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不確定世界の探偵紳士 - (2020/08/27 (木) 18:57:07) の1つ前との変更点
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*不確定世界の探偵紳士
【ふかくていせかいのたんていしんし】
|ジャンル|ハードボイルド探偵AVG|CENTER:&amazon(B00009EL7I)&br()※画像&リンク先は再移植版|
|対応機種|Windows95/98/2000|~|
|発売・開発元|デジアニメ・コーポレイション|~|
|発売日|2000年4月21日|~|
|定価|8,800円|~|
|レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[探偵紳士シリーズリンク>探偵紳士シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
自身の会社アーベルを立ち上げた菅野ひろゆき(旧:剣乃ゆきひろ)によるミステリーAVG。キャラクターデザイン、原画は菅野氏の過去作の多くを担当した田島直。~
主人公は次々と事件を呼び込む悪運を持った凄腕の探偵が主人公であり、探偵物のゲームとしては珍しく、同時並行的にいくつもの事件を捜査する。~
舞台となる街や主人公等、氏の手がけた『[[EVE burst error]]』のリメイク(リブート、或いはリ・イマジネーション)と言っても差し支えないほど酷似しているが、関連性はない。~
**ストーリー
> 道を歩けば銃撃戦に出会い、目の前の事故車からは裸の美少女が助けを求め、喫茶店でコーヒーを飲めば強盗が押し入り、事務所に戻れば瀕死の美女が縛られている。
> 世の中、奇怪で淫らな事件があふれかえっている。
> 運は極悪、腕は超一流、悪行双麻のもとへ今日も怪事件がおとずれる!
**特徴
-基本システムは今ではあまり見かけなくなったコマンド選択式。
--過去の菅野作品同様、プレイヤー自身が能動的にマップ移動を指示し、ストーリー進行フラグを立てる事で進める事が出来る。
---場合によっては画面内のクリック式にも移るので、氏の作品の中では『[[YU-NO>この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO]]』が近い。
--後述するように今回は時間経過の概念があり、フラグ状況に加えて時間帯もイベント発生条件となっている。プレイヤーはマップを歩き回って捜査し、いつどこに行けばイベントが起こるのかを探し回る事になる。
---「〇時に行く」と言った指示を出される事もあるが、多くはノーヒント。探偵らしく、正に足で物語を進めていく。
---主人公に寝食の必要は無く、連日24時間ぶっ通しで捜査が出来る。但し、食事や就寝のイベントは存在する。
-複数同時進行する事件捜査
--本作では事件捜査中にも次の事件の捜査依頼が入り、複数の事件を同時に捜査するのが基本となっている。
---事務所にいない間に依頼が来ている場合は留守番メッセージが残っていたりするので、それを元に事件捜査と依頼人との相談等の予定を上手く立てる必要がある。
-事件には解決希望日数と賞金額が設定されている。
--素早く解決すれば賞金が多くもらえるが、日数を過ぎるとどんどん賞金が減っていき、希望日数を10日以上過ぎると賞金は0になってしまう。
--また、希望日数を20日過ぎるとライセンス剥奪でゲームオーバーに。
-別の場所への移動には時間経過を伴う
--部屋内の移動には15分、別の場所への移動には30分が経過する。
---上記解決希望日数と合わせ、いわゆる「総当りしていればいつか解ける」というやり方が不可能になっている。
-賞金は情報料の支払いに使う他、ミント(ヒロイン)の着替えを買ったり、ビデオ(シーン回想)を買ったりするのに使う。
--ゲームクリア目的ならば、最低限情報料の金さえ確保すれば問題ない。
-主人公の悪行双麻はEVEの主人公である天城小次郎と非常に相似点が多い。以下はその例。
--服装は着古したスーツ姿、前髪は長く目は隠れて見えない(小次郎と違って全く見えない訳ではない)。
--名声や金に執着しない。
--酒は飲むが煙草はやらない。
--飄々として厭世的とも取れるつかみどころのない性格。それでいて情に厚い。
---基本はハードボイルドだが、時にはボケやツッコミに回ったりとコミカルな面も多い点も同じ。
--以前は大手探偵事務所にいたが、現在は寂れた事務所に一人住んでいる。
---小次郎と違い、大手探偵事務所では現在でも所長。名前が知れ渡った結果ただでさえ多い依頼がさらに増えたので、それを避ける為。~
名前を隠して路地裏に事務所を構えて暮らしているが、それでも依頼は絶えない悪運の持ち主。
---大手事務所にはEVEで言う二階堂のようなキャラも在籍している。但し、登場は次回作『ミステリート』から。代わりに本作には二階堂のように終始主人公にイジられる刑事が登場する。
--以前は恋人がいたが、現在は別れている。
--移植版でついた声は子安武人((余談だが、悪行の部下の南条深雪(本作では声のみ登場)の役は後に『ミステリートF』にてEVEのもう一人の主人公のまりな役を務めた三石琴乃が務める事になる(オリジナルは根谷美智子)。))。
**評価点
-菅野氏の魅力的なシナリオが本作でも遺憾なく発揮されている。
--氏の他の作品同様、オカルトやSFもありな世界観だが、あくまでシナリオの味付け程度。事件捜査や解決は現実的な方法で行われる。
---ただし、エンディングに関しては賛否両論気味。
--キャラクターもサブキャラクターまで魅力的なキャラクターが多い。
---主人公の悪行を始め、悪行と関わる美女達は勿論の事、男性キャラもいい意味でも悪い意味でも濃いキャラが揃っている。
---ヒロインのミントは中盤から悪行の事務所で甲斐甲斐しく家事を始め、ハードボイルド形無しのほんわかしたやり取りが楽しめる。無論、これもストーリー上、大きな意味がある。
-次々に飛び込む事件を好きな順に捜査可能。
--ミステリー物のゲームでは複数の事件が起きる物でも事件の捜査は一つずつである場合が大半だが、本作は細かい依頼も含めある程度自由に捜査できる。
---希望解決日数や、事件発生日の都合で完全に好きな順番で、とはいかないが。
--巷を騒がす幽霊の噂、消えた夫を探して彷徨う女、今では廃墟となった屋敷で半年前に起きた殺人事件と、ミステリアスな事件が揃っている。そして一見無関係なこれら事件も実は繋がっており、操作を進めると徐々に点と点が繋がっていく。ある事件の解決が別の事件の取っ掛かりになる事もあるなど、事件同士の関連性も楽しみの一つ。
**賛否両論点
-探偵物だが、あくまで「捜査をするゲーム」である事。ただの読み物としては楽しみづらい。(特に1周目)
--この捜査が本作の醍醐味なのだが、イベントが起こるポイントと時間が分からないといつまで経ってもストーリーが進まない為、ただシナリオを楽しみたいと言う人には向かない。
--「関連性の薄い場所に特定の時間に赴いて、あまり関係無さそうな人物とすれ違う」と言ったような細かいフラグを立てないと進まない事もしばしば。
-希望解決日数と移動にかかる時間の関係で、ゲームシステムに慣れない内は捜査しづらい。どちらかというと複数回プレイが前提。
--慣れるまではあっというまに時間が過ぎていく。そのため1周目は不完全な捜査で終わってしまう事も多い。
--とは言え、以前の失敗や捜査情報の入手箇所等の情報を元にプレイをすると、解決希望日数には大分余裕がある事がわかる。早く解決する方法が分かっていれば報酬が大量に手に入り、オマケ要素に注ぎ込める。
---初見は期間をフルに使ってひたすら歩き回る捜査を楽しみ、2周目では素早く解決してオマケ収集を楽しむと言う遊び方が意図されていると思われる。
**問題点
-氏の作品にしてはシナリオが少々短め。
--捜査の関係でそれなりにプレイ時間は増えるが、単純に読み物としてみた場合、過去作よりも大分文章は少ない。
--「複数の事件が波状攻撃的にもたらされる」とは言うものの、事件数自体も一つの事件の分量も多くは無い。全6事件のうち事件005は最初から受注しているが、これは事件006(最終章)の過程で解決するので無いも同然。006は001~004を解決すると解禁され、後述するようにほぼ一本道展開となっている。
---つまり本編は001~004の4つの事件で構成される事になるが、うち1件はある事件を解決するとそのまま流れで受注するもの(しかも正確には「事件」ではない)。もう1件は開始までは比較的長いものの、いざ開始すると解決するまで外に出られない短期集中型である為、同時に手掛ける事件は精々2件となる。
---あまり同時発生してもプレイヤーの方が対応できなくなるだろうが、主人公の設定や宣伝文句から「多くの事件の同時発生」「次々と舞い込む依頼」を期待し過ぎると肩透かしを喰らう。
-オマケを完全に楽しむ為には複数周回が前提。
--マップはそれなりに数があり、時刻も関係する為、事件によっては進めるのにかなり意地悪な条件がある場合も。攻略情報なしで自力でやろうとするとかなり面倒。
-事件解決方法の模索など、複数周回前提の作りになっているが、エンディングは一つしかない。
--その為、2周目以降を楽しむ場合は、捜査自体を煮詰めたりといった事が目的になる。
--また、色々と交錯している割には一つの事件に対して解法はあくまで一つであり、周回で別の解決方法を選んだりなどは出来ない。
--最後の事件になるとエンディングまでほぼ一本道の展開である。
-音声なし
--ADV(特にアダルトゲーム)では声付きのゲームが多い時代に一切ないのはやはり寂しい。
---移植版では声が付いた。
-18禁のゲームではあるが、氏の他の作品同様、そちらの方面を目当てに買うゲームではない。
--作中では主人公が女性キャラと大人の時間を過ごすシーンが何度もあるが、まるで全年齢版の如く多くがカットされる。
--後の再移植版ではなんとHシーンは''普通にプレイしていると見られない隠し要素的なもの''と化している。
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**総評
アーベル独立後に発売した『エクソダスギルティ』が今までの評価から非常に売れた割には評価が芳しくなかった菅野氏だが、本作はEVEのような原点に立ち返ったことでそれなりの高評価となった。~
システムのとっつきにくさ等少々残念な点もあるが、氏のミステリー物が好きならばお勧めできる作品になっている。~
ただし、単純な読み物としての観点からはゲーム攻略が立ちはだかり、氏の他の作品に比べてシナリオも短めである事は予め留意すべきだろう。~
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**移植版について
『EVE burst error』同様、本作も何度もリメイクされている。
''探偵紳士 DASH!(DC版)''
-18禁要素を排除した移植版で、声が追加されている。販売はアーベル。
--上述した通り、主人公役の子安氏を始め、桑島法子、佐久間レイ、井上喜久子、氷上恭子、大塚明夫と言った有名声優が起用されている。
-キャラクターデザインも一部変更されている。
''不確定世界の探偵紳士 HardCore!(Win)''
-DASHを元にしたWin逆移植版。一度クリアすると、大元のWin版も遊べるようになる。
-CGには続編『ミステリート』を担当するCARNELIANが参加している。
-18禁に戻ったが、元々のシーンを復活させたのではなくDASHに新規シーンを追加したもの。
-18禁化に伴い、女性声優は変更されているが、男性声優は全年齢版と同じである。
''不確定世界の探偵紳士(DVD-PG版)''
-二つの事件に搾ったDVD・BDプレイヤーズゲーム版。
''不確定世界の探偵紳士 Rebirth!(Win)''
-『ミステリート』発売に合わせ、同作のシステムを一部逆輸入したリメイク作。販売はアーベルソフトウェア。
--捜査には以降の作品でも使用される「プルーフ・ターゲットシステム」を採用している。
-原画が芹沢克己に変更され、イラスト関係を一新。
''不確定世界の探偵紳士 ~悪行双麻の事件ファイル~(PS2)''
-Rebirth!PS2移植版。DASH同様に18禁要素は排除されている(声優陣も元に戻っている)。販売はヴューズ。
-続編である『ミステリート』に繋がる事件007が追加されている。
--解禁条件は全てのCGを購入する事だが、購入画面のレスポンスの遅さから''購入作業だけで恐ろしいほど時間が掛かる''。
--このシナリオにはシリーズでは珍しくエンディング主題歌が用意されている。
''不確定世界の探偵紳士 Origin!(Win)''
-サウンドドラマを追加した再移植版。ダウンロード版も販売されており、現在最もプレイしやすい。
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**その後の展開
本作と舞台を同じにする続編『[[ミステリート ~不可逆世界の探偵紳士~]]』、同作の裏側(舞台、時間軸が共通)の別の事件を描いた『[[ミステリート ~アザーサイド・オブ・チャーチ~]]』等、探偵紳士シリーズとしてシリーズ展開されている。『ミステリート』には悪行も僅かながら登場する。~
これらの続編にあたる『ミステリート2 ~フェアウェル・エンカウンター~』も発表されていたが、製作途中で菅野氏が逝去。『2』そのものの発売こそされなかったものの、『ミステリート』とセットにしたリメイク『ミステリートF 探偵たちのカーテンコール』が発表され、『2』部分のシナリオでは悪行も主人公の一人として登場する事が明かされている。しかし『F』は2014年の発表以来大きな進展が無く、2020年現在を以ても発売されていない。
シリーズ以外にも本作に登場する世界的な探偵組織「アイドラー」(悪行は世界に30人程度、日本には2人しかいない最高のAランク)の探偵が登場したり、その探偵に憧れている等、世界観を共通とする作品が多数発売されている。~
また、本作より前に発売された『エクソダスギルティ』も同一世界観に含まれており、『ミステリート』に『エクソダスギルティ』のキャラが登場している。~
//**余談
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*不確定世界の探偵紳士
【ふかくていせかいのたんていしんし】
|ジャンル|ハードボイルド探偵AVG|CENTER:&amazon(B00009EL7I)&br()※画像&リンク先は再移植版|
|対応機種|Windows95/98/2000|~|
|発売・開発元|デジアニメ・コーポレイション|~|
|発売日|2000年4月21日|~|
|定価|8,800円|~|
|レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[探偵紳士シリーズリンク>探偵紳士シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
自身の会社アーベルを立ち上げた菅野ひろゆき(旧:剣乃ゆきひろ)によるミステリーAVG。キャラクターデザイン、原画は菅野氏の過去作の多くを担当した田島直。~
主人公は次々と事件を呼び込む悪運を持った凄腕の探偵が主人公であり、探偵物のゲームとしては珍しく、同時並行的にいくつもの事件を捜査する。~
舞台となる街や主人公等、氏の手がけた『[[EVE burst error]]』のリメイク(リブート、或いはリ・イマジネーション)と言っても差し支えないほど酷似しているが、関連性はない。~
**ストーリー
> 道を歩けば銃撃戦に出会い、目の前の事故車からは裸の美少女が助けを求め、喫茶店でコーヒーを飲めば強盗が押し入り、事務所に戻れば瀕死の美女が縛られている。
> 世の中、奇怪で淫らな事件があふれかえっている。
> 運は極悪、腕は超一流、悪行双麻のもとへ今日も怪事件がおとずれる!
**特徴
-基本システムは今ではあまり見かけなくなったコマンド選択式。
--過去の菅野作品同様、プレイヤー自身が能動的にマップ移動を指示し、ストーリー進行フラグを立てる事で進める事が出来る。
---場合によっては画面内のクリック式にも移るので、氏の作品の中では『[[YU-NO>この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO]]』が近い。
--後述するように今回は時間経過の概念があり、フラグ状況に加えて時間帯もイベント発生条件となっている。プレイヤーはマップを歩き回って捜査し、いつどこに行けばイベントが起こるのかを探し回る事になる。
---「〇時に行く」と言った指示を出される事もあるが、多くはノーヒント。探偵らしく、正に足で物語を進めていく。
---主人公に寝食の必要は無く、連日24時間ぶっ通しで捜査が出来る。但し、食事や就寝のイベントは存在する。
-複数同時進行する事件捜査
--本作では事件捜査中にも次の事件の捜査依頼が入り、複数の事件を同時に捜査するのが基本となっている。
---事務所にいない間に依頼が来ている場合は留守番メッセージが残っていたりするので、それを元に事件捜査と依頼人との相談等の予定を上手く立てる必要がある。
-事件には解決希望日数と賞金額が設定されている。
--素早く解決すれば賞金が多くもらえるが、日数を過ぎるとどんどん賞金が減っていき、希望日数を10日以上過ぎると賞金は0になってしまう。
--また、希望日数を20日過ぎるとライセンス剥奪でゲームオーバーに。
-別の場所への移動には時間経過を伴う
--部屋内の移動には15分、別の場所への移動には30分が経過する。
---上記解決希望日数と合わせ、いわゆる「総当りしていればいつか解ける」というやり方が不可能になっている。
-賞金は情報料の支払いに使う他、ミント(ヒロイン)の着替えを買ったり、ビデオ(シーン回想)を買ったりするのに使う。
--ゲームクリア目的ならば、最低限情報料の金さえ確保すれば問題ない。
-主人公の悪行双麻はEVEの主人公である天城小次郎と非常に相似点が多い。以下はその例。
--服装は着古したスーツ姿、前髪は長く目は隠れて見えない(小次郎と違って全く見えない訳ではない)。
--名声や金に執着しない。
--酒は飲むが煙草はやらない。
--飄々として厭世的とも取れるつかみどころのない性格。それでいて情に厚い。
---基本はハードボイルドだが、時にはボケやツッコミに回ったりとコミカルな面も多い点も同じ。
--以前は大手探偵事務所にいたが、現在は寂れた事務所に一人住んでいる。
---小次郎と違い、大手探偵事務所では現在でも所長。名前が知れ渡った結果ただでさえ多い依頼がさらに増えたので、それを避ける為。~
名前を隠して路地裏に事務所を構えて暮らしているが、それでも依頼は絶えない悪運の持ち主。
---大手事務所にはEVEで言う二階堂のようなキャラも在籍している。但し、登場は次回作『ミステリート』から。代わりに本作には二階堂のように終始主人公にイジられる刑事が登場する。
--以前は恋人がいたが、現在は別れている。
--移植版でついた声は子安武人((余談だが、悪行の部下の南条深雪(本作では声のみ登場)の役は後に『ミステリートF』にてEVEのもう一人の主人公のまりな役を務めた三石琴乃が務める事になる(オリジナルは根谷美智子)。))。
**評価点
-菅野氏の魅力的なシナリオが本作でも遺憾なく発揮されている。
--氏の他の作品同様、オカルトやSFもありな世界観だが、あくまでシナリオの味付け程度。事件捜査や解決は現実的な方法で行われる。
---ただし、エンディングに関しては賛否両論気味。
--キャラクターもサブキャラクターまで魅力的なキャラクターが多い。
---主人公の悪行を始め、悪行と関わる美女達は勿論の事、男性キャラもいい意味でも悪い意味でも濃いキャラが揃っている。
---ヒロインのミントは中盤から悪行の事務所で甲斐甲斐しく家事を始め、ハードボイルド形無しのほんわかしたやり取りが楽しめる。無論、これもストーリー上、大きな意味がある。
-次々に飛び込む事件を好きな順に捜査可能。
--ミステリー物のゲームでは複数の事件が起きる物でも事件の捜査は一つずつである場合が大半だが、本作は細かい依頼も含めある程度自由に捜査できる。
---希望解決日数や、事件発生日の都合で完全に好きな順番で、とはいかないが。
--巷を騒がす幽霊の噂、消えた夫を探して彷徨う女、今では廃墟となった屋敷で半年前に起きた殺人事件と、ミステリアスな事件が揃っている。そして一見無関係なこれら事件も実は繋がっており、操作を進めると徐々に点と点が繋がっていく。ある事件の解決が別の事件の取っ掛かりになる事もあるなど、事件同士の関連性も楽しみの一つ。
**賛否両論点
-探偵物だが、あくまで「捜査をするゲーム」である事。ただの読み物としては楽しみづらい。(特に1周目)
--この捜査が本作の醍醐味なのだが、イベントが起こるポイントと時間が分からないといつまで経ってもストーリーが進まない為、ただシナリオを楽しみたいと言う人には向かない。
--「関連性の薄い場所に特定の時間に赴いて、あまり関係無さそうな人物とすれ違う」と言ったような細かいフラグを立てないと進まない事もしばしば。
-希望解決日数と移動にかかる時間の関係で、ゲームシステムに慣れない内は捜査しづらい。どちらかというと複数回プレイが前提。
--慣れるまではあっというまに時間が過ぎていく。そのため1周目は不完全な捜査で終わってしまう事も多い。
--とは言え、以前の失敗や捜査情報の入手箇所等の情報を元にプレイをすると、解決希望日数には大分余裕がある事がわかる。早く解決する方法が分かっていれば報酬が大量に手に入り、オマケ要素に注ぎ込める。
---初見は期間をフルに使ってひたすら歩き回る捜査を楽しみ、2周目では素早く解決してオマケ収集を楽しむと言う遊び方が意図されていると思われる。
**問題点
-氏の作品にしてはシナリオが少々短め。
--捜査の関係でそれなりにプレイ時間は増えるが、単純に読み物としてみた場合、過去作よりも大分文章は少ない。
--「複数の事件が波状攻撃的にもたらされる」とは言うものの、事件数自体も一つの事件の分量も多くは無い。全6事件のうち事件005は最初から受注しているが、これは事件006(最終章)の過程で解決するので無いも同然。006は001~004を解決すると解禁され、後述するようにほぼ一本道展開となっている。
---つまり本編は001~004の4つの事件で構成される事になるが、うち1件はある事件を解決するとそのまま流れで受注するもの(しかも正確には「事件」ではない)。もう1件は開始までは比較的長いものの、いざ開始すると解決するまで外に出られない短期集中型である為、同時に手掛ける事件は精々2件となる。
---あまり同時発生してもプレイヤーの方が対応できなくなるだろうが、主人公の設定や宣伝文句から「多くの事件の同時発生」「次々と舞い込む依頼」を期待し過ぎると肩透かしを喰らう。
-オマケを完全に楽しむ為には複数周回が前提。
--マップはそれなりに数があり、時刻も関係する為、事件によっては進めるのにかなり意地悪な条件がある場合も。攻略情報なしで自力でやろうとするとかなり面倒。
-事件解決方法の模索など、複数周回前提の作りになっているが、エンディングは一つしかない。
--その為、2周目以降を楽しむ場合は、捜査自体を煮詰めたりといった事が目的になる。
--また、色々と交錯している割には一つの事件に対して解法はあくまで一つであり、周回で別の解決方法を選んだりなどは出来ない。
--最後の事件になるとエンディングまでほぼ一本道の展開である。
-音声なし
--ADV(特にアダルトゲーム)では声付きのゲームが多い時代に一切ないのはやはり寂しい。
---移植版では声が付いた。
-18禁のゲームではあるが、氏の他の作品同様、そちらの方面を目当てに買うゲームではない。
--作中では主人公が女性キャラと大人の時間を過ごすシーンが何度もあるが、まるで全年齢版の如く多くがカットされる。
--後の再移植版ではなんとHシーンは''普通にプレイしていると見られない隠し要素的なもの''と化している。
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**総評
アーベル独立後に発売した『エクソダスギルティ』が今までの評価から非常に売れた割には評価が芳しくなかった菅野氏だが、本作はEVEのような原点に立ち返ったことでそれなりの高評価となった。~
システムのとっつきにくさ等少々残念な点もあるが、氏のミステリー物が好きならばお勧めできる作品になっている。~
ただし、単純な読み物としての観点からはゲーム攻略が立ちはだかり、氏の他の作品に比べてシナリオも短めである事は予め留意すべきだろう。~
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**移植版について
『EVE burst error』同様、本作も何度もリメイクされている。
''探偵紳士 DASH!(DC版)''
-18禁要素を排除した移植版で、声が追加されている。販売はアーベル。
--上述した通り、主人公役の子安氏を始め、桑島法子、佐久間レイ、井上喜久子、氷上恭子、大塚明夫と言った有名声優が起用されている。
-キャラクターデザインも一部変更されている。
''不確定世界の探偵紳士 HardCore!(Win)''
-DASHを元にしたWin逆移植版。一度クリアすると、大元のWin版も遊べるようになる。
-CGには続編『ミステリート』を担当するCARNELIANが参加している。
-18禁に戻ったが、元々のシーンを復活させたのではなくDASHに新規シーンを追加したもの。
-18禁化に伴い、女性声優は変更されているが、男性声優は全年齢版と同じである。
''不確定世界の探偵紳士 Virginal!(DVD-PG版)''
-『HardCore!』ベースのDVDプレイヤーズゲーム版。本編を二分割して販売された。
''不確定世界の探偵紳士 Rebirth!(Win)''
-『ミステリート』発売に合わせ、同作のシステムを一部逆輸入したリメイク作。販売はアーベルソフトウェア。
--捜査には以降の作品でも使用される「プルーフ・ターゲットシステム」を採用している。
-原画が芹沢克己に変更され、イラスト関係を一新。
''不確定世界の探偵紳士 ~悪行双麻の事件ファイル~(PS2)''
-『Rebirth!』PS2移植版。DASH同様に18禁要素は排除されている(声優陣も元に戻っている)。販売はヴューズ。
-続編である『ミステリート』に繋がる事件007が追加されている。
--解禁条件は全てのCGを購入する事だが、購入画面のレスポンスの遅さから''購入作業だけで恐ろしいほど時間が掛かる''。
--このシナリオにはシリーズでは珍しくエンディング主題歌が用意されている。
''不確定世界の探偵紳士 Origin!(Win)''
-サウンドドラマを追加した再移植版。ダウンロード版も販売されており、現在最もプレイしやすい。
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**その後の展開
本作と舞台を同じにする続編『[[ミステリート ~不可逆世界の探偵紳士~]]』、同作の裏側(舞台、時間軸が共通)の別の事件を描いた『[[ミステリート ~アザーサイド・オブ・チャーチ~]]』等、探偵紳士シリーズとしてシリーズ展開されている。『ミステリート』には悪行も僅かながら登場する。~
これらの続編にあたる『ミステリート2 ~フェアウェル・エンカウンター~』も発表されていたが、製作途中で菅野氏が逝去。『2』そのものの発売こそされなかったものの、『ミステリート』とセットにしたリメイク『ミステリートF 探偵たちのカーテンコール』が発表され、『2』部分のシナリオでは悪行も主人公の一人として登場する事が明かされている。しかし『F』は2014年の発表以来大きな進展が無く、2020年現在を以ても発売されていない。
シリーズ以外にも本作に登場する世界的な探偵組織「アイドラー」(悪行は世界に30人程度、日本には2人しかいない最高のAランク)の探偵が登場したり、その探偵に憧れている等、世界観を共通とする作品が多数発売されている。~
また、本作より前に発売された『エクソダスギルティ』も同一世界観に含まれており、『ミステリート』に『エクソダスギルティ』のキャラが登場している。~
//**余談
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