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STAR CRUISER」を以下のとおり復元します。
*STAR CRUISER
【すたーくるーざー】
|ジャンル|STG&AVG&RPG|CENTER:&amazon(B0001486CE)''写真はメガドライブ版''|
|対応機種|PC-8801mkIISR以降、PC-9801VM/UV以降、&br()X1turbo、X68000、メガドライブ|~|
|発売|【PC各種】アルシスソフトウェア&br;【MD】メサイヤ(日本コンピュータシステム)|~|
|開発|アルシスソフトウェア|~|
|発売日|1988年5月&br;【MD】1990年12月21日|~|
|定価|【PC88】7,800円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
-RPG的要素を持った、ADV&3DSTG。当時のポリゴンを存分に生かした作り。
-正にスペースオペラを具現化したようなゲーム。宇宙の深さを感じる事のできる冒険活劇である。

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**ストーリー
25世紀。宇宙開拓時代が始まり、人類は近隣の星系にも勢力を広げた。この勢力拡大により偶然にも、異性人国家である銀河連合との接触を果たす。やがて連邦政府は人類の発展と平和のため、銀河連合との友好的な同盟を結ぶ事を考えた。だが、現在の連邦政府に不満を持つ者、銀河連合との同盟に不安を抱く者たちは強く反対し、反乱を起こした。反乱自体は局地的なものであり、あっけなく鎮圧されたものの、その主謀者である「ガイスト・ニードマン」だけは鎮圧から逃れ、行方をくらました。

全てが順調に進むかに思われた連邦政府だが、急激に新星系へ勢力範囲を広げたことで治安統制力の維持が困難となり、やがて辺境の星系から治安が乱れ始め、犯罪者も次第に増加していった。中でも「VOID」と呼ばれる謎の犯罪組織は瞬く間に連邦全土へ勢力を拡大し、人々からは「暗黒の覇者」と呼ばれ恐れられるようになった。同時に正体不明の組織「VOID」の台頭は暗黒時代の始まりであるかにも見えた。

そんな中、ハンターと呼ばれる賞金稼ぎ達が活躍し始める。その一人であるA級ハンター、ブライアン・ライトはVOIDの末端組織の一つである「太陽風」の木星基地を襲撃する。しかし逆に撃墜され、基地内に不時着してしまった。

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**特徴
-ポリゴン黎明期における、複数の要素が混ざり合った3DSTG。また経験値の概念はないが、RPG的要素も強い。

-視点は一人称。自機(スタークルーザー)はこのゲームの中では、いいデザインをしているが、ゲーム中にそれを見れるシーンはあまりない。
--移動方法は、地上と宇宙で異なる。地上では前後左右の移動と方向転換。宇宙では上下左右の方向転換と、加減速。一応、上限速度は遅いながらも、後退もできる。
--自機はバリアに包まれている。これがなくなると直接ダメージを受け、故障が発生する。やがてダメージが上限を突破すると破壊され、ゲームオーバー。
---バリアの修復は各惑星の商店でできる。また自機のエネルギーを使って修復も可能。ただし、先述の通りエネルギーは航行にも使うので、その点注意が必要。
--自機の強化は基本的に装備を購入する事により行う。またイベントによる改造等でも強化される。((但し、自機の改造が施されていないうちは上位武器や強化装備は購入はできても使用はできない仕様になっており、パーツショップでの購入時にも注意を促される。))

-攻撃は基本的に連射式のレーザー。戦闘機でのバルカンのみの戦闘に近い。
--一応、他には破壊力のある特殊弾や誘導性能を持つミサイルもある。ただ双方とも単価があまり安くないため、気軽に使えない。
--敵はボス敵とザコ敵に分かれる。どちらの攻撃も、向きなど関係なく自機を狙ってくる。
---宇宙にいる敵機は、エンカウントスタイルではなく対象がそのまま展開している。自機を見つけると向かってくる。
---惑星上にいるものは、シンボルエンカウント。ただしシンボルは動かない。接触するとステージが変わり戦闘となる。
---ザコ敵は見かけの種類は多いが、動きや攻撃の系統としてはそんなに多くない。
---各ストーリーのラストで現れるボスは、動きがザコよりはやっかい。ただやはりボスも機体こそ違うものの、系統としてはそんなに多くはない。

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**評価点
-宇宙の広さを感じる壮大なスペースオペラ。
--舞台は複数の惑星系。スタートは太陽系から。各惑星やステーションを巡りVOIDを追う。
--惑星間の移動は、基本的に巡航航行。文字通り宇宙を駆けるのである。惑星間の距離は結構あり、中にはとんでもなく離れてるものもある。星明りだけが見える中、ひたすら巡航飛行で進んで行く。これが宇宙の深さを感じさせるのだ。また移動できるのは惑星間だけでなく、他の惑星系星域に行くことも可能。この場合の移動は自機の機能ではなく、重力カタパルトというシステムで送り出してもらう事になる。次のステージへという訳だ。
---宇宙の航行にはエネルギーを消費するのだが、これが途中で切れると当然遭難である。真っ暗な宇宙空間で、進みつつもどんどん減っていくエネルギー。微妙な不安感と宇宙の広大さを覚える。これも宇宙の深さを感じる醍醐味。
---一応ワープもあるが、入手できるのはかなり後。
--惑星上には、パーツショップ、酒場、修理工場、エナジー・スタンドなどがある。このスペースオペラらしいのが、エナジー・スタンドだろうか。バリアの修復とエネルギーの補充を行う。少し面白いのが、サービスがその惑星の一店舗でしか受けられないという訳でなく、同じサービスを複数個所でやってる場合もある。しかも値段が違う。その逆で全てのサービスが揃ってる訳ではない惑星もある。また各惑星で、物価も違ってたりする。
--序盤は搭載エネルギー上限が低いため、たどり着くことのできない惑星がある。しかし、後に追加タンクを入手する事により行動範囲が広がり、新たな惑星へ到達する事ができるようになる。広大な宇宙での新たな発見を実感できる。

-段階の多い武装によるRPG的要素。
--自機の強化は購入によって行われるが、ランクが多岐にわたるため、RPG的な成長要素を楽しめる。

-ストーリーは惑星系によって章が分かれるようなイメージ。もちろん惑星系間を行ったり来たりする事もある。テンポがよくボリュームも十分。内容も多彩で飽きさせない。つい先が見たくなる秀逸なもの。

-FM音源を最大限に生かしたBGMは秀逸。特にOPは印象的。
--ちなみに本作のBGMを担当した山中季哉氏はこれが2作目((デビュー作は1987年にアルシスから出た、リアルタイムアドベンチャーゲーム『リバイバー』))であるが、複数機種に出た作品ということもあり、各機種の搭載音源の特徴に合わせたアレンジをできるだけ違和感がないように施すまでの作込みについては評価されるべきところであろう。
--更にPC88版は標準搭載のFM音源(YM2203)とサウンドボードⅡ(YM2608)、X1版はPSG(AY-3-8910)とPSG+FM音源(AY-3-8910+YM2151)とこの2機種に限りBGMが2バージョン作られており、これらを含めると全機種合計で7バージョンあるためそういう意味でも山中氏の手腕を評価している人は多い。

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**問題点
-敵の系統が少ない。ボスも含め、その攻撃や動きの種類は数えるほど。

-本作は様々な機種に移植されたが、機種によっては顔のグラフィックの使いまわしがやや多いものがある。

-PC版のラスボスの巨大戦艦の内部はまさに迷路。ワープポイントが多数用意されており、マッピングがやっかい。
--それまでマッピングの必要などなかったのに、突然厳しくなるのはさすがラスボスと言うべきなのかどうか。

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**総評
スペースオペラという現在でもあまり採用されてないテーマを扱った作品。ポリゴン黎明期において、ポリゴンの可能性を、ようやく発揮させる事ができた作品とも言える。&br()
宇宙での移動を基本巡航航行にしたため、宇宙の広さを感じる事ができるのはこの作品の大きな特徴だろう。また、ストーリーも流れやテンポ、ボリュームも、スペースオペラというものを十分味わえるもの。一方でRPG風味にしたのも、単に話を進めるだけではない楽しみを提供した。&br()
まさに宇宙を駆け巡る大冒険と言える作品である。

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**余談
-本作はメガドライブに移植された際((移植のベースはUIなどの類似性からX68000版))、家庭用向けにいくつかの変更が加えられた。尚、MD版の移植もアルシスソフトウェア自身が手がけている。
--主人公ブライアン・ライトの名前が自由に変更可能(デフォルトネームは「ブライアン」)。それに伴い完全に無口になり顔グラフィックも存在しない。会話はサポートロボットのフレディが担当。
--金銭の概念がないため、ドックに行けば無料で全回復が可能。これにより武器のアップグレードも全てイベントで入手する形になった。
--ダンジョン内の戦闘はPC版では戦闘モードに切り替わるのに対し、MD版は完全にシームレスで戦闘が展開する((この要素は『スタークルーザーⅡ』に引き継がれている))。
--その他登場人物や施設の設定、ストーリー展開が原作とは多くの差異がある。
--BGMも一部が新曲に差替えられている。
--原作よりかなり変更された要素が多かったことが原因なのかパソコン版のプレイヤーからは厳しい評価を下されている。ただ、現在では「MD版は原作のパソコン版から見てリ・イマジネーションやパラレルみたいなもの」という意見も一方ではある((別の言い方をすれば「メガドライバーズカスタム」とでも言うべきか。))。
---実際、MD版で変更された前述の世界観や人物設定、ストーリー設定と繋がる要素が続編である『Ⅱ』には全く登場していないことから正史扱いではないことが窺える。

-キャラクターの会話シーンの顔グラフィックだが、特に88版とX1版は取込み画像を加工しており、その元ネタもかなりマニアックなB級映画からと思われた画像だったが明らかに問題があったのかPC98版では劇画風に差し替わり、更にX68000版ではアニメ風なデザインに変わっている。((プロジェクトEGGで配信中のPC88版はオリジナルから変更されておらずそのままである。))

-本作の前身としてアメリカのTVドラマ「スタートレック」を題材にした「[[スターフリート/B>スターフリート]]」という作品がある。製作者の吉村功成はこのスターフリート的なものがもう一度作りたくて製作したのが本作「スタークルーザー」である。

-88版とX1版、PC98版、X68000版は内容やストーリー展開はほぼ同一なものの、後発の機種では難易度調整が入っている。この影響で特に後半から終盤にかけての一部ボス戦や宇宙航行時のエネルギー消費量などに差異がある((特に宇宙航行時のエネルギー消費量はPC98版で緩和され、X68000版では更に緩和されている))。

-1993年には続編の『スタークルーザーII -ザ・オデュッセウス・プロジェクト-』がPC98にて、その後1995年にはFM-TOWNS/PC-9821版((2機種対応のCD-ROMという変わったソフトで、販売元はジャパンホームビデオ))がリリースされた。本作から5年後の話となっており、ブライアン含む主要な人物も本作から大半が登場している。

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