『判定不一致修正依頼』が出ています。対応出来る方がいらっしゃるなら宜しくお願いします。
シェンムーIII
【しぇんむーすりー】
ジャンル
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アクションアドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション4 Windows(Epic Games Store/Steam/GOG.com)
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発売元
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Deep Silver
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開発元
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YS Net Shibuya Productions
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定価
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【PS4】2,498円 【Win(EGS/Steam)】3,090円
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発売日
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【PS4/Win(EGS)】2019年11月19日 【Win(Steam/GOG)】2020年11月19日
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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ファン待望のあまりに遅すぎた続編
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シェンムーシリーズ 一章(US) / II / I&II / III
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概要
その世界観の作り込みの高さから全世界に衝撃を与え、ゲームの歴史にその名を刻んだ伝説のゲーム『シェンムー』シリーズのファン待望の続編。
前作にあたる『シェンムーII』の発売から20年近くが経過しており、それまでに本作の開発延期・中止が幾度となく繰り返されファンもほぼ諦めていたが、クラウドファンディングによる資金調達を経てゲーム開発が再開、発売に至った。
クラウドファンディングサイトとしてKickstarterが使われ、このサイトでの100万ドル到達速度と最終到達金額で『Bloodstained: Ritual of the Night』の記録を更新し、ゲームジャンルでは最高記録となった。
ゲーム内容
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戦闘
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拳法や柔術を学び、それらの技を駆使してシナリオの要所要所で敵と闘う。
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アドベンチャー
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収集
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生姜を拾って薬に変える、などのアイテム収集要素がある。
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会話
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村や町の住人に話しかけることができる。内容は挨拶や他愛のない話から、シナリオ上重要なことまで様々である。
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メモ帳
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主人公の涼はシナリオで発生したあらゆることをメモ帳に記しており、シナリオを進めていくとそれがヒントになる。また地図や出会った人物なども記録している。
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ミニゲーム
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ガチャガチャ、ビー玉落とし、サイコロなど、日本でも馴染みのあるものから中国独特のものまで遊びが用意されている。
あらすじ
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父が殺される原因となった一対の鏡の過去を知るべく旅を続ける芭月涼は、その道中で莎花という少女と出会う。莎花の養父で石彫師をしているという袁雲深に会うために、彼女が住む白鹿村へ向かうが、そこに袁の姿はなく、彼が鏡のことについて知っていると思しき内容を記した置き手紙だけが残されていた。
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村の人達から謎の連中が石彫師を狙っているという情報を得た涼と莎花は、袁を探すべく、石彫師を襲う人物とその理由を探ることとなる。
問題点
まず、全体的に旧作からの進化が乏しく、旧作の問題点を引き摺っている。『一章』の記事と見比べて頂けると分かるが、大体問題点がそのままである。
ゲームシステム
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ただでさえ人を選ぶのに代わり映えしないシステム
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本作の搭載しているシステムは旧作のシステムに毛が生えた程度でほとんど変わっていない。今の時代どころか発売当時ですら不便で人を選ぶものであったため、現代のゲームに慣れたユーザーからの批判が多いのはもちろんのこと、年季の入ったゲーマーやレトロゲーム愛好家であっても、シリーズに初めて触れるユーザーがすんなり入るには厳しい。
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リマスター版『I&II』が出ているので「元々こういうゲームなのだ」と納得できる機会があるとは言え、新作としては辛い。
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面倒臭いフラグ管理
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シナリオを進めるために、特定の場所を調べたり、アイテムを手に入れる必要があるのだが、そのフラグ管理の順番が決まっており、次の章のアイテムやフラグを先んじて入手といったことはできない。故に何度プレイしようと各章でできることはほぼ変わらず、作業感が大いに高まる。
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わざわざ住人に道を聞かないと先の場所に行けないなど頭を傾げるフラグも多い。
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全く自由度の無いオープンワールド
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移動に強制的に制限がかかる場所が多く、自由度は低い。いけない場所に行こうとすると「ここで話を聞こう」というメッセージが現れて強制的に今のエリアに留まらされる。
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柵が越えられない、しゃがめないなどできる動作の幅が狭く、プレイしていてリアリティを感じない。
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後述のスタミナ制のせいで、自由に探索できない。この点は旧作よりも不便になっている。
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面倒な動き。
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アイテム入手のためには一々主観して○ボタンを押すなど、全体的に無駄に凝った操作を強要されて面倒。加えて個々の動作がもっさりしていて、益々ストレスが溜まる。
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スタミナ制
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スタミナ制が搭載されており、スタミナが切れるとダッシュができなくなる。回復のためには食べ物を食す必要があるのだが、その為にアルバイトでお金をためたり、収集しなければならない
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加えて、その消費量は他のスタミナ制を採用しているゲームと比較しかなり大きい。少し走っただけでスタミナの十分の一が減る。
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後述のように本作では必須のバトルが少なく、スタミナ管理とそれに伴う駆け引きを楽しめる場面が少ない。ただ探索において面倒な要素が増えたという印象が強い。
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旧作ではアイテムがコレクションでしかなかったり店舗がただの書き割りだったため、それらにゲーム的な意味を持たせる意図が汲み取れるが、功を奏しているとは言い難い。
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カメラ
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ダッシュをするとカメラが揺れやすく、3D酔いしやすい。
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モデリング
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動きや表情も非常に固い。人形を動かすような感覚を覚えることもある。
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粗い作り込み
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飲食店や店舗の中がガラガラだったり、誰もいないテーブルに料理が置かれているなど不自然な描写がチラホラ。
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特に雨が降っても誰も傘を差さない、
土砂降りの雨の中で平気で露店で飲食をしている
人々がよく指摘される。『1』ではきっちり傘を差していたこともあり、違和感が強い。
シナリオ
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会話テンポが遅い
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本作の会話は必要以上にテンポが遅い。例えばアイテムを購入するのに、芭月涼「あの…」店員「なんじゃ?」芭月涼「ほしいものがあるんですが…」などの会話がいちいち挟まる。
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さらに通常の会話も涼が「そうなんですか?」などと頻繁に聞き返すため、個々の会話が異様に長く感じる。
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また、会話の流れも噛み合ってないことが多い。加えてどの住人に対してもオウム返し、テンプレといえる会話が多く、特段会話の面白みがない。
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一応はアップデートにより、任意で会話をスキップ出来るようになった為、テンポの面ではある程度改善されていると言える。
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会話のシステム、演出が不便
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会話の度にカメラのカットバックによるひと演出が入り、話の流れが完全に静止する。
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スキップ、早送りができる会話は一部のみである。どうでもいい会話を聞くのが非常に億劫。
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通常の会話ではオート再生がなく、聞くために一々ボタンを押さなくてはならない。
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仲間との絆が希薄
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過去の『シェンムー』シリーズでは、物語で仲間は大きな役割を担っていた。本作では、ヒロインのファンメイですら物語に大きく関わるほどではなく、涼は完全に一匹狼で物語が進んで行く。
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涼の弱体化
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後述の負けイベントでも触れるが、涼がゴロツキ二人に苦戦するなどシナリオ上で弱体化している。
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シリーズ物の主人公なら当然であるが、少し理由が欲しいものである。
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チュートリアルレベルのシナリオ
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本作のシナリオが薄すぎる。「莎花の養父を助ける。」これだけである。チュートリアルだと言われても信じてしまうような内容である。
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特に本作はシリーズのファンからの批判もある。そもそも『シェンムー』は全11章のノベライズされたオリジナルストーリーというコンセプトで作られたゲームであり、『II』でも多くの謎が残されている状態であったため、そこから20年待たされたファンは今度こそ芭月涼のシナリオを完結させて欲しいという気持ちが多かった。
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だが、結果として完結するどころか全く本編は進まなかったため、多くのファンから落胆と批判の声が出た。
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ネタバレ
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ラストでは遂に因縁の相手である藍帝との直接対決がある。しかし、イベントバトルなので決着は付かずに終わってしまう。
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終盤の5000元を稼がなければならないイベント
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かなりの大金である上、本作では金を稼ぐ手段が非常に限られるため、根気のいる作業が必要となる。
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同じアクションRPGである『龍が如く7 光と闇の行方』でも似たように終盤で300万円を稼ぐイベントがあるが、あちらは「大金を得られるミニゲームがある」「収集要素で大金を得られる」などの救済処置があった。対して本作にはそのいった救済処置はない。
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負けシナリオ
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本作では勝っても結果が変わらない。いわゆる負けシナリオがある。しかも、シナリオは長くないのにラスボスを含めると5回もあるという嫌な展開。最早ここまで来ると嫌がらせレベルである。
バトル
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シナリオ上で戦闘が少ない
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ゲームの内容はほとんどが探索と会話で占められている。
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戦闘システム、演出の改悪
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前作から捌きと投げが撤廃された。前作ではそれらのシステムを使うことで複数の敵に対しても優位に立ちまわることができたが、今作ではそれが全くできず、非常にストレスが溜まる。
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殴ってダウンさせ追い打ちするくらいしかできることがなく、非常に単調な戦闘になってしまった。
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上述の通り必須の戦闘シーンそのものは少ないのだが、それらを突破するに辺りレベリングは避けられず、この単調な戦闘を何度も繰り返す必要がある。
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SEも迫力がなく、闘っていても全く爽快感がない。
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総じて、『シェンムー』シリーズの醍醐味の1つだった、カンフー映画の主人公さながらに闘える要素が失われてしまったと言える。
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QTE
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ストーリーに避けようのない不意打ちQTEがある。しかも今作のQTEは異様に早く、失敗しやすい。失敗するとやり直しさせられストレスが溜まる。
賛否両論点
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セーブ・ロード
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セーブ・ロードはいつでもできるので、上記の資金繰りイベントも根気さえあればクリアできる。
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ただそこまでのやる気が起こるかは不明である
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ミニゲーム
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ミニゲームの質は良く、本編の合間に遊ぶものとして良い塩梅になっている。反対に、この程度のミニゲームは無料アプリレベルとの声も囁かれる。
評価点
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グラフィック
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グラフィックは大幅に進化しており、同世代のソフトと比べても遜色ない。特に白鹿村は美しい森、きれいな川など眩い景色が広がっている。
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細かく作られたキャラ
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本作ではほとんど「モブ」が存在せず、馴染みがない村のおばさんでさえキャラ付けがある。この辺りの緻密な作り込みは見事。
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膨大な会話パターン
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会話の内容はともかく、その数とパターン自体は膨大で、『どうぶつの森』シリーズに匹敵するほどの会話量である。
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電話
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様々なキャラに電話をかけて会話できるという要素がある。なんと前作、前々作のキャラクターにも電話をかけられるという作り込みっぷりである。
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過去作ファンサービス
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シリーズファンからは当時の雰囲気を良く再現できているという意見もあり、同窓会として楽しめる部分はある。
総評
前作から20年待たされた『III』だが、発売されてみると、改悪されたバトル、全く進まない本編など旧来のファンを大いにがっかりさせるものになってしまった。
評価点は概ね「旧作の雰囲気を受け継いでいる」というところであり、単体で見れば、面白みの無いシナリオ、作業感が多くやる気を失わせるシステム、自由度の薄いオープンワールドなどの要素が凡作の評価すら付け難いものとなってしまった。
余談
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本作のWin版は元々Steamでの配信を予定していたが、発売直前にEpic Games Storeでの1年間の時限独占となり、Kickstarterの支援者を中心に多くの批判が出た。
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当初の公約を反故にしたこともあり、希望者には返金措置を取るなどの対応もされたが、Steamのフォーラムは「不評」のレビュー爆撃が多数相次ぎ問題になった。
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当時のEpic Games、そしてDeep Silverは過去にも『Metro Exodus』を筆頭に大小様々なPCゲームを発売直前に時限独占にしていたため、世界中のPCゲーマーからの批判が数多く出ていた。
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また、KickstarterにおけるWin版のリワードに関してプラットフォームの件以外にも反故にされた内容があったことも騒動の要因となった。
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有志の報告による反故にされたWin版リワードの内容
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PCパッケージ版は物理メディア(ディスク)が付いてくるという内容だったが、実際はDLコードが書かれた紙切れ1枚だけしか入っていない。
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$60支払った支援者に対してはゲーム本体のみのリワードなのに対し、普通に買える同額のデラックス版はシーズンパスを含めたゲーム以外の特典が色々付属していた。
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「いち早くシェンムー体験」を謳っていた$100以上の支援者向けの先行トライアル版もE3でプレイアブルデモを公開しただけで、肝心の配布は一切行われなかった。
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ネット雑誌The Escapistのイギリス人レビュアー、Ben "Yahtzee" Crosshaw氏はZero Punctuationにて本作にかなり批判的な評価を下しており、「怒りが溜まってゲームを続けるのすら困難、不満点をとにかく書き留めないと小動物を蹴り殺しそうになるくらい気が済まない」と辛辣なコメントを与えた。
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年の終わりに彼は「The Best, Worst Blandest of 2019」にて、「鈴木裕にまだ出資し続けるんなら、シェンムーはまたお前を殺すことになるぞ、特にお前がクソアレルギーならな!」というコメントを付け加え、本作を「The Third Worst of 2018」に授与した。
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その一方で評価は低い本作に対し、Digitally Downloadedという海外サイトのMatt Sというレビュアーは本作の出来の悪い戦闘に批判しつつも、独特の雰囲気や景観に惹かれ、本作に星5点の満点を付けている。彼のように本作の問題点を批判しつつも楽しめているプレーヤーもいる。
最終更新:2024年05月20日 04:25