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20 em 1」を以下のとおり復元します。
*20 em 1
【ヴぃっち えむ うんの】
|ジャンル|アクションゲーム集|#image(20em1_title.png)|
|対応機種|セガ・マスターシステム|~|
|発売元|TECTOY|~|
|発売日|1995年|~|
|備考|''日本未発売でブラジル版マスターシステム本体の付属ゲームです。''|~|
|判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|

**概要
マスターシステム。セガが1986年に発売したゲーム機だ。~
性能は当時としては優れていたのだが、すでに任天堂のファミコンが存在していたため、ゲーム市場のシェアはそちらに奪われた。~
しかしそれは我が国日本の話であり、地球の反対側にあるブラジルでは、マスターシステムが人気であった。~
なぜなら、ブラジルは自国の産業を保護するという名目のもと、ゲーム機を含めた多くの輸入品に関税がかかっており、そのため「日本という外国のゲーム機」はブラジルの人間にとって高嶺の花であった。~
そしてそれと同時に、セガは自社のゲーム機であるマスターシステムやメガドライブを、ブラジルの現地企業TECTOY(テクトイ)との合弁で積極的にブラジルで販売していたから、セガはブラジルで人気となったのである。~
その人気の結果TECTOY社は、マスターシステム本体に付属するおまけゲームという形態で、セガ公認のもと本作をブラジル限定で発売した。~

**特徴
-本作は20本ものアクションゲームが収録されており、ゲームの流れとしてはこうなる。
+起動すると、ゲームの一覧が現れる。
+ゲームは20本あるので、その中から好きなゲームを選ぶ。
+ゲームを開始する。
ゲームはいずれも十字キーと1ボタンのシンプルな操作体系で、時間制限内に敵を倒したり画面の奥へ進んだりして点数を稼ぐ。ゲームクリアという概念はなく時間制限がくるとゲーム終了。

**問題点
本作は点数を競うという要素があるおかげでかろうじてゲームとしてせいりつしてるが、それでも内容はゲームとは呼びがたいものになっている。
-ゲームの内容は大半が使い回しで、ただグラフィックやキャラクターのうごくはやさを変えているだけ。
--例えば「固定画面の中を歩き回って落ちるものを受け止める」というルールのゲームは、1番の工事現場や6番の宇宙などが該当する。
-本作は使い回しのゲームがほとんどなので大半が任天堂ゲーム&ウオッチに毛が生えたようなもので、なおかつ作りに粗が目立つ部分が見受けられる。例を挙げると…。
--4番は強制スクロールに飲み込まれないようにただ延々とブロックの山を進んでいくアクションゲームで、''ジャンプと右に歩くことしかできない。''
---しかも何の説明もなく突然ステージクリアになる上、''以降のステージもずっと同じもの。''
---かといって放置して強制スクロールに飲み込まれてもゲームオーバーにならない上にエンディングもないのでゲームが永遠に終わらない。
--8番のタクシーと19番のパトカーはどちらも使い回しの俯瞰視点のカーチェイスゲームで、''敵の車はヤクザも真っ青な当たり屋。''必ず敵が主人公に近寄るため、スピードが出ないのと相まってどうしてもぶつからざるをえない。
--12番の『スターフォース』風シューティングは、どういうわけか一旦画面の上に張り付かないと画面がスクロールしない。
--15番はぶろっくくずしの要領でただひたすら壁に向かてボールを打ち合うという内容で、点数は入らないしボールを打ち損ねてもミスにならない。''点数という概念が事実上存在しないのでゲームですらない。''
-グラフィックはゲーム同様にパーツごとの使い回しが目立つ上、キャラクターデザインが狂ってる。4番の主人公や11番の太陽、そして16番のスプレーなどが顕著な一例。
-タイトル画面のものをのぞくと、どのゲームも「チロチロテロテロチンチンテンテン…」という1種類のBGMしかない。その事実に加え、ほとんどのゲームはルールが似通っているため違いを感じにくく飽きやすい。
--おまけに主旋律と伴奏のタイミングがずれるバグがある。
-ポーズボタンをおすとタイトル画面に戻されて、一時停止ができない。
--そのくせコントローラにある二つのボタンのうち一つは、20本全てのゲームで未使用。一時停止に割り当ててほしい。
---しかも実機によってはタイトル画面に戻らず同じルールの別なゲームのステージが現れ、そのままバグって遊べることがある。

**評価点
-本作は通常のカセットタイプのほかに、ブラジル版マスターシステムに内蔵ソフトとして収録されている場合がある。そのため、運が良ければ本体を入手しただけでカセットなしでも本作が遊べることがある。
-16番のゲームはキャラデザといい動き方といい主人公のスプレーが何もかも狂っているので、一応本作をネタにして笑うという使い方も出来なくはない。
--恥ずかしい話だが、筆者はこのスプレーのゲームで30分間笑ってしまった。
-市場に出ることができた。
--こんな出来でもセガのライセンスを得てブラジルのおもちゃ屋さんに並べることができたのだから、十分な快挙と言えよう。
-あくまでも本作自体は評価できる点が見当たらないが、強いて挙げるとするならば「ゲームにはじめて触れる幼児が簡単に遊べること」だろうか。
--しかし中には19番のパトカーのゲームなど大人でも手こずるゲームもあるため、注意が必要である。

**総評
このようなアクションゲーム集はかつて筆者が遊んだ作品で、同じくチープな内容で知られる旧東ドイツのアーケードゲーム『[[Poly Play]]』がある。~
そちらは旧東ドイツの人間が精一杯ゲームを知らない中で開発に励んだという事情があるため1986年の作品でもある程度は仕方ないが、本作はあろうことかその9年後に発売されたゲームでありながらそれをさらに下回っている。~
しかも1995年といえばすでに『[[ギミック!]]』や『[[レンダリングレンジャーR2]]』さらには『[[魂斗羅ザ・ハードコア]]』等、ハードの性能を骨の髄まで引き出した傑作アクションゲームが「2Dのゲーム機」で多数登場している上、日本ではすでにプレステやセガサターンを筆頭とした「3Dのゲーム機」が登場してから1年経っている。~
にも関わらず、本作の出来はアクション自体も技術的表現も操作性も音楽も絵も何もかも、マスターシステムで一二を争うひどい出来である。~
発売元のTECTOYはセガのライセンスのもとブラジル国内で『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』や『ダイナマイトヘディー』等の傑作アクションゲームを多数発売していた。~
なのに、なぜそれらを実際に遊んでアイディアを盗んだりノウハウを吸収したりしてゲーム開発に活かさなかったのか、嘆かわしい限りである。~

**余談
-本作はあまりに出来がひどいため問題となり、1996年にはブラジルのニュース番組で大々的に取り上げられたという。
--日本でいう東京都のTOKYO MXや神奈川県のTVKのようなローカル限定のチャンネルだったらしく地域によっては視聴不可であったが、それが災いしてか二度とTECTOYがゲームを開発することはなかった。

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