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*スレイヤーズ 【すれいやーず】  |ジャンル|RPG|&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/71uzmhbloBL._SL1280_.jpg,height=160)| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|12MbitROMカートリッジ|~| |発売元|バンプレスト|~| |開発元|ベック|~| |発売日|1994年6月24日|~| |定価|9,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[スレイヤーズシリーズリンク>スレイヤーズシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -ライトノベルの金字塔スレイヤーズのキャラゲーRPG。 --先んじて同年にPC-98でも本作のRPG化作品が発売されているが、本作とは全くの別物。 -シナリオは原作者の神坂一氏が手掛けており、氏はこのゲームを原作の第三部(のパラレル)として位置づけている((本編は第二部で終了しており、第三部に当たる話は小説以外の媒体でそれぞれ発表されている。氏はそれらをまとめて『第三部のパラレル』としている))。 --そのため原作(第二部)の終盤に登場する設定やアイテムが使われていたりするなど、後年になってもファンアイテムとして価値の高い代物となっている。 ---原作(第二部)の最終巻ではこのゲームの布石となるような描写がされている。 --なお、このゲームが発売された時点ではまだ原作第一部さえ完結していなかった((本作発売1ヶ月後の1994年7月28日に第一部の最終巻である8巻「死霊都市の王」が発売されている。第二部最終巻である15巻「デモン・スレイヤーズ!」の発売は本作から6年後の2000年5月10日である。))。 ---また、テレビアニメ版は本作発売の頃にはまだ存在せず、翌1995年から放映開始されている。 -原作を全く知らなくとも「主人公が記憶を失っている」ことと、世界観が一般的な剣と魔法のファンタジーであるゆえに予備知識がそれほどいらないものであるため、普通のRPG作品としても楽しめるものとなっている。 ---- **ストーリー >伝説があった。~ 偉大な魔導師の伝説が・・・~ 巨大な魔力を内に秘め~ 強きをくじき、弱きもくじく!~ 盗賊殺し!~ ドラゴンもまたいで通るドラまたリナ!~ 大魔王の食べ残し! どけち!~ 根性悪! 魔法おたく!!~ 数々の二つ名をほしいままにした大魔導師!~ その名はリナ=インバース!!~ そんな彼女が記憶をなくしたことから物語が始まる。~ (説明書より引用) ---- **特徴 -システムとしてはいわゆるドラクエ式(特に戦闘システム)。それ自体は特筆すべきものではないが、AIやステータスなど随所にキャラクターの個性が生かされている。 --以下仲間キャラの概要(キャラ説明の上半分は説明書から引用)。 #region(パーティキャラクター ※ネタバレあり) -''リナ=インバース'' --このゲームの主人公であり、リナと呼ばれている。最強の女魔導師であり、趣味は盗賊いじめ。「盗賊殺し」「漆黒の魔女」「ドラまた((「ドラゴンもまたいで通る」の略。))」など数々の呼び名を持つ。 --この作品では記憶を失っているため最初はレベル1で基本魔法しか覚えていないのだが・・・。 -''キャニー'' --リナを兄の仇と思うも人違いだった。勘違いの激しい人。モンスターに突撃するそのパワーは誰にも負けない。 --原作では「最弱の戦士」「素人」とまで言われるほど弱いため、それを反映してレベルを上げ続けてもあまり強くならない。ただ序盤では役立つ。 -''ナーガ'' --自称リナのライバル。魔法に関してはかなり高い資質を持っているがドジである。また、おだてに弱い。 --序盤に仲間になるキャラとしては高レベルで、強力な魔法を使いこなすが全く命令を聞いてくれない。そのため雑魚に魔法を使いすぎてボス戦でMP切れ、といったことも。しかしそれすらも原作再現だと見られている((原作では雑魚に派手な魔法を使って一掃するが、肝心のボス戦では役立たずなことが多いため))。 -''クレア'' --リナを崇拝する魔導師見習いの女の子。きつい一言で敵に精神的ショックを与えます。 --魔導師見習いという設定だが、ゲーム中では魔法は使わず仲間になったダンジョンで離脱する。イベントのオチのために用意されたキャラだと思われる。 -''レミー'' --刀マニアの黒髪の美少女。斬ることに生きがいを感じている。ひとたび切れれば見境なく敵に斬り掛かります。 --中盤で頼りになる剣士。特殊コマンドの乱れ斬りは雑魚戦で頼りになる。ただし命令を無視しやすい。クリア後にレベルを上げ続けると最終的にはガウリイより強くなる。 -''シルフィール'' --サイラーグ神官長の娘にして高位の魔法が使える僧侶。ひそかにガウリイに想いを寄せている。 --白魔法を最初から全て覚えており、命令無視がなく、特殊コマンドの性能が非常に強いため最高の回復役といえる。 -''ブラックフォックス'' --リナに恋する盗賊。お宝のためならば相手がモンスターだろうが容赦はしない。ごっそりいただきだ! --原作小説には登場せず漫画版にしか登場しないキャラだが、ゲームに大抜擢されている。とはいえ本編で仲間になる期間は短い。敵からアイテムを盗める貴重なキャラ。 -''ガウリイ'' --わりとハンサムな金髪の傭兵。しかし、見かけの割にはスライム並みの知能しか持たない。その代わり体力だけはオーガ並みのものを持っている。いあいぬきの名手。 --能力、装備ともに最強の前衛キャラ。特殊コマンドのいあいぬきは雑魚全体を即死させれるので経験値稼ぎに便利。 -''アメリア'' --白魔法都市第一王位継承者フィル王子の娘で、やたらと正義感が強く、そのためならどんな敵も怖くない。 --直接攻撃、黒魔法、白魔法といずれもバランスがよいが、命令無視が多いので回復役として安定しないのが玉に瑕。 -''ゼルガディス'' --石人形と邪妖精と人間の合成獣。銀の髪と青黒い岩の肌のハンサムな青年。強力な魔法攻撃ができます。 --最初からレベルが高く直接攻撃と魔法攻撃、いずれも強いのだが、直接攻撃ではガウリイ、魔法攻撃ではリナの前に劣るのでやや中途半端。 #endregion -スレイヤーズに登場する人物は世界でもトップクラスに強いという設定のキャラが多い。そのためこの作品ではキャラステータスを2通りに分けることで対応している。 --原作で強いとされているキャラ(ガウリイ、アメリア、ゼルガディス、ナーガとクリア後に仲間になるとある人物)はレベルがかなり高く初めから強いが成長しない。 --対してそれ以外のキャラ(記憶を失っているリナとキャニー、レミー、クレア、シルフィール、ブラックフォックス)はレベルアップをするが初期レベルは低め。ただし成長させていくと固定ステータスのキャラよりも強くなる。 -基本的には作戦で「めいれいをきいてね」に設定していけば仲間に指示を出せるのだが、一部のキャラは性格を反映して言うことをきかなかったりする。 --とはいえ、命令をあまりきかないキャラでもピンチの味方に対する回復や逃げるコマンドはちゃんと聞いてくれる。 -魔法は魔道協会や各地にいる魔道士から魔法理論を学んだ上で魔法が記された書物を読み、魔法理論のレベルに合った魔法を覚えなければならない。 -魔法使いキャラはMPが潤沢に設定されている上にレベルアップするとHPとMPが全回復する仕様であるため、戦闘では原作通り魔法を派手に撃ちまくれる。また、1ターン目で戦闘を終わらせると経験値が倍になるため、魔法を派手に撃ちまくった方がレベルが上がりやすい。 --魔法や特殊コマンドの性能が良いため戦闘シーンはテンポがよく、サクサク進行する。 ---ただし性能が良い魔法・特殊コマンドに合わせてか、敵のHPは高めに設定されている。 ---とはいえボス以外逃げるコマンドは必ず成功するため、面倒になったら逃げまくって対処することはできる。 -基本的に敵を倒してもお金は入手できない。イベントの報酬や宝箱から入手したり、アイテムを売却したり、盗賊のアジトを襲って小遣い稼ぎをしたりする必要がある。 --とはいえそれほどお金に使い道がないので特にがめつく稼ぐ必要はない。装備もダンジョンに置かれた宝箱などから入手できることが多い。 -クリア後には好きなメンバーでパーティを組むことが可能。 --ただしクリア後に組ませた際のイベント等は特に用意されていないため、原作から考えると本来会わせたら何かしら反応がありそうなキャラ同士でも残念ながら会話等は無い。あくまでもシナリオ度外視での夢の共演と見るべきだろう。 ---- **評価点 ''キャラゲー面'' -あらいずみるい氏の原画に忠実で綺麗なグラフィック。 --オープニングや時折イベントで挟む一枚絵、ステータス画面で確認できるキャライラストなどは実に美麗。小説を読みながら挿絵を眺めるような感覚で堪能できる。 -コミカルで飽きさせないキャラクターとテキスト。 --キワモノ揃いで個性豊かな仲間たちを原作通りに再現している。それだけでなく街にいるモブキャラや一部の敵ですら癖の強い言動が多いため退屈しない。 ---特にステータス画面で確認できる仲間の紹介文が失笑もの。一行でそのキャラがどういう人物なのか把握できる。 --またキャニーやレミーといった外伝(すぺしゃる)にしか登場しないマイナーキャラまで仲間になるためスタッフの原作愛が垣間見える。 ---NPCもレイミア姫やディオルなど原作では一話しか出ていないようなキャラすら登場する。セーブをしてくれるミーナも原作通りまぬけな内容の日記をつけてくれる。 ---なお、マイナーキャラといってもそれぞれインパクトの強いキャラ付けがされているため空気になっているキャラはほとんどいない。 -その他にも盗賊のアジトを襲って小遣い稼ぎをしたり、原作を彷彿とさせるイベントがあったりとファンサービス要素が多い。 ''シナリオ面'' -シリアスがベースだが、時に不意打ち的なギャグや意外性のある落ちを狙ってくる一癖もふた癖もあるシナリオ。 --テキストもさることながら個性的なNPCに振り回される展開、一見ただのお使いイベントに見えて裏の裏の意図まであるイベント、脱力もののオチなど一つ一つのイベントがよく練られている。 -そして中盤から終盤にかけて判明する驚愕の事実と、それを知った主人公のラストまでいたる経緯が印象深い。レベルアップ制のRPGということを逆手にとったアイディアがシナリオと合わせて光っている。 --ネタバレが致命的なのでここでの説明は省く。特にエンディングで普通のRPGならこのタイミングでやることではないことを行うのはにくい演出といえる。 --伏線も序盤からしっかり張られている。 --もっともキャラの心情描写があまり具体的にないのである程度はプレイヤーの想像で補足する必要がある。ただ流れでおおよそ把握ができる範囲ではある。 ''ゲームシステム面'' -エンカウント率はやや高めなものの、ダンジョンの広さがそれに合わせてあまり広くないのと戦闘のテンポが速いのでさくさく進める。 -クリア後のおまけの豊富さ --クリア後にはとある重要人物が仲間になり、これまで離脱した仲間と自由にパーティーを組むことができるようになる。 --更にクリア後にしか行けない街やダンジョンが複数あったりと当時のキャラゲーとしては抜群のボリュームを持つ。 --また隠し魔法が存在し、特殊な手順を踏むことで入手できる。 --最後の隠しダンジョンの奥にいる隠しボスは原作を読んだことがある人なら誰もが知っている超大物。倒すことで真のエンディングが見られる。 -音楽もスレイヤーズの世界観・ノリに合った軽快でテンポのよいものとなっている。 ---- **賛否両論点 -クリアするまではパーティーを成長させる意義が薄い。 --仲間の交代が激しい上に、かなり短い期間しかパーティーを組めないキャラもいる。更にラスボスに挑むメンバーは主人公以外レベル固定の仲間である。戦闘でお金が入手できないのもあって終盤の雑魚戦闘の意味が薄い。 ---もっともスタッフロール後のオチを見る限りそれはある意味「狙っていた」「予測していた」気配がある。クリア後にはパーティーを自由に変更して裏ボスに挑める上に、かなりの高経験値を得られる敵と戦えるため離脱したキャラを一気に成長させることができる。 --その分レベル上げの作業の煩わしさがなく、シナリオに集中できるので、キャラゲーとしてはある意味で正解ともいえる。 **問題点 ''キャラゲー面'' -唐突な仲間キャラの登場など、人物関連で原作を知らないとよくわからない描写がある。 --とはいえ、元々バックストーリーが少ないキャラも多く軽い説明は入っているので、キャラ把握の面ではあまり困らないし、世界観も王道ファンタジー世界なので、初見お断りな部分は少なく、シナリオが理解できないということもない。 --ラスボスは原作を読んでいればまず知っているキャラだが、初見だとぽっと出にしか見えない。 -一部に原作との祖語がある。 --原作でフィリオネル王子と会っているのにゲーム中で会っても特に知り合いらしい態度をしてくれない((元々外伝のゲストキャラであり、本編での出番もかなり少ない))。娘のアメリアはちゃんとそういう描写で仲間になるのに。 //--パーティー内のとあるキャラ同士は、原作で生き別れの姉妹と思しき描写が何度もされているが、本作ではパーティを組ませても何の反応もない。 //---ただし、パーティを組めるのは実質シナリオの終了したクリア後限定である為、シナリオを無視して夢の競演が出来ると見るべきだろう。 //ナーガとアメリアに関わらず、クリア後に組ませた際のイベントとか特にないんだから、どう見てもシナリオ度外視でパーティを組めるようになってるだけ。わざわざ書くことじゃない。 --ゼロス((原作では幾度となくリナたちの側に姿を現すトリックスター的な名悪役で、人気も高い。))の扱いが不遇。 ---面識があるはずなのに初登場時にパーティーに何の反応もない、実際戦うと拍子抜けするくらい弱い、そもそも登場シーンが少ない、など扱いが悪い((ゼロスの強さは魔王とその腹心五人に次ぐ強さと言う超実力者であり、原作においてもその圧倒的な実力を見せつけるシーンが非常に多い。))。 //ボスや隠しボスが誰か、はネタバレ要素にあたるので、注釈で書くには不適。書きたいならregion使わないとルール違反。 --ゲームバランスの面で仕方ないと言えば仕方ないのだが、原作では精霊魔法や通常の武器による物理攻撃は効かない魔族にも普通にそれらの攻撃が効いてしまう。 -一部キャラを育成できない事 --前述したように「原作で元々強いキャラ」は最初から強くレベルアップできないようになっているのだが、レベル固定の仲間は原作では人気が高く出番も多いキャラばかりであるため彼らを育てたかったという声は少なくない。 ''バグ'' -魔法を覚えるために必要な魔法理論だが魔法理論9を聞かずに魔法理論10を覚えたのち魔法理論9を覚えると最強魔法のドラグ・スレイブを覚えることが出来ない。おそらく最後に覚えた魔法理論が上書きされているようだ。 ''ゲームシステム面'' -移動時のキャラのデフォルメグラフィックがあまり綺麗ではない。背景は無難なレベルなのだが。 -ダンジョンから瞬時に抜け出す方法がない --全体的にダンジョンはあまり広くなく、脱出用の出口が最奥に設置されているダンジョンもあるので体感的にはそこまで気にならないのだが、一部ダンジョンは脱出の際わざわざ戻るのが面倒になっている。 --おそらく原作にダンジョン脱出に適した魔法がないためだと思われる。 -街の中などではYダッシュができるが、ダンジョン内だとできない。 //ダンジョンだけ一部機能が制限されるってのは割とよくある。 ---- **総評 当時のキャラゲーとしてはかなりの豪華仕様で、多少システムに難はあるもののそれを補って余りあるテキストやシナリオで普通のRPGとして見ても楽しめる作品。~ スレイヤーズのゲームはPSやSS、PCでもいくつか出されているのだが微妙な出来のものが多いため、その中で一番面白いゲームと言われることが多い。~ システムの根幹を敢えてオーソドックスにすることでシナリオやキャラの表現に幅を持たせることに成功したゲームといえる。 ---- **余談 -発売当時の原作情報を元にしたため、後に発売された原作の続編とは食い違っている描写もある。 --本来、力を借りる元が滅んでいる為に使えないはずの魔竜烈火咆(ガーヴ・フレア)や冥王降魔陣(ラグナ・ブラスト)が普通に使える。原作第二部で「うっかり使おうとして発動失敗」というシーンもあり、原作を読んだ後に本作をプレイすると疑問に思うだろう。 &br
*スレイヤーズ 【すれいやーず】  |ジャンル|RPG|&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/71uzmhbloBL._SL1280_.jpg,height=160)| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|12MbitROMカートリッジ|~| |発売元|バンプレスト|~| |開発元|ベック|~| |発売日|1994年6月24日|~| |定価|9,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[スレイヤーズシリーズリンク>スレイヤーズシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -ライトノベルの金字塔スレイヤーズのキャラゲーRPG。 --先んじて同年にPC-98でも本作のRPG化作品が発売されているが、本作とは全くの別物。 -シナリオは原作者の神坂一氏が手掛けており、氏はこのゲームを原作の第三部(のパラレル)として位置づけている((本編は第二部で終了しており、第三部に当たる話は小説以外の媒体でそれぞれ発表されていた。その後2018年に小説版の第三部が発表された。氏はそれらをまとめて『第三部のパラレル』としている。))。 --そのため原作(第二部)の終盤に登場する設定やアイテムが使われていたりするなど、後年になってもファンアイテムとして価値の高い代物となっている。 ---原作(第二部)の最終巻ではこのゲームの布石となるような描写がされている。 --なお、このゲームが発売された時点ではまだ原作第一部さえ完結していなかった((本作発売1ヶ月後の1994年7月28日に第一部の最終巻である8巻「死霊都市の王」が発売されている。第二部最終巻である15巻「デモン・スレイヤーズ!」の発売は本作から6年後の2000年5月10日である。))。 ---また、テレビアニメ版は本作発売の頃にはまだ存在せず、翌1995年から放映開始されている。 -原作を全く知らなくとも「主人公が記憶を失っている」ことと、世界観が一般的な剣と魔法のファンタジーであるゆえに予備知識がそれほどいらないものであるため、普通のRPG作品としても楽しめるものとなっている。 ---- **ストーリー >伝説があった。~ 偉大な魔導師の伝説が・・・~ 巨大な魔力を内に秘め~ 強きをくじき、弱きもくじく!~ 盗賊殺し!~ ドラゴンもまたいで通るドラまたリナ!~ 大魔王の食べ残し! どけち!~ 根性悪! 魔法おたく!!~ 数々の二つ名をほしいままにした大魔導師!~ その名はリナ=インバース!!~ そんな彼女が記憶をなくしたことから物語が始まる。~ (説明書より引用) ---- **特徴 -システムとしてはいわゆるドラクエ式(特に戦闘システム)。それ自体は特筆すべきものではないが、AIやステータスなど随所にキャラクターの個性が生かされている。 --以下仲間キャラの概要(キャラ説明の上半分は説明書から引用)。 #region(パーティキャラクター ※ネタバレあり) -''リナ=インバース'' --このゲームの主人公であり、リナと呼ばれている。最強の女魔導師であり、趣味は盗賊いじめ。「盗賊殺し」「漆黒の魔女」「ドラまた((「ドラゴンもまたいで通る」の略。))」など数々の呼び名を持つ。 --この作品では記憶を失っているため最初はレベル1で基本魔法しか覚えていないのだが・・・。 -''キャニー'' --リナを兄の仇と思うも人違いだった。勘違いの激しい人。モンスターに突撃するそのパワーは誰にも負けない。 --原作では「最弱の戦士」「素人」とまで言われるほど弱いため、それを反映してレベルを上げ続けてもあまり強くならない。ただ序盤では役立つ。 -''ナーガ'' --自称リナのライバル。魔法に関してはかなり高い資質を持っているがドジである。また、おだてに弱い。 --序盤に仲間になるキャラとしては高レベルで、強力な魔法を使いこなすが全く命令を聞いてくれない。そのため雑魚に魔法を使いすぎてボス戦でMP切れ、といったことも。しかしそれすらも原作再現だと見られている((原作では雑魚に派手な魔法を使って一掃するが、肝心のボス戦では役立たずなことが多いため))。 -''クレア'' --リナを崇拝する魔導師見習いの女の子。きつい一言で敵に精神的ショックを与えます。 --魔導師見習いという設定だが、ゲーム中では魔法は使わず仲間になったダンジョンで離脱する。イベントのオチのために用意されたキャラだと思われる。 -''レミー'' --刀マニアの黒髪の美少女。斬ることに生きがいを感じている。ひとたび切れれば見境なく敵に斬り掛かります。 --中盤で頼りになる剣士。特殊コマンドの乱れ斬りは雑魚戦で頼りになる。ただし命令を無視しやすい。クリア後にレベルを上げ続けると最終的にはガウリイより強くなる。 -''シルフィール'' --サイラーグ神官長の娘にして高位の魔法が使える僧侶。ひそかにガウリイに想いを寄せている。 --白魔法を最初から全て覚えており、命令無視がなく、特殊コマンドの性能が非常に強いため最高の回復役といえる。 -''ブラックフォックス'' --リナに恋する盗賊。お宝のためならば相手がモンスターだろうが容赦はしない。ごっそりいただきだ! --原作小説には登場せず漫画版にしか登場しないキャラだが、ゲームに大抜擢されている。とはいえ本編で仲間になる期間は短い。敵からアイテムを盗める貴重なキャラ。 -''ガウリイ'' --わりとハンサムな金髪の傭兵。しかし、見かけの割にはスライム並みの知能しか持たない。その代わり体力だけはオーガ並みのものを持っている。いあいぬきの名手。 --能力、装備ともに最強の前衛キャラ。特殊コマンドのいあいぬきは雑魚全体を即死させれるので経験値稼ぎに便利。 -''アメリア'' --白魔法都市第一王位継承者フィル王子の娘で、やたらと正義感が強く、そのためならどんな敵も怖くない。 --直接攻撃、黒魔法、白魔法といずれもバランスがよいが、命令無視が多いので回復役として安定しないのが玉に瑕。 -''ゼルガディス'' --石人形と邪妖精と人間の合成獣。銀の髪と青黒い岩の肌のハンサムな青年。強力な魔法攻撃ができます。 --最初からレベルが高く直接攻撃と魔法攻撃、いずれも強いのだが、直接攻撃ではガウリイ、魔法攻撃ではリナの前に劣るのでやや中途半端。 #endregion -スレイヤーズに登場する人物は世界でもトップクラスに強いという設定のキャラが多い。そのためこの作品ではキャラステータスを2通りに分けることで対応している。 --原作で強いとされているキャラ(ガウリイ、アメリア、ゼルガディス、ナーガとクリア後に仲間になるとある人物)はレベルがかなり高く初めから強いが成長しない。 --対してそれ以外のキャラ(記憶を失っているリナとキャニー、レミー、クレア、シルフィール、ブラックフォックス)はレベルアップをするが初期レベルは低め。ただし成長させていくと固定ステータスのキャラよりも強くなる。 -基本的には作戦で「めいれいをきいてね」に設定していけば仲間に指示を出せるのだが、一部のキャラは性格を反映して言うことをきかなかったりする。 --とはいえ、命令をあまりきかないキャラでもピンチの味方に対する回復や逃げるコマンドはちゃんと聞いてくれる。 -魔法は魔道協会や各地にいる魔道士から魔法理論を学んだ上で魔法が記された書物を読み、魔法理論のレベルに合った魔法を覚えなければならない。 -魔法使いキャラはMPが潤沢に設定されている上にレベルアップするとHPとMPが全回復する仕様であるため、戦闘では原作通り魔法を派手に撃ちまくれる。また、1ターン目で戦闘を終わらせると経験値が倍になるため、魔法を派手に撃ちまくった方がレベルが上がりやすい。 --魔法や特殊コマンドの性能が良いため戦闘シーンはテンポがよく、サクサク進行する。 ---ただし性能が良い魔法・特殊コマンドに合わせてか、敵のHPは高めに設定されている。 ---とはいえボス以外逃げるコマンドは必ず成功するため、面倒になったら逃げまくって対処することはできる。 -基本的に敵を倒してもお金は入手できない。イベントの報酬や宝箱から入手したり、アイテムを売却したり、盗賊のアジトを襲って小遣い稼ぎをしたりする必要がある。 --とはいえそれほどお金に使い道がないので特にがめつく稼ぐ必要はない。装備もダンジョンに置かれた宝箱などから入手できることが多い。 -クリア後には好きなメンバーでパーティを組むことが可能。 --ただしクリア後に組ませた際のイベント等は特に用意されていないため、原作から考えると本来会わせたら何かしら反応がありそうなキャラ同士でも残念ながら会話等は無い。あくまでもシナリオ度外視での夢の共演と見るべきだろう。 ---- **評価点 ''キャラゲー面'' -あらいずみるい氏の原画に忠実で綺麗なグラフィック。 --オープニングや時折イベントで挟む一枚絵、ステータス画面で確認できるキャライラストなどは実に美麗。小説を読みながら挿絵を眺めるような感覚で堪能できる。 -コミカルで飽きさせないキャラクターとテキスト。 --キワモノ揃いで個性豊かな仲間たちを原作通りに再現している。それだけでなく街にいるモブキャラや一部の敵ですら癖の強い言動が多いため退屈しない。 ---特にステータス画面で確認できる仲間の紹介文が失笑もの。一行でそのキャラがどういう人物なのか把握できる。 --またキャニーやレミーといった外伝(すぺしゃる)にしか登場しないマイナーキャラまで仲間になるためスタッフの原作愛が垣間見える。 ---NPCもレイミア姫やディオルなど原作では一話しか出ていないようなキャラすら登場する。セーブをしてくれるミーナも原作通りまぬけな内容の日記をつけてくれる。 ---なお、マイナーキャラといってもそれぞれインパクトの強いキャラ付けがされているため空気になっているキャラはほとんどいない。 -その他にも盗賊のアジトを襲って小遣い稼ぎをしたり、原作を彷彿とさせるイベントがあったりとファンサービス要素が多い。 ''シナリオ面'' -シリアスがベースだが、時に不意打ち的なギャグや意外性のある落ちを狙ってくる一癖もふた癖もあるシナリオ。 --テキストもさることながら個性的なNPCに振り回される展開、一見ただのお使いイベントに見えて裏の裏の意図まであるイベント、脱力もののオチなど一つ一つのイベントがよく練られている。 -そして中盤から終盤にかけて判明する驚愕の事実と、それを知った主人公のラストまでいたる経緯が印象深い。レベルアップ制のRPGということを逆手にとったアイディアがシナリオと合わせて光っている。 --ネタバレが致命的なのでここでの説明は省く。特にエンディングで普通のRPGならこのタイミングでやることではないことを行うのはにくい演出といえる。 --伏線も序盤からしっかり張られている。 --もっともキャラの心情描写があまり具体的にないのである程度はプレイヤーの想像で補足する必要がある。ただ流れでおおよそ把握ができる範囲ではある。 ''ゲームシステム面'' -エンカウント率はやや高めなものの、ダンジョンの広さがそれに合わせてあまり広くないのと戦闘のテンポが速いのでさくさく進める。 -クリア後のおまけの豊富さ --クリア後にはとある重要人物が仲間になり、これまで離脱した仲間と自由にパーティーを組むことができるようになる。 --更にクリア後にしか行けない街やダンジョンが複数あったりと当時のキャラゲーとしては抜群のボリュームを持つ。 --また隠し魔法が存在し、特殊な手順を踏むことで入手できる。 --最後の隠しダンジョンの奥にいる隠しボスは原作を読んだことがある人なら誰もが知っている超大物。倒すことで真のエンディングが見られる。 -音楽もスレイヤーズの世界観・ノリに合った軽快でテンポのよいものとなっている。 ---- **賛否両論点 -クリアするまではパーティーを成長させる意義が薄い。 --仲間の交代が激しい上に、かなり短い期間しかパーティーを組めないキャラもいる。更にラスボスに挑むメンバーは主人公以外レベル固定の仲間である。戦闘でお金が入手できないのもあって終盤の雑魚戦闘の意味が薄い。 ---もっともスタッフロール後のオチを見る限りそれはある意味「狙っていた」「予測していた」気配がある。クリア後にはパーティーを自由に変更して裏ボスに挑める上に、かなりの高経験値を得られる敵と戦えるため離脱したキャラを一気に成長させることができる。 --その分レベル上げの作業の煩わしさがなく、シナリオに集中できるので、キャラゲーとしてはある意味で正解ともいえる。 **問題点 ''キャラゲー面'' -唐突な仲間キャラの登場など、人物関連で原作を知らないとよくわからない描写がある。 --とはいえ、元々バックストーリーが少ないキャラも多く軽い説明は入っているので、キャラ把握の面ではあまり困らないし、世界観も王道ファンタジー世界なので、初見お断りな部分は少なく、シナリオが理解できないということもない。 --ラスボスは原作を読んでいればまず知っているキャラだが、初見だとぽっと出にしか見えない。 -一部に原作との祖語がある。 --原作でフィリオネル王子と会っているのにゲーム中で会っても特に知り合いらしい態度をしてくれない((元々外伝のゲストキャラであり、本編での出番もかなり少ない))。娘のアメリアはちゃんとそういう描写で仲間になるのに。 //--パーティー内のとあるキャラ同士は、原作で生き別れの姉妹と思しき描写が何度もされているが、本作ではパーティを組ませても何の反応もない。 //---ただし、パーティを組めるのは実質シナリオの終了したクリア後限定である為、シナリオを無視して夢の競演が出来ると見るべきだろう。 //ナーガとアメリアに関わらず、クリア後に組ませた際のイベントとか特にないんだから、どう見てもシナリオ度外視でパーティを組めるようになってるだけ。わざわざ書くことじゃない。 --ゼロス((原作では幾度となくリナたちの側に姿を現すトリックスター的な名悪役で、人気も高い。))の扱いが不遇。 ---面識があるはずなのに初登場時にパーティーに何の反応もない、実際戦うと拍子抜けするくらい弱い、そもそも登場シーンが少ない、など扱いが悪い((ゼロスの強さは魔王とその腹心五人に次ぐ強さと言う超実力者であり、原作においてもその圧倒的な実力を見せつけるシーンが非常に多い。))。 //ボスや隠しボスが誰か、はネタバレ要素にあたるので、注釈で書くには不適。書きたいならregion使わないとルール違反。 --ゲームバランスの面で仕方ないと言えば仕方ないのだが、原作では精霊魔法や通常の武器による物理攻撃は効かない魔族にも普通にそれらの攻撃が効いてしまう。 -一部キャラを育成できない事 --前述したように「原作で元々強いキャラ」は最初から強くレベルアップできないようになっているのだが、レベル固定の仲間は原作では人気が高く出番も多いキャラばかりであるため彼らを育てたかったという声は少なくない。 ''ゲームシステム面'' -移動時のキャラのデフォルメグラフィックがあまり綺麗ではない。背景は無難なレベルなのだが。 -ダンジョンから瞬時に抜け出す方法がない --全体的にダンジョンはあまり広くなく、脱出用の出口が最奥に設置されているダンジョンもあるので体感的にはそこまで気にならないのだが、一部ダンジョンは脱出の際わざわざ戻るのが面倒になっている。 --おそらく原作にダンジョン脱出に適した魔法がないためだと思われる。 -街の中などではYダッシュができるが、ダンジョン内だとできない。 //ダンジョンだけ一部機能が制限されるってのは割とよくある。 ''バグ'' -魔法を覚えるために必要な魔法理論だが魔法理論9を聞かずに魔法理論10を覚えたのち魔法理論9を覚えると最強魔法のドラグ・スレイブを覚えることが出来ない。おそらく最後に覚えた魔法理論が上書きされているようだ。 -最初から1度も医者と話さずにアトラスシティまでゲームを進め、魔導師協会の会長からオーク退治の仕事を引き受けてナーガがパーティから外れた後に敵と戦って全滅すると、ゲーム冒頭のヴォルンの洞窟に戻って再びナーガを加入させることができ、そのままナーガを加えた状態でアトラスシティの先までゲームを進められる。 --ただし、この状態で仲間が増えてパーティの人数が5人以上になるとバグってしまい正常にゲームを進められなくなる。 ---- **総評 当時のキャラゲーとしてはかなりの豪華仕様で、多少システムに難はあるもののそれを補って余りあるテキストやシナリオで普通のRPGとして見ても楽しめる作品。~ スレイヤーズのゲームはPSやSS、PCでもいくつか出されているのだが微妙な出来のものが多いため、その中で一番面白いゲームと言われることが多い。~ システムの根幹を敢えてオーソドックスにすることでシナリオやキャラの表現に幅を持たせることに成功したゲームといえる。 ---- **余談 -発売当時の原作情報を元にしたため、後に発売された原作の続編とは食い違っている描写もある。 --本来、力を借りる元が滅んでいる為に使えないはずの魔竜烈火咆(ガーヴ・フレア)や冥王降魔陣(ラグナ・ブラスト)が普通に使える。原作第二部で「うっかり使おうとして発動失敗」というシーンもあり、原作を読んだ後に本作をプレイすると疑問に思うだろう。 &br

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