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*FINAL DOOM 【ふぁいなる どぅーむ】 |ジャンル|FPS|CENTER:&amazon(B00GE1C32C)| |対応機種|MS-DOS|~| |発売元|GT interactive|~| |開発元|team TNT|~| |発売日|1996年6月17日|~| |定価|498円(Steam)|~| |配信|Steamにてオンライン販売中|~| |判定|なし|~| |ポイント|『DOOM』旧作最終作品&br;極悪難易度の全64レベル&br;追加要素はない|~| |>|>|CENTER:''[[DOOMシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 絶大的な人気を博したFPSフランチャイズである[[DOOMシリーズ]]において、2004年の『[[DOOM 3]]』リブートまでの旧作シリーズ最後を飾った作品((コンシューマによる半移植番外編的位置付けだが翌年の『DOOM 64』も存在する))。~ DOOMの『WAD』と呼ばれるオリジナルマップ製作で腕を磨いた先鋭揃いのコミュニティ「team TNT」がid Softwareに接触したことによりid Software公認のDOOM シリーズの一つとなり、「DOOMシリーズの最終章にして、DOOM IIを遊びつくしたプレイヤーへの挑戦状」としてスタンドアローンで発売された。~ ~ 『TNT:Evilution』と『Plutonia Experiment』の2エピソードが存在し、レベルは前作『[[DOOM II: Hell on Earth]]』同様にそれぞれ通常30レベル+シークレット2つ。合わせれば合計64レベルにもなる長編となっている。 ---- **ストーリー >''TNT:Evilution'' > >悪魔の地球侵攻事件から数十年と過ぎた未来。 >別次元ゲートの実験を再開したUACは、木星衛星上に建設した実験場で万全の警備の元研究を行っていた。 >ゲートの向こうから襲い来る軍勢は万全の状態で待機する海兵隊によって全滅し、火星事故の再来を防ぎつつ計画は順調に進められていた。 >数ヵ月後のある日。予定より早くやってきた毎年の補給船を確認し着陸許可を出したレーダーオペレーターは、その機影が異常に大きいことに気付く。やってきた宇宙船は補給物資を搭載したものではなく、腐敗した肉と骨で構成された地獄の軍勢の宇宙船だった。 >歴戦の海兵隊員である主人公が基地へ戻ると、既に内部は悪魔に掌握された後だった。部下や仲間の復讐を誓い、主人公は単身悪魔に闘いを挑む。 >''The Plutonia Experiment'' >悪魔の地球侵攻時に経営者ごと壊滅したUACはその後再建され、悪魔に対抗し得る兵器の開発を行っていた。 >木星基地の壊滅を期に「ゲートに干渉して封鎖を行う装置」の開発が行われ、研究の末に「量子アクセラレータ」という画期的なデバイスが完成、これを巡って再び地獄からゲートが開かれるが、量子アクセラレータにより即座に封じられ、装置の有用性が実証される。 >量子アクセラレータが実用化・量産されれば、現在の手段では侵攻が不可能になってしまう。焦った地獄は最大規模となる7つのゲートを繋ぎ、地球への同時侵攻を開始、アクセラレータの処理量を上回る物量作戦により再度の地球侵攻を図る。 >1時間のうちにアクセラレータは6つのゲートの遮断に成功。しかし最後のひとつには間に合わず、呪術によってゲートを操る古代のデーモン「ゲートキーパー」の干渉によってゲートは維持された状態となってしまう。 >量子アクセラレータが奪われれば、人類に未来はない。近所のビーチでバカンスを満喫していた海兵隊員は召集を受け、ゲートキーバーを倒すべくコンゴのUAC基地へ向かう。 ---- ~ ***ゲームシステム -基本的なゲームシステムは『[[DOOM II: Hell on Earth]]』と同様。 --1エピソードにつき全30ステージ+隠しステージ二つの合計32ステージ構成。一応章ごとの区切りは存在するが、順番にミッションを進める方式となっておりエピソードを個別にプレイすることは不可能。 -新規武器や新規アイテムはない。「DOOM(2016)」のように時系列が離れているわけでもなく、UACの制式火器はDOOM II時代と同じものを使用している。 **評価点 ''当時最高峰のファン職人による、歯応えのあるマップたち'' -日本のゲームで例えるならファンメイド版『[[スーパーマリオブラザーズ2]]』に相当する立ち位置となっており、DOOM IIをクリアしたプレイヤーであることが前提の歯応えある難易度となっている。地形もダイナミックに変化するものや非常に複雑なもの、パズルの仕込まれたものなど一筋縄では行かない内容となっており、特に意図的に難易度を上げまくったThe Plutonia Experimentはまさに「挑戦状」と呼ぶに相応しい出来。 --クリア不可能なマップならば誰でも作れるが、そこはwad職人team TNTの腕の見せ所。歯応えはありつつも決してクリアを想定していないような代物ではない。幾度と無いトライ&エラーの後にゴールへ辿りついた時の達成感はある。 ''全64レベルの大ボリューム'' -実質DOOMエンジン(id Tech 1)を利用した新作二本立てとも言えるボリュームとなっている。もっともエンジン内容やグラフィック、敵種類などはDOOM IIと同一であり、後述の理由から会社側で正式開発したのはPlutoniaのみとなっている。 **問題点 ''追加要素が皆無'' -流石に同一エンジン、同一グラフィックの三作目となればマンネリは避けられず、その打開策足り得るような『DOOM II』には存在した新要素が本作には存在しない。マップも独自性はあるものの、テクスチャの多くが使いまわされているため代わり映えがしない。 ''ファンコミュニティが活発化していたが故の弊害'' -1996年当時はDOOM IIファンコミュニティが非常に活発だった時代であり、日々多くのプレイヤーがオリジナルマップや本編改造データ、それらを統合したオリジナルFPSを製作していた。当時既に「Aliens TC」((「トータルコンバージョン」の略。ゲームのグラフィックの殆どを入れ替えるタイプの物を指す))や「Zombies TC」などグラフィック改変による見た目の別ゲー化が当たり前だったDOOMファンコミュニティにしてみれば『FINAL DOOM』程度の代物は''「ネット上でタダで好きなだけダウンロードできるもの」''でしかなく、ファンコミュニティの高度化が結果として本作の価値を限りなく下げていた。 ''ファンコミュニティ作品の有償販売'' -本作のエピソードの片方「TNT:evilution」は、巨大WAD製作コミュニティである「team TNT」によって''ネット上で無償配布が予定されていた完成済みWAD作品''をid Softwareとの間で販売契約を締結し、id Softwareが商用作品としてリリースしたという経緯がある。あくまでteam TNTメンバーとは販売契約を結んだ上だというものの''「元々無償で公開されるはずのファンメイド作品を、公式が完成後に買い取って有償で販売した」''として論争が巻き起こることに。 --結局その後「The Plutonia」を追加し二本立てで『FINAL DOOM』として販売されたのだが、ファンサイトの一つDoomworldでは「悪名高いWADトップ10」の第五位に入賞するなどid Softwareとファンコミュとの対立が浮き彫りとなった。 ---- **総評 傑作FPS『[[DOOM II: Hell on Earth]]』の更なる続編として登場した作品。~ 難易度はかなり高く歯応えのある作品であり、マップの出来栄えを評価する声は見られる。~ ところが公表〜販売までの経緯からDOOMコミュニティでは「金の無駄」と猛反発を食らった挙げ句、その''6日後に『[[QUAKE]]』が発売された''ことで本作は完全に忘れ去られることとなった。~ 現在ではSteamで約500円とお求めやすい価格で販売されており、またGZDOOMを初めとした多くのファンメイドDOOMエンジンとの互換性もある。DOOM II本編を遊びつくしたプレイヤーであれば、本作に手を出すのも悪くはないだろう。 ---- //**移植 //''Playstation版'' //-ハードスペック上の制約により、ボリュームは1/2程度にまで減っている。また全体の難易度も低め。 **余談 -本作を販売したGT interactiveは後にBuildエンジンを用いた『NAM』『[[World War II GI]]』という二本の2DFPSを販売している。ちなみに、両方を開発したのは''「TNT team」''。TNT teamは1997年に結成された『[[Duke Nukem 3D]]』のファンコミュの一つであり、team TNTとは何ら関係が無いが名前が紛らわしいので混同されることもある。 --しかしながら『NAM』の製作経緯は「TNT teamの開発したファンメイド『プラトーン』MODを公式が買取り、オリジナルゲームへ変更して発売」というもので、本作と似通っている。
*FINAL DOOM 【ふぁいなる どぅーむ】 |ジャンル|FPS|CENTER:&amazon(B00GE1C32C)| |対応機種|MS-DOS|~| |発売元|GT interactive|~| |開発元|team TNT|~| |発売日|1996年6月17日|~| |定価|498円(Steam)|~| |配信|Steamにてオンライン販売中|~| |判定|なし|~| |ポイント|『DOOM』旧作最終作品&br;極悪難易度の全64レベル&br;追加要素はない|~| |>|>|CENTER:''[[DOOMシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 絶大的な人気を博したFPSフランチャイズである[[DOOMシリーズ]]において、2004年の『[[DOOM 3]]』リブートまでの旧作シリーズ最後を飾った作品((コンシューマによる半移植番外編的位置付けだが翌年の『DOOM 64』も存在する))。~ DOOMの『WAD』と呼ばれるオリジナルマップ製作で腕を磨いた先鋭揃いのコミュニティ「team TNT」がid Softwareに接触したことによりid Software公認のDOOM シリーズの一つとなり、「DOOMシリーズの最終章にして、DOOM IIを遊びつくしたプレイヤーへの挑戦状」としてスタンドアローンで発売された。~ ~ 『TNT:Evilution』と『Plutonia Experiment』の2エピソードが存在し、レベルは前作『[[DOOM II: Hell on Earth]]』同様にそれぞれ通常30レベル+シークレット2つ。合わせれば合計64レベルにもなる長編となっている。 ---- **ストーリー >''TNT:Evilution'' > >悪魔の地球侵攻事件から数十年と過ぎた未来。 >別次元ゲートの実験を再開したUACは、木星衛星上に建設した実験場で万全の警備の元研究を行っていた。 >ゲートの向こうから襲い来る軍勢は万全の状態で待機する海兵隊によって全滅し、火星事故の再来を防ぎつつ計画は順調に進められていた。 >数ヵ月後のある日。予定より早くやってきた毎年の補給船を確認し着陸許可を出したレーダーオペレーターは、その機影が異常に大きいことに気付く。やってきた宇宙船は補給物資を搭載したものではなく、腐敗した肉と骨で構成された地獄の軍勢の宇宙船だった。 >歴戦の海兵隊員である主人公が基地へ戻ると、既に内部は悪魔に掌握された後だった。部下や仲間の復讐を誓い、主人公は単身悪魔に闘いを挑む。 >''The Plutonia Experiment'' >悪魔の地球侵攻時に経営者ごと壊滅したUACはその後再建され、悪魔に対抗し得る兵器の開発を行っていた。 >木星基地の壊滅を期に「ゲートに干渉して封鎖を行う装置」の開発が行われ、研究の末に「量子アクセラレータ」という画期的なデバイスが完成、これを巡って再び地獄からゲートが開かれるが、量子アクセラレータにより即座に封じられ、装置の有用性が実証される。 >量子アクセラレータが実用化・量産されれば、現在の手段では侵攻が不可能になってしまう。焦った地獄は最大規模となる7つのゲートを繋ぎ、地球への同時侵攻を開始、アクセラレータの処理量を上回る物量作戦により再度の地球侵攻を図る。 >1時間のうちにアクセラレータは6つのゲートの遮断に成功。しかし最後のひとつには間に合わず、呪術によってゲートを操る古代のデーモン「ゲートキーパー」の干渉によってゲートは維持された状態となってしまう。 >量子アクセラレータが奪われれば、人類に未来はない。近所のビーチでバカンスを満喫していた海兵隊員は召集を受け、ゲートキーバーを倒すべくコンゴのUAC基地へ向かう。 ---- ~ ***ゲームシステム -基本的なゲームシステムは『[[DOOM II: Hell on Earth]]』と同様。 --1エピソードにつき全30ステージ+隠しステージ二つの合計32ステージ構成。一応章ごとの区切りは存在するが、順番にミッションを進める方式となっておりエピソードを個別にプレイすることは不可能。 -新規武器や新規アイテムはない。「DOOM(2016)」のように時系列が離れているわけでもなく、UACの制式火器はDOOM II時代と同じものを使用している。 **評価点 ''当時最高峰のファン職人による、歯応えのあるマップたち'' -日本のゲームで例えるならファンメイド版『[[スーパーマリオブラザーズ2]]』に相当する立ち位置となっており、DOOM IIをクリアしたプレイヤーであることが前提の歯応えある難易度となっている。地形もダイナミックに変化するものや非常に複雑なもの、パズルの仕込まれたものなど一筋縄では行かない内容となっており、特に意図的に難易度を上げまくったThe Plutonia Experimentはまさに「挑戦状」と呼ぶに相応しい出来。 --クリア不可能なマップならば誰でも作れるが、そこはwad職人team TNTの腕の見せ所。歯応えはありつつも決してクリアを想定していないような代物ではない。幾度と無いトライ&エラーの後にゴールへ辿りついた時の達成感はある。 ''全64レベルの大ボリューム'' -実質DOOMエンジン(id Tech 1)を利用した新作二本立てとも言えるボリュームとなっている。もっともエンジン内容やグラフィック、敵種類などはDOOM IIと同一であり、後述の理由から会社側で正式開発したのはPlutoniaのみとなっている。 **問題点 ''追加要素が皆無'' -流石に同一エンジン、同一グラフィックの三作目となればマンネリは避けられず、その打開策足り得るような『DOOM II』には存在した新要素が本作には存在しない。マップも独自性はあるものの、テクスチャの多くが使いまわされているため代わり映えがしない。 ''ファンコミュニティが活発化していたが故の弊害'' -1996年当時はDOOM IIファンコミュニティが非常に活発だった時代であり、日々多くのプレイヤーがオリジナルマップや本編改造データ、それらを統合したオリジナルFPSを製作していた。当時既に「Aliens TC」((「トータルコンバージョン」の略。ゲームのグラフィックの殆どを入れ替えるタイプの物を指す))や「Zombies TC」などグラフィック改変による見た目の別ゲー化が当たり前だったDOOMファンコミュニティにしてみれば『FINAL DOOM』程度の代物は''「ネット上でタダで好きなだけダウンロードできるもの」''でしかなく、ファンコミュニティの高度化が結果として本作の価値を限りなく下げていた。 ''ファンコミュニティ作品の有償販売'' -本作のエピソードの片方「TNT:evilution」は、巨大WAD製作コミュニティである「team TNT」によって''ネット上で無償配布が予定されていた完成済みWAD作品''をid Softwareとの間で販売契約を締結し、id Softwareが商用作品としてリリースしたという経緯がある。あくまでteam TNTメンバーとは販売契約を結んだ上だというものの''「元々無償で公開されるはずのファンメイド作品を、公式が完成後に買い取って有償で販売した」''として論争が巻き起こることに。 --結局その後「The Plutonia」を追加し二本立てで『FINAL DOOM』として販売されたのだが、ファンサイトの一つDoomworldでは「悪名高いWADトップ10」の第五位に入賞するなどid Softwareとファンコミュとの対立が浮き彫りとなった。 ---- **総評 傑作FPS『[[DOOM II: Hell on Earth]]』の更なる続編として登場した作品。~ 難易度はかなり高く歯応えのある作品であり、マップの出来栄えを評価する声は見られる。~ ところが公表〜販売までの経緯からDOOMコミュニティでは「金の無駄」と猛反発を食らった挙げ句、その''6日後に『[[QUAKE]]』が発売された''ことで本作は完全に忘れ去られることとなった。~ 現在ではSteamで約500円とお求めやすい価格で販売されており、またGZDOOMを初めとした多くのファンメイドDOOMエンジンとの互換性もある。DOOM II本編を遊びつくしたプレイヤーであれば、本作に手を出すのも悪くはないだろう。 ---- //**移植 //''Playstation版'' //-ハードスペック上の制約により、ボリュームは1/2程度にまで減っている。また全体の難易度も低め。 **余談 -追加要素がないという都合上、本作のラスボスである「デーモンスピッター」「ゲートキーパー」両者のデザインは前作ボスである「罪の聖像」をそのまま流用している。 --前作ボスには開発段階でメンバーから「罪の聖像」という名前が付けられていたものの、公式発表においては「ダーク・ワン(公式ガイド)」「デカい悪魔(エンディングメッセージ)」などと名称がばらばらだった。現在では羊型巨大悪魔の呼称は「罪の聖像」で統一されており、本作で用いられた二つの別名は使われていない。 -本作を販売したGT interactiveは後にBuildエンジンを用いた『NAM』『[[World War II GI]]』という二本の2DFPSを販売している。ちなみに、両方を開発したのは''「TNT team」''。TNT teamは1997年に結成された『[[Duke Nukem 3D]]』のファンコミュの一つであり、team TNTとは何ら関係が無いが名前が紛らわしいので混同されることもある。 --しかしながら『NAM』の製作経緯は「TNT teamの開発したファンメイド『プラトーン』MODを公式が買取り、オリジナルゲームへ変更して発売」というもので、本作と似通っている。

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