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信長の野望 武将風雲録 - (2020/01/20 (月) 14:00:15) の1つ前との変更点
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*信長の野望 武将風雲録
【のぶながのやぼう ぶしょうふううんろく】
|ジャンル|SLG|#amazon(B000EXF8YQ)|
|対応機種|PC-8801SR以降、PC-9801VM/UV以降、MSX2、&br();X68000、FM TOWNS、DOS/V、Windows、&br();ファミリーコンピュータ、スーパーファミコン、&br();PCエンジン スーパーCD-ROM2、メガドライブ、&br();プレイステーション|~|
|発売・開発元|光栄|~|
|発売日|1990年12月12日|~|
|定価|【通常版】9,800円&br()【withサウンドウェア】12,200円&br()【コーエー定番シリーズ】1,980円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[信長の野望シリーズリンク>信長の野望シリーズ]]''|
#contents(fromhere)
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**概要
-信長の野望シリーズの第4作。
-武将や篭城戦という概念を取り入れ『全・国・版』までのゲーム性を大きく変えた前作『戦国群雄伝』。しかし、東北・九州が除外されるなど不満があった。本作はその不満が解消され規模は再度、全国へ拡大、さらにシステムを発展させた作品となっている。
-前作までのシナリオの開始年代は最も早いもので1560年だったが、本作は1555年と5年遡っている。これに伴い、陶晴賢、斎藤道三、太原雪斎、朝倉宗滴など、シリーズ初登場となった武将も多数。
-難易度は「入門編」「実力編」をまず選び、「入門編」はさらに初級、中級、上級を選ぶ。すなわち、4段階の難易度がある。「入門編」と「実力編」はCPUの思考が違い、「入門編」の方が好戦的だが、守りを考えずに武将の配置にも気を配らないため対処しやすい。「実力編」はさほど戦争を起こさない代わりに、最前線に戦力を集めてくるようになっている。
--後述する歴史イベントの多くは、「実力編」でしか発生しない。また、マルチプレイが可能なのは「入門編」のみで、「実力編」は1人プレイ専用という制限があった。
**評価点
-前作の不満が解消され更に遊び易くなった。
--行動力が大名(城主)の政治力で決まるようになった。
---その為に前作では使いにくかった政治力の低い武将、特に忍者武将が非常に使いやすくなった。
--兵士が国ごとの一括管理となり、訓練と忠誠の上昇が楽に行えるようになった。
--家宝(本作では茶器)や海戦、鉄甲船といった後のシリーズに受け継がれる要素も初登場した。
-配下武将が登場するシリーズで初めて全国をカバー。伊達政宗や最上義光といった東北武将、立花道雪や鍋島直茂、島津義弘といった九州武将も初登場し、本作以降の常連武将が一通り揃った。
--松本&ruby(ずしょのすけ){図書助}((蘆名四天宿老の一人。近作では「氏輔」名義での登場が多い))など、マイナーな武将が初登場。ごくごく一部で有名。
--前作よりシナリオ開始年代が5年早まり、1555年になった。「概要」にもあるように、本作が初登場で、以降のシリーズでも常連になった武将は多い。
---朝倉宗滴は、朝倉家随一の名将で、1等茶器「九十九髪茄子」を持っているという衝撃のデビューだった。しかし、シナリオ開始年が没年なので、かなりの確率で開始翌月に死んでしまうあっけなさも衝撃だった。
-戦後処理の武将登用で、捕縛した武将が登用を拒否するようになった。義理堅い武将は登用を拒否しやすく、「忠臣がホイホイ新しい大名に仕える」不自然さが解消された。
--武将によっては命乞いしたり、義理が低いと自ら登用を売り込むなど、台詞のバリエーションも増えている。
-シナリオは1555年「戦国の動乱」と1571年「信長包囲網」の2本。と見せかけて、本能寺の変イベントを起こすと第3のシナリオである1582年「本能寺の変」が出現。しかも前作『戦国群雄伝』とは違い、信長死後、明智光秀、羽柴秀吉、柴田勝家などに織田家中が分裂した状況である。本作で、早くも信長死後のシナリオが追加されたことになる。
--1582年シナリオは公式には存在を伏せられており、公式ガイドブックや武将ファイルなどでも一切触れられていなかった((『信長の野望 覇王伝事典』で存在が仄めかされるなど、全く言及がなかった訳ではない。))。さらに、8ビット機のPC、多くのコンシューマーでは割愛されており、存在すら知らない者も多かった((隠しシナリオが存在しないのは、PC-8801、MSX2、ファミコン、スーパーファミコン、メガドライブ、PCエンジンの各機種版。))。コンシューマーではプレイステーション版で初めて1582年シナリオが実装され、以降は公式にも公表されるようになった。
-国単位の戦略シミュレーションの決定版とも言える内容で、この作品を最後に次回作からは城単位の構成に変化する。
-大河ドラマのような曲にのせて大名を秀逸な文で紹介するシリーズ屈指の傑作OP。クオリティが高い。特にSFC版などの2行文版が人気。
-専用BGMは前作では織田だけだったが、上杉・武田・今川(足利と共用)・毛利といった有名大名家の専用BGMも流れるようになった。
--BGMの質も高く、当時のゲーム音楽としては珍しくNHKの歴史ドキュメンタリー番組で頻繁にBGMとして使用されたほど。
-前作では織田家・武田家といった有名な大名が滅びやすかったこともあり、コンピュータ同士の合戦を自動判定にした場合、有名な大名が有利になるように判定された。
--有利なのは伊達、真田、北条、越後上杉、本願寺、武田、今川、徳川(松平)、織田、足利、三好、毛利、長宗我部、大友、島津。
-これまでの本能寺の変イベントに加え、桶狭間の戦い、斎藤義龍・陶晴賢((ただし史実では、シナリオ1開始年代より前の1551年に謀叛を起こして、主君の大内義隆を自害に追い込み、大内義長を擁立したのだが、本作では自分が擁立したはずの義長を殺して大名になってしまう。))らの謀叛など、新規の歴史イベントが追加。
//「謀叛」の語は取扱説明書の表記に従った。
--現在と違い簡潔にまとまっており、やや砕けた内容のものもある。''「桶狭間だぎゃー」「史実と違いまする」''
--なお松永久秀は、1555年シナリオ開始直後に高確率で謀叛を起こすので、歴史イベントと思われがちだが、歴史イベントではない。単に&bold(){久秀が謀叛を起こしやすいだけ}である((1571年シナリオでは、1555年より謀叛を起こすことは少なく、ターン経過で筒井順慶などに城主が差し替わっている事が多い。))。しかし、久秀の謀叛はその起こりやすさから、陶晴賢の謀叛や朝倉宗滴・風魔小太郎の死亡などと共に、シナリオ1序盤の風物詩と認識されていた。余談だが、久秀には代わりに、籠城戦守備側で兵糧が尽きると&bold(){爆死}する歴史イベントがある((久秀が大名で、1等茶器「古天明平蜘蛛」を持っており、退路となる国が無いのが条件。))。
**問題点
-本陣、本丸の地形効果が高すぎる。メチャクチャ硬い上に突撃も通用しない、力攻めは兵力を消耗しかなり面倒。
--一応、少数で攻め込み野戦に持ち込むという方法がある。むしろこちらが圧倒的戦力で攻めるとほぼ篭城されるために数に頼る戦い方は分が悪い。最も、敵が大勢力だと何度も攻め込んで武将や兵力を減らす必要があるのでやはり効率的とは言えない、籠城戦で守備側が有利なのはリアルともとれるが。
-史実でも強かった鉄砲や鉄甲船が、異常なほど強力。
--鉄砲は移動力こそ低いが、遠距離攻撃可能・超高火力(武力の影響が少ない)の上弾切れなし・反撃されず敵将の攻撃時に迎撃可能・20丁単位で射撃回数増加・周りの鉄砲隊と連携して一斉射撃・希に武将を撃ち殺して一撃で壊滅可能((一射撃ごとにランダムで発生。その為に「今川氏真が率いる兵力が0(1未満)の鉄砲隊が100の兵力を保持する上杉謙信を射殺して壊滅させる」と言う展開も起こりうる))と匙を投げたくなる強さ。
--本陣、本丸に鉄砲兵100で篭られると、地形・武将の能力によっては、数倍の兵力をもってしても落とせない。
---難易度によっては、CPU国が終盤鉄砲をフル装備状態にしていることも多く、辟易する。
--鉄砲の主な入手方法は自国で製造するか今井宗久との取引がある((どちらもできない場合でもランダムイベントによる闇商人から購入は可能))。
---製造は時間がかかる上に(3ケ月で最大15丁しか作れない)、技術力もかなり必要である((初期状態で製造できるのは薩摩のみで紀伊はあと少しで製造可能、但し薩摩の初期状態では一丁約金250。他の領地では相当技術革新を行わなければ製造は厳しい。政治99、技術999で一丁金1になる))
---今井宗久からの購入に関しては、友好度が低い大名には販売しない上に教養値が低いととんでもない高値をふっかけて来るので、大半のプレイヤー大名にとっては高嶺の花とも言える存在である。((友好度100・教養100で一丁金20になり購入数に上限はない。友好度・教養を上げるのは茶会を繰り返せば比較的楽に上がるため、技術力を上げるよりはこちらの方が簡単だろう))
--鉄甲船は、海に面した国と近江で建造可能。序盤から意識して技術を上げない限り、味方が作れるようになる頃には既に自勢力が強大化している時が殆どである。作っても弱いものいじめ状態にしかならないという欠点も。一方、CPUはある程度技術を上げると鉄砲と共に積極的に建造を始めるが、本陣に置けない分鉄砲よりは対策が楽である。
---ただし一隻あたりの価格金500前後(政治力で前後する)と非常に安く、武将が討ち取られなければ何度でも使えるので野戦に持込み戦力を削り取る際にはかなり便利な兵器となる。
-武力96以上になると内部補正がかかり、合戦時の攻撃力・防御力があからさまに高くなる。そのため、上杉謙信・武田信玄・真田幸村((元服年が遅いのがせめてもの救い。))が異様に強すぎ。
--謙信に至っては表示上は武力100だが、実際は120くらいある模様((ちなみにこのような「実際の数値と内部数値が違う」仕様は、コーエーの他作品でも隠し要素として盛り込まれていることがかなり多い。有名なのは『三国志III』の呂布の武力で、表示上の数値では100だが、実際の内部数値では120扱いになっている。))で、武力100の他武将と戦っても滅多なことではひけをとらない。
--それゆえ信玄・謙信は1人でもごり押しで天下統一が余裕。
---また、CPUの謙信が鉄砲100で本陣に立てこもると異常に硬い上に攻撃力が凄まじく、1月で落城させることはほぼ絶望的な状態に。
-相場を見ながらの米売買での利益が高く、相対的に内政にあまり意味がない。((但し一回の米の取引量は石高と同じなので石高が低いと効率は悪くなる))
--元々米の取引は街の開発(金収入上昇)より利益が高く主な現金調達手段の1つであったが商人の有無次第でできないことも多くほかの内政コマンドと釣り合いが取れていた。今作ではすべての取引を今井宗久が取り仕切っておりいつでも取引が可能(どのような取引でも瞬時に本人が全国出張してくるというかなり無理のある展開ではあるが)。
--その為、効率だけを考えると…技術革新で鉄砲(余裕があれば鉄甲船もあったほうが良い、技術が高いほうが鉄砲の製造費も安く済むので)を製造できるようにしその後は「レートを見ながら米売買→軍備を整えて出陣」という流れになる。戦争に集中しやすいとも言える。
---戦争の際には敵よりも少数の戦力で攻め込んで野戦に持込み本陣をわざとがら空きにして寄ってきた武将にひたすら鉄砲乱射する(近辺で鉄甲船が使用可能なら海や池へ行くほうが良い)だけで比較的容易に戦力を削り取れて合戦に勝利可能。攻め込まれた時も上記のとおり鉄砲100丁持って籠城すればほぼ守りきれる。
---これらの仕様により、単騎無双が可能な''上杉家((武田家も信玄が単騎で各国を滅ぼせるほどに強いが、同盟相手が強国なので対処しづらく同盟相手が弱く脅迫が効く上杉ほど楽には進行しづらい))''や開始時から唯一鉄砲が製造可能((一部リメイク作品では不可能だが技術革新をすればすぐに製造可能))で武将が優秀、しかも領土が端っこでひたすら北上するだけで良い''島津家''が今作では圧倒的に強い。
-CPUのチートが酷い。
--こちらが米相場と睨めっこしている間に、相手はさっさと城と技術をカンストさせ、あっという間に大量の兵糧と鉄砲を完備する。しかも難易度が上がるほどチートは酷くなる。
--さあ出撃だと考えても、相手は全員が鉄砲武装で圧倒的な兵力。どうしろと。
---一応、上記の記述通り今作はそこまで多数の兵士は必要ではないのが救いか。
--難易度が高い「実力編」では、CPUはほとんど攻め込まなくなる。つまり、CPU同士が隣国で戦争するように仕向けて漁夫の利を得るなどという戦略シミュではよくある作戦も使えない。野望の高い大名は比較的攻め込みやすく、織田信長などは一度攻め込むと続けて戦争を仕掛けることがあるが、それまで待つより自分で攻め込んだ方が早い。
--ただし、一度攻め込んだ場合、攻撃側が敗退しても再度攻め込むことが多い。運良く目にしたら、戦いを「見る」にすると自動判定より双方の損害を大きくできるため、漁夫の利の好機となる。また、有利大名が自動判定で有利になることを利用して、戦いの「見る」「見ない」を使い分けることによって、CPU同士の勝敗をある程度操作できる。
-徴兵・兵施しに見るCPUの欠陥
--本作の兵士には「兵忠誠度」が設定されており、忠誠度が低いと弱体化するほか、合戦中に脱走することがある。兵忠誠度は、兵士に金を施すことで上げられるが、同じ金額でも、元の兵忠誠度が低いほど、効率が悪くなる仕様がある。
--CPUは兵忠誠度が一定以下になると、兵忠誠度が上がらなくなり、兵忠誠度の低い弱兵を大量に貯め込んでしまう。これは、CPUが兵士に施す金が一定額であるため、兵忠誠度が施しの効果が出る閾値を切ってしまうと、効果のないムダ金を使うばかりになるからと推測されている。
--また、&bold(){CPUは兵忠誠度が一定以下の状態では、自発的に合戦を仕掛けなくなる。}この仕様が、CPUの動かなさに拍車をかけている。
--現在の兵忠誠度に応じて、金額を変えるルーチンは光栄には手間だったのだろうか?
---DS版以降では、兵忠誠度を廃止し、合戦中のみ反映される「兵士気」に置き換えることで、CPUの欠陥を回避した。
-『全国版』では8ヶ国だった東北は、3ヶ国しかなく蝦夷国も登場しない。
--そのため、南部晴政や津軽為信などの北東北出身武将は登場しない。
---『信長の野望DS2』では、国分割で追加されている。
-PS版・Win版など近年の移植では武将紹介OPが省かれていたり、隠れた名曲と評された「機能(セーブ・ロードなど)」の曲がないものもある。
**賛否両論点
-夜間奇襲が強すぎる。
--籠城戦の仕様もあって大軍を率いる意味が薄くなっているが、本陣立てこもりの対抗策にもなっている。
-シナリオ1の九州では、龍造寺と伊東無双になることが多く、史実((どちらの大名も、それぞれ沖田畷の戦いと木崎原の戦いで島津家に大敗し壊滅的打撃を受けた。特に沖田畷の戦いで当主の隆信と多数の重臣が討死した龍造寺家は最終的に断絶し、辛うじて生き残った重臣の鍋島家が龍造寺家を継承する事になった。))と逆の立場になることがしばしば。
--ただし両家はCPU補正のかかる有利大名ではないので、島津や大友になかなか勝てず、時には数十年にわたって両家に撃退され続けることもある。
--一方シナリオ2では、島津が順当に勢力を拡大しやすい。
-後の作品では公式チート同然の扱いを受けている島津義弘や立花道雪が低めの能力設定にされている。
--伊達政宗や松平元康(徳川家康)に完全に負け、武田勝頼とほぼ互角という設定は現在の視点からすれば首を傾げざるを得ない。
---どちらも大名家の領地面で有利なために能力面での補正がかかっているフシもあり、リメイク版では再調整がかかり相応しい能力に変更された。
-茶器を家臣でたらい回しにして忠誠度を手っ取り早く上げる「茶器回し」という裏技がよくネタにされている。
--『信長の野望DS2』の浅井久政・長政父子によるチュ-トリアルでは、わざわざ使用できないと言うなど、公式でもネタとなっている。
-本願寺の戦闘BGMがなぜか本能寺の変のBGMと同一。
-隠しパラメータ「義理」の低い武将は、城主にした場合、忠誠100・兵士0・米0といった状況でも謀叛を起こす。
-前作『戦国群雄伝』に引き続き、大名は基本的に配下にできない。前作との違いは、最後の一国を攻め落とすと、前作では戦後処理で強制的に処刑していたのが、本作では大名が自発的に&bold(){自害}するようになったことである。
--PC-9801版の場合、自害の台詞は「無念…」「介錯を願おう」の2種類だけ。しかし機種によっては、有力武将に専用の自害の台詞が用意されており、織田信長、武田信玄などの固有台詞持ち大名を自害に追い込むことで一種の達成感も得られた。
---ちなみに、捕らえて戦後処理で処刑しても、自害の台詞を見ることができる。
---汎用台詞も、機種によってラインナップが異なる。
--外交で「脅迫」することで、大名を配下にできる。しかし、能力が一定以上の大名は絶対に脅迫に屈しないので、前述の織田信長や武田信玄などは自害させるしかない(浪人にする裏技は一応ある)。
---全ての大名を配下にできるようになるには、『天翔記』を待たなくてはならなかった。
--大名以外の家臣も、最後の国を攻め落とすとその時点で自害してしまうことがあった。自害する家臣は、攻め落とした時点で戦場に部隊が残っている家臣のみなので、事前に捕らえておけば死なせる心配はない。
**余談
-本作に登場する上杉憲賢(機種によっては「深谷上杉憲賢」表記)は、シリーズ初登場で、1555年シナリオの武蔵の大名として登場。そして2019年現在も『武将風雲録』がシリーズ唯一の登場である。
--深谷上杉氏は山内上杉氏の分家で、扇谷上杉氏((本作には登場しない。『覇王伝』パワーアップキットが初登場))と共に関東に割拠していた。憲賢は本家の上杉憲政(山内上杉憲政)に従っていたが、1552年、北条氏康に敗れ降伏。以降、北条と、憲政の跡を継いだ上杉政虎(上杉謙信)の間を行ったり来たりしている。憲賢の孫の氏憲の代に、小田原征伐で北条についたために所領を失い、上杉景勝を頼り信濃に逃れた。
--次回作以降で消えたままという点でも明らかだが、1国の大名として登場できるほどの経歴では無い。にもかかわらず大名として登場したのは、北条氏康を強くさせすぎないためのバランス調整かも知れない。
--上杉憲賢はCPU担当だと北条や武田に序盤で滅ぼされることが多い。しかし武蔵は石高が全国1位の設定で、配下の太田資正はそこそこの能力なので、天下統一はそれほど難しくない。試しにプレイヤー大名に選んでもいいかも知れない。
**総評
文化の概念により単なる合戦にとどまらず、戦国時代をさらにリアルに表現する事に成功している。システム自体も正統に進化を遂げており、国盗り時代の「信長の野望」は無事に一つの完成形にたどり着くことができた。&br();
鉄砲や地形効果などに見られるゲームバランスの問題こそあるものの、史実再現とのバランスの兼ね合いというのは難しいことだったのであろう。史実とゲーム性のどちらを採るかは人次第で、そういった点が語り草となっているのもまた事実ではある。&br();
今でもシリーズ最高傑作として名の挙がることも多い一作であり、後作の城取りやリアルタイムによる複雑さもなく、初めてシリーズに触れる人にもおすすめできる一作だろう。
人気作ゆえリメイクや移植にも恵まれている。2013年に3DSでもリメイク版が発売されたので、シミュレーションに興味を持った方は是非手に取っていただきたい。
//当時、漫画誌『週刊少年ジャンプ』で連載中だった「花の慶次」や、同誌の読者コーナー「ジャンプ放送局」で前田慶次を捜索していたというネタが投稿されていたという影響もあったのだろう。
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**他機種(コンシューマ)版
-FC・SFC版
--同日に発売された。SFC版に限り、よくありがちな「スーパー信長の野望・武将風雲録」のタイトルで発売。
--FC版はシリーズで初めてフォントに漢字が採用された。この頃の光栄家庭用作品からはこのフォントが用いられるようになる。また武将・前田慶次が新たに登場した。
--SFC版は発色数の多さを活かし、季節ごとに背景が変わるなどの細かな独自要素がある。謀叛で大名となった武将が「我、これより天下を目指さん」と宣言するのもSFC版オリジナル。音楽も内蔵音源によるアレンジとなっており、原曲の良さも相まってユーザーからの評価は高い。
--ハード自体の知名度も手伝ってか、ネット上でのプレイ動画等はSFC版が多い。
--FC・SFC版に限り、CPUは捕らえた武将は基本的に処断せず家臣にする。(それ以外の機種だとある程度能力が高くないと処断する)
-MD版
--ハードの処理性能の高さから、同時期の移植の中では比較にならない程の思考時間の速さを誇る(毎ターン5秒とかからない)。
---CPUの思考の際に現在行動中の大名家がテキストで表示されるが、このMD版だけは目で追えない圧倒的な速さだった。
//--CPUは捕らえた武将は相当能力が高くないと処断する思考となっている。
//MD版に限らずFC・SFC版以外の全てに当てはまるのでCO。
--FM音源搭載の為PC-98・88版と同じ音楽を楽しめるのも魅力的。
-PCエンジン SUPER CD-ROM2版
--ディスクメディアでの移植。オープニングやイベントにボイスが付いていたり、当時の光栄ソフトで特典となっていた「サウンドウェア」収録の楽曲がゲーム内で聴くことができるといった、メディアの利点を活かした移植となっている。
--細かい所では、ゲーム内のフォントがゴシック体になっている等、他の移植とは変わった仕様になっている。FC版同様に前田慶次も登場する。
-PS版
--Windows版をベースとした移植。32ビット機の為、思考時間や戦闘のペースはMD以上の速さを誇る。
--隠しシナリオが家庭用で初めて搭載された。この他独自の要素として、プレイヤーのターン中に日本の城などが紹介される「戦国通信」が流れるといった要素がある。
-GBA版
--「信長の野望」のタイトルで発売。
--武将の顔グラフィックは烈風伝以降のものに変更された。
--シナリオ3が最初から選べるようになった。
--「武将風雲録」で唯一、通信対戦が可能な作品。「特定の武将を討つ」「金を集める」といった条件の達成を目指す。
-DS・3DS・iOS・Android版
--DS版は「信長の野望DS2」、3DS版は「信長の野望」のタイトルで発売。スマートフォン(iOS・Android)版は「信長の野望 武将風雲録」のタイトルに戻されたが、内容はDS版・3DS版ベース。無駄にタイトル変更を繰り返したことで混乱の元となっている。
//&bold(){リメイク前と大幅に違う内容にもかかわらず元のタイトルに戻した}わけで、混乱の元である。
//この程度の改編はリメイクでは普通。むしろ内容は武将風雲録なのにタイトルを変えたことの方がよほど混乱させる。
--後の作品で登場した武将が追加され、顔グラフィックは天下創世以降のものに変更。またコマンドやパラメータの内容が大幅に変更され、合戦中に様々な効果を与える「戦術」など近作に合わせた要素が追加されている。
--この他東北地方が細分化されていたり、武将の能力値も一部変更。既存の武将の編集やオリジナル武将の作成も可能。シナリオも従来の間を補完する史実シナリオや架空シナリオ2本の追加により大幅に増加した。3DS版ではDLCにも対応し、天翔記にあった「信玄上洛」や有料ではあるものの関ヶ原関連のシナリオと更に増えている。
--CPUが好戦的になり、デモプレイでも天下統一を達成するようになった。
--大名が自害しなくなり、直接家臣に登用できるようになった。ただし、CPUが大名を処断しようとすると、メッセージ上は自害した扱いになる。
--「群雄争覇」という、合戦のみをプレイするモードが新たに搭載。様々な武将にスポットをあて、決められた兵力・条件下で勝利を目指す。
--DS版のみWi-Fiでのネット接続や「国盗り頭脳バトル 信長の野望」との連動で特別な武将をダウンロードすることができた。3DS版でも「群雄争覇」でそれらを入手できる。
--音楽はWindows・PS版をベースとしているが、ハード性能の関係もありDS版と3DS版では微妙ながら曲が異なる。
--スマートフォン版では、GPSや日付と連動したログインサービスがあり、他機種に登場しない武将・茶器も配信される。逆にいえば、日数が経たないと全ての要素を揃えることができない。
*信長の野望 武将風雲録
【のぶながのやぼう ぶしょうふううんろく】
|ジャンル|SLG|#amazon(B000EXF8YQ)|
|対応機種|PC-8801SR以降、PC-9801VM/UV以降、MSX2、&br();X68000、FM TOWNS、DOS/V、Windows、&br();ファミリーコンピュータ、スーパーファミコン、&br();PCエンジン スーパーCD-ROM2、メガドライブ、&br();プレイステーション|~|
|発売・開発元|光栄|~|
|発売日|1990年12月12日|~|
|定価|【通常版】9,800円&br()【withサウンドウェア】12,200円&br()【コーエー定番シリーズ】1,980円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[信長の野望シリーズリンク>信長の野望シリーズ]]''|
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**概要
-信長の野望シリーズの第4作。
-武将や篭城戦という概念を取り入れ『全・国・版』までのゲーム性を大きく変えた前作『戦国群雄伝』。しかし、東北・九州が除外されるなど不満があった。本作はその不満が解消され規模は再度、全国へ拡大、さらにシステムを発展させた作品となっている。
-前作までのシナリオの開始年代は最も早いもので1560年だったが、本作は1555年と5年遡っている。これに伴い、陶晴賢、斎藤道三、太原雪斎、朝倉宗滴など、シリーズ初登場となった武将も多数。
-難易度は「入門編」「実力編」をまず選び、「入門編」はさらに初級、中級、上級を選ぶ。すなわち、4段階の難易度がある。「入門編」と「実力編」はCPUの思考が違い、「入門編」の方が好戦的だが、守りを考えずに武将の配置にも気を配らないため対処しやすい。「実力編」はさほど戦争を起こさない代わりに、最前線に戦力を集めてくるようになっている。
--後述する歴史イベントの多くは、「実力編」でしか発生しない。また、マルチプレイが可能なのは「入門編」のみで、「実力編」は1人プレイ専用という制限があった。
**評価点
-前作の不満が解消され更に遊び易くなった。
--行動力が大名(城主)の政治力で決まるようになった。
---その為に前作では使いにくかった政治力の低い武将、特に忍者武将が非常に使いやすくなった。
--兵士が国ごとの一括管理となり、訓練と忠誠の上昇が楽に行えるようになった。
--家宝(本作では茶器)や海戦、鉄甲船といった後のシリーズに受け継がれる要素も初登場した。
-配下武将が登場するシリーズで初めて全国をカバー。伊達政宗や最上義光といった東北武将、立花道雪や鍋島直茂、島津義弘といった九州武将も初登場し、本作以降の常連武将が一通り揃った。
--松本&ruby(ずしょのすけ){図書助}((蘆名四天宿老の一人。近作では「氏輔」名義での登場が多い))など、マイナーな武将が初登場。ごくごく一部で有名。
--前作よりシナリオ開始年代が5年早まり、1555年になった。「概要」にもあるように、本作が初登場で、以降のシリーズでも常連になった武将は多い。
---朝倉宗滴は、朝倉家随一の名将で、1等茶器「九十九髪茄子」を持っているという衝撃のデビューだった。しかし、シナリオ開始年が没年なので、かなりの確率で開始翌月に死んでしまうあっけなさも衝撃だった。
-戦後処理の武将登用で、捕縛した武将が登用を拒否するようになった。義理堅い武将は登用を拒否しやすく、「忠臣がホイホイ新しい大名に仕える」不自然さが解消された。
--武将によっては命乞いしたり、義理が低いと自ら登用を売り込むなど、台詞のバリエーションも増えている。
-シナリオは1555年「戦国の動乱」と1571年「信長包囲網」の2本。と見せかけて、本能寺の変イベントを起こすと第3のシナリオである1582年「本能寺の変」が出現。しかも前作『戦国群雄伝』とは違い、信長死後、明智光秀、羽柴秀吉、柴田勝家などに織田家中が分裂した状況である。本作で、早くも信長死後のシナリオが追加されたことになる。
--1582年シナリオは公式には存在を伏せられており、公式ガイドブックや武将ファイルなどでも一切触れられていなかった((『信長の野望 覇王伝事典』で存在が仄めかされるなど、全く言及がなかった訳ではない。))。さらに、8ビット機のPC、多くのコンシューマーでは割愛されており、存在すら知らない者も多かった((隠しシナリオが存在しないのは、PC-8801、MSX2、ファミコン、スーパーファミコン、メガドライブ、PCエンジンの各機種版。))。コンシューマーではプレイステーション版で初めて1582年シナリオが実装され、以降は公式にも公表されるようになった。
-国単位の戦略シミュレーションの決定版とも言える内容で、この作品を最後に次回作からは城単位の構成に変化する。
-大河ドラマのような曲にのせて大名を秀逸な文で紹介するシリーズ屈指の傑作OP。クオリティが高い。特にSFC版などの2行文版が人気。
--その一方で最後発であるプレイステーション版ではOPが大名紹介ではなく短いムービーに変えられており、味も素っ気も無く寂しいものがある。
-専用BGMは前作では織田だけだったが、上杉・武田・今川(足利と共用)・毛利といった有名大名家の専用BGMも流れるようになった。
--BGMの質も高く、当時のゲーム音楽としては珍しくNHKの歴史ドキュメンタリー番組で頻繁にBGMとして使用されたほど。
-前作では織田家・武田家といった有名な大名が滅びやすかったこともあり、コンピュータ同士の合戦を自動判定にした場合、有名な大名が有利になるように判定された。
--有利なのは伊達、真田、北条、越後上杉、本願寺、武田、今川、徳川(松平)、織田、足利、三好、毛利、長宗我部、大友、島津。
-これまでの本能寺の変イベントに加え、桶狭間の戦い、斎藤義龍・陶晴賢((ただし史実では、シナリオ1開始年代より前の1551年に謀叛を起こして、主君の大内義隆を自害に追い込み、大内義長を擁立したのだが、本作では自分が擁立したはずの義長を殺して大名になってしまう。))らの謀叛など、新規の歴史イベントが追加。
//「謀叛」の語は取扱説明書の表記に従った。
--現在と違い簡潔にまとまっており、やや砕けた内容のものもある。''「桶狭間だぎゃー」「史実と違いまする」''
--なお松永久秀は、1555年シナリオ開始直後に高確率で謀叛を起こすので、歴史イベントと思われがちだが、歴史イベントではない。単に&bold(){久秀が謀叛を起こしやすいだけ}である((1571年シナリオでは、1555年より謀叛を起こすことは少なく、ターン経過で筒井順慶などに城主が差し替わっている事が多い。))。しかし、久秀の謀叛はその起こりやすさから、陶晴賢の謀叛や朝倉宗滴・風魔小太郎の死亡などと共に、シナリオ1序盤の風物詩と認識されていた。余談だが、久秀には代わりに、籠城戦守備側で兵糧が尽きると&bold(){爆死}する歴史イベントがある((久秀が大名で、1等茶器「古天明平蜘蛛」を持っており、退路となる国が無いのが条件。))。
**問題点
-本陣、本丸の地形効果が高すぎる。メチャクチャ硬い上に突撃も通用しない、力攻めは兵力を消耗しかなり面倒。
--一応、少数で攻め込み野戦に持ち込むという方法がある。むしろこちらが圧倒的戦力で攻めるとほぼ篭城されるために数に頼る戦い方は分が悪い。最も、敵が大勢力だと何度も攻め込んで武将や兵力を減らす必要があるのでやはり効率的とは言えない、籠城戦で守備側が有利なのはリアルともとれるが。
-史実でも強かった鉄砲や鉄甲船が、異常なほど強力。
--鉄砲は移動力こそ低いが、遠距離攻撃可能・超高火力(武力の影響が少ない)の上弾切れなし・反撃されず敵将の攻撃時に迎撃可能・20丁単位で射撃回数増加・周りの鉄砲隊と連携して一斉射撃・希に武将を撃ち殺して一撃で壊滅可能((一射撃ごとにランダムで発生。その為に「今川氏真が率いる兵力が0(1未満)の鉄砲隊が100の兵力を保持する上杉謙信を射殺して壊滅させる」と言う展開も起こりうる))と匙を投げたくなる強さ。
--本陣、本丸に鉄砲兵100で篭られると、地形・武将の能力によっては、数倍の兵力をもってしても落とせない。
---難易度によっては、CPU国が終盤鉄砲をフル装備状態にしていることも多く、辟易する。
--鉄砲の主な入手方法は自国で製造するか今井宗久との取引がある((どちらもできない場合でもランダムイベントによる闇商人から購入は可能))。
---製造は時間がかかる上に(3ケ月で最大15丁しか作れない)、技術力もかなり必要である((初期状態で製造できるのは薩摩のみで紀伊はあと少しで製造可能、但し薩摩の初期状態では一丁約金250。他の領地では相当技術革新を行わなければ製造は厳しい。政治99、技術999で一丁金1になる))
---今井宗久からの購入に関しては、友好度が低い大名には販売しない上に教養値が低いととんでもない高値をふっかけて来るので、大半のプレイヤー大名にとっては高嶺の花とも言える存在である。((友好度100・教養100で一丁金20になり購入数に上限はない。友好度・教養を上げるのは茶会を繰り返せば比較的楽に上がるため、技術力を上げるよりはこちらの方が簡単だろう))
--鉄甲船は、海に面した国と近江で建造可能。序盤から意識して技術を上げない限り、味方が作れるようになる頃には既に自勢力が強大化している時が殆どである。作っても弱いものいじめ状態にしかならないという欠点も。一方、CPUはある程度技術を上げると鉄砲と共に積極的に建造を始めるが、本陣に置けない分鉄砲よりは対策が楽である。
---ただし一隻あたりの価格金500前後(政治力で前後する)と非常に安く、武将が討ち取られなければ何度でも使えるので野戦に持込み戦力を削り取る際にはかなり便利な兵器となる。
-武力96以上になると内部補正がかかり、合戦時の攻撃力・防御力があからさまに高くなる。そのため、上杉謙信・武田信玄・真田幸村((元服年が遅いのがせめてもの救い。))が異様に強すぎ。
--謙信に至っては表示上は武力100だが、実際は120くらいある模様((ちなみにこのような「実際の数値と内部数値が違う」仕様は、コーエーの他作品でも隠し要素として盛り込まれていることがかなり多い。有名なのは『三国志III』の呂布の武力で、表示上の数値では100だが、実際の内部数値では120扱いになっている。))で、武力100の他武将と戦っても滅多なことではひけをとらない。
--それゆえ信玄・謙信は1人でもごり押しで天下統一が余裕。
---また、CPUの謙信が鉄砲100で本陣に立てこもると異常に硬い上に攻撃力が凄まじく、1月で落城させることはほぼ絶望的な状態に。
-相場を見ながらの米売買での利益が高く、相対的に内政にあまり意味がない。((但し一回の米の取引量は石高と同じなので石高が低いと効率は悪くなる))
--元々米の取引は街の開発(金収入上昇)より利益が高く主な現金調達手段の1つであったが商人の有無次第でできないことも多くほかの内政コマンドと釣り合いが取れていた。今作ではすべての取引を今井宗久が取り仕切っておりいつでも取引が可能(どのような取引でも瞬時に本人が全国出張してくるというかなり無理のある展開ではあるが)。
--その為、効率だけを考えると…技術革新で鉄砲(余裕があれば鉄甲船もあったほうが良い、技術が高いほうが鉄砲の製造費も安く済むので)を製造できるようにしその後は「レートを見ながら米売買→軍備を整えて出陣」という流れになる。戦争に集中しやすいとも言える。
---戦争の際には敵よりも少数の戦力で攻め込んで野戦に持込み本陣をわざとがら空きにして寄ってきた武将にひたすら鉄砲乱射する(近辺で鉄甲船が使用可能なら海や池へ行くほうが良い)だけで比較的容易に戦力を削り取れて合戦に勝利可能。攻め込まれた時も上記のとおり鉄砲100丁持って籠城すればほぼ守りきれる。
---これらの仕様により、単騎無双が可能な''上杉家((武田家も信玄が単騎で各国を滅ぼせるほどに強いが、同盟相手が強国なので対処しづらく同盟相手が弱く脅迫が効く上杉ほど楽には進行しづらい))''や開始時から唯一鉄砲が製造可能((一部リメイク作品では不可能だが技術革新をすればすぐに製造可能))で武将が優秀、しかも領土が端っこでひたすら北上するだけで良い''島津家''が今作では圧倒的に強い。
-CPUのチートが酷い。
--こちらが米相場と睨めっこしている間に、相手はさっさと城と技術をカンストさせ、あっという間に大量の兵糧と鉄砲を完備する。しかも難易度が上がるほどチートは酷くなる。
--さあ出撃だと考えても、相手は全員が鉄砲武装で圧倒的な兵力。どうしろと。
---一応、上記の記述通り今作はそこまで多数の兵士は必要ではないのが救いか。
--難易度が高い「実力編」では、CPUはほとんど攻め込まなくなる。つまり、CPU同士が隣国で戦争するように仕向けて漁夫の利を得るなどという戦略シミュではよくある作戦も使えない。野望の高い大名は比較的攻め込みやすく、織田信長などは一度攻め込むと続けて戦争を仕掛けることがあるが、それまで待つより自分で攻め込んだ方が早い。
--ただし、一度攻め込んだ場合、攻撃側が敗退しても再度攻め込むことが多い。運良く目にしたら、戦いを「見る」にすると自動判定より双方の損害を大きくできるため、漁夫の利の好機となる。また、有利大名が自動判定で有利になることを利用して、戦いの「見る」「見ない」を使い分けることによって、CPU同士の勝敗をある程度操作できる。
-徴兵・兵施しに見るCPUの欠陥
--本作の兵士には「兵忠誠度」が設定されており、忠誠度が低いと弱体化するほか、合戦中に脱走することがある。兵忠誠度は、兵士に金を施すことで上げられるが、同じ金額でも、元の兵忠誠度が低いほど、効率が悪くなる仕様がある。
--CPUは兵忠誠度が一定以下になると、兵忠誠度が上がらなくなり、兵忠誠度の低い弱兵を大量に貯め込んでしまう。これは、CPUが兵士に施す金が一定額であるため、兵忠誠度が施しの効果が出る閾値を切ってしまうと、効果のないムダ金を使うばかりになるからと推測されている。
--また、&bold(){CPUは兵忠誠度が一定以下の状態では、自発的に合戦を仕掛けなくなる。}この仕様が、CPUの動かなさに拍車をかけている。
--現在の兵忠誠度に応じて、金額を変えるルーチンは光栄には手間だったのだろうか?
---DS版以降では、兵忠誠度を廃止し、合戦中のみ反映される「兵士気」に置き換えることで、CPUの欠陥を回避した。
-『全国版』では8ヶ国だった東北は、3ヶ国しかなく蝦夷国も登場しない。
--そのため、南部晴政や津軽為信などの北東北出身武将は登場しない。
---『信長の野望DS2』では、国分割で追加されている。
-PS版・Win版など近年の移植では武将紹介OPが省かれていたり、隠れた名曲と評された「機能(セーブ・ロードなど)」の曲がないものもある。
**賛否両論点
-夜間奇襲が強すぎる。
--籠城戦の仕様もあって大軍を率いる意味が薄くなっているが、本陣立てこもりの対抗策にもなっている。
-シナリオ1の九州では、龍造寺と伊東無双になることが多く、史実((どちらの大名も、それぞれ沖田畷の戦いと木崎原の戦いで島津家に大敗し壊滅的打撃を受けた。特に沖田畷の戦いで当主の隆信と多数の重臣が討死した龍造寺家は最終的に断絶し、辛うじて生き残った重臣の鍋島家が龍造寺家を継承する事になった。))と逆の立場になることがしばしば。
--ただし両家はCPU補正のかかる有利大名ではないので、島津や大友になかなか勝てず、時には数十年にわたって両家に撃退され続けることもある。
--一方シナリオ2では、島津が順当に勢力を拡大しやすい。
-後の作品では公式チート同然の扱いを受けている島津義弘や立花道雪が低めの能力設定にされている。
--伊達政宗や松平元康(徳川家康)に完全に負け、武田勝頼とほぼ互角という設定は現在の視点からすれば首を傾げざるを得ない。
---どちらも大名家の領地面で有利なために能力面での補正がかかっているフシもあり、リメイク版では再調整がかかり相応しい能力に変更された。
-茶器を家臣でたらい回しにして忠誠度を手っ取り早く上げる「茶器回し」という裏技がよくネタにされている。
--『信長の野望DS2』の浅井久政・長政父子によるチュ-トリアルでは、わざわざ使用できないと言うなど、公式でもネタとなっている。
-本願寺の戦闘BGMがなぜか本能寺の変のBGMと同一。
-隠しパラメータ「義理」の低い武将は、城主にした場合、忠誠100・兵士0・米0といった状況でも謀叛を起こす。
-前作『戦国群雄伝』に引き続き、大名は基本的に配下にできない。前作との違いは、最後の一国を攻め落とすと、前作では戦後処理で強制的に処刑していたのが、本作では大名が自発的に&bold(){自害}するようになったことである。
--PC-9801版の場合、自害の台詞は「無念…」「介錯を願おう」の2種類だけ。しかし機種によっては、有力武将に専用の自害の台詞が用意されており、織田信長、武田信玄などの固有台詞持ち大名を自害に追い込むことで一種の達成感も得られた。
---ちなみに、捕らえて戦後処理で処刑しても、自害の台詞を見ることができる。
---汎用台詞も、機種によってラインナップが異なる。
--外交で「脅迫」することで、大名を配下にできる。しかし、能力が一定以上の大名は絶対に脅迫に屈しないので、前述の織田信長や武田信玄などは自害させるしかない(浪人にする裏技は一応ある)。
---全ての大名を配下にできるようになるには、『天翔記』を待たなくてはならなかった。
--大名以外の家臣も、最後の国を攻め落とすとその時点で自害してしまうことがあった。自害する家臣は、攻め落とした時点で戦場に部隊が残っている家臣のみなので、事前に捕らえておけば死なせる心配はない。
**余談
-本作に登場する上杉憲賢(機種によっては「深谷上杉憲賢」表記)は、シリーズ初登場で、1555年シナリオの武蔵の大名として登場。そして2019年現在も『武将風雲録』がシリーズ唯一の登場である。
--深谷上杉氏は山内上杉氏の分家で、扇谷上杉氏((本作には登場しない。『覇王伝』パワーアップキットが初登場))と共に関東に割拠していた。憲賢は本家の上杉憲政(山内上杉憲政)に従っていたが、1552年、北条氏康に敗れ降伏。以降、北条と、憲政の跡を継いだ上杉政虎(上杉謙信)の間を行ったり来たりしている。憲賢の孫の氏憲の代に、小田原征伐で北条についたために所領を失い、上杉景勝を頼り信濃に逃れた。
--次回作以降で消えたままという点でも明らかだが、1国の大名として登場できるほどの経歴では無い。にもかかわらず大名として登場したのは、北条氏康を強くさせすぎないためのバランス調整かも知れない。
--上杉憲賢はCPU担当だと北条や武田に序盤で滅ぼされることが多い。しかし武蔵は石高が全国1位の設定で、配下の太田資正はそこそこの能力なので、天下統一はそれほど難しくない。試しにプレイヤー大名に選んでもいいかも知れない。
**総評
文化の概念により単なる合戦にとどまらず、戦国時代をさらにリアルに表現する事に成功している。システム自体も正統に進化を遂げており、国盗り時代の「信長の野望」は無事に一つの完成形にたどり着くことができた。&br();
鉄砲や地形効果などに見られるゲームバランスの問題こそあるものの、史実再現とのバランスの兼ね合いというのは難しいことだったのであろう。史実とゲーム性のどちらを採るかは人次第で、そういった点が語り草となっているのもまた事実ではある。&br();
今でもシリーズ最高傑作として名の挙がることも多い一作であり、後作の城取りやリアルタイムによる複雑さもなく、初めてシリーズに触れる人にもおすすめできる一作だろう。
人気作ゆえリメイクや移植にも恵まれている。2013年に3DSでもリメイク版が発売されたので、シミュレーションに興味を持った方は是非手に取っていただきたい。
//当時、漫画誌『週刊少年ジャンプ』で連載中だった「花の慶次」や、同誌の読者コーナー「ジャンプ放送局」で前田慶次を捜索していたというネタが投稿されていたという影響もあったのだろう。
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**他機種(コンシューマ)版
-FC・SFC版
--同日に発売された。SFC版に限り、よくありがちな「スーパー信長の野望・武将風雲録」のタイトルで発売。
--FC版はシリーズで初めてフォントに漢字が採用された。この頃の光栄家庭用作品からはこのフォントが用いられるようになる。また武将・前田慶次が新たに登場した。
--SFC版は発色数の多さを活かし、季節ごとに背景が変わるなどの細かな独自要素がある。謀叛で大名となった武将が「我、これより天下を目指さん」と宣言するのもSFC版オリジナル。音楽も内蔵音源によるアレンジとなっており、原曲の良さも相まってユーザーからの評価は高い。
--ハード自体の知名度も手伝ってか、ネット上でのプレイ動画等はSFC版が多い。
--FC・SFC版に限り、CPUは捕らえた武将は基本的に処断せず家臣にする。(それ以外の機種だとある程度能力が高くないと処断する)
-MD版
--ハードの処理性能の高さから、同時期の移植の中では比較にならない程の思考時間の速さを誇る(毎ターン5秒とかからない)。
---CPUの思考の際に現在行動中の大名家がテキストで表示されるが、このMD版だけは目で追えない圧倒的な速さだった。
//--CPUは捕らえた武将は相当能力が高くないと処断する思考となっている。
//MD版に限らずFC・SFC版以外の全てに当てはまるのでCO。
--FM音源搭載の為PC-98・88版と同じ音楽を楽しめるのも魅力的。
-PCエンジン SUPER CD-ROM2版
--ディスクメディアでの移植。オープニングやイベントにボイスが付いていたり、当時の光栄ソフトで特典となっていた「サウンドウェア」収録の楽曲がゲーム内で聴くことができるといった、メディアの利点を活かした移植となっている。
--細かい所では、ゲーム内のフォントがゴシック体になっている等、他の移植とは変わった仕様になっている。FC版同様に前田慶次も登場する。
-PS版
--Windows版をベースとした移植。32ビット機の為、思考時間や戦闘のペースはMD以上の速さを誇る。
--隠しシナリオが家庭用で初めて搭載された。この他独自の要素として、プレイヤーのターン中に日本の城などが紹介される「戦国通信」が流れるといった要素がある。
-GBA版
--「信長の野望」のタイトルで発売。
--武将の顔グラフィックは烈風伝以降のものに変更された。
--シナリオ3が最初から選べるようになった。
--「武将風雲録」で唯一、通信対戦が可能な作品。「特定の武将を討つ」「金を集める」といった条件の達成を目指す。
-DS・3DS・iOS・Android版
--DS版は「信長の野望DS2」、3DS版は「信長の野望」のタイトルで発売。スマートフォン(iOS・Android)版は「信長の野望 武将風雲録」のタイトルに戻されたが、内容はDS版・3DS版ベース。無駄にタイトル変更を繰り返したことで混乱の元となっている。
//&bold(){リメイク前と大幅に違う内容にもかかわらず元のタイトルに戻した}わけで、混乱の元である。
//この程度の改編はリメイクでは普通。むしろ内容は武将風雲録なのにタイトルを変えたことの方がよほど混乱させる。
--後の作品で登場した武将が追加され、顔グラフィックは天下創世以降のものに変更。またコマンドやパラメータの内容が大幅に変更され、合戦中に様々な効果を与える「戦術」など近作に合わせた要素が追加されている。
--この他東北地方が細分化されていたり、武将の能力値も一部変更。既存の武将の編集やオリジナル武将の作成も可能。シナリオも従来の間を補完する史実シナリオや架空シナリオ2本の追加により大幅に増加した。3DS版ではDLCにも対応し、天翔記にあった「信玄上洛」や有料ではあるものの関ヶ原関連のシナリオと更に増えている。
--CPUが好戦的になり、デモプレイでも天下統一を達成するようになった。
--大名が自害しなくなり、直接家臣に登用できるようになった。ただし、CPUが大名を処断しようとすると、メッセージ上は自害した扱いになる。
--「群雄争覇」という、合戦のみをプレイするモードが新たに搭載。様々な武将にスポットをあて、決められた兵力・条件下で勝利を目指す。
--DS版のみWi-Fiでのネット接続や「国盗り頭脳バトル 信長の野望」との連動で特別な武将をダウンロードすることができた。3DS版でも「群雄争覇」でそれらを入手できる。
--音楽はWindows・PS版をベースとしているが、ハード性能の関係もありDS版と3DS版では微妙ながら曲が異なる。
--スマートフォン版では、GPSや日付と連動したログインサービスがあり、他機種に登場しない武将・茶器も配信される。逆にいえば、日数が経たないと全ての要素を揃えることができない。