーらいたー」がいる(当時[[糸井重里氏>MOTHER]]がTV番組の企画で埋蔵金探しをしていた)。 --「東京コミックショーZ」という名前のロボットや「カザンオールスターズ」という名前の集団など、今の時代ではまずできないようなはっちゃけたパロディも。 -主人公含め登場するキャラの言動も思わずクスリとくるテキストが多い。 -村や町には壁新聞があり、ストーリーの進展によって内容が変わっていく。 --ノリはスポーツ新聞の見出し風。ほんの短期間だけしか表示されない新聞も存在する。 ---しかも、全てナンバリングされている。そのため、全部読むつもりでいて、ナンバリングが一つ抜けていたりするといい感じに脱力感が味わえる。 -どう見ても「軍手」にしか見えないパワーグローブや、いかにも怪しすぎる薬等、アイテムにもツッコミどころが豊富。 -エンディングの最後で行われる主人公と姫の従者の会話も非常に有名。この展開の意味を考察する人もいる(詳細は割愛)。 #region(終盤~エンディングに関するネタバレ) -''ティラミス姫と魔女マンドラが同一人物である''ことが物語の最後で判明する。 --ティラミス姫と結ばれリチャード達を見送った主人公は、最後の最後でどちらが本来の姿かを姫の従者に問うのだが、従者は少しの沈黙の後以下の通り答えるのである。 -- >そのようなコトは どちらでも~ &sizex(+3){同 じ}~ では ありませんか! -もちろん「同じ」という部分だけ四倍角文字である。そして問答無用で落下してくる「THE END」で締め。 #CO{{{ --これは外見は違っていても人物そのものは一緒であるという解釈や、美しいティラミス姫もいつかはマンドラのようになるのだという皮肉めいた解釈もできる。 --ティラミス姫とマンドラは劇中で見る限りでは性格が全く似ておらず、またその性格もどこまでが演技でどこまでが本心なのかは伺い知れない。そのためどうとでも解釈することができ、どちらが本当の姿なのか、姫(マンドラ)の本心はどこにあるのかという解釈によって印象が大きく変わってくる。 ---エンディングのマンドラは主人公に対してティラミス姫の口調で喋るのだが、ゲーム前半のイベントでは主人公がその場を立ち去った直後に、マンドラ一人だけの状況で「うまくいったようじゃな」「またしても うまくいった ようじゃのう」などと言っているので、マンドラの方が本当の姿である可能性は否めない。 ---もしも姫の正体がマンドラだったとすれば、主人公は(自分の正体を美しい姫と偽っている)老婆と結婚するに等しい。しかし絶世の美女と噂される姫と結ばれるのは主人公の望みが叶った形でもあり、物語としてはハッピーエンドなので、姫の正体がどちらであったにせよ「同じこと」とも言える。 --なお、最初にゲロベップ温泉を訪れる際、温泉入り口にてカエルの姿でヘビと戦う負けイベントが発生し、主人公はマンドラに救出される事になるが、この時意識が朦朧とした主人公は自身を介抱したマンドラをはじめ美しい少女と見間違える事になる。この時のマンドラの姿は髪の色を除いてはティラミス姫と瓜二つの姿をしている為、ティラミス姫=マンドラの伏線が張られていたとも解釈できる。オープニングでは「ミルフィーユ王国は(リチャード王子の)カスタード王国と友好国である」とだけ語られており、サブレ王国との関係や主人公とティラミス姫との間の面識の有無については特に語られていないが、主人公はマンドラをティラミス姫ではなく、面識の無い女性として捉えている為、「外見は粗野な老婆であっても内面はティラミス姫と同じ事」または「ティラミス姫が老婆に化けている様子」を主人公が無意識に看破したとも解釈する事が可能である。 //ここは個人サイトでやるような考察を長々と書く場所ではありません }}} #endregion **賛否両論点 -横スクロールアクションにおける、溶岩やトゲといった即死要素。 --全体的に難易度が控えめで遊びやすいゲームではあるが、溶岩やトゲのある場面だけは比較的シビアな操作が要求される。 --本作ではどこでもセーブ可能なので、難所の手前でセーブしておくことで対策可能。またライフがゼロになっても最後に訪れた町の病院に送られるだけで済む。 **問題点 -アイテムを取り損なうと先に進めなくなる。 --もっともそのアイテムも店で買えるので、敵を倒して金を貯めてまとめ買いしておけばいい。 --第一、このゲームは必要なアイテムを揃えなければ決してボスには勝てず先へも進めない仕様であり、進めない、ということは何か取っていないアイテムがある、ということなので、アイテムを取り損なったからといって、それが原因でハマってしまうことは決して無い。単に取り忘れたアイテムを回収に戻ればいいだけである。 --ただ、ストーリーの進行状況によっては、その時点で拠点としている町の店が利用できなくなる(基本的にイベントで壊れた店は二度と利用できない)ので、買える時になったらまとめて購入しておくのがベター。 -ラスボス戦の方法が地味。もっとも、本ゲームのバトルシステムでは仕方がないのかもしれないが。 #region(ネタバレあり) --ラスボスが張った壁(当たるとダメージ)の間を縫ってAボタンで攻撃を繰り返す。タイミングさえ合えば負けることはない。~ むしろラスボスに辿り着くまでの道中の方がきつい。 #endregion **総評 一見よくあるB級ゲームに見えるが、ゲームボーイ初期の作品とは考えられないほど完成度が高い。~ 王道的なアクションパートと喜劇的なストーリーが面白い「永遠の佳作」と呼べる出来である。~ 自由度が低いことが珠に瑕だが、忘れたころに何度もやってみたくなるのが本作の魅力と言える。 **余談 -EDで放置すると「''See you again''」と出るが、残念ながら未だ続編の動きはない。 -海外では未発売だったこともあって決してメジャーとは言えない本作だが、任天堂およびIS社員に思い入れのあるスタッフが多いのか、たびたび他ゲーにゲスト出演している #region(ゲスト出演一覧) -このゲームの翌年に発売された『[[ゼルダの伝説 夢をみる島]]』に、ライバルのリチャード王子がちゃっかり登場している。リチャードのいる場所では本作の「王子の冒険」のアレンジ版が流れる。 --一年半後に発売された『[[ファイアーエムブレム 紋章の謎]]』では、第二部一章に登場するマリーシアのおばあさんが魔女マンドラに外見が瓜二つである。 -このゲームの約9年後に発売されたゲームボーイアドバンス用ソフト『[[ワリオランドアドバンス>ワリオランドアドバンス ヨーキのお宝]]』には、「軍手」などのアイテムを開発したナンテンドウのアレヲ=シタイン博士が登場している。 --ちなみにナンテンドウの博士ではなく、考古学者でマサカーチョット工科大学名誉教授という設定になっている。 -更に2000年にゲームボーイで発売された『[[トレード&バトル カードヒーロー]]』、2007年にニンテンドーDSで発売された『[[高速カードバトル カードヒーロー>トレード&バトル カードヒーロー]]』では、カードの発売元がナンテンドウという設定になっている。 --ちなみに、これらのディレクター(ゲームボーイ版)及びプロデューサー(DS版)は今作のシナリオを担当した任天堂・坂本賀勇氏である。 ---ちなみに「高速」で漢字表記が明かされているが、「南天堂」というカッコイイ表記ではなく「何天堂」といういささか間の抜けたものである。 -2008年発売の『[[スマブラX>大乱闘スマッシュブラザーズX]]』に本作主人公サブレ王国の王子のシールが登場する。 --『[[大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』ではついにアシストキャラとして22年ぶりに表舞台に登場。カエルやヘビに変身・ファイターを土煙をあげてポコポコ殴る…と本作のシステムを再現している。 --同作にて初めて声がついた。同作のルキナ役・小林ゆう女史が兼役で演じており、本作のファンからは「非常にかわいらしい」と好評。 --続編『[[大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL]]』にも引き続きアシストフィギュアとして登場する他、スピリットとしてサブレ王子と共にリチャード王子も登場する。 -『[[バンブラDX>大合奏!バンドブラザーズDX]]』のある楽器のサンプル音源では「王子の冒険」のフレーズが使われている。 --また、『[[メイドイン俺]]』でもある条件を満たすとの同曲のアレンジ版レコードが手に入る。 -『[[トモダチコレクション 新生活>トモダチコレクション]]』にて一定期間「バイリンガエル」という本作に登場するアイテムが配信された。 #endregion -「Vジャンプ」の長寿作品であるゲーム紹介漫画「犬マユゲでいこう」の作者石塚2祐子氏は本作の大ファンで、発売から十年以上経過しているにもかかわらず本作を作品内でメインに取り上げたことがある。 -発売20周年記念である2012年に3DSでVC配信された。手軽に遊べて411円なので未プレイの方はこの機会にぜひ。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: