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イースV -失われた砂の都ケフィン-」を以下のとおり復元します。
*イースV -失われた砂の都ケフィン-
【いーすふぁいぶ うしなわれたすなのみやこけふぃん】
*イースV エキスパート
【いーすふぁいぶ えきすぱーと】

|ジャンル|アクションRPG|&amazon(B000068H9G,image=https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/1183/189/571413_9919_front.jpg,height=160)|&amazon(B000068I5D,image=https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/1183/187/564220_4476_front.jpg,height=160)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|~|
|メディア|24MbitROMカートリッジ|~|~|
|開発元&br()発売元(オリジナル)|日本ファルコム|~|~|
|発売元(エキスパート)|光栄|~|~|
|発売日|オリジナル:1995年12月29日&br;エキスパート:1996年3月22日|~|~|
|定価|オリジナル:12,800円&br;エキスパート:12,390円(税別)|~|~|
|配信|[[プロジェクトEGG>https://www.amusement-center.com/project/egg/]]&br; オリジナル:2010年11月9日/800円(税別)&br 大全集:2007年2月23日/2700円(税別)|~|~|
|判定|なし|~|~|
|ポイント|イースシリーズの一大転換点&br()ボリューム相当ではない高すぎる定価&br()3ヵ月後に完全版を発売|~|~|
|備考|注意:ここでは同タイトルのプレイステーション2版(タイトー製)の紹介は省略する|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[イースシリーズ]]''|
#contents(fromhere)
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**概要
-SFC後期に「最後で最初のイース」((当時のシリーズ最終作。IVと違い、ファルコム純正の作品。家庭用据え置き機SFCのみで発売。))という珍しいキャッチコピーで売り出されたゲーム。
-キャラクターの数は、OHP曰く「シリーズ最高数」、さらにサントラの曲数に至っては後発の『[[イースVI -ナピシュテムの匣-]]』『[[イース -フェルガナの誓い-]]』『[[イース・オリジン]]』よりも多いなど、初のオリジナルSFCタイトル((ちなみに、ファルコムのSFC参入第一弾は『ぽっぷるメイル』(1994年6月10日発売)である。))として、「ファルコムの総力を結集した」渾身の大作として製作された。

-これまでのイースの殻を破ろうという意欲にあふれた、挑戦的なタイトルである。
--攻撃操作の変化(「評価点」参照)を筆頭に、これまでは「1つか2つの町や村を拠点にして、ダンジョンに赴きゲームが進行する」という構成だったものを、「町1→ダンジョン1→村1→ダンジョン2→村2…」と家庭用タイトルのRPGに近い構成にしている…など。

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**評価点
-アクション性の大幅アップ
--従来は体当たりで攻撃していたのが、剣を振って攻撃するスタイルに変化した。
---敵の側面・背後から攻撃を加えることで更にダメージに補正が働き、与ダメージが大きく変動する。
---エキスパート版ではこの補正が更に大味になっており、通常版と比較して正面からの攻撃に対してかなりのマイナス補正や一部盾や甲殻で攻撃を弾いてくるモンスターも登場している。
--ボタンを押して剣を振るシステムという点では『[[イースIII -ワンダラーズ フロム イース-]]』に近い。相違点は画面視点が上からということ。
--ちなみにこの作品のみ、盾で意図的に敵の攻撃をガードすることが出来る。
//体当たり式は『イース』発売当時からすでに時代遅れとされていたが、←ソース不明。
--ジャンプ操作の追加。

-操作性の整備
--『イース』伝統の極端に狭い通路や、画面が切り替わった瞬間に衝突して即死するなどがない。
--また受けたダメージや与えたダメージを数字として表示するようになった。
--十字型のメニューアイコンは、OHPの「簡単操作で超便利」は大げさにしても、ボタンを押す回数が極力少なくなるように工夫されている。

-ゲームバランスの調整法の変化
--レベルが1つ違うと与えるダメージも被ダメージも桁違いになるということはない。剣振りになった事とあわせアクションの名を冠したジャンルらしく、プレイヤーの技量で補えるようになった。
--『[[イースII>イースI/II#id_2efd3e40]]』のように魔法しか効かないというボスがいない。魔法が熟練度システムなので居たら稼ぎを強制されてしまうため、この点は評価されている。

-ストーリーは良質。
--特にシリーズの中でも未経験者でもわかりやすいものになっている。
-BGMのクオリティは相変わらず高く、音楽の曲数も多い。またオーケストラ調になっている。
-グラフィックはSFC晩期ということもあり綺麗。

**賛否両論点
-数多くの隠しアイテムの存在
--ゲームを遊ぶ上で必ず入手しなければいけない道具や強力な武器は原則宝箱や人物との会話で獲得できるのだが、本作ではドラゴンクエストシリーズよろしく壺の中や特徴的なオブジェクトにアイテムが仕込まれており、その総数は実に70個以上にもかかわらず原則ノーヒントである。
---内訳は錬金魔法の素になる各種エレメンタルが大半を占めるが、一部一点物の高価な換金アイテムや装備、通常プレイでは一つしか購入できないアイテムを重複して獲得できるなど恩恵も大きい。一部たわしなどのネタアイテムも。
---しかし本編との関連性が薄いためあくまで救済要素やアクセントとして楽しむためのものとも言える。

-装備武器による攻撃アクションの変化
--本作では装備する武器に応じて切・薙・突きといった3種類の攻撃アクションがあり、それぞれの特色があり武器の違いの表現に一役買っている。
---のだが、標準的な攻撃範囲と速度の切や広範囲+判定の長いかつ速度が多少劣る薙は比較的使いやすい一方、出が早い代わりに攻撃範囲と判定時間も最小となる突き攻撃は比較的扱いが難しい。とは言え従来のイースシリーズよろしく最終的には武器の強さが最重要となってくるため通常プレイにおいては些事とも捉えることも出来る。

-装備重量(上位装備品の「びんしょう」値のマイナス補正)
--本作ではアドルのステータスに「びんしょう」(敏捷)の数値が設定されており、これが低い場合フィールド上の敵の行動速度が早くなり有利なポジションでの攻撃が難しくなったり敵に翻弄されたりする。
---特に上位装備ほどこの数値に対するマイナス補正が大きくなるため、ゲーム序盤では無理して装備を揃えるよりも武器のみに特化して有利なポジションを維持したほうが安定な場面も登場する。
---ただし原則として物理・魔法各々のレベルアップでびんしょうも成長するのでそこまで神経質になることはない。

-店ごとの換金比率と一括売却
--本作の金策はゲーム序盤のとある人物からの資金援助以外は、敵を倒した時に落とす換金素材や宝箱から入手できるアイテムや装備を店や行商人に売却することで行うことになる。
---この際店によって換金比率が異なるのだが良心的なところだと最大で相場の8割増で装備や換金素材を買い取ってくれる一方、2割減で買い叩く商人も居て街や店ごとの特色のアクセントになっている。
---換金時、装備やアイテムは自分の意志で小分けした売却が可能なのだが、換金素材は一括して売却してしまうため、換金比率の高いところで売るつもりが比較的比率の低い店で売却してしまい余計な金策に走るという場面もある。

**問題点
-ジャンプ操作の問題
--新たにジャンプが出来るようになったのだが、高低差が曖昧なため、『III』のようにジャンプで攻撃をかわすといったことが不可能。
--8方向に移動が出来るものの、ジャンプや攻撃は4方向。操作性の粗も目立つ。

-プレイしていて必ずしも発生するわけではないがバグが多い。半永久的フリーズなどが見つかっている。
--とあるモンスターに特定の魔法で攻撃すると必ずフリーズする。
--ゲーム開始から近いお店で早い内に攻撃力が上から2番目の武器を購入してセーブすると、戦闘中頻繁にフリーズする。回避方法も不明。
---これらはWin版『イースVI -ナピシュテムの匣-』初回限定版に同梱の『イース大全集』でも確認できる。

-意識して使わないと、魔法を使う機会が限られてしまう。
--6種類のエレメンタルを集めて3つから合成するのが煩雑。得られた魔法の効果も、使ってみないとわからない。
--魔法でトドメをさすと換金アイテムが手に入らないため、資金のやりくりが面倒。
--魔法発動中は無敵になるのだが、発動まで時間がかかり敵が無視し攻撃範囲外に消えることも。
---最初にイベントで確定入手するアバランチロック(『II』でのファイヤーの魔法に当たる)以外は基本的に使い物にならないといわれるほど。
--魔法の成長は一種の熟練度システムなので、前半に使っていないと後半は使い物にならない。
---物理と魔法のレベルはそれぞれ独立しており、敵を倒す際にどちらの攻撃で倒したかによって成長先が割り振られているのだが、魔法を育てず後半に行くと敵の防御力が高くなりすぎて魔法で止めを刺せず成長させる術がなくなる。加えてシナリオ後半ではレベルの低い魔法でも倒すことの出来る敵のいるエリアに戻れなくなる為に完全に成長の機会も失われる。
--魔法にも6種類のエレメントに対応した6属性が存在するが、敵キャラクターには弱点属性以外に適応属性があり、それで攻撃すると逆に回復させてしまう。
---例として炎の見た目をした敵に対して火属性の魔法を当てるなど。
--ボス戦について「魔法しか効かないというボスがいない」と先述したが、ネタバレになるので詳しくは言及しないが、前半ではボスの居る環境・後半ではボス自体の設定から&bold(){一切の錬金魔法が使用不能となっている}といった表現が正しい。
---例外として&bold(){錬金術に関係のない野生動物のボスキャラクター}が居るのだが、本作で魔法が通用する&bold(){唯一}のボスである(ただし使える魔法は入手出来るエレメンタルの都合上、アバランチロックしか無い)。
//-魔法の存在意義がないといわれる本作だが、魔法の使いやすさ・使いにくさのブレは、イースシリーズ全般にわたる問題でもある。
//--イースIIのようにザコ敵の移動スピードが速すぎるので、便利な魔法が逆に直接攻撃の存在意義を(特定のボスを除いて)奪っているものから、イースVIのエメラス剣のように複数あっても使いきれない!というケース等。←IIは魔法の強さを示すものだしIと同じだと単調。VIはゲージがそれぞれ別なので使いきれないというのは個人の問題。ボス前に全ての剣のゲージを溜めておいて開幕に次々と剣魔法を撃つという戦術もある。

''転換点特有の批判''

ほかのイースシリーズではさほど問題点にはされていないが、本作では問題として扱われる、転換点特有の厳しい指摘も多い。

-ゲーム内容は10時間以内に終わるくらいのボリュームなのだが、12,800円と非常に高価。
--ただしイースシリーズとしては10時間は普通、値段も当時のSFCのゲームとしては問題のない範囲である。
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**総評
意欲的な挑戦が多く盛り込まれた作品で、これが成功すれば間違いなくシリーズ最高傑作だったと思われるが、ジャンプ操作も完璧と言い難いうえ、バグも散見するタイトルになってしまい、意欲的な挑戦は結果として失敗に終わった。~
とはいえ、本作はPC88タイトルとしてのイースの影響を排し、後のイースVI以降のシステムへ影響を与える等、シリーズの姿を大きく変える転換点となった。

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**その後の展開
-本作以降のイースシリーズのゲームシステムは、以前のイースシリーズではなく本作をベースにしている。

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**完全版商法
-発売の''わずか3ヶ月後''に光栄(現・コーエーテクモゲームス)から『イースV エキスパート』としてバグ修正・高難易度ダンジョンなどが追加されたものが発売。ちなみに現在はプレミアがついている。
--今に繋がるベータ版騒動の忌むべき前例として記憶されるべきだろう。奇しくもほぼ同時期に『[[す〜ぱ〜ぷよぷよ通>ぷよぷよ通]]』の完全版にあたる『~リミックス』がコンパイルから出ていた。しかも『イースV』と同じく3ヶ月後の発売。
--隠しダンジョンのダンジョンの定義は置いておくとして、その実態は一画面の狭いマップ上で延々と3~4体の敵を倒していくという単調なものである。
---さらにその報酬は全魔法(錬金システムを自ら否定しているような……?)と、あるアクセサリ(もちろん原作でも手に入る)である。まあ原作の方では「全」魔法とそのアクセサリを両立できないために、仮にその現象がバグで今回の追加要素がその救済措置であったにせよ「やっつけ仕事過ぎる」ような気もするが……。
--そしてもう一つの主な追加要素のタイムアタックは本編のタイムアタックではなくいわゆるボスラッシュ(しかも何故か魔法使用絶対不可能かつ回復回数縛りありといったもの)である。装備やステータスはその時その時に応じて(スタッフの独断と偏見により?)想定したものが与えられる。
---こちらは本編とは完全に独立しているせいか報酬はない。スコアに応じて観られる寸劇が報酬と云えば報酬なのだろうが。
--総じて原作の時点で既に完全版で肝心の完全版のほうは蛇足版といっても過言ではない印象である。
//同機種に完全版を出すというバンナムもびっくりの完全版商法。←スクウェアのFF7インターナショナル、スクウェア・エニックスのスターオーシャン3ディレクターズカット,FF10-2など同機種完全版はバンナムが統合される以前から珍しいことではない。
//企業問題はゲーム評価の外へ

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**余談
-様々な意欲的な挑戦はファルコムの総力を結集しても蟷螂の斧だったのか、開発は伸びに伸びてしまった。
--93年のミュージックビデオ『イース スペシャルコレクション』で製作が告知されていたにもかかわらず、実際の発売は95年の年末という有様である。

-発売に際して様々な悪条件が重なる不運にも見舞われた。
--SFC版『イースIII』『[[イースIV>イースIV MASK OF THE SUN]]』(通称トンキン版)の出来は芳しいものではなく、SFCユーザーにイース人気、ファルコム人気が根づいているとは言いがたかった(とはいっても後にSFC版IVが正史になったことにより近年は再評価されつつある)。
--過去のファルコムゲーのSFC移植版は微妙な出来の作品が多かったためか、本作では自社製作かつわざわざ「外注ではない」と広告に載せていたが、やはり評判は芳しくなかった。
--発売の時期が色々悪すぎた。本作の数ヶ月前に発売された同ジャンルの『[[聖剣伝説3]]』や『[[天地創造]]』の後では、その評価が厳しくなっても仕方がない。
---更に皮肉なことに、『天地創造』を制作したのは元イースシリーズのスタッフが独立して設立した''クインテット''である。クインテットは『[[アクトレイザー]]』や『[[ソウルブレイダー]]』、『[[ガイア幻想紀]]』といった作品で相応に実績を上げていた。
これらの悪条件が重なり売り上げも散々であったようで、8年間に渡りイースは雌伏を余儀なくされるなど、何重もの意味で悲劇的な結果に。
-ただガッカリゲーの例にもれずファン以外のプレイヤーからの受けは悪くないタイトルである。
-リメイクや移植が少ない((一応PS2版がタイトーより発売されているが、シナリオ以外の評価は散々である。))ため、ファルコム純正リメイクを望む声は多い。

-開発途中の版ではヒロインの年齢が製品版より低かったり、敵対人物が男性キャラだったりするなどデザインも一部違いがあった。

-時系列上では本作の直後となる『[[8>イースVIII -Lacrimosa of DANA-]]』にて、本作の最強武器であるイシオスブレードがチュートリアル用武器として登場。
「伝説の武器を路銀に変えている」などとファンから言われていたが、それに対して公式が一つの回答を見せた。

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