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東方見文録 - (2012/11/23 (金) 21:03:58) の最新版との変更点

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*東方見文録 【とうほうけん ぶんろく】 |ジャンル|アドベンチャー|&amazon(B000068I7I)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |発売・開発元|ナツメ|~| |発売日|1988年11月10日|~| |価格|5,800円|~| |ポイント|突拍子もない演出が目白押しのカルトゲー&br超展開最高潮のエンディング|~| //|分類|突拍子もない演出が目白押し→''バカゲー''&br()副主人公が死んで主人公は発狂、ほかにも文録のせいで死人が続出→''鬱ゲー''&br()ちなみにカテゴリー先としては''鬱ゲー''として扱っているのであしからず|~| **概要 -コナミ独立組が興した会社・ナツメのデビュー作にしてアドベンチャー史に残る狂ゲー。「見聞録」ではない。 -東南アジア大学歴史工学部旅行学科4回生の主人公「東方見 文録(トウホウケン ブンロク)」が、卒業論文のためタイムマシンを開発して「東方見聞録」が書かれた時代にタイムスリップし、マルコ・ポーロと共にジパングを目指す…という内容のアドベンチャーゲーム。全5章構成。 --しかしその狂ったテキスト・展開は、プレイヤーに忘れられないほどのトラウマを植えつける。 -パッケージ絵にアンダーグラウンド系漫画雑誌『ガロ』の表紙を描いていた太田螢一を起用。物凄く怪しい。 **特徴 -コマンド選択式の総当りADV。なお、プレイヤーは文録とマルコの2人を状況に応じて交代する必要がある。 -テキストは「登場人物のセリフ文」と「ナレーターの解説」の2種類に大別され、状況説明などの第三者的な描写はナレーターの口を借りる形で表現されている。 --ナレーターは慇懃無礼なですます口調。顔面部に大きく「N」と書かれた真っ白い頭巾を被った風貌をしている。彼にも1キャラクターとしての人格らしきものがあり、性格は軽い。発言例を以下に示す。 ---文録の荷物を盗んだ犯人を追いかけて道行く人を手当たり次第に殴ろうとすると「カワバタ クンジですか?」と言われる((1981年に起こった「深川通り魔殺人事件」の犯人が川俣姓。))。不謹慎だがいいのかこれ。 ---砂漠の夜を旅している最中、ナレーションの最後に「ツキのー サバクをーときたもんだ」と童謡「月の砂漠」の一節を思い出して、口ずさむ。 ---その見渡す限り砂だらけの場所で意味もなくものを取ろうすると一言「とるもんなんてないヨーン」。 -パスワード入力時に表示されるアイコンが「バタイユの小説に出る眼球」とか「プラナリア」とか。ついでにBGMは「マイムマイム」。 --さらに章クリアのパスワード表示画面に一緒に出てくるメッセージが「パスワードは これだビッチ!」「ロシアよりアイをこめて…」。なんじゃそりゃ。なお、ゲーム中ロシアに行くことはない。 -BGMや脇役キャラクターを始め、随所にTVや映画などからのパロディが見られる。 --例えば、ゲーム序盤で「''ラッキーさん''」((当時放送されていた『ズームイン!朝』に英語コーナーがあり、その司会はウィッキーさん。))がイスラム語のワンポイントアドバイスをくれる。 ***シナリオについて マルコとその父・ニコルはフビライ・ハーンの命を受けてキリスト教伝道の旅をするはずだったが、タイムスリップしてきた文録に驚いてニコルが腰を抜かし何故か背も低くなってしまった為に、文録とマルコの二人で旅に出る事となる。~ これが本作のシナリオの基本的な背景であり、史実に沿ったり沿わなかったりしながら話は展開するのだが、ストーリーは先へ進むほど混沌としてくる。~ また、わりと簡単に死人も出る。~ -キリストの磔刑像にうっかり金的をかましてしまった悪党が、像のライダーキックで死ぬ。ちなみに持っていたのは文録が過去の日本で売りさばくために持ってきていた現代の日用雑貨。 -背中合わせの状態で大樹にされた恋人同士を文録がチェーンソーでタテ割りにする。当然2人とも死ぬ。 -いよいよ足掛け6年の旅の果てジパングに到達しかける文録とマルコだが、文録がタイムマシンをいじって大東亜戦争(太平洋戦争)末期から呼び出した神風特攻隊の特攻により元寇は壊滅、マルコは流れ弾に当たって死ぬことに。 --なぜこんなことをしたかと言うと、同行した元寇の大船団に対して史実で言うところの「神風」が一向に吹かなかったため。神風と間違えて呼んでしまった。 --散々過去に干渉しておいて、そういうところだけ律義なのはどうなんだ。 ---なおマルコが死んだ際、ゲーム中ではただ単にマルコが点滅して消滅するという演出のみだが、没データではマルコの頭が木っ端微塵に吹っ飛ぶというグロ絵が入っている。 -そしてこの狂った世界の極みを示すのがエンディング([[参考動画「東方見文録 第5章後編」>http://www.youtube.com/watch?v=n5Zn8BJYH0E]])。これでも完全クリア時のエンディングである、念のため。 --最初のほうはなんともないが、後半部分はテキストや絵が一気に不気味になり精神異常系っぽさを漂わせているため、そういうものに耐性がなく興味本位で見るとかなりインパクトが強く怖い。まさに只ならぬ狂気そのものである。 **評価点・問題点 -BGMやグラフィックのバリエーションが豊富。 --上記のものすごい展開がそのまま絵になっているグラフィックはプレイヤーを飽きさせず、2コマアニメで面白おかしく強調されているシーンも多い。 --短いものも含めると、BGMの数は40種類以上ある。章ごとに次々と移り変わる舞台それぞれに別の曲が用意されていると考えていい。全体的に尺は短く、完全オリジナルではないアレンジやパロディ曲も含むが、数だけ見れば同時期のADV作品の2~3倍。 -メッセージパターンも簡素ながら豊富で、プレイヤーが無意味な行動をとった時にナレーターの反応で楽しめる事もある。 -一見するとムチャクチャであるが、第4章までの展開は多くが『東方見聞録』内に元ネタをうかがい知れる。しかし5章では全くオリジナルの展開となり、最終的に物語は破綻を迎える。 --つまり見聞録の中身を知らずにデタラメをやったわけではなく、見聞録を読んだ上でフリーダムに解釈したということになる。 -濁点が1文字扱い、文末の読点が省かれている、長セリフは改行が少なく単語が分断されているなど、テキストがやや読みにくい。また、軽い誤字脱字が残っている。 **総評 '88年下半期発のコマンド総当りADVとしては洗練されていない部分があるものの、BGM・グラフィック・メッセージパターンの多彩さや小ネタの豊富さなどは評価できる。本作独特のユーモアセンスは現在でもなかなかお目にかかれない部類であるし、理不尽な謎解きを要求される事もない。~ しかしシナリオの方がぶっ飛びすぎていて、まともな理解がなかなか追いつかない。登場人物はナレーター含めて全員ノリが軽く、個々のエピソードもシリアスなのかおふざけなのか判断に困るだろう。衝撃のラストシーンは、カオスな空気にそこそこ馴染んだプレイヤーですら唖然とさせた。~ 本作はとにかく「一定の評価を下すのが困難な怪作」である。 *余談 キルタイムコミュニケーションの単行本「美食倶楽部バカゲー専科」にて、詳細な考察及び解説が加えられている。深読みの可能性も疑えるものだが、読み物としてはそこそこ面白いだろう。 後にナツメが優良開発会社として有名になった頃『メダロット4』に「[[トウホウケン ブンロク>http://www7.atwiki.jp/medadictionary/pages/766.html]]」というNPCが登場する。 翌年の1989年にトーワチキとの共同開発により発売されたアドベンチャーゲーム『アイドル八犬伝』では、本作のシステムが流用されている。 ----
*東方見文録 【とうほうけん ぶんろく】 |ジャンル|アドベンチャー((公称ジャンルは「ニューウェーブ・サイケデリック・アドベンチャー」となっている。))|&amazon(B000068I7I)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|2MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|ナツメ|~| |発売日|1988年11月10日|~| |価格|5,800円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(MistyRose):''怪作''|~| |ポイント|トンデモ展開の目白押し&br()第5章以外は普通に楽しめるバカゲー&br()割と軽いノリでキャラが死ぬ&br()文字通り発狂モノの衝撃のラスト|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 後に『[[メダロット>メダロットシリーズ]]』シリーズでその名を知られることになるナツメ(後のナツメアタリ)のデビュー作。著名なマルコ・ポーロの旅行記「東方見聞録」をテーマにしてはいるが、タイトルの「東方見''文''録」は''主人公の名前''である。~ アドベンチャーゲームとしては普通のシステムだが、ストーリー展開が、あまりにぶっ飛んでいる…を通り越してかなりシュールな作りで、''完全にトチ狂っている''とも言えるノリだったために、プレイヤーに強烈な印象を植えつけることになった。 ---- **ストーリー >東南アジア大学歴史工学部旅行学科4回生の「東方見 文録(トウホウケン ブンロク)」~ 彼は卒業論文を書くためにタイムマシンを開発し、敬愛するマルコ・ポーロが生きた1275年にタイムスリップした。~ タイムスリップは無事に成功し、文録は中国にキリスト教を布教するべく父ニコロと旅に出ていたマルコの前に姿をあらわす。~ ショックで腰を抜かし、なぜか背も低くなってしまったニコロに代わって、文録はマルコとともに中国を目指すことになる。~ しかし、その行く手には、不条理極まりない奇天烈な出来事の数々が待ち受けているのであった…。 ---- **特徴 ''システム'' -総当たり・コマンド選択型のアドベンチャーゲームで全5章構成。 --基本的には文録とマルコの2人旅だが、ストーリーが進むと文録だけ、マルコだけで進む場面も出てくる。 --登場人物のセリフ以外は、ナレーターの解説という体裁を取っている。このナレーターにも一キャラクターとしての人格があるらしく、夜の砂漠で「ツキのー サバクをーときたもんだ」と口ずさむなど、どこかノリが軽い。 --コマンドは「みる」「はなす」「とる」などの他に「''なぐる''」が常備されている。主人公の性格を表すと共に、誰彼構わず殴る事が出来るシステムとなっているのである。 ---ただし、ナレーションに怒られて実際には殴れないパターンも多い。 --しかし殴る時は平気で殴る為、お偉いさんを殴って処刑されたり、使命を果たせなくなって''野垂れ死に''したり、''ナレーションに天罰を下されたり''と言った事が普通にある。ゲームオーバーの原因は大抵このコマンドである。 ---- **賛否両論点 ''奇怪さ漂う作風'' -そんな本作の特徴は何といっても、どこを取り出してもそこはかとなく漂う「怪しさ」である。 --太田螢一((アンダーグラウンド系漫画雑誌『ガロ』の表紙を担当したイラストレーター。ミュージシャンとしての顔も持ち戸川純、上野耕路と共に音楽ユニット「ゲルニカ」としても活動していた。))が描くパッケージ絵(上参照)をはじめ、パスワード入力画面で「マイムマイム」に合わせて表示される「バタイユ((難解な内容で知られるフランスの小説家・思想家。))の小説に出てくる眼球」「プラナリア」のアイコン、パスワード表示画面に出てくる''「パスワードは これだビッチ!」「ロシアよりアイをこめて…」''というメッセージ等等…。 --''軽いノリで話が進むわりに人死にが多い。''敵も味方もあっさりと死ぬ時は死ぬ。 -脇役の名前や登場人物の台詞、BGMにTV・映画などからのパロディが大量に盛り込まれている。以下はその一例。 --ゲーム序盤で訪れる街で「イスラム語」のワンポイントアドバイスをしてくれる''ラッキーさん''((元ネタは当時放送されていた情報番組『ズームイン!! 朝!』で、ワンポイント英会話のコーナーを担当していた「ウィッキーさん」で、その街で朝を迎えた際には『ズームイン!! 朝!』っぽい演出もあったりする。))。 --文録の荷物を盗んだ犯人を追いかける場面で文録が道行く人を手当たり次第に殴ろうとすると、ナレーターが「''カワバタ クンジですか?''」と言う((元ネタは1981年に起こった「深川通り魔殺人事件」の犯人の名前。いわゆる「電波系」が一般に認知されるきっかけになったとされる。不謹慎だがいいのかこれ?))。 -彼らの旅路は意外と元ネタの「東方見聞録」に忠実なのだが、章が進むにつれて''そもそも人間ではないキャラが多数出てくる''など、ストーリーはどんどんバカゲー要素が強くなり突っ込み所を挙げるとキリがない。 #region(カオスなバカゲー要素※ネタバレ注意) -''明らかにカッパの見た目の神父''が味方として登場。その後あっさりと死ぬ。 -キリストの磔刑像にうっかり金的をかましてしまった悪党(''オカマ'')が像のライダーキックで死ぬ。 -国の王様が呪いによってヤギのようになってしまい、トイレットペーパーばかり食べている状態になる。 -背中合わせの状態で大樹に埋め込まれた恋人どうしを助けるためにチェーンソーでタテ割りに。当然2人とも死ぬ。 -砂漠でいきなり出会ったヤンキーに''自慢の金歯を抜かれる''文禄。 -マルコが出会う船の漁師が''何故かタコの姿をしている。''誰にも突っ込まれず普通に会話している。 -文禄たちが敵から突き落とされるが、何故か''メッセージ画面のウィンドウに着地''して難を逃れる。 #endregion -最終章の展開はこれまでと全く違った''非常にシリアスな作風となっている。'' --4章まではかなりカオスな内容であるものの基本的にギャグ要素が強く、比較的楽しめる出来となっている。ストーリーとしてはこのまま終わっても違和感がなく、単なるバカゲーで済んだのだが、このゲームはそれでは終わらなかった。本作を怪作と呼ばれる出来たらしめたのが最終章である第5章の内容。 ---ちなみに説明書には「各章のあらすじ」が載せられており第5章については最終章ということで~ 「''あんまり書いたらつまんないけども、この章は、けっこお、カルト((原文ではこの3文字の上に点(・・・)がつけられ強調されている。))してるよ!''」~ 「''特に深い意味はないが、「暗いのが好き!」っていうアンタには、バッチリ満足してもらえるさ!''」~ 「''セーゼー、ブッタマゲテオクレ!''」~ という、やたらと当時のノリ特有のものものしい一文(原文ママ)と共に具体的な展開は伏せられているのだが、その忠告通りブッタマゲルほどの衝撃的な内容でプレイヤーを唖然とさせた。 ---本作のキャラに慣れ親しんだ層はこの全くハッピーとは言いがたいエンディングを見てモヤモヤした人もいるだろうと思われる。 --''一応書いておくが、これでも完全クリア時のものである。'' #region(ネタバレ注意) //文の流れが寸断されて読みづらいんで、マルコの死にざまと没画像については余談節のそれ以外の没要素の節に統合した。 --無事にマルコを送り届けた文禄だが、元寇の大船団が日本に上陸しようとしている事を知らされ一緒に向かわされるという事態になる。 --「神風」が吹かない((それもその筈で神風が吹いたと言われるのは一旦日本に上陸して交戦したあとである。))ことに焦った文録がタイムマシンをいじったことで「神風」特攻隊があらわれる。元軍は壊滅するが、マルコも''流れ弾に当たって死ぬ。'' ---そしてこのような歴史改変を起こした文録は''「日本が元国の侵攻を免れたことは事実です。私は無実です。」とのたまう始末''。 -マルコを失った文録は失意のうちに漂流を続けた末、日本のようでありながらそうとも言えない、どこか奇妙な場所に流れ着く。 --そこは時を侵したもの(すなわち時間犯罪者)を収容する「時の団地」と呼ばれる場所だった。 ---ジパングに着いたと喜んでいたのもつかの間、狂気に満ち溢れた人々に取り囲まれた文録は、時間改変の罪で一生をそこで過ごす羽目になることを知らされ、憧れのジパングとの落差と無情な結末にもはや正気を保てず、発狂してしまうのであった・・・。 //--文字だけではこの悲惨な展開が伝わらないので、[[実際の動画リンク >https://www.youtube.com/watch?v=n5Zn8BJYH0E,width=420,height=270]]を参照してほしい。 #endregion //いくらネタバレで隠してある・プレイ困難な古いゲームと言ってもエンディングのプレイ動画リンクを堂々と載せるのは問題では ---- **評価点 -BGMは短いものが多いがFCとは思えないほど曲数が多く、バリエーションも多い。 -上記のシュール極まりない世界観と展開をそのまま絵にしたグラフィックは地味に質が高く、2コマアニメで面白おかしく強調されているシーンも多いなどプレイヤーを飽きさせない。 -メッセージパターンも簡素ながら豊富 --プレイヤーが無意味な行動をとった時のナレーターの反応も楽しめる。 -純粋なバカゲーとして楽しめる出来 --本作が怪作として語られるのは主に第5章の展開が大きく、それ以外のストーリーは割と突っ込み所満載のバカゲーとして素直に楽しめる出来である。 --また問題の第5章にしても「支離滅裂かつぶん投げたいい加減なオチ」というわけでもない。~ 主人公のブンロクは自分の都合と欲望でタイムワープして早速歴史を歪め、本編中も歴史や文化を全く考慮しないエキセントリックな行動で引っ掻き回しており、それらの積み重なりで5章の展開に繋がると見ると、「SFにおける無考慮な時間旅行者の末路」をしっかり描ききっていると''言えなくもない''。 -それぞれのキャラクターも良い意味で個性的な部分がある。 --主人公のブンロクは乱暴で口が悪く癖の強いキャラだが、マルコがピンチの時はどんな事をしても助けるなどヒーローらしい所を見せてくれる。(その手段については色々と問題があるが....) --登場する悪役はやる事は非常に悪どいのだがどこかしら憎めない所があり、魅力的。それでいてどの悪役も笑いを誘う間抜けなやられ方をするため、プレイヤーに爽快感を与えるキャラとしてしっかり機能している。 ---- **問題点 -テキストが読みにくい --容量節約のためではあるが濁点が1文字扱い、文末の読点の省略、改行が少ないため単語が分断されている長セリフ、誤字脱字などが多く読みづらい。 -キャラ切り替えの面倒さ --ストーリーを進めると、ブンロクとマルコが別行動し、パートが切り替わることがあるが、切り替わっても操作するキャラ自体はいちいち手動で切り替えなくてはならないので面倒くさい。 ---- **総評 洗練されていない部分はあるものの、理不尽な謎解きを要求されることもなく、BGM・グラフィック・メッセージパターンが多彩で小ネタも豊富である。本作の独特のユーモアは現在でもなかなかお目にかかれない。 しかしぶっ飛びすぎてツッコミが追いつかないシナリオ、シリアスとギャグがその場のノリで変わるカオスな雰囲気、そして何よりもこのシュールな作風にそこそこ馴染んだプレイヤーですら唖然とさせるエンディングの存在…。~ これらの要素によって、オーソドックスなテキストADVを軽々と突き抜け「''ニューウェーブ・サイケデリック・アドベンチャー''」の公称ジャンル名に違わぬ強烈な印象を残すこととなった。 一定の評価を下すのが困難な、まさに「怪作」と呼ぶにふさわしいゲームである。 ---- **余談 -『美食倶楽部バカゲー専科』(キルタイムコミュニケーション)にて、本作についてのバタイユ論をまじえた詳細な考察及び解説が加えられている。 -『[[メダロット4 カブト/クワガタ]]』に「[[トウホウケン ブンロク>https://www7.atwiki.jp/medadictionary/pages/766.html]]」というNPCが登場する。 --顔グラこそは普通の男の子のものだが、文録のエキセントリックなしゃべり口調は再現されており、愛機「マルコ」も今作のエピソードを端的に再現したパーツで構成されている。 -本作の翌年に発売された『[[アイドル八犬伝]]』には、本作のシステムが流用されている。 --こちらは現代日本を舞台にしたコミカル路線であり、本作のようなイカれた狂気っぷりはさすがに鳴りを潜めているが、また違った意味で本作に負けず劣らずのカオスな作品である。 -マルコが流れ弾に当たって死ぬシーンの演出はマルコが点滅して消滅するだけという無難なものだが、没データの中に''木っ端微塵に頭を吹っ飛ばされるマルコ''というショッキングな画像が入っている。さすがに倫理チェックに引っかかった模様。 --なお、この没データの画像自体は通常ROM内でも確認されているものの、巷に没画像として出回っている死亡シーン全体の画像は、誰かがマルコの没画像と本編の該当シーンの背景画像をコラージュしたものであるという説が有力と言われていた。~ その後、2021年9月に開発サンプル版をコレクターが発掘、検証したことで[[該当シーンでそのまま使用されていたことが明らかとなった>https://automaton-media.com/articles/newsjp/20210915-175826/]]。 -上記の開発サンプル版にはマルコの死亡シーン以外にも製品版との相違が数多く確認されている。 --具体的には差別表現、グロ・エロ描写、実在の人物の名前や商品名などがかなりの数盛り込まれており((上述した「ラッキーさん」「カワバタ クンジ」等もボカさず実名表記され、性的描写に至っては女性の胸の露出をはじめとして、とても当WIkiでは書き記せないレベルのものまで存在している。))、製品版はこれでもかなり描写が抑えられているという事も明らかになった。 ----

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