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キャプテン翼II スーパーストライカー - (2020/10/01 (木) 17:57:29) の最新版との変更点

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#contents() ---- *キャプテン翼II スーパーストライカー 【きゃぷてんつばさつー すーぱーすとらいかー】 |ジャンル|スポーツ・シミュレーション|&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/41E1Oui%2BcoL.jpg,width=200,http://www.amazon.co.jp/dp/B000068HC3)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|3MbitROMカートリッジ|~| |発売元|テクモ|~| |発売日|1990年7月20日|~| |定価|6,900円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[キャプテン翼シリーズリンク>キャプテン翼シリーズ]]''| ---- **概要 斬新なシステムで高い評価を得た『[[キャプテン翼>キャプテン翼 (FC)]]』の続編。~ テクモシアターシリーズ第4弾であり、第1弾の前作に比べて演出面が格段に強化されている(テクモシアターのVol.2、3、5は[[忍者龍剣伝シリーズ>忍者龍剣伝/NINJA GAIDENシリーズ]])。 今作は原作の3年後を舞台としたゲームオリジナルのストーリー。ブラジルに渡った後のサンパウロFCで新たなチームメイトと共にリオカップを戦い抜く大空翼や、冬の全国高校サッカー大会を戦う岬太郎や日向小次郎らの活躍が描かれる。最終的には全日本代表としてワールドユース大会を優勝するのが目的。操作可能なチームはサンパウロFC、南葛高校、全日本の3つ。 **特徴 システムは前作から大幅に進化し、駆け引きの要素がより強まった。 チームデータ関連の操作(前作ではチームデータの閲覧はスタートボタンを押して確認)がコマンド形式に統一された。 継続方式は前作同様のスコアメモ(パスワード)。前作の32文字から、18文字と大幅に短縮された。 ***戦術・戦略関連 -フォーメーション、ディフェンスタイプの変更が追加、またスタメン間での選手の変更も行えるようになりサンパウロ編や南葛高校編でもポジションチェンジを行えるようになった。 #region(フォーメーションとディフェンスタイプの詳細) -フォーメーションの種類(数値はDF/MF/FWの人数を表す) --4-3-3:最も標準的なフォーメーション。IIIとIVでは『オーソドックス』の名称で採用。両サイドからのセンタリングがしやすいのが強みだが、CFの9番に負担がかかりやすいのが欠点。VSではこのフォーメーションしか存在しない。 --4-4-2:4-3-3よりMFを1人増やした防御寄りのフォーメーション。FWが2人しかいないため両サイドからのセンタリングがやりにくく、彼らの能力が得点力の鍵を握る。続編ではVまで復活していない。 --3-5-2:MFが5人もいるため中盤の層が厚く、集中的なディフェンスや中盤起点の攻めがやりやすい攻撃的なフォーメーション。しかしDFが3人しかいないため、中盤を突破されると脆い。IIIとIVでは『ツートップ』の名称で採用。 --ブラジルタイプ:4-3-3の変形。11番が中盤に下げられ、代わりに10番が中央寄りの前列に配置される。左サイドが空き、状況に応じて他の選手がその位置に入ってくる。10番を攻撃的に使いたいプレイヤー向け。続編ではそのままの名称でIVまで採用された。 -ディフェンスタイプの種類 --ノーマル:DFはペナルティエリア付近で守りを固め、その他の選手はポジションを基準に状況に応じて動く。最も隙が少なく使いやすいが、DF以外が密集しにくくCPU任せだと競り合いが個別突破されやすい。 --プレス:敵選手に密集して、集団でボールを奪いに行く攻撃的なディフェンスタイプ。ドリブル突破を得意とする敵選手がいる場合に有効。しかし素早いパス回しには弱い。 --カウンター:自チームのペナルティエリア付近で守りを固める守備寄りのタイプ。前線や中盤ではあまり積極的に競り合おうとしないため、相手にチャンスを与えやすいのが難点。味方選手が分散するので、こぼれだまを拾いやすい。 #endregion ***ステータス関連 -ステータスの追加と整理が行われた。 --対シュート能力の『ブロック』が追加された。 --空中での競り合いの追加により、高い球と低い球に対する能力設定が追加された。 ---攻撃ステータスは『トラップ』『シュート』『パス』『スルー』、防御ステータスは『せりあい』『クリアー』『パスカット』。 --GKは敵選手と直接競り合う際の参照ステータスとして『ドリブルにそなえる』『シュートにそなえる』『とびだす』が追加された。 --前作にあった『マーク』は廃止になった。 ---続編ではマークは仕様を変更して復活しているため、テクモ版キャプテン翼シリーズでマークがないのは本作のみ。 ***試合・コマンド関連 -選手の移動方向及び画面下のレーダーが前作の縦方向から横方向に変更され、GK以外の全ての選手の位置が表示されるようになった。 --敵味方の位置と流れがリアルタイムに、かつ一目で分かるようになった。 -パスがキャラ指定式から位置指定式になり、自由な場所にパスを出せるようになった。 --カーソルがパスを渡したい選手のステータスを映していなくても、選手の近くにパスを出せば自動的に取ってくれる。 -敵がボールを持っているときも味方キャラを一人だけだが自由に動かす事が出来るようになり(他キャラはオート。又、A/Bボタンで操作キャラの切り替えも可能)、ボールを保持している敵に突入したり固有強キャラを徹底マークしたりする事で相手の攻撃に備えることが出来るようになった。 -ドリブル動作からの新アクション『''ワン・ツーリターン''』が追加。前作で一部の選手のみ使用できたコンビプレイを汎用アクション化したものである。 --ワン・ツーは近くに味方選手がいないと使用できない(必殺技の場合は距離制限なし)。 --近くの選手にパスを回し、蹴り返して貰っている間に前進するコマンド。短時間で距離を詰められるため、残り時間が少ない状態からシュートを狙う時に重宝する。パスキャッチ先が敵チームのペナルティエリア内だった場合は自動的に浮き球になるため、ボールを持っている選手に浮き球を直接供給しやすくなった。 --パスを回すため、カット側の能力参照はパスカットとなる。 -守備側の地上でのコマンド変更 --前作の『マーク』が削除され、シュートに対応する『ブロック』が前作のパスカットから独立して追加された。 -必殺技のバリエーションが大幅に増加した。 --原作の華とも言える必殺シュートの種類が大幅に増加。 --必殺ドリブル、必殺パス、必殺ディフェンス(タックル/パスカット/ブロック)が追加された。 ---前作では日向など一部キャラのドリブルが強引なドリブルに変化していたが、本作以降は必殺技として独立した。 --前作のコンビプレイは必殺ワン・ツーとして使用可能。 ---必殺技には射程の制限がない。コンビでの必殺技は相方がどこにいても発動できる。 ---必殺ドリブルはIIIやIVと比べ消費ガッツがやや高めな代わり、消費1回分で接触した全ての敵選手に発動する。 -シュート時にランダムで『ねじ込み』と『カバー』が発生するようになり、シュートの結果が最後まで読みにくくなった。 --ねじ込みはシュートがゴールポストに当たった時、他の攻撃側の選手が空いたゴールを狙って再度シュートを放つ。ねじ込みはどんな選手が打とうと''必ず成功する''。 --カバーはGKがボールに触れられなかった時、他の防御側の選手がボールをカットしに行く。ゴールが空っぽでもカバーは発生する可能性がある。こちらは失敗したり、吹っ飛ばされることもある。 -前作では一定時間で強制的にガッツが0になっていた三杉は心臓病を多少克服したという設定になり、強制的に0にならなくなった。 --代わりに試合中にガッツが残り200を切ってしまうと三杉が「うっ!しんぞうが…」の台詞と共に青くなるカットインが入り(状況によっては入らないこともある)、次の試合は最初からガッツが0になってしまう。 --残りガッツが200を切らないようにすればフル出場・連続出場も可能だがドリブル時のガッツ消費量が他の選手より多い((通常は3ずつ消費するが三杉は5ずつ消費する。))上に必殺のハイパーオーバーヘッドもガッツ消費量が多めなのでガッツの管理には気を配りたい所。 --相変わらず能力値は高いのでうまく活用すれば活躍する事は間違いない。 #region(相手との競り合いについて・長いので収納) -センタリングを受けた時にも付近の相手との競り合いが発生するようになり、攻撃側がボールに追いついた場合と守備側が先にボールに追いついた場合とで使えるコマンドが違うなど派手な空中戦が再現されるようになった。 --攻撃側が先に追いついた場合の攻撃側の選択肢は『トラップ』『スルー』『パス』『シュート』の4つ。 ---トラップ:ボールを受け止め、ドリブル画面に移行する。 ---スルー:ボールを取りにいく振りをしてそのまま流し、GKのバランスを崩して能力を低下させるテクニック。ボールはそのまま進行方向に流れていくため、後方に味方選手がいないと敵にカットされたりラインを割ってしまう。原作でも使用された。 ---パス:浮き球から直接パスする。浮き球からは必殺パスは使用できない。 ---シュート:浮き球から直接シュートする。空中からの必殺シュートもあり、低い球か高い球のどちらかでのみ打てる。どちらの浮き球が必要かは必殺シュートによって決まっており、ボレーシュート系は低い球、ヘディングやオーバーヘッドキック系は高い球で打つのが基本。 --攻撃側が先に追いついた場合の守備側と守備側が先に追いついた場合の守備側の選択肢は『クリアー』『パスカット』『フォロー』の3つで、守備側が先に追いついた場合の攻撃側の選択肢はクリアーが『せりあう』に変わる。 ---クリアー:ボールをキックやヘディングで味方ペナルティエリアから遠ざける。上手く行けば味方に拾って貰えるが、敵にカットされることもある。 ---パスカット:パスを狙ってカットする。空中での選択肢で、唯一完全にボールをカットできる可能性がある。ただし成功するかは別。 ---フォロー:競り合いに参加せずに行動可能なまま待機する。ガッツは消費しない。他の選手の競り合いでこぼれ球が発生したり敵のパスやシュートのカットに入ることがある。敵のトラップが成功した場合即座に地上で接触する。 ---せりあう:攻撃側がボールを弾いてこぼれ球にしてチャンスの継続を狙う。フォローがなかった場合、誰に拾われるかはランダム。 -選手がゴールエリアまで接近すると、GKとの競り合いが発生するようになった。本作では1対1でのGKの能力は通常のキャッチやパンチングより成長速度が低下する傾向にあり、更に必殺技が使用できなくなるためかなり不利になる。 --地上の場合は攻撃側とGKが1対1で対決する。攻撃側はドリブルで抜き去ってからシュートするか、直接シュートでゴールを狙うことができる。攻撃側はパスで直接対決を回避したり、必殺技の使用も可能。GK側はコマンド選択肢が『ドリブルにそなえる』『シュートにそなえる』に限定される。 ---ドリブルにそなえる:敵のドリブルを読んでカットに行く。シュートされるとカット率が低下。 ---シュートにそなえる:敵のシュートを読んでカットに行く。ドリブルされるとカット率が低下。 --空中でもGKとの競り合いが発生する可能性があり、この場合は近くにいる他の防御側の選手も参加する。空中ではGKの選択肢が『とびだす』『みがまえる』の2種類となる。 ---とびだす:GKがゴールエリアから前方へ飛び出し、直接カットに向かう。成功すればボールをキャッチして味方にパスできるが、失敗(こぼれだま含む)するとゴールが空っぽになり大ピンチに陥る。 ---みがまえる:ゴールエリアで様子を見る。ガッツは消費しない。相手がシュートを打ってから味方がカットできなかった場合、通常のGKコマンド選択画面に移る。相手がスルーをしてきた場合はバランスを崩される(たまに崩されないことがある)。 --GKがこれらの条件で『みがまえる』以外を選んだ時にボールをキャッチできなかった場合、''しばらくゴールが空っぽになってしまい、絶好の得点チャンスを与えてしまう''。この状態でシュートを打たれるとGKは一切手を出すことができない。 #endregion ***ルール関連 -反則の要素が追加された。 --防御側が相手と競り合った場合にランダムで発生する可能性があり、起きると一旦試合が中断され、反則を起こした選手の位置によってペナルティの種類が決まる。 #region(ペナルティの詳細) ---間接フリーキック(間接FK):反則を受けた選手がパスを行う。直接ゴールを狙う事は出来ない。 ---直接フリーキック(直接FK):ペナルティエリアの近くで守備側が反則を起こすと発生。キッカーを選択可能((直接FKに限らずPKやコーナーキックでも本来はGKもキッカーになれるがこのシリーズでは不可。))で、パスのみでなく直接シュートを打つことも可能。直接FKでのシュートは左右のどちらを狙って打つか決めることになる。守備側は壁の位置を左右のどちらかに指定して防ぐ。 ---ペナルティキック(PK):ペナルティエリア内で守備側が反則を起こすと発生。反則のペナルティでは最も重い。キッカーを選択可能。PK戦のようにシュート位置、またはGKの飛ぶ位置を『ひだりスミ』『しょうめん』『みぎスミ』の3つから選ぶ。両者とも必殺技は使用できない。攻撃側にとっては絶好の得点チャンス。GK側は選択肢を間違うとポストに当たる以外の回避方法がない上、選択肢が合っていても相手との能力差が大きいと届かず決まってしまう事もあるため非常に不利。 --イエローカードやレッドカードの概念はないため、反則を何度起こしても退場することはない。 #endregion -こぼれ球が発生した時に誰もボールを拾えなかった場合、ボールがラインを越えてしまう(割る)ようになった。 #region(アウトオブプレー時の詳細) --スローイン:ボールがタッチライン(両サイドのライン)を割ると発生。ボールに触れていなかった側の選手が両手でボールのパスを行う。スローインは得意な選手と苦手な選手で投げられる距離に違いが出てくるがこのシリーズでそれが設定されているのはⅤのみ。 --コーナーキック(CK):守備側の触れたボールがゴールに入らずにゴールラインを割ると発生。直接FKと並ぶ得点のチャンス。 ---キッカーを選択可能で、パスかシュートを行える。必殺技の使用も可能。 ---コーナーキックでは味方選手の位置を自由に指定可能。相手が絶対に競り合わない位置があるため、そこに選手を置けばパスで容易に浮き球を与えられる。 --ゴールキック:攻撃側の触れたボールがゴールに入らずにゴールラインを割ってしまうと発生。守備側のGKが自動的にパスを行う。 #endregion -反則やボールのライン割りが起きた場合、状況に応じて時間が経過する(基本的に3分)。 --残り時間が0秒になっても、これらの要素で空費時間が生じた場合はロスタイムが発生するようになった。ホイッスルが鳴るまで油断はできなくなり、同時に逆転のチャンスも残されるようになった。 **評価点 -試合演出、ビジュアルシーンの強化 --ビジュアルパートでは登場キャラクターたちがドラマチックに会話する。ファミコンとしては最高峰の演出力。 --時には試合中にもビジュアルシーンが挿入され、展開を盛り上げる。 --選手グラフィックに浦辺タイプが新たに追加。キャラクターのバリエーションが増えた。 --大きなキャラがダイナミックに動く演出は健在。前作よりスピーディに、よりダイナミックに、かつ違和感なく動くように。 ---特にスピード感の上昇は凄まじく、前作を上回るどころかシリーズ中でもトップクラスの迫力である。 --「反則」やそれに伴うフリーキック、コーナーキック、空中での競り合いなどの新要素も盛り込まれ、試合のテンションはさらに高まった。 --前作に比べ、敵をふっ飛ばす(ふっ飛ばされる)描写が多くなった。シュートにもよるが、ディフェンダー数人とキーパーをまとめてふっ飛ばし、ゴールネットを突き破ってゴールすることも。 ---特にキーパーが必殺シュートにふっ飛ばされる光景は本作で初めて再現された。もはやシリーズを語る上で外せないお約束となっている。「○○くん ふっとばされた!」という有名なセリフは、本作が初出。((よくネタにされるのは森崎。サンパウロのGKレナートも同様。ただし後半では若林も容赦なく吹き飛ばされる。)) --条件を満たして隠し合体技「ドライブタイガー」((理由問わず必殺シュートが3回外れると8分の1の確率で使用可能になる、翼の隠し必殺シュート(日向からは発動できない)。))が使用可能になると翼のカットインとセリフ((俺は諦めないぞ!ゴールを奪えないキーパーなんて、この世にいるわけ無いんだ!!))が入り、ドライブタイガーの使用可能が即座に分かるようになった。 ---前作では翼にボールを渡してシュート一覧を開くまで確認不可能だった。 --カットインありの有名選手同士がドリブルとタックルでぶつかり合った場合、互いのカットインとセリフが挿入されるようになり、直接対決の盛り上げに繋がった。 ---これによって、原作でこれでもかと言うほど多用されているセリフ「なにィ」の登場頻度も上がった。 -試合中の駆け引きの要素が大幅に増加し、能力値重視のパワーゲームになりがちだった前作よりも戦略の構築が重要になった。 --空中での競り合いの発生、GKとの直接対決、反則、コーナーキックやフリーキック、ロスタイムの追加など、そのあらゆる追加要素が駆け引きの強化に繋がっている。 --得点を狙いに行く手段が大幅に増えた。基本能力が低い選手でも、これらの要素を駆使することでゴールを狙えるようになった。 ---敵GKと1対1に持ち込むと普通にゴールを狙うより成功しやすく、こぼれ球にされた場合もゴールが空っぽになるため大きなチャンスが生まれる。 ---運が絡んでくるが、敵チームのPA内で反則を誘い、PKを狙うという頭脳的なプレイも可能になった。 -秀逸なオリジナルストーリー --本作はゲームオリジナルストーリーとなっているのだが、この''ストーリーの評価が極めて高く、「これこそがキャプテン翼の正史だ」という声まである。'' #region(ネタバレあり) --スーパーストライカー ---本作のテーマであり、該当キャラは後述のコインブラとイベントで語られるジャイロである。ロベルトによると、翼もスーパーストライカーに限りなく近い存在らしい。 ---このジャイロが自分の弱点を克服するべく編み出した必殺シュート「サイクロン」を翼が完成させる展開も熱い。 ---ちなみにジャイロとはペレ以前に活躍した選手で、未公認記録を含めて1000ゴールもの得点を挙げたストライカーである。ただしヘディングが苦手で、その弱点を克服するためにサイクロンを編み出したという設定。ちなみにテクモ版最終作Vで彼の最期について語られる。彼の後継者はついに現れず、体がボロボロになるまでフィールドに留まり続けたらしい。 --当時の原作でも描かれていなかった「翼vs全日本」や、必殺シュート開眼といった熱い展開がてんこ盛り。 --翼のいない南葛高校が強豪相手にしのぎを削る高校サッカー編も完備。ちなみに所属高校は原作準拠((Jr.ユース編エピローグに進学先として描かれている。))であり、立浪高校には早田だけでなく''中西もいる''所までしっかり再現。 --オリジナルキャラも人気が高い。ドライブシュートが通用しないGK「メオン」、リオカップから登場してライバルとして立ちふさがり、ブラジルユースに所属し、エースクラスの「カルロス」((カルロスは劇場版で先に登場しており、後に原作にも登場するため厳密にはオリジナルキャラではないのだが、本シリーズでは性格などが大分異なっており呼ばれ方も「サンターナ」ではなく「カルロス」になっているなどほぼ別人として描かれている。))。最後の最後に登場し、圧倒的な能力で多くのプレイヤーを苦しめた「コインブラ」((フルネームはアルツール・アンチネス・コインブラ。元ネタはジーコ氏の本名である。))。キーパーマシンの異名を持ち、プレイヤーに強烈なインパクトを与えたブラジルのGK「ゲルティス」。固有グラフィックもセリフも必殺シュートも無いにも関わらず万能な能力を誇り、味方(サンパウロFC)の時はこの上なく頼もしく、敵に回った時は非常に手強い相手となるアルゼンチンの「バビントン」は今もなお愛されている。 ---ワールドユース決勝はまさにオールスターvsオールスター((リオカップで戦ってきたキャラクターが一部を除いて総登場するので敵がすべて名前ありの選手で埋まる。敵が全員名前で呼ばれるのはここを除けば翼vs全日本のみ。))。否が応でも盛り上がる。 ---選手ではないがサッカー協会の片桐の妹の陽子さんも今作が初登場。ストーリー各所で様々な行動でストーリーに彩りを与えてくれる。なお''彼女のビンタは壁を破壊する程で、テクモ版Vのラスボス「アルシオン」に匹敵する戦闘能力の持ち主''でもある。 ---原作の続編はこのシリーズと似ている要素もあり、特に原作続編である『ワールドユース編(以下WY編)』で登場したナトゥレーザやサリナスは、立ち位置や登場演出など、ほとんど本作のコインブラやゲルティスと同一である。ただ、あまりにも似ている((特にサリナスなどは、ゲルティスと容姿までそっくりである。))ためか、「これならコインブラやゲルティスを出して欲しかった」という批判も多い。批判の是非はともかく、ファンからコインブラとゲルティスが愛されているのがわかる((これは版権の問題が関わるので、そんなにホイホイ簡単に出せる物ではないのだろうが))。 --一方でJr.ユース編で戦ったかつての強敵たちも再登場し、全日本の前に立ちふさがる。ディアスやシュナイダーはステータス上昇の能力を持ち、ピエールとナポレオンは新合体技「スライダーキャノン」を新たに習得するなどパワーアップしており、勝つのは容易ではない。 ---原作(無印版)の最後に翼はブラジルに渡るのだが、本作はその3年後を舞台としている。後に『WY編』が描かれたので、現在はパラレルワールド的な扱いになっている。しかしこのWY編は批判が多く、以後の漫画の続編(『ROAD TO 2002』『GOLDEN-23』等)も評価が低いため、上のような意見が出る一因となっている((続編が出るまでにテクモ版が7作出たためにそちらの印象が強くなってしまった事と、『WY編』で翼や新キャラクターを引き立たせる為に他の旧キャラの大半が噛ませ犬扱いや出番がほぼなかった事、大コマの連発で物語進行が遅くなったこと、『WY編』以降キャラの等身バランスがおかしくなったこと等が主な原因とされている。))。 #endregion -秀逸なBGM --山岸継司(モアやまさん)による勢いのあるBGM。前作ではパッとしなかった一部のBGMもアレンジされて良曲となっており、聴くだけでテンションが上がる。BGM担当スタッフのうち、後にコナミの「ときメモ」シリーズの開発にも携わるメタルユーキこと斉藤幹雄氏はフラメンゴFCの曲を担当している。 --サウンドテストが裏技として用意されているため、楽曲・効果音も自由に聴き放題である。 -原作の持ち味とも言えるトンデモ必殺技や演出の数々。 --原作はジャンプマンガならではの「そんなバカな」という世界観とリアルサッカーのバランスが絶妙な作品だったが、その後を描いたゲームオリジナルシナリオの本作は、さらにありえない技や演出が多く登場する。 ---分身ドリブル、分身セーブ、消えるフェイント、消えるシュートのマッハシュート((ただし、これは実際に存在するシュートでもある。))と何でもありの世界になっている。 ---ローリングセーブという高速で体が回っていてかえって取りづらいのでは?という技がある。もっともキーパーの必殺セービングは全シリーズ突っ込みどころありすぎな技が多い。ラストのブラジルのキーパー、ゲルティスの必殺セービング「ダークイリュージョン」は''謎の暗黒空間を移動してボールをキャッチする''というもので、もはや原理の説明ができない。 ---本作から登場し、後のシリーズにもずっと継承される岬の「ジャンピングボレー」はプレイヤーに「何が違うのか?」とツッコまれていた((必殺技でない普通のボレーシュートも、ジャンプしてボレーシュートという動作はキッチリと行っているため。))。同じ理由で三杉の「ハイパーオーバーヘッド」も何がハイパーなのかよく分からない((ただし三杉は通常のオーバーヘッドキックが使えない。))。 ---ランピオンの「ロケットヘッド」、ディウセウの「キャノンヘッド」など、''必殺ヘディングがやけに強力''。特に対アルゼンチン戦におけるサトルステギの「ダイナマイトヘッド」は異常な威力を誇り、競り合いやブロックにきたDF陣やGKを全て吹っ飛ばした上でゴールネットを突き破る程。 ---ボールを持った敵を立花兄弟二人で囲んだ際には''二人立て続けにスカイラブディフェンスを放つ''ことも可能である。 --コーナーキックの際に直接シュートをうつ事も可能だが、条件を満たした翼をキッカーに選ぶと''コーナーキックであるにもかかわらず日向と共にドライブタイガーを放つ''事ができる。当たり前だが実際のサッカーのルールでは反則である。 ---ただし流石に2タッチになるのに気付いたのか、コーナーキック時にはサイクロンは選択不可になっている。 --必殺シュートを放つ際にアナウンサー(チャーリー高橋)は基本的に設定された必殺技名をそのまま読み上げる為、次藤が「さの(佐野)とのコンビプレイ」を放つと「じとうくんの さのとのコンビプレイ!」と''佐野だけ呼び捨てにされる''。ついでに言えば次藤が蹴る段階ですでに「佐野とのコンビプレイ」だと言われてしまっている。さらに悲惨なのがネイのブースターシュート((ネイの放ったシュートを、さらにトニーニョがシュートしてブーストさせる必殺シュート。))で、一瞬だけ「ネイくん''たち''のブースターシュート!」とは言われるがこれでゴールを決めても「ネイくんのブースターシュートがきまった」と言われる。トニーニョ…。 --ごういんなドリブルでキーパーが吹っ飛ばされてシュートを決められることがある。''反則じゃないのか。'' **賛否両論点 -スコアメモが前作より大幅に短縮され、入力が楽になった。 --FCや初期のPCエンジンではパスワードが長いために写し間違えたり、入力が苦痛になって遊ぶのを止めてしまうプレイヤーが発生するゲームも少なくなかった。前作も極端に長いわけではなかったが手間がかかったため、継続が楽になったのは嬉しい点。 ---バッテリーバックアップ方式を採用していないことは、FC時代のゲームの発売から長い年月が経過した現在では、ROMカセット内蔵の電池交換の手間が必要ないという利点にもなっている。 -ゲームシステムの不備を付くことでゲームバランスが崩れる技が多い。 --ただ、これらの技のおかげで低レベルクリアや控え選手のみでクリアといったやり込みを行いやすくする、プレイヤーの笑いを誘うといった面もあるので一概に批判できるものではないが。 -センタリング時に高低が選択できない --サンパウロ編でドライブオーバーヘッドを打ちたいのに低いパス、南葛高校編で隼ボレーが打ちたいのに高いパスがくる、といった事態がおこる。 ---一応、ランダム性のお陰で強力な空中技を持つ敵キャラが適応するパスが来ない為に必殺技を打てず対処可能になる事もあるので、一概に短所とも言い切れない。 ---また、岬のように高いパスはオーバーヘッド、低いパスはジャンピングボレーと言うように高低両方で個人で打てる空中技を持つ、立花兄弟のスカイラブ技のように高低を問わず打てる技を持つキャラの強さを引き立たせると言った面もある。 ---Vでようやくセンタリング時に''「たかいパス」「ひくいパス」''が選べるようになった。ただキャラクターによっては「高い(低い)ボールのみ強い」と言った選手もおり、自由に高低のパスを打てるとそういう面での駆け引きが消えてしまう。 -''スルーの成功率が異常に高く、能力差が明らかに不利でも成功することが多々ある''。 --スルーの使いようで本作の難易度が大きく変わってくるほど。特に''GKが接触時に飛び出してきた場合、ほぼ確実にゴールが空っぽになる''。 ---GKが身構えていた場合でも、バランスを崩して能力が低下するためやはり得点のチャンスになる。 --これらの調整により能力が低い選手でもゴールを奪えるチャンスがあるため、一概に欠点とは言い切れない。また本作は対戦モードの採用を前提にバランスが調整された以後の作品と違って、一人用である点も考慮するべきだろう。 --VS以降は成功率が他のコマンドと大差なくなったり、バランスを崩した時の能力低下が緩和されるなど弱体化した。 -必殺シュートを打つより、ドリブルで敵GKを抜いてゴールした方が消費ガッツが少ない。 --敵GKをドリブルで抜いた場合、その後のシュートはガッツを消費しない。 --ただ敵DFの妨害も激しく、GKと1対1に持ち込むこと自体簡単ではない。また本作では必殺ドリブルの消費ガッツもあまり低いとは言えないので、それまでの立ち回りでガッツを節約しないと合計でのガッツ消費が大差なくなったり、かえって大きくなることもある。 --必殺シュートとドリブルのコストパフォーマンス差が顕著になったのは『III』と『IV』。 -オフサイドが無い。 --この仕様は前作にも該当するが、今作はパスの自由度が大幅に増した為オフサイドルールが存在しない事がより目立つ事となった。 ---特に一旦ポジションを自由に変えられるフリーキック時には数人を相手ゴール手前に配置し、相手のコーナーキックをクリアー後に超ロングパスをして一気に有利になるという展開になる事もある。((もっとも相手チームはガッツが無限大で必殺技を使い放題という事を考えれば、コレぐらいは許されるという意見もある。)) --原作ではこのルールを使用したオフサイドトラップが用いられる事が多かったために原作を知る人にとってはやや不満が残る仕様であった。 ---ただし、オフサイドが実装されたVではオフサイドトラップの悪用で簡単に勝てるようになっていたのである意味妥当な調整であるとも言える((オマケにシナリオの主観が「チームプレイの大切さ」だった為に「チームプレイを心がけパスも頻繁に出す」キャラよりも「個人技主体でチームメイト無視の問題児」の方が(大抵能力が高くオフサイドトラップ戦法も逆効果となりやすいので)厄介という珍事態も多発した。あろう事かラスボス戦もこの流れ(「個人技主体のチーム」→「個人技主体に疑問視しチームプレイで戦う」)である。))。 -鳥カゴ((得点を挙げたら延々パス回しをして攻めない行為。原作にも登場。))や時間稼ぎができてしまう。 --今作はパスの自由度が大幅に増した為、先述のオフサイドが無い事を利用すれば、自軍がリードしてボールをカットした時点で勝利が確定してしまう。他にもフリーキック時に数人を味方ゴール手前に配置し、コーナーキックから超バックパスをして一気に大量の時間を稼ぐといった行動もできる。 --実際の試合なら審判から警告を受けたり、観客からの大ブーイングは必至だが、このゲームにはそんなものはない。''「お前らトリカゴ好きか?」'' ---一例として挙げられるのは西ドイツ戦。こちらがリードすると同時にイベントが発動、シュナイダーが怒ってパワーアップしてくるため、ボールを渡してしまうと失点の可能性が非常に高くなる(リードした時のシュナイダーのシュートはペナルティエリア外はもちろんセンターサークル付近からでも決まる)。西ドイツのキーパーはミューラーということもあり、まともに点の取り合いをしたらガッツがもたない。こういった試合では、勝つためのテクニックとして使わざるを得ない面も。 --もっともゲーム後半になると敵が非常に強くなるため、リードして相手からボールを奪う事や敵をかいくぐってパスを回すのも難しくなっていく。鳥カゴ乱用で勝ち進もうものならレベルも碌に上がらないのでますます辛くなる。 ---レベルが低ければそもそもシュートを打ち込む隙すら滅多に作り出せない。ゴリ押しで必殺技を打ち込んでもモブにすら止められ、こちらの守備は通用せずにあっという間に点差をつけられてしまう。 -''ディフェンスに定評のあるゴールポスト'' --前作同様、様々なテクニックを駆使してキーパーを抜いてもランダムでゴールポストに当たってシュート失敗が発生する。本作ではフィールダーが手前でカバーする演出もある。 ---一応、シュートした時にポストに当たりやすい位置や必殺シュート毎にポストへの当たりやすさやというものが設定されており、上手くコースを変えればポスト直撃の可能性を減らせるがそれでもガッツを大量に消費した必殺シュートやキーパーの逆を突いたペナルティキックが失敗するのは理不尽に感じる場面も。 ---このような特殊なシュート失敗演出はレベルや能力等は一切無視で発生するために幾多のプレイヤーを窮地から救い、絶望へ追いやったりしてきた。また、複数の選手を吹き飛ばすほどに威力の高いシュートが直撃してもボールを破裂させるだけでポスト自体は無傷という恐るべき耐久性からシリーズのプレイヤーの中にはゴールポストを''「S・G・G・P(スーパー・グレート・ゴール・ポスト)」''、''「ポスト神」''と言った名称でネタとして語られている。 ---実際一部の攻略本では「味方のキーパーでは''止めるのは無理だからせめてポストに当たるよう祈ろう''。」などと言う身も蓋もないセリフも。 --ただし本作からは、ポストに当たった場合でも他の選手がねじ込んだりカバーに入るも届かなかったり吹っ飛ばされたりと失敗に見せかけたゴール演出が実装された。シュートが入るかは最後まで分からない。 -反則の発生率が高く、ペナルティも薄い。 --こちらが能力的に勝っていて、敵をドリブルで悠々と抜こうとしても、反則で止められることが多い。特に必殺シュートを反則で止められると、必殺シュートが打てないままガッツを消費してしまうのが痛い。逆に味方が反則をすることも多く、このゲームには退場が無いので、強力な敵は反則狙いでムリヤリ止めるのがセオリーになってしまっている。 ---これを悪用して、敵選手を反則で止めて時間を稼ぐ(反則時に3分経過する)ことも可能。 ---なお反則は能力差が多かったり、ブロックやタックル実行時に発生しやすいようだ。''「サッカーは格闘技だ!」''とは日向の名言ではあるが……。 //日向に喝を入れる「サッカーは格闘技のはずだぜ」が若林の言葉 -若林の弱体化 --前作で見せた圧倒的な強さは無く、敵チームの必殺シュートの前ではあっさりゴールを割られる事も多々ある。 --本作から若林が使える場面でもあえて若島津を起用する選択肢も考えられるようになった。((本作では止められるシュートは若林の方が多いが、三角飛びのおかげでキャッチ可能な範囲が若島津の方が広い。まだ若林の方が強いという評価だが、止められるシュート自体も若島津の方が優れている悲惨な調整になった作品も…。))ゲーム的には評価できるが、度々若林の立場が脅かされるようになったのは残念に感じる原作ファンも。 ---ただし能力と成長は良く本作はクリティカル((カットインと台詞が入り止めてくれる確率が大幅に上がる。若林は「とめる!」の台詞と共にカットインも専用演出で非常にカッコいい。))の発生率が他のキャラより明らかに高いという強みがあるため頼りにはなる。前作での強さは原作準拠でラストの西ドイツ戦のみの参戦だったためで、全日本編で始めから使用可能な今作で調整されるのは当然といえる。実際、ほとんどのシュートをほぼ止められる様では緊張感に欠けると思われる。 -名前だけの予選リーグ --前作のジュニアユース予選リーグは本当にリーグ戦で決勝トーナメント行きを争っていたが、今作のワールドユース予選リーグは「このグループは強敵ばかりだ、引き分けていてはトーナメントに行けないぞ。何としても勝つんだ。」という体裁でリーグ戦のシステムは用いられず、全勝しなければならない。日本に負けたフランスが2位抜けで決勝トーナメントに進出しているためフランスに負けても決勝トーナメントに進出できていたはずで、フランス戦の勝ち負け、あるいは1位抜けか2位抜けかでシナリオが分岐していれば面白かったかもしれない。 --シンプルでゲームの進行がスムーズである反面、リーグ戦の雰囲気がなくなって単調でもある。対戦相手のランダム要素もなくなった。 **問題点 致命的というわけではないが、やはりどうしても気になってしまう部分はある。 -選手間の能力格差 --1よりはマシとはいえ、本作でもプレイヤーキャラ間の能力格差は大きい。 --サンパウロ・南葛高校ではステータスの時点で役に立つキャラと立たないキャラがハッキリと分かれている。 ---両チームとも替えの選手が居ないのにキーパーが弱すぎる。難易度調整の一貫とはいえ、明らかなレナートと森崎の弱さはストレスが溜まりがち。 --全日本のスタメンでは、シュート特化なのに必殺シュートが通用しなくなる新田、DFなのにスタメンDFで唯一ディフェンス必殺技がない松山、全体的に能力が低く顔面ブロックの発動機会が少なすぎる石崎、辺りが不遇。新田と石崎は南葛高校、松山は全日本序盤では強いが終盤は役割がなくなりがち。 --三杉も松山同様シュート以外の必殺技がないが、ステータスが飛びぬけて高いのでこちらは活用できる。 --終盤の敵エース選手はドリブル値が100近く~100超えという滅茶苦茶な数値((ラスボスと特定条件のディアスに至っては200近い。))で、ボールを持たれた時点でシュートを打たれるまで何をしても意味がない展開がザラ。後述のブロック問題もあり終盤DF勢は原作同様にほぼ役に立たなくなる。 ---反面、守備関連の能力はこちらに比べるとかなり低い選手が多く((例として、最終戦のブラジルの選手は大半が40~50くらい。))、お互いにGKがボールを弾くか・それをどちらが拾うか、という大味な展開になりやすい。 -経験値とレベルの問題点 --スコアメモ短縮で各選手の経験値を10枠分しか保持できなくなったためにレベル・経験値を共有する選手が多くなった。同チーム内で共有しているのはあまり気にならないが、使用チームがサンパウロから全日本に切り替わる際に問題が発生している。 ---引継ぎ元がサンパウロの翼の翼・日向・岬の三人に他のメンバーはレベルに大きく差が付けられてた状態で全日本編がスタートする。この三人は元々日本でもトップクラスに強く使い勝手が良いため、唯でさえ大きい性能格差が更に広がってしまう。松山・三杉は能力や設定上はこの三人と並べる実力なのだがこの影響をモロに受けて本来の強さを発揮できていない。 ---一部キャラの経験値が誰にも引き継がれないので育てても経験値の無駄になる。特にサンパウロのジウはシュート力の高さから育ててしまいやすい罠キャラになっている。南葛高校で優秀な井沢に一度引き継がれるのも痛い。((ジウ→井沢→ジウと経験値が二度引き継がれたあと引き継ぎ先がおらずに消滅する。つまり南葛高校内で溜めた井沢の経験値も無駄になる。)) ---キーパーの若林&若島津、森崎で経験値の引継ぎ元が違う。同じキーパーのレナートから引き継ぐ二人に比べ、森崎(と南葛の4人)は弱フィールダーのリマとマリーニから引き継ぐ。そのため、唯でさえ弱いのに森崎だけ初期レベルも差をつけられる仕打ちに。 ---対策としては、全日本結成前に意図的にバビントンと新田((バビントン→新田→バビントン→6人と経験値が継承されるため。))を多用しておくことがあげられる。この二人はその時期では比較的強く経験値を稼ぎやすいうえ、日本の新田・立花兄弟・次藤・松山・三杉と無駄なく主力メンバー6人に引き継がれるため非常に楽になる。引き継ぎ先が4人(早田、佐野、反町、沢田)いるアマラウはまだしも、引き継ぎ先が石崎一人しかいないドトールまで同時にカバーするのは厳しい。 -弱い選手ほど育てにくいバランス --前作から行動に成功した場合のみ試合活躍経験値のボーナスが入るという仕様なのだが、試合勝利・敗北で全選手に入る経験値が低めの本作では選手の強弱がそのまま育てやすさに依存してしまう。 --前述の経験値引継ぎの仕様も相まって、最初からレベルの高い翼・岬・日向と他の選手で差が広がる悪循環に陥りやすい。 --キーパーもセービング成功しないと経験値が入らないため、森崎・レナートは唯でさえ弱いのに全く育たないという悲惨な目にあっている。 -全体的に縮小化したキャラグラフィック --ミーティング等では前作では顔のアップで描かれていたのが今作ではバストアップでの描写になったのでこぢんまりとした印象を受ける。作画自体もやや簡略気味。 ---サイズが違うとはいえ、スコアメモ(パスワード)時の早苗を見比べると一目瞭然だろう。 --キーパーのコマンド選択時の一枚絵が皆同じポーズかつ似た顔つきであり、使いまわし感が漂う。前作では若林と若島津と表情が全然違った。 ---前作ではキャッチを選ぶとパンチングとは別のポーズ(両手)でキャッチに行っていたが、今作ではパンチングの手をグーからパーに変えただけのワンハンドキャッチになった。若島津の三角飛びも弾いた場合とキャッチ成功時に全く同じグラフィックになっている。 --試合中画面上部にガッツ表示が表示されるようになった煽りでプレー表示部分が縮小された。勿論選手自体のグラフィックも一部を除き縮小されている。 -低い浮き球時の汎用的な必殺シュートである「ダイビングヘッド」がなくなってしまった。 --井沢や沢田など二軍選手でも使用できる必殺シュートだったのだが、今作では使う事が出来ず弱体化につながってしまった。 -負け越し前提のゲームバランスは相変わらずである。無敗を維持したままの進行はⅢ以降と比べるとかなり難易度が高い。 --ただし今作は上記の反則の活用とスルー等のシステム追加により、レベルが低くても戦術でカバーできる余地が生まれた。 -再戦時の仕様 --グレミオ戦(ドライブオーバヘッド習得+1得点)のイベントは完了した状態で始まる為、再戦時はかなり難易度が上がってしまう。 ---武蔵戦は再戦時でも通常通り後半から三杉加入となる。最後のブラジル戦は引き分け再試合時のみ前半からコインブラ加入となる。 -こぼれだまを拾える選手がいなくなると、「こぼれだまになった~!」の画面でフリーズしてしまう。 --スルーで敵選手をかわすのを繰り返していると、そのうち向かってくる敵選手がいなくなり、この状態になってしまいやすい。 -コーナーキックや直接フリーキックからのシュートが使いにくい。 --この時は通常時よりシュートの威力が2割増しになるが、本作では敵がボールに接触して勢いを弱められたりカットされることが多いため、結果としてGKに届いても通常時と威力が大差なくなると言うケースが多い。 --III以降の作品では能力差が大きいとボールへの接触が非常に難しくなるように変更され、この問題は解消された。ただしその分防御に回った場合のシュート阻止が困難になった。 -味方陣営の自由度が低い --サンパウロFC、南葛高校は''控えメンバーがいない''((大友カルテットのうち西尾だけがいない。設定上森崎ほどではないがそこそこ優秀なGK一条もいない。いたとしても起用する事はおそらく無いとは言え……。))ためスタメンは完全固定、ポジションとフォーメーションをいじるくらいしかできない。 --全日本は最初からフルメンバーで固定されているためにポジションや戦い方を確立できると、あとはレベル上げのゴリ押しで勝ててしまう。選手間の能力差を埋める手段もない(時代を考慮すると仕方がないとは言え)ため、やりこみでもない限り控え陣(連続出場出来ないが能力の高い三杉と、必殺セーブ目当てでの若島津以外)はほぼ出番なし。 ---敵チームの能力もレギュラーメンバーたちの能力に対して調整されているため、控え陣では全日本編最初の相手「シリア」にすら勝つのが難しい。原作での控えメンバーの描写を見る限り、間違った扱いとは言えないが。 ---ただし今作はレギュラーの制限がないため、やろうと思えば特定の選手をFWにして攻撃させたり、控えメンバーのみでWYを勝ち抜くことも(かなり困難だが)可能。 -前作同様、''敵のみガッツが無限''と言う理不尽な仕様。 --コンビプレイ技を使う敵選手がいる秋田商工戦、全日本戦、フランス戦では多くのプレイヤーが苦しんだ。どこでも使える必殺ワンツーでこちらの守りを易々と突破してくる上に、ゴール前だとそのまま浮き球パスになって合体必殺技を放ってくるからである。それが使い放題だというのだからたまったものではない。中でも立花政夫&和夫の立花兄弟は必殺ディフェンスも充実しており、全く同じ能力の選手が二人いるためにボールが渡る可能性が高く、更に秋田商工と全日本で2回戦うことになるため非常に厄介。 ---特に高校全国大会編の初戦である国見学院戦と秋田商工戦を延々と行ったり来たりさせられるプレイヤーが続出した。南葛のDF陣が頼りない上、GKが最弱クラスの森崎と言う点も拍車をかけている。 --日向・沢田・反町・若島津のいる東邦戦も例によって難関。吹っ飛ばされるとガッツが減ってしまうため、日向のような吹っ飛ばし技の多い敵が相手だと非常に手を出しにくい。若島津は三角飛びがあるために対策なしで必殺シュートを打つと防がれてしまうことが多く、スルーでバランスを崩したり、1対1で対決すると言った工夫が必要。 --この仕様はテクモ版最終作のVで修正されるまで継続された。 ---ただし完全に調整無視ではないようで、必殺技持ちのキャラクターは関連パラメーターが低く設定されていたり、モブしかいないチームは全体的に能力が高い、と言う様にある程度メリハリをつけている。 -全日本編になると、味方フィールダーのブロックが役に立たなくなる。 --GKに若島津・若林が加わるためか、敵選手のシュートの能力値が倍以上に跳ね上がる((日本最強選手である日向が20に満たないのに、全日本初戦のシリア戦の名無し選手は40超え。))。 ---それに対して全日本フィールダーのブロック値は跳ね上がったりしないので、''敵がシュートを打ったらDF陣は触れることもできずにGK任せになる''という現象が起こる。 --次藤のパワーブロックでさえも、名無し選手のシュートに対してなんとか触れて勢いを弱められる程度。これではシュートを打たれる前にダメ元でパワータックルに行くほうがマシである。 --石崎の顔面ブロックは補正値が凄いので、ほぼ確実にこぼれだまにできるが、本作では空中発動不可のため役立つ場面がかなり少ない。 ---次回作からは敵の能力値が急に跳ね上がらなくなったため、この問題は改善されている。顔面ブロックも空中シュートに発動できるようになり使い勝手が向上。 -試合経験値にバグがある --''フラメンゴ戦、東邦学園戦、日本戦では経験値が一切入らない。''負けた場合1試合前に戻るためにはまる事は無いが、経験値稼ぎが若干面倒。 --''フランス戦以降の試合活躍経験値が異常に低くなる。''これは試合活躍経験値がオーバーフローを起こしてしまうためで、勝った時と負け越した時の経験値はそのまま。 ---''試合活躍経験値''は翼・岬・日向(得点、ゲームメイクをするキャラ)と他のキャラとのレベル差が開く事から見てもかなり大きいが、バグのため決勝トーナメントはレベル上げがしづらくなっている。 ---効率よく稼ぐ場合ポーランド戦⇔イングランド戦(わざと負ける)を何周も行って経験値を稼ぐほうが良い(ブラジル戦(負け越し時)の3倍は軽く入る為)。 -評価の高いシナリオだが、突っ込みを入れたくなるような部分もある。 #region(ネタバレあり) -副題にもなっているスーパーストライカーだが、本作独自の固有名詞なのに何を表すのかのまともな説明は終始一切ない。 --分かっているのは「ロベルトは翼にスーパーストライカーを目指すよう助言を残した」「決勝戦の翼はスーパーストライカーとして目覚めつつあった」「ラスボス、コインブラは完成されたスーパーストライカー」…。''以上''。 --冗談抜きで「なんとなく他より凄い点取り屋」程度の意味しか分からない。目覚めつつある、完成された、といった表現から単なる称号ではなく明確な定義があるようだが後のシリーズでも明らかにはされなかった。 --そもそもロベルトは原作で旅立った際、「ゲームメイクをしつつ点を取れる選手」を目指すように助言を残し以後翼はそれに従っている。&br()コインブラのプレイスタイルは「パスを全然出さず、ひたすら単独で切り込み強引にシュートして点を取る」。スーパーストライカーがコインブラのようなプレイスタイルを指すのなら、一度自分が示したプレイスタイルと原作からのテーマでもあるチームプレイを捨てさせようとしたことになるのだが…。 --なお、決勝戦終了後や続編でも翼がスーパーストライカーになったのかどうかも不明。スーパーストライカーという単語は以後チームプレイに目覚めたコインブラに対してしか使われない。…じゃあ結局なんなんだ!? -脇役である監督達の言動や采配が、突っ込みを入れたくなるほど理解不能。以下に軽くあげてみると…… -ロベルトのブラジルチームでの采配 --台詞や行動内容が''ブラジルチームを翼の成長の為の踏み台''にしているとしか思えない。 ---大会中に翼にメッセージ(ただしかなり曖昧な物)を伝えたり、前述のスーパーストライカー・コインブラを試合後半に登場させる。これらのイベント自体は演出もあいまって名イベントといっても良いのだが、メッセージを送るのは明らかに利敵行為であるし、コインブラは存在を伏せられていたらしく、''チーム内で彼を知っているのはリオカップで面識があったカルロスただ一人のみ((しかもリオカップ中に会話しただけでコインブラがサッカー選手だとカルロスが気づくような描写はない。))。''どう考えてもチームメイトと連携が取れない((実際、殆どパスを出さずドリブルで切り込み、マッハシュートを打つだけ。 ただし能力は最高レベルかつ倍速ドリブルなので味方にパスする必要がないともいえるが。))。 ---本気で勝つつもりなら少なくとも事前に試合で出すか、練習に参加させる等してチームとの連携をはかろうとするはず。次回作以降((今作でも再試合時にはフル出場してくる))でも問題なくフルタイム出場していることから決して不可能ではないと思うが……。 ---ユース編ではサングラスをかけ「ブラジルチーム監督」としての態度・雰囲気も一応は漂わせていたのだが、全日本が勝利すると試合終了''直後''であるにもかかわらず翼の元にやってきて祝いの言葉をかけたり教えを説いたりする。サングラスも外してすっかり「師」としてのロベルトに戻っており、変わり身が速すぎると言わざるを得ない。自分のチームの選手を放ったらかしで敵チームの教え子の元へ向かう監督を見てブラジルチームの選手達はどう思うのだろうか……。 -全日本ユースの監督である見上 --ミーティングの際には敵チームの情報を伝え、それに関してアドバイスを送ることでチームを勝利に導く役目があるはずなのだが、役に立たない内容であることが度々ある。 ---中国戦では「4000年の歴史を持つ国だ。どんな相手が居ても不思議ではない。相手の動きに注意しろ。」などとのたまう。どんな相手がいるのか情報収集するのが監督達の仕事じゃないのか? ---ポーランドには倍速ドリブルのFW「マッハー」や前述のローリングセーブを使うGK「ジャイッチ」が、ソビエトには分身セービングを使うGK「ラシン」がいて当然要注意選手なのだが、肝心のミーティングにおいて全く触れられていない。原作の設定で''見上は元GK''のはずなのに相手チームのGKに関心が薄いのは如何なものか。 ---イタリア戦では「GK・ヘルナンデスは全日本打倒に闘志を燃やしている。ゴールを奪うのは難しいが頑張ってくれ。」とまるで他人事の様な言い草。''「どうしたらゴールを奪えるのか」''が知りたいのだが。~ しかもイタリアユースチームには前述のランピオンが加わって攻撃力を得たのだが''これも全く触れられていない''。 ---準決勝の西ドイツ戦、決勝のブラジル戦に至ってはそれぞれ若林・翼が代わりに話すという体たらく。これは原作(JY編)の西ドイツ戦とほぼ同じ展開である((尤もこの作品は選手主体で進んでいく為に、まともな采配をしている監督は少ない。原作当初は高慢な部分が目立ち、得点されただけでヘタレた若林を叱咤して立ち直らせ、ドイツへ共に留学させて成長させた見上はまだマシな方である。))。 -ウルグアイチームとビクトリーノは原作でも西ドイツのかませ犬という扱いだったが、本作でも扱いが悪い。 --一応オリジナルキャラのダ・シルバが追加されて戦力は増しているのだが、対戦するチームがジャパンカップのサンパウロFCのみである。イベント等も皆無、しかもストーリー展開上サンパウロに敗北するために''クラブチームにも勝てないナショナルチーム''と言うレッテルが貼られる。 --そして今作のメインシナリオとなるワールドユースでは予選でアルゼンチンに敗北する。''そのイベントはディアスがドライブシュートを放って得点するシーンのみの描写でビクトリーノ自身は一切関与しない。''原作でフランスと戦って敗北したイングランドは予選で日本と戦うので明らかに扱いが悪すぎる。 ---一応、次回作からは選手が強化されたり、イベント((ヘタレ化した日向を吹っ飛ばすという噛ませポジションだが))があったりするので、最終作でリストラされたイングランドのメンバーよりは以後の扱いはマシだが。 #endregion **総評 前作から大幅に強化された演出と秀逸なストーリー展開から、''シリーズ最高傑作''と讃えられることも多い作品。 システム上の不備や粗もあるが、それらによる珍事態が試合展開を盛り上げたり、低レベル攻略時に役立つテクニックとして有効に活かせると言った長所として見られることも多い。この面も最高傑作と呼ばれる由縁。 **その他 -スコアメモには「べじいた」「もてるつば さ」などの定型パスワードも存在。(ゲーム内部に特別なパスワードとして設定されているのではなく、偶然の産物) -リオカップ編のサントス戦のミーティング時にザガロの必殺技「ダブルイール」に関して、ロベルトの「ちなみに イールとは ウナギのことだ カバヤキにすると うまいぞ。」という論点がずれた台詞はユーザーを爆笑させ本作屈指の迷セリフとなっている。 -リオカップと高校選手権の表彰式のシーンで隠しコマンドを入力すると、同じくテクモからリリースされていた『[[マイティボンジャック>ボンジャック]]』のボンジャックが出演し、チャーリーとの絡みを見せる。 -時代が大らかだったのか、戦うチームの中に''きたちょうせん''が普通に出ている。モブ選手のみで構成され、これと言った特徴はない。他、アジア予選の相手はシリア、中国、イラン、サウジアラビア、韓国。発売から約30年後の現在から見れば''わざわざ政情不安なやばい国を厳選したのか''と思ってしまう程だが、発売当時は特に問題がある話では無かった。 -このゲームシステムを元にした『シネマティックサッカー』が同じくテクモから携帯アプリとしてリリースされている。(テクモによる紹介文「某家庭用サッカーゲームで人気を博したシステムを採用」の“某家庭用サッカーゲーム”とはまさしく本作のことである。)
#contents() ---- *キャプテン翼II スーパーストライカー 【きゃぷてんつばさつー すーぱーすとらいかー】 |ジャンル|スポーツ・シミュレーション|&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/41E1Oui%2BcoL.jpg,width=200,http://www.amazon.co.jp/dp/B000068HC3)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|3MbitROMカートリッジ|~| |発売元|テクモ|~| |発売日|1990年7月20日|~| |定価|6,900円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[キャプテン翼シリーズリンク>キャプテン翼シリーズ]]''| ---- **概要 週刊少年ジャンプで連載していたサッカー漫画「キャプテン翼」をゲーム化し、斬新なシステムで高い評価を得た『[[キャプテン翼>キャプテン翼 (FC)]]』の続編。~ テクモシアターシリーズ第4弾作品((なおテクモシアターのVol.2、3、5は忍者龍剣伝=NINJA GAIDENシリーズの三部作となっている。))であり、第1弾の前作に比べて演出面が格段に強化されている~ 今作は、当時連載が一旦終了していた原作から3年後を舞台としたゲームオリジナルのストーリーを展開。~ 前半ではブラジルに渡った大空翼が、所属したサンパウロFCで新たなチームメイトと共にサッカー王国ブラジルの国内大会を戦う「リオカップ編」、翼のいない南葛高校がフランス帰りの岬太郎をエースに迎えて全国大会を戦う「全国高校サッカー選手権編」、そして翼がブラジル代表クラブの一員として日本での親善大会に挑む「ジャパンカップ編」の三本。~ 後半は若林源三、日向小次郎らお馴染みのメンバーと共に全日本代表として、アジア予選から世界一を目指す「ワールドユース編」という四部構成の大ボリュームを楽しむ事が出来る。~ 操作可能なチームはサンパウロFC、南葛高校、全日本の3つ。 **特徴 -システムは前作から大幅に進化し、かけひきの要素がより強まった。詳細は下記に。~ 細かい所では継続プレイ用のスコアメモ(=パスワード)が、前作の32文字から18文字へと大幅に短縮されている。 ***戦術・戦略関連 -フォーメーション、ディフェンスタイプの変更が追加された。また選手の変更も行えるようになりサンパウロ編や南葛高校編でもポジションチェンジを行えるようになった。 #region(フォーメーションとディフェンスタイプの詳細) -フォーメーションの種類(数値はDF/MF/FWの人数を表す) --4-3-3:最も標準的なフォーメーション。IIIとIVでは『オーソドックス』の名称で採用される。両サイドからのセンタリングがしやすいのが強みだが、CFの9番に負担がかかりやすいのが欠点。VSではこのフォーメーションしか存在しない。 --4-4-2:4-3-3よりMFを1人増やした防御寄りのフォーメーション。FWが2人しかいないため両サイドからのセンタリングがやりにくく、彼らの能力が得点力の鍵を握る。続編ではVまで復活していない。 --3-5-2:MFが5人もいるため中盤の層が厚く、集中的なディフェンスや中盤起点の攻めがやりやすい攻撃的なフォーメーション。しかしDFが3人しかいないため、中盤を突破されるともろい。IIIとIVでは『ツートップ』の名称で採用される。 --ブラジルタイプ:4-3-3の変形。11番が中盤に下げられ、代わりに10番が中央寄りの前列に配置される。左サイドが空き、状況に応じて他の選手がその位置に入ってくる。10番を攻撃的に使いたいプレイヤー向け。続編ではそのままの名称でIVまで採用された。 -ディフェンスタイプの種類 --ノーマル:DFはペナルティエリア付近で守りを固め、その他の選手はポジションを基準に状況に応じて動く。最も隙が少なく使いやすいが、DF以外が密集しにくくCPU任せだと競り合いが個別突破されやすい。 --プレス:敵選手に密集して、集団でボールを奪いに行く攻撃的なディフェンスタイプ。ドリブル突破を得意とする敵選手がいる場合に有効。しかし素早いパス回しには弱い。 --カウンター:自チームのペナルティエリア付近で守りを固める守備寄りのタイプ。前線や中盤ではあまり積極的に競り合おうとしないため、相手にチャンスを与えやすいのが難点。味方選手が分散するので、こぼれだまを拾いやすい。 #endregion ***ステータス関連 -ステータスの追加と整理が行われている。 --対シュート能力として『ブロック』、空中での競り合いシステムに対応して『高い球』と『低い球』に対する能力設定が登場。 ---更に攻撃時のステータスとして『トラップ』『シュート』『パス』『スルー』、防御時のステータスとして『せりあい』『クリアー』『パスカット』が追加された。 --GKは敵選手と直接競り合う際の参照ステータスとして『ドリブルにそなえる』『シュートにそなえる』『とびだす』が追加された。 --前作にあった『マーク』は廃止になった。 ---続編ではマークは仕様を変更して復活しているため、テクモ版キャプテン翼シリーズでマークがないのは本作のみ。 ***試合・コマンド関連 -チームデータ関連の操作(前作ではチームデータの閲覧はスタートボタンを押して確認)がコマンド形式に統一された。 -選手の移動方向及び画面下のレーダーが前作の縦方向から横方向に変更され、GK以外の全ての選手の位置が表示されるようになった。 --敵味方の位置と流れがリアルタイムに、かつ一目で分かるようになった。 -パスがキャラ指定式から位置指定式になり、自由な場所にパスを出せるようになった。 --カーソルがパスを渡したい選手のステータスを映していなくても、選手の近くにパスを出せば自動的に取ってくれる。 -敵がボールを持っているときも味方キャラを一人だけだが自由に動かすことができるようになり(他キャラはオート。又、A/Bボタンで操作キャラの切り替えも可能)、ボールを保持している敵に突入したり固有強キャラを徹底マークしたりすることで相手の攻撃に備えることができるようになった。 -ドリブル動作からの新アクション『''ワン・ツーリターン''』が追加。前作で一部の選手のみ使用できたコンビプレイを汎用アクション化したものである。 --ワン・ツーは近くに味方選手がいないと使用できない(必殺技の場合は距離制限なし)。 --近くの選手にパスを回し、蹴り返してもらっている間に前進するコマンド。短時間で距離を詰められるため、残り時間が少ない状態からシュートを狙う時に重宝する。パスキャッチ先が敵チームのペナルティエリア内だった場合は自動的に浮き球になるため、ボールを持っている選手に浮き球を直接供給しやすくなった。 --パスを回すため、カット側の能力参照はパスカットとなる。 -守備側の地上でのコマンド変更 --前作の『マーク』が削除され、シュートに対応する『ブロック』が前作のパスカットから独立して追加された。 -必殺技のバリエーションが大幅に増加した。 --原作の華とも言える必殺シュートの種類が大幅に増加。更に「必殺ドリブル」「必殺パス」「必殺ディフェンス(タックル/パスカット/ブロック)」が追加された。 ---前作では日向など一部キャラのドリブルが強引なドリブルに変化していたが、本作以降は必殺技として独立した。 --前作のコンビプレイは必殺ワン・ツーとして使用可能。 ---必殺技には射程の制限がない。コンビでの必殺技は相方がどこにいても発動できる。 ---必殺ドリブルはIIIやIVと比べ消費ガッツがやや高めな代わり、消費1回分で接触した全ての敵選手に発動する。 -シュート時にランダムで『ねじ込み』と『カバー』が発生するようになり、シュートの結果が最後まで読みにくくなった。 --ねじ込みはシュートがゴールポストに当たった時、他の攻撃側の選手が空いたゴールを狙って再度シュートを放つ。ねじ込みはどんな選手が打とうと''必ず成功する''。 --カバーはGKがボールに触れられなかったとき、他の防御側の選手がボールをカットしに行く。ゴールが空っぽでもカバーは発生する可能性がある。こちらは失敗したり、ふっとばされることもある。 -前作では一定時間で強制的にガッツが0になっていた三杉は心臓病を「多少」克服したという設定になり、時間経過で強制的に0になる事は無くなった。 --ただし、試合中にガッツが残り200を切ってしまうと三杉が「うっ!しんぞうが…」の台詞とともに青くなるカットインが入り(状況によっては入らないこともある)、次の試合は最初からガッツが0になってしまう。 --残りガッツが200を切らないようにすればフル出場・連続出場も可能だが、そもそもドリブル時のガッツ消費量が他の選手より多い((通常は3ずつ消費するが三杉は5ずつ消費する))うえに必殺のハイパーオーバーヘッドもガッツ消費量が多めなのでガッツの管理には気を配りたいところ。 --とはいえ、相変わらず能力値は高いのでうまく活用すれば活躍することは間違いない。 #region(相手との競り合いについて・長いので収納) -センタリングを受けた時にも付近の相手との競り合いが発生するようになり、攻撃側がボールに追いついた場合と守備側が先にボールに追いついた場合とで使えるコマンドが違うなど派手な空中戦が再現されるようになった。 --攻撃側が先に追いついた場合の攻撃側の選択肢は『トラップ』『スルー』『パス』『シュート』の4つ。 ---トラップ:ボールを受け止め、ドリブル画面に移行する。 ---スルー:ボールを取りにいく振りをしてそのまま流し、GKのバランスを崩して能力を低下させるテクニック。ボールはそのまま進行方向に流れていくため、後方に味方選手がいないと敵にカットされたりラインを割ってしまう。原作でも使用された。 ---パス:浮き球から直接パスする。浮き球からは必殺パスは使用できない。 ---シュート:浮き球から直接シュートする。空中からの必殺シュートもあり、低い球か高い球のどちらかでのみ打てる。どちらの浮き球が必要かは必殺シュートによって決まっており、ボレーシュート系は低い球、ヘディングやオーバーヘッドキック系は高い球で打つのが基本。 --攻撃側が先に追いついた場合の守備側と守備側が先に追いついた場合の守備側の選択肢は『クリアー』『パスカット』『フォロー』の3つで、守備側が先に追いついた場合の攻撃側の選択肢はクリアーが『せりあう』に変わる。 ---クリアー:ボールをキックやヘディングで味方ペナルティエリアから遠ざける。うまくいけば味方に拾ってもらえるが、敵にカットされることもある。 ---パスカット:パスを狙ってカットする。空中での選択肢で、唯一完全にボールをカットできる可能性がある。 ---フォロー:競り合いに参加せずに行動可能なまま待機する。ガッツは消費しない。他の選手の競り合いでこぼれ球が発生したり敵のパスやシュートのカットに入ることがある。敵のトラップが成功した場合即座に地上で接触する。 ---せりあう:攻撃側がボールを弾いてこぼれ球にしてチャンスの継続を狙う。フォローがなかった場合、誰に拾われるかはランダム。 -選手がゴールエリアまで接近すると、GKとの競り合いが発生するようになった。本作では1対1でのGKの能力は通常のキャッチやパンチングより成長速度が低下する傾向にあり、さらに必殺技が使用できなくなるためかなり不利になる。 --地上の場合は攻撃側とGKが1対1で対決する。攻撃側はドリブルで抜き去ってからシュートするか、直接シュートでゴールを狙うことができる。攻撃側はパスで直接対決を回避したり、必殺技の使用も可能。GK側はコマンド選択肢が『ドリブルにそなえる』『シュートにそなえる』に限定される。 ---ドリブルにそなえる:敵のドリブルを読んでカットに行く。シュートされるとカット率が低下。 ---シュートにそなえる:敵のシュートを読んでカットに行く。ドリブルされるとカット率が低下。 --空中でもGKとの競り合いが発生する可能性があり、この場合は近くにいる他の防御側の選手も参加する。空中ではGKの選択肢が『とびだす』『みがまえる』の2種類となる。 ---とびだす:GKがゴールエリアから前方へ飛び出し、直接カットに向かう。成功すればボールをキャッチして味方にパスできるが、失敗(こぼれだま含む)するとゴールがからっぽになり大ピンチに陥る。 ---みがまえる:ゴールエリアで様子をみる。ガッツは消費しない。相手がシュートを打ってから味方がカットできなかった場合、通常のGKコマンド選択画面に移る。相手がスルーをしてきた場合はバランスを崩される(たまに崩されないことがある)。 --GKがこれらの条件で『みがまえる』以外を選んだ時にボールをキャッチできなかった場合、''しばらくゴールがからっぽになってしまい、絶好の得点チャンスを与えてしまう''。この状態でシュートを打たれるとGKは一切手を出すことができない。 #endregion ***ルール関連 -&s(){ルールガン無視の原作から}反則の要素が追加された。 --防御側が相手と競り合った場合にランダムで発生する可能性があり、起きると一旦試合が中断され、反則を起こした選手の位置によってペナルティの種類が決まる。 #region(ペナルティの詳細) ---間接フリーキック(間接FK):反則を受けた選手がパスを行う。直接ゴールをねらうことはできない。 ---直接フリーキック(直接FK):ペナルティエリアの近くで守備側が反則を起こすと発生。キッカーを選択可能(直接FKに限らずPKやコーナーキックでも本来はGKもキッカーになれるがこのシリーズでは不可)で、パスのみでなく直接シュートを打つことも可能。直接FKでのシュートは左右のどちらをねらって打つか決めることになる。守備側は壁の位置を左右のどちらかに指定して防ぐ。 ---ペナルティキック(PK):ペナルティエリア内で守備側が反則を起こすと発生。反則のペナルティでは最も重い。キッカーを選択可能。PK戦のようにシュート位置、またはGKの飛ぶ位置を『ひだりスミ』『しょうめん』『みぎスミ』の3つから選ぶ。両者とも必殺技は使用できない。攻撃側にとっては絶好の得点チャンス。GK側は選択肢を間違うとポストに当たる以外の回避方法がない上、選択肢が合っていても相手との能力差が大きいと届かず決まってしまう事もあるため非常に不利。 --イエローカードやレッドカードの概念はないため、反則を何度起こしても退場することはない。 #endregion -こぼれ球が発生したときに誰もボールを拾えなかった場合、ボールがラインを越えてしまう(割る)ようになった。 #region(アウトオブプレー時の詳細) --スローイン:ボールがタッチライン(両サイドのライン)を割ると発生。ボールに触れていなかった側の選手が両手でボールのパスを行う。スローインは得意な選手と苦手な選手で投げられる距離に違いが出てくるがこのシリーズでそれが設定されているのはⅤのみ。 --コーナーキック(CK):守備側の触れたボールがゴールに入らずにゴールラインを割ると発生。直接FKと並ぶ得点のチャンス。 ---キッカーを選択可能で、パスかシュートを行える。必殺技の使用も可能。 ---コーナーキックでは味方選手の位置を自由に指定可能。相手が絶対に競り合わない位置があるため、そこに選手を置けばパスで容易に浮き球を与えられる。 --ゴールキック:攻撃側の触れたボールがゴールに入らずにゴールラインを割ってしまうと発生。守備側のGKが自動的にパスを行う。 #endregion -反則やボールのライン割りが起きた場合、状況に応じて時間が経過する(基本的に3分)。 --残り時間が0秒になっても、これらの要素で空費時間が生じた場合はロスタイムが発生するようになった。ホイッスルが鳴るまで油断はできなくなり、同時に逆転のチャンスも残されるようになった。 ---- **評価点 ''試合演出、ビジュアルシーンの強化'' -評価の高い「テクモシアター」の演出には更に磨きがかかり、ビジュアルパートでは登場キャラクターたちがドラマチックに会話する。ファミコンとしては最高峰の演出力。 --時には試合中にもビジュアルシーンが挿入され、展開を盛り上げる。 --試合中の選手の簡易グラフィックに新たに浦辺タイプが追加。キャラグラのバリエーションが増えて、選手間の見分けも付きやすくなっている。 -大きなキャラがダイナミックに動く演出は健在。前作よりスピーディに、よりダイナミックに、かつ違和感なく動くように。 --特にスピード感の上昇はすさまじく、前作を上回るどころか、SFCに移行した次作以降と比べても同等かそれ以上。シリーズ随一の迫力を誇る。 --「反則」やそれに伴うフリーキック、コーナーキック、空中での競り合いなどの新要素も盛り込まれ、試合のテンションはさらに高まっている。 -前作に比べ、敵をふっとばす(ふっとばされる)描写が多くなった。シュートにもよるが、''ディフェンダー数人とキーパーをまとめて吹っ飛ばし''、ゴールネットを突き破ってゴールする様は爽快の一言。 --特にキーパーが必殺シュートにふっとばされる光景は本作で初めて再現された。もはやシリーズを語る上で外せないお約束となっている「''○○くん ふっとばされた!''」という有名なセリフは実は本作が初出。~ よくネタにされるのは森崎やサンパウロFCのGKレナートだが、後半になってくると、最強クラスのGKである若林すら容赦なくふっとばされる。 -カットインありの有名選手同士がドリブルとタックルでぶつかり合った場合、互いのカットインとセリフが挿入されるようになり、直接対決を更に盛り上げてくれる。 --ちなみに、躱されたor奪われた際の台詞の大半は「なにィ!?」。これによって、原作でこれでもかというほど多用されているセリフ「なにィ」の登場頻度も上がった。 -全日本操作時に条件を満たす((理由問わず必殺シュートが3回外れると8分の1の確率で使用可能になる翼の隠し必殺シュート))事で使える隠し合体技「ドライブタイガー」が使用可能になると翼のカットインとセリフ「俺は諦めないぞ!ゴールを奪えないキーパーなんて、この世にいるわけないんだ!!」が挿入され、使用可能が即座に分かるようになった。 --前作では翼にボールを渡してシュート一覧を開くまで確認不可能だった。((ただし前作では目に見えないランダム要素はなく「翼がレベル15以上で必殺シュートを3回止められて、それから5分以内」という条件さえわかっていれば今打てるか否かの判断はできた。)) ''試合システムの改変'' -試合中のかけひきの要素が大幅に増加し、能力値重視のパワーゲームになりがちだった前作よりも戦略の構築が重要になった。 --空中での競り合いの発生、GKとの直接対決、反則、コーナーキックやフリーキック、ロスタイムの追加など、そのあらゆる追加要素がかけひきの強化につながっている。 -得点をねらいにいく手段が大幅に増えたのも特長。基本能力が低い選手でも、これらの要素を駆使することでゴールを狙えるようになっている。 --敵GKと1対1に持ち込むと普通にゴールをねらうより成功しやすく、こぼれ球にされた場合もゴールがからっぽになるため大きなチャンスが生まれる。本作は、必殺セーブを繰り出す敵キーパーが増えているが、この方式を持ち込むと必殺セーブを封じられるため、重宝する。 --加えて、ドリブルでそのままキーパーを突破することも可能となり、ドリブルが得意な選手が前作より大幅に有用になった。運も絡むが、敵チームのPA内で反則を誘い、PKを狙うという頭脳的なプレイも可能である。 ''秀逸なオリジナルストーリー'' --本作はゲームオリジナルストーリーとなっているのだが、このストーリーの評価が極めて高い。''後に原作も同じ時間軸を扱った続編が描かれたが、そちらより本作のストーリーを支持する声まである。'' #region(ネタバレあり) スーパーストライカーについて -本作のテーマとなる部分。後述するコインブラとのイベントで語られる、「ジャイロ」の事を指す異名である。ロベルトによると、翼もスーパーストライカーに限りなく近い存在らしい。 --ジャイロとはペレ以前に活躍した選手で、未公認記録を含めて1000ゴールもの得点を挙げた伝説のストライカー。ただしヘディングが苦手で、その弱点を克服するためにサイクロンを編み出した……という設定。ちなみにテクモ版最終作であるVで彼の最期について語られており、彼の後継者はついに現れず、体がボロボロになるまでフィールドに留まり続けたらしい。 -更に翼のいない南葛高校が強豪相手にしのぎを削る高校サッカー編や、当時の原作でも描かれていなかった「''翼vs全日本''」も完備。 --ドライブシュートに頼れなくなった翼が、新たな必殺シュートとして前述のジャイロが編み出した「サイクロン」を完成させるといった熱い展開がてんこ盛り。 --ちなみに高校サッカー編の所属高校は原作でJr.ユース編エピローグに進学先として描かれている学校であり、立浪高校には早田だけでなく''中西もいる''所までしっかり再現。 -オリジナルキャラも人気が高い。ドライブシュートが通用しないGK「メオン」、リオカップから登場してライバルとして立ちふさがり、ブラジルユースのエースを務める「カルロス((カルロス(カルロス・サンターナ)は劇場版で先に登場しており、後に原作にも登場するため厳密にはオリジナルキャラではないのだが、本シリーズでは性格などが大分異なっており呼ばれ方も「サンターナ」ではなく「カルロス」になっているなどほぼ別人として描かれている。))」等。 --最後の最後に登場し、圧倒的な能力で多くのプレイヤーを苦しめた「コインブラ((フルネームはアルツール・アンチネス・コインブラ。元ネタは後にJリーグ草創期「鹿島アントラーズ」で活躍し、2002~2006年に日本代表を率いた事もあるジーコ氏の本名「アルトゥール・アントゥネス・コインブラ」である。))」、キーパーマシンの異名を持ち、プレイヤーに強烈なインパクトを与えたブラジルのGK「ゲルティス」、固有グラフィックもセリフも必殺シュートもないにもかかわらず万能な能力を誇り、サンパウロFCで味方のときはこのうえなく頼もしいアルゼンチン人の「バビントン」は今もなお愛されている。 --ワールドユース決勝はリオカップで戦ってきたキャラクターが一部を除いて総登場するので敵味方全員がネームドの選手で埋まる、正にオールスターvsオールスターの様相。敵が全員名前で呼ばれるのはここを除けば翼vs全日本のみであり、否が応にも盛り上がる。 ---選手ではないがサッカー協会の片桐の妹の陽子さんも今作が初登場。ストーリー各所で様々な行動でストーリーに彩りを与えてくれる。なお''彼女のビンタは壁を破壊する程で、テクモ版Vのラスボス「アルシオン」に匹敵する戦闘能力の持ち主''でもある。 --一方でJr.ユース編で戦ったかつての強敵たちも再登場し、全日本の前に立ちふさがる。ディアスやシュナイダーはステータス上昇の能力を持ち、ピエールとナポレオンは新合体技「スライダーキャノン」を新たに習得するなどパワーアップしており、勝つのは容易ではない。 #endregion -秀逸なBGM --山岸継司(モアやまさん)による勢いのあるBGM。前作ではパッとしなかった一部のBGMもアレンジされて良曲となっており、聴くだけでテンションが上がる。BGM担当スタッフのうち、後にコナミの「ときメモ」シリーズの開発にも携わるメタルユーキこと斉藤幹雄氏はフラメンゴFCの曲を担当している。 --前作屈指の名曲だった東邦戦のBGM(日向小次郎のテーマ「荒野への叫び」のアレンジ)はさらにクオリティアップで引き続き登場。 --サウンドテストが裏技として用意されているため、楽曲・効果音も自由に聴き放題である。 -原作の持ち味とも言えるトンデモ必殺技や演出の数々。 --原作はジャンプマンガならではの「そんなバカな」という世界観とリアルサッカーのバランスが絶妙な作品だったが、その後を描いたゲームオリジナルシナリオの本作は、さらにありえない技や演出が多く登場する。 ---分身ドリブル、分身セーブ、消えるフェイント、消えるシュートのマッハシュート(これは実際に存在するシュートでもある)となんでもありの世界になっている。 ---ローリングセーブという高速で体が回っていてかえって取りづらいのでは?という技がある。もっともキーパーの必殺セービングは全シリーズ突っ込みどころありすぎな技が多い。ラストのブラジルのキーパー、ゲルティスの必殺セービング「ダークイリュージョン」は''謎の暗黒空間を移動してボールをキャッチする''というもので、もはや原理の説明ができない。 ---ストーリー上で丹念に描かれる翼の新必殺シュート「サイクロン」は実戦での威力も抜群で、想定上は「ドライブシュートよりもさらに急角度で落下するシュート」というつもりで開発されたのだが、使ってみると急上昇・急降下の後&b(){螺旋軌道で相手GKに向かって飛び、相手をふきとばしてゴールする。}ゲルティスのダークイリュージョンとの激突は&b(){超人技vs超能力}という手に汗握る光景となった。 ---本作から登場し、後のシリーズにもずっと継承される岬の「ジャンピングボレー」はプレイヤーに「なにが違うのか?」とツッコまれていた(必殺技でない普通のボレーシュートも、ジャンプしてボレーシュートという動作はキッチリと行っているため)。同じ理由で三杉の「ハイパーオーバーヘッド」もなにがハイパーなのかよく分からない(ただし三杉は通常のオーバーヘッドキックが使えない)。これに関しては小学生時代に南葛との試合で披露した「鋭いカーブのかかったオーバーヘッド」説もあるが、ゲーム中ではどう見ても球筋は直球である。 ---ランピオンの「ロケットヘッド」、ディウセウの「キャノンヘッド」など、''必殺ヘディングがやけに強力''。特に対アルゼンチン戦におけるサトルステギの「ダイナマイトヘッド」は異常な威力を誇り、競り合いやブロックにきたDF陣やGKを全て吹っ飛ばしたうえでゴールネットを突き破るほど。 ---ボールを持った敵を立花兄弟2人で囲んだ際には''2人立て続けにスカイラブディフェンスを放つ''ことも可能である。 --コーナーキックの際に直接シュートをうつことも可能だが、条件を満たした翼をキッカーに選ぶと''コーナーキックであるにもかかわらず日向と共にドライブタイガーを放つ''ことができる。当たり前だが実際のサッカーのルールでは反則である。 ---ただし流石に2タッチになるのに気づいたのか、コーナーキック時にはサイクロンは選択不可になっている。 --必殺シュートを放つ際にアナウンサー(チャーリー高橋)は基本的に設定された必殺技名をそのまま読み上げるため、次藤が「さの(佐野)とのコンビプレイ」を放つと「じとうくんの さのとのコンビプレイ!」と''佐野だけ呼び捨てにされる''。ついでに言えば次藤が蹴る段階ですでに「佐野とのコンビプレイ」だと言われてしまっている。さらに悲惨なのがネイのブースターシュート(ネイの放ったシュートを、さらにトニーニョがシュートしてブーストさせる必殺シュート)で、一瞬だけ「ネイくん''たち''のブースターシュート!」とは言われるがこれでゴールを決めても「''ネイくんの''ブースターシュートが にほんゴールにつきささったァ~~!」と言われる。トニーニョ…。なお、続編『キャプテン翼5』ではほぼ同様の必殺シュート「ブーストサイクロン」を翼と日向が使うのだが、このときはしっかり翼の得点になっている。 --ごういんなドリブルでキーパーがふっとばされてシュートを決められることがある。 -上記のようなすさまじい必殺技が敵味方を問わず飛び交うなか、たまに&b(){必殺技を持たないのに、普通のシュートで若林から余裕で得点し、ゴールネットを貫通する}という猛者も登場。シュートに変な名前をつけて派手なエフェクトでカッコつけることをせず、リアルな実力で超人的選手と渡り合う姿で他と一味違う魅力を見せてくれた。 --代表的なのがオランダのエースストライカー、イスラス。シュナイダーと比肩し得る強豪という触れ込みで現れ、カットインもセリフも無いという扱いながら、優秀な能力に加え必殺ドリブルの「高速ドリブル」がプレイヤーに強い印象を残した。 -スコアメモが前作より大幅に短縮され、入力が楽になった。 --FCや初期のPCエンジンではパスワードが長いために写し間違えたり、入力が苦痛になって遊ぶのを止めてしまうプレイヤーが発生するゲームも少なくなかった。 ---バッテリーバックアップ方式を採用していないことは、FC時代のゲームの発売から長い年月が経過した現在では、ROMカセット内蔵の電池交換の手間が必要ないという利点にもなっている。 **賛否両論点 -''ゲームシステムの不備をつくことでゲームバランスが崩れる技が多い。'' --ただ、これらの技のおかげで低レベルクリアや控え選手のみでクリアといったやり込みを行いやすくする、プレイヤーの笑いを誘うといった面もあるので一概に批判できるものではないが。 -センタリング時に高低が選択できない --サンパウロ編でドライブオーバーヘッドを打ちたいのに低いパス、南葛高校編で隼ボレーが打ちたいのに高いパスがくる、といった事態がおこる。 ---いちおう、ランダム性のおかげで強力な空中技を持つ敵キャラが適応するパスが来ないために必殺技を打てず対処可能になることもあるので、一概に短所とも言い切れない。 ---また、岬のように高いパスはオーバーヘッド、低いパスはジャンピングボレーと言うように高低両方で個人で打てる空中技を持つ、立花兄弟のスカイラブ技のように高低を問わず打てる技を持つキャラの強さを引き立たせるといった面もある。 ---『[[V>キャプテン翼V 覇者の称号カンピオーネ]]』でようやくセンタリング時に「たかいパス」「ひくいパス」が選べるようになった。ただキャラクターによっては「高い(低い)ボールのみ強い」と言った選手もおり、自由に高低のパスを打てるとそういう面でのかけひきが消えてしまう。 ---とはいえ、本作では高いボールに強い、低いボールに強いの配分バランスは割と良い。続編の『[[III>キャプテン翼III 皇帝の挑戦]]』では高いボールならではの技が少なかったり弱かったりで高いボールの扱いが不遇になりハズレに近いものとなった。 -''スルーの成功率が異常に高く、能力差が明らかに不利でも成功することが多々ある''。 --スルーの使いようで本作の難易度が大きく変わってくるほど。特に''GKが接触時に飛び出してきた場合、ほぼ確実にゴールが空っぽになる''。 ---GKが身構えていた場合でも、バランスを崩して能力が低下するためやはり得点のチャンスになる。 --これらの調整により能力が低い選手でもゴールを奪えるチャンスがあるため、一概に欠点とは言い切れない。また本作は対戦モードの採用を前提にバランスが調整された以後の作品と違って、一人用である点も考慮するべきだろう。 --VS以降は成功率が他のコマンドと大差なくなったり、バランスを崩した時の能力低下が緩和されるなど弱体化した。 -必殺シュートを打つより、ドリブルで敵GKを抜いてゴールした方が消費ガッツが少ない。 --敵GKをドリブルで抜いた場合、その後のシュートはガッツを消費しない。 --ただ敵DFの妨害も激しく、GKと1対1に持ち込むこと自体簡単ではない。また本作では必殺ドリブルの消費ガッツもあまり低いとは言えないので、それまでの立ち回りでガッツを節約しないと合計でのガッツ消費が大差なくなったり、かえって大きくなることもある。 --必殺シュートとドリブルのコストパフォーマンス差が顕著になったのは『III』と『IV』。 -オフサイドがない。 --この仕様は前作にも該当するが、今作はパスの自由度が大幅に増したためオフサイドルールが存在しないことがより目立つこととなった。 ---特に一旦ポジションを自由に変えられるフリーキック時には数人を相手ゴール手前に配置し、相手のコーナーキックをクリアー後に超ロングパスをして一気に有利になるという展開になることもある。 --原作ではこのルールを使用したオフサイドトラップが用いられることが多かったために原作を知る人にとってはやや不満が残る仕様であった。 ---ただし、オフサイドが実装されたVではオフサイドトラップの悪用で簡単に勝てるようになっていたのである意味妥当な調整であるともいえる。オマケにシナリオの主観が「チームプレイの大切さ」だったために「チームプレイを心がけパスも頻繁に出す」キャラよりも「個人技主体でチームメイト無視の問題児」の方が(大抵能力が高くオフサイドトラップ戦法も逆効果となりやすいので)厄介という珍事態も多発した。あろうことかラスボス戦もこの流れ(「個人技主体のチーム」→「個人技主体に疑問視しチームプレイで戦う」)である。 -鳥かご(得点をあげたら延々パス回しをして攻めない行為。原作にも登場)や時間稼ぎができてしまう。 --今作はパスの自由度が大幅に増したため、先述のオフサイドがないことを利用すれば、自軍がリードしてボールをカットした時点で勝利が確定してしまう。他にもフリーキック時に数人を味方ゴール手前に配置し、コーナーキックから超バックパスをして一気に大量の時間を稼ぐといった行動もできる。 ---一例として挙げられるのは西ドイツ戦。こちらがリードすると同時にイベントが発動、シュナイダーが怒ってパワーアップしてくるため、ボールを渡してしまうと失点の可能性が非常に高くなる(リードした時のシュナイダーのシュートはペナルティエリア外はもちろんセンターサークル付近からでも決まる)。西ドイツのキーパーはミューラーということもあり、まともに点の取り合いをしたらガッツがもたない。こういった試合では、勝つためのテクニックとして使わざるを得ない面も。 --もっともゲーム後半になると敵が非常に強くなるため、リードして相手からボールを奪うことや敵をかいくぐってパスを回すのも難しくなっていく。鳥かご乱用で勝ち進もうものならレベルもろくに上がらないのでますます辛くなる。 ---レベルが低ければそもそもシュートを打ち込む隙すら滅多に作り出せない。ゴリ押しで必殺技を打ち込んでもモブにすら止められ、こちらの守備は通用せずにあっという間に点差をつけられてしまう。 -''ディフェンスに定評のあるゴールポスト'' --前作同様、様々なテクニックを駆使してキーパーを抜いてもランダムでゴールポストに当たってシュート失敗が発生する。本作ではフィールダーが手前でカバーする演出もある。 ---いちおう、シュートした時にポストに当たりやすい位置や必殺シュート毎にポストへの当たりやすさやというものが設定されており、上手くコースを変えればポスト直撃の可能性を減らせるがそれでもガッツを大量に消費した必殺シュートやキーパーの逆を突いたペナルティキックが失敗するのは理不尽に感じる場面も。 ---このような特殊なシュート失敗演出はレベルや能力等は一切無視で発生するために幾多のプレイヤーを窮地から救い、絶望へ追いやったりしてきた。また、複数の選手を吹き飛ばすほどに威力の高いシュートが直撃してもボールを破裂させるだけでポスト自体は無傷という恐るべき耐久性からシリーズのプレイヤーの中にはゴールポストを''「S・G・G・P(スーパー・グレート・ゴール・ポスト)」''、''「ポスト神」''と言った名称でネタとして語られている。 ---実際一部の攻略本では「味方のキーパーでは''止めるのは無理だからせめてポストに当たるよう祈ろう''。」などというミもフタもないセリフも。 --ただし本作からは、ポストに当たった場合でも他の選手がねじ込んだりカバーに入るも届かなかったりふっとばされたりと失敗に見せかけたゴール演出が実装された。シュートが入るかは最後まで分からない。 -反則の発生率が高く、ペナルティも薄い。 --こちらが能力的に勝っていて、敵をドリブルで悠々と抜こうとしても、反則で止められることが多い。特に必殺シュートを反則で止められると、必殺シュートが打てないままガッツを消費してしまうのが痛い。逆に味方が反則をすることも多く、このゲームには退場が無いので、強力な敵は反則狙いでムリヤリ止めるのがセオリーになってしまっている。 ---これを悪用して、敵選手を反則で止めて時間を稼ぐ(反則時に3分経過する)ことも可能。 ---なお反則は能力差が多かったり、ブロックやタックル実行時に発生しやすいようだ。 -若林の弱体化 --参戦が大幅に早まった都合か前作で見せた圧倒的な強さはなく、敵チームの必殺シュートの前ではあっさりゴールを割られることも多々ある。 --本作から若林が使える場面でもあえて若島津を起用する選択肢も考えられるようになった(本作では止められるシュートは若林の方が多いが、三角飛びのおかげでキャッチ可能な範囲が若島津の方が広い。まだ若林の方が強いという評価だが、止められるシュート自体も若島津の方が優れている悲惨な調整になった作品も…)。ゲーム的には評価できるが、たびたび若林の立場が脅かされるようになったのは残念に感じる原作ファンも。 ---ただし能力と成長はよく本作はクリティカル(カットインと台詞が入り止めてくれる確率が大幅に上がる。若林は「とめる!」の台詞と共にカットインも専用演出で非常にカッコいい。)の発生率が他のキャラより明らかに高いという強みがあるため頼りにはなる。前作での強さは原作準拠でラストの西ドイツ戦のみの参戦だったためで、全日本編で始めから使用可能な今作で調整されるのは当然といえる。実際、ほとんどのシュートをほぼ止められるようでは緊張感に欠けると思われる。 -名前だけの予選リーグ --前作のジュニアユース予選リーグは本当にリーグ戦で決勝トーナメント行きを争っていたが、今作のワールドユース予選リーグは「このグループは強敵ばかりだ、引き分けていてはトーナメントに行けないぞ。なんとしても勝つんだ。」という体裁でリーグ戦のシステムは用いられず、全勝しなければならない。日本に負けたフランスが2位抜けで決勝トーナメントに進出しているためフランスに負けても決勝トーナメントに進出できていたはずで、フランス戦の勝ち負け、あるいは1位抜けか2位抜けかでシナリオが分岐していれば面白かったかもしれない。ただ、そうなると「いつも苦しみながらも最後は完全勝利」というキャプテン翼らしさがなくなるが… --シンプルでゲームの進行がスムーズである反面、リーグ戦の雰囲気がなくなって単調でもある。対戦相手のランダム要素もなくなった。 --とはいえ、このおかげでパスワード文字数短縮につながっているというありがたみもある。 **問題点 -選手間の能力格差 --1よりはマシとはいえ、本作でもプレイヤーキャラ間の能力格差は大きい。 --サンパウロ・南葛高校ではステータスの時点で役に立つキャラと立たないキャラがハッキリと分かれている。 ---両チームとも替えの選手がいないのにキーパーが弱すぎる。難易度調整のためとはいえ、明らかなレナートと森崎の弱さはストレスが溜まりがちである。 --全日本のスタメンでは、シュート特化なのに必殺シュートが通用しなくなる新田、全体的に能力が低く顔面ブロックの発動機会が少なすぎる石崎、必殺シュートと必殺ディフェンスの両方を持つものの、能力が低すぎる立花兄弟あたりが不遇。 --松山は、DFでありながら必殺ディフェンスを持たないが、必殺シュートであるイーグルショットの威力が敵ゴールとの距離によって減衰しづらいという特徴を持つため、土壇場での活躍が期待できる。三杉も松山同様シュート以外の必殺技がないが、ステータスが飛びぬけて高く、翼同様に活用できる。 --終盤の敵エース選手はドリブル値が100近く~100超えという滅茶苦茶な数値(ラスボスと特定条件のディアスに至っては200近い)で、ボールを持たれた時点でシュートを打たれるまでなにをしても意味がない展開がザラ。後述のブロック問題もあり終盤DF勢は原作同様にほぼ役に立たなくなる。 ---反面、守備関連の能力はこちらに比べるとかなり低い選手が多く(たとえば、最終戦のブラジルの選手は大半が40~50くらい。)、おたがいにGKがボールを弾くか・それをどちらが拾うか、という大味な展開になりやすい。 -経験値とレベルの問題点 --スコアメモ短縮で各選手の経験値を10枠分しか保持できなくなったためにレベル・経験値を共有する選手が多くなった。同チーム内で共有しているのはあまり気にならないが、使用チームがサンパウロから全日本に切り替わる際に問題が発生している。 ---引継ぎ元がサンパウロの翼の翼・日向・岬の三人に他のメンバーはレベルに大きく差が付けられてた状態で全日本編がスタートする。この三人は元々日本でもトップクラスに強く使い勝手が良いため、ただでさえ大きい性能格差が更に広がってしまう。松山・三杉は能力や設定上はこの三人と並べる実力なのだがこの影響をモロに受けて本来の強さを発揮できていない。 ---一部キャラの経験値が誰にも引き継がれないので育てても経験値の無駄になる。とくにサンパウロのジウはシュート力の高さから育ててしまいやすい罠キャラになっている。南葛高校で優秀な井沢に一度引き継がれるのも痛い。ジウ→井沢→ジウと経験値が二度引き継がれたあと引き継ぎ先がおらずに消滅する。つまり南葛高校内で溜めた井沢の経験値もむだになる。 ---キーパーの若林&若島津、森崎で経験値の引継ぎ元が違う。同じキーパーのレナートから引き継ぐ二人に比べ、森崎(と南葛の4人)は弱フィールダーのリマとマリーニから引き継ぐ。そのため、ただでさえ弱いのに森崎だけ初期レベルも差をつけられる仕打ちに。 ---対策としては、全日本結成前に意図的にバビントンと新田(バビントン→新田→バビントン→6人と経験値が継承されるため)を多用しておくことがあげられる。この二人はその時期では比較的強く経験値を稼ぎやすいうえ、日本の新田・立花兄弟・次藤・松山・三杉と無駄なく主力メンバー6人に引き継がれるため非常に楽になる。引き継ぎ先が4人(早田、佐野、反町、沢田)いるアマラウはまだしも、引き継ぎ先が石崎一人しかいないドトールまで同時にカバーするのは厳しい。 -弱い選手ほど育てにくいバランス --前作から行動に成功した場合のみ試合活躍経験値のボーナスが入るという仕様なのだが、試合勝利・敗北で全選手に入る経験値が低めの本作では選手の強弱がそのまま育てやすさに依存してしまう。 --前述の経験値引継ぎの仕様も相まって、最初からレベルの高い翼・岬・日向と他の選手で差が広がる悪循環に陥りやすい。 --キーパーもセービング成功しないと経験値が入らないため、森崎・レナートはただでさえ弱いのに全く育たないという悲惨な目にあっている。 -全体的に縮小化したキャラグラフィック --ミーティング等では前作では顔のアップで描かれていたのが今作ではバストアップでの描写になったのでこぢんまりとした印象を受ける。作画自体もやや簡略気味。 ---サイズが違うとはいえ、スコアメモ(パスワード)時の早苗を見比べると一目瞭然だろう。 --キーパーのコマンド選択時の一枚絵が皆同じポーズかつ似た顔つきであり、使いまわし感が漂う。前作では若林と若島津と表情が全然違った。 ---前作ではキャッチを選ぶとパンチングとは別のポーズ(両手)でキャッチに行っていたが、今作ではパンチングの手をグーからパーに変えただけのワンハンドキャッチになった。若島津の三角飛びも弾いた場合とキャッチ成功時に全く同じグラフィックになっている。 --試合中画面上部にガッツ表示が表示されるようになったあおりでプレー表示部分が縮小された。もちろん選手自体のグラフィックも一部を除き縮小されている。 -低い浮き球時の汎用的な必殺シュートである「ダイビングヘッド」がなくなってしまった。 --井沢や沢田など二軍選手でも使用できる必殺シュートだったのだが、今作では使うことができず弱体化につながってしまった。 -負け越し前提のゲームバランスは相変わらずである。無敗を維持したままの進行はⅢ以降と比べるとかなり難易度が高い。 --ただし今作は上記の反則の活用とスルー等のシステム追加により、レベルが低くても戦術でカバーできる余地が生まれた。 -再戦時の仕様 --グレミオ戦(ドライブオーバヘッド習得+1得点)のイベントは完了した状態で始まるため、再戦時はかなり難易度が上がってしまう。 ---武蔵戦は再戦時でも通常通り後半から三杉加入となる。最後のブラジル戦は引き分け再試合時のみ前半からコインブラ加入となる。 -こぼれだまを拾える選手がいなくなると、「こぼれだまになった~!」の画面でフリーズしてしまう。 --スルーで敵選手をかわすのを繰り返していると、そのうち向かってくる敵選手がいなくなり、この状態になってしまいやすい。 -コーナーキックや直接フリーキックからのシュートが使いにくい。 --このときは通常時よりシュートの威力が2割増しになるが、本作では敵がボールに接触して勢いを弱められたりカットされることが多いため、結果としてGKに届いても通常時と威力が大差なくなると言うケースが多い。 --III以降の作品では能力差が大きいとボールへの接触が非常に難しくなるように変更され、この問題は解消された。ただしその分防御に回った場合のシュート阻止が困難になった。 -味方陣営の自由度が低い --サンパウロFC、南葛高校は''控えメンバーがいない''(大友カルテットのうち西尾だけがいない。GK一条もいない。)ためスタメンは完全固定、ポジションとフォーメーションをいじるくらいしかできない。 --全日本は最初からフルメンバーで固定されているためにポジションや戦い方を確立できると、あとはレベル上げのゴリ押しで勝ててしまう。選手間の能力差を埋める手段もない(時代を考慮すると仕方がないとは言え)ため、やりこみでもない限り控え陣(能力の高い三杉と、必殺セーブ目当てでの若島津以外)はほぼ出番なし。 ---敵チームの能力もレギュラーメンバーたちの能力に対して調整されているため、控え陣では全日本編最初の相手「シリア」にすら勝つのが難しい。原作での控えメンバーの描写を見る限り、間違った扱いとは言えないが。 ---ただし今作はレギュラーの制限がないため、やろうと思えば特定の選手をFWにして攻撃させたり、控えメンバーのみでWYを勝ち抜くことも(かなり困難だが)可能。 -前作同様、''敵のみガッツが無限''と言う理不尽な仕様。 --コンビプレイ技を使う敵選手がいる秋田商工戦、全日本戦、フランス戦では多くのプレイヤーが苦しんだ。どこでも使える必殺ワンツーでこちらの守りを易々と突破してくる上に、ゴール前だとそのまま浮き球パスになって合体必殺技(高いボールならスカイラブハリケーン、低いボールならツインシュート。)を放ってくるからである。それが使い放題だというのだからたまったものではない。なかでも立花政夫&和夫の立花兄弟は必殺ディフェンスも充実しており、全く同じ能力の選手が二人いるためにボールが渡る可能性が高く、さらに秋田商工と全日本で2回戦うことになるため非常に厄介。 ---特に高校全国大会編の初戦である国見学院戦と秋田商工戦を延々と行ったり来たりさせられるプレイヤーが続出した。南葛のDF陣が頼りないうえ(唯一頼れるは石崎の顔面ブロックだが本作では浮き球シュート時には使えない)、GKが最弱クラスの森崎という点も拍車をかけている。 ---極めつけは、中盤のクライマックスとなるジャパンカップ最終戦。サンパウロで全日本と戦うことになるのだが、GKが森崎に毛の生えたような性能のレナートで、敵には日向や岬、松山など、最強に近いメンバーが揃う。立花兄弟と次藤も参加するため、高低問わず浮き球から放たれるスカイラブツインシュートも脅威となる。サンパウロのDF2大巨塔アマラウとドトールは能力こそそれなりに高いが必殺技相手では無力に等しい。 ---そのくせ仲間になると、ガッツが有限化するのを抜きにしても一気に弱体化する。能力的にはそれほど高くないのでジェミニアタックは止められることが多かったり、必殺シュートもスカイラブツインシュートが辛うじて使えなくもないという程度な上に消費ガッツが380と膨大。さらにスカイラブ系ディフェンスもDF本職ではないためイマイチ(いちおう必殺パスカットは唯一なので、それが持ち味になってはいるが) --日向・沢田・反町・若島津のいる東邦戦も例によって難関。ふっとばされるとガッツが減ってしまうため、日向のようなふっとばし技の多い敵が相手だと非常に手を出しにくい。若島津は三角飛びがあるために対策なしで必殺シュートを打つと防がれてしまうことが多く、スルーでバランスを崩したり、1対1で対決するといった工夫が必要。 --この仕様はテクモ版最終作のVで修正されるまで継続された。 ---ただし完全に調整無視ではないようで、必殺技持ちのキャラクターは関連パラメーターが低く設定されていたり、モブしかいないチームは全体的に能力が高い、というようにある程度メリハリをつけている。 -旧世代キャラの新技の乏しさ。 --Jrユースから続投されているライバルで、新しいシュートを編み出しパワーアップしたのはフランスのピエール、ナポレオンコンビのみ(それも後々ストーリーパートでゲルティスにあっさりキャッチされているという残念な点も)。また、日本では翼ひとり。 --西ドイツはカペロマンやメッツァ、アルゼンチンはバビントンやサトルステギなどといった新戦力が加わって、チームとしてはパワーアップしても、シュナイダーやディアスら個人によるパワーアップ要素が少ない点はキャプテン翼としてはいささか物足りなさを感じるところではある。((シュナイダーは特殊能力「皇帝の怒り」によるパワーアップ、ディアスも特殊能力「天才の証明」での強化と必殺シュート「前転シュート」が追加され、原作漫画に無い完全な新要素とは言えないが、ゲームの前作では表現されていなかった個性を新たに再現するという形で強化は為されている。)) --しかし、そんな彼らも次作以降で次々と新しい技を編み出していくことになり、その魅力をシリーズを通して一層高めていく。さらに新しいライバルキャラも次々と参戦し、よりエキサイティングな激闘を繰り広げていくことになる。 -全日本編になると、味方フィールダーのブロックが役に立たなくなる。 --GKに若島津・若林が加わるためか、敵選手のシュートの能力値が倍以上に跳ね上がる(たとえば、日本最強選手である日向が20に満たないのに、全日本初戦のシリア戦の名無し選手は40超え)。 ---それに対して全日本フィールダーのブロック値は跳ね上がったりしないので、''敵がシュートを打ったらDF陣は触れることもできずにGK任せになる''という現象が起こる。 --次藤のパワーブロックでさえも、名無し選手のシュートに対してなんとか触れて勢いを弱められる程度。これではシュートを打たれる前にダメ元でパワータックルに行くほうがマシである。 --石崎の顔面ブロックは補正値がすごいので、ほぼ確実にこぼれだまにできるが、本作では空中発動不可のため役立つ場面がかなり少ない。 ---次回作からは敵の能力値が急に跳ね上がらなくなったため、この問題は改善されている。顔面ブロックも空中シュートに発動できるようになり使い勝手が向上。 -試合経験値にバグがある --''フラメンゴ戦、東邦学園戦、日本戦では経験値が一切入らない。''負けた場合1試合前に戻るためにはまることはないが、経験値稼ぎが若干面倒。 ---これらの試合の後で使用チームが切り替わる。経験値は引き継がれるとは言え、新しいチームに切り替わった直後に「前の試合の経験でレベルが上がった」と告げられるのはおかしいと判断されたのだろう。 --''フランス戦以降の試合活躍経験値が異常に低くなる。''これは試合活躍経験値がオーバーフローを起こしてしまうためで、勝った時と負け越した時の経験値はそのまま。 ---''試合活躍経験値''は翼・岬・日向(得点、ゲームメイクをするキャラ)と他のキャラとのレベル差が開くことからみてもかなり大きいが、バグのため決勝トーナメントはレベル上げがしづらくなっている。 ---効率よく稼ぐ場合ポーランド戦⇔イングランド戦(わざと負ける)を何周も行って経験値を稼ぐほうが良い(ブラジル戦(負け越し時)の3倍は軽く入る為)。 -試合中に画面最上部と最下部にバグか何かで謎の文字列が現れる事が頻繁にある。「あ」がビッシリ並んだ謎の文字列の一部に現れる「タチトナ」という言葉が目立つ。 --ファミコン当時はテレビ画面の都合上見えない位置にあったので、特に問題にはならなかった。しかし近年になってエミュレータなどで動画投稿・実況配信などを行うと嫌でも目に入ってしまう。 --ナゾの文字列は他に「つテーマ」なども「あ」に混じって頻出し、松山がイーグルシュートを打つと画面上に出る「まコヌ」などもあるのだが、「タチトナ」ばかり取沙汰されるのはやはり語呂がいいせいで目立つ一面もあるのだろう。 -評価の高いシナリオだが、突っ込みを入れたくなるような部分もある。 #region(ネタバレあり) -副題にもなっているスーパーストライカーだが、本作独自の固有名詞なのになにを表すのかのまともな説明は終始一切ない。 --分かっているのは「ロベルトは翼にスーパーストライカーを目指すよう助言を残した」「決勝戦の翼はスーパーストライカーとして目覚めつつあった」「ラスボス、コインブラは完成されたスーパーストライカー」…。''以上''。 --冗談抜きで「なんとなく他よりすごい点取り屋」程度の意味しか分からない。目覚めつつある、完成された、といった表現から単なる称号ではなく明確な定義があるようだが後のシリーズでも明らかにはされなかった。 --そもそもロベルトは原作で旅立った際、「ゲームメイクをしつつ点を取れる選手」を目指すように助言を残し以後翼はそれに従っている。&br()コインブラのプレイスタイルは「パスを全然出さず、ひたすら単独で切り込み強引にシュートして点を取る」。スーパーストライカーがコインブラのようなプレイスタイルを指すのなら、一度自分が示したプレイスタイルと原作からのテーマでもあるチームプレイを捨てさせようとしたことになるのだが…。 --なお、決勝戦終了後や続編でも翼がスーパーストライカーになったのかどうかも不明。スーパーストライカーという単語は以後チームプレイに目覚めたコインブラに対してしか使われない。…じゃあ結局なんなんだ!? -脇役である監督達の言動や采配が、突っ込みを入れたくなるほど理解不能。以下にあげてみると…… -ロベルトのブラジルチームでの采配 --台詞や行動内容が''ブラジルチームを翼の成長の為の踏み台''にしているとしか思えない。 ---大会中に翼にメッセージ(ただしかなりあいまいなもの)を伝えたり、前述のスーパーストライカー・コインブラを試合後半に登場させる。これらのイベント自体は演出もあいまって名イベントといってもよいのだが、メッセージを送るのは明らかに利敵行為であるし、コインブラは存在を伏せられていたらしく、''チーム内で彼を知っているのはリオカップで面識があったカルロスただ一人のみ。しかもリオカップ中に会話しただけでコインブラがサッカー選手だとカルロスが気づくような描写はない。''どう考えてもチームメイトと連携が取れない。実際、ほとんどパスを出さずドリブルで切り込み、マッハシュートを打つだけ。もっとも、能力は最高レベルかつ倍速ドリブルなので味方にパスする必要がないともいえるが。 ---本気で勝つつもりなら少なくとも事前に試合で出すか、練習に参加させる等してチームとの連携をはかろうとするはず。次回作以降でも問題なくフルタイム出場していることから決して不可能ではないと思うが……。 ---ユース編ではサングラスをかけ「ブラジルチーム監督」としての態度・雰囲気も一応は漂わせていたのだが、全日本が勝利すると試合終了''直後''であるにもかかわらず翼の元にやってきて祝いの言葉をかけたり教えを説いたりする。サングラスも外してすっかり「師」としてのロベルトに戻っており、変わり身が速すぎると言わざるを得ない。自分のチームの選手を放ったらかしで敵チームの教え子の元へ向かう監督を見てブラジルチームの選手達はどう思うのだろうか……。 -全日本ユースの監督である見上 --ミーティングの際には敵チームの情報を伝え、それに関してアドバイスを送ることでチームを勝利に導く役目があるはずなのだが、役に立たない内容であることが度々ある。 ---中国戦では「4000年の歴史を持つ国だ。どんな相手が居ても不思議ではない。相手の動きに注意しろ。」などとのたまう。どんな相手がいるのか情報収集するのが監督達の仕事じゃないのか? ---韓国戦では「リ兄弟(中国チームの双子選手)の話ではキムとシャがツインシュートを使う」という話をするが中国戦後に翼達はリ兄弟から「韓国にもコンビ技を使う奴がいる」と既に聞かされていることである。 ---バスコ・ダ・ガマ戦では「陽子くんがしばらく日本に戻るのでその間石崎が代役を務める」といった話をする。&bold(){ただの業務連絡である}。 ---ポーランドには倍速ドリブルのFW「マッハー」や前述のローリングセーブを使うGK「ジャイッチ」が、ソビエトには分身セービングを使うGK「ラシン」がいて当然要注意選手なのだが、肝心のミーティングにおいて全く触れられていない。原作の設定で''見上は元GK''のはずなのに相手チームのGKに関心が薄いのはいかがなものか。 ---イタリア戦では「GK・ヘルナンデスは全日本打倒に闘志を燃やしている。ゴールを奪うのは難しいががんばってくれ。」とまるで他人事のような言い草。''「どうしたらゴールを奪えるのか」''が知りたいのだが。~ しかもイタリアユースチームにはローマのランピオンが加わって攻撃力を得たのだが''これも全くふれられていない''。 ---準決勝の西ドイツ戦、決勝のブラジル戦に至ってはそれぞれ若林・翼が代わりに話すという体たらく。これは原作(JY編)の西ドイツ戦とほぼ同じ展開である。もっとも、この作品は選手主体で進んでいくために、まともな采配をしている監督は少ない。原作当初は高慢な部分が目立ち、得点されただけでヘタレた若林を叱咤して立ち直らせ、ドイツへ共に留学させて成長させた見上はまだマシな方である。 -ウルグアイチームとビクトリーノは原作でも西ドイツのかませ犬という扱いだったが、本作でも扱いが悪い。 --いちおう、オリジナルキャラのダ・シルバが追加されて戦力は増しているのだが、対戦するチームがジャパンカップのサンパウロFCのみである。イベント等も皆無、しかもストーリー展開上サンパウロに敗北するために''クラブチームにも勝てないナショナルチーム''と言うレッテルが貼られる。 --サンパウロとして出場し、ハンブルガーSVが参加を決めたことも聞かされ、初戦がASローマなのでクラブチームが参戦しているのかと思いきや、2回戦目がウルグアイという唐突さ。せめて「特別にウルグアイ代表チームを招待した」とか説明があったり準決勝での登場であればナショナルチームとしての格も保てただろうが全く説明もなく準決勝はハンブルガーSV。サンパウロだけでなくハンブルガーSVからも格下扱いである。 --そして今作のメインシナリオとなるワールドユースでは予選でアルゼンチンに敗北する。''そのイベントはディアスがドライブシュートを放って得点するシーンのみの描写でビクトリーノ自身は一切関与しない。''原作でフランスと戦って敗北したイングランドは予選で日本と戦うので明らかに扱いが悪すぎる。 ---いちおう、次回作からは選手が強化されたり、イベント(ヘタレ化した日向をふっとばすという噛ませポジションだが)があったりするので、最終作でリストラされたイングランドのメンバーよりは以後の扱いはマシだが。 ---また、この試合の前監督は「元グレミオのダ・シルバ」と言うが正しくは「グレミオに所属しているウルグアイ人」である(続編でもグレミオで登場している)。 #endregion ---- **総評 前作から大幅に強化された演出と秀逸なストーリー展開から、''シリーズ最高傑作''と讃えられることも多い作品。 システム上の不備や粗もあるが、それらによる珍事態が試合展開を盛り上げたり、低レベル攻略時に役立つテクニックとして有効に活かせると言った長所としてみられることも多い。この面も最高傑作と呼ばれる由縁である。 ---- **その後の展開 -1992年3月に『[[キャプテン翼VS]]』がゲームボーイソフトとして発売。本シリーズで初の対戦モードを搭載。 --こちらは原作の小学生編をベースに作られているが、一部中学生編で登場したキャラや本作で登場したオリジナルキャラも流用で登場している。 --修哲トリオ、織田(ふらの)、沢木(明和)といった二軍キャラにも必殺技があてがわれているのは悪くないが、その中身に関しては少々おかしいものが目立つ((井沢のオバーヘッドキック、岬のヒールリフトなど。また翼がヒールリフトを使えず、岬がオーバーヘッドキックを使えない点など。))。 -1992年7月にはテクモオリジナルの続編『[[キャプテン翼III 皇帝の挑戦]]』がスーパーファミコンで発売。 --こちらは本作の完全な続編にあたるストーリーになっており、更なる新キャラの登場だけでなく、本作や原作で既に登場しているキャラも新しい技を編み出すなど、その魅力を一層高めている。 **原作について -原作の続編はこのシリーズと似ている要素もあり、特に原作続編である『ワールドユース編(以下WY編)』で登場したナトゥレーザやサリナスは、立ち位置や登場演出など、ほとんど本作のコインブラやゲルティスと同一である。 --ただ、あまりにも似ている((特にサリナスなどは、ゲルティスと容姿までそっくりである。))ためか、「これならコインブラやゲルティスを出して欲しかった」という批判も多い。 --批判の是非はともかく、ファンからコインブラとゲルティスが愛されているのがわかる((これは版権の問題が関わるので、そんなに簡単に出せるものではないのだろうが。))。 //コインブラの名がジーコの実名から採られているのは有名ですが、実在の選手から名が採られているのは彼だけではなくテクモ版オリジナル選手や原作に出た外国選手など多岐に渡ります。コインブラがまずいのなら、シュナイダー、ディアス、バビントン達も同様にまずいと言えます。また、選手の個性としてはコインブラは「翼世界の(若い)ジーコ」では無く、同名の別人です。「翼世界のジーコ」は、キャプテン翼5のアンツネスの方です。 -原作(無印版)の最後に翼はブラジルに渡るのだが、本作はその3年後を舞台としている。原作では後の1994年に同じ時間軸にあたる『WY編』が描かれたので、現在はパラレルワールド的な扱いになっている。 --しかしこのWY編は批判が多く、以後の漫画の続編(『ROAD TO 2002』『GOLDEN-23』等)も評価が低いため、上のような意見が出る一因となっている。 --続編が出るまでにテクモ版が7作(その内テクモオリジナルストーリーが本作含め4作((ただし『V』のみWY編連載中の1994年12月にリリースされている。)))出たためにこちらの印象が強くなってしまったことと、WY編で翼や新キャラクターを引き立たせるために他の無印世代キャラの大半がファンの人気が高かったにもかかわらず噛ませ犬扱い((活躍どころか大敗した結果だけを事後報告して、試合のシーンすらロクに描かれなかった。))にされ出番がほぼなかったこと、大コマの連発で物語進行が遅くなったこと、WY編以降キャラの頭身バランスがおかしくなった(俗に言う「キャプツバ頭身」)ことなどがおもな原因とされている。 ---他にはアニメ『キャプテン翼J』は当初小学生編のリメイクを放送していたが主題歌や声優キャスティングの一新などが裏目に出て批判的に受け取られ視聴率が致命的なほどに低迷した。WY編アニメも『J』の扱いで、そのまずいリメイクの形を引き継いだことも原作人気の低迷に拍車をかけた。 --実際『WY編』は連載開始の時期こそ、数年ぶりの続編ということに加えて秀逸なテクモオリジナルシリーズによる好印象からの期待もあって人気が高かったものの、話が進めば進むほど人気が低迷し、ブラジル戦終了後の最終話を本誌で掲載する事無く試合の決着をギリギリ見せて尻切れトンボのような形で本誌での連載は終了。これは連載打ち切りのためこうなったものであり本誌未掲載の最終話は単行本にのみ収録されている((準々決勝のスウェーデン戦連載中に打ち切りを宣告されたらしく、残された期間をすべて決勝のブラジル戦に充てざるを得なくなり、大会後のエピソードはおろか本来因縁のあるオランダユースとの準決勝すら、1-0で日本が勝利したという「試合結果のみ」を掲載するだけで丸々カットするなど、素人目にも打ち切りが明白だった。連載最終回でも続きは単行本に載せることを予告していた。))。 -正式な続編として連載されたWY編は、ブラジル、オランダ、スウェーデンといった新キャラ勢の強さを引き立たせるために、シュナイダー(西ドイツ・ドイツ)やディアス(アルゼンチン)といった人気の高かった旧世代のライバル達を噛ませ犬扱いにしてまるで大切にしなかった反面、テクモ史では新しいライバルを台頭させつつも、固定のファンを得た旧世代キャラたちも決してぞんざいに扱わず、「双方の魅力を両立させていた」ことがゲーム抜きにストーリーとしても本来の続編よりも支持されている要因と言えるだろう。 **その他 -スコアメモには「べじいた」「もてるつば さ」などの定型パスワードも存在。(ゲーム内部に特別なパスワードとして設定されているのではなく、偶然の産物) -リオカップ編のサントス戦のミーティング時にザガロの必殺技「ダブルイール」に関して、ロベルトの「ちなみに イールとは ウナギのことだ カバヤキにすると うまいぞ。」という論点がずれた台詞はユーザーを爆笑させ本作屈指の迷セリフとなっている。 -リオカップと高校選手権の表彰式のシーンで隠しコマンドを入力すると、同じくテクモからリリースされていた『[[マイティボンジャック>ボンジャック]]』のボンジャックが出演し、チャーリーとの絡みを見せる。 -時代がおおらかだったのか、戦うチームの中に''きたちょうせん''が普通に出ている。モブ選手のみで構成され、これと言った特徴はない。このほか、アジア予選の相手はシリア、中国、イラン、サウジアラビア、韓国。発売から約30年後の現在から見れば''わざわざ政情不安なやばい国を厳選したのか''と思ってしまう程だが、発売当時は特に問題がある話では無かった。 --また、北朝鮮はこの当時アジア勢のワールドカップ唯一のベスト8経験国(1966年のイングランド大会)だったので、それを考えれば妥当とも言えなくもない。とはいえ中身はオール無名選手という雑な扱いなので深く考えず適当に選んだ線が濃厚だが… -このゲームシステムを元にした『シネマティックサッカー』が同じくテクモから携帯アプリとしてリリースされている。(テクモによる紹介文「某家庭用サッカーゲームで人気を博したシステムを採用」の“某家庭用サッカーゲーム”とはまさしく本作のことである。) -カルロス・サンターナは名前こそ1986年7月に公開された劇場版『世界大決戦!! Jrワールドカップ』のキャラだが彼の繰り出す『ミラージュシュート』は1985年12月公開の劇場版『危うし!全日本Jr.』でシュナイダーがセンターサークルから放って若林が一歩も動けずゴールを許した「ミラージュボール」に似ている。ただ、これをモデルにしたかいなかはさだかではない。コインブラのマッハシュートは日向が森崎の顔面にぶち込んだシュート(「なにィ!ボールが消えた!?」の反応が全く同じ)、メオン登場の乱入シーンは小学校時代の日向の初登場シーンと同じポーズでゴールの上に現れると言った原作オマージュは多い作品なので、ミラージュシュートもその可能性はある。また、若林がミラージュボールに対抗した「テレパシーキャッチ」はさすがにゲームで若林に搭載されることはなかったが、GB版『キャプテン翼VS』でなぜかヘルナンデスに搭載されている。 -今ではすっかり有名になった翼のライバル若林源三の異名「S.G.G.K(スーパーグレートゴールキーパー)」だが、これが定着したのは『ワールドユース編』であり、無印時代は「G.S.G.K(グレートスーパーゴールキーパー)((ハンブルグチームとして出場し日本相手の練習試合で鉄壁の守りを見せ一度「S.G.K(スーパーゴールキーパー)」と呼ばれ、その直後に頭に「G(グレート)」がついた。))」だった((ただし無印でも後に再版されたものはすべて「S.G.G.K」に修正がなされている。))。 --テクモ版ストーリーは原作の進行が止まっている間に展開されたこともあってか、本作も含めて若林の異名は「G.S.G.K」「グレートスーパーゴールキーパー」で統一されている。一応、無印のラスト間近の頃に一度だけ「S.G.G.K」と表記されたが恐らくテクモ制作陣はそれを誤記と判断したものと思われる。 --先述の通りテクモオリジナルストーリーはゲーム抜きにストーリーも秀逸なことで原作ファンの評価も高く4年以上続いたことで確固たる地位を築いたことや、一方で『ワールドユース編』をはじめ原作続編は評判が悪く、それを機にシリーズファンを離れた者も少なくはない。 ---そのため「G.S.G.K」の方に愛着があるファンも多く、敢えてこちらを好んで使うファンも少なくない。 ----

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