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東方見文録 - (2013/07/10 (水) 13:40:14) の1つ前との変更点

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*東方見文録 【とうほうけん ぶんろく】 |ジャンル|アドベンチャー|&amazon(B000068I7I)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |発売・開発元|ナツメ|~| |発売日|1988年11月10日|~| |価格|5,800円|~| |ポイント|突拍子もない演出が目白押しのカルトゲー&br超展開最高潮のエンディング|~| //|分類|突拍子もない演出が目白押し→''バカゲー''&br()副主人公が死んで主人公は発狂、ほかにも文録のせいで死人が続出→''鬱ゲー''&br()ちなみにカテゴリー先としては''鬱ゲー''として扱っているのであしからず|~| **概要 -コナミ独立組が興した会社・ナツメのデビュー作にしてアドベンチャー史に残る狂ゲー。「見聞録」ではない。 -東南アジア大学歴史工学部旅行学科4回生の主人公「東方見 文録(トウホウケン ブンロク)」が、卒業論文のためタイムマシンを開発して「東方見聞録」が書かれた時代にタイムスリップし、マルコ・ポーロと共にジパングを目指す…という内容のアドベンチャーゲーム。全5章構成。 --しかしその狂ったテキスト・展開は、プレイヤーに忘れられないほどのトラウマを植えつける。 -パッケージ絵にアンダーグラウンド系漫画雑誌『ガロ』の表紙を描いていた太田螢一を起用。物凄く怪しい。 **特徴 -コマンド選択式の総当りADV。なお、プレイヤーは文録とマルコの2人を状況に応じて交代する必要がある。 -テキストは「登場人物のセリフ文」と「ナレーターの解説」の2種類に大別され、状況説明などの第三者的な描写はナレーターの口を借りる形で表現されている。 --ナレーターは慇懃無礼なですます口調。顔面部に大きく「N」と書かれた真っ白い頭巾を被った風貌をしている。彼にも1キャラクターとしての人格らしきものがあり、性格は軽い。発言例を以下に示す。 ---文録の荷物を盗んだ犯人を追いかけて道行く人を手当たり次第に殴ろうとすると「カワバタ クンジですか?」と言われる((1981年に起こった「深川通り魔殺人事件」の犯人が川俣姓。))。不謹慎だがいいのかこれ。 ---砂漠の夜を旅している最中、ナレーションの最後に「ツキのー サバクをーときたもんだ」と童謡「月の砂漠」の一節を思い出して、口ずさむ。 ---その見渡す限り砂だらけの場所で意味もなくものを取ろうすると一言「とるもんなんてないヨーン」。 -パスワード入力時に表示されるアイコンが「バタイユの小説に出る眼球」とか「プラナリア」とか。ついでにBGMは「マイムマイム」。 --さらに章クリアのパスワード表示画面に一緒に出てくるメッセージが「パスワードは これだビッチ!」「ロシアよりアイをこめて…」。なんじゃそりゃ。なお、ゲーム中ロシアに行くことはない。 -BGMや脇役キャラクターを始め、随所にTVや映画などからのパロディが見られる。 --例えば、ゲーム序盤で「''ラッキーさん''」((当時放送されていた『ズームイン!朝』に英語コーナーがあり、その司会はウィッキーさん。))がイスラム語のワンポイントアドバイスをくれる。 ***シナリオについて マルコとその父・ニコルはフビライ・ハーンの命を受けてキリスト教伝道の旅をするはずだったが、タイムスリップしてきた文録に驚いてニコルが腰を抜かし何故か背も低くなってしまった為に、文録とマルコの二人で旅に出る事となる。~ これが本作のシナリオの基本的な背景であり、史実に沿ったり沿わなかったりしながら話は展開するのだが、ストーリーは先へ進むほど混沌としてくる。~ また、わりと簡単に死人も出る。~ -キリストの磔刑像にうっかり金的をかましてしまった悪党が、像のライダーキックで死ぬ。ちなみに持っていたのは文録が過去の日本で売りさばくために持ってきていた現代の日用雑貨。 -背中合わせの状態で大樹にされた恋人同士を文録がチェーンソーでタテ割りにする。当然2人とも死ぬ。 -いよいよ足掛け6年の旅の果てジパングに到達しかける文録とマルコだが、文録がタイムマシンをいじって大東亜戦争(太平洋戦争)末期から呼び出した神風特攻隊の特攻により元寇は壊滅、マルコは流れ弾に当たって死ぬことに。 --なぜこんなことをしたかと言うと、同行した元寇の大船団に対して史実で言うところの「神風」が一向に吹かなかったため。神風と間違えて呼んでしまった。 --散々過去に干渉しておいて、そういうところだけ律義なのはどうなんだ。 ---なおマルコが死んだ際、ゲーム中ではただ単にマルコが点滅して消滅するという演出のみだが、没データではマルコの頭が木っ端微塵に吹っ飛ぶというグロ絵が入っている。 -そしてこの狂った世界の極みを示すのがエンディング([[参考動画「東方見文録 第5章後編」>http://www.youtube.com/watch?v=n5Zn8BJYH0E]])。これでも完全クリア時のエンディングである、念のため。 --最初のほうはなんともないが、後半部分はテキストや絵が一気に不気味になり精神異常系っぽさを漂わせているため、そういうものに耐性がなく興味本位で見るとかなりインパクトが強く怖い。まさに只ならぬ狂気そのものである。 **評価点・問題点 -BGMやグラフィックのバリエーションが豊富。 --上記のものすごい展開がそのまま絵になっているグラフィックはプレイヤーを飽きさせず、2コマアニメで面白おかしく強調されているシーンも多い。 --短いものも含めると、BGMの数は40種類以上ある。章ごとに次々と移り変わる舞台それぞれに別の曲が用意されていると考えていい。全体的に尺は短く、完全オリジナルではないアレンジやパロディ曲も含むが、数だけ見れば同時期のADV作品の2~3倍。 -メッセージパターンも簡素ながら豊富で、プレイヤーが無意味な行動をとった時にナレーターの反応で楽しめる事もある。 -一見するとムチャクチャであるが、第4章までの展開は多くが『東方見聞録』内に元ネタをうかがい知れる。しかし5章では全くオリジナルの展開となり、最終的に物語は破綻を迎える。 --つまり見聞録の中身を知らずにデタラメをやったわけではなく、見聞録を読んだ上でフリーダムに解釈したということになる。 -濁点が1文字扱い、文末の読点が省かれている、長セリフは改行が少なく単語が分断されているなど、テキストがやや読みにくい。また、軽い誤字脱字が残っている。 **総評 '88年下半期発のコマンド総当りADVとしては洗練されていない部分があるものの、BGM・グラフィック・メッセージパターンの多彩さや小ネタの豊富さなどは評価できる。本作独特のユーモアセンスは現在でもなかなかお目にかかれない部類であるし、理不尽な謎解きを要求される事もない。~ しかしシナリオの方がぶっ飛びすぎていて、まともな理解がなかなか追いつかない。登場人物はナレーター含めて全員ノリが軽く、個々のエピソードもシリアスなのかおふざけなのか判断に困るだろう。衝撃のラストシーンは、カオスな空気にそこそこ馴染んだプレイヤーですら唖然とさせた。~ 本作はとにかく「一定の評価を下すのが困難な怪作」である。 *余談 キルタイムコミュニケーションの単行本「美食倶楽部バカゲー専科」にて、詳細な考察及び解説が加えられている。深読みの可能性も疑えるものだが、読み物としてはそこそこ面白いだろう。 後にナツメが優良開発会社として有名になった頃『メダロット4』に「[[トウホウケン ブンロク>http://www7.atwiki.jp/medadictionary/pages/766.html]]」というNPCが登場する。 翌年の1989年にトーワチキとの共同開発により発売されたアドベンチャーゲーム『アイドル八犬伝』では、本作のシステムが流用されている。 ----
*東方見文録 【とうほうけん ぶんろく】 |ジャンル|アドベンチャー|&amazon(B000068I7I)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |発売・開発元|ナツメ|~| |発売日|1988年11月10日|~| |価格|5,800円|~| |分類|BGCOLOR(MistyRose):''奇ゲー''|~| |ポイント|突拍子もない演出が目白押しのカルトゲー&br超展開最高潮のエンディング|~| //|分類|突拍子もない演出が目白押し→''バカゲー''&br()副主人公が死んで主人公は発狂、ほかにも文録のせいで死人が続出→''鬱ゲー''&br()ちなみにカテゴリー先としては''鬱ゲー''として扱っているのであしからず|~| **概要 -コナミ独立組が興した会社・ナツメのデビュー作にしてアドベンチャー史に残る狂ゲー。「見聞録」ではない。 -東南アジア大学歴史工学部旅行学科4回生の主人公「東方見 文録(トウホウケン ブンロク)」が、卒業論文のためタイムマシンを開発して「東方見聞録」が書かれた時代にタイムスリップし、マルコ・ポーロと共にジパングを目指す…という内容のアドベンチャーゲーム。全5章構成。 --しかしその狂ったテキスト・展開は、プレイヤーに忘れられないほどのトラウマを植えつける。 -パッケージ絵にアンダーグラウンド系漫画雑誌『ガロ』の表紙を描いていた太田螢一を起用。物凄く怪しい。 **特徴 -コマンド選択式の総当りADV。なお、プレイヤーは文録とマルコの2人を状況に応じて交代する必要がある。 -テキストは「登場人物のセリフ文」と「ナレーターの解説」の2種類に大別され、状況説明などの第三者的な描写はナレーターの口を借りる形で表現されている。 --ナレーターは慇懃無礼なですます口調。顔面部に大きく「N」と書かれた真っ白い頭巾を被った風貌をしている。彼にも1キャラクターとしての人格らしきものがあり、性格は軽い。発言例を以下に示す。 ---文録の荷物を盗んだ犯人を追いかけて道行く人を手当たり次第に殴ろうとすると「カワバタ クンジですか?」と言われる((1981年に起こった「深川通り魔殺人事件」の犯人が川俣姓。))。不謹慎だがいいのかこれ。 ---砂漠の夜を旅している最中、ナレーションの最後に「ツキのー サバクをーときたもんだ」と童謡「月の砂漠」の一節を思い出して、口ずさむ。 ---その見渡す限り砂だらけの場所で意味もなくものを取ろうすると一言「とるもんなんてないヨーン」。 -パスワード入力時に表示されるアイコンが「バタイユの小説に出る眼球」とか「プラナリア」とか。ついでにBGMは「マイムマイム」。 --さらに章クリアのパスワード表示画面に一緒に出てくるメッセージが「パスワードは これだビッチ!」「ロシアよりアイをこめて…」。なんじゃそりゃ。なお、ゲーム中ロシアに行くことはない。 -BGMや脇役キャラクターを始め、随所にTVや映画などからのパロディが見られる。 --例えば、ゲーム序盤で「''ラッキーさん''」((当時放送されていた『ズームイン!朝』に英語コーナーがあり、その司会はウィッキーさん。))がイスラム語のワンポイントアドバイスをくれる。 ***シナリオについて マルコとその父・ニコルはフビライ・ハーンの命を受けてキリスト教伝道の旅をするはずだったが、タイムスリップしてきた文録に驚いてニコルが腰を抜かし何故か背も低くなってしまった為に、文録とマルコの二人で旅に出る事となる。~ これが本作のシナリオの基本的な背景であり、史実に沿ったり沿わなかったりしながら話は展開するのだが、ストーリーは先へ進むほど混沌としてくる。~ また、わりと簡単に死人も出る。~ -キリストの磔刑像にうっかり金的をかましてしまった悪党が、像のライダーキックで死ぬ。ちなみに持っていたのは文録が過去の日本で売りさばくために持ってきていた現代の日用雑貨。 -背中合わせの状態で大樹にされた恋人同士を文録がチェーンソーでタテ割りにする。当然2人とも死ぬ。 -いよいよ足掛け6年の旅の果てジパングに到達しかける文録とマルコだが、文録がタイムマシンをいじって大東亜戦争(太平洋戦争)末期から呼び出した神風特攻隊の特攻により元寇は壊滅、マルコは流れ弾に当たって死ぬことに。 --なぜこんなことをしたかと言うと、同行した元寇の大船団に対して史実で言うところの「神風」が一向に吹かなかったため。神風と間違えて呼んでしまった。 --散々過去に干渉しておいて、そういうところだけ律義なのはどうなんだ。 ---なおマルコが死んだ際、ゲーム中ではただ単にマルコが点滅して消滅するという演出のみだが、没データではマルコの頭が木っ端微塵に吹っ飛ぶというグロ絵が入っている。 -そしてこの狂った世界の極みを示すのがエンディング([[参考動画「東方見文録 第5章後編」>http://www.youtube.com/watch?v=n5Zn8BJYH0E]])。これでも完全クリア時のエンディングである、念のため。 --最初のほうはなんともないが、後半部分はテキストや絵が一気に不気味になり精神異常系っぽさを漂わせているため、そういうものに耐性がなく興味本位で見るとかなりインパクトが強く怖い。まさに只ならぬ狂気そのものである。 **評価点・問題点 -BGMやグラフィックのバリエーションが豊富。 --上記のものすごい展開がそのまま絵になっているグラフィックはプレイヤーを飽きさせず、2コマアニメで面白おかしく強調されているシーンも多い。 --短いものも含めると、BGMの数は40種類以上ある。章ごとに次々と移り変わる舞台それぞれに別の曲が用意されていると考えていい。全体的に尺は短く、完全オリジナルではないアレンジやパロディ曲も含むが、数だけ見れば同時期のADV作品の2~3倍。 -メッセージパターンも簡素ながら豊富で、プレイヤーが無意味な行動をとった時にナレーターの反応で楽しめる事もある。 -一見するとムチャクチャであるが、第4章までの展開は多くが『東方見聞録』内に元ネタをうかがい知れる。しかし5章では全くオリジナルの展開となり、最終的に物語は破綻を迎える。 --つまり見聞録の中身を知らずにデタラメをやったわけではなく、見聞録を読んだ上でフリーダムに解釈したということになる。 -濁点が1文字扱い、文末の読点が省かれている、長セリフは改行が少なく単語が分断されているなど、テキストがやや読みにくい。また、軽い誤字脱字が残っている。 **総評 '88年下半期発のコマンド総当りADVとしては洗練されていない部分があるものの、BGM・グラフィック・メッセージパターンの多彩さや小ネタの豊富さなどは評価できる。本作独特のユーモアセンスは現在でもなかなかお目にかかれない部類であるし、理不尽な謎解きを要求される事もない。~ しかしシナリオの方がぶっ飛びすぎていて、まともな理解がなかなか追いつかない。登場人物はナレーター含めて全員ノリが軽く、個々のエピソードもシリアスなのかおふざけなのか判断に困るだろう。衝撃のラストシーンは、カオスな空気にそこそこ馴染んだプレイヤーですら唖然とさせた。~ 本作はとにかく「一定の評価を下すのが困難な怪作」である。 *余談 キルタイムコミュニケーションの単行本「美食倶楽部バカゲー専科」にて、詳細な考察及び解説が加えられている。深読みの可能性も疑えるものだが、読み物としてはそこそこ面白いだろう。 後にナツメが優良開発会社として有名になった頃『メダロット4』に「[[トウホウケン ブンロク>http://www7.atwiki.jp/medadictionary/pages/766.html]]」というNPCが登場する。 翌年の1989年にトーワチキとの共同開発により発売されたアドベンチャーゲーム『アイドル八犬伝』では、本作のシステムが流用されている。 ----

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