バイオハザード ヴィレッジ

【ばいおはざーど ゔぃれっじ】

バイオハザード ヴィレッジ Z Version

【ばいおはざーど ゔぃれっじ ぜっと ばーじょん】

ジャンル サバイバルホラー



対応機種 プレイステーション5
Xbox Series X/S
プレイステーション4
Xbox One
Windows
Mac
iOS/iPadOS
発売・開発元 カプコン
発売日 【PS5/XSX/PS4/One/Win】2021年5月8日
【Mac】2022年10月28日
【iOS/iPad】2023年10月30日
定価 【PS5/PS4 PKG】8,789円
【PS5/XSX/PS4/One/Win DL】7,990円
【Mac/iOS/iPad】4,990円
レーティング 通常版 CERO:D(17才以上対象)
Z VERSION CERO:Z(18才以上のみ対象)
判定 良作
ポイント 『7』から続くイーサンの物語が完結
前作と異なり大筋の根幹に大きく踏み込む
様々な面が前作から改善される
気になるマーセナリーズの作り込みの甘さ
バイオハザードシリーズ



"絶望" のなかに "希望" はあるか?



概要

『バイオハザード』シリーズの8作目にあたる作品で『バイオハザード7 レジデント イービル』の続編。
時系列としては『7』の3年半後にあたり、アイソレートビュー(一人称視点)が受け継がれている。
タイトルにある『VILLAGE』は村を主な舞台としていることを示していると同時に「VILL」の部分には「VIII」の意匠が施されており、本作が『バイオハザード8』であることを表している。

特典として、シリーズ25周年記念作品であるオンライン対戦アクションゲーム『バイオハザード RE:バース』が付属する*1
当初は発売と同時に遊べると発表されていたが、延期を繰り返して2022年10月28日にサービスが開始となった。


ストーリー

ベイカー家での悪夢から約3年半後となる2021年2月。
イーサン・ウィンターズと妻のミアはBSAAの指示でヨーロッパに渡り、生まれたばかりの娘ローズマリーを育てながら新しい生活を始めていた。
だが、ある夜にクリス・レッドフィールド率いる部隊が彼らの家を襲撃。クリスはミアを殺害し、イーサンとローズマリーは捕えられてしまう。
その後、事故を起こした輸送車の側で意識を取り戻したイーサンは、山中の暗い雪道を進み、近くの村に迷い込む。
その村は、「ライカン」と呼ばれる狂暴な獣人達に襲われていた。


特徴

  • 『7』のアイソレートビューを引き継いだ内容で、多くの操作体系を引き継いでいるが以下のような変更がある。
    • ガード成功時、再度ガードボタンを押すことで相手を押し返す動作が追加された。
      一部の敵との距離を引き離すことができるが、ダメージはない。あくまで体術ではなくガードの派生形である。
    • インベントリ(アイテム欄)システムの大幅変更
      • 前作は横4列で縦に拡張していき、枠が少ない代わりにアイテム欄は大きいアイテムでも1つで2枠の使用にとどまっている、『CV』以前のアイテム欄に近い形式だった。
        本作は『4』のようなアタッシュケースを採用。アイテムごとの大きさ(使用枠数)を考えながら多数の枠の中にパズルのように整頓しつつ納めていくものになっている。
        この変更に伴い、前作で採用されていたアイテムボックスも再び廃止された。
      • クラフトシステムは前作から存続するが、ハーブやガンパウダーといったクラフト専用アイテムは専用の枠に入るため、アタッシュケースを圧迫しない。
        本作では地雷やパイプ手榴弾もクラフト可能になったが、クラフトできるアイテムを増やすためにはレシピを購入する必要がある。回復薬も必ず全快する1種類に減らされた。
      • 換金アイテムとして道中で宝石や工芸品などを手に入れることができる。これらもアタッシュケースとは別枠に入る。
      • ストーリー進行に必要なキーアイテムも、アタッシュケースとは別枠に入る。ただしキーピックは消耗品のため通常アイテム枠になる。
    • 敵を倒すと『4』のように金銭を落としたり、結晶化した体の部位を落としたりする。金は後述の商人からのアイテム購入で使用でき、結晶化部位は換金アイテムとなる。
    • 総じて、アクション性は前作から引き続き制限をかける調整が為される一方、前作から行動の内容やアイテム運搬の改善などの快適性向上が行われている。
  • 商人「デューク」
    • 各ステージや村の広場にいる神出鬼没の商人。イーサンにアイテムを売買してくれる。
    • ストーリー進行によってラインナップが増加していき、アタッシュケース拡張やクラフトレシピの他に武器のカスタムパーツや武器そのものの販売も行われる。
    • 弾薬・回復薬も売ってくれるが、無限に買えるわけではなく進行状況に応じて一定数だけ購入できる。ただし購入しなくてもクリア可能なだけの弾薬はある。
    • 装備している武器のカスタマイズも可能。武器ごとに装弾数や威力・連射性能などのパラメータがあり、それぞれを代金を払うことで強化できる。一部はカスタムパーツが無ければ強化できない。
      • 全ステータスの強化を施した武器は、クリア後にショップでポイント(レコード達成で取得可能)を使い無限化可能。
    • ある程度進めると「食事」が追加される。デュークは食材アイテムを求めており、料理の内容に応じて村で魚や鶏などを倒すことで得られる肉を持っていくことで、彼の作った料理を分けてもらえる。
      料理は体力最大値強化やスピードアップなどのイーサンの能力強化を施してくれる。前作のステロイドなどと同じ役割。
  • 前作ではイベントスキップが出来なかったが、本作では『RE2』『RE3』同様にスキップ可能となった。
  • 6』以来である敵を倒し続けてスコアを稼ぐミニゲーム『THE MERCENARIES』が復活した。
    • 敵を倒しコンボを続けて最高得点を目指すゲームである事は変わらないが本作はお金を使い武器を買えたり1ステージ毎に複数あるフロアを一つずつ攻略していく形に変更された。

評価点

美麗なグラフィック

  • 前作と同様にREエンジンを活かした非常に美麗なグラフィックである。
    • 寂れた寒村、華美な古城、薄暗い工場などどれも非常にリアルに描写される。

リアルさを増したつくり

  • 『バイオハザード』シリーズの銃器描写は凝っている作品もあればかなり適当な作品もあり、まばらであった。
    • しかし、本作ではミリタリーにかなり力を入れており、日本の装備開発会社である田村装備開発とタクティカルギアブランドであるVolk Tactical Gearが制作に携わっている。
    • イーサンが銃をタクティカルリロードやエマージェンシーリロード等も行うようになった。
      • それに対しても「クリスがイーサンに訓練を施した」という違和感のない設定が盛り込まれている。
    • また、田村装備開発の田村氏と長田氏はモーションキャプチャーでクリスやハウンドウルフ隊のアクションシーンに携わっており、元日本警察特殊部隊RATの本物の武装解除や元自衛隊特殊作戦群の動きを主観で体感できる。
  • クリスの仲間であるハウンドウルフ隊は活躍シーンこそ少ないが、素人が見てもタダモノではない雰囲気を醸し出しており、モブが頻繁に死ぬ『バイオハザード』シリーズとしては珍しく死者をほとんど出していない。
  • 終盤にはクリスを操作するパートがあるが、このパートは大ヒットした『Call of Duty: Modern Warfare』を強く意識した作りになっており、ミリタリーマニア垂涎モノである。
    • 終盤パートでクリスが登場するシーンからして、『MW』の消耗品のクルー冒頭のプライス大尉そのままだったり…。

イーサンの頑丈さについての理由付けがされる

  • 前作では明らかに死んだり錯乱するだろう、という状態であっても冷静だったり、手足がくっついたりしていたが、その理由付けが納得のいく形でつけられている。
    • ネタバレになるため詳細は伏せておくが、『7』が伏線になっており上手くつながる終盤の展開は見事。
+ イーサンの体の真実(ネタバレ注意!)
  • 実はイーサンは『7』の序盤の時点でジャックに殺されていた。しかしそこから特異菌の力により蘇るも、その体は全て菌によって出来ていたため回復薬で簡単に治せていたのだ。さらにはこの時ついに体が限界を迎えている事に気付く。
  • この事が明かされる時は展開的にはやや唐突であるものの、そこからイーサンが立ち直り、自身の体が朽ちてまで娘を救おうとする姿に感動した人も多く、また『7』からの伏線回収が上手く出来ており、全体的に評価は高い。
  • ちなみに、イーサンが何故ここまで特異菌に対し完全適合していたのかは不明のままだった。

個性的で魅力的なキャラクター達

  • 登場キャラクター全員、特に四貴族達は個々のイメージモチーフが考えられ入念にキャラ作りがなされており没個性になってる者が一切いない。発売前から絶大な人気を獲得しているドミトレスク夫人を始め、ゲーム外のメディア露出も手伝ってキャラゲーとしても一級品である。
  • 主人公のイーサンも前作では頻繁に悪態をついて後はほぼ無個性とやや感情移入しづらかったが本作では危険を冒してでも娘を助け出そうとする勇敢な父となり、全体的に前作よりも感情移入がしやすくなっている。彼の優しい所が良く出ているエレナとのイベントは必見*2
    • ラストの彼の姿に感動した人も多く、キャラ人気は本作で更に高まった。
      • クリスとの『7』の後の関係も本作で掘り下げられた。
  • 前述の通り『4』を意識した本作だが、今作の武器商人であるデュークは主人公イーサンに非常に好意的かつ協力的であり終盤の戦友感は誰もが胸を熱くしたであろう*3
    常軌を逸した肥満体という強烈な見た目や持ち前のミステリアスさに加え、売買時やイベントのリアクションやセリフが非常に豊富でプレイヤーを飽きさせない。
    • あるボスの本拠地である工場の中(しかもエレベータの中)やラスボス手前にすら「馬車に乗って」登場するため冷静に考えるとギャグの一歩手前であるが、それまでの展開から素直に受け入れてしまうプレイヤーが大半であろう。
    • 『4』の武器商人を彷彿とさせるセリフを言うが、本人曰く「昔の友人の口癖」との事でここでも繋がりが意識されている。

改善されたクリスのキャラクターデザイン

  • 『7』では『6』とは別人としか思えないほど細身になっていたが、今作ではちょうどよい塩梅に『6』を年相応に老けさせたような容姿になっている。
    • 終盤、とあるキャラから体型をネタにされるのだがニヤリとした人は多いはず。
      • 終盤のとあるシーンでは『バイオハザード』以来の喫煙シーンを見ることが出来る。この時のクリスの渋さは初代からのファンには必見*4

多彩で飽きさせないステージ構成

  • ヴィレッジの名の通り拠点的な立ち位置の寒村が中心となり、様々な場所へ赴くこととなる。前述の城を始め、湖畔や工場など目新しい場所を次々に巡ることになるので冒険心が非常にくすぐられる。
    • バリエーションが多いのも『4』を意識している点の1つであり、どのステージも凝っていて面白い。それぞれ全く異なる方向性で怖さを味わせてくれるので、さながらホラーのフルコース料理である。
    • 特にベネヴィエント邸に関しては、秀逸な恐怖演出によって非常にインパクトの強い部分となっており、「シリーズを通してもあそこが一番恐ろしかった」との声が相次いで挙がるほどだった。しかし、ホラー感のミスマッチ感も若干指摘されている(詳しくは後述)。

前作よりも増した銃のカスタマイズ要素

  • 本作では上述の通り『4』を強く意識したつくりになっている為、銃の改造などを行うことができる。
    • 威力や装弾数はもちろん、カスタムパーツによる強化が可能。また、クリア後の要素になるがすべての銃の弾薬を無限にすることができる。
  • 武器の自由な改造が出来るのは本編シリーズでは『5』以来となった*5

周回毎に違う難易度を選べる

  • 『4』ではセーブデータごとに難易度が最初で決めたもので固定だったが、本作ではEasyでクリアして装備を整えてから最高難易度に挑むといったことが出来るようになり、周回プレイしやすくなっている。
    • ただし、これにより最高難易度が周回前提の難しさになってしまっている。詳細は後述。

賛否両論点

主人公が無敵すぎる

  • 上記の理由があるにしても頑丈すぎる主人公のせいで怖さは全く感じられない。ゴア表現が規制されている通常版は、もはやスーパーマンである*6
    • 終盤に伏線としては生きるが、胸に金属の棒が刺さっても無事だったり、痛そうな声をあげながら自分の手を裂いてすぐに治療したり、ミンチにされかけたのに冷静だったりともはやギャグの領域である。
    • 序盤のドミトレスク城ではイーサンが人間離れした行動を見せた後に「何なんだよ この城は」と悪態をつくが、多くのプレイヤーから「お前が何なんだよ」というツッコミを受けた。
      + 人間離れしたイーサン(ネタバレ注意!) 無規制版では右手を手首付近から完全に切断されるが、それを キーアイテム「右手」として取得 し薬液を振りかけて接合させる。接合させた後、元通りになった右手を動かし「よし」と頷くがもはやギャグである。
  • しかし、それが今作の陰鬱なストーリーによるストレスを大きく軽減しているのも確かである。
    • 家族とは強引に引き離され、味方だった者には裏切られ、敵には遊び半分で痛めつけられ…と散々な展開の連続においても全く屈しないどころか、むしろ敵を挑発してみせるほどのイーサンの豪胆さはプレイヤーへ安心感やカタルシスを与えてくれている。これらが前述のキャラクターとしての人気の向上や個性の確立に繋がっていることは明白だろう。

『バイオハザード』らしさの無さ

  • 敵キャラの1人であるハイゼンベルクは念力のような技を使ってくるが、この時点で少なくともホラー感は薄れる。
  • 前述の通りベネヴィエント邸ではとても恐怖感を煽るシーンがあるのだが、どちらかというと『バイオハザード』というよりは『サイレントヒル』や『サイコブレイク』である*7
    • しかしそこがヴィレッジの恐怖感の最大の山場であり、却ってそのせいで以降は怖さが薄れてしまう。評価点で述べた通り恐怖感の方向性がステージごとに様々な切り口から用意されており、例えば武器工場の後半では暗闇の通路の先から凶暴で手強そうなクリーチャーが迫ってくるという充分なホラー要素があるのだが、純粋なホラー感に関しては例の山場を抜けてしまうとどうしても印象負けしてしまうのである。
      • この辺りはホラーの緩急がいまいちで、この恐怖の山場を湖畔ステージの後にもってくるなどすればまた印象が違っていたかもしれない。
  • 全体的に見るとホラー性が減少している。
    • 前作『7』が高いホラー性により好評を得た作品だっただけに、アクション寄りになったゲーム部分や、コメディチックな四貴族のキャラクターなどを好まないプレイヤーも少なくない。
    • …しかし「どっちつかずの物を作ってもダメだ」と製作者はつまらなくならないようホラー部分とシナリオ、アクション部分を意図的に分けており、結果シリーズ最恐とも言える恐怖シーンを味わえるようになっている為悪い事ではない。

ドミトレスクの扱い

+ ストーリー序盤のネタバレ注意!
  • 2』のタイラントや『3』のネメシスのように追いかけてくるタイプのボスキャラであり、事前告知でもあたかも本編で関わり続ける敵と思われていた。
    • しかし、実際に蓋を開けてみれば敵の四貴族の中で最も早く退場するキャラとなった。
    • 『7』のジャックも同様だったがあちらは変異体戦が後に控えていたのに対しこちらは本当に序盤で倒してしまうため、クリアする頃にはどうしても印象は弱くなってしまう。
  • だがその分、過去の追跡型キャラに負けず劣らずの濃い個性はしっかり持っている。
    • どれだけ攻撃を与えてもひるまない上に(たまに服の汚れを払うために立ち止まる程度)*8、視野と攻撃の範囲が広いので隠れてやり過ごしているつもりでも見つかって攻撃を喰らう場合があるので、装備の整っていない1周目では非常に厄介な相手であり、状況次第では同じステージに出てくる娘と連携を仕掛けてくることもある。
    • 退場の早さを惜しまれるのも裏を返せばそれだけキャラクター造形に力が入っているが故のことだろう。

変わり映えのしないシステム

  • 本作は『7』の続編として作られた為、様々なシステムが『7』から見直されて続投されている。ただし、進化したかどうかと問われれば疑問は残る。
  • 『4』を意識して作ったとは言うが金銭での売買の復活や改造システムは悪く言えば焼き直しに近い。本作での新システムといえばガードからの押し返しと料理の2つであり、この2つも過去作に似たような物があった。
    • ただ、設定がかなり充実しており、全体的なシステムもほとんど快適化されている。
  • これは『7』の頃から言われていたことだが、新作でシステムが復活してファンサービスと受け取るか、新作なのにもかかわらずシステム面での斬新さが無いと取るかは人による。

謎が深まった本筋のストーリー

  • 本作のラスボスであるマザーミランダは『バイオハザード』シリーズの根幹をなす存在とのかかわりがあったことが明かされるが、それ故にさらに謎が深まった。 「イーサンの物語」として綺麗に終わらせたはずなのに伏線が謎を呼び、新たな敵を想像させるラストは「まだ続けるのか!?」と思った人も少なくない。
+ 終盤で明かされる真実(ネタバレ注意!)

なんとミランダは本作の数十年も前(始祖ウイルスの発見前)に全ての元凶と言える存在のスペンサーと出会っていた。
スペンサーは彼女に雪山で遭難していた所を助けられ一命を取り留めている為、ある意味彼女は本作のみならず『バイオハザード』シリーズの全ての元凶でもあった。
アンブレラの八角形のロゴは村にあったシンボルをパクったものだった。
そしてエンディングではさらなる真実が明かされる。

+ さらなる真実と謎

5』から対バイオテロ部隊として登場していたBSAAがなんとB.O.Wを使用していた事実が発覚する。
イーサンの最期を見届けたクリスは「ツケを払わせてやる」とBSAA欧州本部へ向かう…という所で物語は終わる。
またエンドロール後のエピローグでは成長した姿のローズが出て来ており、彼女には強力な力があることが示唆される*9
明らかに続編を想起させる終わり方であり、結局本作ではイーサンの体の秘密とスペンサーと村の関係が明かされたものの、それを上回るほど謎が増えていた。

  • DLCの追加ストーリーではイーサンの娘であるローズのその後が描かれるようなので、今後BSAAとクリスがどうなるかは次回作以降に持ち越しということになる。

問題点

あまりにもつまらない「THE MERCENARIES」

  • 本作をクリアするとプレイ可能になるマーセナリーズだが、蓋を開けてみると操作キャラはイーサンのみ、スコア上限は従来の100や200に比べて圧倒的に少ない30である。
    • 4』『5』『6』で爽快感が強かった体術も使えず、順序を決めて一方通行で倒すだけの作業ゲーと化してしまっている。
    • ステージも本編中のステージそのままで、景観は似ていても別ステージだった過去作と比べて劣化している。
    • 全てを最高点でクリアして手に入る武器も3種類の攻撃ができる近接武器という『4』のハンドキャノンと比べるとあまりにもしょっぱいもの。
      • なお、その近接武器の見た目はまんまライトセーバーであり、どう見てもネタ武器の割に取得条件が難しいのも引っかかる点である*10
  • 複数ステージ制で開始前に毎回デュークのアイテムショップを挟むのも単にゲームテンポを悪くしているだけの印象が強い。
    • ハードモードもハンドガン縛りも難易度調整としては雑と言わざるを得ない。
    • 操作キャラがイーサンだけなのも起伏に乏しく、「クリスやハウンドウルフの面々を使いたかった」というプレイヤーは数多い。
    • そもそも、「異なる装備のキャラクターでプレイさせる」というスタイルではなく「ユーザーにカスタマイズさせる」というスタイルを採用したのも、カスタマイズの自由度向上というよりカスタマイズのユーザーへの丸投げに近い。

周回前提なのに周回しづらいつくり

  • 今作では『4』と同様に周回が前提で作られているはずなのに、飛ばせないところがあまりにも多い。
    • 序盤の娘のローズをあやすシーンは飛ばせず、その後雪山に投げ出されて村人と出会うまでがあまりにも長いのに飛ばせない。
      • また、要所要所でも細かいところで飛ばせないところがある上、『4』ではワンボタンでムービーをスキップできたのにもかかわらず、こちらはスキップ画面を開く→スティックを横にしてカーソルを合わせる→決定を押す。と地味に手間がかかる。
      • 全くスキップ出来なかった『7』よりはマシと言った程度。
  • 周回前提が故に、最高難易度を最初からやるとあまりにも理不尽な難しさになる。
    • その割に、周回後に威力が高めの武器の無限武器を持った状態でプレイすると一部を除いて一気にヌルゲーと化す。
    • これは前年に出された『RE3』にもあった問題点であり、改善されていない点の1つである。
    • さらには本作に回避コマンドが存在しないのもあってか『RE:3』よりも更に理不尽さを感じる。明らかに悪化している。

地味すぎるクリア特典武器

  • 従来の作品では「無限ロケットランチャー」といったド派手な武器がクリア後に手に入るのが定番だったが、今作では単純に威力の高いだけの銃が多い。
    • 上記のマーセナリーズの特典武器も高威力だが手間のわりに使いづらく*11、最高難易度で手に入る「ロケットピストル」も周回に必須ではある使いやすさだが、殺傷力はそこまで高くなく、かなり地味である。
    • その銃が手に入る頃にはもうすべての武器を手に入れてしまっているため、プレイヤーによってはそこでプレイ終了である。
    • また、威力と装弾数の関係でクリア後の選択肢は限定仕様のWCXとロケットピストルのほぼニ択と化す。

やはりややリアルさに欠ける銃器描写

  • 上述の通り、リロードモーション等は従来作に比べるとかなりリアルになっているのだが、それでも日本国内では実銃が所持できない関係上、エアソフトガンをモデルにしている為にデフォルメされた箇所もある。
    • モーションも要所要所でぎこちないところがあり、銃声や効果音も洋ゲーのFPS等と比べると地味である。
    • そのうえ、FPSでは定番の要素であるADSがサイトを覗くものではなく、2000年代初頭の古いFPSのような画面の倍率をあげるものであり、前作のDLCである『Not a Hero』ではちゃんとクリスは照準していたのに、今作では照準を行わないという点は違和感がある。

クリスの不可解な行動及びその真相の描写

+ ストーリー中の真相ネタバレ注意!
  • 本作ではクリスが闇堕ちする、もしくは元凶であるかのような告知がされていた*12が、結局はクリスはイーサンのために行動していただけであった。
    • 真実を話した後はあっさりと仲直りしてしまうため、「長年のバイオテロとの戦いで疲弊したクリスがバイオテロに手を染めている!?」といった展開を期待したファンは拍子抜けしてしまった。
    • ミスリードを誘うに至った展開の理由付けもかなり強引な物であり説得力に欠ける。一応のフォローとして仲間から間違いだったと指摘されクリス自身もそれを認めるものの、釈明としては苦しすぎる*13
    • 謎が明かされる際にはプレイヤーの誰しもが「先に言えよ!」とツッコミを入れたくなるが、イーサンもまさしくそのタイミングでツッコミを入れ、あっさりと和解する展開は、道中のクリスとのやりとりからするとちょっと拍子抜けである。
      • ただし、当初の構想では「クリスが黒幕に捕まりB.O.W.化され操られる」という筋書きだったらしく、このような演出はその名残だという見方もある。
    • 一方で、カプコンは全く別のシリーズ作品でも似たような展開を描いていた事例があった為、こうなることを予想していたユーザーも少なくない。

RE3』から学んでいない抱き合わせ商法

  • 『RE:3』と同様に本作でもマルチプレイヤーのRE:バースが付属しているのだが、事前情報の時点でファンからは不評であり、それを除いて5,000円ぐらいで買わせてほしかったというプレイヤーは少なくなかった。
    • しかも、サービス開始がヴィレッジ販売の2ヵ月後、というのも未完成品を無理やり抱き合わせているように感じる。
      • さらに延期によってサービス開始予定が2022年になった上、結局発売から約1年が経った2022年10月28日にようやくサービスが開始される模様。

FOVがかなり狭い

  • 近年販売された作品にしてはFOVがかなり狭い。
    • 一人称のホラーでは恐怖演出としてありがちだが、今作は動き回る敵を射撃するアクションシーンや狭い場所の探索が多いため一人称に慣れていても酔いやすい。
    • Win版でも変更不可で、変更するMODが早い段階から用意されるほど。
      • Win版の『7』『RE2』『RE3』では変更可能だったため余計に気になる。

総評

シリーズを大幅転換させ評価を得た『7』に、同じくシリーズの転換と評価を両立させた『4』の要素を足して作り上げられた本作は、『7』のシステムをさらに爽快感のあるアクション寄りのホラーゲームに進化させることに成功した。
本編も、主人公イーサンに感情移入できる良質なストーリー展開によって、『7』から続いたイーサンの物語をうまく纏める事に成功している。

主人公の超人化や、全体的な雰囲気の変化から正統派ホラーかと言われると若干の疑問があり、マーセナリーズの作り込みの甘さなど若干の粗があるものの一部ユーザーからは最高傑作と評されることのある作品である。


余談

  • 騎乗ライカンとは戦えない
    • 物語の序盤、村で襲撃に遭った際にイベントシーンであたかも敵のバリエーションの1つであるかのように馬に騎乗したライカンが登場するのだが、結局コイツはこのシーンのみの登場で結局これ以降は出てくること自体無かった。とんだ肩透かしである。
  • 評価点でも述べたベネヴィエント邸での演出だが、元々は『4』のプロトタイプである「バイオハザード3.5」に実装される予定だったものだとされている。
  • 発表当時、本作のCS版はPS5/XSXの次世代機のみだったが、後に旧世代機のPS4/Oneでも発売が決まったという経緯がある。
    • 次世代機向けゲームの旧世代機版は劣化している事例も多いが本作の場合はほとんどそのようなことはなく*14、PS4/Oneでもほとんど問題なくプレイ可能*15
  • 本作の体験版は以下の2種類が用意されている。
    • 『MAIDEN』
      • PS5限定で配信されたビジュアルデモで、ドミトレスク城に囚われた少女が脱出を目指すという内容。
        ビジュアルデモという事で探索メインかつ戦闘要素はほぼ無いが、本編の前日譚としても楽しめる。なお、下記のものと異なり制限時間は特に設定されていない。
        + 以下ネタバレを含む
      • 本編のとある場所に登場するモロアイカ(ザコ敵)を倒すと「イングリドの首輪」という換金アイテムを落とすが、この首飾りは『MAIDEN』で入手出来る首飾りと全く同じ物である。作中で明言されている訳ではないものの、このモロアイカは『MAIDEN』の主人公の成れの果てである可能性が非常に高い。
    • 『Gameplay Demo』
      • 全機種で配信された体験版で、本編の一部分を遊ぶことが出来る。純粋にどういった内容のゲームか知りたい場合はこちらのプレイを推奨。
        ただし60分の制限時間が設定されており、その時間内しかプレイ出来ないので注意。
  • 今作は大々的なプロモーションが行われ、タイトルにもある「村」と掛けてか、歌手の吉幾三氏が自身の代表曲「俺ら東京さ行ぐだ」の替え歌「俺らこんな村いやだ Lv.100」を歌唱するCMがYouTubeにて公開されたことも話題になった。
  • 上記のコラボに加えて、本作の世界観をNHK教育の人形劇風にアレンジした「バイオ村であそぼ♪」も公開された。なんとこの動画には本家の演出家が関わっている。
  • 賛否両論点でも触れられている通り、本作はステージが進むにつれてホラー要素が薄れていくのが特徴となっている。
    • しかしながらSNS上では、ホラー映画の歴史を踏まえて意図的にこのような展開にしているのではないかと考察しているファンも見受けられた。
    • 最初に訪れる「城」と次の「屋敷」は、戦前から1960年代にかけて隆盛を誇ったクリーチャーの登場する「ゴシックホラー」と1970年代以降に世界的ブームとなった心霊を題材とする「オカルトホラー」で、どちらも主人公は怪異に為す術を持たず、学者やエクソシストなどの専門家に解決が委ねられる。
    • ゲーム内にてホラー要素が薄れてくる「湖」と「廃工場」は、1970年代後半から1980年代にかけて主流となった「パニックホラー」と「SFホラー」で、この辺りから主人公が武装して能動的に立ち向かっていく展開が増えてきている…という内容の考察である。
      • あくまでもファンの考察であり公式の見解ではないことに注意。
    • だが、各キャラクターに上述したようなホラー映画のオマージュが盛り込まれていることに関しては、公式もアートワークの解説文などで認めている。
  • 最初のボスであるドミトレスク夫人はその圧倒的な存在感と妖艶さから、発表当時より国内外で大きな話題となった。
    • 特に海外ではコスプレやファンイラストにエロ画像が様々なサイトで投稿されており、本作は発売前から大いに盛り上がりを見せた。
    • 中には、ドミトレスク夫人のフェイスモデルを担当したHelena Mankowska氏と、モーションアクター&英語版声優であるMaggie Robertson氏までコスプレを披露している(参照)。
  • 世界中で高い評価を受ける本作だが、その一方でホラー映画『武器人間』等から敵のデザインを盗用した疑惑を持たれている。
    • 発端は『武器人間』の監督を務めたRichard Raaphorst氏のSNSでの投稿で、特にハイゼンベルクの工場内で登場する敵が酷似していると主張している。詳細はこちら。
    • そこから芋づる式に『4』『デビルメイクライ』などで過去にもイラストなどを無断使用していたことが発覚し、ついには訴訟を起こされてしまった。
    • この少し前にカプコンが海外のハッカーから攻撃を受けデータを暴露されたのも影響を与えた。

その後の展開

  • E32021にて、追加ストーリーDLCの開発が発表。その後、2022年10月28日に配信された。
    • このDLCではマーセナリーズのアップグレード版「Additional Orders」が実装され、クリスの他に本編の人気キャラであるハイゼンベルクやドミトレスクが使用可能となり、体術や超能力でライカンを蹴散らすことが可能となる。
    • さらに、大人になったローズのその後を描く追加ストーリー「Shadow of Rose」が登場。ローズ自身の精神世界を舞台としており、本編と異なり『RE:2』『RE:3』のようなTPS視点が採用されている。
      • なお、このDLCを導入すれば本編でもTPS視点が選択可能となる。
  • 2022年10月28日にSwitch/Mac版が発売された。Switch版はクラウド上でのプレイとなる。
    • 前述のDLCはSwitch版が2022年12月2日に、Mac版は2023年1月13日に発売された。 
  • 2023年10月30日にiOS/iPadOS版が発売された。前述のDLCも同日発売。
    • 対応機種はiPhone 15 ProとM1チップ以降を搭載したiPadとなる。
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最終更新:2024年03月24日 15:30

*1 Mac/iOS/iPad版には付属しない。

*2 『7』でも妻思いな所やゾイを助けようとする心があり、好感度の良いキャラではあった。

*3 本人曰く「顧客サービスの一環」とのことだが明らかにイーサンに肩入れしてくれており、それが却って恩に感じさせない振る舞いとして魅力になっている。

*4 初代の喫煙シーンは海外版ではカット、DS版でもカットされており、本作までは喫煙をしていた事を示唆させるぐらいしか描写が無く、実際『6』での1シーンでクリスの横に大量の吸い殻がある灰皿が置いてあるぐらいだった。

*5 スピンオフを含めると『リベレーションズ2』以来となる。

*6 無規制版では、序盤に指を食いちぎられ左手は三本指になっていたり、右手を切断されても例の回復薬でくっつけて治すなどしている。

*7 この場面での恐怖演出は幻覚に起因するとなっているが、幻覚自体は『7』から登場した設定ではある。

*8 過去作のタイラント等の追跡キャラはある程度攻撃すると倒せるかしばらく怯ませる事が出来た。

*9 実際、エヴリンの力を受け継いだとミランダは言っている。

*10 しかも、モデリングは本編に出てくるターゲットロケーターの使いまわしである。

*11 攻撃範囲は見た目に反してナイフと同程度。使用時にいちいち刀身を伸ばす必要があり、敵に組み付かれたり武器を変えたりすると引っ込めてしまう。

*12 Z版のパッケージなどに使われているアートもそうとしか見えない。

*13 クリス曰く一般人を巻き込みたくなかったとのことだが、結果としてそれが原因で巻き込まれているので逆効果だったとしか言いようがない。過去にも洋館事件の後に妹のクレアを巻き込まないために敢えて連絡を取らずにいたが、それがかえってクレアを心配させてしまい結果的に彼女は(生還したものの)ラクーンシティのバイオハザードに巻き込まれてしまっている。

*14 One版はプレイには何ら影響はないが、流石に初期型では一部のムービーや読み込み時に微妙に処理落ちする。逆にPS4版は初期型でもそのようなことはない。

*15 一応、ロード関連には僅かに問題があり、エリア間移動と思しき場所ではアイテムメニューのロードに異常な時間を要したり、特定の手順を踏むと暗転ロードが入る箇所がある。