ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島 前編/後編

【ふぁみこんむかしばなし しん・おにがしま ぜんぺん/こうへん】

ジャンル アドベンチャー


対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
発売元 任天堂
開発元 パックスソフトニカ
任天堂情報開発部
発売日 前編:1987年9月4日 / 後編:1987年9月30日
定価 (パッケージ版)前編:2,600円 / 後編:2,500円
配信 バーチャルコンソール(前・後編同時収録)
【Wii】2007年6月19日/600Wiiポイント
【3DS】2013年6月5日
【WiiU】2013年9月18日/上記共に500円
備考 GBA『ファミコンミニシリーズ』第三弾(2004年8月10日発売)
判定 良作
ふぁみこんむかし話シリーズ
ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島 前編/後編 / ふぁみこんむかし話 遊遊記 前編/後編 / 平成 新・鬼ヶ島 前編/後編


概要


アクションゲームの制作がメインというイメージが強かった任天堂が初めて発売したディスクシステム向けのアドベンチャーゲーム。
それまでのアドベンチャーものに推理ものやSF的な世界観の物語が多かったのとは一線を画し、日本の昔話をモチーフにした牧歌的でほのぼのとした作風が幅広い層に受け入れられ、任天堂初のアドベンチャーゲームとして大きな人気を集めた。

シリーズ化され、後に西遊記をモチーフにした第2作目が発売された。


ストーリー


昔々、ながくし村というところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
子供のいなかった二人は毎日神様に子供を授けてくれるようお祈りしていました。
そんなある時、山に芝刈りに出かけたおじいさんは竹やぶで竹から生まれた女の子を、
川に洗濯に出てきたおばあさんが拾った不思議なおわんから生まれた男の子をそれぞれ授かります。 二人は子供たちを喜んで育てることにします。

時が過ぎ子供たちが8歳の誕生日を迎えた頃。 西の都で鬼が暴れ、人々の魂を奪って廻っているという噂がながくし村にも届いてきます。
そしてながくし村にも鬼の魔の手が伸び、おじいさんとおばあさんは魂を奪われてしまうのでした。

悲しみを乗り越え、二人はおじいさんとおばあさんを救うべく、冒険に旅立つのでした


特徴


  • シナリオは日本昔話の世界をベースにしているので、メッセージ・コマンドは全てが縦書きである。
  • 「ひとかえる」コマンドによるザッピングシステムの搭載。
    • プレイヤーの視点を主人公の男の子、女の子の双方に切り替えながらフラグ立てを進めていくことで進行する。
  • ゲーム進行上、取る必要のない行動を自由に取れるなど、選択肢が幅広い。が、その分ゲームオーバーを誘うトラップも多い。
  • 主人公のデフォルトの名前は、男の子が『どんべ』、女の子は『ひかり』。他に、犬は『りんご』、猿は『まつのすけ』、雉は『おはな』となっている。
    • 名前を変えられるのは主人公の2人のみで、名前つけイベントの時にコントローラーのスタートボタンを押すと、一気にデフォルトネームに決定できるという裏技コマンドが仕込まれている*1

評価点


  • 昔懐かしい日本昔話の世界が独特な切り口で融合され、ほのぼのとした温かみのある世界観を作っている。
    • シナリオ周りも何かを調査した時の反応や仲間との会話での反応のメッセージ、演出などに思わず笑ってしまうようなユーモアとギャグが散りばめられている。
  • テキストとコマンドは全て縦書きで、『日本昔話』の雰囲気を強調している。
    • テキストは掛け軸型、コマンドは巻物型のウィンドウに表示される。
    • 日本の昔話という点を考慮してか、使われている文字はひらがなのみ。
  • BGMの殆どは、日本民謡的なリズムと音感に終始しており、コミカルに、時にシリアスで哀愁漂う秀逸なメロディラインは一級品。
    • 作曲はマリオシリーズの近藤浩治。ファミコン20周年記念で発売された食玩CD内のブックレットによると、プログラムを圧縮しやすいように作曲したといい、職人芸が垣間見える。
  • ゲームオーバーを誘う選択肢も数多いのだが、基本的にはベースとなった昔話を知っていれば結果が予測できるものが多い。
    • とはいえ、あえてやってみたくやるようなものが多いのでついついやってしまうことも。もちろん、間違った選択に対するペナルティは『ゲームオーバー』という容赦のないもの。(おまけにそのどれもが正真正銘の死に直結するものばかりである)
      また、一部、原典の昔話の内容を逆手に取ったフラグ展開も用意されており、一筋縄ではいかない。
  • 基本、ノーヒント。ただ、片割れや連れ歩いているお供に話しかけると、何かしら進展するコマンドが出てきたりする。
  • 主人公を切り替えて、NPCやもう一人の主人公に話しかけると、違う台詞が聞けたりとそれなりにテキスト周りが細かい。
  • 女の子、男の子の役割分担がある程度決まっている。
    • 荷物の運搬と敵のとの戦いは男の子担当、文字を読むなどの頭脳労働は女の子担当といった具合。
  • ザッピングシステム
    • これにより、各主人公の個性をテキスト面でうまく表現している。

問題点


  • ハードの仕様上仕方ないが、セーブの度にディスクの面の入れ替えが必要で手間がかかる。その関係で、処理が若干遅い。
  • コマンドを決定・キャンセルする度に画面下部の巻物型コマンドウィンドウが開閉する演出が入るが、アニメーション速度が遅めなので若干テンポが悪い。
  • 物語を読むことより謎解きに重点が置かれていて難易度が高い。
    • 黎明期のアドベンチャーに良く見られた「謎解きのロジック」を重視した作風となっているため、フラグ立てが非常に複雑。
      進行させるために同じコマンドを二回以上繰り返して選択しなければならない場所が多かったり、「やってはいけない」とテキスト上で仄めかしつつ実はゲーム進行に必要な行動があるなどのひっかけもある。
      ゲームオーバー要因も多い上に、意地の悪いひっかけも存在していたりするため、自力でのクリアはなかなか困難。
    • ゲームオーバーになった場合の再開地点が「セーブした地点から」か「プレイ中の章の冒頭から」の二択のみで、ゲームオーバー直前のシーンからやり直すことはできない。
    • シナリオ的にも世界観の斬新さの反面、物語展開自体はあっさりしており、深みは少ない。

総評


話の大筋は桃太郎だが、他の物語の道具や人物の絡め方に違和感があまりない。
男の子と女の子の性格、台詞周り、それぞれのキャラで話しかけたときの反応の違いなど、テキスト周りが充実している。くすっと笑いたくなるような改変が多く、飽きが来ない。コミカルなパロディを織り込みつつ、贖罪をテーマとしたシリアスなストーリーも光っており、難易度の高さを十分に補う魅力を持つ作品と言えよう。


関係する昔話一覧


  • 桃太郎(男主人公・犬・猿・雉・鬼 物語の大筋)
  • かぐや姫(女主人公)
  • 鶴の恩返し(おつうさん・反物)
  • 金太郎(金太郎・熊 -)
  • 傘地蔵
  • 雪女
  • おむすびころりん(ねずみ)
  • 河童
  • UFO(アダムスキー型円盤)
  • 天狗の隠れ蓑(天狗・隠れ蓑の灰)
  • 花咲か爺さん(花を咲かせる灰)
  • かちかち山(木の船とウサキ・泥の船とタヌキ)
  • 一寸法師(打出の小槌)
  • 牛若丸(弁慶)
  • 番町皿屋敷(お菊さん)
  • きつねとぶどう(これ自体はイソップ物語が原点)
  • ききみみずきん
  • 舌切り雀(子スズメ・スズメのお宿)
  • こぶとり爺さん(こぶを取られる前のおじいさん)
  • 浦島太郎(玉手箱・乙姫様)
  • 龍神伝説(龍)

その後の展開


  • ディスク版発売から10年後となる1997年に、SFCの書き換えサービス「ニンテンドウパワー」にて、本作の主人公たちの前世とお供の動物たちの過去を明らかにした外伝作品『平成 新・鬼ヶ島』前編/後編が配信された。
    • これは、SFC向けの衛星データ放送受信用周辺機器「サテラビュー」にて、「サウンドリンクゲーム」として配信されていた「BS新鬼ヶ島」のリメイク版である。
      ちなみに、サウンドリンクゲームとは、あらかじめ決められた1時間にゲームデータとラジオ音声を同時に配信し、制限時間内に謎解きしてゲームを進めたり、スコア稼ぎを競うというもの。ゼルダの伝説やファミコン探偵倶楽部などの過去の名作がBS向けにリメイクされ、配信されていた。
    • 音源などに多少の違いはあれど、ディスク版も収録されている。
  • 1990年に西遊記を原作とするシリーズ第2弾『ふぁみこんむかし話 遊遊記』が発売された。
    • ディスク末期の発売であったため、本作に比べて知名度は低め。

移植版


  • GBA版『ファミコンミニ ふぁみこんディスクシステムセレクション ふぁみこん昔話 新・鬼ヶ島 前後編』
    • 機種変による音質とグラフィックの多少の変質はあるが、ストーリーや台詞などに変更はない。一定時間コマンド選択をせずに待つ必要のある場面での待ち時間が短縮されテンポがよくなった。
  • Wii バーチャルコンソール『ふぁみこん昔話 新鬼ヶ島 前後編』
    • GBA版同様、前・後編をひとまとめにしたものがダウンロードできる(600Wiiポイント)。しかし、こちらはテキストに一部変更点が存在する。
  • SFC版『平成新鬼ヶ島前後編』
    • ゲーム中に一定条件を満たすことで前編、後編のクリア後にディスク版が追加される。章ごとに幕間の小芝居デモが挿入される、BGMがSFC音源でアレンジし直され音声もステレオ化されている、グラフィックの若干の劣化、テキストの一部修正*2などの変更点が加えられている他はオリジナルを踏襲している。

その他


  • ハドソンのRPG『天外魔境 ZIRIA』に「名作昔話 じらいあ」と言うミニコントが始まる裏技がある。
    • 名称やコントの演出、グラフィックなどどことなく本作を意識していると思われる節がある。
  • Wiiの裏スマブラこと『キャプテン★レインボー』に、ひかり(女の子)がメインヒロインとして参戦した。
    • ただし、キャラデザはかなり強いアレンジがなされている上、一部『遊遊記』のヒロイン、ちゃおの設定を含んでいる(恋愛小説が好きという件)。