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ああ播磨灘 (MD)」を以下のとおり復元します。
「[[要強化記事>要強化記事一覧]]」に修正依頼が出ています。加筆できる方は修正をお願いします。~
依頼内容は「クソゲー判定の根拠の加筆」「記事内容に沿った判定の見直し」です。~
&color(red){''2023年10月27日までに改善されない場合は削除対応します。''}
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*ああ播磨灘
【ああはりまなだ】
|ジャンル|格闘アクション|&image(AaHarimadanaA.jpg,height=160,http://www.amazon.co.jp/dp/B000148J12)|
|対応機種|メガドライブ|~|
|メディア|16MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|セガ・エンタープライゼス|~|
|開発元|メガソフト|~|
|発売日|1993年9月3日|~|
|定価|7,800円(税抜)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|~|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|通称「''横綱''」&br;''相撲でもSUMOUでもない格ゲー''&br;空中殺法のオンパレード&br;時空念動波(超ねこだまし)&br;たいそうしようよ|~|

#contents(fromhere)
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**概要
作:さだやす圭、講談社の週刊漫画雑誌「モーニング」で連載(完結)された同名の漫画が原作。''のはず''。

原作の前半と同じく双葉山の69連勝を越える70連勝を達成する事がこのゲームの目標だが、中盤以降は完全オリジナルストーリーとなっている。~
原作は70連勝する前に終了しており、70連勝できたかどうかは不明。今作では原作中で見られなかった播磨の70連勝を実現する事になる。

相撲漫画が原作なので本来ジャンルは「対戦スポーツ」と書くのが正しいのかもしれないが、実際は''相撲ゲームの皮をかぶった格ゲー''となっている。

**システム
-1Pプレイ
--難度は、「幕内」(やさしい)、「大関」(ふつう)、「横綱」(むずかしい)、の3三段階。
--なお「幕内」は最後までプレイできず、15勝で終了してしまう。

-対戦モード
--キャラを選んで2P対戦やCOM対戦が可能。
--最大3ラウンド(2本先取)のBO3ルール。
--1Pプレイでは総勢24人の力士が登場するが、対戦モードで使える力士は15人。

-横綱カルタ
--説明書にある通り「かるたやりたい」とパスワード入力するとカルタで遊べる。

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**問題点・変な点
-最初に確認しておくと、原作漫画は「横綱として70連勝、負けたら即引退を宣言した主人公・播磨灘。土俵の内外で暴言・暴行の傍若無人ぶりを見せ角界の格式を破りまくるやりたい放題をするが、一方で取り組み自体は至極真っ当かつ文句のつけようの無い最強ぶりを見せる播磨灘に対し、角界重鎮は困惑と怒りを顕にし、打倒播磨灘の刺客を差し向ける」という内容。~
つまり、至極リアル寄りな世界観である。
-しかし時代は『ストII』全盛期、スタッフはリアルな相撲をゲームにしても面白くないと思ったのか、無駄に派手なエフェクトといいコマンド入力といい現実の相撲では在り得ないような決まり手といい''どう見ても格ゲーそのもの''に仕上がっている。~
極端に言うならば''使用キャラを全員エドモンド本田にした『[[ストII>ストリートファイターII]]』''。
--例えば、''空中高く飛び上がって''相手に組み付き場外まで投げ飛ばす「鷹爪真空投げ」、''深紅の炎を纏い放たれる「火焔張手」''、当たろうが外れようが必ず元の位置に戻ってくる''ジャンピングヘッドバット''「岩石砕き」、相手を頭より高く持ち上げバンバン叩きまくった挙句に''天高く投げ上げる''「大噴火投げ」など。
//---''…スタッフは『アフガン航空相撲』のゲームを作りたかったのか?''(ただし「アフガン航空相撲」と言う言葉は2002年に生まれたものなので、本作発売時にこの言葉は無い((なお元ネタは「アフガン航空相撲殺される」と言う記事を「アフガン航空相撲、殺される」と「ぎなた読み」したもの。正しくは「アフガン航空相(航空大臣)、撲殺される」。)))
--確かに、原作漫画は破天荒で相撲界の掟を破りまくる作品ではあったが、''相撲の取り組みに限っては正統派''である。
---詳しく書くと、相撲の取り組みでは「極めて真っ当」かつ破格の強さを持った主人公((原作では「呼び戻し」を得意技としており、現実の大相撲では珍しい(2013年に横綱白鵬が幕内では16年ぶりに決めた)決まり手だが、野球で言えば消える魔球ほど現実離れはしていない。))が、同時に取り組み以外では(土俵上を含めて((仮面を被っての入場、女人禁制のはずの土俵に女性(老婆)を上げるなど。)))掟破りの言動を繰り返す、という痛快さがウリであった。そのため、取り組みシーン自体は土俵際の攻防など相撲の持つ本質的な魅力が、現実から極端に逸脱せずに描かれている。~
であるからこそ相撲の「闘い」の面では理想的だが、「格式」の面では力士として失格・破天荒すぎる主人公の横綱に対して、同じ力士や格式に縛られた相撲協会、そしてファンはどう反応するのか…?という構図になり、それが現実の相撲業界への痛烈な批判にもなっている((例えば原作から十年以上経て発生した横綱・朝青龍関の一連の騒動を思い出してほしい。もっとも、朝青龍騒動で取材を受けたさだやす氏は(美学を持たない)朝青龍と一緒にして欲しくはないと言っていたそうだが。他には、大阪場所では大阪府知事が千秋楽に「土俵上で」力士を表彰していたが、女性知事が誕生した事で、伝統と男女差別の狭間で揉めたりもしている。))。
---要するに原作とは真逆に「相撲としてはありえない」要素を恥ずかしげもなく入れてしまった本作は、''原作の肝心な部分をひっくり返してしまった「キャラゲーとしては最低の作品」なのである''。~
ゲーム単体としての出来はこの際おいておいても、キャラゲーならば「原作のキャラが出る」「原作の台詞を再現する」「原作と同じ展開になる」((前述の通り、発売当時は原作は連載中で70連勝までは描かれていなかったので、中盤以降のオリジナル展開は仕方なかったことではあるが。))は当たり前で、''原作の一番大事なテーマ''こそを再現すべきでは?

-始めは弱すぎ、途中から理不尽に強くなる不自然な難易度の変化はクソゲーではおなじみの仕様だが、これも例外ではない。
--CPUがハメ技すれすれの技を出してくる。これも相撲協会の指示か?
--と言うかこのゲーム「ハメるが勝ち」みたいなゲームである。説明書にて最初に目にすることにもなる、播磨灘の名言「''相撲に品位もクソもあるかい!! 強い者が勝つ。それだけや!!''」を直に体験させられる仕様である((原作は上記の通り、「インチキしたもん勝ち」という意味では無い。))。
---ハメ勝ちは作業感が強くなるので70勝も続けるのは苦痛。
--途中進めていくと鬼神竜なるオリキャラが登場。こいつの設定は「傷害事件を起こし謹慎中の身」という、後の相撲界のゴタゴタを予言するかのような危なっかしいキャラ。

-一度でも負けるとゲームオーバー
--目標が70連勝であるため、仕方ない設定とも言えなくはない。回数制限つきでコンティニューはできる。中日(場所中の8戦目)と千秋楽(同15戦目)の後にパスワードが表示される。
---実際のプレイではコンティニューが減った状態でもそのまま継続プレイするのが多数派だろうが、クリア効率重視に徹するならパスワード取得のたびにパスワードから再開すればコンティニュー3回に復活する。
---正攻法ではコンティニュー3回以内に7~8勝もなかなか高難度。
--ゲームオーバーになると播磨灘に「ぼけっ! わしが負けたんは、おんどれの技術が未熟だからや!! もう一度、やり直さんかい!!」と叱責される。
--ゲームは開始から70連勝が目標ではあるが、原作では第1回の時点で15連勝しており((この前場所の全勝優勝をもって、新横綱に昇進した。))、あと55連勝すれば記録達成だった((なお、開発者がそのことに気づいた時にはすでに開発を終えて開発元を辞職した後だったそうな。))。

-Aボタン連打を求められることが多くプレイヤーへの負担が大きい。
--連射パッドがあれば楽勝になる。

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**評価点
-音楽、グラフィックは当時としては良好な部類。
--特に演出画面の作画はなかなかよく出来ている。原作者のさだやす氏の所でアシスタントをしていた人物が本作の作画スタッフとして参加していたからこそ実現したクオリティと言えるだろう。((ちなみにゲームの背景の観客の中にひっそりさだやす氏が隠れている。))
---前述のオリキャラの鬼神竜も、初見であればさだやす氏の作品に出てきてもおかしくないと思わせるようなキャラ設定に仕上がっている。
--ボイスは開発者が担当しているものの、それでもなかなかの高クオリティ((実際、ゲーム内の播磨灘の声はアニメでの担当声優である大塚明夫氏が担当していたと誤認する人もいたほどである。))。
-取り組み前後の掛け合いもセリフパターンが豊富で見ていて飽きない。この点は原作をしっかり再現していると言える。

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**総評
原作通りのストーリーで原作のキャラが登場しているにもかかわらず、''原作の意義を根底からぶん投げてしまっている''という少々珍しいクソキャラゲー。~
音楽、グラフィック等は決して悪くはなく、スタッフの力の入れどころが明らかに間違った結果、世に出てしまった怪作である。

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**余談

-本作で何よりも有名なのが横綱モード(いわゆるハードモード)をクリアし、スタッフロールが流れ終わった後に突如繰り広げられる「''播磨体操第一''」。
--クリアしなくてもパスワードで「''たいそうしようよ''」と入れる事で見ることが可能。むしろそちらの方が有名か。(→[[参考:外部リンク>http://dic.nicovideo.jp/v/sm107216]])
--非公式だがBGMを藤崎詩織の「教えてMr.Sky」に差し替えたものがネット上の一部で『播磨体操第二』と呼ばれている。偶然とは思えないくらいにぴったりシンクロする。

-『BEEP! メガドライブ』の読者レースでは、345本中337位(ワースト9位)で登場し最終的に520本中495位(ワースト26位)。

-ニコニコ動画などで低評価ゲームの魅力を伝える活動を精力的に行っている模範的工作員同志氏が現在の活動を始めるきっかけとなったのが、同氏がファンであった本作の一般的評価が著しく低かったことがショックであったことであるという。(→[[参考:外部リンク>http://gotamag.com/tech/atari2600_et_2/]])
--中古市場でもプレミアムが付く事がなく、メガドラ現役当時は捨て値で売られていた事もあって、播磨体操第一を目当てに購入するユーザーも少なからずいたという。 
--2022年に工作員のメンバーが制作した「ゲームを遊ぶ人工知能」に本作をプレイさせたところ、AIが本作の未知のバグ技を発見し、それを利用して確実に勝ち残るようになったとのこと。

-本作が発売された当時、『ああ播磨灘』はアニメ化されていた((一応、当時は若貴ブームに牽引されて相撲人気が高かった時期ではあるが。))。このゲームの発売元であるセガもスポンサーだったのだが、''回が進むたびにセガ以外のスポンサーが離れていったという。''

-セガはゲームギアでも同名のゲームを発売している(1993年7月2日発売)。
--内容は本作とは全く異なり、力士の姿も色違い程度だが、ジャンプや挑発が出来たり、青龍・白虎・朱雀・玄武の名を冠した必殺技があったりと、こちらでも滅茶苦茶ぶりは健在。

-セガとは別に、アスク講談社からGBにて同名のゲームが発売されている(1993年7月23日発売)。
--ちなみにアスク講談社は、講談社の系列企業のゲーム会社。
--こちらは(あくまで比較的だが)リアルな相撲ゲームとなっている。

-こんな酷い出来でありながら、専門誌などの影響で意外にもファンが多かったのか、2022年10月27日に発売されたメガドライブミニ2に''なぜか本作が収録された''。~
更に収録作品の発表を行う生放送で、[[原作のさだやす氏が描き下ろしの色紙を三枚も用意してくれた>https://twitter.com/SEGA_OFFICIAL/status/1548835202163941376]]事に一部界隈がザワついた。まさか令和の世に播磨灘がまた見られるとは誰が予想したであろうか…
--またこれを機に、本作の開発者の一人が後によもやま話をブログで語っている。(→参考:[[外部リンク1>https://ameblo.jp/kin68000/entry-12494373388.html]]、[[外部リンク2>https://ameblo.jp/kin68000/entry-12758602555.html]]、[[外部リンク3>https://ameblo.jp/kin68000/entry-12762311415.html]])
--モブキャラの中にこっそり原作者(さだやす圭氏)が紛れていることや鬼神竜のキャラクター設定についてなど、ある意味貴重な情報である。
---作品の出来は然あれど、腕に自信がある人ならば、勇気を振り絞って手に取りやってみるのもいいのかもしれない……

-社長がMTJ(三辻富貴朗。『[[バブルボブル]]』などを生み出した有名ゲームデザイナー。)を連れてきて彼がゲームパート制作を担当してたのだが、あまりに滅茶苦茶だったので追い出したという。
--なおこの人物は、実はMTJの名前を騙る偽物だった。
--派手な必殺技を繰り出すSUMOUの作風は、偽MTJが制作しようとしていた迫力の欠片もないカクカクした多関節モーションの相撲ゲームに対する反動で生まれた。

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