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*Trials Fusion 【とらいあるず ふゅーじょん】 |ジャンル|レースアクション|&amazon(B00ISI7SDS,image);| |対応機種|Xbox 360、Xbox One&br;プレイステーション4&br;Windows Vista以降|~| |発売元|ユービーアイソフト|~| |開発元|RedLynx Studio|~| |発売日|2014年5月29日((Xbox Oneは2014年 9月4日発売))|~| |定価|1,980円(税別)|~| |プレイ人数|1人&br;(ローカルマルチは最大4人、オンラインマルチは最大8人((Xbox 360版のみオンラインマルチは最大4人)))|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|FMXアクションでより派手な跳躍&br;フリーダムなチャレンジの数々&br;無料アップデートで充実したシステムに|~| #contents(fromhere) ---- **概要 -RedLynxの『Trials』シリーズの一つで、『[[Trials Evolution]]』の続編。 -前々作の『[[Trials HD]]』および前作はXbox Live ArcadeでXbox 360用のソフトとして発売されていたが、今作からXbox One、PS4、それとWindows ((厳密には『Trials Evolution: Gold Edition』がWindows用としてすでに発売されていた)) でも販売された。 -基本的な操作は前作と同じく、「アクセル・ブレーキ・スティック操作で体重を前後にかける」のみ。~ これらの操作をタイミングよく行うことで穴をジャンプで越えたり、急な坂を登ったりする。 -今作もまた画面左側から右側へ一本道を進むのが基本である。 ---- **特徴 -&bold(){「FMX」アクションが追加された。} --上記の基本操作に加えて空中でFMXのトリックを繰り出せるようになった。XboxコントローラやDS4では右スティックを使う。~ 技の一例としてはバイクのシートを掴みスーパーマンのようなポーズをとるものや、シートの上に乗りヒーローのようにポーズをとるものがある。 --バイクの向きやスティックの倒し方(ある技を決めてからさらにスティックを別の角度に倒すことで派生技を出すこともできる。)の組み合わせで、14種類繰り出すことができる。また一部の技を除いてフロントフリップ/バックフリップとも組み合わせることができる。 -これらのスタントはゲーム本編でのチュートリアルをクリアすると使えるようになり、通常のトライアルコース中で繰り出せるほか、専用のFMXコースも存在する。 --FMXコースではトリックを出すことで獲得できるポイントの合計で競う。異なる技を繰り出して着地に成功すれば倍率が上がり、より多くのポイントを稼げるようになる。しかし時間経過で倍率が下がってしまうのでチャンスがあれば確実に技を出していかないといけない。~ FMXコースでミスをすると倍率はリセットされスコアも減らされるのでミスは出来る限り避けたい。また制限時間もあり、時間内にゴールできるとタイムボーナスが加算される。 -全く新しい種類のバイク(?)が追加された。 --一つは4輪バギー。機敏性は悪いがダントツの最高速で速度を維持できれば好タイムが期待できる。 ---細くても走行ライン上に道があれば、見た目ではタイヤが宙を浮いていてもしっかりと走行することができる。 --アップデートで追加されたもう一種類はなんと&bold(){ユニコーン}。またこれを選択すると通常のライダーに代わって猫が騎乗する。 ---通常のバイクで感じるバネの感覚は一切なくなり、一味違った操作感になる。なにより見た目からして特殊だが。 --これらの乗り物向けのコースも公式のコースで用意されている。 -マルチプレイ向けに「X-スーパークロス」コースが無料アップデートで追加された。 --従来からのスーパークロスは最大4人で走ることができるが、X-スーパークロスではオンラインマルチでは最大8人で並走することができる。 --X-スーパークロスではコース制作時のギミックの制限が緩く、より派手な仕掛けや演出を組み込むことができる。 ---X-スーパークロスを走る際は自プレイヤーは常に一番手前のレーンになり、画面手前の他のプレイヤーが邪魔になるということはない。 -通常のトライアルコースにチャレンジが3つずつ用意された。 --前作では一部のコースにのみ存在しており実績解除の条件になっていたが、今作ではDLC含めほぼすべてのトライアルコースに用意されている((DLCのコミュニティユーザー制作のトライアルコースにはチャレンジは存在しない))。 --チャレンジ内容は例えば、「フリップを10回成功させてノーミスでゴールしろ」「最初から最後までアクセル全開でノーミスでゴールしろ」などの純粋にテクニックを要求するものもあれば、後述のように全くの別ジャンルのゲームが始まることも少なくない。 --コース内のそれぞれのチャレンジは独立しているが、3つのチャレンジを一気にクリアすることを要求する実績・トロフィーも存在する。 -公式コース中AIのキャラクターが話しかけてくるようになった。姿は見せず声による出演だけ。 --チュートリアルの説明もしてくれるが、全体的に話している内容はどこかおかしいことが多い。 --ストーリー性を含んだセリフを話してくることもあるが、特に重要というわけではない。煩わしければ設定でセリフをオフにすることができる。 ---- **評価点 -軽快なレスポンスや、リトライのしやすさなどは今作でも健在。 --コースが始まってしまえばチェックポイントからのリトライや最初からのリスタートはラグなしで行える。 --高難度のコースでは何百回とリトライすることも珍しくなく、快適にリトライできることは重要である。 -&bold(){バラエティに富んだ公式コースの数々。} --ビルの屋上を大ジャンプで飛び越えたり、それよりもさらに上空を飛行船に乗って走ったり、一方で洞窟内を走り抜けたりと、前作よりも世界観やビジュアル面で幅が大きく広がっている。 ---さらにDLCの方では古代文明の遺跡、電子世界(レトロゲーム風のグラフィックで走るコースもある)、宇宙空間などさらに幅が広がっている。 --物理法則を用いたギミックについてもよく配置や動きが練られており、前作よりは走りやすいコースが多くなっている。 -&bold(){なんでもありなチャレンジの数々。} --前作のスキルゲームで自重しなかった開発陣は今作のチャレンジで全く自重しなかった。 ---「爆弾を背負って時間内に特定のポイントまで進み起爆させる」「ライダーの表示を消した状態でゴールする」といったチャレンジでもまだ大人しめな方で、「&bold(){ペンギンとのテニス勝負}で勝利する」「&bold(){3D迷路のゴールにたどり着け}」といったものもあり、前作同様「&bold(){これは本当にバイクゲーなのか?}」というツッコミをせずにはいられないだろう。 --DLCコースでもフリーダムなチャレンジは存在し、「&bold(){クイズミリオネア風の4択クイズ}((問題はすべて図で示されたFMXのトリック名を答えるもの。))で10問正解する」「バイクから降りて&bold(){FPS視点で探索をする}」と、自由さに歯止めがかかっていない。 -さらにチャレンジ以外にも収集要素があり、突然&bold(){ギャルゲーのようなイベントを始める}ものもある。 -チャレンジの方でフリーダムにできたおかげか、今作のスキルゲームはどれもバイクの操作を利用した&bold(){(比較的)}常識的なものに落ち着いている。 -強力なゲーム内エディターは今作でももちろん健在。 --エディターは前作のものとほとんど変わらず、前作で作成されたチュートリアルをほぼそのまま活かすことができる。 --ゲーム内で使われているほぼすべてのオブジェクトが使用可能で、新要素のFMXコース、X-スーパークロスのコースももちろん作成可能。 -そして作成したコースはトラックセントラルで全世界に向けて公開することができる。 --コース名で検索できるようになった。搭載されて当然の基本的な要素かもしれないが前作では出来なかったので大きな進歩といえる。 --評価システムが改良され、高評価の数と率が両立されているものが評価順でより上位に来やすくなった。また週間・月間など期間ごとのランキングも充実したため、新しい高評価のコースを探しやすくなった。 --前作で問題点だった「自分の遊びたい難易度であるか一々詳細を開かないといけない」といった点は、一覧表示でも難易度が表示されるようになりすぐに確認できるようになった。また難易度ごとの新着トライアルコースのタブが用意され、よりプレイしたい難易度のコースを探しやすくなった((ただし難易度はあくまで作成者が設定するため実際の難しさと合致しないことがある。))。 ---「忍者級」と呼ばれる超高難度のコースについては「忍者級」タグのついているコースが別に集計され、忍者級コースだけの「新着コース」や「期間ごとの評価順」などのタブを利用することができる。~ 元の難易度の新着タブには表示されないため難易度ごとの住みわけが上手く機能している。 -今作でもトラックセントラルについてはXbox Live・PSNの無料会員でもプレイ・公開・検索のすべての機能が利用可能。 -無料アップデートによってトラックセントラルに公開されたコースが他機種で共有されるようになった。 --PS4・Xbox One・PCの3機種間で相互共有、またXbox 360のコースも前記の3機種に共有されるようになったため、3機種のうちどれか一つでソフトを所有すればほぼ全てのコースで遊ぶことができる((理由は不明だが一部共有されていないコースもある。))。 ---これによりプレイヤーはソフトを複数機種で持たなくてもさらに多くのコースで遊ぶことができるようになった。 --ランキング(公式コース、ユーザーコース問わず)・マルチプレイについては機種ごとに別々に扱われる。 ---- **問題点 -&bold(){新要素のFMXがイマイチ。} --第一に&bold(){技を繰り出すのが難しい}。バイクの向きとスティックの向きを正しく組み合わせれば技を出せるはずだが、癖のある技が多くなかなか意図した通りに技が出せない。 --スティックを倒すのをやめると通常の姿勢に戻るのだが、その際に上手く戻ってくれなかったり余計な回転力が加わって姿勢を崩すということが多々ある。 ---その結果着地に失敗してミスになることも多く、全体として難解な操作になってしまっている。 -ゲーム内のFMXのチュートリアルもかなり不親切。 --14種ある技のうち&bold(){4種類}しかゲーム内では紹介されない。コンボ技のようになっている技があるということもチュートリアルで分かるようになっているものの、ゲーム内には技の一覧を参照できるものは無い。 -&bold(){相変わらず難易度の上がり方が激しい。} --高難易度になるとバイクのバネを活かした正確なジャンプが求められたりで角度の急な坂に張り付かせたりと、繊細な操作が要求されるようになりミス数が跳ね上がることも多い。 ---DLCでも、とても長いうえに難しいコース、忍者級コースと遜色ないレベルで難しいコースなどがありプレイヤーを苦しめる。 --ただこれまで同様しっかりと感覚を掴めばクリア出来る調整になっているので、諦めないことが大切である。 -DLCの数は前作までよりも増加している。 --追加コース、エディターで使える追加オブジェクトが入ったDLCは今作でも存在し、今作ではシーズンパスの販売も行った。 ---シーズンパスには6種類のDLCが対応し、さらにそれとは別にもう1つDLCを配信している。 --その結果全て揃えようとするとゲーム本編の価格は前作とあまり変わらないが、DLCの分で前作に比べ2000円ほど要求金額が増加している。 --トラックセントラルで配信されているコースでDLCオブジェクトを使っているとそのDLCを持っていることが求められる。そのため、トラックセントラルで遊ぶユーザーにとってDLCは事実上必須のものとなっている。 ---現在はゲーム本編とすべてのDLCがセットになったバージョンが割引価格で配信されている。 -&bold(){一部のチャレンジがとても凶悪。} #region(凶悪なチャレンジの一例。) -シアープレッシャーの「パイプ恐怖症」は、「コース中のパイプに一切触れずにノーミスでゴールする」というチャレンジだが、~ コースのうちパイプ上を走る割合がとても多い、失敗してもSEなどで何も知らせてくれない、パイプ上にチェックポイントがあり練習もし辛いなど、かなり難しいものとなっている。 -ケイブドロワーの「神経毒性」チャレンジは「毒に侵されながらコースをクリアする」というものだが、毒に侵された状態になると「&bold(){色調が変わりカメラが大きく揺れ視界もぼやける}」とプレイヤーの感覚に深刻なダメージを与えてくる。ノーミスでゴールする必要がないのが救いか。 -ロック・オブ・レイジの「トップ・ローチ」では車体の重さ、加速性などで最高難易度のコースにおいて最適でないバイクでノーミスクリアを要求するものであり、バイクの性能を最大限に生かす正確な操作ができないとチャレンジ達成は不可能に近い。~ これらのチャレンジ以外にも、「コースのある地点を行ったり来たりしないと目標を発見できない」「バイクに火をつけ空中飛行をして目標を目指す(ただし空中飛行の操縦がかなり難しい)」などと難しいチャレンジは数多く存在する。攻略の情報を得たとしても実力を要求するチャレンジは上達しないとクリアの糸口は掴めない。 #endregion -バイクやライダーのカスタマイズが簡素なものになっている。 --前作ではライダーのシャツと手袋は別扱いなどパーツ分けが細かく、カスタマイズの自由度が高かったが、今作ではパーツ分けがかなり大雑把になった。 --殆どがカラーリング可能で個性を出すことは依然としてできるが、似たような組み合わせになることも少なくない。 -&bold(){Xbox 360版の扱い。} --性能上の問題もあってか、360版では配信されなかったDLCがある、他機種のコースが共有されない、グラフィックも他機種との違いがあるなどの制約がある。 -日本語ローカライズの問題。 --コース名は基本的にカタカナで表記されているが、「Cave Dweller」というコース名が「ケイブドロワー」になっていたりと、怪しい翻訳が存在する。 -PS4の日本版のみボタンの配置が変更されている。 --海外版は×(バツ)ボタンで決定、〇ボタンでキャンセルという挙動になっているため、日本版では〇ボタンで決定となるように入れ替えが行われた。 ---しかしソフト全体でボタンの機能を入れ替えたためか、メニュー画面だけでなく走行中のボタン配置も変わってしまった。~ その結果、〇ボタンでアクセル、×ボタンでチェックポイントからのリトライとなり、海外版と操作方法が異なるものになっている。 --Xbox版ではボタンの入れ替えは行われていないうえ、PC版でPS4コントローラをつないだ際もボタンの入れ替えは行われないので、Trialsシリーズに慣れたプレイヤーであればなおさら違和感を感じるだろう。 ---PS4本体の設定でコントローラのボタンを入れ替える機能があるので、ボタンの機能の問題については解消できるが、ゲーム内のボタンの表記については変わらない。 ***改善された点 今作では無料アップデートによって追加、大きく改良されたものもあり、当初は以下の点も批判されていた。 -&bold(){オンラインのマルチプレイがなかった。} --前作ではリリース当初から搭載されていたために、なぜ今作では最初から搭載できなかったのかと不満の声が上がった。 ---今作で搭載されたのは年が明けた2015年1月とリリースからずいぶんと時間が経ってしまった。 -トラックセントラルの機能についても当初は貧弱であった。 --難易度別の新着コースタブのうち、なぜか最低難易度のビギナーと最高難易度のエクストリームのタブだけ無かった。これによりエクストリーム相当のコースをわざと低めの難易度に設定して公開するなどの弊害が起きた。 -忍者級コースのみを集めたタブも無かった。そのため難易度ごとの住みわけは当初は上手くできていなかったといえる。 -その他のタブについても当初は数が少なく、トラックセントラルのコースの探しやすさは前作からほとんど改善されていないという声が多かった。 -トーナメントモードも当初無かった。~ あらかじめコースが複数リストアップされ、それを順番にクリアしていくモード。タイム、ミス数は通しでカウントされ、合計のミス数やタイムでランキングを競う。 --アップデートによって追加されたものの、ルールこそ同じだが前作までのとは扱いが変わった。 ---今作では期間が限定されたトーナメントが複数用意され、期間終了後にはゲーム内マネーや経験値などの報酬がランキングに応じて与えられ、また新しく別のトーナメントが用意されるという形式になった。 --報酬にカスタマイズ用のアイテムの購入に使えるゲーム内通貨が来ることもあり、新しい形式のトーナメントはある程度歓迎されている。 ---- **総評 前作の成功を引き継いで新たに生み出された今作。~ 前作で培ったノウハウを活かして作られた公式コースはフリーダムさ全開ながらもしっかりと作りこまれており、ボリューム面では過去最高といってもおかしくない。~ 開発が追い付かなかったのか、システム面ではリリース当初は不満の残る出来だったが、アップデートを重ねて現在では充実したものとなっている。~ 発売から時間が経ってもユーザーのトラックセントラルでの活動は活発であり、Trialsファンからは十分に支持される作品だといえる。