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グローランサーIV Wayfarer of the time」を以下のとおり復元します。
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*グローランサーIV Wayfarer of the time
【ぐろーらんさーふぉーうぇいふぇあーおぶざたいむ】
|ジャンル|ノンストップドラマチックRPG|#amazon(B0000VEKH8)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|メディア|DVD-ROM 1枚|~|
|発売元|アトラス|~|
|開発元|キャリアソフト|~|
|発売日|2003年12月18日|~|
|定価|7,140円(税込)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[グローランサーシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1338.html]]''|

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**ストーリー
はるか2000年前、人類は魔法と科学によって、高度な文明を築いていた。~
しかし、強大な力を持つ、天使との戦いによって、人類は滅亡寸前まで追い込まれてしまう。~

そして現在。~
人類は滅亡の危機から復興し、新たなる文明を築いていた。~
しかし、2000年前の“天使”との戦いで失われたものは多く、古代文明の魔法や科学の技術は、おとぎ話の世界のものとなってしまっていた。~
そして天使も“人類を滅ぼす存在”として伝承の中に残るだけとなった。~
そんな世界の中にある大陸の1つ、ノイエヴァール。~
この地の南方に位置するランプラスト島に外大陸からの侵略から島を守るために雇われたアルテン・シュヴァルト傭兵団。~
だが、突如現れた天使に襲撃を受け、戦場から逃げ出すこととなる。~
そして、大陸へ引き返した日の夜、天使の出現を確認した団長のディクセンは、団員の一人であるクレヴァニールに衝撃的な事実を告げる。~
「おまえこそが“天使を止めるためのカギ”だ」と。~
そこから物語りは大きく動き出す事になる。~
(公式サイトより抜粋)

**概要
RMC(リアルタイムミッションクリア)戦闘などで人気を博したグローランサーシリーズの4作目。~
世界観を一新しており、前3作とは異なる世界観での物語となっている。

**特徴
-一作目要素の復活
--移動画面がそのまま戦闘画面になる、自分の領地を持てる、など『I』で特徴的でありながら『II』『III』では廃止されていた要素が多く復活している。
---逆に『III』のワールドマップやランダム生成ダンジョンは廃止された。
--休暇イベントもほぼ『I』のものに回帰している。

-使い魔の育成
--シリーズお馴染み主人公の代弁的な妖精キャラクター(本作では使い魔と呼ぶ)を、本作では容姿・性格の異なる3種類の中から選択する事ができる。
--ドールハウスと言うアイテムを使って筋力、知力、魅力などの能力を成長させる事が出来る。使い魔は戦闘には参加しないものの成長させればゲームを有利に進める能力を習得する事が出来る。育成にはミッションクリアや特定アイテムによるエネルギーの充填が必要。
---戦闘で役立つスキルの他、ダンジョンの未取得アイテム数確認、主人公の性格判定、仲間の好感度の表示などと言った能力もある。
--使い魔のD-TP型とD-LM型はそれぞれIとIIIに登場した妖精キャラに酷似した容姿であり、ファン心をくすぐるデザインとなっている((但し、D-LM型の選択にはIIIのクリアデータが必要))。型番を見れば判る通り、D-TP型は『I』の「ティピ」、D-LM型は『III』の「ラミィ」がモデル。D-TP型に至ってはティピと声優まで同じである。
---D-LN型は一見オリジナルだが、実はイラストレーターが同じである『ラングリッサーIII』の「ルナ」がモデルである。
--タイプによってそれぞれ異なった休暇イベントが用意されており、エンディングも個別のものを迎える事が出来る。
--また、コスチュームチェンジも可能になった。タイプ毎に複数のコスチュームが用意され、中には過去作キャラの衣装もある。

-フェイトシステム
--本作で追加されたキャラクターの運命を変えるシステムで、ストーリー上で本来なら死亡するキャラクターを、条件を満たせば生存したままストーリーを進める事が出来る。
--尚、フェイトに成功したキャラについては後から「もし運命が変わらなかったら?」と言う展開を見る事が出来る。

-難易度の上昇
--難易度が過去作と比べて高く、強力な魔法を使う相手には「魔法耐性アップ」で魔法のダメージを軽減する、敵が多い場合には「スリープ」で眠らせるなど、スキルを駆使しなければクリアが難しい難易度である。
---特に一周目に「Mission Complete」(戦闘目的を満たしつつ、雑魚の一掃や特定時間内のクリア等が必要)を全ての戦闘で取ろうとすると難易度が非常に高くなる。
--但し、スキルの使い方が分かってくれば問題なくクリアできるため、決して理不尽な難易度ではない。

//協力魔法の仕様については特徴へ移動
-協力魔法
--IIIに引き続き基本的に1人では単体にしか魔法攻撃が出来ず、範囲指定の魔法については、単発の魔法2種類を二人で協力して発動させる必要がある。
---一例として「アイスバレット」と「ウィンドエッジ」を組み合わせると「ブリザード」になる。

-スキル習得方法の変更
--本作では魔石を装備して技能ポイントを稼ぐ事により、魔石に秘められたスキルを習得する事が出来る。
--前作まで同様キャラごとに習得可能なスキルは制限されており、全てのスキルは習得できない。主人公のみ例外で全て習得可能。

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**評価点
''戦闘システム''~
過去作の問題点がほぼ改善されており(と言っても『III』の時点でほとんど問題点は改善されていたが)、同時に戦闘のテンポも上がっている。また『V』以降戦闘システムが一新されたため本作の戦闘システムはIから続くシステムの最終型と言う事ができ、シリーズでも『VI』と並んで高い評価を受けている。

-「リング」の付け替えが自由になった
--魔石をはめこむ「リング」は前作まで町の特定の場所でお金を払うことでしか付け替えが出来ないため、戦闘中で入手したリングも町に戻るまで装備できないという不便さがあったが、今作では通常の装備品同様いつでも付け替え可能になった。

-スキル習得方法の変更
--これにより育成の自由度が上がり戦略性も飛躍的に向上されている。
--また、前二作では魔石と技能習得は別々のため使わない魔石もあったが、本作では多くの魔石を使う機会が増えている。
---前作までは効果が便利な魔石を入手するとそれを終始つけっぱなしになる事もあったが、今回はスキル習得との兼ね合いもあり、装備魔石のスキルをマスターした時点で別の魔石に付け替えるプレイヤーが多い。

-協力魔法について
--後述のような問題はあれど、前作に比して協力魔法の種類が大幅に増えたこと等、一部は改善された。
--また、片方が詠唱中に倒されると協力魔法が使えなくなってしまう為、これを利用して、敵が強力な協力魔法を使用する前にこちらが単体に攻撃を集中させて敵の協力魔法を阻止する等の戦術的な楽しみはある。

''ストーリー面''
-成り行きから「マーキュレイ王国」に力を貸す事になった主人公クレヴァニール達が「ヴァルカニア王国」や「デュルクハイム国」などとの戦争に巻き込まれていくシリーズ恒例の王道戦記モノ。しかし従来よりも人間同士の戦争がクローズアップされている為、作中の死者はかなり多く、悲劇性は強い。
--全編を通して多くの「死」が描かれ、元々暗い展開の少なくない本シリーズでも特に悲壮な重いストーリーとなっている。序盤から村が丸ごと消されたり、人体実験で死にゆく仲間達を目の当たりにするなど容赦の無い展開が続き、最終盤の展開も熱さより切なさが際立つ。
--物語後半までの最大の敵にして討伐対象である「天使」にしても、大量虐殺を平然と行う非道ぶりを見せつける一方、そこに至ったのは悲痛な過去と苦悩を経た結果であり、同情するには非があり過ぎるにしても『I』のゲヴェルと違ってただの悪役では終わらない悲劇性を背負ったキャラとして描かれている。

-その為、王道ファンタジー的な化け物との戦闘が主軸に置かれた熱いストーリーだった『I』と比較すると若干の好みは分かれる。しかしその分、濃厚な人間ドラマを描けており、「ノンストップドラマチックRPG」に恥じないストーリーに仕上がっている。
--特に序盤から中盤にかけての「マーキュレイvsヴァルカニア」「ヴァルカニアvsデュルクハイム」「デュルクハイムvsイグレジアス」の4国による三面戦争は圧巻である。
--ヴァルカニア王国は歴代作品の「インペリアルナイツ」ポジションにあたる「ロイヤルガード」という1人で100を相手に出来る最強の騎士を複数人所有しており、戦術面での能力は非常に高い。
--イグレジアス王国は戦争開始時点でデュルクハイム国におされ気味であるが、「死翼傭兵団」と言うその世界で悪名高い傭兵団を雇い入れて戦線を押し返している。
--デュルクハイム国は、その二国を同時に相手にして「ルードヴィッヒ准将」や「ルーミス・リヒトマン大尉」の奇策によりその戦局を打開していき、彼らの昇進していく姿なども描かれている。

-これら軍略の描写に関してはシリーズで最も優れていると言われている。
--手段を選ばない「ルードヴィッヒ」と人命を尊重する「ルーミス」は同じ軍に所属しながらも対比的に描かれており、特に「ルードヴィッヒ」はその知謀とカリスマ性からシリーズ最高の悪役との呼び声が高い。
--ロイヤルガードも最期まで忠を尽くして散る者も居れば、義によって国に反旗を翻す者も居たりと、それぞれの信念、生き様が色濃く描かれる。
--また、今回の主人公は度々使い魔の能力「遠見」で離れた場所の光景を見せられるのだが、これによって目まぐるしく動く世界情勢や幾重にも絡み合う思惑を間近で体験する事になる。まるで群像劇のような展開でプレイヤーを物語にグイグイ引き込んでいく。

-エンディングも、従来は基本的に「ラスボスを倒して世界が救われるハッピーエンド」だったのに対し、本作は丸く収まりつつも切なさの漂う結末となっている。
--しかしそれだけでは終わらず、最後はしっかりとハッピーエンドを迎えて後味よく終わらせてくれる。それに伴い、過去作ではあっさり目だったキャラ毎のエンディングも相応に濃くなっており、殆どのキャラに一枚絵付きの感動的な演出が盛り込まれている。
---尚、本編だけでは何故最後にハッピーエンドを迎えられたのかは一切不明であり、ファンディスク『グローランサーIV Return』で真相が明かされる。
--誰ともカップリングにならなかった場合は最後の最後まで切ないままで終わる。前作までと異なり、本作のソロエンドは実質バッドエンドなのである((一応、希望は残っていそうな結末ではあるものの、スタッフロール後の最後の一枚絵はとてもそうは思えないものであり、『Return』にてこの場合のエンディングは本当にバッドエンドだった事が明かされている。))。

''その他''

-ストーリー上の重要キャラやパーティメンバーだけでなく、サブキャラにも個性的なキャラが多い。
--『I』ではほぼ不可能だった複数キャラの同時攻略も可能であり、さらには攻略可能なサブキャラもいる。

-マップの構成が『I』に近いものに戻されるなど、所々に『I』を意識した作風が見られ、『I』ファンでも安心して楽しめる内容となっている。
--闘技場やGLチップス等の寄り道要素も健在である。また、本作では『I』以来久しぶりに休暇システムが復活し、より仲間たちに感情移入しやすくなっている。
--また、条件を満たすと『I』~『III』のキャラ(…を模したホムンクルス)と戦う事も可能。

-前二作(特に『II』)はボリューム不足が指摘される事が多かったが、本作は『I』に匹敵するボリュームを誇る。
--ちなみにIはCD-ROM2枚組、前二作はCD-ROM1枚、本作はDVD-ROM1枚である。

-演出の回帰と強化
--イベントスチル(一枚絵)、オープニングアニメなど、『I』にはあったのに前二作で廃されていた演出が再び採用された。
---オープニングアニメは本作の切ないシナリオを反映してか、曲も相俟ってどこか哀愁を帯びたものとなっている。主題歌はOP、ED共にメインヒロインのフレーネ役を務めた牧島有希が歌唱。
---また、一部イベントにはCGムービーが用意されている。
--従来には無かった要素として、戦闘中は仲間達も指示に対して受け答えするようになった((『I』では妖精キャラのボイスのみ、『II』『III』では受け答え自体が無かった。))。また、好感度やステータス異常の有無、ストーリーの状況に応じて仲間達の態度も変わる演出も用意されている。

-ロード時間が非常に短い。

**問題点
''シナリオ面''
-ルードヴィッヒが目立ちすぎる反面、本作のラスボスは影が薄い。
--作中で「ゲームマスターは表に出てはいけない」といった発言をしているので、あくまで裏方に徹する主義なのだろうが、裏方に徹しすぎて印象が弱くなってしまった。
---設定的には諸悪の根源であり、重要キャラの殺害など、ラスボスとしての強さを遺憾なく発揮している等、少ない出番の割にインパクトは強い半面、遊んでいる(と評価される)行動が多くプレイヤーに対処のすきを与えてしまったことが低評価につながった。

-戦闘メンバーが増えるのが遅い。
--主人公を含め戦闘メンバーは最終的に8人になるが、うち4人で固定されたパーティーでストーリーの多くを進む事になる。
---ゲーム開始時からほぼずっと主人公と行動を共にする仲間が1人。序盤でもう1人仲間になるがすぐに外れ、本格的に冒険が始まる頃に2人加入し、その4人でそれからかなりの期間を冒険する。
---中盤を過ぎてようやく交代メンバーが2人増え、残り2人は後半~終盤に条件を満たすと仲間になる(うち1人は序盤で外れたキャラ)。
--ある程度のスキルを最初から覚えているとはいえ、有用なスキルを1から覚えさせる手間を考えると、それまでのメンバーを使う方が便利なのである。
---また、初期メンバーがパーティバランスも良い為、そのまま最後までクリアは十分可能。新たに仲間になったキャラを気に入りでもしない限りメンバー編成のメリットは薄い。

-レムスについて
--主人公の弟分である「レムス」の言動について批判が多い。
#region(エンディングでのレムスについて(ネタバレ有り))
--最後の戦いの後、主人公が消滅し人々から主人公に関しての記憶が消える事になる。そして月日が流れ戦いの記憶が消えた仲間達は何のために戦っていたのか談笑していたのだが、主人公の弟分であるレムスが「''きっと忘れてもいい事だったんですよ。''」と発言。
---主人公と一緒に過ごした時間が一番長いだけに批判される事が多く((フレーネのエンディングでも彼女からその事を指摘されるが、肝心のレムスは「何の事やら」と言った様子で、それがトドメになってフレーネは泣き出してしまう。))、またエンディングだけでなく普段の言動も他人への気遣いに欠けたものが多いことから(特に使い魔・天使関連)暴言まとめコピペがつくられるほどであり、シリーズを代表する嫌われキャラの一人かもしれない。
--ただしPSP版では大幅に改善され&bold(){「綺麗なレムス」}とまで言われた。
#endregion

''システム面''
-(シリーズを通して言えることだが)セーブポイントが少ない。
--本作は戦闘難易度が高い分、連戦時など初見ではゲームオーバーになりやすい箇所が多く、結果的にシリーズ他作品と比べて指摘される事が多い。
-移動が不便。
--Iと同様のフィールドマップでありながらフィールド上でセーブ不可、テレポートがない(代替の移動手段はあるがテレポートより制限されている)ため、Iより不便である。
---フィールドでセーブできないのは、戻れない所でセーブをしてしまう事により逃げ場がなく戦闘で詰んでしまう事の回避といった側面もあると思われる。
---移動手段もシナリオに絡んでくる(奇襲に使用する等)のであえて制限したのかもしれないが、それを考慮してもやはり過去作より不便に感じてしまう。

-シリーズ恒例の冒頭のキャラメイク((いくつかのイベントで取った行動により主人公の初期パラメータを決定するシステム))が存在しない。
--インタビューによると『III』まで続けてきてマンネリ感があった為らしい。しかしやはり求める声が多かったのか次回作以降は復活し、いずれも『I』並に複雑な内容になっている。
--一応、使い魔については選択肢による簡単なキャラメイクが用意されている。

-育成が進むとキャラ個性が薄くなる
--どうしても汎用的に便利なスキルはある為、キャラに寄らずそれらを多用する事になりがち。
---とはいえ、主人公以外は習得不可能なスキルもあるし、よほど効率的にスキルを覚えさせるか、途中でスキル習得用の戦闘を繰り返しでもしない限り、ラスボス戦までに全スキル習得は難しい。
---また、能力値や武器の射程、待機時間もキャラクター毎に大きく異なり、リミットという各キャラ専用の特殊技も存在するので、スキルを覚えられる限り覚えても各種能力面でキャラクター毎の個性は残っている。


''協力魔法が不便''~
多数の敵と戦う場面が多い為、実質的に単体攻撃の威力のままに多数を一気に巻き込める協力魔法は強力なのだが、下記の使いづらさから使用頻度は低くなりがちで、強力なスキルが出揃う後半や力押しが出来てしまう2周目以降には出番がほとんどなくなってしまう。~
主な問題点は過去作では1人で使用できた事と、魔法の射程、そしてパーティ人数の少なさである。~
-IやIIでは範囲魔法を1人で使用できたため、過去作をプレイしていると純粋に使いづらくなったと感じるプレイヤーもいる((『II』『III』と同様、魔法にLV制を採用しており、過去作では、LV内で範囲魔法は威力と効果範囲を調整・単体魔法は威力と効果対象を調整(一例としてLV2の「アイスバレット」を1体に全て使用するか・2体にLV1ずつ振り分けるかの調整)が可能だったが、本作では調整不可(LV上昇の効果は威力上昇のみで振り分けできない)となった点も過去作をプレイしていると純粋に使いづらくなったと感じるプレイヤーがいる一因となっている。ただ、本作はLVにかかわらず消費MPは一定である、LV1でも十分使える威力である、メニュー画面で回復魔法や補助魔法を使用した場合は振り分けの手間がなく最大LVで発動する点は改善点といえる。))。
--ただし上記の通り、敵味方双方で同様のメリット・デメリットがあるため、ゲームバランスは取れている。
--また過去作の終盤において敵の数が多い場合、敵に範囲魔法を連発される前にこちらが連発して一掃するようなゲームバランスになっていた為、これへの対処的な側面もあると思われる。
-協力魔法はほんの一部の協力魔法を除き、効果範囲と射程が限られているが1人で使用する魔法は(単体効果限定だが)射程は無限である。
--ただしこれは敵も同様であり、お互いに距離の離れた戦線では敵の協力魔法が味方の術師にまでは届かない。
-パーティーの人数は4人だが、協力魔法を使う為にその半数の2人を取られてしまう。
--魔法の詠唱中は移動もできず防御力低下などのペナルティがある上に魔法の得意なキャラは防御力と体力が低いので、不意の後方からの奇襲等に弱く、かといって護衛に人数を割くと今度は攻め手に欠けてしまう。今作は「少数精鋭の主人公パーティーが敵陣に潜入、奇襲、陽動をしかけるために時間経過で後方から敵援軍が現れる。」、「防衛戦で敵が挟み撃ちや多方向から攻めてくる」というシチュエーションが多く、退路や安全に詠唱できる場所を確保しにくく前後衛が機能しにくい戦闘が多々ある。さらには「奥に進むために複数のスイッチがある」、「護衛対象や部隊が複数存在する」など効率的に攻略するにはパーティを分断しなければならないものもあり、余計に足を止めて協力魔法を詠唱するより小回りの利く単体魔法と回復を行いつつ、孤立しないように移動する方が安全な事が多い
---本作は敵兵士の部隊と戦闘する機会が多く、単体では味方より弱いとはいえ敵は数の多さを生かして前衛後衛を機能させやすい。
-そして終盤にもなると単独にも関わらず平気で協力魔法を放つ敵が当たり前のように出現するので、敵の協力魔法を阻止するような戦術が通用しなくなる。
-周回プレイ時には魔石を引き継げるが、協力魔法に必須の「協力」スキル習得の為の魔石は引継ぎ不可能。
--入手にイベントが絡む為仕方ないとも言えるが、結果的に周回時に他のスキルに比べ習得が遅れてしまい、やはり出番が減ってしまう。

''その他''~
-主人公の唇が紫色。
--主人公クレヴァニールは本シリーズの例に漏れずイケメンなのだが、何故か唇の色が紫である。一部のイベントCGではやたらと目立つ。「主人公はカッコイイけど唇が気持ち悪い」と言った意見もちらほらと。
--批判があった為かどうかは不明だが、PSP版のアニメムービーでは普通の色になっている。

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**総評
ストーリーは暗めだが概ね好評で、特に4面戦争状態の演出は評価が高く、シリーズでも『I』に次ぐ人気を誇る。~
また、戦闘システムも今までのシステムを昇華させた一つの完成形とも言える形であり、難易度が高めではあるものの、理不尽ではなくやり応えのあるバランスになっている。~
I~IIIは個別でも遊べるとはいえ世界観が繋がっていたのが本作では一新されており、シリーズ初見のプレイヤーにも勧めやすい作品になっているのもポイント。~

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**その後の展開
-2005年3月10日には本作のファンディスク『''グローランサーIV Return''』がPS2で発売された。
--ジャンルはADVで、本作のエンディングにおける謎((消滅したはずの主人公が一年後に帰還した件))を解き明かすシナリオの他、後日談や本編のサイドストーリーが描かれる。後日談はなんと本編の全エンディング分が用意されている(ただし、本編のクリアデータのコンバートが必要)。
---ちなみにこの作品ではクレヴァニールも普通に喋る(ボイスは後述のOVAのみで、ゲーム中はなし)。主人公らしい活躍は勿論、選択肢次第で情けない姿を晒したり、数々の後日談では色々な顔を見せてくれる。
--エンディング後を描くOVAとシリーズのカルトクイズも同時収録。
---OVAのスタッフロールはI~IIIのキャラが登場するものであり、シリーズファンには嬉しい演出になっている(時間の関係で登場キャラのバランスはやや悪いが…)。また、次回作の予告も兼ねており、ラストには『[[グローランサーV Generations]]』の主人公ゼオンシルトが登場し、その仲間達のシルエットが映し出されて終わる。
---カルトクイズも全問正解特典として『V』の簡単な予告が収録されている。但し、本当にカルトクイズなので全問正解の難易度はかなり高い。
--尚、この作品にて実はIVの世界もI~IIIの世界と間接的にではあるが繋がりがあった事が明かされている。

-2011年8月18日、『''グローランサーIV OVER RELOADED''』と題したPSP版が発売された。
--シナリオ・キャラクターなどが大量に追加されており、リメイク版と言っても過言ではない内容となっている。詳細は下記の通り。

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*グローランサーIV OVER RELOADED
【ぐろーらんさーふぉー おーばーりろーでっど】
|ジャンル|ノンストップドラマチックRPG|#amazon(B004ZWG91S)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|メディア|UMD 1枚|~|
|発売元|アトラス|~|
|開発元|キャリアソフト|~|
|発売日|2011年8月18日|~|
|定価|6,279円(税込)|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[グローランサーシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1338.html]]''|

**概要(OR)
1作目に続き追加シナリオ等をひっさげてPSPリメイクされた。~
基本的には移植版だが、シナリオ分岐の追加、新キャラの追加、EDを迎えられるキャラの増加等、全体的にボリュームアップしている。

**変更点
-シナリオ分岐が存在。
--PS2版のルートの他、新規シナリオのルート、仲間と決別し戦う事になるルートの合計三通りのルートが存在する。
-新規キャラとそれに伴うシナリオが追加され、仲間キャラも増えた。
--使い魔は新たにD-MD型((モチーフは恐らく『ラングリッサーV』の「ラムダ」。「MD」なのはD-LM型と被るのを防ぐ為か。))を加えた4パターンに増え、PS2版ではIIIのデータが必要だったD-LM型も最初から選択可能になっている。
-新規アニメーションの追加。
--PS2版では通常形式の会話で進んでいた既存の重要シーン等にも追加されている。
--OPと主題歌も新規。
-一部キャラの声優変更
-GLチップスの内容変更

**評価点(OR)
-シナリオ分岐の追加
--戦争をメインに描くだけに暗めのストーリーだったPS2版と比較すると、新規ルートは熱く希望の持てる展開が多く、『I』を彷彿させるストーリーになっている。
---原作では「どう足掻いても助けられない」「本来なら判り合えるはずなのに、立場の違いから倒さなければならない」と言ったキャラが多数存在したが、今回はその多くを救う事が可能になった。それに伴い、フェイトイベントも大幅増加。
---PS2版では倒さざるを得なかった敵国の人間達が生き残り、主人公達と共にラスボスに立ち向かっていくと言う王道ながら熱い展開も。
--決別ルートでは『II』の一部ルートのように味方同士での戦いが発生し、PS2版にはなかった独特の展開を楽しめる。
---通常ルートのようなキャラ別EDが存在しない代わりに、行動や選択肢によってEDが分岐する。
---PS2版でカリスマ性を発揮していた悪役・ルードヴィッヒもこちらのルートでは味方に。最終決戦は彼と共にラスボスに挑むと言う、PS2版からは想像も出来ないようなものになっている。
---主人公が野心に目覚め、血塗られた道を歩むと言う展開すら用意されている。

-エンディングの大幅増加
--PS2版のEDは全て収録。それに加え、新規ルートでもPS2版でEDが用意されていたキャラ全員分の新たなEDが用意され、更には新規キャラは勿論、アリシアやマギーなどPS2版ではEDが無かったサブキャラとのEDも追加された。それに決別ルートのEDや特殊なEDを加えるとその数は40を超える。
--但し、PS2版準拠ルートでの追加EDはD-MD型のみ。

-新キャラがほぼ自然にストーリーに溶け込んでいる。
--普通であれば、既に一つの物語として成立しているシナリオに新キャラクターを追加すると、どうしても違和感を生じさせてしまうものだが、本作の場合は新規プレイヤーは勿論、PS2版経験者でも違和感をあまり感じない作りになっている。
--ストーリー中もほどよく存在感を示しており、空気化する事も、既存キャラを食って悪目立ちする事も無い。

-PS2版では影の薄さを指摘されていたラスボスだが、新規ルートではイベントや関連キャラの追加によって大分ラスボスらしくなった。
--PS2版の場合、「別の目的で向かったラストダンジョンにラスボスが現れたので撃破」と言う流れだったが、今回はちゃんとラスボスを倒す為にラストダンジョンに向かう事になる。
--PS2版では真の姿への変身を阻止し、不完全な姿である第二形態を倒して終了だったが、新規ルートでは真の姿である第三形態が登場し、ラスボスとしての風格は十分過ぎるものになった。

-&bold(){レムスが綺麗になった。}

**賛否両論点(OR)
-シナリオ分岐が終盤限定。
--でかでかとシナリオ分岐や仲間との戦いを宣伝し、パッケージにも「オリジナルの展開を覆す複数の新規ストーリー」と書いてある割には共通ルートが長い。
--確かに新規イベントは多いが、実際にシナリオが分岐するのは物語後半も過ぎる頃であり、特に決別するルート分岐は2周目にならないと選択できない。

**問題点(OR)
-使い魔が4体に増えたが、選択可能な名前は3種類のままで、新規の使い魔に当たる名前が存在しない。

-会話前に読み込みが発生すると口パクだけを見せられる。
--UMDによる読み込みの都合で、インストールしてもそこそこの頻度で発生する。

-仕方のない事だが、年月の経過によって声優の声質が若干変化している部分も。特に釘宮理恵氏演じるレオナは既存と新規の差が激しい。

-新規追加の戦闘メンバーが終盤にならないと仲間にならない。
--追加されたのは3人だが、早いキャラでも終盤に差し掛かった頃、遅いキャラはラストダンジョン限定という遅さ。
---ただしその一番加入の遅いキャラは仲間と決別する新規追加のルートでも仲間になるので、2周目以降にこちらへ行けば活躍の機会は増える。

-さほど気にならない程度だが、画面表示の都合上キャラのドットが少し粗くなっている。

-ごく一部だが、新規イベントにおいてキャラのブレがある。
--フレーネは基本的に他人をさん付けで呼ぶのだが、新規イベントでは主人公を呼び捨てにしているシーンが多く存在する。
---二人の関係を考えれば、途中から呼び捨てに変わってもさほど不思議はないが、原作では常にさん付けだった上に新規イベントでも呼び捨てにするシーンとしないシーンが混同しており、不自然さが生じている。
--また、新規イベントには一部原作の設定を間違えている部分も。例えば大佐まで昇進したルーミスを「大尉」を呼んでいるシーンがある。しかも一ヶ所だけではなく、その場でルーミスについて発言するフレーネとトリシアが二人とも間違えている。
---デュルクハイムを離れて久しいフレーネはともかく、直前までデュルクハイム軍にいたトリシアが昇進を知らないはずがないので、シナリオ追加時のミスだろう。

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**総評(OR)
主にシナリオ面でボリュームアップし、元々がシリーズ内でも長い方だったシナリオが更に増量された。~
レムス等の一部不評だった箇所のシナリオが修正された他、新規ルートはPS2版で助けられなかった人も助けられるようになり、全体的に大団円のルートとなっている。~
また、仲間と袂を分かつシナリオもシナリオの方向性ががらっと変わるため、なかなか面白いルートになっている。~
~
今GL4をプレイするならシナリオの追加されたPSP版をお勧めする。~
ただし、『グローランサーIV Return』に繋がるシナリオはPS2版のルートのみであるため、新規追加ルートが気に入った上でプレイする場合には、繋がりに少々困るかもしれない。

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**余談
-プロデューサーの高田慎二郎氏もインタビューにて、シリーズではIとIVが気に入っていると答えており、高いポテンシャルを秘めた本作に特に思い入れがある様子を伺わせている。
--しかし「Iが一番面白い」と言う意見も多いのが悔しく、今回のリメイクはIVを「シリーズ最高傑作」と呼ばれる作品にしたいと言う願いを込めていたとの事である。

復元してよろしいですか?