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ブラッド オブ バハムート」を以下のとおり復元します。
*ブラッド オブ バハムート
【ぶらっど おぶ ばはむーと】
|ジャンル|マルチプレイRPG|CENTER:&amazon(B001LDJEQG)|
|対応機種|ニンテンドーDS|~|
|メディア|DSカード|~|
|発売元|スクウェア・エニックス|~|
|開発元|シンク・アンド・フィール|~|
|発売日|2009年8月6日|~|
|定価|5,695円(税別)|~|
|プレイ人数|1~4人|~|
|レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|
|ポイント|''雑魚敵自重しろ''&br;作業ゲーの癖に油断すると即死&br;スクエニ版モンハン?|~|

**概要
『[[モンスターハンターシリーズ]]』のヒット後各社より生み出された「狩りゲー」の一つ。『[[GOD EATER]]』『[[怪獣バスターズ]]』などよりは少し早く発売されている。~
基本となる部分はモンハンを踏襲しつつ、「超巨大モンスター」「6人の操作キャラ」など独自性の高い要素も多く盛り込んだ意欲作なのだが…。

**世界観
-「遙か昔に大地を失った世界」アルタイルが舞台。アルタイルの住人はその地に現れた巨大な怪物「巨獣」達を眠らせることで巨獣の上に都市と巨獣の周囲に「巡礼路」を築きそこで暮らしていた。
--しかしあるとき全ての巨獣が一斉に目覚め、人々は住む土地を失ってしまう。人々が逃げ惑う中で再び巨獣を眠らせるために立ち上がった戦士が主人公達…という設定。
---なお、「バハムートが作り上げた世界アルタイル」という設定はかつてのスクウェアのRPG『[[バハムートラグーン]]』と共通の設定である。ただ、続編だったり世界観を共有していたりはしない。「同じ神話を元にしている」程度の認識でOK。所々に『バハムート』の小ネタが含まれるがその程度である。
--操作可能キャラクターは攻守のバランスが取れた大剣使いのイブキ、速度に優れた刀使いのレン、杖を用いて様々な属性の魔法を使用できる少女ユウ、パワフルな赤い鬼のような斧使いのカモ、伊達男の銃使いリュマ、狼頭の老槍使いサンチャゴの6人。使用制限は特になく、最初から全てのキャラクターが使用可能。名前は全員自由に変更可能。

**システム
-まずは挑戦するミッションを選ぶ。全てのミッションは最大4人でチャレンジ可。
--ミッションの目的は「巨獣の特定部位を破壊する」と言う物が主。シナリオでは「一定時間生き延びる」「特定地点までたどり着く」という目的もある。「巨獣を討伐せよ」というミッション以外では、目的を達成せずに巨獣を倒すと失敗扱いになる。
---ミッションは「シナリオ」と「フリー」の2種に大別される。シナリオは全体通したストーリーに沿って一つずつ順番にミッションをクリアする。クリア済みミッションの再挑戦も可。フリーは特にストーリーはなく、巨獣の特定部位を破壊するだけの物が大半。フリーの方が巨獣が強い。

-ミッション中はフィールド上に張り巡らされた「巡礼路」を十字キーかタッチペンで移動する(十字キーの代わりにABXYボタンでもよい)。巡礼路上には巨獣が呼び出した雑魚敵「小獣」が配置されていることがある。巡礼路はいくつかのエリアに分割されており、エリア間は「ポータル」という装置で移動する。
--巡礼路が「ゲート」という障害物で封鎖されていることがある。この場合は周辺の小獣を全て倒すと先に進める。
--また巡礼路上には対巨獣用の様々なキャノンが設置されている。攻撃力の高いマシンカノンの他属性カノンなど。弾丸は自動装填される。
--攻撃は攻撃したい場所をタッチペンでタッチ。近接戦型の4人は相手との距離によって遠距離攻撃と近距離攻撃が切り替わる。距離が近い方が威力は上がる。また繰り返しタッチで連続攻撃になる。
---なお、「近距離」攻撃とは言ってもその射程は恐ろしく長い。目測だがおおよそ数十メートル程度は余裕で近距離の範疇である。まぁそうでもないと近接型のキャラは巨獣をろくに殴れなくなるが…。
--MPを消費する特殊行動「アビリティ」は事前に3種類までセットできる。画面下のアイコンタッチで使用でき、一度使用すると一定時間のインターバルを置かないと再使用はできない。
---使用できるアビリティはキャラクターごとに異なる。アビリティは3種類のアビリティピースを消費して習得・強化出来る。
--LかRを押すと移動方向に向けて緊急回避。使用後は一瞬動けなくなる。
--巨獣には弱点部位が存在し、基本的に弱点以外の場所を攻撃してもほぼダメージは与えられない。
---弱点部位の耐久力をゼロにするとその部位を破壊できる。
--属性は炎雷氷闇に無属性の5種類。武器やアビリティにはそれぞれ属性がある。巨獣には弱点・耐性属性の他状態異常を起こすための属性が設定されている。
---例えばギガンテスなら弱点は闇だが、雷攻撃を当てると一定時間行動が遅くなるスロウ、氷攻撃を当てると短時間動きが停止するストップ、闇攻撃を当てると固定ダメージを与え続けるスリップと属性ごとに異なる状態異常に出来る。
---巨獣ごとにどの属性でどの状態異常になるかは異なっている。

-ミッションクリア後はミッションの報酬の素材と破壊した部位に応じた素材が手に入る。
--またミッションごとに経験値が設定されており、短時間でクリアしたり少ないダメージ量でクリアするとS~Dの評価が与えられ、評価ごとに経験値にボーナスが入る。
---レベルが上がるとHPとMPが上昇し、装備できる武器防具が増える。
--装備は武器・防具・アクセサリーの3部位。性能の高い装備はレベルが上がらないと使えない。攻撃力と防御力は装備によってのみ決まる。
---他に秘薬というアイテムを装備することでパラメーターを上昇させることが出来る。ただし使い捨て。

**問題点
-''超単調な作業ゲーである''。
--巨獣の弱点部位をひたすらタッチペンで突くのを繰り返すだけ。ガンシューティング式と言えば聞こえはよいが、巨獣の体力が尋常でなく高いせいで、とにかくひたすら突っつく必要がある。
---モンハンにおける「怒り状態」に該当するものはない。部位破壊でモーションが変わる以外は最初から最後までほぼ同じ作業の繰り返し。一応特定行動の後は一定時間攻撃力が上がるのだが、行動パターンは変わらない上見て分かる兆候もないため、普段と同じ攻撃が飛んできたのにやたらデカいダメージを負うことがある。
--フィールドが広大な割に巨獣は基本的にそう動き回らないのでフィールド全体を動く必要性が薄い。というか後述のように小獣が鬱陶しい。小獣の種類は場所ごとに固定なので、呼び出される小獣が弱めで狙いの部位を殴れる場所を見つけたらひたすらその場に陣取って戦う方が効率がよい。
--画面構成のせいで、やたら攻撃しにくい部位がある。
---高いところにいると巨獣のひざ部分は大抵画面下のアビリティ選択欄に隠れて非常に攻撃しにくくなる。「低い場所に行けばいいのでは?」と思うかもしれないが、ギガンテスのように「高いところからひざを攻撃すると仰向けに倒れて顔面に乗れる」という巨獣もいる。またそうでなくても単純に巡礼路に隠れて弱点部位がやたら見づらくなることがある。

-作業ゲーの癖に油断すると即死する歪な難易度。緊張感があると言えるかもしれないが…。
--巨獣の行動パターンは「しばらくウロウロする→突如として攻撃をしかける」の繰り返し。最初のギガンテスはまだしも、第二章のフェンリル辺りから攻撃速度が恐ろしく速くなり「第一章はチュートリアルだぜ、オラ」と言わんばかりに難易度が上昇する。
---攻撃の兆候が見えてから実際に攻撃するまでが非常に早いのが曲者。ウロウロしている間にできるだけ弱点を殴ろうとしていると、かわしきれない事態が起こりやすい。
--本作最大の敵は巨獣よりも、むしろ奴らが呼び出す小獣の方だったりする。
---一体一体は大して強くもないのだが、とにかく巨獣の小獣召喚使用頻度が高いのが厄介。AIが適当なのか行動パターンが恐ろしく気まぐれで、運がよければほとんど召喚してこない一方で酷いと前の小獣のセットを半分倒した辺りで次の小獣を呼び出してくる。そしてその小獣を半分ほど倒したら再度追加…とキリがない。
---召喚阻止手段は基本的に''ない''。召喚モーション中に弱点を攻撃してひるませれば一応止められるが、計算してそんなことをするのは困難。それどころか、そんなのでは止められないほど使用頻度が高い。フェンリルのように召喚モーションが短い巨獣もいる。ゲート前の小獣は復活しないのでゲートがあるならその前で戦えば多少はマシだが、ゲートがないミッションもあり、ゲート前では遠すぎて攻撃できない場所もあるので、これだけで巨獣を倒すのは困難。
---さらに酷いことに小獣をいくら倒そうが経験値はゼロ。手に入る素材も各属性のエキスとアビリティピース程度で、13種類のそれぞれに属性違い5種類と大量に種類がある癖にドロップ素材は属性ごとに全部共通。強い奴やレアな奴はアビリティマテリアルを落としやすい程度の違いしかない。~
かと言って無視すれば…と言うと、放っておくと袋だたきで体力をゴッソリ持って行かれたり、緊急回避の邪魔になって巨獣の攻撃が直撃したりミッションに多大な支障を来す。~
要するに''倒すメリットはほぼ皆無の癖に倒さないデメリットが大きすぎて無視できない''。

-細分化されすぎて訳の分からないことになっている素材。
--例えば狼型の巨獣、「雷獣」ことフェンリルの素材は「雷獣の外皮」「雷獣の外殻」「雷獣の鎧」「雷獣の目」「雷獣の舌」「雷獣の額」「雷獣のシッポ」「雷獣の右ツノ」「雷獣の左ツノ」「雷獣の右前足」「雷獣の左前足」「雷獣の後ろ足」「雷獣のひざ」「雷獣の魂」「雷獣の燃えカス」とこんなにある。さらに強化個体である究極のフェンリルからは「究極雷獣の~」素材が手に入るため…。
---実の所「右ツノ」「左ツノ」「右前足」「左前足」はどう考えても分ける意味がないと思われる。当然使い道は右と左で全く異なる。外見的・機能的に差があるならまだしも、フェンリルはどこからどう見ても左右対称である。
---また細分化が過ぎて使い道がおかしなことになっている素材もある。例えば前述の「雷獣のひざ」はゲーム全て通しても使い道が一種類の銃しかない。一応そこから派生する武器が3種あるので、全く用なしではないが。
--隻腕の巨獣ギガンテスから取れる素材では「石獣の右''手''」と「石獣の右''腕''」が別素材扱いという「国語の教師かオメェはよォォォォ!」と言いたくなるほどの細分化もある((手は主に手首から先の部分を指し、腕は肩から先を指す違いがある。素材としては「手」は手の甲のコアを破壊すると手に入り、「腕」は肩のコアを壊して腕全体を切り落とすと手に入る。))。
---ちなみにギガンテスの亜種で両腕がある岩獣グラティオンの場合、キッチリ「岩獣の右手」「岩獣の右腕」「岩獣の左手」「岩獣の左腕」が全部別素材である。
--ミッション報酬が決まった素材一個だけなので、部位破壊しないと基本的に欲しい素材は全く集まらない。
---そのくせ、破壊しても一定確率(結構高い)で破壊報酬が「~の燃えカス」「巨獣の金塊」というハズレ素材になってしまう。一応燃えカスにも用途はあるが、ハズレなので余りやすい。金塊に至っては売る以外の使い道はかなり少ない上全ての巨獣で共通なので終盤になるとさらに価値がなくなる。

-巨獣の種類が少ない。
--基本骨格が6種類にシヴァ以外の巨獣に亜種がいるだけ。フェンリルに対するヴァナルガンドのように違いの分かりにくい亜種もいる。そのくせ、当然のように素材は全て別扱いである。
---一応亜種はシナリオに関わらない完全フリー扱いなので無理に倒す必要はないが、強い装備を作ろうと思うとやはり倒す必要がある。

-仲間が6人もいるのにミッションに参加するのは一人だけという非常に寂しい内容。
--「特定のキャラでないとクリアできないミッションがある」などということはなく、仲間キャラがCPUとして参戦してくれることもないので、効率だけ考えるなら一人に経験値も素材もアビリティピースも全部注ぎ込んでしまうのが一番楽。6人もいる意味が薄すぎる。

-フリーミッションはマルチプレイ前提なのか巨獣がやたら固い。
--「部位破壊する前に倒れる」という事が少ないのでそれは救いだが、それにしてもおよそ''10倍''ほども違う。その割に行動パターンはシナリオと全く同じなので単調。
--マルチプレイ前提のくせにWi-Fi非対応というのも謎。ローカルプレイで本作を持っている人で集まる必要がある。

-シナリオは壮大に見えてこじんまり。
--登場人物がメイン6人とサブキャラ扱いのアスランぐらいしかいない。序盤から思わせぶりに登場し続け、イブキに「大事な仲間なんだ!」と言わしめるアスランだが結局操作キャラにはならない。
---最初から6人が揃っているので、イマイチメンバー同士の絆の深まりとかそういうことが見えにくい。
---アスランは紆余曲折を経て敵として戦うことになるのだが、倒してしまうとゲームオーバー。しかしこの時点までのアスランの印象は概ね「''なんか深いこと言っているだけで協力はしてくれない、なんとなく付いてきているだけの空気''」なのであまり助ける気にならない。
---巨獣から逃げ惑う民もいるはずなのに姿を見せず、結局終始メインキャラだけの内輪で話が進むのも、世界を救っている感覚が薄れるところである。

**評価点
-発想は悪くない。
--「狩りゲー」と「ガンシューティング」の融合という独自の発想と、それを成り立たせる操作性は十分練られている。右利き、左利きどちらにも対応した操作スタイルは悪くない。
---ただ、手に持ってプレイすると負担のかかるプレイスタイルなので、机などに置いてプレイすることを薦める。
--「素材をあつめて装備をつくる」という狩りゲーの基本の楽しみはキチンとある。完全につまらないゲームというわけではない。

-グラフィックレベルはDSとしてはハイレベル。
--まるで背景が動いているかのような巨獣のグラフィックは迫力満点。
---巨獣とフィールドは3D、プレイヤーキャラと小獣は2Dで描かれている独特の技法だが、3Dと2Dが違和感なく溶け込んでいる。プレイヤーキャラのモーションも2Dながら細かい所まで作り込まれている。
--巨獣のデザインはFFシリーズの召喚獣をモチーフにしているため、非常に格好良い。特にシヴァは巨大女フェチの人にはたまらない。
---ちなみに開発側もそういった要員としてシヴァを設定しているのか、「''シヴァのアレ''」という正体不明の素材があったり、「''絶対領域を破壊せよ!''」という意味不明のミッションがあったり、よく見ると動く度に乳がものすごい揺れていたりする。

-BGMも壮大で雰囲気に良くマッチしている。

**総評
「[[FF>ファイナルファンタジーシリーズ]]の召喚獣と壮絶なバトルを繰り広げられる!」というゲームデザインは非常に良く、根本的なゲームシステムもキチンと練られている。~
しかし、シューティングにおける最重要要素である「爽快感」の欠如した仕上がりになってしまい、世間一般での評価は大きく落としてしまった。~
一言で言うなら「''素材はいいのに調理に失敗した''」タイプのゲームである。~
根本的にマゾい難易度に加えやりこみ要素も豊富なので、やりこもうとするならば楽しめるかもしれないが、一般的な評価は残念ながらかなりクソゲー寄りである。

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