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夢幻戦士 ヴァリス」を以下のとおり復元します。
*夢幻戦士 ヴァリス
【むげんせんし う゛ぁりす】

|ジャンル|ACT|&image(valis.jpg,height=240,http://www.amazon.co.jp/dp/B0000ZPVC2)|
|対応機種|PC-8801mkIISR以降、PC-9801VM/UV以降、&br()X1、FM77AV、MSX、&br()ファミリーコンピュータ、メガドライブ、PCエンジン|~|
|発売・開発元&br()【各種PC】|日本テレネット(ウルフチーム)|~|
|発売元【FC】|徳間書店|~|
|発売日|1986年12月|~|
|定価|7,800円|~|
|配信|[[PCエンジンアーカイブス>http://www.jp.playstation.com/software/title/jp0555npjj30033_000000000000000001.html]]:2010年12月15日/800円|~|

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**概要
1980年代のOVAに良く見られた「ビキニアーマーを身にまとってファンタジー風の異世界で戦う少女戦士」というコンセプトを取り込んだアクションゲーム。~
ごく普通の女子高生がビキニアーマーをまとって悪と戦うという設定のインパクトや、当時のゲーム界隈ではまだ珍しかった女性が主人公のゲームであったという話題性、~
キャラクター自身の魅力、ステージの幕間で語られる一見、軟派な見た目とは裏腹のシリアスなストーリーで人気を博し、日本テレネットの80年代における代表作となるとともに、&bold(){ギャルゲーの始祖}とも評された。

**ストーリー
ごく普通の女子高生だった麻生優子は、最近、奇妙な夢をよく見ていた。誰かから話しかけられる夢だった。ある日、学校帰りの途中で、クラスメイトの桐島麗子に話かけられる。近々彼女が遠くに行くという。そして優子は家に帰れないとも。一方でいつか会うかもしれないとも。聞いていた優子には、その意味が今ひとつ理解できなかった。

やがて麗子が去り、家路に付こうとした優子の前に突如、得体の知れない魔物が現れる。その時、どこからともなく一振りの剣が現れ、夢の中の声が剣を手に取り、逃げずに立ち向かうよう優子に促すのだった。促されるままに身を守るため、優子は剣を手に魔物に向かっていく。~
その後、導かれるまま自分のいた世界とは別の異次元世界・夢幻界へと足を踏み入れた優子は、夢幻界の女王ヴァリアから、暗黒界の魔王ログレスの台頭と夢幻界の危機を知らされ、ヴァリスの戦士として闘って欲しいと懇願される。~
あまりに唐突で突飛な話に困惑しながらも、ヴァリスの戦士の力の源ファンタズムジュエリーを取り戻し、魔王ログレスを打ち倒すべく戦士の使命に目覚めていく……。

**特徴・システム
-サイドビューのACT。プレイヤーは麻生優子となり、襲い掛かる魔物を倒しながら、ステージクリアを目指す。

-動きは左右の移動、しゃがみ、ジャンプがある。ジャンプは二段ジャンプができるが、一段目のジャンプと二段目のジャンプは方向転換ができない。また、ジャンプ中、落下中では空中制御ができない。

-ステージは高低差が大きいものが多い。ステージのどこかに潜むボスキャラを倒すと、ステージクリアとなる。ボスキャラの場所は誘導用の矢印が教えてくれる。

-攻撃は基本的に射撃。
--初期状態こそ剣での打撃のみだが、一度パワーアップすると弾を撃つようになる。魔物の攻撃も体当たりより弾を放つ攻撃がもっぱらで打撃はほとんどないため、シューティングアクションゲーム的な側面が強い。

-パワーアップは攻撃側と防御側の二種類に分かれる。ステージ内に落ちているアイテムによりパワーアップする。攻撃はもっぱら射撃性能が上がり、防御はダメージ比率が下がるようになる。
--この攻撃側パワーアップは注意しなければならない。矛盾するようだが、パワーアップすると瀕死となる可能性がある。それというのもパワーアップは体力ゲージとの交換で得るため、体力が十分ない場合に瀕死となるのである。アイテムの中には、初期状態の10倍もの体力を持っていくものもある。この体力、本作では魔物の落とすアイテムで増加する。しかも魔物は頻繁に落とす。最大でスタート状態の30倍以上に。
--一方で防御のパワーアップは体力を必要としない。ただし、ステージをクリアしてしまうと消滅し、また探さなければならない。

-ストーリーは、ファンタジーものとしては当時としてもありがちで大味なもの。ただキャラクター性はよく出ており、本作の魅力を訴えるには十分だった。
--ヴァリスの戦士に指名され、何も分からぬまま自分を異世界に召喚した夢幻女王ヴァリアに対する反発心と戸惑いを抱えながらも、次第に悪と戦う使命への自覚を深めていく優子の姿や、悪しき心に付け入られ対立することになったクラスメートの麗子との悲しい戦いの結末は、一見軟派な外見とシリアスなストーリーのギャップで深くユーザーに印象を残した。

**評価点
-美少女のアップとビキニアーマー。
--ビキニアーマーの美少女を操って魔物を打ちのめす。ステージ間に入る大ボリュームのアニメ調デモシーンでは、美少女がアップになってアニメーションする。これだけでもインパクトは強烈である。主人公のファンクラブが作られるほどの人気を集めた。
---ゲーム業界に与えた影響も非常に大きい。『マドゥーラの翼』で人気キャラ・ルシアをデザインした「もりけん」は「僕は美少女のデザインが恥ずかしかったので、ルシアを完全なビキニアーマーにしなかったのだが、『ヴァリス』の優子を見てしまった!と思った」と、当時を回想して語っている。

-セーブができる。
--当時のACTやSTGなどは、セーブはおろかコンティニューもないものが少なくなかった。さらにコンシューマーより容量が多いため、長丁場なものも結構ある。その点では、本作のセーブ機能は難易度が高いだけに尚のこと有り難いものだった。

**問題点
-アクションゲームとしてはいろいろ雑。
--高低差のあるゲームなのでジャンプの頻度は当然高い。しかし、そのジャンプの性能がとても悪いのだ。空中制御ができないため距離を調整できず、思い通りの足場につけない事も多い。それを踏まえて足場が広め…という訳でもない。ステージによっては、グラフィックのせいで、足場がよく分からないというようなものまである。
--自分も魔物も判定が大きく、避けたつもりで当たる事も少なくない。
--四方八方から魔物がやってくる割には、方向転換がやや鈍い。
--空中にいると制御できないのは先述の通り。このため一端落ちると、どこまでも落ちていく。空中制御して手近な足場に降りるという訳にはいかない。運が悪いとかなり下へ行ってしまう。

-容赦ない魔物。
--魔物の攻撃は狙いが正確。一方、優子は防御ができないのでかわすしかないがmジャンプの性能が悪く当たり判定も大きいのでかわせない事も多い。~
更に被弾時のヒットバック(後方への弾き飛ばし)がかなり大きく、連続で被弾したりするとあっさり足場から落る。そして上を目指すとまた打ち落とされて…というパターンがこのゲームの常。
しかも高所から落ちると、優子は尻餅をついて隙を晒してしまい、そこに被弾してまた落ちるという事もよくある。

-ゴチャゴチャしたグラフィック。
--背景はよく描き込まれているのだが、そのせいで逆に問題が発生している。
--まず先述したように、足場が分かりにくくなっているステージが多い。また背景に比べ魔物の方は大雑把な描かれ方をしてるので、背景にまぎれてしまう。~
さらに白っぽいステージに白っぽい魔物を出すなど、迷彩も魔物の攻撃なのかと思わせる悩ましい配置も。せめてもの救いは弾が点滅しているおかげで分かりやすい事くらい。

-実は体力にものを言わせた単調なゲーム性。
--魔物の攻撃に対応しながら進むと、落とされて進んでまた落とされてという目に会い体力もなかなか増えないため、むしろ体力に物を言わせて一気に進んでしまった方がいい。~
比較的安定した場所で、なんとかして地道に体力を溜め、一気にボスを目指す。だいたいこの調子でゲームが進む。
--各ステージのグラフィック自体は変わるが、ゲーム性としてはそう大きな変化はない。
--ボス戦も体力まかせ。ボスは後半ほど弾幕が激しくなる。優子の攻撃で相殺できるとはいえ、被弾しないのは無理。相手の死角や弱点をつく位置取りをして攻撃はするのだが、結局の所は体力にものを言わせた殴り合いになる。

**総評
ギャルゲーという言葉もない時代に現れた、美少女を前面に押し出したACTとして有名。このため、ギャルゲーの祖とも呼ばれる事がある。~
しかも清純な女子高生がビキニアーマーで戦う。もはや説明不要。その強力な訴求力で、多くのユーザーの心を捕らえた。さらに大ボリュームでアニメーションするデモは、それに応えるのに十分なものだった。

一方で、ゲーム自体はかなり残念なもの。難易度は非常に高く、ゲームそのものを楽しむと言うよりもデモ見たさにプレイの難関さに耐えて泣く泣くプレイすると言う有様。もし主役が少年剣士でデモが淡白だったら、クソゲーという評価もあり得る出来。とはいえ、しかし、主役は少年剣士ではない。麻生優子である。彼女の魅力は、そんなものを一蹴するほどのものであった。

**続編
-『夢幻戦士ヴァリスII』(PC)
--パソコン版の続編かつ最終作。開発はウルフチームに代わりレーザーソフトが担当している。
--本作のゲーム性を踏襲しつつ、複数の装備を任意に変更していく『着せ替えシステム』が搭載された。
--売りであるビジュアルシーンもよりパワーアップしており、随所にビジュアルシーンが挿入されてよりドラマチックになった。
また要所要所で細かくアニメーションするようになっており、より映像的な趣が増している。
--ログレスの死後、統治者を失って内乱に陥った暗黒界に蘇った狂帝・残忍王メガスとの死闘が展開する。

-『ヴァリスII』(PCエンジン)
--PC版『II』と同時期に開発されていた作品で開発チームが異なるため厳密には移殖ではなく、ストーリーの大筋とキャラクターを踏襲しつつ、システム・シナリオ共に別物になっており、商品の区別のためタイトルから「夢幻戦士」の冠がなくなっている。
--PC版に搭載されていた着せ替えシステムは採用されていない。
--PCエンジンの大容量を生かしてビジュアルシーンは常にフルボイスで展開し、圧倒的な美麗さでアニメーションする。

**余談
-最初、PC88、X1、MSXに発売された本作だが、その後様々な機種に移植された。次にPC98、FM77AV、さらにコンシューマーへと展開していく。その中には様々な問題が改善され、ゲームとして出来のよいものもある。
--PCエンジン版ではパソコン版から大きく変更が加えられ、システム、ストーリー共にPC版とは別物になっている。厳密には『II』はPC版の移植作ではなく、PC版と同時開発されていたものであるためで、これ以降、PCエンジン版がシリーズのメインストリームとなり、第1作のリメイク版も含め全4作品が発売された((ちなみに発売された順番は『II』→『III』→『IV』→『I』の順番。))。また、『II』~『IV』のビジュアルシーンのみ集めた『ヴァリスビジュアル集』も発売されている。
--優子が主役を勤めているのは『III』までで、そこでストーリーが一区切りつくため、『III』までが三部作として扱われることが多い((『IV』ではレナという少女が新主人公を勤める。))。
---なお、他機種ではFCが『I』のみ、MDが『I』~『III』((ただし、『II』に関しては『SDヴァリス』としてアレンジ移植されている。))、SFCでは『IV(スーパーヴァリス)』のみが発売されている。
---またPS3『神次元ゲイムネプテューヌV』に『Ⅰ』が同名のスキルとともにDLCとして配信されている。ただしあくまでオマケであるためかセーブ不可となっている。

-開発チームが同じということもあり、ウルフチーム製作のADV『あーくしゅ』に本作登場人物の優子と麗子が「U子(ゆーこ)」「0子(れいこ)」という名前で登場する。

-1989年には優子のイメージガール「ミス優子」コンテストが開かれていた。

-本作のプロモーションアニメ・CMを後に『エヴァンゲリオン』シリーズを制作する庵野秀明が監督を担当した。ちなみにその作品が庵野にとってのアニメーション初監督作品となる。

-後に親会社である日本テレネットが経営危機に陥った際に同社ゲームソフトの版権が売却されることになったが、本シリーズの版権はアダルトゲームメーカーのイーアンツに売却されたため、アダルトゲーム『ヴァリスX』として発売される事態となり、これには多くのファンから批判を浴びることとなった((第1作の原案・キャラクターデザイン担当者や後述の漫画版の出版社(成年向け漫画や雑誌も多数出しているがビキニアーマー特集の時にヴァリスの成年化を「トラウマ」と表していたり一般向けでヴァリスの漫画を連載する告知の時もネタにしていた)や担当作者も、この日本テレネットの姿勢には苦言を呈していた。))。
--一応「ヴァリスがエロゲーだったら…」という話は良くあったが、あくまで「ネタ」としての意見であることが殆どだった。実際掲示板等でも「本当に出すとは思わなかった」「正直引く」という意見が圧倒的多数となった。
--加えて内容もシリーズ作としての部分に乏しく、ネームバリューを使いたかっただけじゃないかと邪推されてしまっていた。
--この作品の他、RPG作品『[[アークス]]』シリーズや魔法少女アニメをモチーフにしたADV『魔法の少女シルキーリップ』も同様にアダルト作品化されてしまった((尚、シルキーリップの版権を買ったのはイーアンツではなくWaffle(アトリエ・センキ)。))。両者とも同社の看板作として非常に人気の高かった作品である。
--なお、上記『ヴァリスX』をベースとした『ヴァリスプロジェクト』の一環として、雑誌「コミックヴァルキリー」にて漫画版が連載されていた。単行本は全4巻(年齢制限はないものの『X』の内容を連想させるようなきわどい描写が多く、ファンには賛否両論)

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